8.2.9 実行ホスト(エージェント)へのジョブ実行配信

<この項の構成>
(1) キューに複数接続した実行ホスト(エージェントホスト)へのジョブの配信方法
(2) 実行ホスト(エージェントホスト)の障害検知とジョブの配信について

(1) キューに複数接続した実行ホスト(エージェントホスト)へのジョブの配信方法

ジョブを実行登録すると,いったんジョブ実行制御の管理するキュー(デフォルトキューも含む)に登録されます。キューには,優先順位を指定して複数のエージェントホストを接続することができ,指定された優先順位に従ってエージェントホストへジョブを配信します。

エージェントホストの優先順位は運用に合わせて指定します。エージェントホストの優先順位に差を付けて接続している場合は,優先順位の高いエージェントホストを選択してジョブを配信し,そのエージェントホストのエージェント使用率が100%になると,次に優先順位の高いエージェントホストへジョブを配信します。例えば,優先的に使用するエージェントホストがあり,そのエージェントホストで実行しているジョブが満杯になった場合や,障害状態または停止状態でジョブを実行できない場合に,次の優先順位のエージェントホストを代替としてジョブを実行するような運用を行う場合にはこの方法で接続します。

エージェントホストの優先順位を同一の優先順位で接続している場合は,エージェント使用率のいちばん低いエージェントホストを選択してジョブを配信します。特に優先的に使用するエージェントホストがなく,それぞれのエージェントホストに負荷を分散してジョブを実行する場合はこの方法で接続します。

注※
エージェントホストのジョブの実行多重度に対する実行中ジョブ数の割合で,次に示す計算式を使用し,小数点以下4位まで算出したものです。
エージェント使用率=実行中ジョブ数/ジョブ実行多重度
注意事項
ジョブを配信する際に,優先順位とエージェント使用率が同一のエージェントホストが複数ある場合,デフォルトではエージェントIDの大きいエージェントホストを選択してジョブを配信します。例えば,実行時間が非常に短いジョブを複数実行する場合,ジョブはすぐに終了するためエージェント使用率はあまり上昇しないので,ジョブが配信されていないエージェントホストとエージェント使用率を比較した際に差異が出にくくなります。
その結果,エージェントIDの大きい方に偏ってジョブを配信するため,エージェントIDの大きいエージェントホストで実行するジョブ数が多くなり,システムの使用率に偏りが生じます。このような場合に,エージェントIDの代わりに未使用時間が最も長いエージェントホストを選択してジョブを配信する方式を設定することで,均等に負荷分散を行うことができます。
優先順位の定義方法の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.20 ジョブを配信するエージェントホストの決定方式の設定」または「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.18 ジョブを配信するエージェントホストの決定方式の設定」を参照してください。
注※
エージェントIDはjpqimportコマンドでジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)に指定したものです。また,jpqagtaddコマンドでエージェントホストを追加した場合は,使用していない番号から昇順に付加されます。
jpqagtshowコマンドでエージェントホストの一覧を表示するとエージェントIDの昇順で表示されます。

(2) 実行ホスト(エージェントホスト)の障害検知とジョブの配信について

ジョブの実行ホスト(エージェントホスト)に対して,ジョブの実行を配信する場合で,次のどちらかの状態のとき,正常に動作している実行ホストに対するジョブの配信が,最大15分実施されないことがあります。配信されない間,ジョブはキューイング状態のままです。

この現象が発生した場合,障害が発生している実行ホスト,または停止している実行ホストを起動してください。