11.3.3 JP1/AJS2 - Managerの設定情報のリカバリー

バックアップしたJP1/AJS2 - Managerの設定情報をリカバリーする場合に,必要な作業を次の表に示します。

表11-15 JP1/AJS2 - Managerの設定情報のリカバリーで必要な作業

作業WindowsUNIX
物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
定義ファイルのリカバリー
共有メモリーの情報の消去
スケジューラーサービス用データベースの作成
ジョブ実行環境の作成
ユニット定義のリカバリー
JP1/AJS2の起動(コールドスタート)
JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ
(JP1/AJS2 Console機能を使用する場合だけ)
(凡例)
○:必須
-:対象外

次に,バックアップしたJP1/AJS2 - Managerの設定情報をリカバリーするときに必要な作業について説明します。

<この項の構成>
(1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
(2) 定義ファイルのリカバリー
(3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)
(4) スケジューラーサービス用データベースの作成
(5) ジョブ実行環境の作成
(6) ユニット定義のリカバリー
(7) JP1/AJS2の起動
(8) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ

(1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー

JP1/AJS2 - Managerのセットアップ後に,物理ホスト環境および論理ホスト環境をリカバリーします。リカバリーする場合に必要な設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 3.1.2 JP1/AJS2 - Managerのセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 13.1.2 JP1/AJS2 - Managerのセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。

(2) 定義ファイルのリカバリー

バックアップしたファイルを,元の位置にリカバリーしてください。

注意事項
リカバリーするには,次の条件を満たしていることを確認してください。
  1. JP1/Baseがインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること。
  2. JP1/AJS2がインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること。
  3. 論理ホスト環境をリカバリーする場合は,論理ホスト環境のJP1がセットアップ済みであること。
  4. JP1/BaseとJP1/AJS2が停止していること。
  5. 論理ホストの設定ファイルをリカバリーする場合は,共有ディスクがマウントされていること。

(3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)

JP1/AJS2が動作したときに共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去してください。共有メモリーに情報が残っていると,リカバリーで回復するスケジューラーサービスに影響を与える場合があります。共有メモリーの情報を消去する手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行し,すべてのJP1/AJS2が停止していることを確認する。
    • 物理ホストを確認する場合

      # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status

    • 論理ホストを確認する場合

      # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status -h 論理ホスト名

    • JP1/AJS2のモニター機能を確認する場合

      # ps -ef | grep ajsinetd

    注意事項
    すべてのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止してください。
    なお,JP1/AJS2 Monitorサービスを停止させる場合は,次の形式でコマンドを実行してください。
    # /etc/opt/jp1ajs2/ajsinetd_startstop stop
  2. 次のコマンドを実行して,共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去する。

    # /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel

(4) スケジューラーサービス用データベースの作成

スケジューラーサービス用データベースの作成について,データベースにISAMを使用する場合と組み込みDBを使用する場合に分けて説明します。

なお,スケジューラーサービス用データベースの作成時には,すべてのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止しておいてください。また,UNIXの場合は,「(3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)」を行ってください。

(a) スケジューラーサービスのデータベースにISAMを使用している場合

スケジューラーサービスのデータベースをajssetupコマンドで作成します。

UNIXの場合,jp1ajs2_setupコマンド実行時に「AJSROOT1」,jp1ajs2_setup_clusterコマンド実行時に「AJSROOTn」(nは-nオプションで指定した数値)のスケジューラーサービス用データベースが作成されます。すでにこれらのコマンドを実行済みの場合は,ajssetupコマンドでのデータベースの作成は不要です。ただし,スケジューラーサービスが複数ある場合は自動作成されないため,ajssetupコマンドでデータベースを作成する必要があります。

スケジューラーデータベースにISAMを使用している場合のスケジューラーサービス用データベースの作成手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行して,該当のスケジューラーサービスのデータベースディレクトリにあるISAMファイルを削除する。
    • Windowsの場合
      del 該当のスケジューラーサービスのデータベースフォルダ¥*

    • UNIXの場合
      rm 該当のスケジューラーサービスのデータベースディレクトリ/*

  2. ajssetupコマンドを実行して,スケジューラーサービス用のデータベースを作成する。

    ajssetup -F スケジューラーサービス名 -mh 論理ホスト名

    注※
    物理ホストの場合は,「-mh 論理ホスト名」は指定しません。
  3. サスペンド機能を有効にしている場合は,さらに次のコマンドを実行する。

    ajssetup -F スケジューラーサービス名 -m -mh 論理ホスト名

    注※
    物理ホストの場合は,「-mh 論理ホスト名」は指定しません。

(b) スケジューラーサービスのデータベースに組み込みDBを使用している場合

スケジューラーサービスのデータベースが壊れている場合などは,データベースを再作成する必要があります。ここでは,データベースを再作成する手順について説明します。

  1. ajsembdbunsetコマンドを使用して,組み込みDB環境を消去する。

    ajsembdbunset -e -id 組み込みDBセットアップ識別子

  2. ajsembdbbuildスクリプトで,組み込みDBサーバを構築する。
    ajsembdbbuildスクリプトでの組み込みDBサーバの構築については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 15. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
  3. ISAMで環境を構築する。
    次の手順で,スケジューラーサービスのデータベースをISAMで作成します。
    (1) 該当のスケジューラーサービスの環境設定パラメーターをISAMにする。
    • Windowsの場合
      マネージャー環境設定で,データベース種別を「ISAM」にする。
    • UNIXの場合
      (i) jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
      (ii) 退避ファイル内の該当スケジューラーサービスの環境設定パラメーターAJSDBTYPEをISAMに変更する。
      (iii) jbssetcnf 退避ファイル名
    (2) ISAMデータベースを作成する。
    (a) スケジューラーサービスのデータベースにISAMを使用している場合」を参照し,ISAMデータベースを作成してください。
  4. ajsembdbsetupスクリプトで,組み込みDBサーバ上にJP1/AJS2の環境をセットアップする。
    ajsembdbsetupスクリプトでのJP1/AJS2の環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 15. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。

(5) ジョブ実行環境の作成

リカバリーしたジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使って,ジョブ実行環境を作成します。

なお,ジョブ実行環境の作成時には,対象となる論理ホストのJP1/AJS2サービスを停止しておいてください。

リカバリーの手順を次に示します。

  1. キュー情報データベース格納フォルダのファイルを削除する。
    (a) 物理ホストの場合
    • Windowsの場合

      del JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥jp1ajs2¥database¥queue¥*

    • UNIXの場合

      rm /var/opt/jp1ajs2/database/queue/*

    (b) 論理ホストの場合
    • Windowsの場合

      del 共有フォルダ¥jp1ajs2¥database¥queue¥*

    • UNIXの場合

      rm 共有ディレクトリ/jp1ajs2/database/queue/*

  2. 次のコマンドを実行して,ジョブ実行環境を作成する。

    jpqimport -dt isam -ci jpqsetup.conf  [-mh 論理ホスト名]

    注意事項
    ジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)には,リカバリーしたファイルを使用します。
    論理ホストの定義をリカバリーする場合は,-mhオプションで論理ホスト名を指定します。

(6) ユニット定義のリカバリー

ジョブネットやカレンダーの設定情報のリカバリーに必要な作業について説明します。スケジューラーサービス単位でリカバリーしてください。

注意事項
このリカバリー手順だけ論理ホスト単位ではなく,スケジューラーサービス単位です。スケジューラーサービスごとにリカバリーしてください。
また,このリカバリー手順だけJP1/AJS2 Monitorサービスを起動した状態でリカバリーする必要があります。UNIXでJP1/AJS2 Monitorサービスを起動する場合は,次のコマンドを実行してください。

# /etc/opt/jp1ajs2/ajsinetd_startstop start

(a) ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報をリカバリーする

次のコマンドを実行して,スケジューラーサービスにあるユニットの定義情報をリカバリーします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ただし,ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は次に示す(b),(c)の手順でリカバリーしてください。

ajsdefine -F スケジューラーサービス名 unitbackup.txt

なお,ジョブグループやジョブネット単位に分割してバックアップした場合は,バックアップした単位ごとに,次のコマンドを実行してリカバリーしてください。

ajsdefine -F スケジューラーサービス名 -d 定義先ユニット名 ユニット名_backup.txt

(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする

記録しておいたルートジョブグループの次の情報を設定してください。

(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする

次のコマンドを実行して,バックアップしたルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をリカバリーします。

ajscalendar -F スケジューラーサービス名 -df rootcal.txt /

注意事項
このコマンドは,スケジューラーサービス自身のカレンダーをリカバリーします。
rootcal.txtにカレンダー情報が出力されていなければ,リカバリーは不要です。詳しくは,バックアップの手順を参照してください。

(7) JP1/AJS2の起動

リカバリー後は,コールドスタートでJP1/AJS2サービスを起動してください。

(8) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ

JP1/AJS2 Console機能を使用している場合は,次の作業を実施してください。

注意事項
リカバリーおよびセットアップをするには,次の条件を満たしていることを確認してください。
  • JP1/AJS2 Console Manager,JP1/AJS2 Console Agentを含むJP1/Baseを前提製品とするJP1シリーズのプログラムが停止していること。
  • 論理ホストの設定情報をリカバリーする場合は,共有ディスクがマウントされていること。

(a) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリー

JP1/AJS2 Console用にバックアップしたファイルを元の位置にリカバリーしてください。

(b) JP1/AJS2 Consoleのセットアップ

JP1/AJS2 Console ManagerおよびJP1/AJS2 Console Agentのセットアップをしてください。