形式
ajsembdbrpsetup
[-mh 論理ホスト名]
[-F スケジューラーサービス名]
[-d データベース拡張領域格納ディレクトリ名
[,システムログ領域ディレクトリ名1
[,システムログ領域ディレクトリ名2]]]
[-l|-m|-s]
[-r]
[-e]
[-c]
機能
JP1/AJS2システムにJP1/AJS2 - Datareplicatorを導入している場合に使用するコマンドです。
JP1/AJS2 - Datareplicatorでレプリケーションができるように,組み込みDBが拡張されます。拡張することによって,次の情報が格納されるようになります。
ただし,ジョブ実行制御DBの情報はセットアップ前の情報を引き継ぎますが,その他については情報を引き継げません。
このコマンドは,必ずJP1/AJS2の運用を停止させてから実行してください。
スケジューラーサービスのデータベース種別が組み込みDBではない場合,このコマンドは実行できません。
JP1/AJS2 - Datareplicatorのセットアップ手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 - Datareplicator」を参照してください。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
引数
-mh 論理ホスト名
処理の対象とするJP1論理ホスト名を指定します。指定できる文字数は,1~32(単位:バイト)です。
省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数値が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEの指定がない場合は,物理ホストが仮定されます。
物理ホストを明示的に指定したい場合は,JP1_DEFAULTを指定してください。
-F スケジューラーサービス名
レプリケーションの対象とするスケジューラーサービス名を指定します。指定できる文字数は,1~30(単位:バイト)です。
省略した場合,デフォルトのスケジューラーサービス名が仮定されます。
-d データベース拡張領域格納ディレクトリ名[,システムログ領域ディレクトリ名1[,システムログ領域ディレクトリ名2]]
拡張するデータベース領域とシステムログ領域を格納するディレクトリ名を指定します。
拡張する領域は,物理ホストまたは論理ホスト内で共通の領域となるので,ホスト内で初めてこのコマンドを実行したときだけ作成されます。このため,物理ホストまたは論理ホスト内で初めてこのコマンドを実行する場合は,-dオプションを必ず指定してください。物理ホストまたは論理ホスト内ですでにこのコマンドを実行している場合,-dオプションは指定できません。指定した場合はエラーとなり,コマンドは実行できません。
ディレクトリ名指定時の注意事項を次に示します。
表20-4 データベース拡張領域格納ディレクトリに必要な容量
項番 | 規模※ | 必要空き容量(メガバイト) |
---|---|---|
1 | 大規模 | 約6,500 |
2 | 中規模 | 約3,600 |
3 | 小規模 | 約1,700 |
表20-5 システムログ領域ディレクトリに必要な容量
項番 | 規模※ | 必要空き容量(メガバイト) |
---|---|---|
1 | 大規模 | 約2,300 |
2 | 中規模 | 約800 |
3 | 小規模 | 約500 |
このオプションは,-eと同時に指定しないでください。
-l|-m|-s
拡張するデータベースのデータベースモデルを次の3種類の中から選択します。
このオプションは,-dオプションを指定している場合に有効となります。省略した場合,-lが仮定されます。ただし,-eと同時に指定しないでください。
l,m,sはそれぞれajsembdbbuildのデータベースモデル,大・中・小規模に対応しています。ajsembdbbuildで指定したデータベースモデルの規模と同じオプションを指定してください。
なお,データベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量は次のとおりです。
表20-6 ajsembdbrpsetupのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量
データベースの 領域と名称 | 小規模※ (セグメント) | 中規模※ (セグメント) | 大規模※ (セグメント) |
---|---|---|---|
データ領域AJS2RPHDATA | 6,500 | 19,000 | 38,000 |
データ領域AJS2RPSDATA | 3,000 |
-r
領域の作成でRAWファイル(キャラクタ型スペシャルファイル)を使用する場合に指定します。
このオプションは,-dオプションと同時に指定してください。また,-eと同時に指定しないでください。
-e
指定したスケジューラーサービスを組み込みDB拡張前の環境に戻します。
次に示す情報は削除されますので,注意してください。
ただし,次に示す情報は,物理ホストまたは論理ホスト内で組み込みDBを拡張して運用しているすべてのスケジューラーサービスが,組み込みDB拡張前の環境に戻したときに削除されます。
このオプションは,-d,-l,-m,-s,-r,-cと同時に指定しないでください。
-c
データベース領域ファイルをすべて初期化する場合に指定します。
すべて初期化する場合,指定する規模に応じたサイズでデータベース領域ファイルを作成します。このため,データベース領域ファイルの作成に時間が掛かります。
すべて初期化しない場合,必要最小限のサイズでデータベース領域ファイルを作成します。運用中に領域が不足した場合,領域ファイルのサイズが自動的に拡張されます。拡張できる領域ファイルの最大サイズは,規模に応じて変わります。
クラスタの実行系ホストでコマンドを実行する場合に,必ず指定してください。指定しないでコマンドを実行しても正常終了しますが,運用中にサーバマシンに障害が発生すると,ファイルが破壊されるおそれがあります。
このオプションは,-dと同時に指定してください。また,-eと同時に指定しないでください。
表20-7 各テーブルに設定されるデータベース領域(AJS2RPHDATA)に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント
テーブル名 | 各テーブルで設定される空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント |
---|---|
JPQSYSINFO | データベース領域AJS2RPHDATA全体のセグメントの5% |
JPQAGTINFO | |
JPQSCHINFO | |
JPQQUEINFO | |
JPQCONINFO | |
JPQRESINFO | |
JPQJOBINFO | データベース領域AJS2RPHDATA全体のセグメントの15% |
JPQJOBCTRL | データベース領域AJS2RPHDATA全体のセグメントの10% |
JPQENVINFO | |
JPQTRANSINFO | |
JPQNFYINFO | |
EVSYS | データベース領域AJS2RPHDATA全体のセグメントの15% |
表20-8 各テーブルに設定されるデータベース領域(AJS2RPSDATA)に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント
テーブル名 | 各テーブルで設定される空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント |
---|---|
AJSJOBINF | データベース領域AJS2RPSDATA全体のセグメントの10% |
注意事項
jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
jbssetcnf 退避ファイル名
戻り値
0 | 正常終了。 |
0以外の値 | 異常終了。 |
エラー発生時の対処
コマンド実行時にエラーが発生する場合があります。エラーが発生した場合は次の表に従って問題を対処し,再実行してください。
メッセージID | 原因 | 対処方法 |
---|---|---|
KAVS0103-E | 指定されたオプションおよびオプションに指定した値が不正です。 | オプションおよびオプションに指定する値を確認して,再実行してください。 |
KAVS0108-E | コマンドを実行する権限がありません。 | Administrators権限またはスーパーユーザー権限を持つユーザーが再実行してください。 |
KAVS0187-E | 指定したホストには,スケジューラーサービスが定義されていません。 | ホスト名が正しいことを確認して,再実行してください。 |
KAVS0190-E | 指定したホスト名またはスケジューラーサービス名が存在しません。 | ホスト名またはスケジューラーサービス名が正しいことを確認して,再実行してください。 |
KAVS0902-E | コマンドを実行するためのメモリーが不足しています。 | 現象発生時に稼働しているプロセスの状態を確認し,見積もり値以上のメモリーがあるか確認してください。 UNIXの場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 4.2.5 カーネルパラメーターを見積もる」を参照し,カーネルパラメーターのメモリーに関する設定値が,見積もり値以上になっているか確認してください。 |
KAVS0903-E |
|
|
KAVS0930-E | 組み込みDBへの接続が占有されています。 | 組み込みDBへの接続をすべて解除して,再実行してください。 |
KAVS0982-E | データベースの接続数の上限を超えています。 | データベースに接続しているほかのプロセスを停止したあとに,再実行してください。 |
KAVS0983-E | 組み込みDB認可識別子,または組み込みDB認可識別子パスワードが「root」ではないおそれがあります。 | 組み込みDBの再セットアップが必要です。 再セットアップ時には組み込みDB認可識別子および認可識別子パスワードを指定しないでください。 |
KAVS0996-E | 指定されたオプションおよび値が不正です。 | オプションおよびオプションに指定する値を修正してください。 |
KAVS1003-E | 構成定義の指定が不正です。 | 詳細情報に示す構成定義のキーの値を確認して,再実行してください。 |
KAVS2101-E | 組み込みDBが停止しています。 | 組み込みDBを起動して,再実行してください。 |
KAVS2102-E | 組み込みDBが起動処理中,または停止処理中です。 | 組み込みDBを起動した状態にして,再実行してください。 |
KAVS2104-E | スケジューラーサービスには組み込みDBがセットアップされていません。 | スケジューラーサービスのデータベース種別がEmbedDBであること,および組み込みDBがセットアップされていることを確認し,再実行してください。 |
KAVS2115-E | スケジューラーサービスにセットアップしている組み込みDB,またはセットアップ識別子に登録された組み込みDBが,アンインストールされているおそれがあります。 | 組み込みDBがアンインストールされている場合は,インストールおよびセットアップを実施したあと,再実行してください。 アンインストールされていない場合は,組み込みDBの環境が削除されているおそれがあるため,セットアップしたあと,再実行してください。 |
KAVS2116-E | 指定したオプションに誤りがあります。 | 詳細情報に示すオプションまたはオプションの値が正しいことを確認して,再実行してください。 |
KAVS2118-Q | 組み込みDBを停止しましたが,組み込みDBの状態が停止中になるのを確認できませんでした。 | 処理を続行する場合は,ajsembdbstatusによって,組み込みDBが停止したのを確認してから,「y」を入力してください。処理を中断する場合は,「n」を入力してください。この場合,コマンドを再実行するには,ajsembdbstartによって組み込みDBを起動する必要があります。 |
KAVS4210-E | すでにセットアップされています。 | 再セットアップする場合は,ajsembdbrpsetup -eでアンセットアップしたあと,再実行してください。 |
KFPA11723-E | 組み込みDBが停止しています。 | 組み込みDBを起動してください。 |
KFPA11561-E | 指定された認可識別子は有効ではありません。 | スケジューラーサービスの組み込みDBを再セットアップしてください。再セットアップ時には,組み込みDB認可識別子と組み込みDB認可識別子パスワードを指定しないでください。再セットアップしたあと,再実行してください。 |
KFPA11563-E KFPA11732-E | 組み込みDBにほかのユーザーがアクセスしているため,排他待ちタイムアウトになりました。 | 組み込みDBへのアクセスをすべて停止してから再実行してください。 |
なお,KAVSで始まるメッセージの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 メッセージ 2.3 KAVSで始まるメッセージ(スケジューラーに関するメッセージ)」を参照してください。
使用例
ajsembdbrpsetup -F AJSROOT1 -d /var/EMBDB
ajsembdbrpsetup -F AJSROOT2
ajsembdbrpsetup -F AJSROOT1 -d /dev/vg00/rdsk1 -r -l
ajsembdbrpsetup -mh lhost -F AJSROOT1 -d /shdsk/RDAREA -l -c
jbsgetcnf -h lhost > 退避ファイル名
jbssetcnf 退避ファイル名※
ajsembdbrpsetup -F AJSROOT1 -e