16.37 ユーザー情報取得時のリトライを変更する設定
JP1/AJS2では,ジョブ※開始時または終了時に,ジョブ実行OSユーザーの情報を取得します。OSユーザーの追加,削除,またはOSユーザーのパスワードの変更などによって一時的にOSのパスワードファイルからユーザー情報が参照できないと,統合トレースログにKAVU7533-Eメッセージ(キューレスジョブの場合はKAVS1888-Eメッセージ,またはKAVS1884-Eメッセージ)が出力されて,ジョブが起動失敗または異常検出終了となります。
OSのパスワードファイルの参照を一定の間隔でリトライすることで,ジョブの起動失敗や異常検出終了となることを防ぐことができます。
通常,この値は変更する必要はありません。
- 注※
- UNIXジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブ,およびJP1/AJS2上で実行するQUEUEジョブが該当します。jpqjobsubコマンドで実行するサブミットジョブも含まれます。
設定手順を次に示します。この設定はジョブの実行先ホスト上で行ってください。
- <この節の構成>
- (1) 定義手順
- (2) 定義パラメーター一覧
- (3) 定義内容
- (4) 注意事項
(1) 定義手順
- JP1/AJS2のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2]を指定している場合
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 注※
- 自動停止の設定がされていることを確認してください。
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlstop
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlftpstop※
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsqlstatus
- 注※
- JP1/AJS2 - Managerだけ実行する必要があります。
- viなどのエディターで,「(2) 定義パラメーター一覧」の定義パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
設定ファイルのファイル名は任意です。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/AJS2を再起動する。
設定ファイルに記述した内容が反映されます。
(2) 定義パラメーター一覧
表16-43 エージェントホストのユーザー情報取得時のリトライを変更する設定のための定義パラメーター一覧
定義キー | 環境設定パラメーター | 定義内容 |
---|
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1NBQAGENT¥Job]※ | "GetPasswd_RetryCount "= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2]を指定している場合に,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする回数 |
"GetPasswd_RetryInterval"= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2]を指定している場合に,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする間隔 |
[JP1_DEFAULT|論理ホスト名¥JP1QLAGENT]※ | "AJSQL_GETPASSWD_AGTRETRYCOUNT"= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスエージェントサービスでOSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする回数 |
"AJSQL_GETPASSWD_AGTRETRYINTERVAL"= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスエージェントサービスでOSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする間隔 |
- 注※
- {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定してください。
表16-44 マネージャーホストのユーザー情報取得時のリトライを変更する設定のための定義パラメーター
定義キー | 環境設定パラメーター | 定義内容 |
---|
[JP1_DEFAULT¥JP1QLAGENT] | "AJSQL_GETPASSWD_FTPRETRYCOUNT"= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスファイル転送サービスで,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする回数 |
"AJSQL_GETPASSWD_FTPRETRYINTERVAL"= | ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスファイル転送サービスで,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗した場合にリトライする間隔 |
(3) 定義内容
- "GetPasswd_RetryCount"= dword:リトライ回数
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2]を指定している場合に,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする回数を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~0000000A(10進数で0~10)です。
- デフォルトは「dword:00000002」(10進数で2)です。
- 「0」を指定した場合は,リトライしません。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
- "GetPasswd_RetryInterval"= dword:リトライ間隔
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2]を指定している場合に,OSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする間隔を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~00002710(10進数で0~10,000)(単位:ミリ秒)です。
- デフォルトは「dword:000003E8」(10進数で1,000)です。
- 「0」を指定した場合は,すぐにリトライします。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
- "AJSQL_GETPASSWD_AGTRETRYCOUNT"= dword:リトライ回数
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスエージェントサービスでOSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする回数を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~0000000A(10進数で0~10)です。
- デフォルトは「dword:00000002」(10進数で2)です。
- 「0」を指定した場合は,リトライしません。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
- "AJSQL_GETPASSWD_AGTRETRYINTERVAL"= dword:リトライ間隔
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスエージェントサービスでOSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする間隔を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~00002710(10進数で0~10,000)(単位:ミリ秒)です。
- デフォルトは「dword:000003E8」(10進数で1,000)です。
- 「0」を指定した場合は,すぐにリトライします。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
- "AJSQL_GETPASSWD_FTPRETRYCOUNT"= dword:リトライ回数
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスファイル転送サービスでユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする回数を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~0000000A(10進数で0~10)です。
- デフォルトは「dword:00000002」(10進数で2)です。
- 「0」を指定した場合は,リトライしません。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
- "AJSQL_GETPASSWD_FTPRETRYINTERVAL"= dword:リトライ間隔
- ジョブの実行先サービスに[JP1/AJS2 Queueless Agent]を指定している場合に,キューレスファイル転送サービスでOSのパスワードファイルからユーザー情報の取得に失敗したときにリトライする間隔を16進数で指定します。
- 指定できる範囲は00000000~00002710(10進数で0~10,000)(単位:ミリ秒)です。
- デフォルトは「dword:000003E8」(10進数で1,000)です。
- 「0」を指定した場合は,すぐにリトライします。
- 通常,この値は変更する必要はありません。
(4) 注意事項
- OSユーザーが登録されていない場合も設定したリトライ回数およびリトライ間隔によるリトライが実施されるため,ジョブの起動失敗や異常検出終了となるまで時間が掛かります。OSユーザーが正しく登録されていることを確認してください。
- キューレスジョブの場合,リトライ中は新たなキューレスジョブを開始できなくなります。そのため,リトライ期間を長く設定するとジョブ実行の遅延につながります。運用に影響を与えない範囲でリトライ期間を変更してください。