3.4.6 Storeデータベースの保存方式の検討

Performance Managementでは,監視エージェントで収集した稼働監視データを蓄積するためのデータベースを用意しています。これをStoreデータベースと呼びます。Storeデータベースには保存方式の違いによって,バージョン1.0とバージョン2.0があり,それぞれStoreバージョン1.0Storeバージョン2.0と呼びます。利用するバージョンによって,機能,保守,使用リソースの面から特長が異なるため,稼働監視システムを構築する場合は,Storeデータベースの保存方式を検討する必要があります。Storeバージョン1.0とStoreバージョン2.0の特長を次の表に示します。

表3-1 Storeバージョン1.0とStoreバージョン2.0の特長

分類項目Storeバージョン1.0の特長Storeバージョン2.0の特長
機能性蓄積可能なパフォーマンスデータ量各エージェント(インスタンス)のレコードタイプ(PI・PD・PL)ごとに2GBを上限とする各エージェント(インスタンス)のレコードごとに1日当たり2GBを上限とする
保存期間の設定
PIレコード:
レコード単位での保存期間は設定できない。PIレコード全体の保存期間を設定できる
PDレコード:
レコード単位に保存レコード数を設定できる
PLレコード:
レコード単位に保存レコード数を設定できる
PIレコード:
レコード単位に保存期間を設定できる
PDレコード:
レコード単位に保存期間を設定できる
PLレコード:
レコード単位に保存期間を設定できる
PIレコードの保存期間の最大値分・時・日・週・月レコードは最長1年。年レコードは制限なし分・時レコードは最長1年,日・週・月レコードは最長10年。年レコードは制限なし
過去データの参照保存条件から外れた期間のデータはバックアップデータが存在しても参照できない期間に関係なくバックアップデータをインポートすることで参照できる
保守性バックアップデータベース全体のバックアップ(フルバックアップ)だけ可能データベース全体または実行日からの相対日で期間を指定して部分バックアップが可能(前回との差分だけバックアップが可能)
データベース再編成定期的に無効領域を削除するためにデータベースの再編成が必要データベース再編成は不要
使用リソース作成されるファイル数少ない(詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録を参照のこと)多い(詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録を参照のこと)
同時にオープンできるファイルの数少ない(詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録を参照のこと)多い(詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録を参照のこと)

上記の特長から,推奨する運用例について説明します。

Storeバージョン1.0での運用を推奨するケース
Storeバージョン2.0では,08-00以前のバージョンと比べて使用するシステムリソース(ファイル数,ファイルオープン数)が増加します。また,保存期間の設定内容が変更されたことで,使用ディスク容量も含めた設定内容の再見積もりが必要になります。
このため,システム運用開始後のバージョンアップなどで,上記設定の変更が難しい場合には,Storeバージョン1.0で運用することをお勧めします。この場合,従来どおり(バージョン08-00以前)のシステム見積もりで運用を継続できます。
Storeバージョン2.0での運用を推奨するケース
Storeバージョン2.0では,パフォーマンスデータの部分バックアップやインポートができるため,長期間にわたって稼働性能情報の管理ができます。このため,新規にシステムを構築する場合には,Storeバージョン2.0で運用することをお勧めします。また,バージョン08-00以前からバージョンアップする場合に,蓄積したいパフォーマンスデータ量や保存期間がStoreバージョン1.0では対応できないときはStoreバージョン2.0を利用してください。