JP1 Version 8 JP1/NETM/Asset Information Manager 導入ガイド

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2.4 ライセンスが適正に運用されているかを確認する

「ライセンスの利用数が超過していないか」,「ライセンスの利用者は適切か」といった観点で利用状況を集計して,ライセンスが適正に運用されているかどうかを確認できます。

ライセンスの管理方法には,ライセンス保有数と利用数を比較して管理する方法(総数管理)と,ライセンスごとに利用先を割り当てて管理する方法(割り当て管理)があります。

ここでは,それぞれの管理方法について,実施する作業を説明します。

<この節の構成>
(1) ライセンスの保有数と利用数を基に運用状況を確認する
(2) ライセンスの形態に合わせて利用先を正確に管理する

(1) ライセンスの保有数と利用数を基に運用状況を確認する

すべての機器にインストールされているライセンスの情報を基に総数管理することで,ライセンスの使用超過や保有していないライセンスの使用など,基本的なライセンス管理が実行できます。

ライセンスの管理は,「ライセンス管理」以下の業務メニューから実行します。

業務メニュー「保有ライセンス一覧」をクリックすると表示される保有ライセンス一覧画面では,ライセンスごとに保有数,利用数,空き数の比較表が表示されるので,ライセンスの使用状況を一目で把握できます。

保有ライセンス一覧画面を次の図に示します。

図2-9 保有ライセンス一覧画面

[図データ]

この比較表を基に,余っているライセンスがないので追加して購入する,ライセンスが余っているので不足している部署に移管するなどを検討できます。

また,ライセンスを適正に利用していない場合として,各業務メニューから次の内容を確認できます。

ライセンスの運用状況を確認するまでに必要な作業の流れを次に示します。

図2-10 ライセンスの運用状況を確認するまでの作業の流れ

[図データ]

  1. インベントリ情報を資産管理データベースに登録する。
    ライセンスの使用状況を確認するために必要なデータは,次の2種類です。
    • 機器の情報
    • 機器にインストールされているソフトウェアの情報
    機器の情報と機器にインストールされているライセンスの情報は,JP1/NETM/DMで取得したインベントリ情報を利用することで登録できます。インベントリ情報の登録方法については,マニュアル「設計・構築ガイド」の「5.1.1 JP1/NETM/DMと連携するために必要な作業の流れ」を参照してください。
    ライセンスを効率良く管理するためには,インベントリ情報を取得する際に,インストールソフトウェア名をソフトウェア名に自動的に割り当てる設定にしておくことをお勧めします。インストールソフトウェア名をソフトウェア名に自動的に割り当てる方法については,マニュアル「設計・構築ガイド」の「3.2.4 ソフトウェア名の割り当て方法の設定」を参照してください。自動的に割り当てない場合は,業務メニュー「ソフトウェア名称管理」で一つずつ割り当てる必要があります。
  2. 購入したライセンスの情報を登録する。
    購入したライセンスを登録します。ライセンスを登録する方法については,マニュアル「運用ガイド」の「2.4.6 ライセンスを追加する(新規ソフトウェア登録)」を参照してください。
  3. タスクスケジューラで「ライセンス超過通知」のタスクを有効にする。
  4. ライセンスの利用状況が集計されて,ライセンスを超過してインストールされたことが通知される。
    タスクスケジューラに登録されているタスクが指定した日時に実行され,ライセンスが集計されます。また,使用率のしきい値(デフォルトは100%)を超えているライセンスがあった場合,ライセンス超過を通知するメールが資産管理者に送付されます。
    なお,ライセンスの集計は,業務メニュー「集計管理」を選択して表示された画面から実行することもできます。操作画面でのライセンスの集計方法については,マニュアル「運用ガイド」の「2.4.11 ライセンスの集計を実行する(集計管理)」を参照してください。
  5. ライセンスの利用状況を確認する。
    業務メニューから「超過ライセンス一覧」を選択して表示された画面で,保有数を超えてインストールされているライセンスを確認します。
    集計結果は,CSVファイルでダウンロードすることもできます。超過ライセンスを確認する方法については,マニュアル「運用ガイド」の「2.4.2 超過利用されているライセンスを調査する(超過ライセンス一覧)」を参照してください。

(2) ライセンスの形態に合わせて利用先を正確に管理する

ライセンスの種類やオプションに応じてライセンス情報を作成し,利用先を割り当てることで,ライセンスの利用状況を厳密に管理できます。

(1)で示した総数管理で必要な作業に加えて,ライセンスを割り当てて管理するために必要な作業とその流れを次に示します。

図2-11 ライセンスを割り当てて管理するための作業の流れ

[図データ]

  1. ライセンス購入時に,ライセンス情報を作成して登録する。
    それぞれのライセンス形態やオプションの設定に合わせて,ライセンス情報を作成します。
    例えば,マシン許諾ライセンスで,アップグレード保証付き,ダウングレードソフトウェアへの適用可,といった情報を登録します。
    ライセンス情報の登録方法については,マニュアル「運用ガイド」の「2.4.6 ライセンスを追加する(新規ソフトウェア登録)」を参照してください。
  2. ライセンスを利用先に割り当てる。
    ライセンス区分に合わせて,機器またはユーザにライセンスを割り当てます。
    ライセンスの割り当ては,プロダクトIDなどのキー情報を登録して利用先と対応づけます。ライセンスの割り当て方法については,マニュアル「運用ガイド」の「2.4.7(2) ライセンスを割り当てる」を参照してください。
  3. 総数管理と共通の作業を実施する。
    ライセンスを割り当てた機器にソフトウェアをインストールし,総数管理と共通の各種作業(インベントリ情報の登録,ソフトウェア名称の対応づけ,タスクの設定,ライセンスの集計)を実施します。
  4. ライセンスが適正に運用されているかどうかを確認する。
    「ライセンス管理」以下の各業務メニューで,登録したライセンス情報に対して,次の内容を確認できます。
    • 「保有ライセンス一覧」
      ライセンス区分ごとに,集計された結果を確認できます。
    • 「超過ライセンス一覧」
      ライセンス区分ごとに,保有数に対して設定したしきい値を超えて利用されているライセンスがあるかどうかを確認できます。また,適正に利用されていないライセンスを検出したときは,利用先をすぐに特定できます。

ライセンスを正確に管理するためには,ライセンスの形態やオプションに合わせてライセンス情報を作成して,運用方法に合わせて割り当て方を選択することが大切です。なお,ライセンス情報として管理できる情報は各種用意されていますが,保有数の集計は「ライセンス区分」の値を基に実行されます。

Asset Information Managerでのライセンス管理として提案するライセンスの管理例を次に示します。

(a) マシン許諾ライセンスのライセンス管理例

機器に対して許諾されるライセンスは,次のように管理します。

(b) ユーザ許諾ライセンスのライセンス管理例

ユーザに対して許諾されるライセンスは,次のように管理します。

(c) プレインストールのライセンス管理例

プレインストールされていたソフトウェアのライセンスは,次のように管理します。

(d) サーバライセンスのライセンス管理例

サーバ製品のライセンスは,次のように管理します。

また,サーバライセンスには,クライアントアクセスライセンス,管理ノードライセンス,CPUライセンスなどの付随ライセンスがあります。それぞれの管理例を次に示します。

クライアントアクセスライセンス
サーバにアクセスするクライアント(ユーザ)数に応じて,許諾されるライセンスです。管理方法は,次のどちらかを選択します。
アクセス可能なクライアント数を保有数として管理する
サーバライセンスとは別に,一つのライセンスを登録して,クライアントアクセスライセンスの情報を作成します。例えば,アクセス数100が許諾されているクライアントライセンスを,保有数100のソフトウェア資産として登録します。「ライセンス形態」は,「クライアントアクセスライセンス」とします。
これによって,ライセンス保有数として許諾されているアクセス数を集計できます。
なお,機器との関連情報は持たないため,利用数などは集計されません。
サーバライセンスの付加情報として管理する
簡易的な方法として,クライアントアクセスライセンスをライセンスとして登録しないで,備考などにアクセス数を登録して管理します。保有数は手動で計算する必要があります。
管理ノードライセンス
サーバが管理するクライアント数に応じて,許諾されるライセンスです。管理方法は,次のどちらかを選択します。
サーバが管理するクライアント数を保有数として管理する
サーバライセンスとは別に,一つのライセンスを登録して,管理ノードライセンスの情報を作成します。例えば,管理ノード100が許諾されている管理ノードライセンスを,保有数100のライセンスとして登録します。「ライセンス形態」は,「管理ノードライセンス」とします。
これによって,保有ライセンスとして許諾されている管理ノード数を集計できます。
なお,機器との関連情報は持たないため,利用数などは集計されません。
サーバライセンスの付加情報として管理する
簡易的な方法として,管理ノードライセンスをライセンスとして登録しないで,サーバライセンスの付加情報として,備考などに管理ノード数を登録して管理します。ただし,保有数は手動で計算する必要があります。
CPUライセンス
CPUライセンスは,CPUの数に対して許諾されるライセンスです。サーバライセンスではなく,CPUライセンスとしてライセンス情報を作成します。
(e) セカンドライセンスのライセンス管理例

2台目の機器にインストールが許可されている場合のライセンスの管理例を示します。管理方法は,次のどちらかを選択します。

ユーザ許諾ライセンスとして管理する
ユーザ許諾ライセンスとして(「ライセンス区分」に「ユーザ許諾」を指定して)ライセンス情報を作成します。
同一のユーザが利用する2台目の機器に許可されているものとして管理します。ただし,3台以上の機器にインストールされていても,ライセンスを超過して使用していることは検知されません。
セカンドライセンスのライセンス情報を追加して管理する
サーバライセンスとは別にライセンスを登録して,セカンドライセンスのライセンス情報を作成します。この場合,備考などに元のライセンスとの対応を示しておくと便利です。
(f) 同時実行ライセンスのライセンス管理例

同時実行ライセンスの管理例を示します。管理方法は,次の中から選択します。

同時実行が可能な数を保有数として管理する
サーバライセンスとは別に,一つのライセンスを登録して,同時実行ライセンスのライセンス情報を作成します。
例えば,実行数100が許諾されている同時実行ライセンスを,保有数100のライセンスとして登録します。「ライセンス形態」は,「同時実行ライセンス」とします。
これによって,ライセンスで許可される同時実行可能な数を,ライセンス保有数の集計で確認できます。
なお,機器との関連情報は持たないため,利用数などは集計されません。
サーバライセンスの付加情報として管理する
簡易的な方法として,同時実行ライセンスをライセンスとして登録しないで,サーバライセンスの付加情報として,備考などに実行数を登録して管理します。ただし,保有数は手動で計算する必要があります。
機器に割り当てて管理する
  • 同時実行が可能な数を保有数として,ライセンスを登録します。
  • サーバライセンスではなく,同時実行ライセンスとして,ライセンス情報を作成します。
  • 購入したライセンスのプロダクトIDなど,キーとなる情報を登録して,1台の機器につき一つずつ割り当てます。
    同時に実行できる数だけインストールを許可する運用とすることで,同時実行数を制限できます。

なお,JP1/Lan Licenserを利用すると,設定した同時実行数を超えて実行されないように制御できます。JP1/Lan Licenserを使用したソフトウェアの同時実行の制御方法については,マニュアル「JP1/Lan Licenser」を参照してください。