この項では,複合レポートの応用的な使い方の例を示します。
(1) 同一レコードの異なるフィールドのレポートを表示する
同一レコード上の異なるフィールドのレポートを一つのグラフに表示する場合,フィールド同士でデータの単位やスケールに大きな差異がないか注意する必要があります。
フィールド同士でデータの単位やスケールに大きな差異がある場合,通常のレポートと複合レポートとでは表示結果が次のように異なります。
複合レポートで作成したグラフの例を次の図に示します。この図では,フィールド「転送パケット数(最大値:33,000pkt)」とフィールド「転送速度(最大値:1,500ms)」を一つのグラフに表示させています。
図11-36 同一レコードで異なるフィールドのレポートを表示する場合
この複合レポートの登録手順は次のとおりです。
(2) 異なるエージェント種別の同系レコードをレポート表示する
異なるエージェント種別の同系レコードを一つのグラフに表示させると,レコード値を比較できます。しかし,通常のレポートの場合,異なるエージェントの情報は同じグラフ上に表示できません。
複合レポートの場合,複合ブックマークの編集で,該当するレポートを同じ系列グループに設定することで,これらのレコードを同じグラフ上に表示できます。また,グラフ種類に「積み上げ棒」などを設定することで,積み上げて合計されたデータ規模を視覚的に確認することもできます。
複合レポートで作成したグラフの例を次の図に示します。この図では,フィールド「Windows1」と「UNIX1」のCPU(単位:%)を一つのグラフに表示させています。
図11-37 異なるエージェント種別の同系レコードをレポート表示する場合
この複合レポートの登録手順は次のとおりです。
(3) 異なるエージェント種別の異なるレコードをレポート表示する
複合レポートでは,異なるエージェントの異なるレコード同士も,同じグラフ上に表示できます。例えば,複数レコード間の変動値に相関性がある場合などに,視覚的に確認できて便利です。
複合レポートによるグラフの作成結果の例を次の図に示します。この例では,変動値に相関性がある次の二つのフィールドを同じグラフ上に表示させています。
図11-38 異なるエージェント種別の異なるレコードをレポート表示する場合
この複合レポートの登録手順は次のとおりです。
(4) ベースラインと同時にレポート表示する
複合レポートではベースラインとして,周期性を持つ過去のレポートデータや,安定稼働時のレポートデータをあわせて表示できます。これによって,現在のレポートと比較し,異常発生の有無や傾向を把握しやすくなります。
グラフの作成結果の例を次の図に示します。この図では,過去のレポートをベースラインとし,それぞれの24時間のアクセス数(最大値:2000件)を同じグラフ上に表示させています。
図11-39 ベースラインと同時にレポート表示する場合
この複合レポートの登録手順は次のとおりです。
(5) さまざまな複合レポートを組み合わせて利用する
(1)~(4)の手法を応用することで,システム全体を総合的に判断するためのグラフが作成できます。また,複合レポートとして表示した情報データに着目して,個別登録レポートへドリルダウンすることで,より詳細なデータ監視へ視点を切り替えることができます。
次に示す図では,Web3階層システム(Webサーバ/アプリケーションサーバ/データベースサーバ)に対して,システム運用監視の例を示します。この例では次の視点で監視します。
これらをデータごとに系列グループにまとめ,複合レポートとして一つのグラフに表示します。縦軸のスケールは系列グループごとに設定できるため,システム全体の稼働性能の推移を相対的に比較できます。
グラフの作成結果の例を次の図に示します。
図11-40 さまざまなレポートを組み合わせたときの例
この複合レポートの登録手順は次のとおりです。