9.3.4 クラスタ運用時の組み込みDBのセットアップ(JP1/AJS2 - Manager)

<この項の構成>
(1) 必要なファイルシステム容量の見積もり,および組み込みDBファイルシステム領域の準備
(2) 組み込みDBサーバの構築
(3) JP1/AJS2の設定
(4) クラスタソフトへの登録
(5) クラスタサービスの登録

(1) 必要なファイルシステム容量の見積もり,および組み込みDBファイルシステム領域の準備

領域作成時の注意事項

表9-1 組み込みDBサーバに必要なパーティションサイズ

規模RDエリア用システムファイル1用システムファイル2用
大規模1,600メガバイト3,402メガバイト3,402メガバイト
中規模800メガバイト1,200メガバイト1,200メガバイト
小規模300メガバイト702メガバイト702メガバイト
注※
組み込みDBのシステムログ領域を二重化する場合に必要となります。

(2) 組み込みDBサーバの構築

ajsembdbbuildスクリプトを使用して,組み込みDBサーバを構築します。

セットアップに使用するajsembdbbuildスクリプトは,JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥toolsディレクトリにあります。

次に示す環境条件の構築例について説明します。

  1. 組み込みDBサーバ構築時の準備
    組み込みDBサーバを構築する前に,論理IPアドレスを有効にし,共有ディスクをマウントしておいてください。また,スクリプトを実行するときは,組み込みDBサービスが起動している必要があります。この時点で,組み込みDBサービスが起動している状態であることを確認してください。
    注意
    • セットアップスクリプト内から,組み込みDBシステム定義ファイルを動的に生成します。運用に応じて,オプションの指定が必要です。
    • セットアップスクリプトは,オプションを省略すると,規定の設定でセットアップします。マルチ組み込みDB環境を作成する場合など,既存の組み込みDBでの運用に影響を及ぼさないように注意して使用してください。マルチ組み込みDB環境でセットアップする場合は,ポート番号の重複・環境変数の設定に誤りがないことを確認して実行してください。ajsembdbbuildスクリプトの使用方法については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbbuild」を参照してください。
    • 組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。したがって,組み込みDB環境を構築するホストは,物理ホストおよび論理ホスト共に1~32バイトで設定してください。

  2. 実行系の組み込みDBサーバ環境の構築
    ajsembdbbuildスクリプトを実行します。

    ajsembdbbuild -l -d "d:¥EmbDB¥RDArea,d:¥EmbDB¥SYSArea"
     -ld c:¥localdisk -bs -r -mh lhost -eh physical1
      -i c:¥win32app¥hitachi¥hirdb_e_JA0

    注意
    • 実行系でセットアップする場合は,-rオプションを指定してください。
    • 明示的にオプションを指定しない場合は,ポート番号,テーブルプリフィックスなどは標準設定になるため,重複しないように注意してください。
    • -ld,-iオプションには共有ディスクを指定しないでください。

  3. 待機系の組み込みDBサーバ環境の構築
    ajsembdbbuildスクリプトを実行します。

    ajsembdbbuild -l -d "d:¥EmbDB¥RDArea,d:¥EmbDB¥SYSArea"
    -ld c:¥localdisk -bs -f -mh lhost -eh physical1
     -i c:¥win32app¥hitachi¥hirdb_e_JA0

    注意
    • 待機系で実行する場合は,-rオプションではなく,-fオプションを指定してください。それ以外は,実行系と同じオプションを指定してください。
    • 待機系ホストのセットアップであっても,-ehオプションには実行系物理ホスト名を指定してください。
    • -ld,-iオプションには共有ディスクを指定しないでください。

(3) JP1/AJS2の設定

JP1/AJS2スケジューラーデータベースの組み込みDB化は,ISAMからの移行によって構築します。このため,JP1/AJS2のデータベースをいったんISAMで構築してください。

JP1/Base,JP1/AJS2の設定方法については,「9.4 クラスタ運用の環境設定」についても参照してください。

  1. JP1/AJS2関連サービスの停止
    JP1/AJS2の関連サービスが起動している場合,これらを停止してください。
    物理ホスト・論理ホストすべてのJP1/AJS2サービスを停止します。
  2. 組み込みDBへの移行(実行系)
    スケジューラーサービスのデータベースの移行には,ajsembdbsetupスクリプトを使用します。ajsembdbsetupスクリプトは,JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥toolsディレクトリにあります。ajsembdbsetupスクリプトの使用方法については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。
    スケジューラーサービスのデータベースを移行する場合は,いったんスケジューラーサービスのデータベースをISAMに変更する必要があります。
    スケジューラーサービスのデータベースを組み込みDBからISAMに変更する方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 15.14.2 スケジューラーデータベースで使用するDBMSを変更する」を参照してください。
    スケジューラーサービスのデータベースをOracleからISAMに変更する方法については,「付録C Oracleデータベースの移行」を参照してください。
    (例)
    論理ホストlhostのスケジューラーサービスAJSROOT2で組み込みDBを使用する場合

    ajsembdbsetup -mh lhost -F AJSROOT2 -ru l

  3. JP1共通定義情報のコピー
    実行系サーバで構築した論理ホスト環境をセットアップしたときに,JP1共通定義情報に論理ホストの定義情報が設定されます。新規インストールの場合,JP1共通定義情報の設定が,実行系と待機系で同じになるように設定内容を実行系から待機系にコピーします。

(4) クラスタソフトへの登録

組み込みDBのクラスタ開始モード
組み込みDBをセットアップ直後のpd_mode_confは,MANUAL1(常に手動起動)です。
構築する環境に応じて,組み込みDBのパラメーターpd_mode_confを編集してください。
MANUAL1:
手動起動します。ただし,組み込みDB異常終了後の再開始は自動起動になります。
MANUAL2:
手動起動します。
組み込みDBの定義ファイルの編集は,次の手順で行ってください。
・実行系
  1. 組み込みDBを使用しているスケジューラーサービスを停止する。
  2. 組み込みDBを停止する。
  3. 組み込みDBの定義ファイルを編集する。
    定義ファイル:pdsys
    定義パラメーター:set pd_mode_conf = MANUAL1 | MANUAL2
    上記ファイルを格納しているディレクトリは,次に示す場所になります。
    組み込みDB運用ディレクトリ¥conf
  4. 組み込みDBを起動する。
  5. 組み込みDBを使用しているスケジューラーサービスを起動する。
・待機系
  1. 組み込みDBの定義ファイルを編集する。
    定義ファイル:pdsys
    定義パラメーター:set pd_mode_conf = MANUAL1 | MANUAL2
    上記ファイルを格納しているディレクトリは,次に示す場所になります。
    組み込みDB運用ディレクトリ¥conf

注意
組み込みDBの定義ファイルは,ajsembdbbuild実行時にディレクトリに作成され,環境を削除した際に削除されるので,ユーザーが定義ファイルを直接編集する場合には注意が必要です。

(5) クラスタサービスの登録

JP1/AJS2の同一論理ホスト(同一グループ)に,組み込みDBの「HiRDB/ClusterService _JAn」を設定してください。

クラスタソフトに登録するときは,JP1/AJS2のサービスよりも先に起動させる必要があります。