インスタンスとは,一つのオブジェクトで,あるメトリックを複数取得できるような場合のそれぞれのメトリックを指します。例えば,複数のドライブがあるマシンでは,ディスク使用率の値を複数取得できます。このとき,それぞれのドライブがインスタンスになります。
(1) インスタンスのメトリック値の平滑化
複数のインスタンスがある場合,それらの値を平滑化して,一つのメトリック値にします。平滑化とは,平均値,最大値,最小値,合計値などで,複数のメトリック値を一つのメトリック値に変換することです。PFM - Analysisでは,平滑化された値をメトリックとして扱い,危険度の判定などに使用します。デフォルトでは,個々のインスタンスの値はPAMDBに保存しません。
個々のインスタンスの値をPAMDBに保存して,分析に使用することもできます。例えば,インスタンスごとに相関分析を実行すると,どのインスタンスと相関が高いのかを調査できるため,精度の高い分析を実行できます。個々のインスタンスの値もPAMDBに保存する場合は,[Definer](システム構成)画面の[メトリック採取]タブで設定します。詳細については,「9.2.2(2) [メトリック採取]タブ」を参照してください。
(2) 不要インスタンスの設定
個々のインスタンスの値を保存すると,PAMDBの容量が大きくなります。[Definer](システム構成)画面の[インスタンスフィルター]タブで,PAMDBに保存しないインスタンスを設定できます。不要インスタンスはPAMDBに保存されないため,分析には使用できません。また,平滑化の対象にもなりません。未使用のポートの回線使用率などは,不要インスタンスに設定しておくことをお勧めします。不要インスタンスの設定は,「9.2.2(5) [インスタンスフィルター]タブ」を参照してください。
なお,データインポートの場合は,不要インスタンスの設定は適用されません。データインポート時のインスタンスのフィルタリングは,インポート定義ファイルにインポート対象となるインスタンスを定義することで対応してください。
(3) 必要インスタンスの設定
複数のインスタンスを持つメトリックについて,実際には分析する上でほとんどのインスタンスが不要な場合があります。このような場合,必要インスタンスの設定をすることで,特定のインスタンスだけをPAMDBに格納できます。この設定をすることで必要なインスタンスだけが分析に使用されます。また,必要インスタンスに設定したインスタンスだけが平滑化の計算対象となります。
設定手順は次のとおりです。GUIの詳細は「9. 画面」を参照してください。
なお,必要インスタンスの設定は,PFM - Analysisでの平滑化の計算とPAMDBへの保存をするときに適用されるフィルターとなります。必要インスタンスの設定をしても,採取ツールで必要インスタンス以外のインスタンスが取得されなくなるわけではありません。例えば,採取ツールがJP1/SSOの場合,必要インスタンスに指定した以外のインスタンスについても,JP1/SSO側で取得されます。
また,データインポートでインポートするメトリックについては,必要インスタンスの設定は適用されません。データインポート時のインスタンスのフィルタリングは,インポート定義ファイルにインポート対象となるインスタンスを定義することで対応してください。
(4) インスタンスインデックス
複数のインスタンスを区別するために,インスタンスインデックスという識別子が自動的に付与されます。採取ツールごとのインスタンスインデックスを,次の表に示します。
表5-3 インスタンスインデックス
採取ツール | インスタンスインデックス | |
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JP1/ESP | 複数のインスタンスを持つメトリックはない | |
VPIS | 複数のインスタンスを持つメトリックはない | |
JP1/SSO | メトリックがディスク使用率の場合 |
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メトリックがディスク使用率以外の場合 | MIBのインスタンス識別子 | |
PFM | メトリックの元となっているパフォーマンスデータのキー値がそのままインスタンスインデックスになる。キーフィールドが複数ある場合は,キーフィールドごとに「"(ダブルクォーテーション)」で囲み,「:(コロン)」で区切って表す(例:"index1":" index2") | |
データのインポート | 監視プログラムに依存 |