14.2 部分バックアップの概要

Storeバージョン2.0の場合に部分バックアップができます。部分バックアップは,Agent Storeサービスが起動しているときだけ実行できます。なお,部分バックアップでは,バックアップ先に過去のバックアップ先ディレクトリを指定することで差分を蓄積できます。

<この節の構成>
(1) バックアップされるデータ
(2) 効率の良い部分バックアップの運用
(3) 部分バックアップの運用例

(1) バックアップされるデータ

バックアップでは,グリニッジ標準時でバックアップ開始から終了までの期間を指定します。バックアップ期間の設定はコマンド実行日からの相対で指定します。例えば,コマンド実行日(バックアップ当日)の3日前から前日までを指定したい場合は,開始を3,終了を1と指定すると,3日前から前日までが対象になります。指定したバックアップ期間に含まれるファイルをコピーしてバックアップします。

PD,PLデータベースおよびPIデータベースの分,時レコードは日ごとにファイルが分割されるため,指定した日付の単位DBがバックアップされます。一方,PIデータベースの日,週,月,年レコードでは,指定したレコード開始日から終了日に収まらないデータもバックアップデータに含まれます。

(2) 効率の良い部分バックアップの運用

(a) 可能な限りバックアップデータの重複を最小にする

Storeバージョン2.0のデータベースは,時系列に分割された複数の単位DBから構成されますが,最新の単位DB以外は更新されることがありません。例えば,日単位で分割される単位DBの場合,当日分の単位DBにはAgentが収集したデータが逐次書き込まれますが,前日の単位DBはグリニッジ標準時23時59分の状態が保存期間切れにより削除されるまで変わりません。そこで,前回のバックアップ取得日からバックアップ取得前日までの範囲を部分バックアップの対象とすることで,日単位で分割される単位DBを重複させないでバックアップできます。

(例)n日前に前回のバックアップを取得した場合
jpcctrl backup DS1inst1[host1] -d d:¥backup01 -partial (n+1),1
注※ d:¥backup01はバックアップディレクトリを示します。

(b) 可能な限り最新のデータをバックアップする

最新のデータベースをバックアップしたい場合,次のようにコマンドを実行します。

(例)最新のデータベースをバックアップする
jpcctrl backup DS1inst1[host1] -d d:¥backup01 -partial 0,0
注※ d:¥backup01はバックアップディレクトリを示します。

(3) 部分バックアップの運用例

JST(日本標準時 GMT(グリニッジ標準時)+9:00)での運用例について説明します。

毎日AM3:00に夜間バッチジョブを実行し,次のバックアップコマンドをプロダクトIDがZのマルチインスタンスエージェントで,インスタンス名inst1のAgent Storeサービスに対して実行します。

jpcctrl backup DSinst1[host1] -partial 1,1

この場合,指定範囲内のバックアップ実行時刻を含む単位DBがバックアップされます。例えば,10/15のAM3:00にバックアップコマンドを実行した場合,また,この週の週単位の始まりが10/12である場合を考えます。

  1. 10/15のAM3:00(JST)にコマンドを実行します。
  2. 10/15のAM3:00(JST)は,GMTでは9時間前のため,10/14のPM18:00です。
  3. コマンドは「-partial 1,1」(1日前)と指定しているので,10/13のAM0:00を起点としてPM23:59(GMT)までのデータがバックアップ対象になります。
  4. JSTでのバックアップ範囲は,10/13のAM0:00からPM23:59(GMT)に9時間を足した10/13のAM9:00から10/14のAM9:00のデータになります。

上記のことから,分レコードの場合は,JSTで10/13 9:00~10/14 9:00のデータがバックアップされます。翌日の同時刻にバックアップを実行すれば,前日からの続きのデータがバックアップされます。分レコードのバックアップ範囲を次の図に示します。

図14-1 分レコードのバックアップ範囲

[図データ]

週レコードの場合は,指定した期間を含む単位DBがバックアップされるため,最新のデータを含めて10/12 9:00~10/15 3:00までのデータがバックアップされます。翌日の同時刻にバックアップを実行すれば,週の初めの日(10/12)以降のデータは再度バックアップされます。週レコードのバックアップ範囲を次の図に示します。

図14-2 週レコードのバックアップ範囲

[図データ]