13.4.2 現用系サーバの環境設定

<この項の構成>
(1) MSCSの設定
(2) PFM - Analysis Managerのインストール
(3) PFM - Analysis Managerのセットアップ
(4) PAMDBの正常停止
(5) 共有ディスクの切り替え

(1) MSCSの設定

クラスタシステムを使用するために,現用系サーバでクラスタアドミニストレータを起動し,次の項目を作成・設定します。

(a) グループを作成する

  1. クラスタアドミニストレータを起動する。
  2. クラスタアドミニストレータの[グループ登録]画面で,名前,説明を設定する。
  3. [優先所有者]画面を表示し,ノードの優先順位を設定する。
    現用系,予備系の順に登録してください。

(b) 共有ディスクをグループに登録する

共有ディスクのリソースを(a)で作成したグループに移動します。

(c) IPアドレスをMSCSに登録する

PFM - Analysis Managerがクラスタシステムで使用する論理IPアドレスを,次の手順で登録します。

  1. クラスタアドミニストレータの[リソース登録]画面で名前,説明を設定し,リソースの種類には「IPアドレス」を,グループには(a)で作成したグループ名を,それぞれプルダウンメニューから選択する。
  2. [実行可能な所有者]画面を表示し,「実行可能な所有者」に現用系および予備系のコンピュータ名があることを確認する。
  3. [依存関係]画面を表示する。
    PFM - Analysis Managerで使用するIPアドレスに依存関係はないため,ここでは何もする必要はありません。
  4. [TCP/IPアドレスパラメータ]画面で,「アドレス」にhostsファイルに登録した論理IPアドレスを設定する。

(d) 論理ホスト名をMSCSに登録する

PFM - Analysis Managerが使用する論理ホスト名を,次の手順で登録します。

  1. クラスタアドミニストレータの[リソース登録]画面で名前,説明を設定し,リソースの種類にはネットワーク名を,グループには(a)で作成したグループ名を,それぞれプルダウンメニューから選択する。
  2. [実行可能な所有者]画面を表示し,「実行可能な所有者」に現用系および予備系のコンピュータ名があることを確認する。
  3. [依存関係]画面を表示し,(c)で登録したIPアドレスを「リソースの依存関係」に追加する。
  4. [ネットワーク名パラメータ]画面を表示し,hostsファイルに登録した論理ホスト名を設定する。

(e) リソースをオンラインにする

次のリソースをオンラインにします。

(2) PFM - Analysis Managerのインストール

現用系サーバにPFM - Analysis Managerをインストールします。PFM - Analysis Managerのインストールについては,「3.2.1 インストール」を参照してください。

注意事項
PFM - Analysis Managerのインストールの際には,次の点に注意してください。
  • 共有ディスクには,PFM - Analysis Managerをインストールしないでください。
  • 現用系および予備系には,同じバージョンのPFM - Analysis Managerをインストールしてください。PFM - Analysis Managerをバージョンアップする際は,必ず現用系,予備系の両方のPFM - Analysis Managerをバージョンアップしてください。
  • 現用系および予備系それぞれのサーバマシンのローカルディスク上には,同じドライブ名,同じディレクトリ名でインストールしてください。また,ドライブ名およびディレクトリ名は,大文字・小文字についても統一してください。

(3) PFM - Analysis Managerのセットアップ

(a) PAMDBをセットアップする

PFM - Analysis Managerで稼働情報を管理するためにPAMDBのセットアップを実行します。クラスタシステム上でPFM - Analysis Managerを稼働させる場合には,稼働情報などを格納するPAMDBの領域を共有ディスク上に作成します。一方,PAMDBが作業用として使用する領域は,現用系と予備系それぞれのローカルディスク上に作成します。

クラスタシステム上でPAMDBのセットアップを実行する場合は,PAMDBセットアップ定義ファイル(pamdbsetup.conf)をクラスタ環境に合わせて設定したあと,pamdbsetupコマンドを実行します。クラスタシステムで現用系のセットアップを実行する場合の,pamdbsetup.confの設定項目を次に示します。

クラスタシステム用のPAMDBセットアップ定義ファイルの設定個所

<ファイル名>
インストール先ディレクトリ¥manager¥conf¥pamdbsetup.conf

<クラスタシステム用の設定個所>
[Database Scale]
database_scale={S|M|L|LL}

[Cluster]
cluster_flag=Y
cluster_mode=ONLINE
shared_directory=PAMDBの領域を格納する共有ディスク上のディレクトリ名

表13-4 現用系のセットアップのPAMDBセットアップ定義ファイルの設定項目

セクション名キー名説明
[Database Scale]database_scale
((S,M,L,LLのどれか))《M》
PAMDBの容量をS,M,L,LLから選択します。それぞれに必要なディスク容量に関しては「4.2.4(1) PAMDBのセットアップについて」を参照してください。
[Cluster]cluster_flag
((YまたはN))《N》
PAMDBをクラスタシステム用にセットアップするかどうかを指定します。クラスタシステム用のセットアップをするので,「Y」を指定します。
cluster_mode
((ONLINEまたはSTANDBY))
現用系のセットアップをするので「ONLINE」を指定します(予備系のセットアップの場合は「STANDBY」を指定)。
shared_directory
((50バイト以内の文字列))
PAMDBの領域を格納する共有ディスク上のディレクトリ名をフルパスで指定します。空白を含んだパスを指定する場合でも,ディレクトリ名は「"(ダブルクォーテーション)」で囲まないで指定してください。

なお,PAMDBセットアップ定義ファイルの詳細については「11.2.5 PAMDBセットアップ定義ファイル(pamdbsetup.conf)」を,pamdbsetupコマンドの詳細については「10. コマンド」の「pamdbsetup(PAMDBをセットアップする)」を参照してください。また,PAMDBのセットアップを開始する前に「4.2.4 PAMDBの運用に関する注意事項」を参照しておいてください。

(b) PFM - Analysis Managerの動作条件を設定する

PFM - Analysis Manager動作条件定義ファイル(pam.conf)を設定します。[Command]セクションのauto_service_stopには,必ず「N」を指定してください。詳細については,「11.2.1 PFM - Analysis Manager動作条件定義ファイル(pam.conf)」を参照してください。

(c) 採取ツール定義ファイルを編集する

採取ツールとして使用するプログラムを定義します。詳細については,「11.2.2 採取ツール定義ファイル(pamcoltool.conf)」を参照してください。

注意事項
PFM - Analysis Managerの接続相手となるPFM - Analysis Adaptorの動作条件定義ファイル(paa.conf)のadpt_connaddr,およびJP1/ESPの初期設定ファイルのhostnameには,論理IPアドレスまたは論理ホスト名を指定してください。また,PFM - Analysis Managerの接続相手となるPFM - Analysis ViewのPFM - Analysis View接続先定義ファイル(pavdest.conf)のmgr_hostおよびレポート定義ファイルのmgr_hostには,論理IPアドレスまたは論理ホスト名を指定してください。

(d) PAMDBにテンプレート定義,採取ツール定義を登録する

PFM - Analysisでサポートしている監視対象の種類やメトリック種別,および採取ツールをPAMDBに登録します。詳細については,「3.3.1(1)(d) テンプレート定義,採取ツール定義のPAMDB登録」および「10. コマンド」の「pamloadtmpl(テンプレート定義,採取ツール定義を登録する)」を参照してください。

(e) そのほかの設定をする

必要に応じて,自動コマンド実行の定義やJP1/IMとの連携機能などについて設定します。

(4) PAMDBの正常停止

現用系のセットアップ後,予備系のセットアップを開始する前にPAMDBを正常停止させる必要があります。クラスタシステム環境でPAMDBを正常停止させるためには,pamdbstop.batコマンドを実行します。なお,PAM - PAMDBサービスは停止させないでください。pamdbstop.batコマンドの詳細については,「10. コマンド」の「pamdbstop.bat(PAMDBを正常停止する)」を参照してください。

(5) 共有ディスクの切り替え

クラスタアドミニストレータで[グループの移動]を選択し,共有ディスクを現用系から予備系に切り替えます。