16.15 ジョブの結果ファイルの再送間隔・再送回数の変更
エージェントホストはジョブが終了したとき,マネージャーホストに対してジョブの結果ファイルを転送し,結果ファイルの転送が成功すると終了通知を行います。エージェントホストでは結果ファイルの転送時に一時的な通信障害などでファイルの転送に失敗したときでも,確実に終了状態を通知するために,このファイルの転送を通常は5分おきにリトライしています。一方でこの結果ファイルのサイズが大きいと,マネージャーホストではファイルの解析を行うのに非常に負荷が掛かります。通常,ファイルの転送を行ったとき,エージェントホスト側では10分間マネージャーホストからの応答がないと,タイムアウトエラーが発生したものとして結果ファイルを再送します。マネージャーホストでは結果ファイルの再送が繰り返されることによって負荷の掛かるファイル解析処理を多重に行うことになり,結果としてCPUの使用率が非常に高くなりほかの要求を受け付けられなくなるといった問題が発生します。
次の設定を行うと,結果ファイルの転送に失敗したときの,再送までの間隔を変更したり,再送する回数を制限したりすることができ,マネージャーホストに掛かる負荷を抑えることができます。
ジョブの結果ファイルの再送間隔・再送回数の設定手順を次に示します。
- <この節の構成>
- (1) 定義手順
- (2) 定義パラメーター一覧
- (3) 定義内容
(1) 定義手順
- JP1/AJS2のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 注※
- 自動停止の設定が行われていることを確認してください。
- viなどのエディターで,「(2) 定義パラメーター一覧」の定義パラメーターを記述した設定ファイルを作成する。
設定ファイルのファイル名は任意です。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドのパスは,「/opt/jp1base/bin/jbssetcnf」です。
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- JP1/AJS2を再起動する。
設定ファイルに記述した内容が反映されます。
(2) 定義パラメーター一覧
表16-17 ジョブの結果ファイルの再送間隔・再送回数定義パラメーター一覧
定義キー | 環境設定パラメーター | 定義内容 |
---|
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1NBQAGENT¥Network]※ | "NotfyJobStateInterval"= | ジョブの結果ファイルの再送間隔 |
"NotfyJobStateCount"= | ジョブの結果ファイルの再送回数 |
- 注※
- {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
(3) 定義内容
- "NotfyJobStateInterval"=dword:設定値
- ジョブの結果ファイルの再送間隔(単位:秒)を16進数で指定します。0~0x00015180(10進数で0~86,400)の間で指定します。最大値の0x00015180(10 進数で86,400 秒)は1日の秒数です。
- デフォルトは「dword:0000012C」(10進数で300)で5分です。結果ファイルの再送を行わないようにするには0を指定してください。
- "NotfyJobStateCount"=dword:設定値
- ジョブの結果ファイルの再送回数を16進数で指定します。1~0x00000800(10進数で1~2,048)の間で指定します。
- デフォルトは「dword:00000120」(10進数で288)で288回です(デフォルトでは5分間隔で24時間再送します)。
- 注意事項
- NotfyJobStateIntervalに0を指定した場合は,結果ファイルの再送は行いません。このため,結果ファイルの転送に失敗するとジョブの終了通知を行わなくなり,マネージャーホスト側からのジョブ状態監視処理によってジョブの終了を検知します。ジョブ状態監視処理は通常5分間隔のポーリングで行っているため,ジョブの終了検知が遅れることがあります。
- また次の場合は,エージェントホスト上のジョブの終了情報が削除されるため,マネージャーホスト上の統合トレースログに「KAVU4597-W エージェント(エージェントホスト名)で消失したジョブを強制終了します」メッセージが出力されて,ジョブの状態は強制終了となります。
- NotfyJobStateCountの上限値まで再送を繰り返し,最終的に結果ファイルの転送が失敗したとき
- マネージャーホストからのジョブの状態確認が行われる前にエージェントホストのJP1/AJS2サービスが停止したとき