18.5 クラスタ運用時の注意事項
- <この節の構成>
- (1) JP1/AJS2全体に対する注意事項
- (2) ジョブ実行環境に関する注意事項
- (3) イベント起動に関する注意事項
- (4) キューレスジョブ実行環境に関する注意事項
- (5) 定義内容の事前チェック機能に関する注意事項
(1) JP1/AJS2全体に対する注意事項
- クラスタシステムでJP1/AJS2のセットアップを実施する場合は,物理ホストおよび既存の論理ホストで動作しているJP1/AJS2のサービスを必ず停止してください。JP1/AJS2のサービスを停止しないままセットアップを実施した場合,JP1/AJS2のサービスが正しく動作しなくなります。この場合は,サーバを再起動して回復させてください。
- JP1/AJS2のスケジューラーデータベース(ISAM),ジョブ実行環境データべース(ISAM),および内部ファイルの二重化はサポートしていません。ミラーディスク,RAIDディスクなどを利用して,ディスクシステム自体で信頼性を確保してください。
- クラスタシステムでJP1/AJS2を多重起動する場合,多重起動する論理ホストの数だけ,システムのリソースが必要となります。
- クラスタシステム運用時,JP1/AJS2サービスを構成するプロセスが異常終了した場合にサービスの縮退運転をしないで停止することができます。
論理ホスト上のJP1/AJS2サービス起動時に使用するjajs_spmdコマンドに-HAオプションを指定して起動したときは,JP1/AJS2サービスを構成するプロセスが異常終了すると,縮退運転しないで停止します。
- JP1/AJS2 Monitorサービス,キューレスエージェントサービス,キューレスファイル転送サービス,JP1/AJS2 Console Managerサービス,JP1/AJS2 Console Agentサービスはマシンに一つのサービスです。しかし,クラスタソフトによる共有ディスクおよび論理IPアドレスの移動に伴い,論理ホストごとに処理を切り分けることで,クラスタシステムに対応しています。
- 環境変数JP1_HOSTNAMEが設定されている環境で,物理ホストの停止・起動を行う場合は,一時的に環境変数JP1_HOSTNAMEを削除した,シェルなどから実行するようにしてください。なお,自動起動および自動終了する場合の設定については,「14.7.2(8) 環境変数JP1_HOSTNAMEに依存しないJP1/AJS2サービスの自動起動および自動終了を設定する」を参照してください。
- 論理ホスト対応のJP1/AJS2サービスを停止しても,JP1/AJS2のプロセスが終了しないことがあります。このような場合に強制的にプロセスを終了させたいときは,jajs_killall.clusterコマンドを使用してください。なお,このコマンドを使ったプロセスの強制終了は,正規の方法でJP1/AJS2のプロセスを終了できない場合にだけ使用してください。jajs_killall.clusterコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jajs_killall.cluster(UNIX限定)」を参照してください。
(2) ジョブ実行環境に関する注意事項
- クラスタシステム運用時,実行系で実行中のジョブがある状態でデーモンを停止した場合,実行中のジョブは強制終了されてから待機系に移行します。しかし,強制終了されたジョブの状態は,待機系ではすぐには終了状態とは認識されません。数分後に終了状態になります。
- JP1/OJE for VOS3と連携するために,jpqreguserコマンドでVOS3ユーザー情報を登録する場合は,実行系ホストおよび待機系ホストの両方にユーザー情報を登録する必要があります。実行系ホストのユーザー情報を追加・変更・削除した場合は,「20. セットアップ時に使用するコマンド jpqreguser」のクラスタシステムで運用する場合の注意事項に記載している手順に従い,待機系ホストのユーザー情報を追加・変更・削除してください。
(3) イベント起動に関する注意事項
- 07-10より前のバージョンで,すでにクラスタシステム運用がセットアップされている環境から,07-10以降にバージョンアップした場合,論理ホストのイベント起動のファイル更新モードは非同期となります。論理ホストのイベント起動のファイル更新モードを同期モードにするには,イベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager,またはJP1/AJS2 - Agent)の環境設定パラメーターのファイル更新モード(FileWriteMode)で同期(sync)を設定して,jbssetcnfコマンドで反映してください。また,07-10以降にバージョンアップ後に,クラスタシステム運用のセットアップを行うと,論理ホストのイベント起動のファイル更新モードは同期となります。論理ホストのイベント起動のファイル更新モードを非同期モードにするには,クラスタシステム運用のセットアップ後にイベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager,またはJP1/AJS2 - Agent)の環境設定パラメーターのファイル更新モード(FileWriteMode)で非同期(nosync)を設定して,jbssetcnfコマンドで反映してください。
- 07-10-/Cより前のバージョンで,すでにクラスタシステム運用がセットアップされている環境から,07-10-/C以降にバージョンアップした場合,論理ホストのイベント起動の詳細プロセス終了時オプションは「N」となります。
また,07-10-/Cへバージョンアップ後に,クラスタシステム運用のセットアップを行うと,論理ホストのイベント起動の詳細プロセス終了時オプションは「Y」となります。必要に応じて上記の設定を変更してください。
- メールシステム連携およびメッセージキューシステム連携を使用している場合,物理ホストまたは論理ホストのうち,どれか一つのJP1/AJS2だけで連携できます。論理ホストで連携する場合でも,連携機能の環境設定は物理ホストに定義してください。
ただし,UNIXホストでのメールシステム連携でメール受信監視ジョブを実行する場合だけ,イベント・アクション定義ファイル(EVAction.conf)のメールシステム連携機能を使用するかどうかを定義する環境設定パラメーターExecModeを物理ホストで設定してください。
それ以外の環境設定パラメーターは,論理ホストで設定してください。
環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 2.3.2 メール受信監視ジョブのための環境設定をする」を参照してください。
なお,メールシステム連携およびメッセージキューシステム連携は多重起動できないため,待機系ではこれらの連携ができません。
(4) キューレスジョブ実行環境に関する注意事項
キューレスジョブ実行環境に関する注意事項の詳細については,「18.4.5 キューレスジョブ実行環境の設定」を参照してください。
(5) 定義内容の事前チェック機能に関する注意事項
定義内容の事前チェック機能に関する注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 8.1.16 本番運用前のJP1/AJS2定義内容のチェックと注意事項」を参照してください。