20.2.5 N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイの利用条件

N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイでは,設定方法や利用できる機能に違いがあります。N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイの違いを次の表に示します。

表20-7 N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイの比較

項番項目N+1コールドスタンバイN+Mコールドスタンバイ
1予備系サーバモジュールに対する運用前のHBA-BIOS設定手動で設定不要
2予備系サーバモジュールに対する運用前のシステムBIOS/EFI設定手動で設定不要
3※19900VシリーズおよびHitachi USPで構成される現用系サーバモジュールの適用HP-UXサーバだけ利用できる利用できる
4HP-UXサーバへの適用利用できる利用できない
5WWNに依存するソフトウェア機能(Persistent Bindingなど)の利用利用できない利用できる
6現用系サーバモジュールの異なるストレージサブシステムのポートへの接続利用できない利用できる
7N+1グループの現用系ホスト数の制限
  • IPFサーバモジュールの場合:7台
  • IA32サーバモジュールの場合:256台
256台
8予備系サーバモジュールの最大登録数1台
  • IPFサーバモジュールの場合:1,024台
  • IA32サーバモジュールの場合:256台
9N+1グループ内の現用系サーバモジュール,予備系サーバモジュールのネットワーク構成同一ネットワークの必要あり同一ネットワークの必要なし
10BS2000およびBS320への適用利用できない利用できる※2
11ストレージ運用支援機能のホストグループ割り当ての要否必須必須ではない※3
12管理対象サーバへのAgentのインストール要否必須必須ではない
13SASインタフェースまたはiSCSIインタフェースでのSANブート構成利用できない利用できる
注※1
Device Managerのバージョンが5.0より前の場合だけです。
注※2
Fibre Channel Switch Moduleを使用しているBS320とSAS Switch Moduleを使用しているBS320は,同一のN+1グループに登録できません。
注※3
SAS Switch Moduleを使用しているBS320を使用する場合,ストレージ運用支援機能は使用できません。また,iSCSIインタフェースでのSANブート構成の場合,ストレージ運用支援機能は使用できません。

表に示した各項目について説明します。

<この項の構成>
(1) 予備系サーバモジュールに対する運用前のHBA-BIOS設定
(2) 予備系サーバモジュールに対する運用前のシステムBIOS/EFI設定
(3) 9900VシリーズおよびHitachi USPで構成される現用系サーバモジュールの適用
(4) HP-UXサーバへの適用
(5) WWNに依存するソフトウェア機能(Persistent Bindingなど)の利用
(6) 現用系サーバモジュールの異なるストレージサブシステムのポートへの接続
(7) N+1グループの現用系ホスト数の制限
(8) 予備系サーバモジュールの最大登録数
(9) N+1グループ内の現用系サーバモジュール,予備系サーバモジュールのネットワーク構成
(10) BS2000およびBS320への適用
(11) ストレージ運用支援機能のホストグループ割り当ての要否
(12) 管理対象サーバへのAgentのインストール要否

(1) 予備系サーバモジュールに対する運用前のHBA-BIOS設定

N+1コールドスタンバイでは,予備系サーバモジュールのHBA-BIOSの設定を,運用に入る前に,現用系サーバモジュールと同じように手動で設定しておく必要があります。

N+Mコールドスタンバイでは,この設定が不要となります。

(2) 予備系サーバモジュールに対する運用前のシステムBIOS/EFI設定

N+1コールドスタンバイでは,予備系サーバモジュールのシステムBIOS/EFIの設定を,運用に入る前に,現用系サーバモジュールと同じように手動で設定しておく必要があります。

N+Mコールドスタンバイでは,この設定が不要となります。

(3) 9900VシリーズおよびHitachi USPで構成される現用系サーバモジュールの適用

Device Managerのバージョンが5.0より前の場合,N+1コールドスタンバイでは,9900VシリーズおよびHitachi USPで構成される現用系サーバモジュールを適用できません。

N+Mコールドスタンバイでは,9900VシリーズおよびHitachi USPで構成される現用系サーバモジュールを適用できます。

(4) HP-UXサーバへの適用

N+1コールドスタンバイは,HP-UXサーバに対して適用できます。

N+Mコールドスタンバイは,HP-UXサーバに対して適用できません。

(5) WWNに依存するソフトウェア機能(Persistent Bindingなど)の利用

N+1コールドスタンバイでは,実行時に予備系サーバモジュールのHBA(WWN)が変更されます。したがって,現用系ホストでWWNに依存するソフトウェア機能を使用している場合,正常に動作しないときがあります。

N+Mコールドスタンバイでは,実行時にWWNが変更されないので,WWNに依存するソフトウェア機能を使用できます。

(6) 現用系サーバモジュールの異なるストレージサブシステムのポートへの接続

N+1コールドスタンバイでは,予備系サーバモジュールのHBA-BIOSにブート用のストレージサブシステムのポートとLUNを運用前に設定する必要があります。したがって,N+1グループ内すべての現用系サーバモジュールは,同一のストレージサブシステムのポートとLUNからブートする必要があります。

N+Mコールドスタンバイでは,切り替え時に現用系サーバモジュールのHBA-BIOS設定情報を予備系サーバモジュールのHBA-BIOSにコピーします。したがって,N+1グループ内の現用系サーバモジュールが異なるストレージサブシステムのポートからブートする構成であってもN+1コールドスタンバイ機能を利用できます。

(7) N+1グループの現用系ホスト数の制限

N+1コールドスタンバイおよびN+Mコールドスタンバイの現用系ホスト数の制限について,次の図を用いて説明します。

図20-6 N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイの現用系ホスト数の制限

[図データ]

N+1コールドスタンバイおよびN+Mコールドスタンバイでは,N+1グループ単位でサーバモジュールを割り当てます。N+1グループとは,現用系サーバモジュールと予備系サーバモジュールを一まとめにした管理単位(グループ)を表します。

N+1コールドスタンバイでは,一つのN+1グループに現用系ホストとして登録できるIPFサーバモジュールは7台までです。したがって,8台以上のサーバモジュールを利用する場合は,N+1グループを分け,それぞれに予備系サーバモジュールを割り当てる必要があります。

N+Mコールドスタンバイでは,一つのN+1グループに7台以上の現用系ホストを登録できます。したがって,8台以上の現用系サーバモジュールに対して,1台または複数の予備系サーバモジュールを設定できます。

なお,SASインタフェース,またはiSCSIインタフェースでのSANブート構成では,現用系ホストと異なるサーバシャーシのホストはN+1グループに登録できません。

(8) 予備系サーバモジュールの最大登録数

N+Mコールドスタンバイ構成の予備系サーバモジュールの最大登録数は,IA32サーバモジュールの場合は256台,IPFサーバモジュールの場合は1,024台です。

(9) N+1グループ内の現用系サーバモジュール,予備系サーバモジュールのネットワーク構成

N+Mコールドスタンバイ構成では,N+1グループ内で現用系サーバモジュールと予備系サーバモジュールをすべて同一ネットワークにする必要はありません。

異なるネットワークの現用系サーバモジュールと予備系サーバモジュールでN+1グループを構成する場合は,「20.5 ネットワークスイッチと連携したN+1/N+Mコールドスタンバイの切り替え」を参照してください。

(10) BS2000およびBS320への適用

N+1コールドスタンバイは,BS2000に搭載しているサーバモジュール,およびBS320に搭載しているサーバモジュールでは利用できません。

N+Mコールドスタンバイは,BS2000に搭載しているサーバモジュール同士,およびBS320に搭載しているサーバモジュール同士で現用系,予備系として登録できます。BS2000に搭載しているサーバモジュール,BS1000に搭載しているサーバモジュール,BS320に搭載しているサーバモジュールを混在させて現用系,予備系として登録することはできません。

また,Fibre Channel Switch Moduleを使用しているBS320とSAS Switch Moduleを使用しているBS320は,同一のN+1グループに登録できません。

(11) ストレージ運用支援機能のホストグループ割り当ての要否

N+1コールドスタンバイの場合,ストレージ運用支援機能のホストグループ割り当てを実施している必要があります。

N+Mコールドスタンバイの場合,ストレージ運用支援機能のホストグループ割り当ては必須ではありません。SAS Switch Moduleを使用しているBS320を使用する場合,ストレージ運用支援機能は使用できません。

(12) 管理対象サーバへのAgentのインストール要否

N+1コールドスタンバイの場合,管理対象サーバへAgentをインストールしておく必要があります。

N+Mコールドスタンバイの場合,管理対象サーバへのAgentのインストールは必須ではありません。ただし,AgentがインストールされていないホストをN+1グループに登録するためには,次の条件が必要です。次の条件を満たしていない場合は,[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウの各設定画面に表示されません。