JP1 Version 8 JP1/NETM/Asset Information Manager 導入ガイド

[目次][用語][索引][前へ][次へ]

1.1 Asset Information Managerの目的

この節では,IT資産の情報を一元管理することで実現できる,Asset Information Managerの目的について説明します。

<この節の構成>
(1) IT資産を管理する上での問題点を解決します
(2) 資産管理業務の効率を向上し,管理コストを削減します
(3) セキュリティ対策を支援します
(4) ITガバナンスを支援します
(5) WWWベースでIT資産情報を広く共有します

(1) IT資産を管理する上での問題点を解決します

企業の所有するPCやWSなどの数は年々増加しており,ハードウェア・ソフトウェアを含めたIT資産情報を管理するのは負担が大きくなってきています。

多くの企業では,機器情報はシステム管理部門,ネットワーク情報はネットワーク管理部門,保守契約情報は資材部門というように,目的に応じて各部門別にIT資産情報が管理されている場合が多いと考えられます。情報の収集や管理も,情報ごとに個別のツールやデータベースを使用し,その形式も管理部門ごとにまちまちということが少なくないでしょう。このように,IT資産の情報をさまざまな部門が個別に管理し,さらに各部門が異なるフォーマットで台帳を管理するといった管理方法では,膨大な手間と時間が掛かってしまいます。

また,ライセンスの不正使用が発覚した場合,企業全体の社会的信頼の低下による経営への影響は避けられません。このような事態を避けるためには,不正コピー防止対策を含めたライセンス管理を実施する必要があります。

こうした企業内のIT資産管理の問題点を解決するため,IT資産を効率良く運用できる資産管理システムの構築が求められています。Asset Information Managerを導入した資産管理システムを構築することで,企業内のIT資産を効率良く運用でき,資産管理の現状の問題点を解決できます。

(2) 資産管理業務の効率を向上し,管理コストを削減します

Asset Information Managerを導入して構築した資産管理システムでは,収集した企業内のIT資産情報をさまざまな観点でとらえ,一元管理できます。つまり,ネットワーク機器を含めたハードウェア資産情報,ソフトウェア資産情報,保守契約情報などをデータベースで一元化し,一括して管理できます。これによって,棚卸や機器増設・移設に伴う資産管理業務の効率向上および管理コストの削減を実現できます。

(3) セキュリティ対策を支援します

IT資産である機器をコンピュータウィルスなどの脅威から守るためには,システム全体の機器に,漏れなくセキュリティ対策を実施する必要があります。Asset Information Managerでは,機器に関連づけられているさまざまな管理情報を基に,最新のパッチやウィルス定義ファイルを適用していない機器を検出できます。

また,セキュリティ対策をさらに強化するためには,企業内の情報の流出といった不測の事態に備え,情報漏えいにつながる操作が実施されていないかを定期的に確認する必要があります。Asset Information Managerの画面から各機器の操作をログとして一元管理することで,問題発生時の原因の追跡・調査に役立てられます。

(4) ITガバナンスを支援します

企業で定めるリスク管理のための方針に反するような,PCでの操作や情報漏えいの可能性のある操作を検出して検証できます。部署単位の検出件数の推移を基にしたフォローアップができ,規範遵守のためのけん制効果を向上させるとともに,適切なIT資産管理に向けて定量的に状況を評価できます。

(5) WWWベースでIT資産情報を広く共有します

Asset Information Managerは,WWWブラウザから表示する操作画面を使用して,IT資産情報を管理します。そのため,特別なプログラムを必要としないで,どこからでもAsset Information ManagerにログインしてIT資産を管理できます。

また,管理者以外の利用者が,各自のPCの情報を参照したり,インストールしたいソフトウェアのライセンスの使用状況を調査したりして,情報を広く共有できます。