付録A.2 ディスク占有量

ディスク占有量は,パフォーマンスデータを収集するレコード数によって変化します。

PFM - Agent for Service Responseのディスク占有量の見積もりについて説明します。

<この項の構成>
(1) システム全体のディスク占有量
(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量
(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

(1) システム全体のディスク占有量

システム全体のディスク占有量の見積もりを次に示します。

表A-1 システム全体のディスク占有量

PFM - Agent for Service Responseの状態ディスク占有量(単位:メガバイト)
インストール時15
運用時150+(8*R)+W
(凡例)
W:Storeデータベースで使用するディスク占有量
R:計測条件数

Storeデータベースで使用するディスク占有量は,PIレコードタイプのレコードのディスク占有量とPDレコードタイプのレコードのディスク占有量の合計で計算されます。

レコードタイプごとのディスク占有量の見積もり式については,次で説明します。

(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量

Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について説明します。

(a) 見積もり式

Storeデータベースでは,各レコードは,レコードタイプごとに一つのファイルに格納されます。Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について,レコードタイプごとに次の表に示します。

表A-2 レコードタイプごとのStoreデータベースのディスク占有量

レコードタイプディスク占有量の見積もり式(単位:バイト)
PIレコードタイプX1+.....+Xa+3,500*a
PDレコードタイプY1+.....+Yb+700*b
(凡例)
X:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集する各レコードのディスク占有量
Xの算出式を次に示します。
X={d*e+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}※1}*f*1.5
Y:PDレコードタイプのレコードで履歴データを収集する各レコードのディスク占有量
Yの算出式を次に示します。
Y={d*g+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}※1*(g/e)※2}*1.5
a:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集するレコード数
b:PDレコードタイプのレコードで履歴データを収集するレコード数
c:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※3
d:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※3
e:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数※4
f:履歴データを収集する各レコードの保存レコード数(インスタンス数は考慮しません)※5
g:履歴データを収集する各レコードの保存レコード数の上限値※6
注※1
{(d*e)/(65,250-c)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
(g/e)の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※3
各レコードの固定部および可変部のサイズについては,「9. レコード」を参照してください。
注※4
各レコードのインスタンス数は次のとおりです。
HTTP(PI_HTP),HTTPS(PI_HTPS),SMTP(PI_SMTP),POP3(PI_POP3),IMAP4(PI_IMP4),DNS(PI_DNS),DHCP(PI_DHCP),FTP(PI_FTP),TCP(PI_TCP)の場合
各サービスを計測する計測条件数
Web Transaction(PI_WT)の場合
Webトランザクションを計測する計測条件数×9
Web Transaction Overview(PI_WTO)の場合
Webトランザクションを計測する計測条件数
User Defined Service(PI_UDEF)の場合
ユーザー定義サービスを計測する計測条件数
Service Summary Interval(PI_PI)の場合
すべての計測条件数
注※5
PIレコードタイプのレコードの場合,収集したデータがある一定の区分(時,日,週,月,および年単位)に自動的に要約されるので,分,時,日,週,月,および年の部分の保存レコード数を考慮して計算する必要があります。デフォルトの保存期間と保存レコード数を次の表に示します。
データの種類保存期間保存レコード数
(収集間隔が1分の場合)
分単位1日1,440
時単位7日168
日単位1年366
週単位1年53
月単位1年12
年単位制限なし(収集年数)*1
注※6
保存レコード数については,「付録E.1 Agent Storeサービスのプロパティ一覧」を参照してください。

(b) 見積もり例

ここでは,次の前提条件を持つPIレコードタイプのHTTP(PI_HTP)の見積もり例を示します。

1,440+168+366+52+12+1=2,039レコード
g=2,039

この場合,表A-2のXの算出式は,次のとおりとなります。

X={d*e+(c+1,900)*{(d*e)/(65,250-c)+1}}*f*1.5
={360*2+(681+1,900)*{(360*2)/(65,250-681)+1}}*2,039*1.5
={720+2,581*{720/64,569+1}}*2,039*1.5
={720+2,581*1}*2,039*1.5
=3,301*2,039*1.5
=10,096,108.5(バイト)
=約9.6(MB)

(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量について説明します。

(a) 見積もり式

ディスク占有量,ファイル数,およびディレクトリ数の見積もりについて説明します。

●ディスク占有量

Storeデータベースのディスク占有量は,レコードタイプごとのディスク占有量の総和となります。PIレコードタイプについては,さらに要約区分ごとのディスク占有量の総和となります。

注意
パフォーマンスデータがStoreデータベースに格納される際,幾つかのフィールドが追加されます。追加されるフィールドは,ディスク占有量に含まれるため,新たに容量を見積もる必要はありません。各レコードに共通して追加されるフィールドはStoreバージョン1.0と同じです。詳細については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」を参照してください。
レコードタイプごとのディスク占有量Xの見積もり式(単位:バイト)

X={(e+2)*f+(d+60)*{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}※1}*a/b*(c+1)*1.1

a:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表A-3を参照してください。
b:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表A-3を参照してください。※2
c:履歴データの保存期間設定値※3。レコードタイプ,要約区分ごとに指定する単位が異なります。単位については表A-3を参照してください。
d:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※4
e:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※4
f:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数(単数インスタンスレコードの場合は1)※5。インスタンス数が2以上の場合,4の倍数に丸め込みます。例えばインスタンス数が2の場合は,f=4となります。インスタンス数が13の場合は,f=16となります。インスタンス数が1の場合は,f=1となります。

表A-3 a,b,およびcに設定する値

レコードタイプ要約区分abc
PI1,4401+(g-1)/60※2保存期間(単位:日)
241+(g-1)/3,600※2保存期間(単位:日)
71+(g-1)/86,400※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/604,800※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/2,592,000※2保存期間(単位:月)
11+(g-1)/31,622,400※2保存期間(単位:年)
PD1,440g/60保存期間(単位:日)
PL1,440g/60保存期間(単位:日)
(凡例)
g:履歴データの収集インターバル設定値(単位:秒)
-:該当しない
注※1
{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
PIレコードタイプのbの計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※3
Storeバージョン2.0のデフォルトの保存期間を次の表に示します。
レコードタイプデータの種類保存期間
PI分単位1日
時単位7日
日単位54週
週単位54週
月単位12か月
年単位制限なし
PD7日
(凡例)
-:該当しない

注※4
各レコードの固定部・可変部のサイズについては,「9. レコード」のレコードサイズを参照してください。
注※5
レコードごとのインスタンス数については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」を参照してください。

●ファイル数

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
        (A11+A12+...+A1m+m)+
        (A21+A22+...+A2m+m)+
        (A31+A32+...+A3m+m)+
        (A41+A42+...+A4m+m)+
        (A51+A52+...+A5m+m)+
        (11*m)+
        (B1+B2+...+Bn+n)
        )

m:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

n:PDレコードタイプで収集しているレコードの数

A11~A1m:PIレコードタイプのレコードごとの分レコードの保存期間設定値(単位:日)

A21~A2m:PIレコードタイプのレコードごとの時レコードの保存期間設定値(単位:日)

A31~A3m:PIレコードタイプのレコードごとの日レコードの保存期間設定値(単位:週)

A41~A4m:PIレコードタイプのレコードごとの週レコードの保存期間設定値(単位:週)

A51~A5m:PIレコードタイプのレコードごとの月レコードの保存期間設定値(単位:月)

B1~Bn:PDレコードタイプのレコードごとの保存期間設定値(単位:日)

●ディレクトリ数

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11+(Bmax))

A1max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「分」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A2max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「時」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A3max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「日」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A4max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「週」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A5max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「月」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:月)

Bmax:PDレコードタイプのレコードごとの保存期間設定値の最大値(単位:日)

●Storeサービスがオープンするファイル数

Storeサービスがオープンするファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*l+m)

l:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

m:PDレコードタイプで収集しているレコードの数

(b) 見積もり例

PFM - Agent for Service ResponseのStoreデータベース(Storeバージョン2.0)の見積もり例について説明します。

●ディスク占有量

PI_HTPレコードを収集する設定にした場合を例に挙げて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

d=681(バイト)
e=360(バイト)
f=4
g=60(秒)

次に,分レコード,時レコードなどそれぞれの計算を行います。

分レコード
変数を次の値とします。

a=1,440
b=1+(60-1)/60
=1.98...
=1(小数点以下切り捨て)
c=3(日)

見積もり式を次に示します。

X(分)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*1,440/1*(3+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*1,440*4*1.1
     = 2,189*1,440/1*4*1.1
     = 13,869,504(バイト)
     = 約13(MB)

時レコード
変数を次の値とします。

a=24
b=1+(60-1)/3,600
=1.01...
=1(小数点以下切り捨て)
c=3(日)

見積もり式を次に示します。

X(時)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*24/1*(3+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*24*4*1.1
     = 2,189*24*4*1.1
     = 231,158.4(バイト)
     = 約0.2(MB)

日レコード
変数を次の値とします。

a=7
b=1+(60-1)/86,400
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(週)

見積もり式を次に示します。

X(日)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*7/1*(1+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*7*2*1.1
     = 2,189*7*2*1.1
     = 33710.6(バイト)
     = 約0.03(MB)

週レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/604,800
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(週)

見積もり式を次に示します。

X(週)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*1/1*(1+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*1*2*1.1
     = 2,189*1*2*1.1
     = 4815.8(バイト)
     = 約0.005(MB)

月レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/2,592,000
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(月)

見積もり式を次に示します。

X(月)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*1/1*(1+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*1*2*1.1
     = 2,189*1*2*1.1
     = 4815.8(バイト)
     = 約0.005(MB)

年レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/31,622,400
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=10(固定)

見積もり式を次に示します。

X(年)={(360+2)*4+(681+60)*{((360+2)*4)/(65,250-681)+1}}*1/1*(10+1)*1.1
     = {362*4+741*1}*1*11*1.1
     = 2,189*1*11*1.1
     = 26486.9(バイト)
     = 約0.03(MB)

以上から,PI_LOGDレコードの見積もりは次のようになります。

X(合計)=X(分)+X(時)+X(日)+X(週)+X(月)+X(年)
        =13.27(MB)
        =約13(MB)

●ファイル数

PI_HTPおよびPI_HTPSレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。「(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

m=2
n=なし
A11~A1m=3(日)
A21~A2m=3(日)
A31~A3m=1(週)
A41~A4m=1(週)
A51~A5m=1(月)
B1~Bn=不要

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
        (A11+A12+...+A1m+m)+
        (A21+A22+...+A2m+m)+
        (A31+A32+...+A3m+m)+
        (A41+A42+...+A4m+m)+
        (A51+A52+...+A5m+m)+
        (11*m)
        )
=20+2*{(3+3+2)+(3+3+2)+(1+1+2)+(1+1+2)+(1+1+2)}
=20+2*{8+8+4+4+4}
=20+2*28
=76

●ディレクトリ数

PI_HTPおよびPI_HTPSレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。

(3)(a) 見積もり式」のディレクトリ数の見積もり式で示した変数が次の値とします。

A1max=3(日)(考え方:PI_HTPが2日,PI_HTPSが3日の場合は3日となります)
A2max=3(日)
A3max=1(週)
A4max=1(週)
A5max=1(月)
Bmax=なし

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11+(Bmax))
=25+2*(3+3+1+1+1+11)
=25+2*20
=65

●Storeサービスがオープンするファイル数

PI_HTPおよびPI_HTPSレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。

(3)(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

l=2
m=0

Storeサービスがオープンするファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*2)
=20+2*12
=44