3.3.2 [高速化]パネル

[高速化]パネルでは,エージェントから送信されるデータ量を削減し,データ転送を高速化する機能について設定します。

リモートコントロール機能を使用している間は,エージェントの画面のデータがコントローラに送信されています。エージェントの画面に表示されているデータをそのままコントローラに送信すると,転送データ量が増え,送信に時間が掛かることがあります。このため,エージェントではコントローラと接続している間,スクリーンセーバの表示が自動的に抑止されているほか,[高速化]パネルの設定によって,エージェントから送信されるデータ量をさらに削減し,データ転送を高速化することができます。

エージェントに複数のコントローラが接続している場合,最後に[高速化]パネルの設定を変更したコントローラの変更内容が有効になります。このとき,接続中のすべてのコントローラに,変更内容を通知するメッセージダイアログボックスが表示されます。

ただし,エージェントに,フロー制御を使用している複数のコントローラが接続している場合,あとから接続したコントローラがフロー制御を解除しても,変更した設定内容は有効になりません。また,変更内容を通知するメッセージダイアログボックスも表示されません。

[高速化]パネルを次に示します。

図3-9 [高速化]パネル

[図データ]

<この項の構成>
(1) データ転送関連
(2) デスクトップ関連
(3) 描画処理関連
(4) マウス操作関連
(5) 高度な設定

(1) データ転送関連

転送データを圧縮する
転送データ圧縮をする場合に,チェックボックスをオンにします。
4,096バイト以上のデータが圧縮して転送されます。この値はLAN環境で使用するのに適した値です。WAN環境で使用する場合,またはこの値以外で転送データを圧縮したい場合は,[高度な設定]ボタンをクリックすると表示される[高度な設定]ダイアログボックスで,転送データの圧縮サイズを指定できます。[高度な設定]ダイアログボックスの指定内容については,「(5) 高度な設定」を参照してください。
また,転送データの転送量は約半分になります。
フロー制御する
フロー制御によってデータ量の自動調節をする場合に,チェックボックスをオンにしてください。デフォルトでは,オフになっています。
チェックボックスをオンにすると,エージェントからコントローラに転送するデータ量は自動的に抑制され,アニメーションや動画などデータ量の多い描画のリモートコントロールや,通信回線が低速な環境のリモートコントロールでも安定した状態で操作できます。ただし,フロー制御を使用すると,フロー制御しない場合に比べて操作のレスポンスが遅くなり,スムーズに表示できなくなるためご注意ください。
チェックボックスをオフにすると,高速でスムーズなリモートコントロールができます。ただし,通信回線が低速な場合やエージェントでアニメーションや動画が多く表示された場合には,リモートコントロールのパフォーマンスが極端に低下することがあります。

(2) デスクトップ関連

エージェントでのデスクトップの表示に関するオプションを設定します。

壁紙の表示を抑止する
エージェントの壁紙の表示を抑止させたい場合に,チェックボックスをオンにしてください。エージェントからの転送データに壁紙のデータが混在しなくなるため,転送データ量を削減できます。
ただし,エージェントがアクティブデスクトップのWebページ表示機能を使用している場合は壁紙の表示を抑止できません。このような場合は,「アクティブデスクトップのWebページ表示を抑止する」を同時にチェックしてください。
ウィンドウアニメーションなどを抑止する
エージェントでのウィンドウやメニューのアニメーション表示,タイトルバーのキャプションのグラデーション表示などのユーザインタフェース効果を抑止させたい場合に,チェックボックスをオンにしてください。ユーザインタフェース効果のデータが転送されなくなり,転送データ量を削減できます。
この設定で抑止できるユーザインタフェース効果を次に示します。
抑止できるユーザインタフェース効果内容
ウィンドウアニメーションウィンドウを表示したり隠したりするときのアニメーション
コンボボックスアニメーションコンボボックスを表示したり隠したりするときのアニメーション
メニューアニメーションメニューを表示したり隠したりするときのアニメーション
ツールチップアニメーションツールチップを表示したり隠したりするときのアニメーション
グラデーションキャプションウィンドウのタイトルバーキャプションをグラデーション表示する
マウスカーソルの影表示マウスカーソルの周りに影を表示する
アクティブデスクトップのWebページ表示を抑止する
エージェントでのアクティブデスクトップのWebページ表示を抑止させたい場合に,チェックボックスをオンにしてください。デスクトップの背景の描画データ量が減り,転送データを削減できます。
ドラッグ時にウィンドウの内容表示を抑止する
エージェントでのウィンドウのドラッグ時に,ウィンドウの内容表示を抑止させたい場合に,チェックボックスをオンにしてください。エージェント画面上で,ウィンドウ全体ではなくウィンドウフレームだけを移動させることで,転送データを削減できます。

(3) 描画処理関連

エージェントの画面データをコントローラ上で表示するときの,描画処理に関するオプションを設定します。

ビットマップを減色する
ビットマップを減色する場合,チェックボックスをオンにします。このオプションを指定すると,リモートコントロールエージェントはビットマップデータを減色して転送するため,データ転送量が削減されます。
減色方法は,次の3種類から選択できます。
モノクロ
ビットマップを白黒2色に減色します。デフォルトで選択されています。ビットマップをモノクロに変換する場合,次に示す制限があります。
  • ビットマップによっては,減色できない場合があります。
  • メニューを表示したあと,メニュー一覧の背後に表示されていた画面が正常に表示されない場合があります。
16色
ビットマップを16色に減色します。16色に変換する場合,次の制限があります。
  • 05-21以前のエージェントと接続している場合は非活性となります。
  • 16色減色を設定して05-21以前のエージェントと接続した場合,自動的にモノクロ減色の設定に変更されます。
256色
ビットマップを256色に減色します。256色に変換する場合,次の制限があります。
  • 06-00以前のエージェントと接続している場合は非活性となります。
  • 256色減色を設定して05-21以前のエージェントと接続した場合,自動的にモノクロ減色の設定に変更されます。05-22以降06-00以前のエージェントと接続した場合,自動的に16色減色の設定に変更されます。
ビットマップをキャッシュして描画する
Windowsで共通して使用するビットマップをコントローラでキャッシュして表示する場合に,チェックボックスをオンにします。コントローラでキャッシュされたビットマップのデータは,エージェントから送信されないため,転送データ量を削減できます。
この機能を使用する場合は,次のことに注意してください。
  • バージョンが06-01以前のWindows MeまたはWindows 98のエージェントと接続している場合は非活性となります。
  • この項目を設定してからバージョンが06-01以前のWindows MeまたはWindows 98のエージェントと接続した場合,自動的にキャッシュしない設定に変更されます(チェックボックスがオフとなります)。
  • キャッシュ用ファイルを作成するために,コントローラとエージェントにそれぞれ次の空きディスクが必要になります。
    コントローラ:同時接続エージェント数×10メガバイト
    エージェント:10メガバイト
キャッシュファイルは,エージェントと切断すると自動的に削除されます。
ディスク容量不足などでキャッシュファイルの作成に失敗した場合,キャッシュファイル作成失敗を知らせるエラーメッセージが表示されます。エラーとなった場合,キャッシュ機能の設定は自動的に無効(チェックボックスがオフ)となりますが,接続は正常に実行されます。なお,エラーメッセージが表示されるのは,コントローラだけです。

次のオプションは,Windows Server 2008,Windows Vista,Windows Server 2003,Windows XP,Windows 2000,またはWindows NT 4.0のエージェントと接続する場合だけ有効になります。

ローカルフォントを使用する
コントローラのフォントを使用して文字を表示する場合に,チェックボックスをオンにします。コントローラのフォントを使用すれば,エージェントからフォントに関する情報を転送するときのデータ転送量を削減できます。
なお,フォントによっては描画が不正になる場合があります。

(4) マウス操作関連

マウス移動をクリック時に送信する
コントローラでのマウス移動の情報をエージェントに送信するタイミングを,クリック時およびドラッグ時に限定する場合に,チェックボックスをオンにします。この機能を使用すると,コントローラ側で,マウスをクリックしない状態でマウスを動かしても,エージェント側の画面のポインタは移動しません。クリックまたはドラッグしたときだけ,エージェント側の画面のポインタが該当個所に移動します。
この機能を使用することで,データ転送量を削減できます。低速回線での接続時にお勧めします。ただし,コントローラのマウスの位置とエージェントのポインタの位置が異なるため,操作性は悪くなります。

(5) 高度な設定

エージェントと接続するネットワーク環境に応じて,圧縮するデータのサイズおよびポーリング間隔を設定できます。デフォルトでは,LAN環境で使用する場合の推奨値が設定されています。WAN環境で使用する場合,およびLAN環境でのデフォルト値を変更したい場合は,[高度な設定]ボタンをクリックしてください。[高度な設定]ダイアログボックスが表示されます。

図3-10 [高度な設定]ダイアログボックス

[図データ]

転送データの圧縮サイズを指定する
転送データの圧縮サイズを指定する場合に,チェックボックスをオンにします。転送データの圧縮サイズは,次の6種類から選択できます。デフォルトは「4096バイト以上のデータを圧縮する」です。
[説明]ボタンをクリックすると,転送データの圧縮サイズの指定方法に関する説明が参照できます。
  • 1バイト以上のデータを圧縮する
    すべての転送データを圧縮します。CPUの負荷が増加するため,処理が遅れる場合があります。
  • 512バイト以上のデータを圧縮する
    WAN環境での推奨値です。
  • 1024バイト以上のデータを圧縮する
    WAN環境の場合に指定すると有効です。
  • 4096バイト以上のデータを圧縮する
    LAN環境での推奨値です。
  • 8192バイト以上のデータを圧縮する
    LAN環境の場合に指定すると有効です。
  • 16384バイト以上のデータを圧縮する
    16,384バイト以上の転送データを圧縮します。圧縮して転送されるデータが少なくなるため,転送データ量が増加します。
ポーリング間隔を指定する
ポーリング間隔を指定する場合,チェックボックスをオンにします。
エージェントは指定された間隔で,描画命令を受け取り,取得した描画をすべて送信します。ポーリング間隔を長く設定すると,コントローラで表示される画面とエージェントで表示される画面とではタイムラグが生じますが,転送データ量は削減できます。ポーリング間隔は,次の6種類から選択できます。デフォルト値は「100ミリ秒間隔でポーリングする」です。
[説明]ボタンをクリックすると,ポーリング間隔の指定方法に関する説明が参照できます。
  • 50ミリ秒間隔でポーリングする
    転送データ量が増加します。
  • 100ミリ秒間隔でポーリングする
    LAN環境での推奨値です。
  • 300ミリ秒間隔でポーリングする
    LAN環境で指定すると有効です。
  • 1000ミリ秒間隔でポーリングする
    WAN環境での推奨値です。
  • 3000ミリ秒間隔でポーリングする
    WAN環境で指定すると有効です。
  • 5000ミリ秒間隔でポーリングする
    転送データ量は削減されますが,コントローラでの描画の処理が遅れます。