7.40 イベントジョブを実行する場合のマネージャーホスト名を固定化する設定
イベントジョブを実行すると,マネージャーはイベントジョブの実行先のエージェントと通信します。その通信では,マネージャーはエージェントが複数のマネージャーを区別できるように,マネージャーホスト名を送信します。マネージャーホスト名は,マネージャーのJP1/AJS2サービスを起動した際に取得しています。
通常は,意図してホスト名を変更しないかぎり,マネージャーのJP1/AJS2サービスの再起動前と再起動後で,取得したホスト名が変わることはありません。しかし,DNSなどの名前解決に関するOSの設定を変更した場合など,何らかの要因によって,JP1/AJS2サービスの再起動前と再起動後で取得したホスト名で使用されている英文字が,大文字から小文字または小文字から大文字に変わることがあります。
イベントジョブの実行先のエージェントは,マネージャーホスト名の英文字の大文字と小文字を区別するため,ホスト名の英文字が大文字から小文字,または小文字から大文字に変わると,結果としてマネージャーホスト名が変わることになり,次の問題が発生することがあります。
- 起動条件付きジョブネットを実行したままマネージャーのJP1/AJS2サービスを再起動すると,そのあとに発生した監視対象のイベントを重複して検知する。
- イベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態で,イベントジョブを実行したままマネージャーのJP1/AJS2サービスをホットスタートで再起動すると,一つのイベントに対して不当に複数回イベントを検知する。
イベントジョブ実行継続オプションについては,「7.33 JP1/AJS2のサービスが停止してもイベントジョブの実行を継続させる設定」を参照してください。
この問題を回避するには,マネージャーホスト名固定化オプション(環境設定パラメーターFixedHostnameForAgent)を有効に設定してください。マネージャーホスト名固定化オプションを有効に設定すると,イベント・アクション制御マネージャーは常に小文字のホスト名を送信するようになります。
- 注意事項
- 起動条件付きジョブネットを実行中,またはイベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態でイベントジョブを実行したまま,マネージャーホスト名固定化オプションを変更した場合,マネージャーホスト名の英文字が大文字から小文字,または小文字から大文字に変化することになります。
- すでに実行されている起動条件付きジョブネット,またはイベントジョブのジョブの管理状態に不整合が発生し,一つのイベントに対してジョブネットが不当に複数回起動することがあります。
- そのような現象を回避するため,マネージャーホスト名固定化オプションを設定,または変更する場合,次の手順のとおり実施してください。
- 起動条件付きジョブネット,またはイベントジョブを実行しているエージェントホストのJP1/AJS2サービスを停止する。
- 手順1のエージェントホストでjpoagoecコマンドを実行し,マネージャーホスト名固定化オプションを有効にするマネージャーホスト名を削除する。jpoagoecコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jpoagoec」を参照してください。
- マネージャーホストで,マネージャーホスト名固定化オプションを設定する。
設定方法については,「(1) 定義手順」を参照してください。
- 手順2のエージェントホストのJP1/AJS2サービスをコールドスタートで起動する。
オプションを有効にする設定方法について次に説明します。
- <この節の構成>
- (1) 定義手順
- (2) 定義パラメーター一覧
- (3) 定義内容
(1) 定義手順
- Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]で[サービス]を選択し,次のサービスを停止する。
- メモ帳などのテキストエディターで,「(2) 定義パラメーター一覧」の定義パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
設定ファイルのファイル名は任意です。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドのパスは,「JP1/Baseのインストール先フォルダ¥bin¥jbssetcnf」です。
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/AJS2をコールドスタートで再起動する。
設定ファイルに記述した内容が反映されます。
(2) 定義パラメーター一覧
表7-41 マネージャーホスト名固定化オプション設定の環境設定パラメーター
定義キー | 環境設定パラメーター | 定義内容 |
---|
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMMANAGER]※ | "FixedHostnameForAgent"= | マネージャーホスト名固定化オプション |
- 注※
- {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定してください。
(3) 定義内容
- "FixedHostnameForAgent"="{Y|N}"
- イベント・アクション制御のプロセス間通信で,マネージャーホスト名を常に小文字で使用するかどうかを指定します。
- Y
- マネージャーホスト上で求まるホスト名をすべて小文字に変換したものが,イベント・アクション制御の通信に使用されます。
- N
- マネージャーホスト上で求まるホスト名を変換しないで,イベント・アクション制御の通信に使用されます。
- デフォルトは「N」です。