20.10.6 予備系サーバモジュールの診断

N+1/N+Mコールドスタンバイ機能では,予備系サーバモジュールが正常に動作しているかどうかをあらかじめ診断できます。診断が実行されると,予備系サーバモジュールでPre-configureが実行されます。

注意
予備系サーバモジュールの診断を実施するには,次の条件が必要です。
  • 診断を実施するサーバモジュールでPre-configureの設定が有効である
  • 搭載されているSVPのファームウェアが予備系サーバモジュールの診断機能をサポートしている

予備系サーバモジュールの診断には,次の2種類があります。

それぞれの方法について次に説明します。

<この項の構成>
(1) 定期診断
(2) 手動診断
(3) 診断によって障害が検知された場合
(4) 診断実行中に自動切り替えが発生した場合の切り替え先選択規則
(5) 注意事項

(1) 定期診断

あらかじめ設定した曜日および時刻に,自動的に予備系サーバモジュールの診断を実施します。

注意
  • 予備系サーバモジュールの定期診断をするかどうか,および定期診断のスケジュールは,N+1グループ単位で実施します。個々のサーバモジュールに対して実施することはできません。
  • N+1冗長化構成をしている場合,定期診断スケジュールは,N+1切り替え開始順序の早いマネージャサービスに対してだけ設定してください。2台のマネージャサービスで同一サーバモジュールの診断を実施すると,診断が2回実行されます。予備系サーバモジュールの診断が終了するまでは自動切り替え先の対象とならないため,切り替え待ち時間が長くなります。

定期診断のスケジュールを設定する方法を次に示します。

(a) 設定方法
  1. [ホスト管理]ウィンドウで,定期診断を実施したい予備系サーバモジュールを管理しているマネージャを選択する
  2. [BSM Plus管理]メニューから[N+1コールドスタンバイ詳細設定]を選択する
    [N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウが表示されます。
  3. 左ペインから,定期診断を実施したい予備系サーバモジュールが属するN+1グループノードを選択する
    定期診断スケジュールはN+1グループ単位で設定できます。個々のサーバモジュールに対して設定することはできません。
  4. [設定]メニューから[予備系の診断]-[スケジュール設定]を選択する
    [予備系の診断 - スケジュール設定]ダイアログボックスが表示されます。

    [図データ]

  5. [予備系の定期診断を有効にする]チェックボックスをONにする
  6. 定期診断を実行する曜日および時刻を選択し,[>>]ボタンをクリックする
    選択した曜日および時刻が[スケジュール一覧]リストボックスに表示されます。
    [分]は15分単位で設定できます。一つの曜日に設定できるスケジュールは一つだけです。
  7. [OK]ボタンをクリックする
    設定した曜日の設定した時刻になると,診断が開始されます。

設定された定期診断スケジュールは[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウで確認できます。[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウの左ペインでN+1グループノードを選択すると,右ペインに[定期診断スケジュール]が表示されます。

[図データ]

(b) 診断実行時の動作

定期診断の場合,N+1グループ内の予備系サーバモジュールが次の順序で一つずつ診断されます。

複数のサーバモジュールの診断の途中で,診断が実行できないサーバモジュールがあった場合は,次のサーバモジュールに対して診断が継続されます。

(2) 手動診断

定期診断スケジュールで設定した時刻以外に,任意の時刻に手動で予備系サーバモジュールの診断ができます。

注意
  • 予備系サーバモジュールの手動診断は,サーバモジュール単位で実施します。サーバシャーシ単位,またはN+1グループ単位で実施することはできません。
  • SMP構成の予備系サーバモジュールに対して手動診断を実施した場合,同一パーティションのすべての予備系サーバモジュールで同時に診断が実施されます。

手動診断の操作方法を次に示します。

(a) 操作方法
  1. [ホスト管理]ウィンドウで,診断を実施したい予備系サーバモジュールを管理しているマネージャを選択する
  2. [BSM Plus管理]メニューから[N+1コールドスタンバイ詳細設定]を選択する
    [N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウが表示されます。
  3. 左ペインから,手動診断を実施したい予備系サーバモジュールを選択する
    選択できる予備系サーバモジュールは一つだけです。複数選択することはできません。
  4. [設定]メニューから[予備系の診断]-[診断の実行]を選択する
    「診断中の予備系サーバモジュールへは切り替えを実行しない」という意味の確認メッセージが出力されます。
  5. [OK]ボタンをクリックする
    指定したサーバモジュールに対して,診断が開始されます。
(b) 診断実行時の動作

手動診断の場合,指定したサーバモジュールに対して,診断が実行されます。

(3) 診断によって障害が検知された場合

診断によって障害が検知された場合,SVPから警告アラートまたは障害アラートが通知されます。また,診断終了後にマネージャサービスから警告アラート(0x3745)が通知され,[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウの予備系のアイコンの状態が「サーバモジュール障害」になります。

アラートに対する対処をして障害を回復したあとは,次のどちらかの操作でアイコンの表示を回復させてください。

(4) 診断実行中に自動切り替えが発生した場合の切り替え先選択規則

予備系サーバモジュールの診断実行中に,現用系ホストの障害によって自動切り替えが発生した場合,切り替え先の選択規則を次に示します。

(a) 予備系サーバモジュールがすべて診断実行中の場合

N+1グループの予備プール内の予備系サーバモジュールがすべて診断実行中だった場合,いちばん早く「正常」と診断された予備系サーバモジュールが切り替え先として選択されます。この場合,予備系サーバモジュールのどれか一つが「正常」と診断されるまで切り替えは実施されません。予備系サーバモジュールがすべて診断実行中の場合の切り替え先の選択を,次の図に示します。

図20-20 切り替え先選択(予備系サーバモジュールがすべて診断実行中の場合)

[図データ]

注意
即時切り替えの自動切り替え対象アラートが通知された場合,予備系サーバモジュールが診断中であっても,現用系ホストの電源OFFは即時に実施されます。この場合,予備系サーバモジュールへの切り替えは,予備系サーバモジュールの診断が終了したあとで実施されます。このため,予備系サーバモジュールの診断中は,現用系ホストの状態は「切り替え実行中」となります。
なお,自動切り替え対象アラートが即時切り替え対象のアラートでない場合,予備系サーバモジュールの診断が終了した時点から自動切り替え待ち時間が開始されます。予備系サーバモジュールがすべて診断実行中の場合の自動切り替え待ち時間を,次の図に示します。

図20-21 自動切り替え待ち時間(予備系サーバモジュールがすべて診断実行中の場合)

[図データ]
なお,予備系サーバモジュールの診断でN+1グループ内のすべての予備系サーバモジュールで障害を検知した場合は自動切り替えに失敗します。
(b) 診断実行中のサーバモジュールと診断開始待ちのサーバモジュールの場合

N+1グループの予備プール内に,診断実行中のサーバモジュールと診断開始待ちのサーバモジュールが混在している場合,診断未実施であっても診断開始待ちのサーバモジュールが切り替え先として選択されます。診断実行中のサーバモジュールと診断開始待ちのサーバモジュールが混在している場合の切り替え先選択を,次の図に示します。

図20-22 切り替え先選択(診断実行中のサーバモジュールと診断開始待ちのサーバモジュールが混在している場合)

[図データ]

(c) 切り替え優先順位が低いサーバモジュールと診断実行中のサーバモジュールの場合

N+1グループの予備プール内に,サーバシャーシ定期診断の結果,切り替え優先順位が低くなったサーバモジュールと診断実行中のサーバモジュールが混在している場合,診断実行中のサーバモジュールのうち,いちばん早く「正常」と診断された予備系サーバモジュールが切り替え先として選択されます。この場合,診断実行中の予備系サーバモジュールのどれか一つが「正常」と診断されるまで切り替えは実施されません。

切り替え優先順位が低いサーバモジュールと診断実行中のサーバモジュールの場合の切り替え先選択を,次の図に示します。

図20-23 切り替え先選択(切り替え優先順位が低いサーバモジュールと診断実行中のサーバモジュールの場合)

[図データ]

(d) 診断実行中の自動切り替え中止

予備系サーバモジュールの診断実行中に自動切り替えが発生した場合,切り替えを中止できます。

(5) 注意事項