20.2.2 システム構築の前提条件
(1) N+1/N+Mコールドスタンバイの前提条件
- 現用系のサーバモジュールのブートディスクおよびすべてのデータディスクが,外部のストレージ(日立ディスクアレイサブシステムまたはBRシリーズ)にあること
外部のストレージを利用する場合の運用については,「19.3 ディスク割り当て時のアクセス制限」を参照してください。
- グループ属性がN+1コールドスタンバイの現用系サーバモジュールは,ストレージ運用支援機能を利用してホストグループ割り当てを実施していること
ストレージ運用支援機能については,「19. ストレージ運用支援」を参照してください。
ただし,Device Managerのバージョンが5.0より前の場合,9900VシリーズおよびHitachi USPで構成されるホストにN+1コールドスタンバイを適用できません。N+Mコールドスタンバイだけ適用できます。N+Mコールドスタンバイについては,「20.4 N+Mコールドスタンバイの適用に必要な検討」を参照してください。
- N+1コールドスタンバイ機能のネットワーク環境とストレージサブシステム環境は,同一ネットワーク内かつ同一ゾーン内であること
ネットワーク環境とストレージサブシステム環境については,「20.2.3 ネットワーク環境の前提条件」を参照してください。
- 予備系サーバモジュールは,現用系のサーバモジュールのモデルやアーキテクチャなどと一致していること
予備系サーバモジュールの適用条件については,「20.2.4 予備系サーバモジュールの適用条件」を参照してください。
- 現用系のサーバモジュールがSMP構成の場合,予備系サーバモジュールは現用系のサーバモジュールと同一仕様のサーバモジュールを使用し,事前にSMP構成を取ることを設定しておくこと
- 現用系のサーバモジュールが次に示す機能を持つNIC/HBAドライバをインストールしている場合は,次の機能を無効としていること
- NICのMACアドレスに対してIPアドレスを固定的に割り当てる機能(例:DHCPサーバを利用する,ifcgf-ethファイルでHWADDRの設定をするなど)
- HBAのPersistent Binding機能(SCSIのTargetIDを特定のFCデバイスに永続的に割り当てる機能)
- 現用系のサーバモジュールでWindowsのチーミング機能(NICの冗長化機能)を利用する場合,N+1チーミングキットを利用すること
- 現用系のサーバモジュールでLinuxを利用する場合,/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethn(nは0,1,・・・)ファイルでのデバイス(NIC)ごとの設定で,HWADDRパラメタを削除すること
- 現用系のサーバモジュールでLinuxを利用する場合,ファイルシステムはEXT3などのジャーナリングファイルシステムを利用すること
非ジャーナリングファイルシステムのEXT2などは使用しないでください。
- 現用系のサーバモジュールでWindowsを利用する場合,BitLockerを利用しないこと
BitLockerを利用したシステムでN+1/N+Mコールドスタンバイを利用すると,ハードウェアの整合性が取れなくなって起動プロセスがロックされてしまい,OSが起動できなくなることがあります。そのため,N+1/N+Mコールドスタンバイを利用する場合は,BitLockerを利用しないでください。BitLockerについては,OSのヘルプまたはOSのドキュメントを参照してください。
これらの前提条件をすべて満たしていても,N+1コールドスタンバイ機能を適用する場合は,運用前に切り替えテストを実施してください。N+1コールドスタンバイ機能を適用するための手順については,「20.7.1 N+1/N+Mコールドスタンバイ機能の適用手順」を参照してください。
(2) N+Mコールドスタンバイの前提条件
N+Mコールドスタンバイのシステムを構築する場合,「(1) N+1/N+Mコールドスタンバイの前提条件」から条件が緩和されています。条件の違いについては,「20.2.5 N+1コールドスタンバイとN+Mコールドスタンバイの利用条件」を参照してください。
また,N+Mコールドスタンバイのシステムを運用する前に,切り替えられるすべてのパターンに対してテストを実施してください。なお,予備プールに準備される予備系サーバモジュールが不足した場合に,不足したあとで予備プールにサーバモジュールを追加するときも,切り替えテストを実施してください。