9.4.5 キューレスジョブ実行環境の設定
キューレスジョブを使用する場合は,系切り替え時に系切り替え元ホストで論理ホストのデタッチ,および系切り替え先ホストの論理ホストのアタッチが必要です。
系切り替え時に自動で論理ホストのアタッチおよびデタッチを行う場合は,次の操作を行ってください。
- <この項の構成>
- (1) JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを新規インストールして環境を構築する場合
- (2) JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを上書きインストールして環境を構築する場合
- (3) キューレスジョブ使用時に論理ホストを自動でアタッチ・デタッチする場合の注意事項
- (4) 注意事項
(1) JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを新規インストールして環境を構築する場合
JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを新規インストールして環境を構築する場合に,実行系および待機系で行う操作の手順を次に示します。
- JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを新規インストールする。
インストール手順については,「2.2.2 JP1/AJS2シリーズプログラムをインストールする」を参照してください。
- 物理ホストをセットアップする。
セットアップ手順については,「3. セットアップ」を参照してください。
- 論理ホストをセットアップする。
セットアップ手順については,「9.4.2 クラスタシステムの環境設定の手順」を参照してください。
- jp1ajs_spmd.confファイルを編集する。
手順3でセットアップした論理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルを編集します。JP1/AJS2 - Managerをインストールしていてスケジューラーの状態監視の設定またはジョブネットコネクタで異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御するための設定をしていない場合,もしくはJP1/AJS2 - Agentをインストールしている場合は,jp1ajs_spmd.confファイルのバックアップを作成して,jp1ajs_spmd_ql.conf.modelファイルをjp1ajs_spmd.confにリネームしてください。
JP1/AJS2 - Managerをインストールしていてスケジューラーの状態監視の設定またはジョブネットコネクタで異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御するための設定をしている場合は,jp1ajs_spmd.confファイルのバックアップを作成し,次のように直接編集してください。
qlcltd|ajsqlcltd.exe|||1800|
queue|jpqmon.exe||qlcltd|1800|
evactionm|jpomanager.exe||queue|1800|
evactiona|jpoagent.exe||evactionm|1800|
ajsovstatd|ajsovstatd.exe||evactiona|1800|
schedule|ajsmasterd.exe||ajsovstatd|1800|
- 補足事項
- 異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御する場合は,スケジューラーサービス間通信制御プロセス(ajsgwd.exe)を起動するためjp1ajs_spmd.confファイルに「gatewayd|ajsgwmasterd.exe|||1800|」を記述してください。
なお,jp1ajs_spmd.confファイルおよびjp1ajs_spmd_ql.conf.modelファイル格納フォルダは,共有フォルダ名¥jp1ajs2¥confです。
- jp1ajs_service_0700.confファイルを編集する。
手順3でセットアップした論理ホストのjp1ajs_service_0700.confファイルを編集します。
jp1ajs_service_0700.confファイルのバックアップを作成して,jp1ajs_service_0700.conf.modelファイルをjp1ajs_service_0700.confにリネームしてください。
なお,jp1ajs_service_0700.confファイルおよびjp1ajs_service_0700.conf.modelファイル格納フォルダは,共有フォルダ名¥jp1ajs2¥confです。
- キューレスエージェントサービスおよびキューレスファイル転送サービスを起動する。
キューレスエージェントサービスを起動します。JP1/AJS2 - Managerの場合は,キューレスファイル転送サービスも起動してください。
(2) JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを上書きインストールして環境を構築する場合
JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentのバージョン7から上書きインストールして環境を構築する場合に,実行系および待機系で行う操作の手順を次に示します。
- JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを上書きインストールする。
上書きインストール手順については,「2.2.2 JP1/AJS2シリーズプログラムをインストールする」を参照してください。
なお,すでに上書きインストール済みの場合,再度上書きインストールする必要はありません。
- 物理ホストのキューレスジョブ実行環境をセットアップする。
物理ホストのキューレスジョブ実行環境をセットアップしていない場合は,ajsqlsetupコマンドを使用してセットアップしてください。ajsqlsetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
- 論理ホストをセットアップする。
論理ホストをセットアップしていない場合は,セットアップしてください。
セットアップ手順については,「9.4.2 クラスタシステムの環境設定の手順」を参照してください。
また,論理ホストのセットアップ時にキューレスジョブ実行環境をセットアップしていない場合は,ajsqlsetupコマンドを使用してセットアップしてください。ajsqlsetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
- jp1ajs_spmd.confファイルを編集する。
自動アタッチ・デタッチ対象論理ホストのjp1ajs_spmd.confファイルを編集します。
JP1/AJS2 - Managerを上書きインストールしていてスケジューラーの状態監視の設定またはジョブネットコネクタで異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御するための設定をしていない場合,もしくはJP1/AJS2 - Agentを上書きインストールしている場合は,jp1ajs_spmd.confファイルのバックアップを作成して,jp1ajs_spmd_ql.conf.modelファイルをjp1ajs_spmd.confにリネームしてください。
JP1/AJS2 - Managerを上書きインストールしていてスケジューラーの状態監視の設定またはジョブネットコネクタで異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御するための設定をしている場合は,jp1ajs_spmd.confファイルのバックアップを作成し,次のように直接編集してください。
qlcltd|ajsqlcltd.exe|||1800|
queue|jpqmon.exe||qlcltd|1800|
evactionm|jpomanager.exe||queue|1800|
evactiona|jpoagent.exe||evactionm|1800|
ajsovstatd|ajsovstatd.exe||evactiona|1800|
schedule|ajsmasterd.exe||ajsovstatd|1800|
- 補足事項
- 異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御する場合は,スケジューラーサービス間通信制御プロセス(ajsgwd.exe)を起動するためjp1ajs_spmd.confファイルに「gatewayd|ajsgwmasterd.exe|||1800|」を記述してください。
なお,jp1ajs_spmd.confファイルおよびjp1ajs_spmd_ql.conf.modelファイル格納フォルダは,共有フォルダ名¥jp1ajs2¥confです。
- jp1ajs_service_0700.confファイルを編集する。
自動アタッチ・デタッチ対象論理ホストのjp1ajs_service_0700.confファイルを編集します。
jp1ajs_service_0700.confファイルのバックアップを作成して,jp1ajs_service_0700.conf.modelファイルをjp1ajs_service_0700.confにリネームしてください。
なお,jp1ajs_service_0700.confファイルおよびjp1ajs_service_0700.conf.modelファイル格納フォルダは,共有フォルダ名¥jp1ajs2¥confです。
- キューレスエージェントサービスおよびキューレスファイル転送サービスを起動する。
キューレスエージェントサービスを起動します。JP1/AJS2 - Managerの場合は,キューレスファイル転送サービスも起動してください。
上記の設定後,論理ホストのJP1/AJS2のサービス起動時に,キューレスクラスタプロセスが同時に起動され,自動でキューレスクラスタプロセスから論理ホストのアタッチが行われます。また,論理ホストのJP1/AJS2のサービス停止時に,キューレスクラスタプロセスが同時に停止され,自動でキューレスクラスタプロセスから論理ホストのデタッチが行われます。
(3) キューレスジョブ使用時に論理ホストを自動でアタッチ・デタッチする場合の注意事項
- この機能は,論理ホストごとに設定する必要があります。その際,キューレスクラスタプロセスは,論理ホストごとに生成されます。
なお,キューレスジョブを使用しない論理ホストでは,この機能を設定する必要はありません。
- この機能は,クラスタシステム運用をしていない論理ホストでも設定できます。
- クラスタシステム運用時にこの機能を使用しない場合は,系切り替え時に手動でajsqlattachコマンドおよびajsqldetachコマンドを実行し,論理ホストのアタッチ・デタッチを行ってください。
- この機能を使用する場合は,実行系・待機系ともにキューレスエージェントサービスを事前に起動しておく必要があります。また,系切り替え時にキューレスエージェントサービスを起動・停止する必要はありません。
- この機能は,物理ホストでは使用できません。
- デフォルトの設定では,自動アタッチに失敗してもキューレスクラスタプロセスを異常終了させないで,論理ホストのJP1/AJS2のサービス起動処理を続行します。キューレスクラスタプロセスを異常終了させて,JP1/AJS2のサービスの起動処理を中止したい場合は,環境設定パラメーターAJSQL_CLUSTERREQに「error」を設定してください。AJSQL_CLUSTERREQの詳細については,「4.4 キューレスジョブ実行環境の設定」を参照してください。
- 自動デタッチに失敗した場合は,キューレスクラスタプロセスが異常終了します。また,論理ホストのJP1/AJS2のサービス停止処理も異常終了します。
- この機能の使用時は,未使用時のjajs_spmd_statusコマンドの実行結果と異なり,キューレスクラスタプロセスの状態も出力されます。
(出力例)
未使用時の場合
c:¥>jajs_spmd_status -h LHOST1
KAVB3690-I JP1_AJS2 の状態通知処理を開始します
稼働中のプロセスを表示します
プロセス名称 プロセスID
queue 888
evactionm 2480
evactiona 3260
schedule 4008
KAVB3691-I プロセスは全て起動しています
使用時の場合
c:¥>jajs_spmd_status -h LHOST1
KAVB3690-I JP1_AJS2 の状態通知処理を開始します
稼働中のプロセスを表示します
プロセス名称 プロセスID
qlcltd 436
queue 888
evactionm 2480
evactiona 3260
schedule 4008
KAVB3691-I プロセスは全て起動しています
(4) 注意事項
- 環境設定パラメーターAJSQL_ATTACHの値を「yes」に設定して論理ホストをアタッチする場合,系切り替え時にクラスタソフトなどで系切り替え元のキューレスエージェントサービスを停止し,系切り替え先のキューレスエージェントサービスを起動する必要があります。
このため,物理ホストや系切り替え元のキューレスエージェントサービスにアタッチしているほかの論理ホストで実行していたキューレスジョブが,起動失敗,異常検出終了,または終了状態不明となるおそれがあります。複数のホストでキューレスジョブを実行する運用の場合は,AJSQL_ATTACHを使用しないで,この設定を使用してください。
- キューレスエージェントサービスから物理ホストをデタッチした状態で論理ホストだけを運用しないでください。
キューレスジョブの起動失敗時に出力するエラーメッセージ,およびジョブ実行時に標準エラー出力に出力した内容がマネージャーホストへ通知されない場合があります。
- キューレスジョブ実行内部ログファイルは,物理ホスト,論理ホストに関係なく,ローカルディスク上に作成されます。実行系,および待機系それぞれでキューレスジョブ実行内部ログファイルのサイズを設定してください。
また,キューレスジョブ実行内部ログファイルを共有ディスク上に作成した場合,ログが適切に出力されないおそれがあります。必ずローカルディスク上に作成してください。