2.4.2 インスタンス環境の更新の設定

インスタンス環境を更新したい場合は,インスタンス名を確認し,インスタンス情報を更新します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。

更新する情報は,次の表であらかじめ確認してください。Oracleのインスタンス情報の詳細については,Oracleのマニュアルを参照してください。

表2-12 PFM - Agent for Oracleのインスタンス情報

項目説明設定できる値デフォルト値
oracle_sidこの値は更新できる。
監視対象となるOracleシステム識別子(環境変数ORACLE_SIDと同じ値)。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
oracle_homeこの値は更新できる。
Oracleホームのフォルダ(環境変数ORACLE_HOMEと同じ値)。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
oracle_versionこの値は更新できる。
Oracle Databaseのバージョン番号。
Windows Server 2008以外の場合
  • Oracle9iの場合:9
  • Oracle 10gの場合:10
  • Oracle 11gの場合:11
前回の設定値
Windows Server 2008の場合
  • Oracle 10gの場合:10
  • Oracle 11gの場合:11
oracle_userこの値は更新できる。
Oracleを監視するアカウント(指定できるアカウント,および必要な権限については,「2.1.4(2) PFM - Agent for Oracleで使用するOracleのアカウントの作成」を参照のこと)。※1
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
oracle_passwdこの値は更新できる。
oracle_userで指定したアカウントのパスワードを指定する。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
sqlnet※2この値は更新できる。
次のどれかの場合に「Y」を指定。
  1. Oracle RAC構成の場合。
    RAC構成についてはOracleのマニュアルを参照のこと。
  2. PD_PDIAレコードでリスナーの可用性を監視する場合。
  3. Oracleのサービスのどれかが「ローカルシステムアカウント」以外のアカウントで動作している場合。
1および3の場合に「N」を指定すると,Oracleでエラーが発生する場合がある。
{Y|N}前回の設定値
net_service_nameこの値は更新できる。
監視対象のデータベースのネットサービス名。sqlnetに「Y」を指定した場合に値が有効となる。監視対象のデータベースのネットサービス名については,Oracleのマニュアルを参照のこと。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
listener_homeこの値は更新できる。
監視したいリスナーがあるOracleコンポーネントの環境変数ORACLE_HOMEの値。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
listener_nameこの値は更新できる。
更新したいリスナー名を指定する。
255バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • 空白文字
  • タブ
  • 次の記号
    「,」「<」「>」
前回の設定値
retry_timeこの値は更新できる。
Oracle接続時に認証エラーが出力された場合に,再接続を試みる秒数。
0~600(単位:秒)。前回の設定値
log_pathこの値は更新できる。
エージェントログの出力先フォルダ名をフルパスで指定する。
245バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
  • タブ
  • 次の記号
    「/」「:」「,」「;」「*」「?」「"」「<」「>」「|」
注意
  • デフォルト以外のフォルダを設定する場合,インストール先フォルダ配下となるパスは指定できない。
  • ほかのインスタンス出力先として指定している値は指定できない。
前回の設定値
log_sizeこの値は更新できる。
エージェントログの1ファイルの最大サイズを指定する。
1~32(単位:キロバイト)。
ただし,推奨は16以上。
前回の設定値
timeoutこの値は更新できる。
クエリー時のOracleアクセスのタイムアウト時間を指定する。
0,10~3,600(単位:秒)。
0を指定した場合はタイムアウト監視を行わない。1~9を指定した場合は,実行時,10に変更する。
前回の設定値
sql_option※3この値は更新できる。
「Y」を指定した場合, PI_PIDB,PD_PDTSレコードで,次の項目※3の情報収集を行わず, 0または numeric_10で指定した値を設定する。
{Y|N}前回の設定値
numeric_10この値は更新できる。
sql_optionが「Y」の場合,情報収集しない項目に設定する値を指定する。sql_optionが「N」の場合,設定を無視する。
0~99999。
ただし,設定するフィールドのデータ型の最大値(shortの場合32767,ushortの場合65535)を超える値を指定した場合,データ型の最大値が設定される。※4
前回の設定値
startup_alwaysこの値は更新できる。
PFM - Agent for Oracle起動時に監視対象のOracleが起動処理中であった場合などに,PFM - Agent for OracleがOracle接続エラーで停止することがある。
「Y」を指定した場合,接続エラーが発生しても起動処理を継続する。「N」を指定した場合,この動作を有効にしない。
{Y|N}N
(凡例)
-:なし
注※1
ユーザーを変更する場合は,次の手順で行ってください。
  1. 変更前のユーザーが作成していたオブジェクトを削除する。
  2. 変更後のユーザーで,新しくオブジェクトを登録する。
なお,ユーザーを変更しても,パフォーマンスデータは削除されません。
オブジェクトの削除方法については「2.2.2(1)(b) Oracle Databaseへ登録したオブジェクトを削除する」を,オブジェクトの登録方法については「2.1.4(3)(b) Oracle Databaseへオブジェクトを登録する」を参照してください。
注※2
sqlnetが「Y」の場合,Oracle側のネットワークサービス(tnsnames.ora,listener.oraなど)を設定している必要があります。設定方法については,Oracleのマニュアルを参照してください。
注※3
PFM - Agent for OracleではOracleの各セグメント関連の情報を取得するため,Oracleの静的ディクショナリー・ビュー DBA_SEGMENTSまたはDBA_SEGMENTS_2の検索をします。Oracleにおいて大量のセグメント(数十万件以上のセグメント)が存在する場合,情報収集で非常に時間が掛かるときがあります。そのため,大量のセグメントが存在し,次の表に示す情報の収集が不要な場合,sql_optionを「Y」と設定して運用してください。
レコード名PFM - View名numeric_10で指定した値
PD_PDTSSegments有効
Extents有効
PI_PIDBDB Files %有効
Log Files %有効
NextAlloc Fails有効
Tablespaces有効
Rollback Segments有効
Rollback Segments Trans有効
Blocks有効
Segments有効
Extents有効
Free Mbytes有効
Overextended有効
High Max Extent有効
Datafiles有効
Mbytes有効
Free Extents有効
Free%有効
Free Change有効
Write%有効
Write/sec有効
Redo Files有効
Links有効
Links Logged On有効
Links In Tran有効
Links Open Cursors有効
Used Change有効
Used Mbytes有効
Rollback Segments Hit%有効
Sort Segments有効
Sorting Users有効
Physical Blocks Readデルタ項目のため,常に0設定。
Physical Blocks Writtenデルタ項目のため,常に0設定。
Physical Readsデルタ項目のため,常に0設定。
Physical Writesデルタ項目のため,常に0設定。
注※4
各レコードのフィールドの形式が,「float」または「double」型の場合,データは浮動小数点数となるため,指定値によってまるめられる場合があります。
(例)
numeric_10の指定を32767と指定した場合,32760と表示される場合があります。

インスタンス名を確認するには,jpcinslistコマンドを使用します。また,インスタンス環境を更新するには,jpcinssetupコマンドを使用します。

インスタンス環境を更新する手順を次に示します。複数のインスタンス環境を更新する場合は,この手順を繰り返し実施します。

  1. インスタンス名を確認する。
    PFM - Agent for Oracleを示すサービスキーを指定して,jpcinslistコマンドを実行します。

    jpcinslist agto

    設定されているインスタンス名がSDCの場合,SDCと表示されます。
  2. 更新したいインスタンス環境のPFM - Agent for Oracleのサービスが起動されている場合は,停止する。
    サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
    jpcinssetupコマンド実行時に,更新したいインスタンス環境のサービスが起動されている場合は,確認メッセージが表示され,サービスを停止できます。サービスを停止した場合は,更新処理が続行されます。サービスを停止しなかった場合は,更新処理が中断されます。
  3. PFM - Agent for Oracleを示すサービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcinssetupコマンドを実行する。
    インスタンス名がSDCのインスタンス環境を更新する場合,次のように指定してコマンドを実行します。

    jpcinssetup agto -inst SDC

  4. Oracleのインスタンス情報を更新する。
    表2-12に示した項目を,コマンドの指示に従って入力します。現在設定されている値が表示されます(ただし,oracle_passwdの値は表示されません)。表示された値を変更しない場合は,リターンキーだけを押してください。すべての入力が終了すると,インスタンス環境が更新されます。
  5. 更新したインスタンス環境のサービスを再起動する。
    サービスの起動方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
注意
更新できない項目の値を変更したい場合は,インスタンス環境を削除したあと,再作成してください。

コマンドについては,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。