9.4.7 論理ホストのスケジューラーサービスの多重起動の設定
スケジューラーサービスの多重起動を設定するためには,まず追加するスケジューラーサービスの名称などの情報を設定します。次に,そのスケジューラーサービス用のデータベースを新規に作成します。
論理ホストでスケジューラーサービスの多重起動の設定をする場合の手順,および追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
- (2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
論理ホストでスケジューラーサービスの多重起動を設定する場合の手順を次に示します。
(a) 実行系での作業
- Windowsの[コントロールパネル]の[サービス]で,次に示すサービスを停止する。
- 追加の対象となる論理ホストのJP1/AJS2サービス
- JP1/AJS2 Monitorサービス
- エクスプローラなどで,次に示すフォルダを共有ディスクに作成する。
- データベースフォルダ
- 一時ファイル用フォルダ
- ジョブエラー情報フォルダ
- 退避情報フォルダ
なお,退避情報フォルダ以外は,自ホスト内(物理ホストとすべての論理ホスト)に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダの配下にも作成しないでください。
- Windowsの[スタート]メニューから[プログラム]-[JP1_Automatic Job Management System 2 - Manager]-[環境設定]を選択する。
設定したい論理ホスト名を選択し,[設定]ボタンを押すと,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスの定義項目の詳細については,「4.1 スケジューラーサービス環境の設定」,「4.2.1(1) ジョブ実行環境を定義する」および 「4.3.1(1) イベント起動を定義する」を参照してください。
- [スケジューラーサービスの制御]タブで,[追加]ボタンをクリックする。
[サービスの設定]ダイアログボックスが表示されます。
- スケジューラーサービスの多重起動のために必要な項目を入力する。
(例)「AJSROOT3」というスケジューラーサービスを追加する場合
- スケジューラーサービスの追加
- 「AJSROOT3」と入力します。
- スケジューラーサービスの識別番号
- 「3」と入力します。スケジューラーサービスの識別番号は,自ホスト内の物理ホストおよびすべての論理ホストで使用している識別番号と重複しない番号を指定してください。
- ジョブ状態通知ポートのサービス名
- 「jp1ajs2report3」と入力します。ジョブ状態通知ポートのサービス名には,現在作成中の論理ホスト内の,ほかのスケジューラーサービスで使用しているサービス名と重複しない名称を指定してください。
- [次へ]ボタンをクリックする。
[ディレクトリ名の設定]ダイアログボックスが表示されます。
- 各項目に,手順2で作成したフォルダを指定する。
- [次へ]ボタンをクリックする。
[ログの設定]ダイアログボックスが表示されます。
- ログの設定内容に問題がないことを確認する。
- [完了]ボタンをクリックする。
[ログの設定]ダイアログボックスが閉じます。
- [マネージャー環境設定]ダイアログボックスで,[OK]ボタンをクリックする。
[マネージャー環境設定]ダイアログボックスが閉じます。
- 次のファイルをメモ帳などのエディターで開く。
システムフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥Services
- 手順5で指定したジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
(例)ポート番号を「20248」として設定する場合
jp1ajs2report3 20248/tcp
- 注意事項
- 設定するポート番号は既存の番号と重ならないようにしてください。また,Windowsファイアウォールを設定した環境で運用する場合は,設定したポート番号(上記の例ではサービス名:jp1ajs2report3,ポート番号:20248)をWindowsファイアウォールの規則へ登録して,ファイアウォールを透過できるようにしてください。
- 次のコマンドを実行して,追加したスケジューラーサービス用のJP1/AJS2データベースを作成する。
ajssetup -F スケジューラーサービス名 -mh 論理ホスト名
(例)
論理ホスト名「node0」に「AJSROOT3」サービスのスケジューラーデータベースを作成する場合
ajssetup -F AJSROOT3 -mh node0
- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetup -F スケジューラーサービス名 -h 論理ホスト名
- 組み込みDBを使用する場合は組み込みDBに移行する。
組み込みDBセットアップツール(ajsembdbsetupスクリプト)を使用して,標準データベースを組み込みDBに移行します。
組み込みDBへの移行手順については,「5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」を参照してください。
- スケジューラーサービスを追加した論理ホストのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを再起動する。
設定した内容でスケジューラーサービスが追加され,起動します。再起動後,JP1/AJS2 - Viewなどで,追加したスケジューラーサービス名が付けられたルートジョブグループが表示されていることを確認してください。
(b) 待機系での作業
- 実行系の共通定義情報を待機系に設定する。
実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。
実行するコマンドを次に示します。
- 実行系
- jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系
- jbssetcnf 退避ファイル名
- 次のファイルをメモ帳などのエディターで開く。
システムフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥Services
- (a)の実行系での作業の手順13で設定したポート番号を待機系に設定する。
(例)ポート番号を「20248」として設定する場合
jp1ajs2report3 20248/tcp
- 注意事項
- 設定するポート番号は実行系と同じ番号になるようにしてください。また,Windowsファイアウォールを設定した環境で運用する場合は,設定したポート番号(上記の例ではサービス名:jp1ajs2report3,ポート番号:20248)をWindowsファイアウォールの規則へ登録して,ファイアウォールを透過できるようにしてください。
- JP1/AJS2 Monitorサービスを再起動する。
- 多重起動時のコマンド実行についての補足事項
- スケジューラーサービスを多重起動している場合,「-F スケジューラーサービス名」オプションを指定しないでコマンドを実行すると,デフォルトのスケジューラーサービスに対する操作となります。
- 環境変数AJSCONFにスケジューラーサービス名を指定しておくと,-Fオプションを省略できます。
(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
スケジューラーサービスの削除は,実行系・待機系の両方で実行します。追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。
- JP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止する。
物理ホスト,論理ホストのすべてのJP1/AJS2サービスを停止してください。
- スケジューラーサービスを追加したときに作成したフォルダを削除する。
- [マネージャー環境設定]ダイアログボックスの[スケジューラーサービスの制御]タブで,削除したいサービスを選択し,[削除]ボタンをクリックする。
追加したスケジューラーサービスが削除されます。
- JP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを起動する。
手順1で停止したサービスを再起動し,スケジューラーサービスが削除されていることを確認します。