ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを運用するための,セットアップについて説明します。
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agentの登録の流れを次に示します。
図2-3 PFM - Agentの登録の流れ
(a) PFM - Agent for Enterprise Applicationsのセットアップファイルをコピーする
PFM - Agent for Enterprise ApplicationsをインストールしたホストにあるセットアップファイルをPFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。
表2-2 コピーするセットアップファイル
PFM - Agentの セットアップファイル | コピー先 | ||
---|---|---|---|
PFM プログラム名 | OS | コピー先フォルダ またはディレクトリ | |
インストール先フォルダ¥setup¥jpcagtmw.EXE | PFM - Manager | Windows | PFM - Managerのインストール先フォルダ¥setup |
インストール先フォルダ¥setup¥jpcagtmu.Z | UNIX | /opt/jp1pc/setup/ | |
インストール先フォルダ¥setup¥jpcagtmw.EXE | PFM - Web Console | Windows | PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ¥setup |
インストール先フォルダ¥setup¥jpcagtmu.Z | UNIX | /opt/jp1pcwebcon/setup/ |
(b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - ManagerでPFM - Agent for Enterprise Applicationsをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcagtsetup agtm
PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。
(c) PFM - Web Consoleホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - Web ConsoleでPFM - Agent for Enterprise Applicationsをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcwagtsetup
PFM - Web ConsoleホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと削除してもかまいません。
(2) PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーの作成
PFM - Agent for Enterprise Applicationsはパフォーマンス情報を収集するために,SAP社の通信プロトコルであるRFCを使用して,SAPシステム側に定義されている外部管理インターフェースを実行します。そのため,PFM - Agent for Enterprise Applicationsが使用するユーザーをあらかじめSAPシステム側に用意しておく必要があります。
ここでは,SAPシステム側に作成するSAPユーザーのユーザータイプ,パスワード,権限について説明します。
(a) ユーザータイプ
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで使用するSAPユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。
(b) パスワードに指定できる文字
SAPユーザーのパスワードは,半角数字(0~9),半角英字(a~z, A~Z),および次の半角記号で定義してください。
!"@△$%&/()=?'`*+~#-_.,;:{[]}¥<>|
△は,空白文字を示します。
(c) 必要な権限
ユーザーには次の権限(権限オブジェクト)を設定する必要があります。
各権限の値として,次の表に示す値またはすべての項目に「*」を指定したビルトイン権限値(S_RFC_ALLやS_XMI_ADMIN)を割り当ててください。
表2-3 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC)
権限項目 | 説明 | 値 |
---|---|---|
RFC_TYPE | 保護されるRFCオブジェクトのタイプ | FUGR(汎用グループ) |
RFC_NAME | 保護されるRFC名 | * |
ACTVT | アクティビティ | 16(実行) |
表2-4 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD)
権限項目 | 説明 | 値 |
---|---|---|
EXTCOMPANY | 外部管理ツールの会社名 | HITACHI |
EXTPRODUCT | 外部管理ツールのプログラム名 | JP1 |
INTERFACE | インターフェースID | * |
(3) インスタンス環境の設定
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで監視するSAPシステムのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。
設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の情報をあらかじめ確認してください。SAPシステムのインスタンス情報の詳細については,SAP R/3のマニュアルを参照してください。
表2-5 PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス情報
項目 | 説明 | 設定できる値 | デフォルト値 |
---|---|---|---|
SID | 監視対象となるSAPシステムID | 8バイト以内の半角文字列 | - |
SERVER | 監視対象となるSAPインスタンス名(トランザクションコードSM51で確認できる,ダイアログサービスを持つSAPインスタンス名) | 20バイト以内の半角文字列 | jpcinssetupコマンドの-instで指定したインスタンス名 |
ASHOST | 接続先アプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるSAPローカルホスト名) | 100バイト以内の半角文字列 | ローカルホスト名 |
SYSNR | SAPシステムのシステム番号を指定する。 | 2バイト以内の半角数字 | 「00」 |
CLIENT | SAPユーザーが属するクライアント名(接続先ダイアログインスタンスに割り当てられているシステム番号) | 3バイト以内の半角数字 | 「000」 |
USER | SAPユーザー名 | 12バイト以内の半角文字列 | - |
EXTPWD | SAPシステムへの接続に,拡張パスワードを使用するかどうかを指定する。 | YまたはNで指定する。
| 「N」 |
PASSWD | SAPユーザーのパスワード |
| - |
DELAYCONNECT | SAPシステムにいつ接続するかを指定する。 | YまたはNで指定する。
| 「N」 |
Store Version※ | 使用するStore バージョンを指定する。Storeバージョンについては「2.4.2 Store バージョン2.0への移行」を参照してください。 | {1.0 | 2.0} | 2.0 |
インスタンス環境を構築するには,jpcinssetupコマンドを使用します。インスタンス環境の構築手順を次に示します。
jpcinssetup agtm -inst o246bci_SD5_00
すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築されるインスタンス環境を次に示します。
表2-6 インスタンス環境のフォルダ構成
フォルダ名・ファイル名 | 説明 | ||
---|---|---|---|
agent | インスタンス名 | jpcagt.ini | Agent Collectorサービス起動情報ファイル |
jpcagt.ini.model※ | Agent Collectorサービス起動情報ファイルのモデルファイル | ||
jr3alget.ini | CCMS Alert Monitor Command(PD_ALMX)レコード用の環境パラメーター設定ファイル | ||
jr3slget.ini | System Log Monitor Command(PD_SLMX)レコード用の環境パラメーター設定ファイル | ||
log | ログファイル格納フォルダ | ||
store | インスタンス名 | jpcsto.ini | Agent Storeサービス起動情報ファイル |
jpcsto.ini.model※ | Agent Storeサービス起動情報ファイルのモデルファイル | ||
*.DAT | データモデル定義ファイル | ||
dump | エクスポート先フォルダ | ||
backup | バックアップ先フォルダ | ||
import | インポート先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
log | ログファイル格納フォルダ | ||
partial | 部分バックアップ先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
STPD | PDレコードタイプのパフォーマンスデータ格納フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
STPI | PIレコードタイプのパフォーマンスデータ格納フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
STPL | PLレコードタイプのパフォーマンスデータ格納フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) |
(4) ネットワークの設定
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。
(5) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2ファイル使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(6) パフォーマンスデータの格納先の変更
PFM - Agent for Enterprise Applicationsで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,部分バックアップ先またはインポート先のフォルダを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。
保存先 | フォルダ名 |
---|---|
データベースの保存先 | インストール先フォルダ¥agtm¥store¥インスタンス名¥ |
データベースの保存先(論理ホスト運用の場合) | 環境ディレクトリ※¥jp1pc¥agtm¥store¥インスタンス名¥ |
バックアップ先 | インストール先フォルダ¥agtm¥store¥インスタンス名¥backup¥ |
バックアップ先(論理ホスト運用の場合) | 環境ディレクトリ※¥jp1pc¥agtm¥store¥インスタンス名¥backup¥ |
エクスポート先 | インストール先フォルダ¥agtm¥store¥インスタンス名¥dump¥ |
エクスポート先(論理ホスト運用の場合) | 環境ディレクトリ※¥jp1pc¥agtm¥store¥インスタンス名¥dump¥ |
部分バックアップ先(Storeバージョン2.0の場合) | インストール先フォルダ¥agtm¥store¥インスタンス名¥partial¥ |
部分バックアップ先(論理ホスト運用で,Storeバージョン2.0の場合) | 環境ディレクトリ※¥jp1pc¥agtm¥store¥インスタンス名¥partial¥ |
インポート先(Storeバージョン2.0の場合) | インストール先フォルダ¥agtm¥store¥インスタンス名¥import¥ |
インポート先(論理ホスト運用で,Storeバージョン2.0の場合) | 環境ディレクトリ※¥jp1pc¥agtm¥store¥インスタンス名¥import¥ |
詳細については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(7) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの接続先PFM - Managerの設定
PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcnshostnameコマンドを使用します。
手順を次に示します。
jpcnshostname -s host01
(8) 動作ログ出力の設定
PFMサービスの起動・停止時や,PFM - Managerとの接続状態の変更時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能などと連動した動作情報の履歴を出力するログ情報です。
設定方法については,「付録J 動作ログの出力」を参照してください。