18.1 クラスタ運用の前提

JP1/AJS2をクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。

  1. クラスタソフトは,次に示す2~4を制御できるプログラムであること。
  2. 実行系から待機系へ引き継ぎ可能な共有ディスクが使用できること。
    詳細には次に示す条件を満たすこと。
    • JP1を起動する前に,共有ディスクが割り当てられること。
    • JP1を実行中に,共有ディスクの割り当てが解除されないこと。
    • JP1を停止したあとに,共有ディスクの割り当てが解除されること。
    • 実行系ノード以外からは共有ディスクをアクセスできないよう排他制御されていること。
    • システムダウンなどでファイルが消えないよう,ジャーナル機能を持つファイルシステムなどでファイルを保護すること。
    • フェールオーバーしてもファイルに書き込んだ内容が保証されて引き継がれること。
    • フェールオーバー時に共有ディスクを使用中のプロセスがあっても,強制的にフェールオーバーできること。
    • 共有ディスクの障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,回復処置をJP1が意識する必要がないこと。回復処置の延長での起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。
  3. 論理IPアドレスとして次に示す条件を満たすこと。
    • 引き継ぎ可能な論理アドレスを使って通信できること。
    • 論理ホスト名から論理アドレスが一意に求まること。
    • JP1を起動する前に,論理アドレスが割り当てられること。
    • JP1を実行中に,論理アドレスが削除されないこと。
    • JP1を実行中に,論理ホスト名と論理アドレスの対応が変更されないこと。
    • JP1を停止したあとに,論理アドレスが削除されること。
    • ネットワーク障害を検知した場合の回復処置はクラスタソフトなどが制御し,JP1が回復処理を意識する必要がないこと。また,回復処置の延長でJP1の起動や停止が必要な場合は,クラスタソフトからJP1に起動や停止の実行要求をすること。
  4. 多重起動する場合,論理ホストごとに一つずつのIPアドレスが割り当てられていること。
  5. 論理ホスト名が,hostsファイルやネームサーバに設定され,TCP/IP通信ができるようになっていること。DNS運用の場合には,JP1ホスト名として別名定義が必要になることがあるため,論理ホスト名として,FQDN形式でないJP1ホスト名が使用可能で,その論理ホストがネットワーク内で認識できることが必要。
  6. 前提であるJP1/Baseが,クラスタシステムを使用できる環境になっていること。
  7. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合,ホスト名に関して次に示す制限がある。
    • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効にならない。
    • 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名には,エイリアス名を使用できない。
    • 組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトとなる。したがって,組み込みDB環境を構築するホストは,実行系の物理ホスト名および論理ホスト名共に1~32バイトで設定する必要がある。