8.1.19 ジョブ実行多重度に関する注意事項

JP1/AJS2では,エージェントホストで同時に実行できるジョブ数の最大値としてジョブ実行多重度を設定できます。ジョブ実行多重度に設定した値以上のジョブをエージェントホストで同時に実行しようとした場合,ジョブは実行待ち状態となります。ジョブ実行多重度を設定することによって,時間帯を分けてジョブ数を制限して負荷を分散させたり,キューに複数のエージェントホストを接続している場合に複数のエージェントに負荷を分散させたりして運用することができます。

ジョブ実行多重度はエージェント単位に指定します。キュー単位では指定できません。

<この項の構成>
(1) ジョブ実行多重度設定時の注意事項
(2) ジョブのキューイング状態が続く場合にジョブ実行多重度に達しているかを確認する

(1) ジョブ実行多重度設定時の注意事項

ジョブ実行多重度は,ジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)のエージェントホストの定義を定義してjpqimportコマンドで設定するか,またはjpqagtaddコマンド,jpqagtaltコマンドで設定,または変更できます。現在のジョブ実行多重度は,jpqagtshowコマンドで確認できます。ジョブ実行環境構成定義ファイルのジョブ実行多重度には,あらかじめ,24時間「5」がデフォルトで定義されています。このジョブ実行環境構成定義ファイルに新たなエージェント定義を追加するときに,この属性をデフォルトのまま使用した場合は,追加したエージェントホストにもジョブ実行多重度に24時間「5」が設定されます。

ジョブ実行多重度で同時実行数が制限されるジョブは,標準ジョブ(UNIXジョブ,PCジョブ,およびQUEUEジョブ),アクションジョブ,およびカスタムジョブです。

デフォルトの設定で運用する場合,実行時間の短いジョブや同時に実行登録するジョブ数が少ない場合は影響はありませんが,実行時間の長いジョブや,同時に実行登録するジョブ数が多い場合に,実行中のジョブ数がジョブ実行多重度に達しやすく,ジョブ実行多重度に達している時間が長いことによって,後続のジョブの実行に影響を及ぼすおそれがあります。

エージェントホストで実行中のジョブ数がジョブ実行多重度に達している間,後続のジョブはエージェントで実行中のジョブが終了するまでキューイングの状態で待機します。このような場合,予想以上にジョブの実行時間が長く掛かることになりますので,ジョブの実行時間,単位時間当たりのジョブ実行数を考慮したジョブ実行多重度を設定するようにしてください。

(2) ジョブのキューイング状態が続く場合にジョブ実行多重度に達しているかを確認する

エージェントホストで実行中のジョブ数が,ジョブ実行多重度に達しているために後続のジョブの状態がキューイングのままとなり,ジョブが実行されるまでに時間が掛かることがあります。現在実行中のジョブ数がジョブ実行多重度に達しているかを確認するには,jpqagtshowコマンドを実行し,現在実行中のジョブ数(EXECUTING)と,ジョブ実行多重度(CUREXECHGNUM)を確認してください。jpqagtshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jpqagtshow」を参照してください。

また,ジョブ実行多重度に達しているためにジョブが実行できない場合,次に示すメッセージを統合トレースログに出力するようにあらかじめ設定しておくことで,ジョブの実行に時間が掛かった要因がジョブ実行多重度到達であるかどうかを確認できます。

KAVU4310-I エージェント(エージェントホスト名)で実行中のジョブ数がジョブ実行多重度(ジョブ実行多重度)に達しています(ホスト名:ホスト名,ジョブ番号:ジョブ番号

設定方法の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.27 ジョブ実行多重度到達を確認するメッセージを出力する設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.25 ジョブ実行多重度到達を確認するメッセージを出力する設定」(UNIXの場合)を参照してください。