14.3.2 マネージャー環境(JP1/AJS2 - Manager)で設定する内容

この項では,マネージャー環境(JP1/AJS2 - Manager)で設定するイベント・アクション定義ファイル(EVAction.conf)の内容について説明します。

各パラメーターの推奨値と設定が有効になる時期については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 5.3.3 イベントジョブ起動に関する環境設定について検討する」を参照してください。

<この項の構成>
(1) イベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager)の環境設定パラメーター一覧
(2) イベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager)の環境設定パラメーターの定義内容

(1) イベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager)の環境設定パラメーター一覧

イベント・アクション定義ファイルで定義する環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。

メールシステム連携で使用するパラメーターについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 2.3.2 メール受信監視ジョブのための環境設定をする」を参照してください。

表14-6 環境設定パラメーター一覧(EVAction.conf・JP1/AJS2 - Manager

定義キー環境設定パラメーター定義内容
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMMANAGER]"WaitInfFileOutDir"=待機情報ファイル出力ディレクトリ名(マネージャープロセスの設定)
"FileWriteMode"=ファイル更新モード
"EvJobExecContinue"=イベントジョブ実行継続オプション
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT]"WaitInfFileOutDir"=待機情報ファイル出力ディレクトリ名(エージェントプロセスの設定)
"EvjobInfFile"=イベント・ジョブ情報引き継ぎディレクトリ名
"HowUseInfWhenHA"=フェールオーバー時の情報引き継ぎ
"InformationWhenShutDown"=シャットダウン時の情報引き継ぎ方法
"FilewatchinfContinue"=ファイル監視ジョブの情報の引き継ぎ
"FileWriteMode"=ファイル更新モード
"EVProcessHA"=詳細プロセス終了時オプション
注※
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

(2) イベント・アクション定義ファイル(JP1/AJS2 - Manager)の環境設定パラメーターの定義内容

環境設定パラメーターの定義内容の詳細を次に示します。

なお,環境設定パラメーターのデフォルトは,環境設定パラメーターを省略した場合の仮定値です。

また,詳細の記載がないパラメーターは保守用のパラメーターです。値は変更しないでください。

"WaitInfFileOutDir"="待機情報ファイル出力ディレクトリ名(マネージャープロセスの設定)"
イベントジョブの詳細情報や,起動条件で監視しているイベントの受信状態などの情報(待機情報)を出力するディレクトリの名称を180バイト以内の文字列で指定します。
ディレクトリ名はフルパスで指定します。ただし,標準のディレクトリを変更したい場合以外は指定する必要はありません。
この引数の指定を省略した場合,実行時に「/var/opt/jp1ajs2」が仮定されます。
なお,待機情報は,この項目で指定したディレクトリ,または仮定されたディレクトリの下の「sys/infodir」に出力されます。
"FileWriteMode"="{sync|nosync}"(マネージャープロセスの設定)
待機情報ファイルの更新時に,同期書き込みを実行するかどうかを指定します。
sync
ファイル更新時に,常に同期書き込みを実行します。この方法で書き込みを実行した場合,信頼性は向上しますが,性能は低下します。
nosync
JP1/AJS2での処理とは同期を取らないで,OSのバッファーリングによってディスクに書き込みます。「sync」に比べて性能は向上しますが,システムダウンが発生した場合,情報の不整合が発生し,イベントが消失するおそれがあります。
省略した場合,「nosync」が仮定されます。
注意
このパラメーターは,JP1AOMMANAGERとJP1AOMAGENTで同じ値を設定してください。特に,JP1AOMMANAGERを「nosync」,JP1AOMAGENTを「sync」に設定した場合,イベントジョブを使用したジョブネットや起動条件付きジョブネットの実行登録時,強制終了時,または先行ジョブに大量のイベントジョブを使用したORジョブが実行された場合などでは,JP1/AJS2の動作が極端に遅くなることがあります。また,同じ理由から,マネージャー・エージェント構成のシステムでも,マネージャーとエージェントで同じ設定にしてください。
"EvJobExecContinue"="{Y|N}"
実行ホストのJP1/AJS2のサービスを再起動したときに,イベントジョブの実行を継続するかどうかを指定します。
Y
イベントジョブの実行を継続します。
N
イベントジョブの実行を終了します。
省略した場合,「N」が仮定されます。
詳細については,「16.30 JP1/AJS2のサービスが停止してもイベントジョブの実行を継続させる設定」を参照してください。
"WaitInfFileOutDir"="待機情報ファイル出力ディレクトリ名(エージェントプロセスの設定)"
イベントジョブでのイベント発生状態や,起動条件で監視しているイベントの受信状態などの情報(待機情報)を出力するディレクトリの名称を180バイト以内の文字列で指定します。
ディレクトリ名はフルパスで指定します。ただし,標準のディレクトリを変更したい場合以外は指定する必要はありません。
この引数の指定を省略した場合,実行時に「/var/opt/jp1ajs2」が仮定されます。
なお,待機情報は,この項目で指定したディレクトリ,または仮定されたディレクトリの下の「sys/infoagt」に出力されます。
"EvjobInfFile"="イベント・ジョブ情報引き継ぎディレクトリ名"
メール受信監視ジョブやメッセージキュー受信監視ジョブで受信した情報をファイルで引き継ぐ場合,そのファイルを保存しておくディレクトリの名称を180バイト以内の文字列で指定します。
ディレクトリ名はフルパスで指定します。ただし,標準のディレクトリを変更したい場合以外は指定する必要はありません。
この引数の指定を省略した場合は,「/var/opt/jp1ajs2/sys/infoagt/tmp/infodir」に保存されます。このディレクトリに保存されるファイルは,JP1/AJS2では使用されません。また,自動的に削除されないので,不要になった場合は削除してください。
"HowUseInfWhenHA"="{Y|N}"
クラスタ運用時に,JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentでフェールオーバーが発生した場合に,フェールオーバー先のJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentに情報を引き継ぐかどうかを指定します。
Y
フェールオーバー発生時の状態を,切り替え後のJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentに引き継ぎます。例えば,フェールオーバー発生前にJP1/AJS2 - Manager に通知できなかったイベントを,切り替え後に再度通知します。
N
フェールオーバー発生時の状態を,切り替え後のJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentに引き継ぎません。例えば,フェールオーバー発生前にJP1/AJS2 - Manager に通知できなかったイベントは破棄されます。
省略した場合,「Y」が仮定されます。
通常は「Y」を使用してください。また,クラスタ運用をしない場合でも「Y」を使用してください。
"InformationWhenShutDown"="{K|B}"
JP1/AJS2 - ManagerホストまたはJP1/AJS2 - Agentホストがシャットダウン(停止処理を伴う終了)されたときに,シャットダウン前にJP1/AJS2 - Managerへ通知できなかったイベントを再度通知するかどうかを指定します。
K
シャットダウン後にJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前にJP1/AJS2 - Managerへ通知できなかったイベントを再度通知します。例えば,シャットダウン前に発生していたイベントを,起動後にJP1/AJS2 - Managerに通知します(ただし,24時間以内にJP1/AJS2 - Managerが起動した場合に限ります)。
B
シャットダウン後にJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前にJP1/AJS2 - Managerへ通知できなかったイベントを通知しません。例えば,シャットダウン前に発生していたイベントは破棄されます。電源ダウンの障害時だけ,情報を引き継ぎたいような場合に使用します。
省略した場合,「K」が仮定されます。
通常は「K」を使用してください。
"FilewatchinfContinue"="{Y|N}"
ファイル監視ジョブの実行中に,JP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentがシャットダウン(停止処理を伴う終了)されたときに,次回起動時にシャットダウン前のファイル監視ジョブの情報を引き継ぐかどうかを指定します。
Y
シャットダウン後にJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前のファイル監視ジョブの監視状態を引き継ぎます。
N
シャットダウン後にJP1/AJS2 - ManagerまたはJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前のファイル監視ジョブの監視状態を引き継ぎません。
省略した場合,「N」が仮定されます。
このパラメーターは,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時に「Y」が設定されます。
"FileWriteMode"="{sync|nosync}"(エージェントプロセスの設定)
イベント・ジョブ情報,待機情報ファイルの更新時に,同期書き込みを実行するかどうかを指定します。
sync
ファイル更新時に,常に同期書き込みを実行します。この方法で書き込みを実行した場合,信頼性は向上しますが,性能は低下します。
nosync
JP1/AJS2での処理とは同期を取らないで,OSのバッファーリングによってディスクに書き込みます。「sync」に比べて性能は向上しますが,システムダウンが発生した場合,情報の不整合が発生し,イベントが消失するおそれがあります。
省略した場合,「nosync」が仮定されます。
注意
このパラメーターは,JP1AOMMANAGERとJP1AOMAGENTで同じ値を設定してください。特に,JP1AOMMANAGERを「nosync」,JP1AOMAGENTを「sync」に設定した場合,イベントジョブを使用したジョブネットや起動条件付きジョブネットの実行登録時,強制終了時,または先行ジョブに大量のイベントジョブを使用したORジョブが実行された場合などでは,JP1/AJS2の動作が極端に遅くなることがあります。また,同じ理由から,マネージャー・エージェント構成のシステムでも,マネージャーとエージェントで同じ設定にしてください。
"EVProcessHA"="{Y|N}"
イベント・アクション制御の詳細プロセスがシグナル終了した場合,イベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了せず縮退運転するか,すべての詳細プロセスを停止して終了するかどうかを指定します。
Y
すべての詳細プロセスを停止してイベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了します。
N
イベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了せず縮退運転します。シグナルなどによって詳細プロセスの一部が終了した場合,終了した詳細プロセスで動作するイベントジョブ以外は使用できます。
省略した場合,「Y」が仮定されます。
このオプションはJP1/AJS2の再起動後に有効となります。
注意
  • 異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動させる設定を行っている場合,このパラメーターにYを設定しても,エージェントプロセスと詳細プロセスはJP1/AJS2のプロセスの再起動に伴って再起動されます。異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動させる設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 15.15.1 異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動する」を参照してください。
  • このパラメーターにNを設定して,詳細プロセス終了時オプションを「無効」としている場合,異常終了している詳細プロセスに該当するジョブを実行登録すると,そのジョブは異常終了します。
    注※ 例えば,jpocwtflMainプロセスが異常終了している状態でファイル監視ジョブを実行するなど。