3.5.3 組み込みDBを使用する場合
組み込みDBは,信頼性を要求するシステム,扱う情報量の多い大規模なシステムに適したデータベースです。また,障害発生時でもJP1/AJS2の管理情報を確実に保持したい場合に使用します。
JP1/AJS2で使用しているデータベースのうち,組み込みDBに移行できるデータベースは,スケジューラーデータベースです。JP1/AJS2で使用するデータベースについては,「15.14.1 JP1/AJS2のデータベースについて」を参照してください。
ここでは,組み込みDBの特徴について説明します。
- <この項の構成>
- (1) 組み込みDBの長所
- (2) 組み込みDBの短所
- (3) 組み込みDBで使用するディスクについて
- (4) 注意事項
(1) 組み込みDBの長所
組み込みDBの長所を次に示します。
- 障害発生した場合でもJP1/AJS2 - Managerのテーブル間の整合性を保てます。
- 回復時に,組み込みDBが出力する更新履歴情報(システムログ)をバックアップファイルとともに使用することで,バックアップファイル取得以降の更新データも回復できます。
- スケジューラーデータベースに格納されるすべてのテーブルが,バックアップおよび回復の対象になります。ISAMファイルの場合,実行系のテーブルについては,バックアップおよび回復できません。
- スケジューラーデータベースのサイズが,2ギガバイトを超えるような大規模システムでの運用ができます。ISAMファイルの最大サイズは2ギガバイトです。
(2) 組み込みDBの短所
組み込みDBの短所を次に示します。
- スケジューラーデータベースのアクセス性能がISAMファイルより劣ります。
- 組み込みDBの運用時には,各種状態を管理する必要があり,運用が複雑になります。必要な状態管理を次に示します。
- 組み込みDBの稼働状態
- システムログファイルの状態監視
- データ領域の状態監視
データ領域の状態監視については,「15.14.4 組み込みDBデータベースを再編成する」を参照してください。
- 組み込みDBを使用するためには,事前に次に示す操作が必要です。
- 組み込みDBのインストール
- 組み込みDBの環境構築
- スケジューラーデータベースを組み込みDBに移行するためのセットアップ
- 組み込みDBを使用するためには,事前に次に示す組み込みDBの仕様について理解する必要があります。
- 起動および停止方法について
- システムログの運用方法について
- データ領域構造の概念(セグメント,ページ)について
データ領域構造については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 付録B.2 組み込みDBのテーブルのオプションを変更する」を参照してください。
(3) 組み込みDBで使用するディスクについて
組み込みDBで使用する主なディスクを次の図に示します。
図3-38 組み込みDBのディスク構成
![[図データ]](figure/zud03500.gif)
(4) 注意事項
- 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名を,hostsファイルまたはDNSに登録してください。また,クラスタ環境の場合は,実行系の物理ホスト名および論理ホスト名共にhostsファイルまたはDNSに登録してください。
- 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効になりません。
- 組み込みDB環境を構築するホストのホスト名には,エイリアス名を使用しないでください。
- 組み込みDBが稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。したがって,組み込みDB環境を構築するホストは,物理ホスト名および論理ホスト名共に1~32バイトで設定してください。