10.3.3 ディスク容量が不足した場合
Storeデータベースが使用しているディスクに十分な空き容量がない場合,Storeデータベースへのデータの格納が中断されます。この場合,次のメッセージが出力されたあと,Master StoreサービスまたはAgent Storeサービスが停止します。
KAVE00105-E ディスク容量が不足しています
このメッセージが表示された場合,次のどちらかの対処をしてください。
- 十分なディスク容量を確保する
- Storeデータベースのディスク占有量を減少させる
- <この項の構成>
- (1) 十分なディスク容量を確保する
- (2) Storeデータベースのディスク占有量を減少させる(Storeバージョン1.0の場合だけ)
(1) 十分なディスク容量を確保する
Storeデータベースのディスク占有量を見積もり,Storeデータベースの格納先を十分な容量があるディスクに変更してください。Storeデータベースのディスク占有量を見積もる方法については,各PFM - Agentマニュアルの,付録に記載されているシステム見積もりを参照してください。イベントデータのStoreデータベースの格納先を変更する方法については,Windowsの場合は「5.4.2 イベントデータの格納先の変更」を,UNIXの場合は「6.4.2 イベントデータの格納先の変更」を参照してください。パフォーマンスデータのStoreデータベースの格納先を変更する方法については,各PFM - Agentのマニュアルを参照してください。
(2) Storeデータベースのディスク占有量を減少させる(Storeバージョン1.0の場合だけ)
Storeデータベースのディスク占有量を減少させるには,まずStoreデータベースのデータ量の上限値が減少するように設定を見直します。Agent Collectorサービスで収集するレコードを絞る,またはStoreデータベースの保存条件でレコードを保存する期間や保存するレコード数を減少させることでデータ量の上限値を減少させられます。Agent Collectorサービスで収集するレコードを変更する方法については,「10.1.1 パフォーマンスデータの記録方法を変更する」を参照してください。Storeデータベースの保存条件を変更する方法については,「10.1.3 パフォーマンスデータの保存条件を変更する(Storeバージョン1.0の場合)」および「10.2.1 イベントデータのレコード数の上限値を変更する」を参照してください。
ただし,Storeデータベースのデータ量の上限値を設定しただけではStoreデータベースのディスク占有量を減少させられません。次の手順を実行することによって,ディスク占有量を減少させられます。
- Agent StoreサービスのStoreデータベースの場合
次の1.~3.の手順を実行してください。
- Storeデータベース内の不要なレコードのパフォーマンスデータを削除する
Storeデータベースではレコードのパフォーマンスデータが格納されるタイミングで不要なレコードが削除されます。そのため,Agent Collectorサービスで収集するレコードを減らした場合,以降そのレコードが収集されないため,Storeデータベースにそのレコードのパフォーマンスデータが残り続け,ディスク占有量を減少させられません。そこで次の手順によってStoreデータベースから収集しないレコードのパフォーマンスデータを削除します。Master StoreサービスのStoreデータベースの場合,およびAgent Collectorサービスで収集するレコードを減らしていない場合はこの手順は不要です。
ここでは次の例の場合に,収集しないレコードのデータをStoreデータベースから削除する手順を示します。
(例)PFM - Agent for Platformを使用していて,現在の収集設定が,PI_LOGDがYes,PI_NINDがYes,PD_PDがYesの状態からPI_LOGDがNo,PI_NINDがYes,PD_PDがNoの収集設定に変更する場合
(1)今後収集しない設定にしたいレコードをYesにします。ほかのレコードはNoします。例では,PI_LOGDとPD_PDをYesにし,ほかのレコードをNoにします。
(2)保存条件を下記のように変更します。
・PDレコードタイプ,PLレコードタイプではレコード数の最大値を0にします。
・PIレコードタイプでは,レコードの保存期間を集約期間に応じた最短期間に設定します。例えば,分ごとのパフォーマンスデータの保存期間は"Minute",時ごとのパフォーマンスデータの保存期間は"Hour"と設定します。
(3)パフォーマンスデータを1回以上Storeデータベースに格納します。
注1 パフォーマンスデータがStoreデータベースに格納されるタイミングについては「4.2.3 パフォーマンスデータの管理機能」を参照してください。
注2 (1)~(3)の操作によってStoreデータベース内に存在する,今後収集しない設定にする予定のレコード(例ではPI_LOGDおよびPD_PD)のパフォーマンスデータの領域を無効領域としています。無効領域はStoreデータベースを再編成することでデータベースファイルから削除されます。ただし,PIレコードタイプのレコードの場合や,PFM - Agent for PlatformのProcess Detail(PD)レコードの場合,パフォーマンスデータを完全に無効領域にできない場合があります。詳細については【レコードのパフォーマンスデータを格納してもStoreデータベースから削除できないレコードについて】を参照してください。
(4)レコードの収集設定をすべてNoにします。
(5)検討したStoreデータベースの保存条件を設定します。
(6)検討した収集設定を設定します。
- Storeデータベース内の,余分なパフォーマンスデータを削除する
Storeデータベースでレコードの保存レコード数を減らす,または保存期間を短くした場合,変更前の保存条件で格納されたパフォーマンスデータがStoreデータベース内に存在するため,保存条件以上のパフォーマンスデータがStoreデータベースに存在することになります。その場合,次の手順で保存条件に適合しないパフォーマンスデータを削除します。Storeデータベースでレコードの保存レコード数を減らしておらず,保存期間を短くしていない場合,この手順は不要です。
(1)検討したStoreデータベースの保存条件を設定します。
(2)保存条件を変更したレコードのパフォーマンスデータを1回以上Storeデータベースに格納します。
注1 パフォーマンスデータがStoreデータベースに格納されるタイミングについては「4.2.3 パフォーマンスデータの管理機能」を参照してください。
注2 Storeデータベースでは,レコードが格納され,Storeデータベース中のパフォーマンスデータが増加するタイミングで保存条件に適合しないデータの領域が無効領域になります。無効領域はStoreデータベースを再編成することでデータベースファイルから削除されます。ただし,PIレコードタイプのレコードの場合や,PFM - Agent for PlatformのProcess Detail(PD)レコードの場合,パフォーマンスデータを完全に無効領域とできない場合があります。詳細については,【レコードのパフォーマンスデータを格納してもStoreデータベースから削除できないレコードについて】を参照してください。
- Storeデータベースを再編成する
Storeデータベースを再編成し,Storeデータベースのディスク占有量を減少させます。Storeデータベースの再編成については,「10.3.4 Storeデータベースサイズの確認と再編成」を参照してください。
- 【レコードのパフォーマンスデータを格納してもStoreデータベースから削除できないレコードについて】
- Storeデータベースではレコードのパフォーマンスデータが格納され,Storeデータベース中でそのレコードのパフォーマンスデータが増加するタイミングで,そのレコードのパフォーマンスデータについて保存条件に適合しないものが無効領域となります。しかし,レコードによってはパフォーマンスデータを格納してもStoreデータベース中のパフォーマンスデータが増加しないで,そのレコードのパフォーマンスデータが無効領域とならないことがあります。PIレコードタイプの場合やPFM - Agent for PlatformのProcess Detail(PD)レコードの場合がそれに該当します。
- PIレコードタイプの場合,パフォーマンスデータを格納することによって新たなパフォーマンスデータが作成される要約区分の場合,その要約区分のパフォーマンスデータがStoreデータベースから削除されます。そうでない場合はデータがStoreデータベースに残ります。ただし,要約区分が年のレコードのパフォーマンスデータはすべて残ります。例えば,Storeデータベースの中にあるPI_LOGDレコードのパフォーマンスデータがすべて2006/05/23(火),16:00:00以前のもので,2006/05/24(水),10:00:00にPI_LOGDレコードのパフォーマンスデータを格納したとします。まず要約区分が年のパフォーマンスデータは残ります。要約区分が月のパフォーマンスデータは,格納したパフォーマンスデータが2006年5月のパフォーマンスデータに要約されますので,新しいパフォーマンスデータは作成されません。したがって,Storeデータベース中の要約区分が月のPI_LOGDレコードのパフォーマンスデータはすべてStoreデータベースに残ります。同様に要約区分が週のパフォーマンスデータもすべてStoreデータベースに残ります。要約区分が日のレコードのパフォーマンスデータは2006/05/24のパフォーマンスデータが新たに作成されるので,Storeデータベース中のPI_LOGDレコードの要約区分が日のパフォーマンスデータはすべて無効領域となります。同様に要約区分が時や分のパフォーマンスデータもすべて無効領域となります。このようにして残ったパフォーマンスデータのディスク占有量はStoreデータベースのディスク容量の見積もりに加算して運用してください。
- PFM - Agent for PlatformのProcess Detail(PD)レコードの場合,Process Detail(PD)レコードの最後に収集したパフォーマンスデータと今回収集したパフォーマンスデータに差分がない場合は,パフォーマンスデータがStoreデータベースに残ります。PFM - Agent for PlatformのProcess Detail(PD)レコードについてはマニュアル「JP1/Performance Management - Agent Option for Platform」のレコードについて説明している章を参照してください。差分を発生させパフォーマンスデータを削除するか,Process Detail(PD)レコードのデータのディスク占有量をStoreデータベースのディスク容量の見積もりに加算して運用してください。
- Master StoreサービスのStoreデータベースの場合
- 検討したStoreデータベースの保存条件を設定します。
- イベントデータを1回以上Storeデータベースに格納します。
注1 イベントデータがStoreデータベースに格納されるタイミングについては,「4.3.2 アラームイベントデータ収集機能」を参照してください。
注2 Storeデータベースではレコードのイベントデータが格納されるタイミングで保存条件に適合しないデータの領域が無効領域になります。無効領域はStoreデータベースを再編成することでデータベースファイルから削除されます。
- Storeデータベースを再編成し,ディスク占有量を減少させます。Storeデータベースの再編成については,「10.3.4 Store データベースサイズの確認と再編成」を参照してください。
これらの対処をしたあともMaster StoreサービスまたはAgent Storeサービスが起動されない場合,Storeデータベースに回復できない論理矛盾が発生しています。この場合,バックアップデータからStoreデータベースをリストアしたあと,Master StoreサービスまたはAgent Storeサービスを起動してください。利用できるバックアップデータが存在しない場合は,Storeデータベースを初期化したあと,Master StoreサービスまたはAgent Storeサービスを起動してください。Storeデータベースを初期化するには,Storeデータベースの格納先ディレクトリにある次のファイルをすべて削除してください。
- 拡張子が「.DB」であるファイル
- 拡張子が「.IDX」であるファイル
デフォルトのStoreデータベースの格納先ディレクトリは,次のとおりです。
- パフォーマンスデータのStoreデータベース格納先ディレクトリ
- 各PFM - Agentのマニュアルを参照してください。
- イベントデータのStoreデータベース格納先ディレクトリ
- Windowsの場合:
インストール先フォルダ¥mgr¥store
- UNIXの場合:
/opt/jp1pc/mgr/store
なお,イベントデータのStoreデータベースの格納先ディレクトリについては,jpcsto.iniファイルで変更できます。変更方法の詳細については,Windowsの場合は「5.4.2 イベントデータの格納先の変更」を,UNIXの場合は「6.4.2 イベントデータの格納先の変更」を参照してください。