5.3.7 ジョブの実行に関するオプションについて検討する

ジョブを実行するときに,オプションとして設定できる項目の検討について説明します。運用する環境に合わせて設定を検討してください。

<この項の構成>
(1) ジョブ実行時のワークパスを変数として定義する
(2) ジョブをロングファイル名で実行させる(Windows限定)
(3) 転送元ファイルの検索パスを定義する
(4) 一つのJP1ユーザーを不特定のOSユーザーに対応づける
(5) エージェントのパイプ通信タイムアウト値を設定する(UNIX限定)

(1) ジョブ実行時のワークパスを変数として定義する

JP1/AJS2のインストール先フォルダがジョブ実行ホストごとに異なる場合,またはジョブ実行ホストでJP1/AJS2のインストール先フォルダが環境変数PATHに定義されていない場合,ジョブ実行ホストでインストール先フォルダを変数として定義すると,インストール先を意識しないでジョブを実行できます。

ジョブとして実行する実行ファイルの保存先が,ある実行ホストではCドライブ,ある実行ホストではDドライブと異なっている環境でJP1/AJS2を運用する場合は,ジョブ実行時のワークパスを変数として定義することをお勧めします。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.1 ジョブ実行時のワークパスを変数として定義する」(Windowsの場合),または「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.1 ジョブ実行時のワークパスを変数として定義する」(UNIXの場合)を参照してください。

(2) ジョブをロングファイル名で実行させる(Windows限定)

ジョブ実行時,ジョブの実行ファイルの名称は,通常,NTFS(NT File System)およびFAT(File Allocation Table)ボリューム上のファイル用に生成されたショートファイル名に変換されます。ジョブの実行ファイルをショートファイル名に変換しないでロングファイル名で実行したい場合は,このオプションを有効にすることをお勧めします。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.2 ジョブをロングファイル名で実行するための設定」を参照してください。

(3) 転送元ファイルの検索パスを定義する

JP1/AJS2では,ジョブを実行するために必要なテキストファイルをマネージャーホストからエージェントホストに転送して,ジョブを実行できます。例えば,転送ファイルには,実行ファイルの環境(パスなど)を定義した設定ファイル(.iniファイル)などを転送できます。

マネージャーホストからエージェントホストに転送するファイル名を指定する場合,あらかじめ検索するパスを定義しておけば,そのパスに転送するファイルがあるかを探し,あればそのファイルが転送ファイルになります。

転送するファイルのパスを省略して定義したい運用をする場合に,このオプションを有効にすることをお勧めします。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.3 転送元ファイルの検索パスを定義する」(Windowsの場合),または「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.2 転送元ファイルの検索パスを定義する」(UNIXの場合)を参照してください。

(4) 一つのJP1ユーザーを不特定のOSユーザーに対応づける

JP1/AJS2では,JP1ユーザーというユーザー名を使って権限を管理しています。OSユーザー(実行ユーザー)をJP1ユーザーにマッピングすれば,ユーザーマッピングに設定されているホスト以外からの要求を受け付けないようにしています。

JP1/AJS2のこのユーザー管理では,OSユーザーごとにOSユーザーをJP1ユーザーにマッピングしなければならないため,不特定のOSユーザーがJP1/AJS2を使用することを目的とした場合,運用に負荷が掛かる場合があります。

このような運用負荷を軽減するために,一つのJP1ユーザーを不特定のOSユーザーで使用できるように設定しておきます(JP1仮定ユーザーに設定しておきます)。こうしておくと,JP1ユーザーにマッピングされていないOSユーザーでも,JP1仮定ユーザーの権限を使ってJP1/AJS2を操作できます。

次に示すJP1ユーザー仮定機能の注意事項を参考にして,このオプションを設定してください。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.4 JP1ユーザー仮定機能の設定」(Windowsの場合),または「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.3 JP1ユーザー仮定機能の設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(5) エージェントのパイプ通信タイムアウト値を設定する(UNIX限定)

ジョブ実行制御のエージェントプロセス間通信でパイプ通信のタイムアウトエラーが発生することがあります。その原因として,次のことが考えられます。

これらの発生条件が解消されずにパイプ通信のタイムアウトエラーが頻繁に発生するような状況が考えられる場合は,エージェントプロセスが実行されるホスト上のパイプ通信タイムアウト時間を長めに変更して運用することをお勧めします。

注意
パイプ通信タイムアウト時間に長い時間を設定すると,ジョブの障害検知が遅くなることがありますので注意してください。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.4 エージェントのパイプ通信タイムアウト値の変更」を参照してください。