8.3.1 IDの運用方法

IDの運用例を次の図に示します。

図8-12 IDの運用例

[図データ]

次に,IDの運用手順,マネージャを階層化したシステムでの運用方法,およびJP1/NETM/DM Client(中継システム)でIDを使用する場合の運用方法について説明します。

<この項の構成>
(1) IDの運用手順
(2) 配布管理システムを階層化したシステムでのIDの運用方法
(3) 中継システムでのIDの運用方法

(1) IDの運用手順

(a) IDを作成する

IDは,配布管理システムで次に示す情報を設定して作成します。

(b) クライアントをIDへ登録する

IDへの登録はクライアントで実行します。クライアントからID管理中継に接続して,そのID管理中継が管理しているIDに登録します。また,配布管理システム側および中継システム側でクライアントをIDに登録することもできます。JP1/NETM/DMシステムに新規に追加されたクライアントを自動的にIDに登録することもできます。

クライアントからIDへ登録するID管理中継は,セットアップ時に,[接続先]パネル(JP1/NETM/DM Clientの場合)で指定した上位システムとなります。JP1/NETM/DM Managerの場合は,中継マネージャのセットアップで設定した上位システムとなります。マルチホスト環境で動作するクライアントの場合,ID管理中継は優先順位が1位の中継システムとなります。

(c) 配布管理システムからあて先にIDを指定したジョブを実行する

あて先にIDを指定できるジョブは次のとおりです。

あて先にIDを指定したジョブ(IDジョブ)は,指定したIDを管理するID管理中継に転送されます。ID管理中継では転送されたジョブを保管し,このIDに登録されているクライアントに対してジョブを実行します。IDジョブが実行されたあと,このIDにクライアントが登録されると,登録した時点で保存されているIDジョブが実行されます。そのため,「パッケージのインストール」ジョブおよび「クライアントユーザによるインストール」ジョブでIDを指定する場合は,配布するパッケージの中継システムでの保管期限を考慮してください。中継システムでの保管期限を過ぎるとパッケージが中継システムから削除されるため,IDに登録したクライアントへパッケージが配布されません。

(d) IDジョブの実行結果

次に示すジョブでIDを指定した場合,クライアントでの実行結果を配布管理システムで確認できます。IDジョブの実行結果の確認方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「8.4.4 ジョブの実行状況の表示方法」を参照してください。

(e) IDの編集

作成したIDは,IDを作成した配布管理システムおよびID管理中継で次に示す編集ができます。

IDを作成した配布管理システム
  • ID管理中継の追加・削除
  • パスワードの変更
  • IDの削除
  • クライアントをIDへ登録(ファイルから)
  • ID管理中継へのIDの登録
ID管理中継
  • パスワードの変更
  • IDの削除
  • クライアントをIDへ登録(ファイルから)
  • クライアントをIDへ登録([あて先]ウィンドウから)
  • IDに登録しているクライアントを削除

(2) 配布管理システムを階層化したシステムでのIDの運用方法

配布管理システムを階層化したシステムで,IDを使用する場合の運用方法を次に示します。

(a) マネージャでのIDの作成

マネージャでIDを作成する場合,ID管理中継として次のホストを設定できます。

マネージャで,中継マネージャをID管理中継として作成したIDの例を次に示します。

図8-13 マネージャで中継マネージャをID管理中継として作成したID

[図データ]

(b) 中継マネージャでのIDの管理

中継マネージャでは,中継マネージャで作成したIDのほか,上位マネージャからID管理中継として指定されたIDが[あて先]ウィンドウに表示されます。

中継マネージャでは,上位のマネージャが作成したIDに対して次の操作ができます。

(c) 複数の配布管理システムで同じIDを管理する場合

次の図に示すように,マネージャと中継マネージャで,同一のIDを作成できます。

図8-14 複数の配布管理システムで同じIDを管理する

[図データ]

マネージャおよび中継マネージャの両方で,Sub00をID管理中継として,「Windows98」のIDを作成できます。

ただし,マネージャがMan01をID管理中継として,「Windows98」のIDを作成することはできません。中継マネージャでは同一名称のIDが作成済みのため,自システムで作成したIDと同じIDに対して,上位のマネージャのID管理中継となることはできません。

IDを削除または,ID管理中継を変更した場合は,変更したシステムから上位のシステムへ変更内容が通知され,上位のシステムに自動的に反映されます。

複数の配布管理システムで管理されているIDを削除する例を,次の図に示します。

図8-15 複数の配布管理システムで管理されているIDを削除する

[図データ]

(3) 中継システムでのIDの運用方法

JP1/NETM/DM Client(中継システム)では,JP1/NETM/DM Managerの配布管理システムと同様,IDを作成してIDジョブを配下のクライアントに対して実行できます。なお,JP1/NETM/DM Client(中継システム)でIDを使用する場合,ID管理中継の役割をJP1/NETM/DM Client(中継システム)自身で行うため,ID管理中継の設定は不要です。

JP1/NETM/DM Client(中継システム)で作成したIDを指定したジョブの実行結果は,JP1/NETM/DM Client(中継システム)で確認するほか,JP1/NETM/DM Managerの配布管理システムでも確認できます。JP1/NETM/DM Managerで,JP1/NETM/DM Client(中継システム)が実行したIDジョブの実行結果を通知するには,JP1/NETM/DM Client(中継システム)のセットアップで次の設定が必要です。