JP1/Automatic Job Management System 2 for Enterprise Applications

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


2.3.6 インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用のコマンドを使用する前に必要な作業

コマンドの-dオプションを使用する場合,およびコマンドの共通引数のデフォルトを設定する場合に必要な作業について説明します。-dオプションを使用しない場合,またはコマンドの共通引数のデフォルトを設定しない場合は,次のそれぞれの作業は必要ありません。

<この項の構成>
(1) SAP BWあて先情報の-dオプションを使用できるようにする
(2) コマンドの共通引数(SAP BWあて先情報およびSAP BWログオン情報)のデフォルトを設定する

(1) SAP BWあて先情報の-dオプションを使用できるようにする

JP1/AJS2 for EAPのコマンドラインで,SAP BWあて先情報に-dオプションを使用する場合,saprfc.iniファイルを作成しておく必要があります。運用方法に応じて,次のどちらかに(または,両方に)作成したsaprfc.iniファイルを使用します。

なお,saprfc.iniファイルは次のように検索されます。

通常,saprfc.iniファイルは,環境設定ファイルに指定したJP1/AJS2 for EAPの作業ディレクトリに作成します。特定のユーザー用にsaprfc.iniファイルを設定する場合は,任意のディレクトリにsaprfc.iniファイルを作成し,環境変数RFC_INIでsaprfc.iniファイルのパスを指定します。

JP1/AJS2 for EAPのインストール後,次のディレクトリにsaprfc.iniファイルのサンプルファイルが格納されています。

サンプルとして提供されているsaprfc.iniファイルを,JP1/AJS2 for EAPの作業ディレクトリ(または環境変数RFC_INIの指定先)に複写し,必要に応じて複写したsaprfc.iniファイルを編集してください。なお,環境変数RFC_INIを使用する場合は,あらかじめ環境変数RFC_INIを指定しておいてください。

また,環境変数RFC_INIに指定するsaprfc.iniファイルのパスは,絶対パスで指定してください。

saprfc.iniファイルの例を次の図に示します。saprfc.iniファイルの各項目の詳細については,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。

図2-11 saprfc.iniファイルの例

[図データ]

なお,saprfc.iniファイルの設定方法には,幾つかのタイプがあります(上の図は,タイプAの例です)。タイプによっては,servicesファイルおよびhostsファイルを編集する必要があります。各タイプの設定項目,およびservicesファイルとhostsファイルの編集が必要かどうかについては,SAP BWのマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。

(2) コマンドの共通引数(SAP BWあて先情報およびSAP BWログオン情報)のデフォルトを設定する

JP1/AJS2 for EAPのコマンドラインで,共通引数(SAP BWあて先情報およびSAP BWログオン情報)の指定を省略する場合,r3defconファイルを作成する必要があります。r3defconファイルは,ユーザーアカウントに指定したホームディレクトリに作成します。

注意
Windows版でr3defconファイルを使用する場合は,ホームディレクトリを識別するためのHOMEDRIVE,HOMEPATH環境変数をジョブ実行時の環境変数として指定する必要があります。JP1/AJS2から実行したコマンドの実行環境には,デフォルトでこれらの環境変数が定義されていないため,ジョブ定義の[環境変数]項目などで追加定義してください。
環境変数の指定例(r3defconファイルをC:\Documents and Settings\Administratorに配置している場合)
HOMEDRIVE=C:
HOMEPATH=\Documents and Settings\Administrator

Windowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,ユーザーごとに異なったホームディレクトリを指定しておくことをお勧めします。なお,ファイルシステムにFAT形式を使用している場合,r3defconファイルの情報をファイルレベルで保護することはできません。

UNIX系OSの場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,r3defconファイルには,コマンドを実行するユーザーだけがファイルを読み取れるアクセス権を指定しておくことをお勧めします。

r3defconファイルの作成例を次の図に示します。

図2-12 r3defconファイルの作成例

[図データ]

r3defconファイルでの文法は,次のとおりです。

[section]
key=string
 

次に,r3defconファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。

SAP BWログオン情報の指定を省略する場合に,logonログオンセクション)を指定します。logonに指定できるkeyを次の表に示します。

表2-16 logonに指定できるkey

key stringに指定できる値 説明
Client 1〜3バイトの文字列
(文字列に使用できるのは,数字だけです)
SAP BWシステムにログオン時のSAP BWクライアントのクライアント番号を指定します。なお,SAP BWクライアント番号をSAP BWシステムに送るときには,1〜2バイトで指定したクライアント番号は必ず3バイトに変換されます。
例えば,クライアント番号が「001」の場合,「1」,「01」,または「001」の3パターンの指定ができます。ただし,SAP BWシステムには,必ず3バイト形式のクライアント番号「001」が送られます。
User 1〜12バイトの文字列 SAP BWシステムにログオン時のSAPユーザー名を指定します。
指定できるSAPユーザーについては「2.3.9 インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用のSAPユーザーを用意する」を参照してください。
Passwd 1〜8バイトの文字列 SAP BWシステムにログオン時のSAPユーザーに指定したパスワードを指定します。
Passwd2 1〜40バイトの文字列 SAP BWシステムにログオン時のSAPユーザーに指定した拡張パスワードを指定します。
拡張パスワードとは,SAP NetWeaver 7.0 以降をベースとしたSAPシステムで拡張されたパスワードルールです。パスワードの文字数は40バイト以内まで指定でき,さらに英字の大文字・小文字が区別されます。
Lang 1バイトの文字列
(文字列に使用できるのは,英字だけです)
SAP BWシステムで使用できる言語種別を指定します。指定できる言語種別については,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。
例えば,「J」を指定すると,日本語が設定されます。「E」を指定すると,英語が設定されます。
注意
ログオンセクションを指定する場合,すべてのkey(client,user,passwdまたはpasswd2,lang)を必ず指定してください。なお,「passwd」および「passwd2」は,同時に指定できません。拡張パスワードの使用可否に合わせて,どちらかを指定してください。

SAP BWあて先情報の指定を省略する場合に,addressアドレスセクション)を指定します。addressに指定できるkeyを次の表に示します。

表2-17 addressに指定できるkey

key stringに指定できる値 説明
Host 1〜100バイトの文字列 接続先のSAP BWシステムのホスト名を指定します。
Sysno 1〜2バイトの文字列
(文字列に使用できるのは,数字だけです)
接続先のSAP BWシステムのホストのSAPシステム番号を指定します。
Dest 1〜64バイトの文字列 saprfc.iniファイルに定義したあて先(DESTの値)を指定します。
注意
「dest」および「hostとsysno」は,同時に指定できません。アドレスセクションを指定する場合,destだけを指定するか,またはhostとsysnoを指定してください。

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

All Rights Reserved. Copyright (C) 2006, 2008, Hitachi, Ltd.