15.3.4 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへの移行
この節では,複数のスケジューラーデータベースを組み込みDBへ移行する方法について説明します。
- <この項の構成>
- (1) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する
- (2) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースを移行する
(1) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する
複数のスケジューラーサービスが定義されていて,スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する場合,次に示す領域を別に準備してください。
- 組み込みDB運用ディレクトリ
- データ領域
- システムファイル領域
- 組み込みDB作業領域
- アンロードログファイル作成ディレクトリ
上記に示す領域のうち,システムファイル領域,アンロードログファイル作成ディレクトリについては,必要に応じて準備してください。また,データ領域およびシステムファイル領域は,共有ディスク上の領域を指定してください。
組み込みDB環境構築の際,使用するポート番号および組み込みDBセットアップ識別子が組み込みDB間で重複しないように指定する必要があります。そのため,ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンドの実行時には,ポート番号を指定するオプション(-p)および組み込みDBセットアップ識別子を指定するオプション(-id)に異なる値を指定してください。
セットアップ例を次に示します。なお,この例は,「15.3.2 組み込みDB環境の構築」で示した環境がすでに構築されていることを前提に記載します。
- 組み込みDBの環境内容
- 追加する組み込みDBの環境内容を次に示します。
- データ領域作成ディレクトリ:/share4/RDArea_JAB
- システムファイル領域作成ディレクトリ1:/share5/SYSArea_JAB
- システムファイル領域作成ディレクトリ2:/share6/SYSArea_JAB
- アンロードログファイル作成ディレクトリ:/Unload_Log_JAB
- 組み込みDB作業領域:/WorkArea_JAB
- 組み込みDB運用ディレクトリ:/Embdb_JAB
- スケジューラーサービス名:AJSROOT5
- 組み込みDBポート番号:22203
- 組み込みDBセットアップ識別子:_JAB
- 実行系物理ホスト名:physical_host
- 論理ホスト名:logical_host
- ajsembdbbuildコマンドの指定内容
- ajsembdbbuildコマンドの指定内容を次に示します。
ajsembdbbuild -l
-d "/share4/RDArea_JAB,/share5/SYSArea_JAB,
/share6/SYSArea_JAB" -ld /WorkArea_JAB -br
-bl /Unload_Log_JAB -i /Embdb_JAB -p 22203
-id _JAB -r -mh logical_host -eh physical_host
- ajsembdbsetupコマンドの指定内容
- ajsembdbsetupコマンドの指定内容を次に示します。
ajsembdbsetup -F AJSROOT5 -ru l -id _JAB -p 22203
-mh logical_host
ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド」を参照してください。
(2) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースを移行する
一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースを移行する場合,組み込みDB内にはスケジューラーサービスごとに異なるテーブルを作成して管理する必要があります。そのため,ajsembdbsetupコマンド実行時のテーブル名プリフィックスを変更する必要があります。
また,該当する組み込みDBに対して二つ目以降のスケジューラーデータベースを移行する際には,一つ目のスケジューラーデータベースを移行した際にスキーマが作成済みとなっているため,ajsembdbsetupコマンドのスキーマ作成をスキップするオプション(-q)を指定します。
同じ組み込みDBに対して二つ目のスケジューラーデータベースを移行する際のajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。なお,次の設定値を仮定します。
- スケジューラーサービス名:AJSROOT6
- テーブル名プリフィックス:AJS2
- 組み込みDBセットアップ識別子:_JAA
- 論理ホスト名:logical_host
ajsembdbsetup -F AJSROOT6 -tp AJS2 -q -ru l -id _JAA -mh logical_host
ajsembdbsetupコマンドの詳細については,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。
- 注意事項
- 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースを移行した環境で,特定のスケジューラーデータベースだけを再構築することはできません。組み込みDB環境に移行したすべてのスケジューラーデータベースの再構築が必要となります。特定のスケジューラーデータベースだけを再構築したい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については「(1) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
- 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースを移行した環境で,ajsembdbbackupコマンドを使用してバックアップする場合,特定のスケジューラーデータベースだけを対象にはできません。ajsembdbbackupコマンドでのバックアップは,該当する組み込みDB環境に移行したすべてのスケジューラーデータベースをバックアップ対象とし,そのバックアップを使用して回復すると,すべてのスケジューラーデータベースを回復します。そのため,ajsembdbbackupコマンドおよびajsembdbrstrコマンドでバックアップ・リストアをする場合,該当する組み込みDBにアクセスするすべてのスケジューラーサービスを停止する必要があります。
なお,ajsprintコマンドでユニット定義だけをバックアップする場合は,スケジューラーサービスを停止しないで,スケジューラーデータベースごとに取得できます。
ajsembdbbackupコマンドで特定のスケジューラーデータベースだけをバックアップ対象としたい場合は,スケジューラーサービスごとに組み込みDBを用意してください。構築方法については「(1) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する」を参照してください。
- 一つの組み込みDB環境に論理ホストのスケジューラーデータベース,および物理ホストのスケジューラーデータベースを混在して移行できません。