クラスタシステムにPFM - Managerをインストールおよびセットアップする方法について説明します。
(1) インストールとセットアップの流れ
論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れについて,次の図に示します。
図15-16 論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れ(UNIXの場合)
以降に,PFM - Managerのインストールの手順,セットアップの手順,およびクラスタソフトの設定手順について説明します。
手順中のは実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
(2) インストール手順
実行系ノードおよび待機系ノードに,PFM - Managerを新規インストールします。インストール手順は非クラスタシステムの場合と同じです。インストール手順の詳細については,「6.1.3 インストール手順」を参照してください。
(3) セットアップ手順
PFM - Managerのセットアップは,まず実行系ノードで行います。次に,実行系ノードでセットアップした内容を環境定義ファイルにエクスポートします。最後にその環境定義ファイルを待機系ノードにインポートすることで,実行系ノードから待機系ノードへセットアップの内容を反映させます。
図15-17 実行系ノードでセットアップした内容を待機系ノードへ反映する方法
各セットアップについて,次に説明します。
(a) PFM - Agent情報の追加セットアップ
クラスタシステムでPFM - Agentを一元管理するために,実行系ノードおよび待機系ノードのPFM - Managerに,PFM - Agentのエージェント情報を登録します。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,PFM - Agent情報の追加セットアップは不要です。ただし,PFM - Managerより後でリリースされたPFM - Agentについては手動で登録する必要があります。PFM - ManagerおよびPFM - Agentのリリース時期についてはリリースノートを参照してください。
セットアップの手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「6.1.4 (2) PFM - Agentの登録」を参照してください。
(b) 共有ディスクのマウント
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,mountコマンドを実行してファイルシステムをマウントしてください。
(c) PFM - Managerの論理ホストのセットアップ
実行系ノードで,PFM - Managerの論理ホスト環境をセットアップします。セットアップを実施する前に,システム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止する必要があります。
手順を次に示します。
jpchasetup create mgr -lhost jp1-ha1 -d /use/jp1
jpchasetup list all
(d) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
PFM - Managerのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - Agentがある場合だけに必要な手順です。
セットアップ手順については,各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
(e) ネットワークの設定
論理ホスト名でPFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信をするために,環境ディレクトリ/jp1pc/mgr/viewsvr/jpcvsvr.iniファイルに次の行を追加してください。
java.rmi.server.hostname=論理ホスト名
PFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信で使用するホスト名については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,ポート番号について説明している個所を参照してください。
また,ネットワーク構成に応じて,IPアドレスとポート番号を変更する場合は,次の手順で設定してください。
jpcnsconfig port define all -lhost jp1-ha1
(f) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,「5.4.1 共通メッセージログのファイルサイズ設定」を参照してください。
(g) 認証モードの設定
Performance Managementの認証モードをPFM認証モードからJP1認証モードに変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,「8. ユーザーアカウントの管理」を参照してください。
(h) イベントデータの格納先の変更
PFM - Managerで管理されるイベントデータの格納先,バックアップ先,またはエクスポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
イベントデータは,デフォルトで次の場所に格納されます。
変更方法についての詳細は,「5.4.2 イベントデータの格納先の変更」を参照してください。
(i) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。設定方法については,「付録H 動作ログの出力」を参照してください。
(j) ヘルスチェック機能の設定
実行系のPFM - Managerホスト上でヘルスチェック機能のセットアップコマンドを次のように実行します。
jpcstsetup hcenable
jpcstsetup hcenableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
(k) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
実行系ノードでPFM - Managerの論理ホスト環境が作成できたら,待機系ノードに実行系ノードの設定情報を反映します。まず,実行系ノードの論理ホスト環境定義をファイルにエクスポートします。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementをセットアップする場合は,すべてのセットアップが済んだあとにエクスポートしてください。
手順を次に示します。
jpchasetup export -f lhostexp.conf
(l) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
(f)でエクスポートしたファイルを,待機系ノードに反映するために,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
次に,ファイルシステムをアンマウントして作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
(m) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
手順を次に示します。
jpchasetup import -f lhostexp.conf
jpchasetup list all
(4) クラスタソフトの設定手順
クラスタソフトの設定は,実行系ノードと待機系ノードのそれぞれで行います。
手順を次に示します。
(a) クラスタソフトでのPFM - Managerの登録
PFM - Managerを論理ホスト運用する場合は,クラスタソフトに登録し,クラスタソフトからの制御でPFM - Managerを起動したり停止したりするように設定します。
PFM - Agentをクラスタソフトに登録する場合は,PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照して,設定してください。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Managerでは,次の表のように設定します。
表15-5 クラスタソフトに登録するPFM - Managerの制御方法
項目 | 説明 |
---|---|
起動 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Managerを起動する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstart mgr lhost=論理ホスト名 |
停止 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Managerを停止する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstop act lhost=論理ホスト名 /opt/jp1pc/tools/jpcstop mgr lhost=論理ホスト名 停止するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスを使用できない状態にする前とする。 なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcstopコマンドの戻り値が3になる。この場合,サービスは停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。 |
動作監視 | 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。 ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep監視対象のプロセス" プロセス名ついては「15.6.1 (3) サービス名について」を参照のこと。なお,運用中にメンテナンスなどでPerformance Managementを一時的に停止する場合を想定して,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中を意味するファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことを推奨する。 |
強制停止 | 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。 /opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate 第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。
|
(b) クラスタソフトでのPFM - Web Consoleの登録
PFM - Web Consoleを論理ホスト運用する場合は,クラスタソフトに登録し,クラスタソフトからの制御でPFM - Web Consoleを起動したり停止したりするように設定します。
クラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Web Consoleでは,次の表のように設定します。
表15-6 クラスタソフトに登録するPFM - Web Consoleの制御方法
項目 | 説明 |
---|---|
起動 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Web Consoleを起動する。 /opt/jp1pcwebcon/tools/jpcwstart |
停止 強制停止 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Web Consoleを停止する。 /opt/jp1pcwebcon/tools/jpcwstop |
動作監視 | 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。 ps -ef | grep "プロセス名" | grep -v "grep監視対象のプロセス" プロセス名については「15.6.1 (3) サービス名について」を参照のこと。 |
(c) クラスタソフトからの起動と停止の確認
クラスタソフトからの操作で,PFM - ManagerまたはPFM - Web Consoleの起動および停止を各ノードで実行して,正常に動作することを確認してください。