6.2 冗長化について検討する
この節では,JP1/AJS2で対応している冗長化について説明します。万一の不測の事態に備えるには,バックアップを実施するとともに,システムのある部分を二重化しておくことも有効です。障害が発生しても少ない影響で正常な運用に戻すことができます。JP1/AJS2では,ソフトウェアの冗長化(クラスタシステム)とハードウェアの冗長化(データベース,ネットワーク)に対応しています。
JP1/AJS2でシステムのある部分を冗長化した場合の例を次の図に示します。必要に応じて導入を検討してください。
図6-1 JP1/AJS2でシステムを冗長化した場合の例
![[図データ]](figure/zud06070.gif)
- ソフトウェアの冗長化
- JP1/AJS2では,クラスタシステムに対応しています。クラスタシステムとは,複数のサーバシステムを連携して一つのシステムとして運用するシステムで,障害が発生しても業務を継続できるようになります。
- クラスタシステムについては,OSやクラスタソフトなどのマニュアルを参照してください。また,クラスタシステムでJP1/AJS2を運用しているときの処理の流れについては,「16. クラスタシステムでの運用」を参照してください。
- データベースの冗長化
- JP1/AJS2では,業務の定義情報や実行結果の管理にデータベースを使用しています。JP1/AJS2で使用できるデータベースは,ISAMと組み込みDBです。ISAMにはJP1自身で冗長化する機能はありません。ハードディスクの機能で冗長化を検討してください。例えば,ハードディスクをRAID構成にすることで,冗長化が図れます。また,組み込みDBでは,分散配置したデータベースの内容をほかのデータベースに反映する,レプリケーション機能があります。そのため,障害からデータを保護でき,高信頼性を確保します。このレプリケーション機能は,JP1/AJS2 - Datareplicatorを使用することで実現できます。
- なお,ディスクのレプリケーション機能を使用して冗長化すると,反映元と反映先でデータの反映が遅延するなどによって,レプリケーションが不完全な状態になる場合があります。このため,ディスクのレプリケーション機能を使用しても,反映先のJP1/AJS2の起動は保証できません。JP1/AJS2 - Datareplicatorを使用したレプリケーションで冗長化を図ってください。
- ネットワークの冗長化
- JP1/AJS2では,複数のLANボードを持つサーバ(ホスト)にJP1/AJS2 - Manager,JP1/AJS2 - Agent,またはJP1/AJS2 - Viewをインストールし,そのサーバ(ホスト)から複数のLANに接続してJP1/AJS2を運用するシステム構成に対応しています。
- なお,JP1/AJS2の通信設定は,JP1/Baseの通信設定に従っています。JP1/Baseの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1/Baseの通信方式,およびネットワーク構成に応じたJP1/Baseの通信設定の記述を参照してください。