1.2.3 稼働監視システムの構築・運用が容易にできます

企業システムが大規模化,複雑化することに伴い,システム管理者の負荷は増加します。そのため,システムの稼働監視をする場合,更なる人員確保やスキル向上のための施策を検討する必要があります。Performance Managementは稼働監視システムの構築,運用をサポートするさまざまな機能を提供します。これによって,システム管理者は少ない負荷で稼働監視できます。

ここでは,Performance Managementを使って稼働監視システムの構築,運用するときの主な特長を説明します。

<この項の構成>
(1) テンプレートを用いて監視項目を容易に設定できます
(2) システム管理者の作業負荷を低減する便利なツールを提供します

(1) テンプレートを用いて監視項目を容易に設定できます

稼働監視システムで,どの項目をどのように監視するかを検討するためには,高いスキルが求められます。

Performance Managementは,よく利用される監視項目をあらかじめ定義した「ソリューションセット」と呼ばれる,テンプレートを提供しています。

このソリューションセットを使用すると,どのような項目を監視すればよいかの設定が容易にできます。

図1-12 監視項目の検討のためのシステム管理者のタスクとソリューションセット

[図データ]

例えば,Windowsサーバの場合,次に示す監視項目が危険域に達したとき,警告する設定が,あらかじめテンプレートに定義されています。

ソリューションセットは,カスタマイズすることもできます。

ソリューションセットについては,各PFM - Agentマニュアルの,ソリューションセットについて説明している章を参照してください。

(2) システム管理者の作業負荷を低減する便利なツールを提供します

Performance Managementでは,稼働監視するための監視コンソールや運用コマンドを提供しています。監視対象ごとに異なる複数の監視ソフトウェアを導入したり,習得したりする必要がありません。

システム管理者は,これらの操作性の高い管理ツールを目的に応じて使うことで,稼働監視の作業負荷を軽減できます。

(a) ブラウザーで企業システムを監視できます

システム管理者は,監視コンソールサーバにブラウザーでアクセスすることで,企業システムで発生している問題をリアルタイムで把握したり,監視対象のシステムの構成を管理したりできます。例えば,システム管理者は,システムで問題が起こったときに,自宅から稼働監視システムの状況を確認して,業務に支障が出る前に,素早く問題を対処することができます。

図1-13 遠隔地からブラウザーでシステムの稼働状況を確認する例

[図データ]

(b) パフォーマンスデータを分析しやすい形式で出力できます

Performance Managementで収集したパフォーマンスデータは,「レポート」と呼ばれるグラフィカルな形式に加工してブラウザーで表示できます。監視対象システムの稼働情報をわかりやすいグラフや表で表示することでシステムの問題点をすばやく分析できます。

レポートの表示例を次の図に示します。

図1-14 レポートの表示例

[図データ]

レポートの詳細については,「11. 稼働分析のためのレポートの作成」を参照してください。

(c) 複数のレポートを重ね合わせて表示できます

複数のレポートを同じグラフ上に重ね合わせて表示できます。また,過去の周期性のあるデータや安定稼働時のデータを同じグラフ上に基準値(ベースライン)として表示することで,システム全体の稼働状況を総合的に判断できます。複数の履歴レポートやベースラインを同じグラフ上に表示したものを複合レポートと呼びます。複合レポートの表示例を次の図に示します。

図1-15 複合レポートの表示例

[図データ]

同じグラフ上に表示できるレポートは,通常のレポートの場合と複合レポートの場合とで異なります。

(d) 過去のパフォーマンスデータを参照できます

Storeデータベースのバージョン2.0(Storeバージョン2.0)では,一度バックアップした稼働監視データをインポートすることで,過去のパフォーマンスデータを参照できます。インポートしたデータは,あらかじめ設定した保存期間を超えて保持されるため,どの時点でも過去のデータを参照できます。過去のデータの参照例を次の図に示します。

図1-16 過去のデータの参照例

[図データ]

バックアップデータのインポートについては,「4.2.6(2) 過去の稼働監視データの参照」を参照してください。

(e) 実運用に根ざした管理コマンドを提供します

大規模システムで複数のサーバを一元管理するために,管理コマンドで,バッチ処理や自動処理を行うことができます。

パフォーマンスデータの管理やサービスの管理などは,運用コマンドを使ってバッチ処理や自動処理ができ,効率的にシステムを運用できます。Performance Managementが提供する運用コマンドの例を,次に示します。

システム管理者が,稼働レポートをPerformance Managementが提供する稼働レポートの出力コマンドで作成したものを,ほかのジョブ管理システムなどと連携して週次で出力してEメールで確認する例を次の図に示します。

図1-17 システム管理者の稼働確認作業の例

[図データ]

コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。