15.2.2 PFM - Managerのインストールとセットアップ

クラスタシステムにPFM - Managerをインストールおよびセットアップする方法について説明します。

<この項の構成>
(1) インストールとセットアップの流れ
(2) インストール手順 
(3) セットアップ手順
(4) クラスタソフトの設定手順

(1) インストールとセットアップの流れ

論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れについて,次の図に示します。

図15-9 論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れ(Windowsの場合)

[図データ]

注意
  • 論理ホスト環境のPFM - Managerをセットアップすると,物理ホスト環境のPFM - Managerは実行できなくなります。ただし,Action Handlerサービスは物理ホスト環境で運用するPFM - Agentも使用するため,実行できる状態のまま変更されません。
    論理ホスト環境のPFM - Managerをアンセットアップすると,物理ホスト環境のPFM - Managerが実行できるようになります。
  • 論理ホスト環境のPFM - Managerをセットアップすると,物理ホスト環境のPFM - Managerの定義内容がそのまま論理ホスト環境に引き継がれます。ただし,Storeデータベースの内容は引き継がれません。なお,論理ホスト環境のPFM - Managerをアンセットアップすると論理ホスト環境の定義内容やStoreデータベースが削除されるので,物理ホスト環境に引き継ぎできません。
  • JPC_HOSTNAME環境変数は,Performance Managementで使用していますので,環境変数として設定しないでください。誤って設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
  • 新たに論理ホスト環境のPFM - Managerをセットアップすると,物理ホスト環境のPFM - Managerに対してヘルスチェック機能を有効にしていた場合でも,ヘルスチェック機能の設定は論理ホスト環境のPFM - Managerには引き継がれません。
  • 論理ホスト環境では,監視ホスト名設定機能は使用できません。論理ホスト上のjpccomm.iniファイルは無視され,論理ホストで設定されたホスト名が有効になります。

以降に,PFM - Managerのインストールの手順,セットアップの手順,およびクラスタソフトの設定手順について説明します。

手順中の[図データ]は実行系ノードで行う項目を,[図データ]は待機系ノードで行う項目を示します。また,[図データ]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

(2) インストール手順[図データ] [図データ]

実行系ノードおよび待機系ノードに,PFM - Managerを新規インストールします。インストール手順は非クラスタシステムの場合と同じです。インストール手順の詳細については,「5.1.3 インストール手順」を参照してください。

注意
インストール先はローカルディスクです。共有ディスクにはインストールしないでください。

(3) セットアップ手順

PFM - Managerのセットアップは,まず実行系ノードで行います。次に,実行系ノードでセットアップした内容を環境定義ファイルにエクスポートします。最後にその環境定義ファイルを待機系ノードにインポートすることで,実行系ノードから待機系ノードへセットアップの内容を反映させます。

図15-10 実行系ノードでセットアップした内容を待機系ノードへ反映する方法

[図データ]

各セットアップについて,次に説明します。

(a) PFM - Agent情報の追加セットアップ[図データ]  [図データ] [図データ]

クラスタシステムでPFM - Agentを一元管理するために,実行系ノードおよび待機系ノードのPFM - Managerに,PFM - Agentのエージェント情報を登録します。

PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,PFM - Agent情報の追加セットアップは不要です。ただし,PFM - Managerより後でリリースされたPFM - Agentについては手動で登録する必要があります。PFM - ManagerおよびPFM - Agentのリリース時期についてはリリースノートを参照してください。

セットアップの手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「5.1.4 (1) PFM - Agentの登録」を参照してください。

注意
  • PFM - Managerと同一のホストにPFM - Agentを追加する場合は,追加セットアップは必要ありません。

(b) 共有ディスクのオンライン[図データ]

共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャーの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。

(c) PFM - Managerの論理ホストのセットアップ[図データ]

実行系ノードで,PFM - Managerの論理ホスト環境をセットアップします。セットアップを実施する前に,システム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止する必要があります。

手順を次に示します。

  1. 論理ホスト環境を作成する。
    jpchasetup createコマンドを実行して,PFM - Managerの論理ホスト環境を作成します。
    論理ホスト名は,-lhostで指定します。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。共有ディスクのディレクトリ名は,-dの環境ディレクトリ名に指定します。
    例えば,論理ホスト名がjp1-ha1で環境ディレクトリがS:¥jp1の論理ホストをセットアップする場合は,次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup create mgr -lhost jp1-ha1 -d S:¥jp1

    このコマンドを実行すると,S:¥jp1の配下にjp1pcディレクトリが作成され,論理環境で必要なファイルが環境ディレクトリにコピーされます。例を次の図に示します。

    [図データ]

    コマンドを実行すると,実行系ノードのローカルディスクから,必要なデータが共有ディスクにコピーされ,論理ホスト運用するために必要な設定が行われます。
    jpchasetup createコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
  2. 論理ホスト環境の設定を確認する。
    jpchasetup listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認し,作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。

    jpchasetup list all

    コマンドの実行例を次に示します。

    [図データ]

    jpchasetup listコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

(d) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ[図データ] [図データ]

PFM - Managerのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - Agentがある場合だけに必要な手順です。

セットアップ手順については,各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。

(e) ネットワークの設定[図データ]

論理ホスト名でPFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信をするために,環境ディレクトリ¥jp1pc¥mgr¥viewsvr¥jpcvsvr.iniファイルに次の行を追加してください。

java.rmi.server.hostname=論理ホスト名

PFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信で使用するホスト名については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,ポート番号について説明している個所を参照してください。

また,ネットワーク構成に応じて,IPアドレスとポート番号を変更する場合は,次の手順で設定してください。

(f) ログのファイルサイズ変更[図データ]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。

詳細については,「5.4.1 共通メッセージログのファイルサイズ設定」を参照してください。

(g) 認証モードの設定[図データ]

Performance Managementの認証モードをPFM認証モードからJP1認証モードに変更したい場合にだけ,必要な設定です。

詳細については,「8. ユーザーアカウントの管理」を参照してください。

(h) イベントデータの格納先の変更[図データ]

PFM - Managerで管理されるイベントデータの格納先,バックアップ先,またはエクスポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。

イベントデータは,デフォルトで次の場所に格納されます。

変更方法についての詳細は,「5.4.2 イベントデータの格納先の変更」を参照してください。

(i) 動作ログ出力の設定[図データ]

アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。設定方法については,「付録H 動作ログの出力」を参照してください。

(j) ヘルスチェック機能の設定[図データ] [図データ]

実行系のPFM - Managerホスト上でヘルスチェック機能のセットアップコマンドを次のように実行します。

jpcstsetup hcenable

jpcstsetup hcenableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

(k) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート[図データ]

実行系ノードでPFM - Managerの論理ホスト環境が作成できたら,待機系ノードに実行系ノードの設定情報を反映します。まず,実行系ノードの論理ホスト環境定義をファイルにエクスポートします。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementをセットアップする場合は,すべてのセットアップが済んだあとにエクスポートしてください。

手順を次に示します。

  1. jpchasetup exportコマンドを実行する。
    論理ホスト環境定義を,任意のファイルにエクスポートします。
    例えば,lhostexp.confファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup export -f lhostexp.conf

    なお,エクスポートする論理ホスト環境のPFM - Managerでヘルスチェック機能が有効になっている場合,ヘルスチェックエージェントが論理ホストにセットアップされているため,ヘルスチェックエージェントに関する情報がエクスポートされます。
    jpchasetup exportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

(l) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー[図データ] [図データ]

(f)でエクスポートしたファイルを,待機系ノードに反映するために,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。

次に,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャーの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,実行系ノードでの作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。

(m) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート[図データ]

実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。

手順を次に示します。

  1. jpchasetup importコマンドを実行する。
    論理ホスト環境定義を待機系ノードにインポートします。
    例えば,エクスポートファイル名がlhostexp.confの場合,次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup import -f lhostexp.conf

    jpchasetup importコマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,実行系ノードと同じ環境に設定変更します。これによって,論理ホスト運用でPFM - Managerを起動するための設定が実施されます。
    なお,インポートする論理ホスト環境のPFM - Managerでヘルスチェック機能が有効になっている場合,ヘルスチェックエージェントが論理ホストにセットアップされているため,ヘルスチェックエージェントに関する情報がインポートされます。
    jpchasetup importコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
  2. 論理ホスト環境の設定を確認する。
    実行系ノードと同じようにjpchasetup listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認します。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpchasetup list all

    jpchasetup listコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

(4) クラスタソフトの設定手順

クラスタソフトの設定は,実行系ノードと待機系ノードのそれぞれで行います。

手順を次に示します。

(a) クラスタソフトでのPFM - Managerの登録[図データ] [図データ]

PFM - Managerを論理ホスト運用する場合は,クラスタソフトに登録し,クラスタソフトからの制御でPFM - Managerを起動したり停止したりするように設定します。

PFM - Agentをクラスタソフトに登録する場合は,PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照して,設定してください。

PFM - Managerをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,WindowsのMSCSに登録する項目を例として説明します。PFM - Managerの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。

表15-2 クラスタソフトに登録するPFM - Managerのサービス

番号名前サービス名依存関係
1PFM - Name Server [LHOST]JP1PCMGR_PN [LHOST]IPアドレスリソース
物理ディスクリソース
2PFM - Master Manager [LHOST]JP1PCMGR_PM [LHOST]#1のクラスタリソース
3PFM - Master Store [LHOST]JP1PCMGR_PS [LHOST]#2のクラスタリソース
4PFM - View Server [LHOST]JP1PCMGR_PP [LHOST]#5のクラスタリソース
5PFM - Correlator [LHOST]JP1PCMGR_PE [LHOST]#3のクラスタリソース
6PFM - Trap Generator [LHOST]JP1PCMGR_PC [LHOST]#5のクラスタリソース
7PFM - Action Handler [LHOST]JP1PCMGR_PH [LHOST]#3のクラスタリソース
8PFM - Agent Store for HealthCheck [LHOST]JP1PCAGT_0S [LHOST]#3のクラスタリソース
9PFM - Agent for HealthCheck [LHOST]JP1PCAGT_0A [LHOST]#8のクラスタリソース

注※ (3)の(c)で作成した論理ホスト環境ディレクトリが存在する共有ディスクドライブ。


[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。例えば,論理ホスト名がjp1-ha1の場合のName Serverサービスの場合,次のようになります。

MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記では,MSCSの設定項目を[ ]で囲んで示しています。

(b) クラスタソフトからの起動と停止の確認[図データ] [図データ]

クラスタソフトからの操作で,PFM - Managerの起動および停止を各ノードで実行して,正常に動作することを確認してください。