JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス
形式
jpomanevreset
[-h 論理ホスト名]
[-a エージェントホスト名|-all]
[-s]
[-e]
機能
イベント・アクション制御マネージャーが保持する情報を削除します。また,-aオプションで指定されたエージェントと通信を行い,エージェント側の情報も削除します。
起動条件イベントが大量発生し,イベント・アクション制御が高負荷状態となって,システム全体でスローダウンなどの現象が発生している場合,このコマンドを実行することで,次のJP1/AJS2の起動から正常な運用に戻せます。なお,システムに複数のエージェントが存在する場合は,事前にjpomanevshowコマンドを使用して大量のイベントを発生させたエージェントを特定してください。
このコマンドは,JP1/AJS2サービスが停止している場合だけ実行でき,JP1/AJS2サービスが起動している状態で実行した場合はエラーとなります。
実行権限
Windowsの場合:Administrators 権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
引数
-h 論理ホスト名
クラスタシステムで運用している場合に,イベントリセットを行う論理ホスト名を指定します。
指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,自ホスト名が仮定されます。
-a エージェントホスト名|-all
イベントリセットを行うとき,特定のエージェントの情報だけを削除したい場合に,エージェントホスト名を指定します。このとき,エージェントホスト名には,JP1/AJS2 - Viewやユニット定義ファイルでジョブの実行ホスト名として指定した名称で指定します。例えば,実行ホスト名をFQDN形式で指定した場合は,FQDN形式で指定します。
エージェントホスト名に指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
すべてのエージェントを対象にしたい場合は,-allを指定してください。
このオプションを省略した場合,自ホストのローカルエージェントが仮定されます。
-s
-aで指定したエージェントと通信を行わず,マネージャー側の情報だけを削除します。
次に示す条件の場合にこのオプションを指定してください。次に示した条件のときこのオプションを指定しなかった場合,コマンドが終了するまでに時間が掛かることがあります。
- エージェント側のJP1/AJS2サービスをコールドスタートした場合
- 通信障害でマネージャー・エージェント間の通信が正常に行えない場合
このオプションを省略した場合,-aオプションで指定したエージェントと通信を行い,エージェント側の情報も削除されます。
-e
イベントジョブや起動条件の実行は継続したままとし,未処理データだけを削除します。ただし,エージェント側の監視状態をいったん終了させたあとに再実行を行うため,JP1/AJS2サービスが起動してからエージェント側で実際に監視が始まるまでに時間差があります。
このオプションを省略した場合,実行中のイベントジョブや起動条件を終了します。
このオプションを使用してコマンドを実行する場合は,次の表に示すことを実施してください。
表1-43 JP1/AJS2起動前後の実施内容
タイミング 実施内容 JP1/AJS2起動前 エージェント側で,問題が発生した原因を取り除く。 JP1/AJS2起動後 JP1/AJS2 - View上でジョブの状態を確認し,必要に応じて再実行する。
注意事項
- オプションと値との間は,必ず1バイト以上の空白文字で区切ってください。
- このコマンドは,複数を同時に実行できません。一つ目のコマンドの実行が終了してから,二つ目のコマンドを実行してください。
- 一つのエージェントホストに対し複数のエイリアスエージェントを設定している場合,その中のエージェントホストに対して-aオプションを指定すると,他のエイリアスエージェントの情報も削除されます。
- -eオプションを指定しないでコマンドを実行した場合,イベントジョブ,および起動条件の監視が終了しますので,必要に応じて再登録してください。また,統合トレースログにKAVS1400-E,KAVS0265-Eメッセージが出力されますが,イベントジョブ,および起動条件の監視終了に伴うメッセージのため,無視してください。
- -aオプションを指定する場合は,あらかじめ該当エージェントを起動しておいてください。該当エージェントが停止している場合は,KAVT8343-Wメッセージが出力され,エージェント側の情報は削除されません。
- -aオプションに指定したエージェントが,ジョブ実行制御に登録されているかはチェックされません。このため,指定したエージェントにJP1/AJS2がインストールされていない場合,コマンドが終了するまでに時間が掛かる場合があります。
- イベント・アクション制御マネージャーが使用する,イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダが存在しない状態でコマンドを実行した場合,データが存在しないものとして動作し,コマンドは正常終了します。イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 付録A.1 JP1/AJS2 - Managerのファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。
- ファイルの削除に失敗した場合,またはエージェントへの送信に失敗した場合でも,コマンドは正常終了します。標準エラー出力にKAVT8342-E,またはKAVT8343-Wメッセージが出力された場合,対処方法に従って手動でファイルを削除してください。
- ファイルの削除に失敗した場合,失敗したファイルごとにKAVT8342-Eメッセージが標準エラー出力に出力されます。削除に失敗したファイル数が多い場合は,大量のエラーメッセージが出力されるため,すべてのメッセージを参照できないおそれがあります。このため,このコマンドを実行する際は標準エラー出力をリダイレクトするようにしてください。
(例) jpomanevreset 2> ファイル名- KAVT8343-Wのメッセージが出力された場合,エラーが発生したエージェントの情報は削除されません。必要に応じて,エージェント側のJP1/AJS2サービスをコールドスタートしてください。
- このコマンドは,JP1/AJS2運用時と同じ環境で実行してください。例えば,JP1/AJS2停止後に"DNSEstablish"を変更して,このコマンドを実行した場合,エージェントと通信する際のホスト名が変更され,エージェント側でどのマネージャーの情報を削除してよいか判別できなくなります。その結果,エージェント側の情報が削除されないなどの問題が発生することがあります。
- イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダ下にファイルが多い場合,検索や削除するファイル数が多いため,コマンドの終了までに時間が掛かります。
- -hオプションに自ホスト名を指定した場合は,物理ホストが指定されたと仮定して動作します。
- -eオプションを指定してコマンドを実行した場合,イベントジョブや起動条件の監視は続行しますが,イベントリセット前に発生したイベント情報やイベント開始情報は削除されます。そのため,イベントリセット前に事象が発生したジョブの状態が「実行中」のままになったり,すでに監視を開始しているジョブの状態が「キューイング」のままとなったりすることがあります。その場合,「実行中」のものに対しては,再度,条件に合致するイベントを発生させてください。「キューイング」中のものに対しては,そのまま使用するか,または一度終了させたあとに再登録してください。
- エージェント側での情報の削除は,エージェントが管理している情報に対してだけ行い,ゴミとして残っているファイルは削除しません。エージェント側にゴミとして残っているファイルを削除したい場合は,エージェント側のJP1/AJS2をコールドスタートしてください。
- クラスタ構成で運用している場合,JP1/AJS2サービスを停止するとフェールオーバーする設定となっているおそれがありますので,注意してください。
- Windows Server 2008のホストでこのコマンドを実行する際には,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要があります。コマンドプロンプトを起動する際は,Windowsの[スタート]メニューの[コマンドプロンプト]を右クリックし,ショートカットメニューから[管理者として実行]を選択してください。UAC機能が無効の場合は,コマンドプロンプトを管理者として起動する必要はありません。
戻り値
0 正常終了。 1 引数の指定が不適切である。 3 権限が不足している。 4 JP1/AJS2サービスが起動している。 5 同じコマンドを同時に実行している。 101 メモリー不足が発生した。 255 システムエラーが発生した。
補足事項
JP1/AJS2を通常に起動した場合と,jpomanevresetコマンドによってイベント・アクション制御マネージャーの状態を回復させたあとで起動した場合では,JP1/AJS2 - Viewで表示される状態が異なります。また,jpomanevresetコマンドでの-eオプションの指定の有無(イベントジョブや起動条件を継続するかどうか)によっても状態が異なります。それぞれの場合の状態の差異について次に説明します。
- JP1/AJS2をホットスタート(-hot)した場合
対象 状態 JP1/AJS2停止前の状態 通常時 jpomanevresetコマンド実行後 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 -e指定あり -e指定なし 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 イベントジョブ(ジョブネット中) 実行中 異常検出終了※1,※2 実行中※2 異常検出終了/終了状態不明 実行中/終了状態不明 終了状態不明 先行終了待ち 先行終了待ち※3 先行終了待ち※3 保留中 保留中※3 保留中※3 キューイング 実行中/異常検出終了 実行中 異常検出終了/終了状態不明 実行中/終了状態不明 終了状態不明 その他の状態 変更なし 変更なし 起動条件 監視中 監視中 監視中 監視打ち切り終了 その他の状態 変更なし 変更なし 起動条件内イベントジョブ 実行中 実行中 実行中/終了状態不明 終了状態不明 キューイング キューイング キューイング/終了状態不明 その他の状態 変更なし 変更なし
- 注※1
- システムダウンしたあとの再起動の場合は,実行中になります。
- 注※2
- 終了処理のタイミングによっては,終了状態不明になることがあります。
- 注※3
- 先行ユニットが異常終了扱いになった場合は,未実行終了になります。
- JP1/AJS2をウォームスタート(-warm)した場合
対象 状態 JP1/AJS2停止前の状態 通常時 jpomanevresetコマンド実行後 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 -e指定あり -e指定なし 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 イベントジョブ(ジョブネット中) 実行中 終了状態不明 終了状態不明 先行終了待ち 未実行終了 未実行終了 保留中 未実行終了 未実行終了 キューイング 終了状態不明 終了状態不明 その他の状態 変更なし 変更なし 起動条件 監視中 監視中 監視中/監視打ち切り終了 監視打ち切り終了 その他の状態 変更なし 変更なし 起動条件内イベントジョブ 実行中 実行中 実行中/終了状態不明 終了状態不明 キューイング キューイング キューイング/終了状態不明 その他の状態 変更なし 変更なし - JP1/AJS2をコールドスタート(-cold)した場合
対象 状態 JP1/AJS2停止前の状態 通常時 jpomanevresetコマンド実行後 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 -e指定あり -e指定なし 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 自ホストに対して実行中 他ホストに対して実行中 イベントジョブ(ジョブネット中) 実行中 未登録 未登録 先行終了待ち 保留中 キューイング その他の状態 起動条件 監視中 その他の状態 起動条件内イベントジョブ 実行中 キューイング その他の状態 - JP1/AJS2起動時に起動モードを指定しない場合
スケジューラーサービスの起動モードで起動した場合の状態については,前述のそれぞれの状態と同様になります。
使用例
jpomanevshowコマンドの使用例を参照してください。
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