3.4.1 Webトランザクションの定義(Webトランザクションファイルの作成)
Webトランザクションファイルを作成し,一連のトランザクションでアクセスするWebページのフレームごとに,URLやWeb認証,プロキシ利用などの情報を定義します。
Webトランザクションファイルを作成するには,次の二つの方法があります。
- Web Recorderを使用する
Webトランザクションの定義量が多い場合,Web Recorderを使用してWebトランザクションファイルを作成します。
- 直接Webトランザクションファイルを編集する
Webトランザクションの定義量が少ない場合は,直接Webトランザクションファイルを編集することもできます。
Webトランザクションファイルは,次のフォルダに格納しておく必要があります。ファイル名は任意,拡張子は.xmlです。なお,このフォルダの配下にある拡張子がxmlのファイルは,すべてWebトランザクションファイルとして扱われます。
- Webトランザクションファイル格納先フォルダ
- インストール先フォルダ¥agtv¥probe¥webtrans配下
Webトランザクションファイルの書式については,「7.4 Webトランザクションファイル」を参照してください。
ここでは,Web Recorderを使用したWebトランザクションファイルの作成方法について説明します。
- <この項の構成>
- (1) Webトランザクションファイル作成の流れ
- (2) ステップ情報の定義
- (3) ステップ情報のカスタマイズ
- (4) スコープの設定
- (5) 既存のWebトランザクション定義を表示・編集する
- (6) トランザクションの設定
(1) Webトランザクションファイル作成の流れ
Web Recorderには,次の二つのモードがあります。
- IEモード
Web RecorderからIEの画面をウィンドウに呼び出し,そのウィンドウ上で実行するブラウザー操作を記録することによってWebトランザクションを定義するモードです。最初にアクセスするURLを入力することでIE画面を表示できます。
- 直接入力モード
IEの画面を使用しないで,直接URLを入力することでWebトランザクションを定義するモードです。
それぞれのモードでの,Webトランザクション定義の流れを次に示します。
図3-2 Webトランザクション定義の流れ
![[図データ]](figure/zuv03002.gif)
Web Recorderを使ってWebトランザクションを定義する手順を説明します。
- Webトランザクション定義の事前準備
- Webトランザクションの定義を開始する前に,Webトランザクションとして定義する一連の処理を決定しておいてください。また,IEモードで定義する場合は最初にアクセスするURLを,直接入力モードで定義する場合はアクセスするすべてのURLを控えておいてください。
(2) ステップ情報の定義
Webトランザクションでアクセスするページの情報をステップ情報として定義します。Web Recorderには,IEモードと直接入力モードの二つの定義モードがあり,それぞれのモードによってステップ情報の定義方法は異なります。
- IEモードの場合
[Web Recorder](メイン)画面の[IEウィンドウ]でブラウザー操作を行うことによってステップ情報を自動記録します。
- 直接入力モードの場合
アクセスするページのステップ情報の一つ一つを手入力で定義していきます。
ステップ情報の項目一覧と,IEモードの場合に自動記録される項目および直接入力モードの場合に設定が必要な項目を次の表に示します。
表3-4 ステップ情報の項目一覧と必須項目
項目 | IEモード | 直接入力モード |
---|
URL | 自動記録 | 設定必須 |
タイトル | 自動記録 | - |
フレーム名 | 自動記録 | - |
文字セット | - | - |
リクエスト情報の文字セット | - | - |
メソッド | 自動記録 | 設定必須 |
Content-Type | 自動記録 | -※6 |
メッセージボディ | 自動記録 | -※6 |
Cookie | - | - |
Web認証 | Web認証を行う | - | - |
Web認証ユーザー名 | -※1 | -※7 |
パスワードユーティリティを使用 | - | - |
Web認証パスワード | -※2 | -※8 |
プロキシ | プロキシ設定 | - | - |
プロキシホスト名 | -※3 | -※9 |
プロキシポート番号 | -※3 | -※9 |
プロキシ認証を行う | - | - |
プロキシユーザー名 | -※4 | -※10 |
パスワードユーティリティを使用 | - | - |
プロキシパスワード | -※5 | -※11 |
レスポンス判定条件 | - | - |
可変文字列 | - | - |
- (凡例)
- -:自動記録されない,または設定が必須でない項目。
- 注※1
- Web認証をする場合は直接入力が必要。
- 注※2
- Web認証をする場合で,かつパスワードユーティリティを使用しない場合は直接入力が必要。
- 注※3
- プロキシの設定で[このプロパティの値を使用]を選択した場合は直接入力が必要。
- 注※4
- プロキシ認証をする場合は直接入力が必要。
- 注※5
- プロキシ認証をする場合で,かつパスワードユーティリティを使用しない場合は直接入力が必要。
- 注※6
- POSTメソッドを使用する場合は必須項目。
- 注※7
- Web認証をする場合は必須項目。
- 注※8
- Web認証をする場合で,かつパスワードユーティリティを使用しない場合は必須項目。
- 注※9
- プロキシの設定で[このプロパティの値を使用]を選択した場合は必須項目。
- 注※10
- プロキシ認証をする場合は必須項目。
- 注※11
- プロキシ認証をする場合で,かつパスワードユーティリティを使用しない場合は必須項目。
各モードの定義方法について説明します。
(a) IEモードの場合
IEモードでステップ情報を記録する手順を次に示します。
- Windowsの[スタート]メニューから[プログラム]-[Performance Management]-[Agent Option for Service Response]-[Web Recorder]を選択する。
[Web Recorder](メイン)画面が表示されます。
- [トランザクション]-[新規作成]を選択する。
[Webトランザクションの作成]画面が表示されます。
- [Webトランザクションファイル名]に保存先のWebトランザクションファイル名を,[Webトランザクション名]に定義するWebトランザクションの名前を指定し,[OK]ボタンをクリックする。
- 注意事項
- Webトランザクション名は,同じWebトランザクションファイルの中で一意の名称を指定してください。また,半角の「|(ストローク)」は使用しないでください。
- [Web Recorder](メイン)画面の[アドレス]に,最初にアクセスするページのURLを入力し,[移動]ボタンをクリックする。
[IEウィンドウ]に入力したURLのページが表示されます。
- [IEウィンドウ]でブラウザー操作を行う。
アクセスしたURLに関するステップ情報が自動記録され,[URLリスト]にアクセス先URLが追加されます。
- 必要に応じてステップ情報のカスタマイズ,スコープの設定を行う。
ステップ情報のカスタマイズは「(3) ステップ情報のカスタマイズ」を,スコープの設定は「(4) スコープの設定」を参照してください。
- 必要に応じて計測条件を設定する。
計測条件の設定については,「(6) トランザクションの設定」を参照してください。
- [トランザクション]-[上書き保存]を選択する。
Webトランザクションファイルは,次のディレクトリに格納されます。
インストール先フォルダ¥agtv¥probe¥webtrans配下
- 注意事項
- IEモードでの定義の際は,次の点に注意してください。
- [IEウィンドウ]の動作は,PFM - Agent for Service ResponseがインストールされているマシンのIEの設定などに依存します。したがって,Webトランザクションを定義する際,IEの動作に影響を与えるようなアプリケーションが動作している環境下では,Web RecorderはIEが受ける影響と同じ影響を受けることになります。
- [IEウィンドウ]内に表示されるページで,ウィンドウのリサイズなど,ウィンドウ自体を制御するスクリプトを実行した場合,正常に動作しないことがあります。なお,新規にウィンドウを起動してページを表示するようなスクリプトは実行できます。ただし,この場合のウィンドウは[IEウィンドウ]と同じ形式で表示され,通常IEにあるようなメニューなどは表示されません。[IEウィンドウ]から起動した新規のウィンドウでも,そのウィンドウを使用してステップ情報の記録を続けることはできます。
(b) 直接入力モードの場合
直接入力モードでステップ情報を定義する場合の手順を次に示します。
- Windowsの[スタート]メニューから[プログラム]-[Performance Management]-[Agent Option for Service Response]-[Web Recorder]を選択する。
[Web Recorder](メイン)画面が表示されます。
- [トランザクション]-[新規作成]を選択する。
[Webトランザクションの作成]画面が表示されます。
- [Webトランザクションファイル名]に保存先のWebトランザクションファイル名を,[Webトランザクション名]に定義するWebトランザクションの名前を指定し,[OK]ボタンをクリックする。
- 注意事項
- Webトランザクション名は,同じWebトランザクションファイルの中で一意の名称を指定してください。また,半角の「|(ストローク)」は使用しないでください。
- [Web Recorder](メイン)画面で[編集]-[最後に追加]を選択する。
[プロパティ]画面が表示されます。
- [URL]にアクセスするページのURLを入力し,必要に応じて各項目を設定する。
[プロパティ]画面では,ステップごとの計測条件を設定します。設定項目の詳細については,「6.2.7 [プロパティ]画面」を参照してください。
- [OK]ボタンをクリックする。
設定したステップ情報のURLが[URLリスト]の最後に追加されます。
- ステップの数だけ,手順4~6を繰り返し,Webトランザクションでアクセスするすべてのページの情報を設定する。
- 必要に応じてステップ情報のカスタマイズ,スコープの設定を行う。
ステップ情報のカスタマイズは「(3) ステップ情報のカスタマイズ」を,スコープの設定は「(4) スコープの設定」を参照してください。
- 必要に応じて計測条件を設定する。
計測条件の設定については,「(6) トランザクションの設定」を参照してください。
- [トランザクション]-[上書き保存]を選択する。
Webトランザクションファイルは,次のディレクトリに格納されます。
インストール先フォルダ¥agtv¥probe¥webtrans配下
(3) ステップ情報のカスタマイズ
IEモードで記録したステップ情報や直接入力モードで定義したステップ情報をカスタマイズ(ステップ情報の挿入,追加,変更,削除)する手順を次に示します。
(a) ステップ情報の挿入
ステップ情報を挿入する手順を次に示します。
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]でステップ情報を挿入したい行を選択し,[編集]-[挿入]を選択する。
[プロパティ]画面が表示されます。
- [URL]にアクセスするページのURLを入力し,必要に応じて各項目を設定する。
[プロパティ]画面では,ステップごとの計測条件を設定します。設定項目の詳細については,「6.2.7 [プロパティ]画面」を参照してください。
- [OK]ボタンをクリックする。
[URLリスト]で指定した場所に,設定したステップ情報のURLが挿入されます。
(b) ステップ情報の追加
ステップ情報を追加する手順を次に示します。
- [Web Recorder](メイン)画面で[編集]-[最後に追加]を選択する。
[プロパティ]画面が表示されます。
- [URL]にアクセスするページのURLを入力し,必要に応じて各項目を設定する。
[プロパティ]画面では,ステップごとの計測条件を設定します。設定項目の詳細については,「6.2.7 [プロパティ]画面」を参照してください。
- [OK]ボタンをクリックする。
設定したステップ情報のURLが[URLリスト]の最後に追加されます。
(c) ステップ情報の変更
ステップ情報の設定内容を変更する手順を次に示します。
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]で編集したいステップのURLを選択し,[編集]-[プロパティ]を選択する。
[プロパティ]画面が表示されます。
- 設定を変更する。
[プロパティ]画面の設定項目については,「6.2.7 [プロパティ]画面」を参照してください。
- [OK]ボタンをクリックする。
URLを変更した場合は,[URLリスト]に表示されていたURLが変更されます。
(d) ステップ情報の削除
ステップ情報を削除する手順を次に示します。
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]で削除したステップのURLを選択し,[編集]-[削除]を選択する。
[URLリスト]で選択していたステップ情報のURLが削除されます。
(4) スコープの設定
任意のページ遷移について監視する場合は,ページ遷移の範囲にスコープの起点と終点を設定します。スコープの起点と終点を設定,または削除する手順を次に示します。
(a) スコープの起点の設定
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]で,スコープの起点にしたいURLを選択する。
- [スコープ起点]ボタンをクリックする。
[スコープの選択]画面が表示されます。[スコープの選択]画面の[スコープ一覧]には,起点が設定されていないスコープ名(スコープ1~スコープ8)が表示されます。
- [スコープ一覧]から起点を設定したいスコープ名を選択する。
- [OK]ボタンをクリックする。
[URLリスト]で選択したURLの前に,「START スコープ名」が表示されます。
(b) スコープの終点の設定
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]で,スコープの終点にしたいURLを選択する。
- [スコープ終点]ボタンをクリックする。
[スコープの選択]画面が表示されます。[スコープの選択]画面の[スコープ一覧]には,起点が設定されていて,かつ終点が設定されていないスコープ名(スコープ1~スコープ8)が表示されます。
- [スコープ一覧]から終点を設定したいスコープ名を選択する。
- [OK]ボタンをクリックする。
[URLリスト]で選択したURLの前に,「END スコープ名」が表示されます。
(c) スコープの削除
- [Web Recorder](メイン)画面の[URLリスト]で,削除したいスコープの起点(START スコープ名)または終点(END スコープ名)を選択する。
- [スコープ]-[スコープ削除]を選択する。
起点を選択している場合は対応する終点を,終点を選択している場合は対応する起点を削除するかどうか選択するダイアログボックスが表示されます。
- 選択している起点または終点に対応する終点または起点も削除する場合は[はい]ボタンを,選択している起点または終点だけを削除する場合は[いいえ]ボタンをクリックする。
[はい]ボタンをクリックした場合は,選択したスコープの起点または終点と,それに対応する終点または起点の両方が削除されます。[いいえ]ボタンをクリックした場合は,選択したスコープの起点または終点だけが削除されます。
(5) 既存のWebトランザクション定義を表示・編集する
既存のWebトランザクション定義を表示・編集する場合は,次の手順で既存のWebトランザクション情報を読み込みます。
- Windowsの[スタート]メニューから[プログラム]-[Performance Management]-[Agent Option for Service Response]-[Web Recorder]を選択する。
[Web Recorder](メイン)画面が表示されます。
- [トランザクション]-[開く]を選択する。
[Webトランザクションの選択]画面が表示されます。
- [Webトランザクションファイル一覧]および[Webトランザクション一覧]で表示・編集したいWebトランザクションファイル名およびWebトランザクション名を選択し,[OK]ボタンをクリックする。
[Web Recorder](メイン)画面の各項目に,定義済みのステップ情報が表示されます。表示されたステップ情報を編集する場合は,「(3) ステップ情報のカスタマイズ」の各手順を参照してください。
- 編集したWebトランザクション定義を上書き保存する場合は[トランザクション]-[上書き保存]を,別のWebトランザクション定義として保存する,または別ファイルに保存する場合は[トランザクション]-[名前を付けて保存]を選択する。
[名前を付けて保存]を選択した場合は,[Webトランザクションファイル名]および[Webトランザクション名]を指定します。
Webトランザクションファイルは,次のディレクトリに格納されます。
インストール先フォルダ¥agtv¥probe¥webtrans配下
- 注意事項
- Webトランザクション名は,同じWebトランザクションファイルの中で一意の名称を指定してください。また,半角の「|(ストローク)」は使用しないでください。
(6) トランザクションの設定
Webトランザクション全体に対する計測条件を設定します。Webトランザクションの計測条件を設定する手順を次に示します。
- [Web Recorder](メイン)画面で,[トランザクション]-[トランザクションの設定]を選択する。
[トランザクションの設定]画面が表示されます。
- 必要な項目について設定する。
[トランザクションの設定]画面には,次の四つのタブがあります。
- [トランザクション]タブ
- [リクエスト情報]タブ
- [デフォルトプロキシ]タブ
- [SSL認証]タブ
[トランザクションの設定]画面の詳細については,「6.2.6 [トランザクションの設定]画面」を参照してください。
- [OK]ボタンをクリックする。
- 補足事項
- [デフォルトプロキシ]タブの設定は,[プロパティ]画面の[プロキシ]タブで設定する各ステップ情報のプロキシ設定のデフォルトになります。各ステップのステップ情報の定義でプロキシに関する設定を省略した場合は,[トランザクションの設定]画面の[デフォルトプロキシ]タブで設定した値が使われます。また,各ステップで設定した場合は,ステップごとの設定が優先されます。