4.3.2 エージェント環境の設定

イベント起動を設定する場合に,[エージェント環境設定]ダイアログボックスで定義する項目および環境設定パラメーターでの設定方法を説明します。

各項目の推奨値と設定が有効になる時期については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 5.4.2 イベントジョブ起動に関する環境設定について検討する」を参照してください。

<この項の構成>
(1) イベント起動を定義する
(2) 環境設定パラメーターで定義する

(1) イベント起動を定義する

起動条件またはイベントジョブ実行時の情報引き継ぎは,[エージェント環境設定]ダイアログボックスの[イベント起動]タブで定義してください。

エージェント環境で設定する[イベント起動]タブを次に示します。

図4-11 [イベント起動]タブ([エージェント環境設定]ダイアログボックス)

[図データ]

各項目の定義内容を説明します。

イベント・ジョブ情報引継ぎディレクトリ名
メール受信監視ジョブやメッセージキュー受信監視ジョブで受信した情報をファイルで引き継ぐ場合に,そのファイルを保存しておくフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。ただし,標準のフォルダを変更したい場合以外は指定する必要はありません。デフォルトは「空白」です。
この項目を指定しなかった場合は,次のフォルダに保存されます。
  • Windows Server 2008の場合
    %ALLUSERSPROFILE%¥Hitachi¥JP1¥JP1_DEFAULT¥JP1AJS2¥tmp¥infodir
    「%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ¥ProgramData」です。
  • Windows Server 2008以外の場合
    JP1/AJS2 - Agentのインストール先フォルダ¥tmp¥infodir
このフォルダに保存されるファイルは,JP1/AJS2では使用されません。また,自動的に削除されませんので,不要になった場合は後続のジョブなどで削除してください。
注意
[参照]ボタンでドライブを選択すると,末尾に「¥」が入った状態で表示されます。ドライブ直下を指定する場合は,「¥」を削除してください。また,[参照]ボタンを使用しないで入力する場合でも,末尾に「¥」を付けないようにしてください。
待機情報ファイル出力ディレクトリ名
イベントジョブでのイベント発生状態や,起動条件で監視しているイベントの受信状態などの情報(待機情報)を出力するフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。デフォルトは「空白」です。デフォルトを使用した場合,実行時に「JP1/AJS2 - Agentのインストール先フォルダ」が仮定されます。
なお,待機情報は,この項目で指定したフォルダまたは仮定されたフォルダ下の「sys¥infoagt」に出力されます。
注意
[参照]ボタンでドライブを選択すると,末尾に「¥」が入った状態で表示されます。ドライブ直下を指定する場合は,「¥」を削除してください。また,[参照]ボタンを使用しないで入力する場合でも,末尾に「¥」を付けないようにしてください。
系切り替え時の情報の引き継ぎ
JP1/AJS2 - Agentにフェールオーバーが発生したときに,フェールオーバー先のJP1/AJS2 - Agentに情報を引き継ぐかどうかを次のどちらかから選択します。
  • [使用する]
    フェールオーバー発生時の状態を,切り替え後のJP1/AJS2 - Agentに引き継ぎます。例えば,フェールオーバー発生前にJP1/AJS2 - Managerに通知できなかったイベントを,切り替え後に再通知します。
  • [使用しない]
    フェールオーバー発生時の状態を,切り替え後のJP1/AJS2 - Agentに引き継ぎません。例えば,フェールオーバー発生前にJP1/AJS2 - Managerに通知できなかったイベントは破棄されます。
デフォルトは[使用する]です。通常はデフォルトを使用してください。また,クラスタ運用をしない場合でもデフォルトを使用してください。
シャットダウン時の情報引継ぎ方法
JP1/AJS2 - Agentホストがシャットダウン(停止処理を伴う終了)されたときに,次回起動時にどのように情報を引き継ぐのかを次のどちらかから選択します。
  • [保持する]
    シャットダウン後にJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前にJP1/AJS2 - Managerへ通知できなかったイベントを再通知します。例えば,シャットダウン前に発生していたイベントを,起動後にJP1/AJS2 - Agentに通知します(ただし,有効時間内に起動した場合に限ります)。
  • [破棄する]
    シャットダウン後にJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前にJP1/AJS2 - Managerへ通知できなかったイベントを通知しません。例えば,シャットダウン前に発生していたイベントは破棄されます。電源ダウン障害時だけ,情報を引き継ぎたいような場合に使用します。
デフォルトは[保持する]です。通常はデフォルトを使用してください。
ファイル監視ジョブの情報の引き継ぎ
ファイル監視ジョブ実行中にJP1/AJS2 - Agentがシャットダウン(停止処理を伴う終了)し,その後にJP1/AJS2 - Agentを起動したときに,シャットダウン前のファイル監視ジョブの情報を引き継ぐかどうかを次のどちらかから選択します。
  • [行う]
    シャットダウン前のファイル監視ジョブの監視状態を引き継いで監視を行います。
  • [行わない]
    シャットダウン前のファイル監視ジョブの監視状態は引き継ぎません。JP1/AJS2 - Agentを起動したときのファイル状態に対して監視を行います。
デフォルトは[行わない]です。
この項目は,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時に[行う]が設定されます。
ファイル更新モード
イベントジョブ情報,待機情報ファイルの更新時に,同期書き込みを実行するかどうかを次のどちらかから選択します。
  • [同期]
    ファイル更新時に,常に同期書き込みを実行します。この方法で書き込みを実行した場合,信頼性は向上しますが,性能は低下します。
  • [非同期]
    JP1/AJS2 の処理とは同期を取らないで,OS のバッファーリングによってディスクに書き込みます。[同期]に比べて性能は向上しますが,システムダウンなどが発生した場合,情報の不整合が発生しイベントが消失するおそれがあります。
デフォルトは[非同期]です。
注意
ファイル更新モードは,マネージャープロセスとエージェントプロセスで同じ値を設定してください。特に,マネージャープロセスを[非同期],エージェントプロセスを[同期]に設定した場合,イベントジョブを使用したジョブネットや起動条件付きジョブネットの実行登録時,強制終了時,または先行ジョブに大量のイベントジョブを使用したORジョブが実行された場合などでは,JP1/AJS2の動作が極端に遅くなることがあります。また,同じ理由から,マネージャー・エージェント構成のシステムでも,マネージャーとエージェントで同じ設定にしてください。
詳細プロセス終了時の処理
イベント・アクション制御の詳細プロセスがシグナル終了した場合,イベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了しないで縮退運転するか,すべての詳細プロセスを停止して終了するかどうかを次のどちらかから選択します。
  • [終了する]
    すべての詳細プロセスを停止してイベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了します。
  • [終了しない]
    イベント・アクション制御のエージェントプロセスを終了せず縮退運転します。
    シグナルなどによって詳細プロセスの一部が終了した場合,終了した詳細プロセスで動作するイベントジョブ以外は使用できます。
デフォルトは[終了しない]です。
この項目は,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時に[終了する]が設定されます。
このオプションはJP1/AJS2の再起動後に有効となります。
注意
異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動させる設定を行っている場合,詳細プロセス終了時の処理に[終了する]を設定しても,エージェントプロセスと詳細プロセスはJP1/AJS2のプロセスの再起動に伴って再起動されます。異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動させる設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 15.15.1 異常終了したJP1/AJS2のプロセスを再起動する」を参照してください。
イベント起動の定義の補足事項
イベント起動で定義する内容と,JP1/AJS2 - Agentでの情報引き継ぎの実行について次の表に示します。

表4-6 定義する内容と情報引き継ぎの実行(JP1/AJS2 - Agent)

JP1/AJS2 - Agent環境設定の内容シャットダウン時の情報引き継ぎ強制電源オフ時の情報引き継ぎ
系切り替え時の
情報引き継ぎ
シャットダウン時の
情報引き継ぎ
使用する保持する実行する実行する
使用する保持しない実行しない実行する
使用しない保持する実行しない実行しない
使用しない保持しない実行しない実行しない
注※
ハングアップなどによって,強制的に電源オフを実行した場合のことです。

なお,このほかに[メール連携]タブ,[MQ連携]タブ,[MSMQ連携]タブがあります。[メール連携]タブについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 2.2 メールシステム連携のセットアップ(Windowsホストの場合)」を参照してください。[MQ連携]タブと[MSMQ連携]タブについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 3.2 メッセージキューシステム連携時のセットアップ(Windowsホストの場合)」を参照してください。

また,起動条件イベントからの発生順序オプションについては,「7.9 イベント順序保証オプションの設定」を参照してください。

(2) 環境設定パラメーターで定義する

イベント起動の設定は,環境設定パラメーターを設定して定義することもできます。

(a) 設定手順

  1. Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]から[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止する。
    • JP1/AJS2サービス
    • JP1/AJS2 Monitorサービス
  2. メモ帳などのテキストエディターで,(2)の環境設定パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
  3. ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 設定ファイル名

    jbssetcnfコマンドのパスは,「JP1/Baseのインストール先フォルダ¥bin¥jbssetcnf」です。
    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  4. JP1/AJS2を再起動する。
    設定ファイルの内容が構成定義に反映されます。

(b) 環境設定パラメーター

イベント起動の設定で定義できる環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。なお,環境設定パラメーターの詳細については,「14.3.3 エージェント環境(JP1/AJS2 - Agent)で設定する内容」を参照してください。

表4-7 環境設定パラメーター一覧(JP1/AJS2 - Manager)(Windows)

定義キー環境設定パラメーター定義内容
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT]"WaitInfFileOutDir"=待機情報ファイル出力ディレクトリ名(エージェントプロセスの設定)
"EvjobInfFile"=イベント・ジョブ情報引き継ぎディレクトリ名
"HowUseInfWhenHA"=フェールオーバー時の情報引き継ぎ
"InformationWhenShutDown"=シャットダウン時の情報引き継ぎ方法
"FilewatchinfContinue"=ファイル監視ジョブの情報の引き継ぎ
"FileWriteMode"=ファイル更新モード
"EVProcessHA"=詳細プロセス終了時オプション
注※
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。