2.2.7 メールシステム連携時の注意事項
メールシステム連携時の注意事項を説明します。
- <この項の構成>
- (1) Windows自動ログオン機能を使用する場合
- (2) サービスを使用してExchange Server以外のメールシステムと連携する場合
- (3) メールシステム連携機能のクラスタ運用
- (4) メールシステム連携で設定した環境を変更した場合
- (5) メール受信監視ジョブの実行後に作成されるファイルの削除
- (6) メールシステム連携機能の選択を変更する場合
- (7) メールプロファイルに個人用フォルダを設定している場合
- (8) メール監視間隔の算出手順
- (9) Outlookを使用する場合
- (10) Outlook 2002以降を使用する場合の動作の違い
- (11) メールクライアントソフトの設定について
- (12) リモートデスクトップを使用する場合
- (13) 設定した環境の情報の読み込みに失敗した場合
- (14) Outlookのライセンス登録および証明書の有効期限に関する注意事項
- (15) トラブルの対処方法
(1) Windows自動ログオン機能を使用する場合
- Windows起動中に[Shift]キーを押し続けると,Windows自動ログオン機能の起動を停止し,Windowsにログオンするためのダイアログボックスを表示できます。これを利用して別のユーザーでWindowsにログオンした場合,次のWindows起動時に,Windows自動ログオンに失敗することがあります。
- Windows自動ログオン機能を使用する場合は,別のユーザーでログオンしないようにしてください。別のユーザーでログオンした場合は,次にWindows自動ログオン機能を使用する前に,[Windows自動ログオンの設定]ダイアログボックスの内容が変更されていないことを確認しておいてください。Windows自動ログオンの設定内容の確認方法については,Microsoftのドキュメントを参照してください。
- メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する設定からサービス上で使用する設定に変更する場合,またはメールシステム連携機能を使用しない設定に変更する場合,設定を変更する前に,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブの[Windows自動ログオンの設定]でWindows自動ログオンを解除してください。
(2) サービスを使用してExchange Server以外のメールシステムと連携する場合
- メールシステム連携のサービスは「JP1/AJS2 Mail」というサービス名で登録されていますが,net startコマンドなどでサービス名を使う場合は「JP1_AJS2_Mail」と入力してください。
- SMTP/POP3メールシステムと連携する場合には,Exchange Serverとゲートウェイを設定して,これらのメールシステムをメールサーバとして使用してください。
また,メールアドレスには,グローバルアドレス一覧(Exchange Serverが管理しているメールボックスなどの名前)に含まれるアドレスと,個人用アドレス帳に作成・保存された,ほかのメールシステムのユーザーアドレスが使用できます。
なお,デスクトップ上でメールシステム連携を行う場合については,「2.2.1 メールシステム連携の前提プログラム」を参照してください。
(3) メールシステム連携機能のクラスタ運用
- デスクトップ上で運用している場合
- JP1/AJS2メール監視プロセスはクラスタ運用に対応していません。
- サービス上で運用している場合
- JP1/AJS2 Mailサービスは複数の論理ホストに対応しません。どれか一つの論理ホストでJP1/AJS2 Mailサービスを使用してください。
また,クラスタ運用でクラスタシステムのリソースにメールシステム連携機能を設定し,さらに引き継ぎ情報を使用する場合は,引き継ぎ情報ファイルの指定先として[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[イベント起動]タブの[イベント・ジョブ情報引継ぎディレクトリ名]に,論理ホストに対応した共有ディスク上のフォルダを指定してください。
(4) メールシステム連携で設定した環境を変更した場合
メールシステム連携で,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブで設定した内容を変更した場合は,JP1/AJS2サービスと,JP1/AJS2メール監視プロセスまたはJP1/AJS2 Mailサービスを再起動してください。
(5) メール受信監視ジョブの実行後に作成されるファイルの削除
メール受信監視ジョブの監視条件に合致したメールの受信後に作成される,メール本文,添付ファイル,添付ファイルのリストファイル,および引き継ぎ情報で作成されるファイルは,自動的には削除されません。これらのファイルはシステムのディスク容量を圧迫する原因になるため,不要になったら手動で削除してください。
各ファイルの格納先については,「2.1.2(1) Windowsの場合」を参照してください。
(6) メールシステム連携機能の選択を変更する場合
- メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する設定からサービス上で使用する設定に変更する場合,またはメールシステム連携機能を使用しない設定に変更する場合,JP1/AJS2メール監視プロセスは自動的に終了しないため,手動で停止してください。
- メールシステム連携機能の使用をデスクトップ上での使用からサービス上での使用に変更すると,JP1/AJS2 Mailサービスが作成されます。JP1/AJS2 Mailサービスは,ユーザーアカウント(使用するプロファイルの作成時にWindowsへログオンしたときのユーザーアカウント)に変更して使用する必要があるため,JP1/AJS2 Mailサービスのプロパティのアカウントでユーザーアカウントを設定してください。
(7) メールプロファイルに個人用フォルダを設定している場合
メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの詳細定義で,[プロファイル名]に個人用フォルダを使用するように設定しているプロファイルを指定している場合,これらのジョブの実行時に該当する個人用フォルダファイル(拡張子「.pst」)がほかのプログラムで使われていると,Outlookにアクセスしてメールの送受信を行うときにエラーになります。そのため,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの状態が異常検出終了となります。したがって,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行するときは,次の操作を避けてください。
- ほかのアプリケーションのプロセス,またはほかのメールアカウントが,個人用フォルダを参照,更新,または削除している。
- プロファイルやメールアカウントの設定を行っている。
- メモ帳など,ほかのプログラムで直接個人用フォルダファイルを開いて操作している。
エラーが発生した際は,個人フォルダファイルについてこれらの状態を解消してください。メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの再実行は,これらの状態を解消したあとに行ってください。
(8) メール監視間隔の算出手順
メール受信監視ジョブの監視間隔には,次に示す方法で算出した値より小さい値を指定してください。デフォルトで10分です。
- Outlookで,メール1件の送信および受信を始めてから,処理が完了するまでの時間を測定する。
メールシステム連携で実際に使用するプロファイルで測定してください。求めた時間を秒単位に切り上げ,これを「1件処理時間」とします。
- 監視処理時間を算出する。
算出式は次のとおりです。
監視処理時間=(そのホストで同時に実行監視するメール受信監視ジョブの最大数)*1件処理時間
- 送信処理時間を算出する。
算出式は次のとおりです。
送信処理時間=(そのホストでメール受信監視ジョブの監視中に実行されるメール送信ジョブの最大数)*1件処理時間
- 手順2で求めた監視処理時間と手順3で求めた送信処理時間を足し,その秒数を分単位に切り上げる。
- 手順4で求めた値に1分を加えた値をメール監視間隔の下限値とする。
ただし,実際の運用では,下限値以上の値を設定することをお勧めします。
(9) Outlookを使用する場合
Outlookをシステムの規定の電子メールプログラムとして設定してから使用してください。設定方法の詳細については,Outlookのヘルプを参照してください。設定しないでメール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行した場合,Outlookによって「Microsoft Outlookを起動して,規定のメールクライアントに設定してください」というダイアログボックスが表示され,メールの送受信ができません。
(10) Outlook 2002以降を使用する場合の動作の違い
メールクライアントソフトとしてOutlook 2002以降を使用している場合,他のメールクライアントソフトを使用している場合と比べて,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時に次に示す動作の違いがあります。
- マウスカーソルがアプリケーション処理状態(砂時計)になることがあります。
- 使用中のウィンドウがアクティブでなくなることがあります。
- メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時にメール送受信の進捗度が表示されます。
進捗度を表示しないようにするには,Outlookのメニューの[ツール]-[送受信の設定]-[進捗度の表示]で[送受信中はこの画面を表示しない]をチェックしてください。
- メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時にタスクバーにOutlookが表示されます。
メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時に,タスクバーに表示されたOutlookを終了させないでください。
- メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの起動,終了時にOutlookのウィンドウが一瞬表示されます。
- ウイルス対策ソフトのメールチェック機能が有効になっている場合,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの実行時にウイルス対策ソフトのメールチェック機能が実行され,ウイルス対策ソフトのロゴが表示されることがあります。
- 受信するメールのサイズが大きい場合,メール受信が完了できない場合があります。その場合,次の環境変数をユーザー環境変数またはシステム環境変数に設定し,有効にしてからメール受信監視ジョブを実行してください。
環境変数名
JP1AJS2_REC2
設定内容
5~1,800の数字(単位:秒)
メール受信監視ジョブ実行時に,設定された時間だけメール受信の時間が延長されます。5~1,800の範囲外の数値を設定した場合,メール受信の時間は延長されません。
メール受信に掛かる時間は,時間の延長の有無に関係なく,受信するメールのサイズが500キロバイトの場合は約6秒,1メガバイトの場合は約12秒です。時間の延長の設定をする場合は,これらの時間を目安としてください。ただし,実際の時間は使用している環境によって変化しますので,あらかじめOutlookを使用して受信に掛かる時間を測定し,その時間に余裕を持たせた値を設定してください。
- メール受信監視ジョブ実行時,Outlookによるメール受信に時間が掛かると,メール受信監視ジョブが受信対象メールを検知できない場合があります。その場合は,次のメール受信監視のタイミングにメールが検知されます。
- メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブがOutlookを起動してメールを送受信している途中に,Outlookを手動で起動した場合,起動したOutlookのウィンドウサイズが小さくなっていることがあります。その場合は,タスクバーのOutlookを選択して右クリックし,[サイズ変更]や[最大化]でウィンドウサイズを調整してください。
(11) メールクライアントソフトの設定について
メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合は,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブの[メールクライアントソフト]で設定した内容と,実際に使用しているメールクライアントソフトの組み合わせが正しいことを確認してください。
なお,Windows Server 2008版のJP1/AJS2 - Agentの[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブでは,デフォルトでOutlook 2002以降の設定になっているため,この項目は表示されません。
- [Outlook2000]を設定するメールクライアントソフト
- [Outlook2002以降]を設定するメールクライアントソフト
- Outlook 2002
- Outlook 2003
- Outlook 2007
上記以外の組み合わせの場合,次のようにメールシステム連携機能が正しく動作しません。
- メール送信ジョブは正常終了するが,ジョブで定義したメールがOutlookの送信トレイに滞留したまま送信されない
- Outlookの受信トレイを参照できなくなり,メール受信監視ジョブに定義した条件を満たすメールを受信しても検知できない
また,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブで[メールクライアントソフト]を変更したあとは,JP1/AJS2サービスと,JP1/AJS2メール監視プロセスを再起動してください。再起動しないと,変更内容が反映されません。
なお,メールシステム連携機能をサービス上で使用する場合は,Outlookの種別に関係なく動作するため,メールクライアントソフトを選択する必要はありません。
(12) リモートデスクトップを使用する場合
リモートデスクトップ上でJP1/AJS2メール監視プロセスを動作させると,メールシステム連携の誤動作の原因になりますので,動作させないでください。
リモートデスクトップでのリモートログオンが必要な場合,スタートアップに登録されているJP1/AJS2メール監視プロセスが自動的に起動されないように,JP1/AJS2メール監視プロセスのアイコンをスタートアップから削除してください。
なお,この場合はシステムコンソールにログインしても自動でJP1/AJS2メール監視プロセスが起動しなくなりますので,メールシステム連携の前に,システムコンソール上でJP1/AJS2メール監視プロセスを手動で起動してください。
手動で起動するには,スタートメニューから[JP1_Automatic Job Management System 2 - Manager],または[JP1_Automatic Job Management System 2 - Agent]-[メール監視プロセス]を選択してください。
また,リモートデスクトップでメールシステム連携を行う場合は,メールシステム連携機能をデスクトップ上ではなくサービス上で使用してください。サービス上で使用する場合に使用できるメールサーバの種別などついては,「2.2.1 メールシステム連携の前提プログラム」を参照してください。
(13) 設定した環境の情報の読み込みに失敗した場合
メールシステム連携機能で,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[メール連携]タブで設定した内容の読み込みに失敗した場合は,JP1/AJS2メール監視プロセスおよびJP1/AJS2 Mailサービスは起動しますが,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行すると,統合トレースログにメッセージ「KAVT3409-E 環境定義の読み込みに失敗しました」を出力してジョブの状態が異常検出終了状態になります。その結果,メール送信ジョブで定義したメールを送信できません。また,メール受信監視ジョブの定義と合致するメールの受信を検知できません。この場合は,メッセージKAVT3409-Eが統合トレースログに出力されていることを確認して,[メール連携]タブの設定内容を見直してください。
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 メッセージ 2.4 KAVTで始まるメッセージ(イベント・アクション制御に関するメッセージ)」のメッセージKAVT3409-Eの説明を参照してください。また,[メール連携]タブの設定内容を変更したあとには,必ずJP1/AJS2メール監視プロセスまたはJP1/AJS2 Mailサービス,およびJP1/AJS2サービスを再起動してください。
(14) Outlookのライセンス登録および証明書の有効期限に関する注意事項
ライセンス未登録状態でのOutlookの起動回数が上限を超えた状態,またはOutlookで使用している証明書が有効期限切れの状態になると,Outlookが起動できなくなります。
この状態で,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行すると「異常検出終了」状態になり,メールの送信や,受信したメールの検知ができなくなるので注意してください。
- ライセンス
Outlook 2002以降では,ライセンス未登録状態でも規定の回数分はOutlookを起動できますが,その回数を超えると起動できなくなります。規定の回数は,Outlookの仕様によって異なります。Outlookのライセンス未登録状態でJP1/AJS2と連携してメール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行しないでください。
- 証明書
Outlookでメールを送受信する機能に証明書を使用している場合は,証明書の有効期限が過ぎるとOutlookを起動できなくなります。証明書の有効期限を確認してください。証明書の有効期限は各証明書によって異なるため,証明書の発行元に確認してください。
なお,Outlookでメールを送受信する機能に証明書を使用する方法については,Outlookのヘルプを参照してください。
(15) トラブルの対処方法
メールシステム連携時のトラブルの対処方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 17.5.10 メールシステム連携について(Windows限定)」を参照してください。