JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド
HiRDBデータベース移行ツールとして,ajshirdbportコマンドを提供しています。ajshirdbportコマンドの詳細を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 形式
- (2) 機能
- (3) 実行権限
- (4) 格納先ディレクトリ
- (5) 引数
- (6) 注意事項
- (7) エラー発生時の対処
- (8) 戻り値
- (9) 出力例
(1) 形式
ajshirdbport [-mh 論理ホスト名] -F サービス名 -p 組み込みDB通信ポート [-q] [-ru {l|m|s}] -id セットアップ識別子 [-c] [-tp テーブル名プリフィックス]形式1(組み込みDBへの標準的な移行)
ajshirdbport [-mh 論理ホスト名] -F サービス名 -p 組み込みDB通信ポート [-ru {l|m|s}] -id セットアップ識別子形式2(スケジューラーサービスのデータベースとして使用されている組み込みDBへの移行)
ajshirdbport [-mh 論理ホスト名] -F サービス名 -p 組み込みDB通信ポート -q [-ru {l|m|s}] -id セットアップ識別子 [-tp テーブル名プリフィックス]形式3(組み込みDBへの移行が中断された場合)
ajshirdbport [-mh 論理ホスト名] -F サービス名 -p 組み込みDB通信ポート -q [-ru {l|m|s}] -id セットアップ識別子 [-tp テーブル名プリフィックス] -c
(2) 機能
JP1/AJS2スケジューラーサービスに設定されたデータベースをHiRDBから組み込みDBに移行します。
このコマンドは,HiRDBがスケジューラーサービスのデータベースとして設定されている状態で実行してください。
(3) 実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
(4) 格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
- JP1/AJS2 - Managerインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
- /opt/jp1ajs2/tools/
(5) 引数
- -mh 論理ホスト名
- 処理対象とするJP1論理ホスト名を指定します。指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。
- 省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数の値を仮定します。環境変数JP1_HOSTNAMEの指定がない場合は,物理ホストを仮定します。
- -F サービス名
- 処理対象とするスケジューラーサービスのサービス名を指定します。
- HiRDBがセットアップされているスケジューラーサービス名を指定してください。
- -p {組み込みDB通信ポート}
- 組み込みDBの接続ポートを10進数で指定します。
- ajsembdbbuild -pオプションに指定したポート番号を指定してください。
- 構成定義のRDBPORTパラメーターに設定されます。
- 指定できる値の範囲については,「14.1.3 スケジューラーサービス環境設定パラメーターの定義内容」のRDBPORTパラメーターを参照してください。
- -q
- スキーマ作成をスキップする場合に指定します。
- 移行先の組み込みDBに,すでにスケジューラーサービスが設定されている場合に指定します。また,ajshirdbportコマンド実行時,スキーマ作成に成功してテーブル作成時にエラーが発生した場合などにも,このオプションを指定する必要があります。
- 移行先の組み込みDBにスケジューラーサービスを初めてセットアップする場合は,テーブル作成時にエラーとなるので,このオプションを指定しないでください。
- -c
- スキーマ作成が成功したあと,テーブル作成処理などでエラーが発生した際に再セットアップをする場合に指定します。
- -tp テーブル名プリフィックス
- JP1/AJS2スケジューラーデータベースのテーブル名プリフィックスを4バイト以内で指定します。
- 移行先の組み込みDBがほかのスケジューラーサービスのデータベースに設定されている場合,そのスケジューラーサービスのテーブル名プリフィックスと重複しないように値を設定してください。
- -Fオプションで指定したスケジューラーサービスの構成定義TABLENAMEPREFIXパラメーターの値を仮定します。
- このオプションを指定した場合,構成定義のTABLENAMEPREFIXパラメーターの設定が変更されます。
- -ru {l|m|s}
- 空き領域の再利用機能を使用する場合に指定します。l,m,sと同時に指定した場合,再利用開始ポイントを指定することができます。
- -ruを省略した場合は,-ru lが仮定されます。
- -ruの後ろに空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントを指定します。データ領域の使用率がここで指定したポイントに達した場合,空き領域の再利用機能が動作します。
- l,m,sはそれぞれajsembdbbuildコマンドのデータベースモデル,大・中・小規模に対応しています。ajsembdbbuildコマンドで指定したデータベースモデルの規模と同じオプションを指定してください。
- 各テーブルに設定される,データベース領域に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントは,次のとおりです。
項番 テーブル名 各テーブルで設定される空き領域の再利用機能の
再利用開始ポイント1 AJSUNIT データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの10% 2 AJSARROW 3 AJSBODY 4 AJSSCH 5 AJSCAL 6 AJSPERF 7 AJSENTRY 8 AJSGEN 9 AJSSTAT データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの20%
- 注
- テーブル名は,テーブルプリフィックスを標準の"AJS"としている場合の名称です。
- なお,ajsembdbbuildコマンドのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量は次の表のとおりです。
項番 データベース領域 大規模 中規模 小規模 1 AJS2DATA 30,800 14,920 4,940
- -id セットアップ識別子
- 組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JAn」(nは0〜9またはA〜Z)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。
(6) 注意事項
- このコマンドを実行する前に,ajsembdbbuildコマンドを実行し,組み込みDBサーバの構築を行ってください。ajsembdbbuildコマンドが正常終了していない場合,データベースの移行が正しく行えません。
- JP1/AJS2が提供しているHiRDB簡易セットアップスクリプトで環境を構築し,RDエリアの拡張を行っている場合は,ajsembdbbuildコマンドを実行して組み込みDBサーバを構築したあと,ajsembdbaddareaコマンドを実行して,領域を拡張してください。HiRDB簡易セットアップスクリプトを使用していない場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド 4.3 データベース領域を見積もる」を参照し,必要な容量を拡張してください。領域を拡張しない場合,ajshirdbportコマンド実行中に,組み込みDBの容量不足でエラーとなるおそれがあります。
- このコマンドを実行する前に,JP1/AJS2 - Managerホストで論理ホストを含め,すべてのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止してください。また,JP1/AJS2 Consoleを使用している場合は,JP1/AJS2 Console Agentサービスも停止してください。サービスを停止しないでこのコマンドを使用した場合でも,正常終了する場合があるので注意してください。
- ajshirdbportコマンドは,スクリプトで実装されています。このため,オプションに不当に長い文字列や不正な文字列や値を指定すると,予期しないエラーが発生することがあります。オプション指定値は,DBMSおよびJP1/AJS2で規定されている範囲内の文字列または数値を指定してください。
- スケジューラーデータベースのセットアップに必要のない構成定義の指定に誤りがある場合でも,KAVS1003-Eメッセージが出力されます。このメッセージが複数回出力されても,このコマンドが正常終了した場合にはセットアップ処理は完了していますので,再セットアップの必要はありません。コマンド終了後,KAVS1003-Eメッセージに従い構成定義の誤りを訂正してください。
- UNIXで文字コードを変更して環境を構築するときは,環境変数LANGを正しく設定してください。
- ajshirdbportコマンドを実行し,組み込みDBサーバへのアクセスでエラーが発生した場合,組み込みDB接続時のエラー情報が,ajshirdbportコマンドを実行したときの作業ディレクトリにトレースファイル(pderr1.trcおよびpderr2.trc)として作成されます。コマンドの再実行によって,正常終了した場合は,これらのファイルを削除してください。
(7) エラー発生時の対処
コマンド実行時にエラーが発生する場合があります。エラーが発生した場合は次の表に従って問題に対処し,再実行してください。
メッセージID 原因 対処方法 DBTYPE
ERROR移行元スケジューラーサービスのデータベース種別がHiRDBではありません。 移行元のデータベース種別を確認してください。
このコマンドはHiRDBからの移行を行う場合だけ使用できます。KAVS0101-E 指定したオプションに引数が指定されていません。 オプションに値を指定して,コマンドを再実行してください。 KAVS0178-E テーブルが作成済みです。 -tpオプションに指定している値が,すでに存在するスケジューラーサービスのテーブルプリフィックスの値と重複していないか確認してください。テーブルの作成中,または容量不足などで処理が中断され,再実行したときにこのメッセージが出力された場合は,-qオプションと-cオプションを同時に指定して再実行してください。 KAVS0190-E ホストには指定されたスケジューラーサービスが定義されていません。 -Fオプションに,すでに存在しているスケジューラーサービス名を指定してください。 KAVS0985-E データベースに接続できません。 次の問題が考えられます。
これらの問題を解決してから再実行してください。
- HiRDBまたは組み込みDBサーバが起動していない。
- -pオプションで指定したポート番号が組み込みDBのポート番号と一致していない。
KAVS0936-E スキーマはすでに定義されています。 スキーマが作成済みの場合は,-qオプションを指定して再実行してください。 KAVS0996-E 指定されたオプションおよび値が不正です。 オプションおよびオプションに指定する値を修正してください。 KAVS1003-E 構成定義に誤った指定があります。 オプションで指定した値を正しい値に修正して,再実行してください。 KFPA11723-E 組み込みDBまたはHiRDBが停止しています。 組み込みDBまたはHiRDBを起動してください。 KFPA11204-E 表がありません。 -tpオプションの値を見直して,正しいテーブルプリフィックスを指定してください。また,HiRDBがスケジューラーサービスのデータベースとして接続できる状態であるか確認してください。 KFPA11563-E
KFPA11732-E組み込みDBまたはHiRDBにほかのユーザーがアクセスしているため,排他待ちタイムアウトになりました。 組み込みDBへのアクセスをすべて停止してから再実行してください。 The embedded DB work directory associated with the setup identifier specified by the -id option is invalid. -idオプションに指定したセットアップ識別子に関連づけられている組み込みDB運用ディレクトリが不正です。 構成定義に設定されている組み込みDB運用ディレクトリに正しい値を指定し,再実行してください。登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。ajsembdbidlistコマンドの詳細は,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。 The setup identifier specified with the -id option is not registered. -idオプションで指定したセットアップ識別子は,登録されていません。 登録済みのセットアップ識別子を指定し,再実行してください。なお,登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。ajsembdbidlistコマンドの詳細は,「20. セットアップ時に使用するコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。 Failed to register the configuration definition. 構成定義の登録に失敗しました。 -qオプションと-cオプションを同時に指定して再実行してください。 なお,KAVSで始まるメッセージの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 メッセージ 2.3 KAVSで始まるメッセージ(スケジューラーに関するメッセージ)」を参照してください。
(8) 戻り値
0 正常終了。 0以外 異常終了。
(9) 出力例
- スケジューラーサービスAJSROOT2をセットアップ識別子_JA2(ポート番号22201)の組み込みDBに対して実行した場合
C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools>ajshirdbport -F AJSROOT2 -p 22201 -id _JA2 [1/12]CREATE SCHEMA OK [2/12]CREATE TABLES OK [3/12]SHIFT TABLE UNIT EXPORT OK IMPORT OK [4/12]SHIFT TABLE ARROW EXPORT OK IMPORT OK [5/12]SHIFT TABLE BODY EXPORT OK IMPORT OK [6/12]SHIFT TABLE SCH EXPORT OK IMPORT OK [7/12]SHIFT TABLE CAL EXPORT OK IMPORT OK [8/12]SHIFT TABLE STAT EXPORT OK IMPORT OK [9/12]SHIFT TABLE ENTRY EXPORT OK IMPORT OK [10/12]SHIFT TABLE GEN EXPORT OK IMPORT OK [11/12]SHIFT TABLE PERF EXPORT OK IMPORT OK [12/12]SHIFT CONFIGURATION OK C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools>- スケジューラーサービスAJSROOT2をすでにスケジューラーサービスのデータベースとして使用されているセットアップ識別子_JA3(ポート番号22202)の組み込みDBに対してテーブルプリフィックス「AJS2」を指定して実行した場合
C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools>ajshirdbport -F AJSROOT2 -p 22202 -id _JA3 -tp AJS2 -q [1/12]CREATE SCHEMA SKIP [2/12]CREATE TABLES OK [3/12]SHIFT TABLE UNIT EXPORT OK IMPORT OK [4/12]SHIFT TABLE ARROW EXPORT OK IMPORT OK [5/12]SHIFT TABLE BODY EXPORT OK IMPORT OK [6/12]SHIFT TABLE SCH EXPORT OK IMPORT OK [7/12]SHIFT TABLE CAL EXPORT OK IMPORT OK [8/12]SHIFT TABLE STAT EXPORT OK IMPORT OK [9/12]SHIFT TABLE ENTRY EXPORT OK IMPORT OK [10/12]SHIFT TABLE GEN EXPORT OK IMPORT OK [11/12]SHIFT TABLE PERF EXPORT OK IMPORT OK [12/12]SHIFT CONFIGURATION OK- すでにスケジューラーサービスのデータベースとして使用されている組み込みDBに対して実行した場合(エラーケース)
C:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools>ajshirdbport -F AJSROOT2 -p 22201 -id _JA2 KAVS0936-E スキーマはすでに定義されています
Copyright (C) 2006, 2010, Hitachi, Ltd.
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