14.2.1 ジョブ実行環境の設定手順

ジョブ実行環境のセットアップに使用する構成定義ファイル(ジョブ実行環境設定ファイル(Queue.conf))には,環境設定に必要な情報が定義されています。情報を変更したい場合は,構成定義ファイルの内容(環境設定パラメーターの定義内容)を書き換えてください。

この項では,構成定義ファイルの内容(環境設定パラメーターの定義内容)を変更する手順を説明します。

なお,ジョブ実行環境設定ファイル(Queue.conf)の内容については,「14.2.2 マネージャー環境(JP1/AJS2 - Manager)で設定する内容」または「14.2.3 エージェント環境(JP1/AJS2 - Agent)で設定する内容」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 初期状態の構成定義情報を変更する場合の手順
(2) 設定済みの構成定義情報を利用して変更する場合の手順
(3) ジョブ実行環境の構成定義情報を一括で変更する場合の手順
(4) 運用中にジョブ実行環境の構成定義情報を変更する場合の手順

(1) 初期状態の構成定義情報を変更する場合の手順

構成定義ファイルは,初期状態では推奨値で定義されています。初期状態の登録情報の変更手順を次に示します。

  1. 次のファイルをエディターで開く。

    /etc/opt/jp1ajs2/conf/Queue.conf

  2. 必要に応じて,ジョブの実行環境を変更する。
    デフォルトでは,実行ホスト(エージェント)が一つ,ローカルホストに作成されます。しかし,システムによっては,ジョブの実行環境を変更する必要があります。例として次の場合があります。
    • 実行ホストが複数台ある場合
    • 他システム(JP1/NQSEXECやJP1/OJEなど)と連携する場合
    • ジョブを複数の実行ホストで分散実行する場合
    • 特定ジョブ同士を排他実行する場合
    このような運用をする場合は,新たに実行ホスト(エージェント),キューまたは排他実行リソースを定義する必要があります。
  3. 編集した構成定義ファイルを保存する。
  4. 次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 設定ファイル名

    jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  5. JP1/AJS2を再起動する。
    設定ファイルの内容が構成定義に反映されます。

(2) 設定済みの構成定義情報を利用して変更する場合の手順

定義情報ファイルは,現在設定されている登録情報から作成することもできます。現在設定されている登録情報の変更手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行する。

    jbsgetcnf [-h 論理ホスト名] > 退避ファイル名

    jbsgetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbsgetcnf」です。
    jbsgetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
    現在設定されている定義情報が退避ファイルに退避されます。
  2. 手順1で取得した退避ファイルをviなどのエディターで開く。
  3. 構成定義パラメーターを変更または追加し,保存する。
  4. 次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 退避ファイル名

    jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  5. JP1/AJS2を再起動する。
    変更した退避ファイルの内容が登録されます。

(3) ジョブ実行環境の構成定義情報を一括で変更する場合の手順

ここでは,jpqimportコマンドを使用して,ジョブの実行環境を一括で定義する方法を説明します。次に示す手順で,ジョブ実行環境のデータベースを再作成してください。

  1. ジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)をviなどのエディターで開き,使用するキューとエージェントを設定する。
    ジョブ実行環境構成定義ファイルのパスは,/etc/opt/jp1ajs2/conf/jpqsetup.confです。
    ファイルに書き込む内容の詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド jpqimport」を参照してください。
    ファイルの記述例を次に示します。

    図14-1 ジョブ実行環境構成定義ファイルの記述例

    [図データ]

  2. 編集した構成定義ファイルを保存する。
  3. ジョブ実行環境のデータベースディレクトリにあるファイルをすべて削除する。
    JP1/AJS2デーモンを停止してから,ファイルを削除してください。
    ジョブ実行環境のデータベースディレクトリは,ジョブ実行環境設定ファイル(Queue.conf)の[{JPLDEFAULT|論理ホスト名}¥JP1NBQMANAGER¥Database]のDatabasePathパラメーターに指定したディレクトリです。物理ホストでは,/var/opt/jp1ajs2/database/queueです。

(4) 運用中にジョブ実行環境の構成定義情報を変更する場合の手順

jpqagtadd,jpqqueaddなどのコマンドを使用して,JP1/AJS2の運用中にエージェントやキューなどを追加,削除,または変更できます。運用中に,ジョブ実行環境に構成定義情報を追加する場合は,jpqagtadd,jpqqueadd,jpqresaddなどのコマンドを使用してください。また,運用中にジョブ実行環境の構成定義情報を変更する場合は,jpqagtalt,jpqquealtなどのコマンドを使用してください。各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド」を参照してください。

jpqagtaddコマンドで実行ホスト(エージェント)を追加する手順を次に示します。

  1. エージェントを追加し,ジョブ実行多重度を設定する。
    追加するエージェントのホスト名はIPアドレス解決できることを確認しておく必要があります。ジョブ実行多重度を省略すると,24時間,実行多重度は0が仮定されます。ジョブ実行多重度が0の場合,ジョブは実行できません。ジョブを実行する場合は1以上を指定するか,jpqagtaltコマンドでジョブ実行多重度を変更してください。ジョブ実行多重度の指定例については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jpqagtalt」の補足事項も参照してください。

    jpqagtadd -ah エージェント名 -cp ジョブ実行多重度の設定

  2. デフォルトキューの受付口を開く。
    エージェントを作成すると同時に同名のデフォルトキューが作成されます。jpqagtaddコマンドでエージェントを追加した直後は,キューの受付口が閉じているのでジョブを登録できません。jpqqueopenコマンドを使用してキューの受付口を開いてください。

    jpqqueopen -ah エージェント名 -en

  3. デフォルトキューのジョブ数の最大値および警告値を変更する。
    ジョブ数の最大値および警告値は,デフォルトで最大値(4,294,967,295)が設定されています。特に制限する必要がない場合,変更する必要はありません。

    jpqquealt -ah エージェント名 -mj ジョブ数の最大値 -wj ジョブ数の警告値

  4. 接続するエージェントを追加したり,接続先エージェントの優先順位を設定したりする。
    jpqagtaddコマンドで追加したエージェントは,デフォルトキューと接続されています。このデフォルトキューにエージェントを複数台接続して,ジョブの実行を分散させる場合などに変更してください。優先順位を指定して複数のエージェントを接続すると,指定された優先順位に従ってエージェントへジョブを配信します。

    jpqagtlink -ah エージェント名 -lh エージェント名 -clp 接続先エージェントの優先順位

  5. 設定内容を確認する。
    jpqagtshowコマンド,jpqqueshowコマンドを実行して,手順1~4の設定内容が正しいことを確認してください。

    jpqagtshow -ah エージェント名

    jpqqueshow -ah エージェント名