9.5 クラスタ運用時の注意事項
- <この節の構成>
- (1) JP1/AJS2全体に対する注意事項
- (2) ジョブ実行環境に対する注意事項
- (3) イベント起動に関する注意事項
- (4) キューレスジョブ実行環境に関する注意事項
- (5) 定義内容の事前チェック機能に関する注意事項
(1) JP1/AJS2全体に対する注意事項
- クラスタシステムでJP1/AJS2のセットアップを実施する場合は,物理ホストおよび既存の論理ホストで動作しているJP1/AJS2のサービスを必ず停止してください。JP1/AJS2のサービスを停止しないままセットアップを実施した場合,JP1/AJS2のサービスが正しく動作しなくなります。この場合は,サーバを再起動して回復させてください。
- JP1/AJS2のスケジューラーデータベース(ISAM),ジョブ実行環境データべース(ISAM),および内部ファイルの二重化はサポートしていません。ミラーディスク,RAIDディスクなどを利用して,ディスクシステム自体で信頼性を確保してください。
- クラスタシステムでJP1/AJS2を多重起動する場合,多重起動する論理ホストの数だけ,システムのリソースが必要となります。
- クラスタシステム運用時,論理ホスト上で起動されるJP1/AJS2サービスは,JP1/AJS2のプロセスが異常終了した場合には縮退運転しないで,すべてのプロセスを終了してください。なお,Windowsでは,論理ホスト対応のJP1/AJS2サービスを作成した場合,デフォルトで縮退運転しないモードになりますが,異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動するように設定している場合,再起動が優先されるため,設定を解除してください。再起動設定の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 15.15.1 異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動する」を参照してください。
- JP1/AJS2 Monitorサービス,キューレスエージェントサービス,キューレスファイル転送サービス,JP1/AJS2 Console Managerサービス,JP1/AJS2 Console Agentサービスはマシンに一つのサービスです。しかし,クラスタソフトによる共有ディスクおよび論理IPアドレスの移動に伴い,論理ホストごとに処理を切り分けることで,クラスタシステムに対応しています。
- 環境変数JP1_HOSTNAMEをシステム環境変数,ユーザー環境変数として設定しないでください。サービスの起動などができなくなることがあります。環境変数JP1_HOSTNAMEは,コマンドプロンプトまたはバッチファイルで設定してください。なお,論理ホスト名の指定方法については,「9.2.1 基本的な運用方法」を参照してください。
- JP1/AJS2サービスの停止直後,JP1/AJS2のプロセスの一部が残っている場合があります。クラスタソフトで再起動設定している場合,JP1/AJS2の再起動に失敗することがありますが,クラスタソフトの再起動間隔,またはMSCSを使用している場合は再起動回数を増やすことで回避できます。
(2) ジョブ実行環境に対する注意事項
- クラスタシステム運用時,実行系で実行中のジョブがある状態でデーモンを停止した場合,実行中のジョブは強制終了されてから待機系に移行します。しかし,強制終了されたジョブの状態は,待機系ではすぐには終了状態とは認識されません。数分後に終了状態になります。
- JP1/OJE for VOS3と連携するために,jpqreguserコマンドでVOS3ユーザー情報を登録する場合は,実行系ホストおよび待機系ホストの両方にユーザー情報を登録する必要があります。実行系ホストのユーザー情報を追加・変更・削除した場合は,「20. セットアップ時に使用するコマンド jpqreguser」のクラスタシステムで運用する場合の注意事項に記載している手順に従い,待機系ホストのユーザー情報を追加・変更・削除してください。
(3) イベント起動に関する注意事項
- 07-10より前のバージョンで,すでにクラスタシステム運用がセットアップされている環境から,07-10以降にバージョンアップした場合,論理ホストのイベント起動のファイル更新モードは非同期となります。論理ホストのイベント起動のファイル更新モードを同期モードにするには,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[ファイル更新モード]で[同期]を設定してください。また,07-10以降にバージョンアップ後に,クラスタシステム運用のセットアップを行うと,論理ホストのイベント起動のファイル更新モードは同期となります。論理ホストのイベント起動のファイル更新モードを非同期モードにするには,クラスタシステム運用のセットアップ後に[マネージャー環境設定]ダイアログボックスまたは[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[ファイル更新モード]で[非同期]を設定してください。
- 07-10-/Cより前のバージョンで,すでにクラスタシステム運用がセットアップされている環境から,07-10-/C以降にバージョンアップした場合,論理ホストのイベント起動の詳細プロセス終了時オプションは[終了しない]となります。
また,07-10-/Cへバージョンアップ後に,クラスタシステム運用のセットアップを行うと,論理ホストのイベント起動の詳細プロセス終了時オプションは[終了する]となります。必要に応じて上記の設定を変更してください。
- メールシステム連携およびメッセージキューシステム連携を使用している場合,物理ホストまたは論理ホストのうち,どれか一つのJP1/AJS2だけで連携できます。論理ホストで連携する場合でも,連携機能の環境設定は物理ホストに定義してください。
なお,メールシステム連携およびメッセージキューシステム連携は多重起動できないため,待機系ではこれらの連携ができません。
(4) キューレスジョブ実行環境に関する注意事項
キューレスジョブ実行環境に関する注意事項の詳細については,「9.4.5(3) キューレスジョブ使用時に論理ホストを自動でアタッチ・デタッチする場合の注意事項」を参照してください。
(5) 定義内容の事前チェック機能に関する注意事項
定義内容の事前チェック機能に関する注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 8.1.16 本番運用前のJP1/AJS2定義内容のチェックと注意事項」を参照してください。