4.4.2 エージェント環境の設定

キューレスジョブ実行環境を新規で設定する場合,ajsqlsetupコマンドを実行してキューレスジョブ実行環境をセットアップしたあと,[エージェント環境設定]ダイアログボックスで定義します。

ajsqlsetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。

キューレスジョブ実行環境を設定する場合に,[エージェント環境設定]ダイアログボックスで定義する項目および環境設定パラメーターでの設定方法を説明します。

各項目の推奨値と設定が有効になる時期については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 5.4.3 キューレスジョブ実行環境に関する環境設定について検討する」を参照してください。

<この項の構成>
(1) キューレスジョブ実行環境を定義する
(2) 環境設定パラメーターで定義する

(1) キューレスジョブ実行環境を定義する

キューレスジョブ実行時に必要な情報は,[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[キューレスジョブ実行環境]タブで定義してください。

エージェント環境で設定する[キューレスジョブ実行環境]タブを次に示します。

図4-13 [キューレスジョブ実行環境]タブ([エージェント環境設定]ダイアログボックス)

[図データ]

各項目の定義内容を説明します。

ログ出力の設定
ログフォルダの名称やログファイルのサイズを設定します。
ログフォルダ名
実行したジョブの開始・終了メッセージを出力するログフォルダの名称を180バイト以内の文字列で指定します。
ログフォルダの名称はフルパスで指定します。
デフォルト,および項目を設定しない場合は「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥log」です。
ログファイルのサイズ
ログファイルのサイズを0または4~2,000,000(単位:キロバイト)の間で指定します。
デフォルトは「8,192」です。
ログファイルとして,ここで指定したサイズのファイルを2面(ファイル1,ファイル2)使用します。
ここで指定したサイズの上限までファイル1に情報が書き込まれると,それ以上の情報はファイル2に書き込まれます。さらにファイル2でもサイズの上限まで情報が書き込まれると,再びファイル1に戻って情報を書き込みます。ファイル1→ファイル2→ファイル1→ファイル2を繰り返し,古い情報から上書きされていきますので,サイズの指定には注意が必要です。
ジョブ情報の保存
実行中のジョブ情報を記憶するステータスファイルの名称やサイズを設定します。
ステータスファイル名
実行中のジョブ情報を記憶するステータスファイルの名称を255バイト以内の文字列で指定します。
ログフォルダの名称はフルパスで指定します。
デフォルト,および項目を設定しない場合は「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥log¥ajsqlstat.dat」です。
ステータスファイルサイズ
実行中のジョブ情報を記憶するステータスファイルのサイズを0~2,000,000(単位:キロバイト)の間で指定します。
1キロバイト当たり,約12ジョブの情報を保持します。
デフォルトは「2,048」です。
「0」を指定した場合(この項目を設定しない場合を含む)は,実行中のジョブ情報が記憶されないため,ジョブ実行中にマネージャーホストおよびキューレスエージェントサービスで系切り替えが発生すると,ジョブの状態が不明となります。
「0」以外を指定した場合,該当ジョブ自体は正常終了していても,ジョブの状態が「異常検出終了」となることがあります。これは,該当ジョブが標準エラー出力へ出力した内容を,エージェントホストからマネージャーホストへ転送する処理に失敗しているためです。この現象を避けるためには,エラー発生時以外での標準エラー出力への出力を行わないようにしてください。
キューレスサービス内での最大同時ジョブ実行数
キューレスエージェントサービス内での最大同時ジョブ実行数を0~1,024の間で指定します。
デフォルトは「5」です。
ここで指定した値を超えた場合,超えた分については待ち状態になります(キューレスエージェントのメモリーに貯められます)。待ち状態にできるジョブの数については,「キューレスサービス内での最大待ちジョブ数」で指定してください。
なお,この項目は,論理ホスト名を指定するダイアログボックスで「デフォルト」のまま「設定」ボタンを押した場合だけ指定できます。
キューレスサービス内での最大待ちジョブ数
キューレスエージェントサービス内での最大待ちジョブ数を0~102,400の間で指定します。
デフォルトは「2,048」です。
なお,この項目は,論理ホスト名を指定するダイアログボックスで「デフォルト」のまま「設定」ボタンを押した場合だけ指定できます。

(2) 環境設定パラメーターで定義する

キューレスジョブ実行環境の設定は,環境設定パラメーターを設定して定義することもできます。

(a) 設定手順

  1. Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]から[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止する。
    • JP1/AJS2 Queueless Agentサービス
  2. メモ帳などのテキストエディターで,(b)の環境設定パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
  3. ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 設定ファイル名

    jbssetcnfコマンドのパスは,「JP1/Baseのインストール先フォルダ¥bin¥jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  4. 手順1で停止したサービスを再起動する。
    設定ファイルの内容が構成定義に反映されます。

(b) 環境設定パラメーター

キューレスジョブ実行環境で設定できる環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。なお,環境設定パラメーターの詳細については,「14.4.3 キューレスジョブ実行環境設定ファイルの環境設定パラメーターの定義内容」を参照してください。

表4-9 環境設定パラメーター一覧(Windows)

定義キー環境設定パラメーター定義内容
[JP1_DEFAULT¥JP1QLAGENT]"AJSQL_JOBMAX"=キューレスエージェントサービス内での最大同時ジョブ実行数
"AJSQL_CHARCODE"=ジョブ情報およびジョブ出力結果の文字コード
"AJSQL_JOBWAITMAX"=キューレスエージェントサービス内での最大待ちジョブ数
"AJSQL_NOATTACHREQ"=アタッチされていない論理ホストへの実行要求時の処理
"AJSQL_TRACELOGFILE"=トレースログファイル名
"AJSQL_VARDQUOTEADD"=「$JP1AJS2_JPQTEMPxx$」変数変換時の処理
"AJSQL_CONNECTTIMEOUT"=キューレスファイル転送サービスへの通信接続タイムアウト時間
"AJSQL_CONNECTCOUNT"=キューレスファイル転送サービスへの通信接続リトライ回数
"AJSQL_CONNECTINT"=キューレスファイル転送サービスへの通信接続リトライ間隔
"DISABLE_FS_REDIRECTION"=WOW64環境でジョブを実行する際にファイルシステムリダイレクトを無効にする設定
"AJSQL_CREATEWINDOWSTATION"=キューレスジョブが戻り値128で異常検出終了となる問題を回避する設定
"AJSQL_EXECLOG"=キューレスジョブ実行内部ログ出力機能を有効にするかどうかの設定
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1QLAGENT]"AJSQL_LOGFILE"=ログフォルダ名
"AJSQL_LOGSIZE"=ログファイルサイズ
"AJSQL_STATFILE"=ステータスファイル名
"AJSQL_STATSIZE"=ステータスファイルサイズ
"AJSQL_ATTACH"=キューレスエージェントサービス起動時に設定されている論理ホストのアタッチの可否
"AJSQL_EXECLOG_AGTPATH"=キューレスエージェントサービスが出力するキューレスジョブ実行内部ログを格納するフォルダ名
"AJSQL_LOADUSERPROFILE"=ユーザープロファイルを読み込むかどうかの定義
[論理ホスト名¥JP1QLAGENT]"AJSQL_CLUSTERREQ"=キューレスクラスタプロセスで論理ホストのアタッチに失敗した場合の処理
注※
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

Windowsだけで使用できる環境設定パラメーターを次に説明します。

"DISABLE_FS_REDIRECTION"=dword:設定値
WOW64環境でジョブを実行する際にファイルシステムリダイレクトを無効にするかどうかを指定します。
0
WOW64環境でジョブを実行する際にファイルシステムリダイレクトが有効になります。
1
WOW64環境でジョブを実行する際にファイルシステムリダイレクトが無効になります。
デフォルトは「0」です。
詳細については「7.28 WOW64環境でジョブを実行する際にファイルシステムリダイレクトを無効にする設定」を参照してください。
"AJSQL_CREATEWINDOWSTATION="{yes|no}"
ジョブが戻り値128で異常検出終了となる問題を回避するかどうかを指定します。
yes
ジョブが戻り値128で異常検出終了となる問題を回避します。
no
ジョブが戻り値128で異常検出終了となる問題を回避しません。
デフォルトは「no」です。
詳細については「7.29 キューレスジョブが戻り値128で異常検出終了となる問題を回避するための設定」を参照してください。
"AJSQL_LOADUSERPROFILE"="{yes|no}"
ジョブを実行するOSユーザーのユーザープロファイル情報をジョブ実行時に読み込むかどうかを指定します。
yes
ユーザープロファイルを読み込む場合に指定します。
no
ユーザープロファイルを読み込まない場合に指定します。
デフォルトは「no」です。
詳細については「7.10 キューレスジョブ環境でユーザープロファイルを必要とするジョブを実行するための設定」を参照してください。
"AJSQL_CLUSTERREQ"="{exec|error}"
キューレスクラスタプロセスで論理ホストのアタッチに失敗した場合に,キューレスクラスタプロセスを異常終了させるかどうかを指定します。
exec
キューレスクラスタプロセスを異常終了させないでプロセス起動処理を続行します。JP1/AJS2のサービスの起動処理も続行されます。
error
キューレスクラスタプロセスを異常終了させます。JP1/AJS2のサービスの起動処理も異常終了されます。
デフォルトは「exec」です。
「exec」を指定した場合,論理ホストのアタッチに失敗してもプロセス起動処理を続行します。そのため,系切り替え完了後にajsqlstatusコマンドを実行してアタッチの成否を確認してください。アタッチに失敗していた場合は,統合トレースログからエラー要因を確認し,エラー要因を取り除いたあとにajsqlattachコマンドを実行して,論理ホストをアタッチしてください。