JP1/Automatic Job Management System 2 for Enterprise Applications
JP1/AJS2 for EAP(インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御)の動作環境は,インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用の環境設定ファイルを編集することで変更できます。
インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用の環境設定ファイル(confファイル)は,以下に示すパスにあります。インストール時に環境設定ファイルが存在しなかった場合は,同じディレクトリ下にあるモデルファイルと同じものが,環境設定ファイルとしてインストール時に自動的に作成されます。
- Windowsの場合
インストール先フォルダ\bwsta\conf\conf
- UNIX系OSの場合
/etc/opt/jp1_am_r3/bwsta/conf/conf
インストール時に作成される環境設定ファイルの基になるモデルファイルの内容を次の図に示します。
- Windowsの場合
図2-7 インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用環境設定ファイルのモデルファイル(Windows版)
- UNIX系OSの場合
図2-8 インフォパッケージまたはプロセスチェーン制御用環境設定ファイルのモデルファイル(UNIX版)
OSがWindowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,環境設定ファイルの情報の改ざんを防ぐために,環境設定ファイルに対して,Administrators権限を持つ管理者だけが環境設定ファイルを編集できるようなアクセス権を設定しておくことをお勧めします。
なお,環境設定ファイルを再編集する場合は,JP1/AJS2 for EAPのコマンドが実行されていないことを確認してください。
環境設定ファイルでの文法は,次のとおりです。
[section] key=string
- sectionとkey,keyとkeyの区切りには,一つ以上の改行コードを指定します。
- sectionおよびkeyに指定する文字列では,大文字,小文字が区別されません。
- 同一section内でのkeyの指定順序は任意です。
- 行の先頭に「;」が指定されている場合,その行をコメント文として扱います。
- 複数の同じ名称のsectionまたはkeyが指定されていた場合,最初に指定されていた値が有効になります。
次の場合,JP1/AJS2 for EAPは項目のデフォルトを使用して動作します。
- 環境設定ファイルを作成しなかった場合
- 環境設定ファイルに指定した値が不正な場合(シンタックスエラーを含む)
- 環境設定ファイルが読み込めない場合
次に,環境設定ファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。
- trace(トレースセクション)
トレースセクションでは,トレースレベル,トレースファイルサイズ,およびトレース情報を格納するトレースファイル名を指定します。traceに指定できるkeyを次の表に示します。
表2-11 traceに指定できるkey
key stringに指定できる値 説明 Level
- 0
- 採取しない
- 1
- 標準レベル
- 2
- 詳細レベル
- 3
- デバッグレベル
トレースレベルを指定します。
このkeyの指定を省略した場合のトレースレベルは,「1」です。
各トレースレベルでの1コマンド当たりのトレース量は,次のとおりです。
通常は,「標準レベル」を指定してください。トラブルが発生した場合にだけ,「詳細レベル」または「デバッグレベル」を指定します。なお,「採取しない」を指定すると,JP1/AJS2 for EAPの使用時の情報を採取できないので注意してください。
- インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視をする場合
1(標準レベル):2.0 KB
2(詳細レベル):3.5 KB +(インフォパッケージまたはプロセスチェーン実行時間/終了監視間隔)×0.2 KB
3(デバッグレベル):24.0 KB +(インフォパッケージまたはプロセスチェーン実行時間/終了監視間隔)×2.4 KB
- インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視をしない場合
1(標準レベル):2.0 KB
2(詳細レベル):3.5 KB
3(デバッグレベル):24.0 KB
Size 0,または1〜65,535(単位:キロバイト) トレースファイルのサイズを指定します。
0を指定した場合,トレースファイルのサイズは,2ギガバイトになります。
このkeyの指定を省略した場合,トレースファイルのサイズは,12,288キロバイト※1になります。
なお,トレースファイルのサイズを小さくする場合には,作成されているトレースファイルを削除してから変更してください。TargetFile Windowsの場合:
"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名※2
UNIX系OSの場合:
"/"で始まる文字列指定したファイルに,すべてのアプリケーションのトレース情報を取得します。
このkeyの指定を省略した場合は,トレースファイルが標準で格納されるディレクトリ※3に,アプリケーション単位のトレースファイルが作成されます。注※1 トレースファイルサイズを12,288キロバイトに設定した場合,トレースレベル1(デフォルト)で100件/時間のジョブを実行したときに,少なくとも2日間分のトレースデータを記録できます。
注※2 UNC形式で表されるリモート資源名とは,Microsoft社が提供しているネットワーク上のフォルダおよびファイル名を指定する,「\\コンピュータ名\共有名」を指しています。
注※3 トレースファイルが標準で格納されるディレクトリについては,「付録A ディレクトリ名一覧」を参照してください。
- event(イベントセクション)
Windowsの場合,event(イベントセクション)では,Windowsのアプリケーションログで使用されるイベントを生成するかどうかを指定します。
UNIX系OSの場合,event(イベントセクション)では,syslogメッセージおよびJP1/SES形式のイベントを生成するかどうかを指定します。
eventに指定できるkeyを次の表に示します。
表2-12 eventに指定できるkey
Key stringに指定できる値 説明 ntevent YESまたはNO Windowsの場合に指定できます。Windowsのイベントを生成するかどうかを指定します。
このkeyの指定を省略した場合のイベント生成条件は,「YES」です。Syslog YESまたはNO UNIX系OSの場合に指定できます。syslogメッセージを生成するかどうかを指定します。
このkeyの指定を省略した場合,syslogメッセージの生成条件は,「YES」です。Jp1Ses YESまたはNO UNIX系OSの場合に指定できます(ただし,HP-UX (IPF)を除く)。JP1/SES形式のイベントを生成するかどうかを指定します。
このkeyの指定を省略した場合,JP1/Base用のイベントの生成条件は,「YES」です。
- command(コマンドセクション)
command(コマンドセクション)では,JP1/AJS2 for EAPの作業ディレクトリ,インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔,および通信エラーが発生したときの接続回復を試みる時間・時間間隔を指定します。また,接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号も指定します。commandに指定できるkeyを次の表に示します。
表2-13 commandに指定できるkey
Key stringに指定できる値 説明 WorkDir Windowsの場合:
"(ドライブ名):\"で始まる文字列,またはUNC形式で表されるリモート資源名
UNIX系OSの場合:
"/"で始まる文字列コマンドの作業ディレクトリを絶対パスで指定します。コマンドを実行するときに,この作業ディレクトリが設定されます。
なお,このkeyの指定を省略した場合,各コマンドの実行時のカレントディレクトリが使用されます(JP1/AJS2を使用した場合は,JP1/AJS2のジョブ実行時のワークパス※1が使用されます)。MonitorInterval 1〜65,535(単位:秒) インフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔を指定します。この値は,JP1/AJS2 for EAPのjbwipstaのコマンドラインでインフォパッケージまたはプロセスチェーンの終了監視時間間隔の指定を省略した場合に使用されます。
このkeyの指定を省略した場合のジョブの終了監視時間間隔は,5秒です。RetryTime 0〜65,535(単位:分) SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる時間を指定します。エラーが発生してから,ここで指定した時間が過ぎるまで,接続回復を試みます。
0を指定した場合,またはこのkeyの指定を省略した場合には,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。
RetryCountキーと同時に指定した場合,このキーの指定は無視されます。RetryTimeキーもRetryCountキーも指定していない場合,RetryCountキーの指定が有効になります※2。
接続回復を試みる時間間隔は,RetryIntervalキーで指定できます。RetryCount 0〜65,535(単位:回) SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる回数を指定します。
0を指定した場合には,接続回復を試みないですぐにエラーを報告します。
このkeyの指定を省略した場合の回数は,3回です。
RetryTimeキーと同時に指定した場合,RetryTimeキーの指定は無視されます。RetryCountキーもRetryTimeキーも指定していない場合,RetryCountキーの指定が有効になります※2。
接続回復を試みる時間間隔はRetryIntervalキーで指定できます。RetryInterval 1〜65,535(単位:秒) SAP BWシステムとの通信中に通信エラーが発生したとき,SAP BWシステムとの接続回復を試みる時間間隔を指定します。RetryTimeに指定した時間よりも長い時間は指定できません。
このkeyの指定を省略した場合の時間間隔は180秒となります。
RetryTimeを省略した場合,またはRetryTimeに0を指定した場合には,このkeyの指定は無効となります。RequestMonitorTime -1,または0〜65,535(単位:分) インフォパッケージの依頼の登録を監視する時間(依頼登録監視時間)を指定します。この時間を過ぎても依頼が登録されない場合には,インフォパッケージの終了監視が異常終了します。
-1を指定した場合は,依頼登録監視時間は,jbwipstaコマンドの-timeオプション(終了を監視する時間)の値と同一になります。
0を指定した場合は,最初の状態問い合わせ時に依頼が登録されていなければ,すぐにインフォパッケージの終了監視が異常終了します。
このkeyの指定を省略した場合は,「-1」が仮定されます。QMActionWaitTime 0〜65,535(単位:秒) インフォパッケージが正常終了してからそのインフォパッケージを実行するジョブが終了するまでの時間(待ち時間)を指定します。JP1/AJS2 for EAPでは,インフォパッケージのデータロード後に実行される,QMアクション(ロードしたデータの有効化処理)やインフォパッケージの後続処理(重複依頼の削除など)の終了は監視できません。これらの処理の終了を待って後続ジョブを実行したい場合には,この待ち時間を設定します。
この値は,JP1/AJS2 for EAPのjbwipstaのコマンドラインで待ち時間(-qmwait_timeオプション)の指定を省略した場合に使用されます。
このkeyの指定を省略した場合の待ち時間は,0秒です。Codepage 0〜9999(単位:コードページ番号) 接続先のUnicode版 SAPシステムで,文字コードの変換時に使用するコードページ番号を指定します。
Unicode版 SAPシステムと日本語の文字データを送受信する場合は,シフトJISのコードページとして「8000」を指定してください。日本語の文字データを送受信しない場合は,このkeyの指定は不要です。注※1 JP1/AJS2のジョブ実行時のワークパスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド」を参照してください。
注※2 RetryCountキーまたはRetryTimeキーを指定する場合は,互いに他方のキーを指定するかどうかによって,有効となるキーが次の表に示すように異なります。
キーの指定 有効になるキー RetryCountキー RetryTimeキー RetryCountキー RetryTimeキー ○ ○ ○ − ○ − ○ − − ○ − ○ − − ○ − (凡例)
○:キーの指定あり,または有効になるキー
−:キーの指定なし,または無効になるキー
All Rights Reserved. Copyright (C) 2006, 2008, Hitachi, Ltd.