1.2 JP1/ServerConductorの特長

この節では,JP1/ServerConductorの特長について説明します。

<この節の構成>
(1) さまざまなタイプのサーバを管理できます
(2) 資産情報を一元管理できます
(3) 障害管理ができます
(4) 管理コンソールから電源を制御できます
(5) 遠隔操作ができます
(6) Webブラウザからの運用管理ができます
(7) クラスタシステムでの運用に対応しています
(8) DPMとの連携ができます
(9) JP1/ServerConductor以外のJP1製品との連携ができます
(10) ネットワーク管理製品とストレージ管理製品との連携ができます
(11) SANブート構成のシステム構築を支援します
(12) 複数のサーバで複数の予備サーバを共用できます
(13) ラックの構成情報をグラフィカルに管理します
(14) サーバを仮想化して運用できます

(1) さまざまなタイプのサーバを管理できます

JP1/ServerConductorは,次のサーバを管理できます。

上記に加えて,従来のSystem Manager製品と連携することで,次のサーバも管理できます。

(2) 資産情報を一元管理できます

OSのバージョン,メモリ,設置場所,BIOSのバージョンなど,管理対象サーバのハードウェアやファームウェアの資産情報(インベントリ情報)をコンソールのGUI画面で参照できます。また,収集したインベントリ情報をデータベースとして保持できるので,数あるサーバの中から条件に合ったサーバを検索できます。さらに,データベースを定期的に検索して,検索結果を指定した宛先へe-mailで通知することもできます。

JP1/ServerConductorによる資産情報の一元管理を次の図に示します。

図1-2 JP1/ServerConductorによる資産情報の一元管理

[図データ]

(3) 障害管理ができます

管理対象サーバおよび管理サーバで発生した状態変化や障害は,アラートとしてコンソールへ通知したり,指定した宛先へe-mailで通知したりできます。通知するアラートをアラートレベルやアラート属性でフィルタリングし,重要なアラートだけを通知することもできます。さらに,通知アラートをログとして格納し,必要なときに参照できます。

アラートはJP1/IMおよびJP1/Cm2/NNMに通知できます。これによって,JP1/ServerConductor以外のJP1製品と連携した統合資産管理ができます。

JP1/ServerConductorによる障害管理の仕組みを次の図に示します。

図1-3 JP1/ServerConductorによる障害管理

[図データ]

(4) 管理コンソールから電源を制御できます

管理対象サーバの電源ON,電源OFF,リブート,シャットダウンなどをコンソールから操作できます。また,特定の日や毎週決まった時間など,スケジュールを指定して電源を制御することもできます。

(5) 遠隔操作ができます

遠隔地にある管理対象サーバをコンソールから操作したり,管理対象サーバとコンソール間でファイルを転送したりできます。これらの遠隔操作によって,遠隔地の管理対象サーバで障害が発生した場合でも,直接操作して障害を取り除いたり,メンテナンスに必要なファイルを受け取ったりできます。

(6) Webブラウザからの運用管理ができます

JP1/ServerConductorでは,Webブラウザをコンソールとして利用できます。これによって,JP1/ServerConductorのコンソール以外から管理対象サーバに対する運用・管理ができます。

(7) クラスタシステムでの運用に対応しています

JP1/ServerConductorはクラスタシステムでの運用に対応しています。

管理サーバをクラスタシステムで運用することで,サーバ障害が発生した場合でもサーバの運用管理を継続できます。

管理サーバをクラスタシステムで運用する場合の概要を次に示します。

図1-4 JP1/ServerConductorのクラスタ運用(管理サーバ)

[図データ]

また,管理対象サーバがHA8000のWindowsサーバの場合,そのサーバをクラスタ単位で管理できます。

JP1/ServerConductorのクラスタ管理エージェントサービスを使用すると,ドメイン環境に依存しないで遠隔地から一括管理できます。

なお,次の場合はJP1/ServerConductorでクラスタ構成のサーバを管理することはできません。

(8) DPMとの連携ができます

JP1/ServerConductorで管理しているサーバシャーシが持つ物理パーティションの情報を,DPMのコンピュータ情報として取得し,ファイルにエクスポートできます。このファイルをインポートすることで,コンピュータ名,MACアドレスなど,JP1/ServerConductorで管理しているサーバシャーシが持つ物理パーティションの情報を,DPMの管理対象とするコンピュータの情報として一括して登録できます。

(9) JP1/ServerConductor以外のJP1製品との連携ができます

管理対象サーバで発生した障害をアラートとしてJP1/IMに通知できます。また,JP1/IMの統合ビューからJP1/ServerConductorのコンソールサービスを起動できます。

(10) ネットワーク管理製品とストレージ管理製品との連携ができます

BladeSymphonyはネットワーク,サーバ,ストレージサーバを一つの筐体にまとめた統合サービスプラットフォームです。したがって,サーバだけでなくネットワークアダプタやストレージデバイスも含んでシステムを構築します。

JP1/ServerConductorでは,ネットワークを管理するためのJP1/Cm2/NCおよびストレージを管理するためのDevice Managerを起動できます。

ネットワーク管理製品とストレージ管理製品との連携を次の図に示します。

図1-5 ネットワーク管理製品とストレージ管理製品との連携

[図データ]

(11) SANブート構成のシステム構築を支援します

BladeSymphonyは,SANブート構成のシステムを構築できます。SANブート構成のシステムを構築する場合,ストレージサブシステム内に起動用ディスクとデータ用ディスクを準備し,準備したディスクをサーバモジュールへ割り当てなければなりません。JP1/ServerConductorを利用すると,BladeSymphonyのサーバモジュールを挿入するだけで,自動的に起動用ディスクとデータ用ディスクを割り当てられます。

(12) 複数のサーバで複数の予備サーバを共用できます

管理対象サーバに障害が発生した場合,従来は,サーバを修理または交換したあと,バックアップからサーバを再構築しなければならず,復旧に時間と手間が掛かりました。

管理対象サーバがBladeSymphonyの場合,JP1/ServerConductorを利用して複数のサーバモジュールで,1台または複数台の予備のサーバモジュールを共用するシステムを構築できます。この機能をN+1/N+Mコールドスタンバイといいます。管理対象サーバに障害が発生した場合,自動的に予備のサーバへ切り替えられるので,障害が発生したサーバを交換しなくても予備サーバを起動して業務を再開できます。システムの起動用ディスクやデータ用ディスクはストレージサブシステム内に準備しているので,業務アプリケーションは障害時のディスクの切り替えを意識する必要がありません。

JP1/ServerConductorのN+1/N+Mコールドスタンバイは,複数のサーバで予備サーバを共用するのでクラスタ構成に比べ運用コストを抑えられます。また,複数の予備サーバを用意すれば,システムの障害に対する信頼性を一層高められます。

N+1/N+Mコールドスタンバイの概要を次の図に示します。

図1-6 N+1/N+Mコールドスタンバイ

[図データ]

(13) ラックの構成情報をグラフィカルに管理します

BladeSymphonyは,モジュール化されたネットワーク,ブレードサーバ,ストレージが一つの筐体に搭載されています。JP1/ServerConductorでは,BladeSymphonyの各機器の配置,空き容量などの搭載状況をコンソールにグラフィカルに表示できます。管理対象サーバに障害が発生した場合,障害が発生した機器の部分の色が変わって表示されるので,どの機器に障害が発生したのか一目でわかります。また,各機器の詳細情報(種別,IPアドレス,サイズなど)や障害発生時のアラート情報を表示できます。

(14) サーバを仮想化して運用できます

JP1/ServerConductorでは,日立サーバ仮想化機構HVM)によって仮想化されたサーバや,VMwareやHyper-Vなどの仮想化プラットフォームのサーバを管理できます。

HVMによって仮想化されたサーバの管理

BladeSymphonyは,HVMによって,1台または複数台のサーバモジュールで構成された一つの物理パーティションを,複数の論理パーティションに分割できます。仮想化されたサーバを構成する論理パーティションをLPARと呼びます。一つの物理パーティション上にある複数のLPARはHVMによって管理されています。

それぞれのLPAR上では異なるOSや業務アプリケーションを実行できます。つまり,それぞれのLPARを独立したサーバのように利用できます。

例えば,リソース使用率の低い複数のサーバがある場合,一つの物理パーティションを仮想化して複数のLPARに分割し,各サーバで処理していた業務を集約することでサーバを効率的に運用できます。

日立サーバ仮想化機構によって一つの物理パーティションに集約して運用する例を,次の図に示します。

図1-7 複数のサーバを一つの物理パーティションに集約して運用する例

[図データ]

上記の図は,3台のサーバそれぞれのリソース使用率が10~30%なので,それぞれの業務を1台のサーバに集約した例です。空いた2台のサーバは別の業務に利用することで,サーバを整理統合できます。

JP1/ServerConductorでは,LPAR上で稼働するサーバを物理的なサーバと同様に管理できます。また,HVMに対しても,LPAR上で稼働するサーバと同じように電源制御などの操作を実施できます。

さらに,JP1/ServerConductorでは,HVMの構成を管理コンソールから変更したり,ウィザードによってLPARを作成したりできます。

仮想化プラットフォームのサーバの管理

VMwareやHyper-Vなどの仮想化プラットフォームのサーバを管理できます。

[ホスト管理]ウィンドウでは,管理対象のVMホストとVMゲストを階層表示させ,VMホストとVMゲストの関係を一目で把握できます。VMホストとは,VMwareやHyper-Vが動作するホスト(物理サーバ)のことです。VMゲストとは,VMwareやHyper-Vによって提供される仮想的な環境(仮想化サーバ)のことです。

JP1/ServerConductorは,VMホストおよびVMゲストを管理対象とします。VMホストおよびVMゲストに対して電源ONや電源OFFなどの電源制御ができます。また,VMホストに対しては,SVP直接アラートによる障害監視をしたり,N+Mコールドスタンバイ機能を利用したシステム構成にしたりできます。