4.1.3 スケジューラーファイルの構成を定義する

スケジューラーファイルの構成は,[マネージャー環境設定]ダイアログボックスの[スケジューラーファイルの構成]タブ,および[スケジューラーファイルの構成2]タブで定義してください。

マネージャー環境で設定する[スケジューラーファイルの構成]タブを図4-3に,[スケジューラーファイルの構成2]タブを図4-4に示します。

図4-3 [スケジューラーファイルの構成]タブ([マネージャー環境設定]ダイアログボックス)

[図データ]

各項目の定義内容を説明します。

(スケジューラーサービス名)の設定
スケジューラーファイルの構成を設定したいスケジューラーサービスの名称を選択します。リストには,環境設定開始時に指定した論理ホストに登録されているスケジューラーサービスがすべて表示されます。
データベースディレクトリ名
JP1/AJS2のユニット情報を格納するフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。デフォルトは「JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥database¥schedule¥AJSROOT1」です。ジョブネットの定義,実行および参照するユーザーには,このフォルダに対して「読み取り」および「書き込み」権限を設定しておいてください。
ここで指定したフォルダには,ユニットに対して排他編集をする際に必要なファイルや,ISAMのデータファイルやキーファイル(JP1/AJS2データベースにISAMを指定した場合)が保存されます。これらのファイルは削除しないでください。
データベース種別
使用するデータベースを次の二つから選択します。
  • [ISAM]
    ISAMは,JP1/AJS2 - Manager中に標準提供されています。
  • [EmbedDB]
    組み込みDBを選択した場合は,JP1/AJS2 - Managerホストに組み込みDBが設定されている必要があります。
    デフォルトは[ISAM]です。
テーブル名プリフィックス
スケジューラーサービスのスキーマ内に保持される,テーブル名称の先頭に付けられる文字列を4バイト以内の半角英数字で指定します。テーブル名称は,大文字・小文字が区別されず,すべて大文字として扱われます。デフォルトは「AJS」です。
なお,RDBを使用して複数のスケジューラーサービスを同一スキーマ内に作成する場合,それぞれのサービスで異なる名称を指定してください。
ISAMの設定
[データベース種別]で[ISAM]を選択した場合に定義します。
データファイル更新モード
ISAMファイルの更新時に,同期書き込みを許可するかどうかを次の三つから選択します。
  • [同期]
    ファイル更新時に,常に同期書き込みを実行します。この方法で書き込みを実行した場合,信頼性は向上しますが,性能は低下します。なお,同期書き込みは,ジョブ・ジョブネットの状態管理ファイルに対してだけ実行します。ユニット定義情報を保存するファイルに対しては,フラッシュモードで書き込みます。
  • [非同期]
    JP1/AJS2の処理とは同期を取らないで,OSのバッファーリングによってディスクに書き込みます。
  • [フラッシュ]
    書き込み処理を終了するたびに,メモリーにある内容をディスクに書き込みます。
デフォルトは[フラッシュ]です。
RDBの設定
[データベース種別]で[EmbedDB]を選択した場合に定義します。
なお,指定する文字列の長さや数値はDBMSによって異なるので,使用するDBMSの制限値を参考にして設定してください。
RDB認可識別子
データベースをセットアップおよび運用する際に使う認可識別子を130バイト以内の半角英数字で指定します。組み込みDBを使う場合は8バイト以内で指定し,必ず設定してください。
データベースの各テーブルは,ここで指定したスキーマ内に作成され,運用されます。
RDBアクセスユーザー
データベースにアクセスするときのユーザーの名称を130バイト以内の半角英数字で指定します。RDB認可識別子とは異なる名称を指定してください。
組み込みDBを使う場合,8バイト以内で指定し,必ず設定してください。
パスワード
データベースにアクセスするときのパスワードを130バイト以内の半角英数字で指定します。
パスワードは省略できます。省略した場合,パスワードは自動生成されます。
このパラメーターはクリアーテキストで保存されます。
組み込みDBの場合,通常,パスワードは大文字・小文字が区別されません。区別したい場合には,パスワード文字列を「!」で囲んでください。組み込みDBで,この項目を設定する場合は,30バイト以内で指定してください。

(例) !password!

切断検知する間隔
データベースサーバが停止したなどの理由でスケジューラーサービスが処理を続行できなくなる場合に備えて,データベースサーバとの接続を確認し,切断を検知したときにスケジューラーサービスを自動的に停止させる機能を使用する場合に指定します。
1~86,400の範囲内の値を指定した場合だけこの機能は有効になります。この機能を使用する場合には,この範囲内の値を指定してください。
1~86,400の範囲外の値を指定した場合にはこの機能は無効となり,データベースサーバとの接続確認およびスケジューラーサービスの自動停止は行いません。
デフォルトは「0」です。
この項目は,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時に「300」が設定されます。
この機能を使用しない場合には,1~86,400の範囲外の値を指定するか,またはこの項目の指定を省略してください。
RDB接続先ホスト
データベースが設定されているホストの名称を511バイト以内で指定します。
この項目は[データベース種別]で[EmbedDB]を選択した場合に指定できます。
接続ポート番号
データベースに接続するポートの番号を1~65,535の間で指定します。
この項目は[データベース種別]で[EmbedDB]を選択した場合に指定できます。
ローカルRDBサーバとの通信方式
RDBサーバとの通信方式を次のどちらかから選択します。
  • [TCP/IP]
    RDBサーバとの通信に,TCP/IP通信を使用します。
  • [プロセス間メモリ通信]
    RDBサーバとの通信に,プロセス間メモリー通信を使用します。このパラメーターは,スケジューラーサービスからRDBに接続する際に,環境変数PDIPCに設定されます。
デフォルトは[TCP/IP]です。このオプションを「プロセス間メモリ通信」にするとスケジューラーデータベースのアクセス性能が向上しますので,設定することを強く推奨します。
この項目は[データベース種別]で,[EmbedDB]を選択した場合に指定できます。
送信用メモリサイズ
RDBサーバとの通信にプロセス間メモリー通信を使用する際に,送信データを格納するメモリーサイズを指定します。指定できる値は任意ですが,JP1/AJS2でRDBのプロセス間メモリー通信を使用する場合は,少なくとも「8」以上の値を指定してください。
この項目は,[ローカルRDBサーバとの通信方式]に[プロセス間メモリ通信]を指定した場合にだけ有効です。
この項目を省略した場合や,「0」を指定した場合は,RDBの既定値が使用されます。
受信用メモリサイズ
RDBサーバとの通信にプロセス間メモリー通信を使用する際に,受信データを格納するメモリーサイズを指定します。指定できる値は任意ですが,JP1/AJS2でRDBのプロセス間メモリー通信を使用する場合は,少なくとも「64」以上の値を指定してください。
この項目は,[ローカルRDBサーバとの通信方式]に[プロセス間メモリ通信]を指定した場合にだけ有効です。
このパラメーターを省略した場合や,「0」を指定した場合は,RDBの既定値が使用されます。
最大待ち合わせ時間RDB接続待ち合わせ機能
RDB接続待ち合わせを打ち切る時間を,0~60(単位:分)の範囲の値で指定します。
デフォルトは「1」です。「0」を指定した場合は,RDB接続待ち合わせ機能が無効になります。
スケジューラーサービスが起動するたびにここで指定した時間だけRDBとの接続を待ち合わせるので,[論理ホスト共通]タブの「スケジューラーサービスの再起動回数」の値を変更している場合には,注意が必要です。

図4-4 [スケジューラーファイルの構成2]タブ([マネージャー環境設定]ダイアログボックス)

[図データ]

各項目の定義内容を説明します。

一時ファイル用ディレクトリ名
JP1/AJS2のテンポラリーファイルを作成するフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。「;(セミコロン)」は指定しないでください。デフォルトは「JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥tmp¥schedule」です。
ジョブネットを操作および参照するユーザーには,このフォルダに対して更新権限を定義しておいてください。
なお,運用中に障害が発生した場合は,指定したフォルダ下に作業用のファイルが残ることがあります。そのため,システム起動時などですべてのJP1/AJS2のサービスが起動していないときにファイルを削除し,フォルダを定期的にメンテナンスしてください。
ただし,組み込みDBを使用している場合は,pdで始まるファイル(pderr1.trc,pderr2.trcなど)を削除しないでください。
ジョブエラー情報ディレクトリ名
ジョブ定義時に標準エラー出力ファイルを指定していない場合に,ジョブ実行時に標準エラー出力ファイルを格納するフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。「;(セミコロン)」は指定しないでください。デフォルトは「JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥jobinf」です。
ジョブネットを実行および参照するユーザーには,このフォルダに対して更新権限を定義しておいてください。また,ジョブネットを参照するユーザーには,操作権限を定義しておいてください。
退避情報ディレクトリ名
ジョブネットワーク要素を退避させるときのフォルダの名称を180バイト以内で指定します。フォルダ名はフルパスで指定します。「;(セミコロン)」は指定しないでください。デフォルトは「JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥backup¥schedule」です。
ジョブネットを退避するユーザーには,このフォルダに対して更新権限を定義しておいてください。また,ジョブネットを回復するユーザーには,操作権限を定義しておいてください。