16.31 イベント・アクション制御エージェント起動通知の送信に失敗した場合に再送を行う設定

イベントジョブや起動条件付きジョブネットを実行登録すると,実行ホストのJP1/AJS2は実行元のマネージャーホスト名を記憶し,自身が起動した際にその旨をイベント・アクション制御マネージャーに通知します。この通知をイベント・アクション制御エージェント起動通知と呼びます(以降,この章では起動通知と表記します)。

エージェントから起動通知を受けたマネージャーは,そのエージェントで実行中のイベントジョブ(起動条件付きジョブネットを含む)の実行状態について,マネージャー・エージェント間での整合を取る通信を行います。

エージェントが起動通知の送信に失敗した場合,マネージャー・エージェント間の通信が行われないため,マネージャー・エージェント間でイベントジョブ(起動条件付きジョブネット含む)の実行状態が一致しなくなることがあります。この場合,JP1/AJS2 - Viewで起動条件付きジョブネットの状態が監視中と表示されても,実際にはエージェントでは監視が行われていない状態になります。そのため,監視対象のイベントが発生してもイベントは検知されず,マネージャー側でイベントジョブが終了しないことや,起動条件付きジョブネットが起動しないことがあります。

イベントジョブや起動条件付きジョブネットを実行したまま,次のような状況でエージェントホストのJP1/AJS2サービスを再起動する運用を行う場合は,「(1) 定義手順」に従って,あらかじめ環境設定パラメーターを設定してください。

なお,エージェントが記憶しているマネージャーホスト名はjpoagoecコマンドで確認できます。使用しない不要なマネージャーホストがある場合は,同コマンドで削除してから,環境設定パラメーターを設定してください。jpoagoecコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jpoagoec」を参照してください。

注意事項
エージェントが不要なマネージャーホストを記憶している状態で環境設定パラメーターを設定し,エージェントのJP1/AJS2サービスを起動すると,不要なマネージャーに対しても起動通知の送信に失敗した場合に通知を再送するようになるため,ほかのマネージャーから実行されたイベントジョブや起動条件付きジョブネットの開始が遅れたり,イベントの検知が遅れたりすることがあります。
<この節の構成>
(1) 定義手順
(2) 定義パラメーター
(3) 定義内容

(1) 定義手順

  1. JP1/AJS2のサービスを停止する。
    次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。

    # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
    # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status

    注※ 自動停止の設定がされていることを確認します。
  2. viなどのエディターで,「(2) 定義パラメーター一覧」の定義パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
    設定ファイルのファイル名は任意です。
  3. ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 設定ファイル名

    jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  4. JP1/AJS2を再起動する。
    設定ファイルに記述した内容が反映されます。

(2) 定義パラメーター

表16-37 イベント・アクション制御エージェント起動通知の送信に失敗した場合に再送を行う設定の定義パラメーター

定義キー環境設定パラメーター定義内容
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT]"RetryAgtStartNotification"=起動通知の送信に失敗した場合に起動通知の再送を行うための定義
注※
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定してください。

(3) 定義内容

"RetryAgtStartNotification"="{Y|N}"
起動通知を再送するかどうかを指定します。
Y
起動通知の送信に失敗した場合,起動通知を再送します。
N
起動通知の送信に失敗した場合でも,起動通知を再送しません。
デフォルトは「N」です。