13.2 クラスタ運用の前提条件とサポート範囲

この節では,クラスタ運用するための前提条件およびJP1のサポート範囲について説明します。

注意事項
JP1がサポートしているクラスタソフトであっても,システム構成や環境設定によってはここで説明する前提条件を満たさない場合があります。前提条件を満たすよう,システム構成や環境設定を検討してください。
<この節の構成>
(1) 論理ホスト環境の前提条件
(2) 物理ホスト環境の前提条件
(3) JP1がサポートする範囲

(1) 論理ホスト環境の前提条件

JP1を論理ホスト環境で実行する場合,論理IPアドレスと共有ディスクについて,次に示す前提条件があります。

表13-2 論理ホスト環境の前提条件

論理ホストの構成要素前提条件
共有ディスク
  • 実行系から待機系へ引き継ぎ可能な共有ディスクが使用できること。
  • JP1を起動する前に,共有ディスクが割り当てられること。
  • JP1を実行中に,共有ディスクの割り当てが解除されないこと。
  • JP1を停止したあとに,共有ディスクの割り当てが解除されること。
  • 共有ディスクが,不当に複数サーバから使用されないよう排他制御されていること。
  • システムダウンなどによってファイルが消えないよう,ジャーナル機能を持つファイルシステムなどでファイルを保護すること。
  • フェールオーバーしてもファイルに書き込んだ内容が保証されて引き継がれること。
  • フェールオーバー時に共有ディスクを使用中のプロセスがあっても,強制的にフェールオーバーができること。
  • 共有ディスクの障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,回復処置をJP1が意識する必要がないこと。回復処置の延長でJP1の起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。
論理IPアドレス
  • 引き継ぎ可能な論理IPアドレスを使って通信できること。
  • 論理ホスト名から論理IPアドレスが一意に求まること。
  • JP1を起動する前に,論理IPアドレスが割り当てられること。
  • JP1を実行中に,論理IPアドレスが削除されないこと。
  • JP1を実行中に,論理ホスト名と論理IPアドレスの対応が変更されないこと。
  • JP1を停止したあとに,論理IPアドレスが削除されること。
  • ネットワーク障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,JP1が回復処理を意識する必要がないこと。また,回復処置の延長でJP1の起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。

表13-2の内容が満たされていない場合,JP1の動作に次のような問題が発生することがあります。

(2) 物理ホスト環境の前提条件

物理ホスト環境でJP1を実行する場合は,次に示す前提条件があります。

表13-3 物理ホスト環境の前提条件

物理ホストの構成要素前提条件
サーバ本体
  • 2台以上のサーバマシンによるクラスタ構成になっていること。
  • 実行する処理に応じたCPU性能があること。
  • 実行する処理に応じた実メモリー容量があること。
ディスク
  • システムダウンなどでファイルが消えないよう,ジャーナル機能を持つファイルシステムなどでファイルを保護すること。
ネットワーク
  • ホスト名(hostnameコマンドの結果)に対応するIPアドレスで通信ができること(クラスタソフトなどによって通信ができない状態に変更されないこと)。
  • JP1の動作中に,ホスト名とIPアドレスの対応が変更されないこと(クラスタソフトやネームサーバなどによって変更されないこと)。
  • Windowsの場合,バインド設定で最優先になっていること(ハートビート用など,ほかのLANボードが優先になっていないこと)。
OS,クラスタソフト
  • JP1がサポートしているクラスタソフトおよびバージョンであること。
  • JP1およびクラスタソフトが前提とするパッチやサービスパックが適用済みであること。
  • フェールオーバーしても同じ処理ができるよう,各サーバの環境が同じになっていること。

(3) JP1がサポートする範囲

PFM - Analysisをクラスタ環境で運用する場合,PFM - Analysisがサポートする範囲は,PFM - Analysis自身の動作だけとなります。論理ホスト環境(共有ディスクおよび論理IPアドレス)の制御はクラスタソフトに依存し,PFM - Analysisでは制御しません。

また,前述の論理ホスト環境および物理ホスト環境の前提条件が満たされていない,または論理ホスト環境の制御に問題がある場合は,PFM - Analysisの動作に発生した問題もサポートの対象外となります。この場合は,論理ホスト環境を制御しているクラスタソフトやOSで問題に対処してください。