11.2.1 概要

情報取得は,管理対象サーバのOS情報,JP1/ServerConductorのログ,ハードウェア情報(本体装置)などを管理コンソールから取得し,取得した情報を管理者に転送する機能です。転送には,管理コンソールへファイルとして転送する方法と,e-mailの添付ファイルとして転送する方法があります。この機能を利用することで,管理者は障害の要因解析に必要な保守情報を遠隔地から取得できます。

図11-1 保守情報取得の概念

[図データ]

<この項の構成>
(1) 前提条件
(2) 取得できる保守情報

(1) 前提条件

情報取得は次の管理対象サーバに対して実行できます。

(2) 取得できる保守情報

次の情報を取得できます。

(a) Windowsサーバの場合
OS情報
管理対象サーバのOS情報として取得できる情報を,次の表に示します。

表11-1 OS情報として取得できる情報

情報の種類内容
クラスタ情報
  • cluster.exeの出力結果
  • cluster.log
ロードバランシング情報wlbs.exeの出力結果
ネットワークログ
  • netStat.exeの出力結果
  • NbtStat.exeの出力結果
プログラム診断情報
Windows 2000またはWindows Server 2003の場合
WinMsd.exeの出力結果
Windows Server 2008の場合
msinfo32.exeの出力結果
ディレクトリリストDirコマンドの出力結果
イベントログ収集
  • イベントビューアEventVwr.exeで読み込めるEVT形式ファイル
  • 詳細内容を格納したCSV形式ファイル
レジストリ情報収集最終更新日付を含むレジストリの内容(テキスト形式)
ハードコピー情報ハードコピーの情報
Windows Server 2003 Enterprise Edition for Itanium-based Systems 日本語版およびWindows Server 2008の場合はコピーできません。
システムダンプ情報ダンプファイルがあり,dumpchk.exeがある場合は,dumpchk.exeの結果,およびMemory.dmpのパス。
Memory.dmp自体は取得しない
ユーザダンプ情報
Windows 2000またはWindows Server 2003の場合
  • Drwtsn32.logがある場合はDrwtsn32.log
  • User.dmpがある場合はUser.dmpのパス
User.dmp自体は取得しない
Windows Server 2008の場合
ユーザダンプ情報が格納されているフォルダのパス
JP1/ServerConductor/Agentログ
管理対象サーバにあるJP1/ServerConductorのログを取得できます。
ハードウェア情報(本体装置)
管理対象サーバのハードウェア情報として次の情報を取得できます。
  • ハードウェアログ(共有メモリ領域など)
  • ファームウェア情報(SVPマイクロバージョン,SVPマイクロ作成日など)
  • MIF情報(ハードウェア関連MIF情報)
  • ドライバ情報(ドライバ名称,ドライバステータス,sysファイル情報など)
ユーザ定義ツールでの取得情報
OS情報およびJP1/ServerConductorのログ以外の情報を取得するために,情報取得ツールをユーザが定義して,固有の保守情報を取得できます。
(b) Linuxサーバの場合

Linuxサーバの場合,次の表のメニューに示す情報,およびユーザ定義ツールでの保守情報を取得できます。

表11-2 Linuxサーバが取得できる保守情報

メニューツール名
ログ情報agtget_log
JP1/ServerConductorログ情報agtget_sysmgrlog
システム設定情報agtget_sysconf
ネットワーク情報agtget_net
パッケージ情報agtget_rpminfo
カーネル情報agtget_kernel
ファイルシステム情報agtget_filesys
デバイス情報agtget_dev
マシン構成情報agtget_machineinfo
プロセス情報agtget_pid

エージェント環境設定メニューで情報取得時の圧縮コマンド(CompressCommand)を指定している場合,メニューごとにファイルを圧縮します。圧縮後のファイル名は,ホスト名_ツール名_メニュー種別_YYMMDDhhmmss.ext(YY:年 MM:月 DD:日 hh:時 mm:分 ss:秒 ext:指定したコマンドが付加する拡張子)となります。メニュー種別は,JP1/ServerConductorがデフォルトで提供するメニューではH,ユーザが追加したメニューではUです。

例:ログ情報とシステム設定情報を実行し,LHAで圧縮した場合,次のファイルが取得されます。

エージェント環境設定メニューのCompressCommandには,圧縮コマンドを起動するコマンドライン文字列を設定します。このとき,次のマクロを使用することができ,コマンド実行時に展開されて実行されます。エージェント環境設定メニューのCompressCommandについては,「3.12.3(3) エージェント環境設定メニューでの設定項目」を参照してください。

マクロ意味
%archive%出力アーカイブファイル名に置き換わります(拡張子は含まれません)。
%directory%情報取得用一時ディレクトリ(/var/opt/hitachi/system_manager/collect/コンソールごとのディレクトリ)に置き換わります。
%file%メニューの実行によって得られた個々のファイル名(フルパス)に置き換わります。このマクロが指定されていて,かつ得られたファイルが複数個ある場合は,その個数分だけコマンドが繰り返し実行されます。
圧縮ツールにLHAを使用する場合の例

lha m %archive%.lzh %directory%

または,

lha a %archive%.lzh %file% ; rm -f %file% ; rm -f %archive%.bak

と設定すると,取得したファイルをすべてLHAで圧縮し,元のファイルを削除します。一時ディレクトリにファイルが残ると,残ったファイルも転送されるため,圧縮コマンドを実行する場合には,上記の例のように一時ディレクトリにファイルが残らないようにコマンドを指定してください。
(c) HP-UXサーバの場合

HP-UXサーバの場合,次の表に示す情報,およびユーザ定義ツールでの保守情報を取得できます。

表11-3 HP-UXサーバが取得できる保守情報

項番OS情報説明
1HPUX-trb-coreコアファイル(カーネルコア)
2HPUX-trb-syslogシステムログファイル
3HPUX-trb-diagmemOnlineDiag システム検出メモリエラー情報
4HPUX-trb-diagioOnlineDiag I/Oシステム検出I/Oエラー情報
5HPUX-trb-pimPIM情報(主にハードウェア要因でのパニックのログ)
6HPUX-trb-emsHP-UX EMSログ情報
7HPUX-con-devデバイス情報(スペシャルファイル名一覧とディレクトリ情報一覧)
8HPUX-con-diskディスク構成情報
9HPUX-con-ioscanioscan情報(接続・使用デバイス情報)
10HPUX-con-sysconfシステムコンフィグレーション情報
11HPUX-con-netネットワーク情報
12HPUX-con-instインストールソフトウェア情報
13HPUX-con-infoシステム情報
14HPUX-con-croncron実行情報
15HPUX-con-loginlogin記録情報
16HPUX-con-swagdswagentdデーモン実行記録情報
17HPUX-con-shutlogシャットダウン・リブート記録情報
18HPUX-con-startlogシステムスタート時ログ情報
19HPUX-trb-errinfo障害情報取得用。項番2~6のメニューを一括実行します。
20HPUX-con-control-info遠隔保守情報取得用。項番7~18のメニューを一括実行します。
21HPUX-con-sysinfoシステム情報取得用。項番7~14のメニューを一括実行します。
22HPUX-con-run実行記録取得用。項番15~18のメニューを一括実行します。
23HPUX-out-media媒体出力用。取得した情報(/var/opt/htcsma/collect下のファイル)をエージェント設定ファイルのContMediaDevで設定したテープデバイスへ出力します。