5.3.4 セットアップ

ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。

注意
JPC_HOSTNAME環境変数は,Performance Managementで使用していますので,環境変数として設定しないでください。誤って設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
<この項の構成>
(1) PFM - Agent for Service Responseを登録する
(2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする
(3) 待機系の論理ホスト環境をセットアップする
(4) クラスタソフトへ登録する
(5) 起動・停止の確認
(6) クラスタシステムでの環境を設定する

(1) PFM - Agent for Service Responseを登録する

Performance Managementシステムに,PFM - Agent for Service Responseを追加する場合には,PFM - Agent for Service Responseを登録するためのセットアップが必要です。

PFM - Agent for Service Responseの登録は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleで実施します。PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は,PFM - Agentは自動的に登録されるため,登録作業は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは,手動で登録する必要があります。PFM - Agent for Service Responseのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。

PFM - Agent for Service Responseを登録する手順は非クラスタシステムの場合と同じです。登録手順については,「2.1.4 PFM - Agent for Service Responseのセットアップ手順」を参照してください。

(2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする

実行系ノードで,PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト環境をセットアップします。

注意
セットアップを実施する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementシリーズプログラムのサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。

(a) 共有ディスクをオンラインにする

共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。

(b) PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト環境をセットアップする

jpchasetup createコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義を設定されて,論理ホスト環境が作成されます。

手順を次に示します。

  1. jpchasetup createコマンドを実行して,PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト環境を作成する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup create agtv -lhost jp1-halsr -d S:¥jp1

    論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-halsrとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
    共有ディスクのディレクトリ名は,-dの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d S:¥jp1と指定するとS:¥jp1¥jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
  2. jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup list all

    作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。

(c) 接続先PFM - Managerを設定する

jpcnshostnameコマンドを実行して,PFM - Agent for Service Responseを管理するPFM - Managerを設定します。なお,PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は自動的に登録されるため,登録作業は不要です。

  1. jpcnshostnameコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halsr

    接続先PFM - Managerのホスト名は,-sオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-sオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
    また,PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト名は,-lhostで指定します。ここでは,PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト名をjp1-halsrとしています。

(d) PFM - Agent for Service Responseの起動オプションの設定

クラスタ運用をする場合の起動オプションとして,Probe動作条件定義ファイルの[Cluster]セクションのshared_directoryに共有ディレクトリを設定します。

PFM - Agent for Service Responseでは,実行系・待機系の切り替え時に情報を共有するため,共有ディスク上のディレクトリ配下に,次の表に示すファイルを作成します。共有ファイルの格納先ディレクトリを次の表に示します。

表5-3 共有ファイルの格納先ディレクトリ

共有ファイルの種別共有ファイルの格納先ディレクトリ
レポートファイル共有ディスク上のディレクトリ¥jp1pc¥agtv¥probe¥report
レポート一時ファイル共有ディスク上のディレクトリ¥jp1pc¥agtv¥probe¥tmp
計測条件登録ファイル共有ディスク上のディレクトリ¥jp1pc¥agtv¥probe¥task¥esp

共有ファイルの格納先ディレクトリに関する留意事項は次のとおりです。

Probe動作条件定義ファイル(esp.conf)の[Cluster]セクションに,次の両方の設定が必要です。

共有ディスク上のディレクトリ配下の構成例を次に示します。この例の場合,Probe動作条件定義ファイルの[Cluster]セクションのshared_directoryには,「T:¥shdsk」を指定する必要があります。

(例)共有ディスク上のディレクトリとして「T:¥shdsk」を指定する場合

T:¥shdsk¥jp1pc¥agtv¥probe¥report
T:¥shdsk¥jp1pc¥agtv¥probe¥tmp
T:¥shdsk¥jp1pc¥agtv¥probe¥task¥esp

これ以外の起動オプションの設定については,「2.1.4 PFM - Agent for Service Responseのセットアップ手順」を参照してください。また,Probe動作条件定義ファイルの詳細については,「7.2 Probe動作条件定義ファイル(esp.conf)」を参照してください。

(e) 計測条件の定義

PFM - Agent for Service Responseが各インターネットサービスの応答時間を計測するときの,計測条件を定義します。計測条件の定義については,「2.1.4 PFM - Agent for Service Responseのセットアップ手順」を参照してください。

(f) サービス計測のための定義

Webトランザクションの定義,ユーザー定義コマンドの定義,パスワードの登録,計測対象へのラベル定義など,サービス計測のための定義をします。サービス計測のための定義については,「2.1.4 PFM - Agent for Service Responseのセットアップ手順」を参照してください。

(g) その他のPerformance Managementシリーズプログラムの論理ホスト環境をセットアップする

PFM - Agent for Service Responseのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。

セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。

(h) ネットワークの設定をする

ファイアウォールがあるネットワーク環境でPerformance Managementシリーズプログラムを運用する場合だけに必要な設定です。ファイアウォール経由でPerformance Managementシリーズプログラム間の通信をする場合には,jpcnsconfig portコマンドを使用してポート番号を設定します。

ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,Windows用のインストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。

また,複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスの設定をします。IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。

IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」のWindows用のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

注意
jpchostsファイルを編集した場合は,jpchostsファイルを実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。

(i) 論理ホスト環境定義をエクスポートする

PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementシリーズプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementシリーズプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。

論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。

  1. jpchasetup exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
    これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
    例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup export -f lhostexp.txt

(j) 論理ホスト環境定義ファイルを待機系ノードにコピーする

「(i) 論理ホスト環境定義をエクスポートする」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。

(k) 共有ディスクをオフラインにする

クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。

(3) 待機系の論理ホスト環境をセットアップする

待機系ノードで,PFM - Agent for Service Responseの論理ホスト環境をセットアップします。

(a) 論理ホスト環境定義をインポートする

実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。

実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementシリーズプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpchasetup importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementシリーズプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。

なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。

  1. jpchasetup importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup import -f lhostexp.txt

    コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for Service Responseを起動するための設定が実施されます。
    また,セットアップ時にjpcnsconfig portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
  2. jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup list all

    実行系ノードでjpchasetup listを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。

(b) PFM - Agent for Service Response用各定義ファイルをコピーする

「(2) 実行系ノードの論理ホスト環境をセットアップする」の「(d) PFM - Agent for Service Responseの起動オプションの設定」,「(e) 計測条件の定義」,「(f) サービス計測のための定義」で作成した各定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。

(4) クラスタソフトへ登録する

Performance Managementシリーズプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementシリーズプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。

ここでは,PFM - Agent for Service Responseをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。

(a) クラスタソフトへPFM - Agent for Service Responseを登録する

PFM - Agent for Service Responseをクラスタソフトに登録するときの設定内容を説明します。

PFM - Agent for Service Responseの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。

表5-4 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for Service Responseのサービス

番号名前サービス名依存関係
1PFM - Agent Store for ServiceResponse [LHOST]JP1PCAGT_VS [LHOST]IPアドレスリソース
物理ディスクリソース
2PFM - Agent for ServiceResponse [LHOST]JP1PCAGT_VA [LHOST]#1のクラスタリソース
3Extensible Service ProbeJP1ESP共有ディスク
論理ホスト名
4PFM - Action Handler [LHOST]JP1PCMGR_PH [LHOST]IPアドレスリソース
物理ディスクリソース

[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。論理ホスト名がjp1-halsrの場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for Service Response [jp1-halsr]」,サービス名は「JP1PCAGT_VS [jp1-halsr]」のようになります。

MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,MSCSの設定項目です。

注意
クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpchasetup createコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。また,次のコマンドで強制停止しないでください。
jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate

(5) 起動・停止の確認

クラスタソフトからの操作で,Performance Managementシリーズプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。

(6) クラスタシステムでの環境を設定する

Performance Managementシリーズプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementシリーズプログラムの環境を設定します。

Performance Managementプログラムの環境の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management システム構築・運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。