5.2.1 組み込みDBのインストール
ここでは,組み込みDB(JP1/AJS2 - Database option)のインストール方法を説明します。
- 組み込みDBをインストールするホストについての注意事項
- 組み込みDBは,JP1/AJS2 - Managerに付属します。同梱されるJP1/AJS2 - Managerと同一のマシンにインストールして使用してください。組み込みDBを単体で,別のマシンにインストールしたり,外部のクライアントソフトウェアから接続したりすることはできません。
- <この項の構成>
- (1) 組み込みDBインストール前の作業
- (2) 組み込みDBを新規にインストールする
- (3) 組み込みDBを上書きインストールする
(1) 組み込みDBインストール前の作業
ここでは,組み込みDBインストール前の作業について説明します。
(a) ディスク容量の確認
インストールする前にディスクの空き容量が十分かどうかを確認してください。組み込みDBの場合は240メガバイト程度の容量が必要です。
(b) 仮想メモリーの確認
仮想メモリーは同じドライブに連続した領域を作成するように,初期サイズと最大サイズを同じ値(固定値)にしてください。仮想メモリーを連続で使えない場合,組み込みDBがメモリー不足で異常終了することがあります。
仮想メモリーは次の手順で確認できます。
- スタートメニューから[コントロールパネル]を選択し,[システム]をクリックする。
[システムのプロパティ]ダイアログボックスが表示されます。
- [詳細設定]タブをクリックする。
- [パフォーマンス]ボックスの[設定]をクリックする。
[パフォーマンス オプション]ウィンドウが表示されます。
- [詳細設定]タブをクリックする。
- [仮想メモリ]ボックスの[変更]をクリックする。
必要な仮想メモリーを次に示します。また,実際に指定する値には,Windowsやほかのプログラムが使う容量を加えてください。仮想メモリーを変更した場合には,必ずWindowsを再起動してください。
ページングファイルサイズ=130メガバイト
- 注意事項
- JP1/AJS2 - Viewの接続数や設定されているスケジューラーサービスの数によって値は増加することがあります。
(c) ファイルシステムの確認
組み込みDBをNTFSにインストールする場合,組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルを圧縮しないでください。このディレクトリを圧縮すると,組み込みDBは正常に動作しません。
(2) 組み込みDBを新規にインストールする
JP1/AJS2 - Managerのスケジューラーデータベースとして,組み込みDBを使用する場合のインストール手順を次に示します。
(a) インストール前の注意事項
- 組み込みDBのインストールは,Administrators権限があるユーザーが実行してください。Administrators権限がないユーザーがインストールを実行すると,エラーメッセージが表示され,インストールが中止されます。
- ネットワークドライブにはインストールしないでください。
- アンインストール後にインストールする場合は,アンインストールを実行したあとに必ずWindowsを再起動してください。
(b) 組み込みDBのインストール手順
組み込みDBのインストール手順を次に示します。
- 組み込みDBをインストールするホストに,Administrators権限でログオンする。
- すべてのプログラムを終了する。
既存のJP1シリーズのプログラムが動作している場合,必ず停止しておいてください。
- 媒体をセットする。
HITACHI総合インストーラーの画面が表示されます。
- セットアップ識別子を設定する。
セットアップ識別子に_JAn(n:0~9,A~Zの任意の文字)を指定します。
なお,組み込みDBを追加でインストールする場合は,組み込みDBのセットアップ識別子が重複しないように指定してください。
- 注意事項
- 一度インストールしたら,セットアップ識別子を途中で変更することはできません。セットアップ識別子を変更したい場合は,インストール済みの組み込みDBをアンインストールして,別のセットアップ識別子で再度インストールしてください。
- HITACHI総合インストーラーの指示に従って必要な情報を入力し,インストールする。
インストール時に定義する情報を次に示します。
- ユーザー情報
ユーザー名などを入力します。
- インストール先フォルダ
組み込みDBをインストールするフォルダを指定します。
インストールするフォルダを変更する場合,次のことに注意してください。
・ドライブで始まり,次の要素で構成される文字列を指定してください。
英数字
_(下線)
.(ピリオド)
(空白)
( (左括弧)
) (右括弧)
パス区切りの¥
・ドライブだけの指定はできません。
・全角文字,および特殊記号はディレクトリ名に使用できません。
・パス名の長さは200文字(バイト)以内にしてください。
- プログラムフォルダ
プログラムメニュー名を指定します。
- システム環境変数にTZを追加する。
環境変数TZに設定するタイムゾーンは,[日付と時刻のプロパティ]ダイアログボックスの[タイムゾーン]タブで設定したタイムゾーンと合わせてください。
(例) TZ=JST-9
これで組み込みDBのインストールは終了です。
(c) インストール後の注意事項
- 組み込みDBをインストールすると,インストールドライブの直下にtmpディレクトリが作成されます。このディレクトリは組み込みDBが使うので,削除しないでください。
- 組み込みDBで使う文字コードは,シフトJISコード(SJIS)です。
(3) 組み込みDBを上書きインストールする
ここでは組み込みDBのバージョンアップインストールについて説明します。
(a) バージョンアップ前にすること
バージョンアップをする前に,次に示すことを必ず実施してください。
- 組み込みDBのデータベースのバックアップを取得する
ajsembdbbackupコマンドで,組み込みDBのバックアップを取得してください。
- 組み込みDBをインストールするホストに,Administrators権限でログオンする。
- すべてのプログラムを終了する。
既存のJP1シリーズのプログラムが動作している場合,必ず停止しておいてください。
- ajsembdbbackupコマンドで組み込みDBのバックアップを取得する。
ajsembdbbackupコマンド実行時,-sオプションを指定しないでください。指定した場合,ajsembdbrstrコマンドの実行時にエラーとなり回復できなくなります。ajsembdbbackupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド ajsembdbbackup」を参照してください。
- 組み込みDBが稼働中かを確認する
組み込みDBの稼働状態をajsembdbstatusコマンドで確認してください。
ajsembdbstatusコマンドの実行例を次に示します。この例では,_JA0の組み込みDB識別子でセットアップした環境が構築されているものと仮定します。
ajsembdbstatus -s ust
HOSTNAME : hostname(154313)
SYSTEMID : ajs2
UNITID : unt1
ENTRYHOST : hostname
PAIRHOST :
UNIT-STAT FES-STAT SETUP-STAT
ONLINE ******** SETUP
ajsembdbstatusコマンドの実行結果のUNIT-STATを参照してください。ONLINEと表示されている場合,組み込みDBは稼働中です。この場合,ajsembdbstopコマンドで組み込みDBを正常終了させてください。
- 組み込みDBが正常終了しているかを確認する
バージョンアップをする場合,組み込みDBが正常終了している必要があります。組み込みDBが稼働中かどうかを確認した結果,組み込みDBがすでに停止しているか,ajsembdbstopコマンドで停止した場合,組み込みDBが正常終了しているかを確認してください。
次に示すファイルに出力されるKFPS01850-Iメッセージを参照してください。このメッセージに表示されている終了モードがNORMALの場合,組み込みDBは正常終了しています。
- 組み込みDB運用ディレクトリ¥spool¥pdlog1
- 組み込みDB運用ディレクトリ¥spool¥pdlog2
(例) KFPS01850-I HiRDB system terminated. mode=NORMAL
組み込みDBが正常終了していない場合は,次に示す手順で組み込みDBを正常終了させてください。
- ajsembdbstartコマンドで組み込みDBを開始する。
- ajsembdbstopコマンドで組み込みDBを正常終了する。
- 組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルのバックアップを取得する
バージョンアップの失敗に備えて,次に示すファイルのバックアップをOSの機能(コマンド)で取得してください。
- 組み込みDB運用ディレクトリ下のconf下にある全ファイル
- 組み込みDB運用ディレクトリ下にあるユーザーが作成したファイル
なお,取得したバックアップは,新バージョンの動作確認後に削除してください。
- 組み込みDBのサービスを停止する
[サービス]を起動し,[サービス]ウィンドウから組み込みDBのサービスを選択して停止してください。
(b) バージョンアップ手順
組み込みDBをバージョンアップする手順を次に示します。
- 組み込みDBを上書きインストールする。
新しいバージョンの組み込みDBを上書きインストールします。組み込みDBのインストール方法については,「(2) 組み込みDBを新規にインストールする」を参照してください。インストールの際,セットアップ識別子には,上書きする組み込みDBのセットアップ識別子を指定してください。
なお,組み込みDBを複数のセットアップ識別子を指定してセットアップしている場合は,該当する組み込みDBをすべてバージョンアップしてください。
- 組み込みDBを開始する。
非クラスタ環境の場合は,組み込みDBは自動的に開始しますが,クラスタ環境の場合は,ajsembdbstartコマンドを実行して組み込みDBを開始してください。
なお,システム共通定義のpd_mode_confオペランド指定値を変更すると組み込みDBの開始方法が変わります。
組み込みDB環境が複数ある場合,ほかの組み込みDB環境に対しても,上記作業を実施してください。
(c) バージョンアップに失敗した場合
ここでは,次に示す現象が発生した場合の対処方法について説明します。
組み込みDBの開始時にリターンコードが5以上のKFPX24404-Iメッセージがメッセージログおよびイベントログに出力された。 |
メッセージログとは,次に示すファイルのことです。
- 組み込みDB運用ディレクトリ¥spool¥pdlog1
- 組み込みDB運用ディレクトリ¥spool¥pdlog2
この場合,一緒に出力されたメッセージを参照し,バージョンアップ失敗の原因を取り除いてください。
(d) 組み込みDBを旧バージョンに戻す場合
組み込みDBを旧バージョンに戻す手順を次に示します。
- 組み込みDBが自動起動しないように設定を変更する。
システム共通定義のpd_mode_confオペランドの設定値をMANUAL2に変更してください。なお,手順4でpd_mode_confオペランドの設定値を元に戻すため,変更前の設定値を忘れないようにしてください。
- 組み込みDBをアンインストールする。
組み込みDBをアンインストールしてWindowsを再起動します。組み込みDBのアンインストール方法については,「10.3 組み込みDBのアンインストール」を参照してください。
- 旧バージョンの組み込みDBをインストールする。
旧バージョンの組み込みDBを同じ組み込みDB運用ディレクトリにインストールします。組み込みDBのインストール方法については,「(2) 組み込みDBを新規にインストールする」を参照してください。
- 組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルを回復する。
「(a) バージョンアップ前にすること」の「組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルのバックアップを取得する」で取得したバックアップから,旧バージョンの組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルを回復します。
また,手順1で変更したシステム共通定義のpd_mode_confオペランドを変更前の設定値に戻してください。
- システムファイルを初期化する。
システムログファイル,シンクポイントダンプファイル,およびステータスファイルを初期化します。次に示すコマンドラインを実行してください。
cmd /c 組み込みDB運用ディレクトリ¥conf¥fmkfs.bat
cmd /c 組み込みDB運用ディレクトリ¥conf¥sysfint.bat
また,旧バージョンでシステムログファイル,またはシンクポイントダンプファイルを追加した場合は,追加したファイルについても初期化します。
次に示すどちらかの操作で,システムログファイル,シンクポイントダンプファイルを初期化してください。
- ajsembdbaddlogコマンドを使用して追加した場合
次に示すファイルの拡張子を「.bat」に変更して実行してください。
組み込みDB運用ディレクトリ¥conf¥embrm¥addlog
なお,バージョンアップ後に,ajsembdbaddlogコマンドでシステムログファイル,またはシンクポイントダンプファイルを追加した場合は,バージョンアップ後に追加した領域も初期化します。
- pdfmkfsコマンドおよびpdloginitコマンドを使用して追加した場合
追加時に実施した操作を再度実行してください。この作業は,JP1 Version 7iで構築した組み込みDB環境に戻す場合が該当します。
- 組み込みDBを回復する。
「(a) バージョンアップ前にすること」の「組み込みDBのデータベースのバックアップを取得する」で取得したバックアップから,旧バージョンの組み込みDBを回復します。
組み込みDBの回復手順を次に示します。
- 1. -rオプションを指定したajsembdbstartコマンドを実行して組み込みDBを開始する。
- 2. -Mオプションを指定したajsembdbrstrコマンドで,バックアップから組み込みDBのシステム領域を回復する。
- 3. ajsembdbstopコマンドで組み込みDBを正常終了する。
- 4. ajsembdbstartコマンドで組み込みDBを開始する。
- 5. ajsembdbrstrコマンドで,バックアップから組み込みDBのデータ領域を回復する。
コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド」を参照してください。