ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
(1) PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する
Performance Managementシステムに,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを追加する場合には,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録するためのセットアップが必要です。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleで実施します。PFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「3.1.4(2) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの登録」を参照してください。
(2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする
実行系ノードで,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップします。
(a) 共有ディスクをマウントする
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,共有ディスクをマウントしてください。
(b) PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップする
jpchasetup createコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義を設定して,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
jpchasetup create agtm -lhost jp1-halr3 -d /jp1
jpchasetup list all
(c) 接続先PFM - Managerを設定する
jpcnshostnameコマンドを実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを管理するPFM - Managerを設定します。
jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halr3
(d) インスタンス環境を設定する
jpcinssetupコマンドを実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsのインスタンス環境を設定します。
jpcinssetup agtm -lhost jp1-halr3 -inst o246bci_SD5_00
(e) その他のPerformance Managementのプログラムの論理ホスト環境をセットアップする
PFM - Agent for Enterprise Applicationsのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
(f) ポート番号を設定する
ファイアウォールがあるネットワーク環境でPerformance Managementのプログラムを運用する場合だけに必要な設定です。ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcnsconfig portコマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
(g) IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスの設定をします。IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(h) 論理ホスト環境定義をエクスポートする
PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
jpchasetup export -f lhostexp.txt
(i) 論理ホスト環境定義ファイルを待機系ノードにコピーする
「4.4.4(2)(h) 論理ホスト環境定義をエクスポートする」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
(j) 共有ディスクをアンマウントする
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
(3) 待機系の論理ホスト環境をセットアップする
待機系ノードで,PFM - Agent for Enterprise Applicationsの論理ホスト環境をセットアップします。
(a) 論理ホスト環境定義をインポートする
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpchasetup importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
jpchasetup import -f lhostexp.txt
jpchasetup list all
(4) クラスタソフトへ登録する
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
(a) クラスタソフトへPFM - Agent for Enterprise Applicationsを登録する
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsでの設定方法を次の表に示します。
表4-5 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for Enterprise Applicationsの制御方法
項目 | 説明 |
---|---|
起動 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを起動する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstart act lhost=論理ホスト名 |
停止 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを停止する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstop agtm lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名 なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcstopコマンドの戻り値が3になる。この場合はサービスが停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。 |
動作監視 | 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。 ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス" 監視対象のプロセスは,次のとおり。jpcagtm,agtm/jpcsto,jpcah プロセス名ついては,「付録D プロセス一覧」またはマニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」を参照のこと。なお,運用中にメンテナンスなどでPerformance Managementを一時的に停止する場合を想定して,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことをお勧めします。 |
強制停止 | 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate 第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。
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(5) 起動・停止の確認
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
(6) クラスタシステムでの環境を設定する
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。