9.4.2 クラスタシステムの環境設定の手順

9.4.1 クラスタシステムの環境設定の項目」で説明した項目を,画面で定義します。実行系と待機系でそれぞれ作業が必要です。

次に,Windowsの環境設定画面について,実行系と待機系それぞれでの作業を説明します。なお,環境設定は,JP1のすべてのサービスを停止したあと,JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentで実施してください。

環境設定の手順を次に示します。

[図データ]

<この項の構成>
(1) 実行系での作業(JP1/AJS2 - Manager)
(2) 待機系での作業(JP1/AJS2 - Manager)
(3) 実行系での作業(JP1/AJS2 - Agent)
(4) 待機系での作業(JP1/AJS2 - Agent)

(1) 実行系での作業(JP1/AJS2 - Manager)

  1. JP1/Baseの実行系での作業をする。
    JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  2. JP1/AJS2 Consoleを使用する場合は,物理ホストのセットアップをする。
    JP1/AJS2 Console ManagerおよびJP1/AJS2 Console Agentを使用する場合は,それぞれ次のコマンドを実行します。

    JP1/AJS2 Consoleのインストール先フォルダ¥bin¥ajscmsetup.exe
    JP1/AJS2のインストール先フォルダ¥bin¥ajscasetup.exe

    すでに物理ホストのセットアップがされている場合は上記コマンドの実行は不要です。ただし,JP1/AJS2 Consoleのサービスの起動方法が「自動」になっていない場合は,「自動」にしてください。
  3. 「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥bin¥jp1ajs2hasetup.exe」を実行する。
    [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。

    図9-2 [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックス

    [図データ]

  4. [実行系論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
    [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)が表示されます。

    図9-3 [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)(JP1/AJS2 - Manager)

    [図データ]

  5. 情報を作成する論理ホスト名および共有フォルダ・共有ファイルを作成する共有ディスク上のフォルダを指定する。また,スケジューラーサービスについても指定する。
    指定したフォルダ名¥jp1ajs2¥」フォルダ下に,共有フォルダおよび共有ファイルがローカルディスクからコピーされます。
    なお,このフォルダを指定するときには,共有ディスクを参照できる状態にしておく必要があります。
    スケジューラーサービスについては,次のように設定します。
    [スケジューラーサービス名]
    一意のスケジューラーサービス名を指定します。ほかのスケジューラーサービス名と重複しない名称を指定してください。名称が重複している場合,エラーメッセージ「指定されたサービスは登録済みです。」が表示されます。
    なお,JP1/AJS2 - Agentでは設定不要です。
    [スケジューラーサービスの識別番号]
    スケジューラーサービスの識別番号を1~20の間で指定します。識別番号は,自ホスト内の物理ホストおよびすべての論理ホストで使用している識別番号と重複しない番号を指定してください。値が重複している場合,エラーメッセージ「スケジューラーサービスの識別番号に指定された値は,ほかの論理ホスト,または別のサービスの設定値と重複しています。重複しない値を設定してください。」が表示されます。
    すでに指定されている識別番号は,jbsgetcnfコマンドで共通定義情報を取得し,共通定義パラメーターAJSSERVICEIDに設定されている値で確認できます。共通定義パラメーターAJSSERVICEIDは,スケジューラーサービスが複数設定されている場合には複数の設定値があります。そのため,物理ホストおよび論理ホストの共通定義を取得し,すべての定義で指定する識別番号が重複しないことを確認してください。
    なお,JP1/AJS2 - Agentでは設定不要です。
    [ジョブ状態通知ポートのサービス名]
    「jp1ajs2report」を指定します。なお,一つの論理ホストで複数のスケジューラーサービスを起動する場合は,別のサービス名を指定します。
    サービス名はservicesファイルに登録しておいてください。
    論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する設定が必要な場合は,「9.4.7(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する」を参照して設定してください。
    なお,JP1/AJS2 - Agentでは設定不要です。
  6. [次へ]ボタンをクリックする。
    [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)が表示されます。

    図9-4 [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)

    [図データ]

  7. 内容を確認し,内容が正しければ[完了]ボタンをクリックする。
  8. JP1/AJS2 Console Managerの環境設定をする。
    JP1/AJS2 Console Managerを使用している場合,次の手順でJP1/AJS2 Console Managerの環境設定をしてください。
    なお,JP1/AJS2 Console Agentのクラスタ運用時の環境設定は,JP1/AJS2 Managerのクラスタ運用時のセットアップ中に実施されるため,JP1/AJS2 Console Agentのクラスタ運用時の環境設定は必要ありません。
    1. テキストエディターで構成定義ファイルを作成する。
    作成する構成定義ファイルの内容を次に示します。
     
    [論理ホスト名¥JP1AJS2CONSOLEMANAGER]
    "DATADIRECTORY"="論理ホストのデータディレクトリのフォルダパス"
     
    論理ホスト名が「node0」で,論理ホストの共有フォルダが「e:¥shdsk¥node0」の場合の指定例を次に示します。
     
    [node0¥JP1AJS2CONSOLEMANAGER]
    "DATADIRECTORY"="e:¥shdsk¥node0¥jp1ajs2cm¥database"
     
    2. 構成定義ファイルを任意のフォルダに保存する。
    ファイル名の例を次に示します。
     
    jp1ajs2cm_node0.txt
     
    3. 次に示すコマンドを実行して構成定義ファイルの情報を設定する。
     
    jbssetcnf 構成定義ファイル名
     
    jbssetcnfコマンドのパスは,「JP1/Baseのインストール先フォルダ¥bin¥jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
    コマンドの指定例を次に示します。
     
    jbssetcnf jp1ajs2cm_node0.txt
     
  9. スケジューラーサービスのデータベース作成のために,ajssetupコマンドを実行する。
    (例)
    JP1/AJS2データベースとしてISAMを使用する場合
     
    ajssetup -F サービス名 -t -mh 論理ホスト名
     
    ajssetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajssetup」を参照してください。
    JP1/AJS2データベースとして組み込みDBを使用する場合は,「5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」を参照してください。
  10. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。

    ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名

    ajsqlsetupコマンドの詳細については「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
    注意事項
    ajsqlsetupコマンドを実行すると,共有ディスク上にキューレスジョブの実行に必要なファイルを作成し,チェックしますので,必ず共有ディスクをマウントしてから実行してください。
  11. 論理ホストで使用するファイルやフォルダを作成するために,jpqimportコマンドを実行する。
    (例)
    JP1/AJS2データベースとしてISAMを使用する場合
     
    jpqimport -dt isam -ci ジョブ実行環境構成定義ファイル名 -mh 論理ホスト名
     
    jpqimportコマンドの詳細については「20. セットアップ時に使用するコマンド jpqimport」を参照してください。
  12. 論理ホストのサービスの設定を確認する。
    • スケジューラーデータベースにISAMを使用する場合は,マネージャー環境設定の「スケジューラーファイルの構成」で,データファイル更新モードを「同期」に設定してください。
    • マネージャー環境設定の「スケジューラーオプション」で,「サービス起動モード」など,運用に適したオプションを選択してください。
  13. JP1/AJS2サービス起動時のISAMファイル自動再編成機能を有効にする。
    論理ホストの共有フォルダが「e:¥shdsk¥node0」の場合,「e:¥shdsk¥node0¥jp1ajs2¥conf¥jp1ajs_spmd_pre.conf.model」ファイルを,jp1ajs_spmd_pre.confファイルにコピーします。

これで実行系での作業は完了です。

注意事項
  • 設定は論理ホストごとに実施してください。
  • 実行系の論理ホストの設定(jp1ajs2hasetup.exeコマンド)は,物理ホストのスケジューラーサービスの多重起動が設定されていない状態で実行してください。
  • 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する設定が必要な場合は,「9.4.7(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する」を参照して設定してください。
  • 実行系の論理ホストの設定(jp1ajs2hasetup.exeコマンド)を実行すると,物理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルが論理ホストにコピーされます。そのため,物理ホストの設定を引き継いで,論理ホストに必要のないプロセスが起動されることがあります。物理ホストでjp1ajs_spmd.confファイルを編集している場合は,論理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルを編集し,必要なプロセスだけが起動されるようにしてください。

(2) 待機系での作業(JP1/AJS2 - Manager)

  1. JP1/AJS2 Consoleを使用する場合は,物理ホストのセットアップをする。
    JP1/AJS2 Console ManagerおよびJP1/AJS2 Console Agentを使用する場合は,それぞれ次のコマンドを実行します。

    JP1/AJS2 Consoleのインストール先フォルダ¥bin¥ajscmsetup.exe
    JP1/AJS2のインストール先フォルダ¥bin¥ajscasetup.exe

    すでに物理ホストのセットアップがされている場合は上記コマンドの実行は不要です。ただし,JP1/AJS2 Consoleのサービスの起動方法が「自動」になっていない場合は,「自動」にしてください。
  2. 実行系でのJP1/Base,JP1/AJS2,JP1/IMの作業を完了させたあと,実行系の共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
    実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。実行するコマンドを次に示します。
    実行系
     
    jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
     
    待機系
     
    jbssetcnf 退避ファイル名
     
  3. JP1/Baseの待機系での作業をする。
    JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  4. 「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥bin¥jp1ajs2hasetup.exe」コマンドを実行する。
    [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。
  5. [待機系論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
    [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)が表示されます。

    図9-5 [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)

    [図データ]

  6. 実行系で設定した論理ホスト名を指定し,[次へ]ボタンをクリックする。
    [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)が表示されます。

    図9-6 [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)

    [図データ]

  7. 内容を確認し,内容が正しければ[完了]ボタンをクリックする。
  8. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。

    ajsqlsetup -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名 -nc

  9. スケジューラーサービスの多重起動の設定でジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を追加する場合は,servicesファイルにポート番号を設定する。

これで待機系での作業は終了です。

注意事項

(3) 実行系での作業(JP1/AJS2 - Agent)

  1. JP1/Baseの実行系での作業をする。
    JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  2. 「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥bin¥jp1ajs2hasetup.exe」を実行する。
    [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。

    図9-7 [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックス

    [図データ]

  3. [実行系論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
    [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)が表示されます。

    図9-8 [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)(JP1/AJS2 - Agent)

    [図データ]

  4. 情報を作成する論理ホスト名および共有フォルダ・共有ファイルを作成する共有ディスク上のフォルダを指定する。
    指定したフォルダ名¥jp1ajs2¥」フォルダ下に,共有フォルダおよび共有ファイルがローカルディスクからコピーされます。なお,このフォルダを指定するときには,共有ディスクを参照できる状態にしておく必要があります。
    スケジューラーサービスについては,次のように設定します。
  5. [次へ]ボタンをクリックする。
    [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)が表示されます。

    図9-9 [実行系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)

    [図データ]

  6. 内容を確認し,内容が正しければ[完了]ボタンをクリックする。
  7. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。
    エージェント環境の場合(JP1/AJS2 - Agent)

    ajsqlsetup -h 論理ホスト名

    注意事項
    ajsqlsetupコマンドを実行すると,共有ディスク上にキューレスジョブの実行に必要なファイルを作成し,チェックしますので,必ず共有ディスクをマウントしてから実行してください。

これで実行系での作業は完了です。

注意事項
設定は論理ホストごとに実施してください。

(4) 待機系での作業(JP1/AJS2 - Agent)

  1. 実行系でのJP1/Base,JP1/AJS2,JP1/IMの作業を完了させたあと,実行系の共通定義情報を退避し,待機系に共通定義情報を設定する。
    実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。実行するコマンドを次に示します。
    実行系

    jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名

    待機系

    jbssetcnf 退避ファイル名

  2. JP1/Baseの待機系での作業をする。
    JP1/Baseの作業については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  3. 「JP1/AJS2インストール先フォルダ¥bin¥jp1ajs2hasetup.exe」コマンドを実行する。
    [AJS2クラスタ構成の設定]ダイアログボックスが表示されます。
  4. [待機系論理ホストの設定]ボタンをクリックする。
    [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)が表示されます。

    図9-10 [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(入力用)

    [図データ]

  5. 実行系で設定した論理ホスト名を指定し,[次へ]ボタンをクリックする。
    [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)が表示されます。

    図9-11 [待機系論理ホストの設定]ダイアログボックス(確認用)

    [図データ]

  6. 内容を確認し,内容が正しければ[完了]ボタンをクリックする。
  7. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。
    エージェント環境の場合(JP1/AJS2 - Agent)

    ajsqlsetup -h 論理ホスト名

これで待機系での作業は終了です。

注意事項
設定は論理ホストごとに実施してください。