20.5.2 ネットワークスイッチのポート設定の変更

ここでは,ネットワーク設定変更時の動作,および注意事項について説明します。

<この項の構成>
(1) ネットワークスイッチのポート設定変更時の動作
(2) ネットワークスイッチ間接続の設定
(3) ポート設定変更時の注意

(1) ネットワークスイッチのポート設定変更時の動作

ネットワークスイッチ連携機能では,N+1/N+Mコールドスタンバイでストレージの割り当てを変更すると同時に,ネットワークスイッチのポート設定を変更します。

ネットワークスイッチのポート設定変更に失敗した場合は,障害アラート(0x3725)が通知され,N+1/N+Mコールドスタンバイの処理が継続されます。

次の図に,BSM Plusが障害を検知した場合の,ネットワークスイッチのポート設定変更時の動作を示します。

図20-12 ポート設定の変更時の動作

[図データ]

図で示した流れについて説明します。

  1. 障害の検知
    SVPによってハードウェア障害が検知されます。ユーザがN+1/N+Mコールドスタンバイの手動切り替えを指示した場合も以降の流れは同じです。
  2. スイッチ情報の取得
    切り替え対象(切り替えなら現用機,復帰なら予備機)のスイッチ情報が,BSM Plusのスイッチ情報リポジトリから取得されます。
  3. 切り替えコマンドの生成
    取得した情報に基づき,JP1/Cm2/NC - Managerに渡すXML定義ファイルが生成されます。
  4. コマンドの実行
    作成したXMLを基に,JP1/Cm2/NCのコマンドが実行されます。
  5. ポート設定の変更
    JP1/Cm2/NC - Managerによって,ネットワークスイッチのポート設定が変更されます。
  6. スイッチ情報の更新
    切り替え元および切り替え先の情報を基に,スイッチ情報リポジトリが更新されます。

ネットワークスイッチ連携機能を利用するには,事前準備としてポート情報GUI設定方式,またはポート情報インポート設定方式を利用して,ネットワーク情報を設定してください。ポート情報GUI設定方式では,GUI画面を操作してスイッチ情報をBSM Plusに登録する必要があります。ポート情報インポート設定方式では,スイッチ情報定義ファイルを作成し,BSM Plusに登録する必要があります。スイッチ情報定義ファイルには,N+1/N+M対象サーバモジュールの接続ポートに関するVLANの情報を記述します。

ポート情報GUI設定方式については,「20.8.3 ネットワークスイッチ情報の定義(ポート情報GUI設定方式)」を参照してください。

ポート情報インポート設定方式については,「20.8.4 ネットワークスイッチ情報の定義(ポート情報インポート設定方式)」を参照してください。

(2) ネットワークスイッチ間接続の設定

ネットワークスイッチ連携機能では,外部スイッチを介して,異なるネットワークスイッチに接続されたサーバモジュールに切り替えることができます。

内蔵スイッチ,外付スイッチのネットワークスイッチ間の接続を有効にするには,予備系サーバモジュールを接続したネットワークスイッチと外部スイッチ間のタグポートに,あらかじめ現用系サーバモジュールと同じVLAN IDを設定します。

次の図に,ネットワークスイッチ間接続の設定例を示します。

図20-13 ネットワークスイッチ間接続の設定例

[図データ]

(3) ポート設定変更時の注意

ここでは,ネットワークスイッチのポート設定を変更するときの注意事項を示します。

(a) N+1/N+Mコールドスタンバイの事前確認

N+1/N+Mコールドスタンバイの切り替えをするために,ネットワークスイッチのポート設定を変更する場合は,切り替えの事前確認をするときに,切り替え後のネットワークアクセスが正常であることを確認してください。

また,予備系サーバモジュールのVLANの設定は変更しないでください。設定を変更した場合はデフォルト設定に戻してください。

(b) SMP構成時のポート設定の変更

SMP構成を組んだサーバモジュールに対して,N+1/N+Mコールドスタンバイの切り替えおよび復帰をする場合,パーティションを構成するすべてのサーバモジュールに対して,接続するポート情報を定義してください。

N+1/N+Mコールドスタンバイの切り替え時には,切り替え元のパーティションを構成するすべてのサーバモジュールのポート情報が,切り替え先に移行されます。

(c) BS320搭載のサーバモジュールでの引き継ぎ対象ポート

BS320搭載のサーバモジュールは2種類のLANデバイスを搭載しており,各LANデバイスには二つのLANポートがあります。そのため,合計4ポートが内蔵スイッチに接続されます。また,BS320では標準LAN構成および拡張LAN構成が設定されており,標準LAN構成には2ポート,拡張LAN構成ではすべてのLANポートが使用できます。引き継ぎ対象ポートは,標準LAN構成,拡張LAN構成のどちらの場合でもすべての接続ポートが引き継がれます。

(d) SVPの二重化

現用系サーバモジュールと予備系のサーバモジュールのSVP数は,同じにしてください。SVP数が異なる場合は,N+1/N+Mコールドスタンバイの切り替えができません。

また,SVPを二重化した場合は,現用系サーバモジュールと予備系サーバモジュールで,切り替え対象のネットワークスイッチ情報の定義順を一致させてください。ネットワークスイッチ情報を定義した順序で,現用系サーバモジュールおよび予備系サーバモジュールのスイッチ情報が切り替えられます。

(e) 複数サーバの同時切り替え時のポート設定変更

N+1/N+Mコールドスタンバイ切り替えおよび復帰を行うサーバモジュールと同一シャーシ内にN+Mコールドスタンバイ切り替えおよび復帰中のサーバモジュールがあった場合,ネットワークスイッチの設定に失敗することがあります。

このような場合,障害アラート(0x3725)が通知され,N+Mコールドスタンバイの処理が継続されます。

ネットワークスイッチの切り替え処理で警告アラートが通知された場合は,ネットワークスイッチの切り替えに失敗している可能性があるので,必ずJP1/Cm2/NCのネットワークスイッチの設定状態を確認してください。

(f) 予備系サーバモジュールの設定

予備系サーバモジュールが接続するネットワークスイッチのポートに,引き継ぎ対象となるネットワークスイッチ情報が設定されている場合,N+1/N+Mコールドスタンバイ切り替え・復帰時のポート設定の移行が次のようになります。

ポート情報インポート方式の場合
ポート情報インポート方式では,予備系サーバモジュールのポートがデフォルトVLAN(VLAN ID=1)でない場合,ポート設定の移行に失敗します。そのため,予備系サーバモジュールのポートは,デフォルトVLAN(VLAN ID=1)にしてください。
ポート情報GUI設定方式の場合
ポート情報GUI設定方式では,予備サーバモジュールのポートに引き継ぎ対象となる設定がされていた場合,これらの設定を初期状態に変更してからポート設定の移行を行います。これらの設定は復帰の際に復元しません。したがって,切り替えと復帰を行った場合,予備サーバモジュールに設定されていたポート設定は初期状態になります。初期状態とは,QoS制御情報およびACL制御情報が未設定,VLAN設定がデフォルトVLAN(VLAN ID=1)の状態です。