JP1/Performance Management - Agent Option for Enterprise Applications
- <この項の構成>
- (1) SAPシステムの応答時間
- (2) SAPバッファの監視
- (3) SAPメモリーの監視
- (4) SAPシステムログ,CCMSアラートの監視
SAPシステム全体のパフォーマンス傾向を確認するためにSAPシステムの応答時間を監視します。
応答時間に関連するレコードとフィールドを次の表に示します。
表1-1 応答時間に関連するレコードとフィールド
使用レコード 使用フィールド 値の見方(例) PIまたはPI_DIA ResponseTime ダイアログステップの処理時間の平均値。 DBRequestTime 論理データベース要求を処理するための平均時間。 QueueTime ディスパッチャー待ち行列での平均待ち時間。 (b) 監視方法
- ダイアログの応答時間の監視
- SAPシステムでのダイアログの応答時間は,ソリューションセットで提供している「Dialog ResponseTimeアラーム」を使用して監視できます。
- ResponseTimeがしきい値以上の場合,SAPシステム全体のパフォーマンスが低下している可能性があります。SAPシステム全体の負荷状況やデータベース依頼時間を監視してボトルネックを確認します。
- SAPシステム全体の負荷状況の監視
- SAPシステム全体の負荷状況は,ソリューションセットで提供している「Dialog ResponseTimeレポート(フィールド名: QueueTime)」を使用して監視できます。
- QueueTimeの値が高い(ResponseTimeの値の10%を超える)場合,SAPシステム全体での負荷が高くなっている可能性があります。
- データベース依頼時間の監視
- データベース依頼時間は,ソリューションセットで提供している「Dialog ResponseTime レポート(フィールド名: DBRequestTime)」を使用して監視できます。
- DBRequestTimeの値が高い(ResponseTime - QueueTimeの値の40%を超える)場合,運用方法,アプリケーションサーバでのバッファ,SQL文(ABAP)の最適化,またはデータベースサーバに問題がある可能性があります。
効率的にSAPシステムが運用されていることを確認するために,SAPシステム固有のSAPバッファを監視します。
効率よくSAPバッファを使用することで,定型業務など実行する機会が多い業務の応答時間の短縮を図ることができます。
SAPバッファに関連するレコードとフィールドを次の表に示します。
表1-2 SAPバッファに関連するレコードとフィールド
使用レコード 使用フィールド 値の見方(例) PIまたはPI_BUFF Program HitRatio % プログラムがProgramバッファに存在するため,データベースにアクセスせずに済んだ問い合わせの割合(バッファのヒット率)。 CUA HitRatio % メニュー情報がCUAバッファに存在するため,データベースにアクセスせずに済んだ問い合わせの割合(バッファのヒット率)。 GenericKey HitRatio % テーブルのデータ(複数レコード)がGeneric Keyバッファに存在するため,データベースにアクセスせずに済んだ問い合わせの割合(バッファのヒット率)。 SingleRecord HitRatio % テーブルのデータ(1レコード)がSingle recordバッファに存在するため,データベースにアクセスせずに済んだ問い合わせの割合(バッファのヒット率)。 PI_BUFF Program Swap Programバッファで発生した,1分ごとのバッファフルによるスワップ回数。値が0であることが望ましい。 CUA Swap CUAバッファで発生した,1分ごとのバッファフルによるスワップ回数。値が0であることが望ましい。 GenericKey Swap Generic keyバッファで発生した,1分ごとのバッファフルによるスワップ回数。値が0であることが望ましい。 SingleRecord Swap Single recordバッファで発生した,1分ごとのバッファフルによるスワップ回数。値が0であることが望ましい。 (b) 監視方法
- Programバッファの監視
- Programバッファのヒット率およびスワップ回数を監視できます。
- Programバッファのヒット率は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: Program HitRatio %)」を使用して監視できます。この値が低い(80%未満)場合は,定型業務以外のユーザー依頼が増加している可能性があります。
- Programバッファで発生したスワップ回数は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: Program Swap)」を使用して監視できます。この値が0よりも大きい場合には,Programバッファのサイズが小さい可能性があります。
- メニュー情報のバッファの監視
- メニュー情報のバッファヒット率および,スワップ回数を監視できます。
- メニュー情報のバッファヒット率は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: CUA HitRatio %)」を使用して監視できます。この値が低い(80%未満)場合は,定型業務以外でのメニュー操作が増加している可能性があります。
- メニュー情報のスワップ回数は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: CUA Swap)」を使用して監視できます。この値が0よりも大きい場合には,CUAバッファのサイズが小さい可能性があります。
- テーブルデータのバッファの監視
- テーブルデータのバッファヒット率およびスワップ回数を監視できます。
- テーブルデータのバッファヒット率は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: GenericKey HitRatio %)」および「「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名: SingleRecord HitRatio %)」を使用して監視できます。この値が低い(80%未満)場合は,Generic keyバッファおよびSingle recordバッファのサイズが小さいか,またはGeneric Keyバッファへのテーブル割り当て方法に問題がある可能性があります。
- テーブルデータのバッファで発生したスワップ回数は,ソリューションセットで提供している「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名GenericKey Swap)」および「SAP Buffer Hitratioレポート(フィールド名SingleRecord Swap)」を使用して監視できます。この値が0よりも大きい場合には,Generic keyバッファおよびSingle recordバッファのサイズが小さい可能性があります。
SAPメモリーの領域不足によって発生する,SAPシステム全体でパフォーマンスの低下の傾向を確認するためにSAPシステム固有のSAPメモリーを監視します。
SAPメモリーに関連するレコードとフィールドを次の表に示します。
表1-3 SAPメモリーに関連するレコードとフィールド
使用レコード 使用フィールド 値の見方(例) PIまたはPI_MEM EsAct % 現在の,拡張メモリーの使用率。 HeapAct % 現在の,ヒープ領域の使用率。 PrivWpNo PRIVモードになったワークプロセス数。 R3PagingUsed % ページング領域の使用率。 R3RollUsed % ロール領域の使用率。 (b) 監視方法
- SAPメモリーの拡張メモリー使用率の監視
- SAPメモリーの拡張メモリー使用率は,ソリューションセットで提供している「Extended Memoryアラーム」を使用して監視できます。
- Extended Memoryが警告の場合,拡張メモリーの領域不足の可能性があります。
- SAPメモリーのヒープ領域使用率の監視
- SAPメモリーのヒープ領域使用率は,ソリューションセットで提供している「Heap Memoryアラーム」を使用して監視できます。
- Heap Memoryが警告の場合,ヒープ領域の領域不足の可能性があります。または,ダイアログのワークプロセスがショートダンプを発生するおそれがあります。
- SAPメモリーのページング領域使用率の監視
- SAPメモリーのページング領域使用率は,ソリューションセットで提供している「Paging Areaアラーム」を使用して監視できます。
- Paging Areaが警告の場合,ページング領域の領域不足の可能性があります。
- SAPメモリーのロール領域使用率の監視
- SAPメモリーのロール領域使用率は,ソリューションセットで提供している「Roll Areaアラーム」を使用して監視できます。
- Roll Areaが警告の場合,ロール領域の領域不足の可能性があります。または,ダイアログのワークプロセスが「PRIV」モードとなるおそれがあります。
- 「PRIV」モードになっているワークプロセス数は,ソリューションセットで提供している「SAP Memory Detailドリルダウンレポート(フィールド名: PrivWpNo)」を使用して確認できます。この値が1以上の場合,ディスパッチャーでの待ち時間が増加している可能性があります。
SAPシステムは,発生したイベントおよび障害情報をシステムログに出力しています。
また,システムの運用管理や負荷分析をするCCMS(Computer Center Management System)が備わっています。
PFM - Agent for Enterprise Applicationsでは,システムログやCCMSの警告モニター内で発生した警告(アラート情報)を定期的にテキストファイルに出力できます。
テキストファイルに出力された情報は,ほかのプログラム(JP1/Baseのログトラップ機能など)と連携することでSAPシステムの状態の監視に利用できます。
(a) 監視方法
- システムログの監視
- システムログ情報抽出機能を使用すると,SAPシステムで発生したイベントおよび障害を記録するシステムログ情報を定期的にテキストファイルに出力できます。
- 出力される内容を次に示します。
- メッセージ記録時刻
- メッセージを記録したサーバ
- メッセージを記録したユーザー
- メッセージを記録したプログラム
- メッセージ番号
- メッセージ
- 詳細は,「5. システムログ情報の抽出」を参照してください。
- CCMSアラート情報の監視
- CCMSアラート情報抽出機能を使用すると,CCMSの警告モニター内で発生する警告(アラート情報)を定期的にテキストファイルに出力できます。
- 出力される内容を次に示します。
- アラートID
- アラートに関連づけられているMTEのID
- アラートの重要度
- 一般プロパティ
- メッセージ
- 詳細は,「6. CCMSアラート情報の抽出」を参照してください。
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