LPAR上で稼働しているサーバを,物理パーティション単位でN+Mコールドスタンバイの現用系ホストとして登録できます。またLPARモードのサーバモジュールを予備系サーバモジュールとして登録できます。
LPARモードで稼働している,現用系のサーバモジュールに障害が発生した場合,そのサーバモジュール上で稼働しているLPARモードのサーバが,サーバモジュール単位で切り替えられます。現用系のサーバモジュールで稼働しているLPARは,予備系サーバモジュールに,同じ構成で引き継がれます。LPARモードで稼働しているサーバモジュールを,N+Mコールドスタンバイの現用系および予備系のサーバモジュールとして登録した場合の切り替え発生時の動作を次の図に示します。
図23-5 切り替え発生時の動作(LPARモード)
切り替え時に予備系サーバモジュールに遷移される情報については,マニュアル「BladeSymphonyユーザーズガイド」を参照してください。
LPARモードで稼働している物理パーティションに対して,N+Mコールドスタンバイを使用する場合の登録条件,登録方法,切り替え時の動作,復帰時の動作,および注意事項を次に示します。
LPAR上で稼働しているサーバは,そのサーバが稼働しているLPARモードの物理パーティション単位で,現用系ホストとして登録します。このとき,[ホスト登録・変更]ダイアログボックスでは,サーバが稼働しているLPARを管理するHVMのHVM識別子を指定して登録します。また,予備系サーバモジュールは,サーバモジュール単位で登録します。
現用系ホストとしてHVMを指定した場合,予備系サーバモジュールにHVM非搭載のサーバモジュールを登録できません。現用系ホストおよび予備系サーバモジュールに登録できる組み合わせを,次の表に示します。
表23-6 現用系ホストおよび予備系サーバモジュールに登録できる組み合わせ
現用系ホスト※1 | 予備系サーバモジュール※2 |
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現用系ホストの登録手順は,物理サーバを登録する場合の手順と同じです。LPAR上で稼働するサーバを登録する場合,[ホスト登録・変更]ダイアログボックスで,そのサーバが稼働しているLPARを管理するHVMのHVM識別子を指定します。
予備系サーバモジュールの登録手順は,Basicモードのサーバモジュールを登録する場合の手順と同じです。現用系ホストにHVMが登録されている場合,[予備登録・変更]ダイアログボックスでHVM非搭載のサーバモジュールは選択できません。
現用系として使用していたサーバモジュールを予備登録する場合は,事前にすべてのLPARをActivateしたあと,[ホスト管理]ウィンドウですべてのLPAR(ホスト)のパーティション情報が更新されたことを確認してください。パーティション情報が更新されていないLPARがある場合は,予備登録できません。
切り替え完了後の予備系サーバモジュールの状態および注意事項を,手動切り替えの場合と自動切り替えの場合に分けて説明します。
障害発生時,現用系のHVMが管理しているLPARをDeactivateしたあとで,HVMの電源をOFFにした場合,切り替え後の予備系サーバモジュールでは,現用系のサーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定に従って,LPARがActivateされます。そのため,障害発生時に現用系で起動していたLPARが,切り替え後に予備系サーバモジュールでActivateされていないことがあります。必要に応じてLPARをActivateしてください。
HVMの電源を強制的にOFFにした場合,切り替え前の現用系サーバモジュール上のHVMにPre-State Auto Activationの設定がされていれば,現用系でActivateされていたLPARが,予備系サーバモジュールでもActivateされます。Pre-State Auto Activationの設定がされていなければ,現用系のサーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定に従って,LPARがActivateされます。
Auto Activation OrderおよびPre-State Auto Activationの設定については,マニュアル「BladeSymphonyユーザーズガイド」を参照してください。
なお,[手動切り替え実行]ダイアログボックスの[切り替え時に電源をONにする]チェックボックスをONにしていた場合,切り替えが実行されると,サーバモジュールおよびHVMの電源がONになります。LPARがActivateされるかどうかは,現用系サーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定およびPre-State Auto Activationの設定に従います。
手動切り替え完了後の予備系サーバモジュールの状態の違いを,次の図に示します。
図23-6 手動切り替え完了後の予備系サーバモジュールの状態の違い
手動で切り替えを実行した場合,切り替えが完了しても各LPARのActivateが完了するまでは,[ホスト管理]ウィンドウに表示されるLPAR(ホスト)のパーティション番号に,切り替え前の情報が表示されます。手動で切り替えを実行したあとは,LPAR(ホスト)の管理を正常にするために,必ず電源をONにしてください。
自動切り替え時,OSのシャットダウン後にサーバモジュールの電源をOFFにする設定をしていた場合,各LPAR上で起動しているOSのシャットダウン後にHVMがシャットダウンされます。このとき,OSシャットダウン監視のタイムアウトは,各LPAR上のOSシャットダウン要求からLPARがすべて停止するまでの間と,HVM停止要求からHVMが停止するまでの間の,2回監視されます。例えば,OSシャットダウンの監視時間を10分と設定した場合,各LPAR上のOSシャットダウン要求からLPARがすべて停止するまで10分間監視されます。その後,HVM停止要求からHVMが停止するまで,また10分間監視されます。
自動切り替え時,HVMの電源を強制的にOFFにした場合,およびOSのシャットダウン後にサーバモジュールの電源をOFFにした場合,切り替え前の現用系サーバモジュール上のHVMにPre-State Auto Activationの設定がされていれば,現用系でActivateされていたLPARが,予備系サーバモジュールでもActivateされます。Pre-State Auto Activationの設定がされていなければ,現用系のサーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定に従って,LPARがActivateされます。
Auto Activation OrderおよびPre-State Auto Activationの設定については,マニュアル「BladeSymphonyユーザーズガイド」を参照してください。
また,N+1冗長化の設定をしていた場合,あとからN+1切り替え処理を実行するマネージャサービスに対して,次に示す状態のときはエラーとしないで警告アラートを通知し,メッセージを表示します。警告アラートの状態は,マネージャサービスのログに出力されます。
復帰の場合,予備系サーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定に従って,現用系のサーバモジュール上のLPARがActivateされます。
なお,[復帰・解除実行]ダイアログボックスの[復帰オプション設定]の[現用系に復帰する際,電源をONにする]チェックボックスをONにしていた場合,復帰が実行されると,サーバモジュールおよびHVMの電源がONになります。LPARがActivateされるかどうかは,予備系サーバモジュール上のHVMで設定されていたAuto Activation Orderの設定に従います。
手動で復帰を実行した場合,復帰が完了しても各LPARのActivateが完了するまでは,[ホスト管理]ウィンドウに表示されるLPAR(ホスト)のパーティション番号に,復帰前の情報が表示されます。手動で復帰を実行したあとは,LPAR(ホスト)の管理を正常にするために,必ず電源をONにしてください。
予備系への切り替えに失敗した場合,または現用系への復帰に失敗した場合は,次の手順で回復してください。
HVMのIPアドレスなどのパーティション情報を変更する方法については,マニュアル「BladeSymphonyユーザーズガイド」を参照してください。
切り替えまたは復帰に失敗した場合,現用系のサーバモジュールと予備系サーバモジュールのハードウェア装置の設定が変更されている場合があります。設定が変更されている場合は,切り替えまたは復帰を実行する前の状態に回復してください。ハードウェア装置の設定の変更方法については,マニュアル「BladeSymphonyユーザーズガイド」を参照してください。
ネットワークスイッチ連携機能を使用している場合,サーバモジュールが仮想化されていても,ポートの設定は物理環境の場合と同じように引き継がれます。ネットワークスイッチ連携機能については,「20.5 ネットワークスイッチと連携したN+1/N+Mコールドスタンバイの切り替え」を参照してください。
SMP構成機能では,一つの物理パーティションにHVM搭載のサーバモジュールとHVM非搭載のサーバモジュールを混在させることができます。その場合,HVM搭載/非搭載のサーバモジュールが混在している物理パーティションは,HVM非搭載のサーバモジュールと同じ扱いとなります。
例えば,現用系ホストにHVMを登録した場合,予備系サーバモジュールにHVM搭載/非搭載のサーバモジュールが混在している物理パーティションを登録することはできません。
現用系ホストが稼働しているサーバモジュールに,HVM搭載のサーバモジュールとHVM非搭載のサーバモジュールが混在している場合,切り替え後に予備系を現用系とする操作を実施すると,これまで現用系として使用していたサーバモジュールを予備系に登録できないことがあります。
現用系として使用していたサーバモジュールを予備系に登録できない構成を,次の図に示します。
このような場合,2.で予備系のHVM搭載のサーバモジュール(Basicモード)を現用系とする操作をしたときに,予備系サーバモジュールにHVM非搭載のサーバモジュール(Basicモード)を登録できないことを知らせるメッセージが出力されます。
図23-7 現用系として使用していたサーバモジュールを予備系に登録できない構成
N+Mコールドスタンバイ属性のN+1グループの登録後は,サーバモジュールのHVM搭載/非搭載やBasic/LPARモードを変更しないでください。変更した場合,[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウでのサーバモジュールの状態が「エラー検知」または「警告」となり,切り替えや復帰が実行できなくなります。
サーバモジュールの状態が「エラー検知」または「警告」となった場合は,変更前のサーバモジュールの構成に戻してください。[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウのアイコンの表示を回復させる場合は,サーバモジュールを変更前の状態に戻したあと,[N+1コールドスタンバイ詳細設定]ウィンドウで,メンテナンス完了の操作を実施してください。
また,N+Mコールドスタンバイで管理サーバを冗長化構成で運用している場合,N+1グループに登録したHVMのIPアドレスを変更すると,2番目以降に切り替えを開始する管理サーバが正常に動作しません。そのため,N+1グループに登録したHVMのIPアドレスは変更しないでください。
IPアドレスを変更する場合は,次の手順でHVMを再登録してください。
LPARモードのサーバモジュールは,グループ属性がN+1コールドスタンバイの現用系サーバモジュールおよび予備系サーバモジュールとして登録できません。すでにグループに登録されているサーバモジュールをLPARモードにする場合は,そのサーバモジュールが登録されているN+1グループを削除してください。N+1コールドスタンバイの現用系サーバモジュールまたは予備系サーバモジュールとして登録したサーバモジュールをLPARモードにすると,N+1グループに登録されているサーバモジュールが「エラー検知」または「警告」の状態になります。状態を正常に戻す対処方法について次に示します。