付録A.2 ディスク占有量

ディスク占有量は,パフォーマンスデータを収集するレコード数によって変化します。

PFM - Agent for WebLogic Serverのディスク占有量の見積もりについて説明します。

<この項の構成>
(1) システム全体のディスク占有量
(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量
(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

(1) システム全体のディスク占有量

PFM - Agent for WebLogic Serverのディスク占有量は,次のデータのファイルサイズによって変化します。

上記を踏まえ,システム全体のディスク占有量の見積もり値を次の表に示します。

表A-2 システム全体のディスク占有量

PFM - Agent for WebLogic Serverの状態ディスク占有量(単位:メガバイト)
WindowsSolarisLinux(x86),Linux(x64)
インストール時※17011090
初期状態での運用※2140180160
運用時a + ba + ba + b
(凡例)
a:インスタンスごとのディスク占有量の和。
一つのインスタンスのディスク占有量の算出式を次に示します。

c + 65(メガバイト)

b:インストール時のディスク占有量。
c:Storeデータベースのディスク占有量。Storeデータベースのディスク占有量については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」または「(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量」を参照してください。
注※1
インストール時にはプログラム本体容量の2倍のディスク容量が必要となります。
注※2
収集設定がPIレコードだけで,インスタンスが一つだけセットアップされている場合を示します。

(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量

Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について説明します。

(a) 見積もり式

Storeデータベースでは,各レコードは,レコードタイプごとに一つのファイルに格納されます。Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について,レコードタイプごとに次の表に示します。

注意
パフォーマンスデータがStoreデータベースに格納される際,幾つかのフィールドが追加されます。追加されるフィールドは,ディスク占有量に含まれるため,新たに容量を見積もる必要はありません。

 

表A-3 レコードタイプごとのStoreデータベースのディスク占有量

レコードタイプディスク占有量(単位:バイト)
PIレコードタイプX1+.....+Xa+3,500*a
PDレコードタイプY1+.....+Yb+700*b
(凡例)
X:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集する各レコードのディスク占有量。
Xの計算式を次に示します。

X={d*e+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}※1}*f*1.5

Y:PDレコードタイプのレコードで履歴データを収集する各レコードのディスク占有量。
Yの算出式を次に示します。

Y={d*g+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}※1*(g/e)※2}*1.5

a:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集するレコード数
b:PDレコードタイプのレコードで履歴データを収集するレコード数
c:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※3
d:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※3
e:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数※4(単数インスタンスレコードの場合は1)
f:履歴データを収集する各レコードの保存レコード数※5(インスタンス数は考慮しません)
g:履歴データを収集する各レコードの保存レコード数の上限値※6
注※1
{(d*e)/(65,250-c)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
(g/e)の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※3
各レコードの固定部および可変部のサイズについては,「6. レコード」を参照してください。
注※4
各レコードのインスタンス数について次の表に示します。
複数インスタンスレコードの場合のインスタンス数は,WebLogic ServerのMBeanから見積もることができます。MBeanの詳細については,WebLogic Serverのマニュアルを参照してください。また,各レコードで使用しているMBeanについては,「6. レコード」のフィールドのデータソース欄を参照してください。

表A-4 各レコードのインスタンス数

項番レコードIDインスタンス数
1PD単数インスタンスレコードのため,1
2PI単数インスタンスレコードのため,1
3PI_ENTE複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
4PI_JDBC複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
5PI_JMS複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
6PI_JVM単数インスタンスレコードのため,1
7PI_JTA単数インスタンスレコードのため,1
8PI_MDE複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
9PI_SEC単数インスタンスレコードのため,1
10PI_SFE複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
11PI_SLE複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
12PI_SVLT複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
13PI_THRP複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
14PI_WEBA複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
15PI_WEBS複数インスタンスレコードのため,n(0以上の整数)
注※5
PIレコードタイプのレコードの場合,収集したデータがある一定の区分(時,日,週,月,および年単位)に自動的に要約されるので,分,時,日,週,月,および年の部分の保存レコード数を考慮して計算する必要があります。デフォルトの保存期間と保存レコード数を次の表に示します。

表A-5 デフォルトの保存期間と保存レコード数

データの種類保存期間保存レコード数
(収集間隔が1分の場合)
分単位1日1,440
時単位7日168
日単位1年366
週単位1年52
月単位1年12
年単位制限なし(収集年数)*1
注※6
保存レコード数については,「付録F.1 Agent Storeサービスのプロパティ一覧」を参照してください。

(b) 見積もり例

見積もり例1
Java VM(PI_JVM)レコードについて,PI_JVM以外のPIレコードタイプを保存設定していない場合。表 A-3に示した変数a~fが次の値とします。

a=1
c=749
d=0
e=1
f=2,039

(eの求め方)
表 A-4の,各レコードのインスタンス数を参照してください。今回は単数インスタンスレコードのためe=1とします。
(fの求め方)
PI_JVMの収集間隔を1分,年単位の収集年数を1年として,保存期間の設定が表 A-5のとおりである場合。

1,440+168+366+52+12+1=2,039レコード

Xの算出式

X=[d*e+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}]*f*1.5
=[0*1+(749+1,900)*{0*1/(65,250-749)+1}]*2,039*1.5
=(0+2,649*1)*2,039*1.5
=8,101,967(バイト)
=約8(メガバイト)

見積もり例2
PDレコードタイプのServer State(PD)について,PD以外のPDレコードタイプを保存設定していない場合。

b=1
c=683
d=0
e=1
g=44,640

(eの求め方)
表 A-4の,各レコードのインスタンス数を参照してください。今回は単数インスタンスレコードのためe=1とします。
(gの求め方)
保存期間の設定のデフォルトは45,000レコードです。
収集間隔を60秒にして1か月分のデータを保存したい場合。

g=1,440レコード(1日分)*31(1か月)*1(eの値)=44,640レコード
g=44,640レコード

Yの算出式

Y=[d*g+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}*(g/e)]*1.5
=[0*44,640+(683+1,900)*{(0*1)/(65,250-683)+1}*(44,640/1)]*1.5
=(0+2,583*1*44,640)*1.5
= 172,957,680(バイト)
= 約165(メガバイト)

(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

(a) 見積もり式

ディスク占有量,ファイル数,ディレクトリ数,およびStoreサービスがオープンするファイル数の見積もりについて説明します。

●ディスク占有量

Storeデータベースのディスク占有量は,レコードタイプごとのディスク占有量の総和となります。PIレコードタイプについては,さらに要約区分ごとのディスク占有量の総和となります。

レコードタイプごとのディスク占有量Xの見積もり式(単位:バイト)
X={(e+2)*f+(d+60)*{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}※1}*a/b*(c+1)*1.1
a:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表 A-6を参照してください。
b:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表 A-6を参照してください。※2
c:履歴データの保存期間設定値※3。レコードタイプ,要約区分ごとに指定する単位が異なります。単位については表 A-6を参照してください。
d:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※4
e:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※4
f:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数(単数インスタンスレコードの場合は1)※5。インスタンス数が2以上の場合,4の倍数に丸めます。例えばインスタンス数が2の場合は,f=4となります。インスタンス数が13の場合は,f=16となります。インスタンス数が1の場合は,f=1となります。

表A-6 a,b,およびcに設定する値

レコードタイプ要約区分abc
PI1,4401+(g-1)/60※2保存期間(単位:日)
241+(g-1)/3,600※2保存期間(単位:日)
71+(g-1)/86,400※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/604,800※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/2,592,000※2保存期間(単位:月)
11+(g-1)/31,622,400※2保存期間(単位:年)
PD1,440g/60保存期間(単位:日)
(凡例)
g:履歴データの収集インターバル設定値(単位:秒)
-:該当しない
注※1
{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
PIレコードタイプのbの計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※3
Storeバージョン2.0の場合の,デフォルトの保存期間と保存レコード数を次の表に示します。

表A-7 デフォルトの保存期間と保存レコード数(Storeバージョン2.0の場合)

レコードデータの種類保存期間保存レコード数
(収集間隔が1分の場合)
PIレコードタイプのレコード分単位1日1,440
時単位31日744
日単位5週35
週単位53週53
月単位1年12
年単位制限なし(収集年数)*1
PD31日44,640
(凡例)
-:該当しない
注※4
各レコードの固定部および可変部のサイズについては,「6. レコード」のレコードサイズを参照してください。
注※5
レコードごとのインスタンス数については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」を参照してください。

●ファイル数

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
(A11+A12+...+A1m+m)+
(A21+A22+...+A2m+m)+
(A31+A32+...+A3m+m)+
(A41+A42+...+A4m+m)+
(A51+A52+...+A5m+m)+
(11*m)+
(B1+B2+...+Bn+n)
)

m:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

n:PDレコードタイプで収集しているレコードの数

A11~A1m:PIレコードタイプのレコードごとの分レコードの保存期間設定値(単位:日)

A21~A2m:PIレコードタイプのレコードごとの時レコードの保存期間設定値(単位:日)

A31~A3m:PIレコードタイプのレコードごとの日レコードの保存期間設定値(単位:週)

A41~A4m:PIレコードタイプのレコードごとの週レコードの保存期間設定値(単位:週)

A51~A5m:PIレコードタイプのレコードごとの月レコードの保存期間設定値(単位:月)

B1~Bn:PDレコードタイプのレコードごとの保存期間設定値(単位:日)

●ディレクトリ数

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11+(Bmax))

A1max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「分」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A2max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「時」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A3max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「日」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A4max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「週」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A5max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「月」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:月)

Bmax:PDレコードタイプのレコードごとの保存期間設定値の最大値(単位:日)

●Storeサービスがオープンするファイル数

Storeサービスがオープンするファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*l+m)

l:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

m:PDレコードタイプで収集しているレコードの数

(b) 見積もり例

PFM - Agent for WebLogic ServerのStoreデータベース(Storeバージョン2.0)の見積もりについて,具体例を用いて説明します。

●ディスク占有量

PI_JVMとPDを収集する設定にした場合を例に挙げて説明します。

PI_JVMレコードの見積もりについて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

d=749(バイト)
e=0(バイト)
f=1
g=60(秒)

次に,分レコード,時レコードなどを,それぞれ計算します。

分レコード
変数を次の値とします。

a=1,440
b=1+(60-1)/60=1.98・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=1(日)

見積もり式を次に示します。

X(分)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*1,440/1*(1+1)*1.1
=(2+809*1)*1,440*2*1.1
=2,569,248(バイト)
=約2.5(メガバイト)

時レコード
変数を次の値とします。

a=24
b=1+(60-1)/3,600=1.01・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=31(日)

見積もり式を次に示します。

X(時)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*24/1*(31+1)*1.1
=(2+809*1)*24*32*1.1
=685,133(バイト)
=約0.7(メガバイト)

日レコード
変数を次の値とします。

a=7
b=1+(60-1)/86,400=1.00・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=5(週)

見積もり式を次に示します。

X(日)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*7/1*(5+1)*1.1
=(2+809*1)*7*6*1.1
=37,469(バイト)
=約0.04(メガバイト)

週レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/604,800=1.00・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=53(週)

見積もり式を次に示します。

X(週)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*1/1*(53+1)*1.1
=(2+809*1)*1*54*1.1
=48,174(バイト)
=約0.05(メガバイト)

月レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/2,592,000=1.00・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=12(月)

見積もり式を次に示します。

X(月)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*1/1*(12+1)*1.1
=(2+809*1)*1*13*1.1
=11,598(バイト)
=約0.01(メガバイト)

年レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/31,622,400=1.00・・・=1(小数点以下切り捨て)
c=10(固定)

見積もり式を次に示します。

X(年)={(0+2)*1+(749+60)*{((0+2)*1)/(65,250-749)+1}}*1/1*(10+1)*1.1
=(2+809*1)*1*11*1.1
= 9,813(バイト)
= 約0.01(メガバイト)

以上から,PI_JVMの見積もりは次のようになります。

X(合計)=X(分)+X(時)+X(日)+X(週)+X(月)+X(年)
=3.31(メガバイト)
=約4(メガバイト)

次にPDレコードの見積もりについて説明します。

変数を次の値とします。

a=1,440
b=60/60=1
c=31(日)
d=683(バイト)
e=0(バイト)
f=1
g=60(秒)

見積もり式を次に示します。

X={(0+2)*1+(683+60)*{((0+2)*1)/(65,250-683)+1}}*1,440/1*(31+1)*1.1
=(2+743*1)*1,440*32*1.1
=37,762,560(バイト)
=約36(メガバイト)

したがって,必要なディスク占有量はPI_JVM+PD=40(メガバイト)となります。

●ファイル数

PI,PI_JVM,およびPDを収集する場合を例に挙げて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

m=2
n=1
A11~A1m=1(日)
A21~A2m=31(日)
A31~A3m=5(週)
A41~A4m=53(週)
A51~A5m=12(月)
B1~Bn=31(日)

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
(A11+A12+...+A1m+m)+
(A21+A22+...+A2m+m)+
(A31+A32+...+A3m+m)+
(A41+A42+...+A4m+m)+
(A51+A52+...+A5m+m)+
(11*m)+
(B1+B2+...+Bn+n)
)
=20+2*(
[1(PI分)+1(PI_JVM分)+2]+
[31(PI分)+31(PI_JVM分)+2]+
[5(PI分)+5(PI_JVM分)+2]+
[53(PI分)+53(PI_JVM分)+2]+
[12(PI分)+12(PI_JVM分)+2]+
[11*2]+
[31(PD分)+1]
)
=20+2*(4+64+12+108+26+22+32)=556

●ディレクトリ数

PI,PI_JVM,およびPDを収集する場合を例に挙げて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

A1max=1(日)
A2max=31(日)
A3max=5(週)
A4max=53(週)
A5max=12(月)
Bmax=31(日)

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11+(Bmax))
=25+2*(1+31+5+53+12+11+31)=313

●Storeサービスがオープンするファイル数

PI,PI_JVM,およびPDを収集する場合を例に挙げて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

l=2
m=1

Storeサービスがオープンするディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*l+m)
=20+2*(6*2+1)=46