レコードの注意事項

レコードを収集する場合の注意事項を次に示します。

性能情報を収集する前の注意事項

レコードを収集するために必要な環境構築

PFM - Agent for Platformを動作させるために必要なネットワーク環境でパフォーマンスデータを収集するためには,Agent Collectorサービス起動前に,パフォーマンス情報を監視できるネットワークサービス,プロトコル,サーバ,製品などをインストールする必要があります。また,インストールした製品の環境を構築していない場合,または,インストールで追加したサービスが[停止]している場合,レコードを収集してもデータが取得できなかったりフィールド値が0で表示されたりします。

PFM - Agent for Platformで特定のレコードのパフォーマンスデータを収集する場合,Agent Collectorサービスを起動する前に,次の表に示す前提条件が満たされている必要があります。ただし,次の表にはEvent Log[サービス名:Eventlog]など,OSの動作の前提となるサービスは記載していません。

レコードの収集に必要な前提条件を次の表に示します。

表5-6 レコードの収集に必要な前提条件

カテゴリーレコード名(レコードID)フィールド名(PFM - View名)前提条件
OSすべてすべてRemote Registry Service[サービス名:RemoteRegistry]が開始されていること。
注意:Windows 2000の場合だけ必要。
Logical Disk Overview(PI_LOGD)Page File Size Mbytes
(PAGE_FILE_SIZE_BYTES)
Windows Management Instrumentation[サービス名:WinMgmt]が開始されていること。
注意:Windows 2000,Windows Server 2003,Windows Server 2008の場合だけ必要。
System Overview(PI)System Type
(SYSTEM_TYPE)
ディスクPhysical Disk Overview(PI_PHYD)すべてdiskperf -yコマンドをDOSプロンプトで実行し,OSを再起動すること。
注意:Windows 2000の場合だけ必要。
Logical Disk Overview(PI_LOGD)
ネットワークサービスBrowser Overview(PI_BRSR)すべてComputer Browser[サービス名: Browser]が開始されていること。
WINS Server Overview(PI_WINS)すべてWindowsインターネットネームサービス(WINS)をインストールし,インストール後に追加されたサービスが開始されていていること。
Server Work Queues Overview(PI_SVRQ)すべてServer[サービス名:LanmanServer]が開始されていること。
System Overview(PI)Blocking Reqs Rejected(BLOCKING_REQUESTS_REJECTED)
Bytes Rcvd/sec(BYTES_RECEIVED_PER_SEC)
Bytes Total/sec(BYTES_TOTAL_PER_SEC)
Bytes Xmitd/sec(BYTES_TRANSMITTED_PER_SEC)
Context Blocks Queued/sec(CONTEXT_BLOCKS_QUEUED_PER_SEC)
Errors Access Permissions(ERRORS_ACCESS_PERMISSIONS)
Errors Granted Access(ERRORS_GRANTED_ACCESS)
Errors Logon(ERRORS_LOGON)
Errors System(ERRORS_SYSTEM)
File Directory Searches(FILE_DIRECTORY_SEARCHES)
Files Open(FILES_OPEN)
Files Opened Total(FILES_OPENED_TOTAL)
Logon Total(LOGON_TOTAL)
Logon/sec(LOGON_PER_SEC)
Pool Nonpaged Failures(POOL_NONPAGED_FAILURES)
Pool Nonpaged Peak(POOL_NONPAGED_PEAK)
Pool Paged Failures(POOL_PAGED_FAILURES)
Pool Paged Peak(POOL_PAGED_PEAK)
Server Pool Nonpaged Bytes(SERVER_POOL_NONPAGED_BYTES)
Server Pool Paged Bytes(SERVER_POOL_PAGED_BYTES)
Server Sessions(SERVER_SESSIONS)
Sessions Errored Out(SESSIONS_ERRORED_OUT)
Sessions Forced Off(SESSIONS_FORCED_OFF)
Sessions Logged Off(SESSIONS_LOGGED_OFF)
Sessions Timed Out(SESSIONS_TIMED_OUT)
Work Item Shortages(WORK_ITEM_SHORTAGES)
Active DirectoryActive Directory Overview(PI_AD)Cache % HitActive Directoryが有効でActive Directoryデータベースパフォーマンスカウンタがインストールされていること。
注意:Windows Server 2003(x64),Windows Server 2008(x64)ではwmiadap /fコマンドをDOSプロンプトで実行すること。
Cache Page Fault Stalls/sec
Cache Page Faults/sec
Cache Size
Log Record Stalls/sec
Log Threads Waiting
Log Writes/sec
Table Open Cache % Hit
Table Open Cache Hits/sec
Table Open Cache Misses/sec
Table Opens/sec
上記以外すべてActive Directoryが有効であること。
プロトコルNetwork Link IPX Overview(PI_LIPX)すべてWindows 2000,Windows Server 2003,Windows Server 2008の場合,NWLink IPX/SPX/NetBIOS互換トランスポートプロトコルがインストールされていること。
Network Link SPX Overview(PI_LSPX)
Network Link NetBIOS Overview(PI_LBIO)
注意
  • Windows 2000環境で,リモートレジストリサービス(サービス名:RemoteRegistry)を開始していない場合,Agent Collectorサービスは次のメッセージを出力し,停止します。
    KAVF11407-E リモートレジストリサービス(サービス名:RemoteRegistry)が起動していないため,パフォーマンスデータを取得できません(rc=リターンコード
前提コマンド
PFM - Agent for Platformで次の表に示すレコードを収集する場合,コマンドをDOSプロンプトで実行し,OSを再起動する必要があります。レコード収集に必要なコマンドを次の表に示します。
レコードID対象OS実行コマンド
PI_LOGDWindows 2000diskperf -y
PI_PHYD
PI_ADWindows Server 2003 (x64)
Windows Server 2008 (x64)
wmiadap /f

レジストリの変更について

PFM - Agent for Platformは,OSが提供する標準的な方法で設定された環境での動作しかサポートしていません。Microsoftのサポート技術情報で公開されている情報であっても,レジストリエディターでレジストリ情報を直接編集するなど,OSに特殊な設定を行っている場合,パフォーマンスデータが正しく収集できなくなることがあります。

レコードのインスタンスがユニークに識別されない場合の注意事項

PFM - Agent for Platformは,一定間隔でOSの最新情報を参照してパフォーマンスデータを収集しています。レコードのフィールドが,OSから取得した情報でレコードのインスタンスをユニークに識別できない場合,次のようになります。

  1. フィールドの末尾に項番「#n」(n=1,2,3・・・)が付加されます。
    末尾に項番が付加されるレコードのフィールドを次の表に示します。
    レコード名フィールド名
    Event Log(PD_ELOG)Source Name(SOURCE_NAME)
    Generic Data Detail(PD_GEND)Instance(INSTANCE)
    Generic Data Interval(PI_GENI)Instance(INSTANCE)
    Logical Disk Overview(PI_LOGD)ID(INSTANCE)
    NBT Overview(PI_NBT)Instance(INSTANCE)
    Nerwork Interface Overview(PI_NETI)Instance(INSTANCE)
    Page File Detail(PD_PAGF)Instance(INSTANCE)
    Physical Disk Overview(PI_PHYD)ID(INSTANCE)
    Process End Detail(PD_PEND)Program(PROCESS_NAME)
  2. PD_UPD, PD_UPDB, PI_UPI, PI_UPIBレコードでは,最初のレコードのインスタンスを採用します。
    OSから取得した情報でレコードのインスタンスをユニークに識別できない場合,レコードのインスタンスごとに収集されたパフォーマンスデータは,正しい値ですが,インスタンスに対応するデバイス(例えば,Nerwork Interface Overview(PI_NETI)レコードの場合,対応するNIC)を識別することはできません。また,システムの環境が変更された場合などに,レコードのインスタンスの整合性が保証できないため,正しいリアルタイムデータの情報の更新や,履歴データの集約ができません。

レコードが収集されない場合の注意事項およびアプリケーションイベントログ

レコードが収集されない場合の注意事項

PFM - Agent for Platformで次のレコードのパフォーマンスデータを収集する場合,パフォーマンスコンソール上でオブジェクトがモニタリング可能な状態である必要があります。各レコードに対応するオブジェクト,イベントログに出力されるソース(サービス)名,およびパフォーマンス拡張DLLを次の表に示します。

注※
各レコードに対応するオブジェクトの名称は,「パフォーマンス」で確認できます。各レコードに対応するオブジェクトが存在しない場合,Microsoft社が提供しているMicrosoft Knowledge Baseで公開されている手順に従って,モニタリング可能な状態にしてください。

 

表5-7 各レコードに対応するオブジェクト,イベントログに出力されるソース(サービス)名,およびパフォーマンス拡張DLL

カテゴリーレコード名(レコードID)オブジェクト名イベントログに出力されるソース[サービス]名パフォーマンス拡張DLL
ディスクLogical Disk Overview(PI_LOGD)LogicalDiskPerfDiskPerfDisk.dll
Physical Disk Overview(PI_PHYD)PhysicalDisk
プロトコルICMP Overview(PI_ICMP)ICMPTcpipperfctrs.dll
ICMP Version 6 Overview(PI_ICM6)ICMPv6
IP Overview(PI_IP)IPまたはIPv4
IP Version 6 Overview(PI_IP6)IPまたはIPv6
TCP Overview(PI_TCP)TCPまたはTCPv4
TCP Version 6 Overview(PI_TCP6)TCPまたはTCPv6
UDP Overview(PI_UDP)UDPまたはUDPv4
UDP Version 6 Overview(PI_UDP6)UDPまたはUDPv6
ネットワーク関連Network Interface Overview(PI_NETI)Network Interface
NBT Overview(PI_NBT)NBT Connection
WINS Server Overview(PI_WINS)WINS ServerWinswinsctrs.dll
Browser Overview(PI_BRSR)BrowserPerfNetperfnet.dll
Server Work Queues Overview(PI_SVRQ)Server Work Queues
System Overview(PI)Redirector
Server
OS全般(プロセッサ,メモリーなど)CachePerfOSPerfOS.dll
Memory
Objects
System
Processor
Processor Overview(PI_PCSR)
Page File Detail(PD_PAGF)Paging File
プロセス関連Process Detail(PD)ProcessPerfProcPerfProc.dll
Process Detail Interval(PD_PDI
Process End Detail(PD_PEND)
Workgroup Summary(PI_WGRP)
Active DirectoryActive Directory Overview(PI_AD)DatabaseESENTesentprf.dll
NTDSNTDSntdsperf.dll
DNSDNSdnsperf.dll
全般Generic Data Detail(PD_GEND)収集データ追加ユーティリティで設定したオブジェクトオブジェクトごとに異なる。
Generic Data Interval(PI_GENI)
その他Event Log(PD_ELOG)対象外(該当なし)
Device Detail(PD_DEV)
Service Process Detail(PD_SVC)

レコードが正常に収集されない場合のアプリケーションイベントログ

アプリケーションイベントログにPerflib(すべてのオブジェクトに共通のソース(サービス)名)または各オブジェクトのソース(サービス)名が記録されている場合,PFM - Agent for Platformが正常に動作しないことや,そのソース(サービス)に対応するレコードが収集できないことがあります。次の表に示すようなアプリケーションイベントログが記録されている場合,ソース(サービス)を再インストールするか,Microsoft社が提供しているMicrosoft Knowledge Baseに公開されている原因を取り除くか,ソース(サービス)の開発元に対処方法を問い合わせて,アプリケーションイベントログが記録されない環境に修復してください。PFM - Agent for Platformが正常に動作しない場合や,そのソース(サービス)に対応するレコードが収集できない場合のアプリケーションイベントログの一例を次の表に示します。

表5-8 レコードが正常に収集されない場合のアプリケーションイベントログの例

イベントIDソース
(サービス)名
イベントログの内容
1008Perflibサービス "サービス名" (DLL "DLL名") の Open プロシージャに失敗しました。 このサービスのパフォーマンス データは利用できません。返されたステータス コードは, データ DWORD 0 です。
1009Perflibサービス "サービス名" (DLL "DLL名") の Open プロシージャで,例外が発生しました。 このサービスのパフォーマンス データは利用できません。返された例外コードは, データ DWORD 0 です。
1010Perflibサービス "サービス名" (DLL "DLL名") の Collect プロシージャで,例外が発生したか,または 無効なステータスが返されました。カウンタ DLL から返されるパフォーマンス データは, パフォーマンス データ ブロックに返されません。返された例外またはステータス コードは, データ DWORD 0 です。
1011Perflib"サービス名" サービスに対して指定されたライブラリ ファイル "DLL名" を開けません でした。このサービスのパフォーマンス データは利用できません。ステータス コードは, データ DWORD 0 です。
2001Perflib"サービス名" サービスが Performance サブキーを持っていないか,またはそのキーを 開けませんでした。このサービスに対しては,パフォーマンス カウンタは収集されません。 Win32 エラー コードはデータで返されます。
2002PerflibDLL "DLL名" のサービス "サービス名" の Open プロシージャの完了までに,確立されている 待機時間よりも長い時間がかかりました。この拡張可能カウンタまたはデータを収集している サービスに問題があるか,このコールが試行されるときに,システムがビジー状態だった 可能性があります。
2000PerfDiskシステムから論理ボリューム情報を読み取れません。 戻された状態コードはデータ DWORD 0 です。
注※
上記表以外のPerflibが出力するアプリケーションイベントログについては,Microsoft社が提供しているMicrosoft Knowledge Baseを参照してください。

各レコードの注意事項

プロセスのプログラム名を使用する場合の注意事項

プロセスのプログラム名にはWindowsのパフォーマンスレジストリーから取得したデータを設定しています。これらの名称はWindowsのタスクマネージャーやシステムモニタで表示される名前とは,大文字小文字などが一致しない場合があります。

アラーム定義やレポートに表示するフィールドの表示条件の定義に,プロセスのプログラム名を使用する場合は,大文字および小文字の区別が必要になります。次の手順に従って,大文字小文字の違いを含めてのプロセスのプログラム名を確認してください。その後,確認したプロセスのプログラム名を使用して,アラーム定義での監視プロセスやレポートに表示するフィールドの表示条件などを設定してください。

  1. PFM - Web Consoleを起動する。
  2. レポートウィザードを起動する。
    レポートウィザードの起動方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,稼働分析のためのレポートの作成について説明している章を参照してください。
  3. レポートに表示するフィールドを定義する。
    レポートウィザードの[新規レポート > フィールド]画面で監視する対象となるレコードとフィールドを設定します。
    • レコード:Process Detail(PD)
    • フィールド:Program(INSTANCE)
  4. レポートウィザードに従って,レポートの作成を終了する。
  5. 作成したレポートを表示する。
    システム内のプロセスのプログラム名がすべて表示されます。

データを取得できない場合のレコード生成結果

フィールドに格納するデータを取得できない場合のレコード生成結果について説明します。

予約レコードについての注意事項

PFM - Agent for Platform 07-50以前のバージョンからPFM - Agent for Platform 08-00以降にバージョンアップした場合,履歴の収集設定時に,PFM -Web Consoleのレポートウィザードの[新規レポート >フィールド]画面の[レコード]で,PFM - Agent for Platform 08-00以降では予約レコードになっているレコードが表示され,変更操作も可能になります。この場合,PFM - Agent for Platform 08-00以降で予約レコードになっているレコードを収集対象に設定しても,レコードの収集は行われません。なお,初回の収集時だけ,共通メッセージログに次のメッセージが出力されます。

KAVF11201-W 不正な収集イベントが発生しました(レコードID, rc=保守情報

参考
PFM - Agent for Platform 08-00以降を新規インストールした場合,予約レコードはプロパティ表示されません。

Active Directoryのインストール方法

PFM - Agent for Platform 08-11以降のバージョンでは,Active Directory情報を収集するActive Directory Overview(PI_AD)レコードを使用できます。Active Directoryのパフォーマンスデータを取得するには,Active Directoryをインストールしてください。Active Directoryが有効でない環境では,メッセージ(KAVF11304-W)が出力されて,レコードの取得はできません。Active Directoryのインストール方法を次に示します。

  1. dcpromoコマンドを実行する。
    Windowsの[スタート]ボタンをクリックして,[ファイル名を指定して実行]を選択します。[ファイル名を指定して実行]ダイアログが起動されますので,[名前]ボックスにdcpromoと入力し,[OK]ボタンをクリックします。[Active Directoryのインストールウィザード]が起動します。
  2. Active Directoryをインストールする。
    [Active Directoryのインストールウィザード]の手順に従い,Active Directoryをインストールします。