JP1/AJS2を起動すると,複数のプロセスが生成されます。JP1/AJS2 - ManagerおよびJP1/AJS2 - Agentでは,あらかじめ再起動の設定をしておくことで,何らかの理由でプロセスが異常終了した場合に自動でプロセスを再起動できます。
なお,ここで説明する再起動の設定は,クラスタ運用ではないJP1/AJS2の再起動を目的としています。クラスタ運用の場合で再起動したいときは,クラスタソフトの制御によって再起動するようにしてください。詳細については,「16.1 クラスタシステムの概要」を参照してください。
再起動の設定対象となるのは,次に示す,JP1/AJS2 - Manager,JP1/AJS2 - AgentのJP1/AJS2サービスの子プロセスだけです。
上記プロセスの再起動の設定は,拡張起動プロセス定義ファイルで定義します。デフォルトでは再起動の設定は無効となっています。設定を有効にするには,拡張起動プロセス定義ファイルの編集後,JP1/BaseおよびJP1/AJS2を再起動してください。また,Windowsの場合は「ワトソン博士」の設定を変更する必要があります。「ワトソン博士」の設定の変更方法については,「(1) ワトソン博士の設定を変更する」を参照してください。
拡張起動プロセス定義ファイルの格納先を次に示します。
定義ファイルの形式を次に示します。
プロセス名|パス|起動オプション|再起動可否|再起動回数|リトライ間隔|再起動回数リセット時間|
定義ファイルには,あらかじめ定義情報が記載されています。プロセス名,パス,起動オプションのフィールドは変更しないでください。また,フィールドを区切っている|は省略できません。コメント文を挿入したい場合は,行頭に#を付けてください。改行されるまでがコメント文です。
変更できるフィールドに指定できる値を次の表に示します。
表15-23 変更できるフィールドに指定できる値
フィールド名 | 内容 |
---|---|
再起動可否 | プロセスが異常終了した場合に,再起動するかどうかを指定します。再起動しない場合は0,再起動する場合は1を指定します。デフォルトは0です。 |
再起動回数 | プロセスの再起動の試行回数を指定します。指定できる値は,0~99です。各プロセスで,あらかじめ最適値が設定されています。運用方法に応じてカスタマイズしてください。再起動可否のフィールドに0が指定されている場合は,値が指定されていても無効です。 |
リトライ間隔 | プロセスの再起動のリトライ間隔を秒単位で指定します。指定できる値は,0~3,600です。各プロセスで,あらかじめ最適値が設定されています。運用方法に応じてカスタマイズしてください。再起動可否のフィールドに0が指定されている場合は,値が指定されていても無効です。 |
再起動回数リセット時間 | 再起動によってプロセスが起動してから,何時間後に再起動回数をリセットするかを秒単位で指定します。プロセスが起動してから,指定した時間が経過すると,再起動回数がリセットされます。再度プロセスが異常終了した場合は,再起動回数が1からカウントされます。 再起動によってプロセスが起動してから,指定した時間より前に再度異常終了した場合は,前回の再起動回数を引き継ぎます。指定できる値は,3,600~2,147,483,647(秒)です。各プロセスで,あらかじめ最適値が設定されています。運用方法に応じてカスタマイズしてください。再起動可否のフィールドに0が指定されている場合は,値が指定されていても無効です。 |
フィールド名「再起動可否」については,すべての子プロセスに対して同じ値を設定してください。「再起動可否」の設定ごとの子プロセスの動作を次に示します。
表15-24 各子プロセスが異常終了した場合の各子プロセスの状態(再起動しない場合)
子プロセス | 再起動可否 | jpqmonの異常終了後 | jpomanagerの異常終了後 | jpoagentの異常終了後 | ajsmasterdの異常終了後 | ajsgwmasterdの異常終了後 |
---|---|---|---|---|---|---|
jpqmon | 0 | 停止 | 残存 | 残存 | 残存 | 残存 |
jpomanager | 0 | 停止 | 停止 | 残存 | 残存 | 残存 |
jpoagent | 0 | 停止 | 停止 | 停止 | 残存 | 残存 |
ajsmasterd | 0 | 停止 | 停止 | 停止 | 停止 | 残存 |
ajsgwmasterd | 0 | 残存 | 残存 | 残存 | 残存 | 停止 |
表15-25 各子プロセスが異常終了した場合の各子プロセスの状態(再起動する場合)
子プロセス | 再起動可否 | jpqmonの異常終了後 | jpomanagerの異常終了後 | jpoagentの異常終了後 | ajsmasterdの異常終了後 | ajsgwmasterdの異常終了後 |
---|---|---|---|---|---|---|
jpqmon | 1 | 再起動 | 残存 | 残存 | 残存 | 残存 |
jpomanager | 1 | 再起動 | 再起動 | 残存 | 残存 | 残存 |
jpoagent | 1 | 再起動 | 再起動 | 再起動 | 残存 | 残存 |
ajsmasterd | 1 | 再起動 | 再起動 | 再起動 | 再起動 | 残存 |
ajsgwmasterd | 1 | 残存 | 残存 | 残存 | 残存 | 再起動 |
(1) ワトソン博士の設定を変更する
Windowsの場合は,プロセスを自動で再起動するときにワトソン博士でアプリケーションエラーになり,メッセージボックスが表示されます。メッセージボックスが表示されると再起動が有効にならないため,メッセージボックスによるエラーの通知を抑止する必要があります。
メッセージボックスによるエラーの通知を抑止すると,ほかのアプリケーションエラー時にもメッセージボックスが表示されなくなるため注意してください。
ワトソン博士の設定の変更手順を次に示します。
(2) 設定例
拡張起動プロセス定義ファイルの設定例と,プロセスが異常終了した場合の動作を次に示します。
ここでは,JP1/AJS2のプロセスに対して次の条件を設定します。
再起動可否:する
再起動回数:4回
リトライ間隔:3秒
再起動回数リセット時間:3,600秒
図15-4 拡張起動プロセス定義ファイルの設定例
プロセスが異常終了した場合の動作例を次の図に示します。
図15-5 プロセスが異常終了した場合の動作例
図の例では,再起動後,再起動回数のリセット時間で指定した3,600秒以内に異常終了しなかった場合,3,600秒の時点で再起動回数がリセットされます。次回異常終了したときには1回目からカウントされます。一方,再起動後,3,600秒以内に異常終了した場合は,再起動回数を引き継ぎます。再起動回数が,指定した回数に達すると,次回異常終了時には再起動しません。