5.1.1 インストールとセットアップの前に
Performance Managementをインストールおよびセットアップする前に確認しておくことを説明します。なお,Windows Server 2008に関する注意事項については,「4.8.4 Windows Server 2008を利用する場合の注意事項」を参照してください。
- <この項の構成>
- (1) 前提OS
- (2) ネットワーク環境の設定
- (3) インストールに必要なOSユーザー権限について
- (4) 前提プログラム
- (5) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
- (6) 注意事項
(1) 前提OS
Performance Managementプログラムが動作するOSを次の表に示します。
表5-1 前提OS(Windowsの場合)
OS名 | PFM - Manager | PFM - Web Console | PFM - Base |
---|
Windows(x86) | ○ | ○ | ○ |
Windows(IPF) | - | - | ○ |
- (凡例)
- ○:動作する
- -:動作しない
PFM - Agentの前提OSは,PFM - Agentによって異なります。詳細については,各PFM - Agentのマニュアルを参照してください。
(2) ネットワーク環境の設定
Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
(a) IPアドレスの設定
Performance Managementシステムのすべてのホストは,ホスト名でIPアドレスが解決できる環境を設定してください。IPアドレスが解決できない環境では,Performance Managementをインストールできません。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
- 監視ホスト名として実ホスト名を使用している場合
Windowsシステムではhostnameコマンドの実行結果で,UNIXシステムではuname -nコマンドの実行結果で確認できるホスト名で,IPアドレスが解決できるように環境設定をしてください。
UNIXシステムでは,hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。詳細については,「5.3.3 Performance Managementシステムでのホスト名の設定」を参照してください。
- 監視ホスト名としてエイリアス名を使用している場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスが解決できるように環境設定をしてください。
監視ホスト名の設定については,「5.3.3 Performance Managementシステムでのホスト名の設定」を参照してください。
ホスト名とIPアドレスの設定は,次の方法のどれかで行ってください。
- hostsファイル
- DNS(Domain Name System)
- Performance Managementのホスト情報設定ファイル
- jpchostsファイル(PFM - Manager,PFM - Agent,およびPFM - Baseの場合)
- config.xmlファイル(PFM - Web Consoleの場合)
- 注意
- Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN(Fully Qualified Domain Name)形式のホスト名には対応していません。監視ホスト名には,ドメイン名を除いたものを使用してください。
- 複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細については,「5.3.1 ネットワーク構成の変更」を参照してください。
- Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上で運用することはできません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定する必要があります。
(b) ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,「5.3.1 (1) (b) ポート番号を設定する」を参照してください。
表5-2 デフォルトのポート番号とPerformance Managementプログラムのサービス(Windowsの場合)
サービス説明 | サービス名 | パラメーター | ポート番号 | 備考 |
---|
サービス構成情報管理機能 | Name Server | jp1pcnsvr | 22285 | PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
NNM連携機能 | NNM Object Manager | jp1pcovsvr | 22292 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのNNM連携機能で,マップマネージャーとオブジェクトマネージャーの間の通信で使用されるポート番号。PFM - ManagerまたはPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 | Status Server | jp1pcstatsvr | 22350 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。PFM - ManagerまたはPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
監視コンソール通信機能 | View Server | jp1pcvsvr | 22286 | PFM - ManagerのView Serverサービスで使用されるポート番号。PFM - Managerホストで設定される。 |
Webサービス機能 | Web Service | - | 20358 | PFM - Web ConsoleのWeb Serviceサービスが使用するポート番号。 |
Webコンテナ機能 | Web Console | - | 20359 20360 | PFM - Web ConsoleのWeb Consoleサービスが使用するポート番号。 |
- (凡例)
- -:該当なし
これらのPerformance Managementが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。
(3) インストールに必要なOSユーザー権限について
Performance Managementプログラムをインストールするときは,必ず,OSのAdministrators権限を持つアカウントで実行してください。
(4) 前提プログラム
ここでは,Performance Managementをインストールする場合に必要な前提プログラムを説明します。前提プログラムの構成図を次に示します。
図5-1 プログラムの構成図
![[図データ]](figure/zu105001.gif)
- 注意
(a) 監視マネージャーの前提プログラム
監視マネージャーには,PFM - Managerが必要です。また,JP1ユーザーによる統合認証を行うためには,JP1/Baseが必要です。詳細については,JP1/Baseのマニュアルおよび「8. ユーザーアカウントの管理」を参照してください。
(b) 監視コンソールサーバの前提プログラム
監視コンソールサーバには,PFM - Web Consoleが必要です。
なお,監視コンソールとして,バージョン07-00以降のPFM - Viewも使用できます。詳細については,「付録G バージョン互換」を参照してください。
(c) 監視エージェントの前提プログラム
監視エージェントには,PFM - AgentとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - Agentの前提プログラムであるため,PFM - Base,PFM - Agentの順にインストールしてください。
ただし,PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - Agentの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Manager,PFM - Agentの順にインストールしてください。
また,PFM - Agentをインストールするホストには,監視対象プログラムであるOS,データベースサーバ,またはアプリケーションプログラムなどが必要です。
監視対象プログラムは,PFM - Agentごとに異なります。各PFM - Agentの監視対象プログラムについては,各PFM - Agentのマニュアルを参照してください。
(d) 監視コンソールの前提プログラム
Performance Managementで収集した稼働監視データを確認したり,Performance Managementの設定を変更したりするためには,監視コンソールにブラウザーが必要です。
Performance Managementの前提となるブラウザーを次に示します。
- Internet Explorer6.0以降またはFirefox 2.0.x
PFM - Web Consoleのバージョンによってサポートするブラウザーが異なります。詳細については,「5.1.6 監視コンソールのブラウザーの設定手順」を参照してください。
(5) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
クラスタシステムでのインストールとセットアップは,前提となるネットワーク環境やプログラム構成が,通常の構成のセットアップとは異なります。また,実行系ノードと待機系ノードでの作業が必要になります。詳細については,「15. クラスタシステムでの構築と運用」を参照してください。
(6) 注意事項
ここでは,Performance Managementをインストールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
(a) 同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
- 補足
- システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentはそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
- PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - ManagerがPFM - Agentの前提製品になるため,PFM - ManagerをインストールしてからPFM - Agentをインストールしてください。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストール後にPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストール後にPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールすると,PFM - Agentの接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerになります。この場合は,PFM - Agentの接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
- PFM - Web Consoleがインストールされているホストに,Performance Managementプログラムをインストールする場合は,ブラウザー画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
- バージョン08-00以降のPerformance Managementプログラムをインストールした場合,ステータス管理機能の設定状態は次のようになります。
- Performance Managementのプログラムがインストールされていないホストに08-00以降のPFM - ManagerまたはPFM - Baseを新規インストールした場合
ステータス管理機能の設定状態:有効になります。
- それ以外の場合※
ステータス管理機能の設定状態:既存のままです。
注※ 次の場合が該当します。
- 06-70~07-50のPFM - Managerを08-00以降にバージョンアップした場合
- 06-70~07-50のPFM - Agentがインストールされている環境に,08-00以降のPFM - ManagerまたはPFM - Baseを新規インストールした場合
なお,06-70~07-10のPerformance Managementはステータス管理機能を持たないため,この場合の設定状態は「無効」になります。
ステータス管理機能の設定を変更する場合は,「19.3.1 ステータス管理機能の設定」を参照してください。
- バージョン08-11以降のPFM - Managerの場合,ヘルスチェック機能を利用できます。ただし,デフォルトでは無効になっているため,利用する場合はjpcstsetup hcenableコマンドでヘルスチェック機能を有効にしてください。ヘルスチェック機能の設定については,「19.2.1 ヘルスチェック機能の設定」を参照してください。
- 監視ホスト名設定機能を使用している場合,同一ホスト上に07-50以前のPFM - Agentをインストールすることはできません。07-50以前のPFM - Agentをインストールする場合,事前に監視ホスト名設定機能を使用しない設定に戻す(Get Host Modeラベルに0を設定する)必要があります。戻していない場合,07-50以前のPFM - Agentのインストールに失敗することがあります。監視ホスト名の設定については,「5.3.3 Performance Managementシステムでのホスト名の設定」を参照してください。
(b) バージョンアップの注意事項
古いバージョンのPerformance Managementプログラムから,バージョンアップする場合の注意事項を次に示します。
なお,07-00以降からのバージョンアップについての詳細は,「付録E 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。
- Performance Managementのプログラムをインストールするときには,ローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止しておいてください。なお,停止するサービスは物理ホスト上および論理ホスト上のすべてのサービスです。サービスの停止方法については,「7. Performance Managementの起動と停止」を参照してください。
- PFM - Web Consoleを除くPerformance Managementのプログラムは,すでにPerformance Managementのプログラムがインストール済みのホストに別のPerformance Managementのプログラムをインストールする場合,インストールパスが一つ目のプログラムのものと同じになります。インストールパスを変更したい場合は,インストール済みのPerformance Managementプログラムをすべて削除し,インストールし直す必要があります。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストール後にPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - ManagerとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストール後にPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- バージョン08-00以降のPerformance Managementプログラムでは,Storeサービスの実行プログラム(jpcsto.exeおよびstpqlpr.exe)の配置先が変更されています。PFM - ManagerおよびPFM - Agentを08-00以降にバージョンアップする際に,旧配置先のStoreサービスの実行プログラムは削除されます。
- PFM - Managerがクラスタ環境の場合にバージョンアップをする場合は,実行系・待機系のどちらか一方で共有ディスクをオンラインにする必要があります。PFM - Web Consoleがクラスタ環境の場合にバージョンアップをする場合は共有ディスクをオンラインにする必要はありません。
- オペレーティングシステムをWindows Server 2008にバージョンアップする場合,Windows Server 2003対応のPFM - Baseは,Windows Server 2008上での動作を保証しないため,一度アンインストールする必要があります。バージョンアップ前にPerformance Management製品をすべてアンインストールしてからバージョンアップし,そのあとでWindows Server 2008対応のPFM - Baseをインストールしてください。
- バージョンアップインストール時,既存のStoreデータベースを自動的にバージョンアップするため,一時的にStoreデータベースの格納先のディスクにStoreデータベースのサイズ2倍の容量を必要とします。バージョンアップインストールをする前に,Storeデータベースの格納先のディスク空き容量が十分かどうか確認してください。
(c) PFM - Web Consoleの注意事項
PFM - Web Consoleをインストールする場合の注意事項を次に示します。
- インストール時に,ログ出力フォルダとして,%SystemDrive%環境変数の値を参照します。%SystemDrive%環境変数が未定義の場合は,ログファイルは出力しません。
- インストール実行中のログは,%SystemDrive%¥pfmwebconinst.logに出力します。また,インストーラの終了コードは%SystemDrive%¥pfmwebconinst.rtnに出力します。
- インストールに失敗した場合は,インストール実行時のログ(%SystemDrive%¥pfmwebconinst.log)を退避して,原因を取り除いたあと,PFM - Web Consoleをアンインストールし,再度インストールしてください。
- PFM - Web Consoleを上書きインストールした場合,インストール先フォルダ¥confに格納されている初期設定ファイル(config.xml)は更新されません。ただし,インストール先フォルダ¥sample¥confに格納されているconfig.xmlファイルは更新されます。
- PFM - Web Consoleを新規にインストールした場合には,PFM - Web Consoleの設定を有効にするためにシステムの再起動が必要です。
(d) 他システムと連携するときの注意事項
- NNMと連携している環境にインストールする場合,NNM連携機能およびovwを停止してからインストールしてください。NNM連携機能については,「17. ネットワーク管理製品(NNM)と連携した稼働監視」を参照してください。NNMの環境変数とコマンドについてはマニュアル「JP1/Cm2/Network Node Manager ネットワーク管理ガイド」またはHP OpenView NNMのマニュアルを参照してください。
(e) その他の注意事項
- Performance Managementのプログラムが一つもインストールされていない環境に新規インストールする場合は,インストール先フォルダにファイルやフォルダがないことを確認してください。
- Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラム(例えばWindowsのイベントビューアなど)を起動したままインストールした場合,システムの再起動を促すメッセージが表示されることがあります。この場合は,メッセージに従ってシステムを再起動し,インストールを完了させてください。
- Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラム(例えばWindowsのイベントビューアなど)を起動したままの状態,ディスク容量が不足している状態,またはディレクトリ権限がない状態でインストールした場合,ファイルの展開に失敗することがあります。Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラムが起動している場合はすべて停止してからインストールし直してください。ディスク容量不足やディレクトリ権限不足が問題である場合は,問題を解決したのちにインストールし直してください。