8.1.4 ジョブネットの実行登録数に関する注意事項
ジョブネットの実行登録数の最大数は,2,147,483,647個ですが,この値は,ディスクやメモリーなどの資源や,実行性能に依存しない場合の論理値です。JP1/AJS2で4,000~5,000個のジョブネットを登録する場合,機能上の問題はありません。しかし,JP1/AJS2でジョブネットおよびジョブを実行する場合,性能面から次に示す点について考慮する必要があります。
- <この項の構成>
- (1) 一つの階層に何千個のジョブネットを定義する場合の注意事項
- (2) 業務設計時のその他の注意事項
(1) 一つの階層に何千個のジョブネットを定義する場合の注意事項
一つの階層に5,000個のジョブネットを定義すると,性能面で問題が発生するおそれがあるので,必要に応じて次の改善策を実施してください。この対応は,実行性能だけでなく,GUIでの監視やコマンドの性能にも効果があります。
- JP1/AJS2のスケジューラーサービスを複数個起動する。
- 配下にあるユニットの数が少ないジョブネットが多数ある場合は,できるだけ一つのジョブネットにまとめるようにする。
- ジョブグループを階層化する。
一つのジョブグループの下にあるジョブネット数は,ネストジョブネットも含めて500個以下を目安にしてください。
- 登録するジョブネットについて次のことに配慮する。
- ルートジョブネットの下に2~3段の階層を設けてください。
- 一つのジョブネットの中に定義するネストジョブネットおよびジョブの数は,最大で50~80程度にしてください。
(2) 業務設計時のその他の注意事項
業務設計時のその他の注意事項に関して次に示します。
- 保存世代数を使用した場合,「保存世代数 * 登録ジョブネット数」で求まる値が,ディスク容量およびリソース管理上で登録されているジョブネット数として扱われます。そのため,ディスク容量などのリソース管理に留意する必要があります。
- ジョブネットが多量に登録できることと,ジョブの同時実行数とは切り離して運用を設計する必要があります。システムリソースや処理性能に留意し,多量のジョブを同時に実行するなど,ジョブの実行量がある時期に集中する運用はしないように業務設計してください。
- 業務の時間帯による分散,または複数CPUでの処理分散などを考慮して運用設計してください。
- ジョブネットを多数定義した場合,ジョブネットの登録方法(一括,分割)と登録時間,起動開始に掛かる時間,コマンドによる一括定義・操作・表示についての性能を考慮して運用設計してください。
- 大量のジョブネットを短時間に実行登録したり,確定実行登録の確定期間に長い期間を指定して実行登録したりした場合,システムへの負荷が一時的に集中して,起動条件成立によって作成される世代の実行開始が遅延することがあります。
大量のジョブネットを実行登録する場合は,実行登録の回数を分けてください。確定実行登録する場合は,確定期間を短くして,システムに負荷が掛からないようにしてください。