7.3.2 Microsoft SQL Serverの環境設定
(1) ネットワークプロトコルの設定
リレーショナルデータベースを使用するには,リレーショナルデータベースのサーバおよびクライアントの両方で,ネットワークプロトコルの設定が必要です。リレーショナルデータベースのプログラムごとの設定を次に示します。
- リレーショナルデータベースのサーバでの設定
リレーショナルデータベースのサーバでは,配布管理システムやリモートインストールマネージャに接続できるプロトコルを選択してください。通常は,「TCP/IPソケット」または「名前付きパイプ」を使用します。
- リレーショナルデータベースのクライアントでの設定
リレーショナルデータベースのクライアントでは,サーバで選択したプロトコルと同じプロトコルを設定してください。
ネットワークプロトコルの設定方法の詳細については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。
ここで設定したプロトコルおよびサーバの名称は,リレーショナルデータベースの作成時に必要になりますので,控えておいてください。
(2) データベース環境のチューニング
Microsoft SQL Server 2005,Microsoft SQL Server 2000およびMicrosoft SQL Server 7.0には動作環境を自動的にチューニングする機能があるため,設定は不要です。必要に応じてデータベースのサーバの設定を変更することもできます。
ロック数の設定を変更したい場合は,Transact-SQLを使用します。また,ユーザ接続数およびメモリの設定を変更したい場合は,[SQL Serverのプロパティ]ダイアログボックスの[接続]パネルおよび[メモリ]パネルから実行できます。メモリについては固定サイズを割り当てることもできます。
(3) メモリ割り当ての設定
JP1/NETM/DMを使用して効率良くリモートインストールするには,Microsoft SQL Serverへのメモリ割り当ての設定が重要になります。Microsoft SQL Serverでのメモリ概算式を次に示します。
(a) データキャッシュ
データキャッシュは,各テーブルのインデックスページおよびデータページから構成されます。次のメモリ概算式は,頻繁にアクセスするテーブルのインデックスページおよびデータページのサイズを示します。頻繁にアクセスするテーブルについて,インデックスページは100%,データページは20%をメモリに割り当てられる量が設定の目安です。メモリに余裕があれば,データページについても100%割り当てられる量を設定してください。パッケージ数とは,配布済みパッケージおよび配布予定のパッケージを加算した数です。
- インデックスページ
- クライアント管理台数×パッケージ数×0.0005(メガバイト)
- データページ
- クライアント管理台数×パッケージ数×0.0045(メガバイト)
(b) プロシージャキャッシュ
プロシージャキャッシュは,Microsoft SQL Serverの実行プランなどから構成されます。JP1/NETM/DMを使用する場合には,プロシージャキャッシュへの割り当てが,5メガバイト程度となるように設定してください。
(4) 環境設定オプションのチューニング
Microsoft SQL Server 2005,Microsoft SQL Server 2000およびMicrosoft SQL Server 7.0では,性能を最適化してメモリサイズを動的に調整するため,システム管理者がメモリサイズを意識する必要はありません。しかし,自動拡張または縮小によるオーバヘッドも考慮し,最大および最小値を設定することをお勧めします。
- 最小値
- 16メガバイト以上
- 最大値
- 搭載メモリ-(OSの使用するメモリ容量+JP1/NETM/DMのメモリ所要量※+ほかのアプリケーションの使用するメモリ容量+5メガバイト)
- 注※ マニュアル「導入・設計ガイド」の「5.3.2 メモリ所要量」を参照してください。
(5) 認証モードの設定
認証モードには「混合モード」を選択してください。[SQL Serverのプロパティ]ダイアログボックスの[セキュリティ]パネルの「セキュリティ」で設定してください。
(6) リレーショナルデータベースのアクセス権の設定
JP1/NETM/DM ManagerでアクセスするIDを,Microsoft SQL Serverシステム管理者以外のIDに設定する場合は,リレーショナルデータベースの各テーブルにアクセス権を設定する必要があります。必要なアクセス権は,SELECT,INSERT,UPDATE,およびDELETEです。アクセス権の設定方法を次に示します。
- Microsoft SQL Server 2005の場合
- [Microsoft SQL Server Management Studio]ウィンドウから,アクセス権を設定するオブジェクトを選択する。
ユーザ単位で設定する場合はデータベースを,オブジェクト単位で設定する場合はテーブルを選択してください。
- 右クリックで表示される[プロパティ]メニューを選択する。
[データベースのプロパティ]ダイアログボックスが表示されます。
- ダイアログボックスの左側で[権限]を選択して,アクセス権を設定する。
- Microsoft SQL Server 2000およびMicrosoft SQL Server 7.0の場合
- [SQL Enterprise Manager]ウィンドウで,アクセス権を設定するオブジェクトを選択する。
ユーザ単位で設定する場合はデータベースを,オブジェクト単位で設定する場合はテーブルを選択してください。
- 右クリックで表示される[プロパティ]メニューを選択する。
データベースを選択していた場合は[XXXXXプロパティ]ダイアログボックス(XXXXXはデータベース名)が表示されます。テーブルを選択していた場合は[オブジェクトのプロパティ]ダイアログボックスが表示されます。
- [権限]パネルでアクセス権を設定する。
(7) トランザクションログの設定
Microsoft SQL Serverでは,リレーショナルデータベースの更新についてアクセスの履歴をトランザクションログに採取しています。JP1/NETM/DM Managerではリレーショナルデータベースの作成時にトランザクションログを割り当てていますが,履歴情報が満杯になると,以降リレーショナルデータベースへのアクセスができなくなります。トランザクションログは,自動的に切り捨てる運用をお勧めします。
- Microsoft SQL Server 2005の場合
- Management Studioを起動する。
- 該当データベースを選択し,[データベースのプロパティ]ダイアログボックスを開く。
- 「オプション」メニューを選択する。
- ダイアログボックスの右側の「復旧モデル」から,「単純」を選択する。
- Microsoft SQL Server 2000の場合
- Enterprise Managerを起動する。
- 該当データベースを選択し,[プロパティ]ダイアログボックスを開く。
- [オプション]パネルの[モデル]から「シンプル」を選択する。
- Microsoft SQL Server 7.0の場合
- [SQL Enterprise Manager]ウィンドウで該当データベースを右クリックして[プロパティ]メニューを選択する。
- [XXXXXプロパティ]ダイアログボックス(XXXXXはデータベース名)の[オプション]パネルで「チェックポイント時のログ切り捨て」をチェックする。
自動切り捨てを設定していない場合に,トランザクションログが満杯になったときは,JP1/NETM/DM Managerでは「セグメントにオブジェクトの領域を割り当てられない」という内容のメッセージがRDBSRV.LOGに出力されます。この場合,次の方法でトランザクションログを切り捨ててください。
- Microsoft SQL Server 2005の場合
- Management Studioでデータベースを右クリックして表示されるメニューから,[タスク]-[バックアップ]を選択し,[データベースのバックアップ]ダイアログボックスを表示します。[データベースのバックアップ]ダイアログボックスの[全般]タブから,トランザクションログのバックアップを取得してください。取得したバックアップ分のトランザクションログが切り捨てられます。
- Microsoft SQL Server 2000の場合
- Enterprise Managerの[データベースのバックアップ]メニューからトランザクションログのバックアップを取得してください。取得したバックアップ分のトランザクションログが切り捨てられます。
- Microsoft SQL Server 7.0の場合
- Enterprise Managerの[ログの切り捨て]メニューからトランザクションログを切り捨ててください。またはクエリアナライザでDUMPステートメント(DUMP TRANSACTION データベース名 WITH NO_LOG)を記述してトランザクションログを削除してください。