5.6.1 システムで使用する言語種別を検討する
国内版JP1/AJS2では,出力されるメッセージを日本語または英語で表示できます。日本語を使用する国内版JP1/AJS2と英語を使用する国内版JP1/AJS2を組み合わせて運用したり,国内版JP1/AJS2と海外版JP1/AJS2を組み合わせて運用したりすることもできます。どの言語でメッセージを表示するかは,運用に合わせて検討してください。なお,海外版JP1/AJS2で出力されるメッセージは,英語だけです。
国内版/海外版のJP1/AJS2製品を混在環境で使用する場合,組み合わせによるサポート可否を次の表に示します。
表5-37 JP1/AJS2製品を混在環境で使用する場合の組み合わせによるサポート可否
| JP1/AJS2 - View | JP1/AJS2 - Agent |
---|
国内版 | 海外版 | 国内版 | 海外版 |
---|
日本語 | 英語 | 英語 | 日本語 | 英語 | 英語 |
---|
JP1/AJS2 - Manager | 国内版 | 日本語 | ○ | × | × | ○ | △2※1,※3 | ○※1 |
英語 | △1※1,※2 | × | △1※2 | × | △1※2,△2※3 | △1※2 |
海外版 | 英語 | ○※1 | × | ○ | × | △2※3 | ○ |
- (凡例)
- ○:サポートしている
- △1:JP1/AJS2 - ManagerがUNIXの場合だけサポートしている
- △2:JP1/AJS2 - AgentがUNIXの場合だけサポートしている
- ×:サポートしていない
- 注※1
- JP1/AJS2のユニット名,ファイル名,ファイル内で使用する文字,実行するジョブ内のメッセージ,実行するイベントジョブの監視条件,イベントジョブの引き継ぎ情報など,すべての文字・情報を英数字(ASCII)で統一してください。
- 注※2
- JP1/AJS2 - ManagerのJP1/AJS2サービス起動時の環境変数LANGに「C」(英語)を設定してください。
- 注※3
- JP1/AJS2 - AgentのJP1/AJS2サービス起動時の環境変数LANGに「C」(英語)を設定してください。
- <この項の構成>
- (1) 使用できる環境変数LANG
- (2) 使用できる文字の範囲
- (3) 文字コード種別の変更
- (4) 文字コード種別混在時の注意事項
- (5) UTF-8コード使用時の注意事項
(1) 使用できる環境変数LANG
UNIXの場合,システムの言語環境を設定するには,環境変数LANGに値を設定します。使用できる環境変数LANGの値を,次の表に示します。この表の中から使用する値を検討してください。この表に示した値を指定しなかった場合,「C」(英語)が仮定されます。また,Unicode(UTF-8)をサポートしていない製品で環境変数LANGにUnicode(UTF-8)が設定されている場合の動作は保証できません。なお,Windowsの場合,システムの言語環境は変更できません。
表5-38 使用できる環境変数LANG
OS | 言語種別 | 文字コード種別 | 環境変数LANGの値 |
---|
HP-UX | 日本語 | シフトJISコード | |
EUCコード | |
英語 | ASCIIコード | |
Solaris | 日本語 | シフトJISコード | |
EUCコード | |
英語 | ASCIIコード | |
AIX | 日本語 | シフトJISコード | |
EUCコード | |
英語 | ASCIIコード | |
Linux | 日本語 | シフトJISコード | 使用できません。 |
EUCコード | 使用できません。 |
UTF-8コード | |
英語 | ASCIIコード | |
- 注※
- この項目は,JP1/AJS2の新規のインストール時および新規のセットアップ時にjp1ajs_env.confに設定されている値です。文字コード種別の設定個所については,「(3)文字コード種別の変更」を参照してください。
(2) 使用できる文字の範囲
JP1/AJS2は,言語種別が日本語の場合,次の範囲の文字を使用できます。
- ASCII/JISローマ字
- 半角かたかな
- JIS X 0208-1990
なお,JIS 2004で追加された第3水準漢字,第4水準漢字は使用できません。
また,次に示す文字コード種別では,使用できない文字があります。
- 文字コード種別がSJISコード・EUCコード・UTF-8コードの場合
外字・機種依存文字は使用できません。
- 文字コード種別がEUCコードの場合
JP1/AJS2 - Managerの文字コード種別がEUCコードで運用されている場合,次に示す文字は使用できません。
![[図データ]](figure/zud05040.gif)
- 文字コード種別がUTF-8コードの場合
JP1/AJS2 - Managerの文字コード種別がUTF-8コードで運用されている場合,次に示す文字は使用できません。
![[図データ]](figure/zud05050.gif)
サポート範囲外の文字をユニット名などの定義項目で使用した場合,次の現象が発生するおそれがあります。サポート範囲外の文字はスタンドアロン構成の場合も使用できません。
- 文字化け
- 標準ジョブの異常検出終了,誤動作
- イベントジョブの異常検出終了,検知不能,誤検知
- JP1/AJS2プロセスの異常終了
また,次のデータやファイルにサポート範囲外の文字が入らないようにしてください。サポート範囲外の文字列が含まれている場合,定義項目で使用した場合と同様の現象が発生するおそれがあります。
- 引き継ぎ情報に格納したデータ※1
- 標準エラー出力や標準出力に出力するデータ※2
- 標準入力ファイル,環境変数ファイル,または転送ファイル※3
- メール送信で指定する本文ファイルやリストファイル※4
- 注※1
- イベントジョブ定義時に「引き継ぎ情報」を設定しておき,イベントジョブで受信したイベント情報を後続ジョブまたは後続ジョブネットに引き継ぐ場合です。イベントジョブの受信情報の引き継ぎについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 解説 3.2.4(6) イベントジョブの受信情報の引き継ぎ」を参照してください。
- 注※2
- PCジョブやUNIXジョブで指定したジョブの実行結果に含まれている場合です。標準エラー出力や標準出力については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.4.7 [詳細定義-[UNIX Job]]ダイアログボックス」または「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.4.8 [詳細定義-[PC Job]]ダイアログボックス」を参照してください。
- 注※3
- PCジョブやUNIXジョブで指定する場合です。標準入力ファイル,環境変数ファイル,または転送ファイルについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.4.7 [詳細定義-[UNIX Job]]ダイアログボックス」または「JP1/Automatic Job Management System 2 操作ガイド 13.4.8 [詳細定義-[PC Job]]ダイアログボックス」を参照してください。
- 注※4
- 定義項目のプラットフォームがPCの場合です。メール連携については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 2. メールシステムとの連携」を参照してください。
(3) 文字コード種別の変更
UNIXの場合,次の表で示す定義ファイル,環境変数,および環境設定パラメーターに,同一の文字コード種別を設定する必要があります。
表5-39 文字コード種別を変更する場合の設定個所
設定個所(定義ファイル,環境変数,および環境設定パラメーター) | 設定が影響する範囲 |
---|
- JP1/AJS2環境定義ファイル
- 物理ホストの場合
/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_env.conf
- 論理ホストの場合
共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jp1ajs_env.confの環境変数LANG
| - JP1/AJS2サービス起動時の環境変数LANGの値。
- スケジュール制御,イベント・アクション制御,およびジョブ実行制御が,統合トレースログと内部ログへ出力する情報の文字コード種別。
- ユーザープロファイルに環境変数LANGの指定がない場合,ジョブ実行時のデフォルトの環境変数LANGの値。
|
- JP1/Baseパラメーター定義ファイル
- 物理ホストの場合
/etc/opt/jp1base/conf/jp1bs_param.conf
- 論理ホストの場合
共有ディレクトリ/jp1base/conf/jp1bs_param.confの環境変数LANG
| - 標準ジョブ,アクションジョブ,カスタムジョブ,およびイベントジョブの実行時に,JP1/AJS2のマネージャーホスト・エージェントホスト間で送受信されるデータの文字コード種別。
- ジョブネットコネクタを使用してルートジョブネットの実行順序を制御するときに,ジョブネットコネクタと接続先のジョブネットの間で送受信されるデータの文字コード種別。
|
スケジューラーサービス環境定義ファイル(Schedule.conf)のAJSCHARCODEパラメーター | スケジューラーデータベースに格納される情報の文字コード種別。 |
スケジューラーサービス環境定義ファイル(Schedule.conf)のSYSLOGCODEパラメーター | - スケジューラーサービスがSYSLOGに出力するメッセージの文字コード種別。
- 「C」(英語)以外を指定した場合,サービス起動時の環境変数LANGの文字コード種別が適用。
|
JP1/AJS2 Monitorサービス起動時の環境変数LANG | JP1/AJS2 Monitorサービスから出力されるメッセージの文字コード種別。 |
JP1/AJS2 Console Manager環境定義ファイル(ajs2cm.conf)のCHARCODEパラメーター | ユーザー定義データに格納される情報の文字コード種別。 |
JP1/AJS2 Console Manager環境定義ファイル(ajs2cm.conf)のSYSLOGCODEパラメーター | - JP1/AJS2 Console ManagerサービスがSYSLOGに出力するメッセージの文字コード種別。
- 「C」(英語)以外を指定した場合,サービス起動時の環境変数LANGの文字コード種別が適用。
|
JP1/AJS2 Console Managerサービス起動時の環境変数LANG | JP1/AJS2 Console Managerサービスが出力するメッセージの文字コード種別。 |
JP1/AJS2 Console Agent環境定義ファイル(ajs2ca.conf)のSYSLOGCODEパラメーター | - JP1/AJS2 Console AgentサービスがSYSLOGに出力するメッセージの文字コード種別。
- 「C」(英語)以外を指定した場合,サービス起動時の環境変数LANGの文字コード種別が適用。
|
JP1/AJS2 Console Agentサービス起動時の環境変数LANG | JP1/AJS2 Console Agentサービスが出力するメッセージの文字コード種別。 |
キューレスエージェントサービス起動時の環境変数LANG | キューレスエージェントサービスが出力するメッセージの文字コード種別。 |
キューレスジョブ実行環境設定の環境設定パラメーターAJSQL_CHARCODE※1 | - スケジューラーサービスから受け付けたデータ。
- 転送ファイルデータ。
- 結果ファイルデータ。
- スケジューラーサービスへの返信データ。
|
ジョブネットワーク要素を操作するコマンド※2実行時の環境変数LANG※3 | - ジョブネットワーク要素を操作するコマンドがスケジューラーデータベースに格納する値。
- ジョブネットワーク要素を操作するコマンドが出力するログおよびメッセージの文字コード種別。
|
- 注※1
- マネージャーホストとエージェントホストで文字コードが混在している場合,文字コード変換のため,環境設定パラメーターAJSQL_CHARCODEの設定が必要です。キューレスジョブの文字コード変換の詳細については,「5.3.4 キューレスジョブ実行環境に関する環境設定について検討する」を参照してください。
- 注※2
- ジョブネットワーク要素を操作するコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド コマンド一覧」を参照してください。
- 注※3
- コマンドの実行対象ユニットが定義されているスケジューラーサービスの環境設定パラメーターAJSCHARCODEの設定と同じ文字コード種別を設定してください。
標準と異なる文字コード種別に変更する場合,設定が影響する範囲を次の図に示します。
図5-6 文字コード種別の変更時の影響範囲
![[図データ]](figure/zud05030.gif)
システムの言語環境を設定する手順については,次の記述個所を参照してください。なお,すでにJP1/AJS2で運用しているユニット名にかな文字や2バイト文字を使用している場合は,ユニット名を再定義する必要があります。
- Windowsの場合
- システムの言語環境は変更できません。
- UNIXの場合
- マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 13.4.1 言語環境の設定」
(4) 文字コード種別混在時の注意事項
ホスト間で連携して業務を運用する場合,日本語を含むテキストを英語環境で表示することはできません。言語種別を合わせて運用してください。各製品で組み合わせられる言語種別については,表5-37を参照してください。
また,日本語の文字コード種別が混在する場合,次の制限があります。
- コマンドのリモート実行
コマンドをリモート実行する場合,コマンド投入元の文字コード種別と,コマンド実行先の文字コードを合わせてください。
また,コマンド実行先の文字コードがUTF-8コードの場合,コマンド投入元の文字コードをEUCコードに設定することで,コマンドをリモート実行できます。
コマンドのリモート実行については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド」を参照してください。
コマンド投入元の文字コード種別とは,コマンド投入時の,環境変数LANGなどのOS上で設定した文字コード種別です。
コマンド実行先の文字コード種別とは,次のことを示します。
- [マネージャー環境設定]ダイアログボックスの[論理ホスト共通]タブの[文字コード種別]で指定した内容(Windowsの場合)
- スケジューラーサービス環境設定ファイル(Schedule.conf)のAJSCHARCODEパラメーターに指定した文字コード種別(UNIXの場合)
- JP1/AJS2 Monitorサービス起動時のOS上の設定
- リモートジョブネット
リモートジョブネットを実行する場合,リモートジョブネット定義元の文字コード種別と,リモートジョブネット実行先の文字コード種別を合わせてください。
リモートジョブネット定義元の文字コード,およびリモートジョブネット定義先の文字コードとは,次のことを示します。
- それぞれのホストの[マネージャー環境設定]ダイアログボックスの[論理ホスト共通]タブの[文字コード種別]で指定した内容(Windowsの場合)
- それぞれのホストでスケジューラーサービス環境設定ファイル(Schedule.conf)のAJSCHARCODEパラメーターに指定した文字コード種別(UNIXの場合)
- JP1/AJS2 Monitorサービス起動時のOS上の設定
- UNIXジョブ・アクションジョブ・イベントジョブ
JP1/AJS2 - Viewやコマンドで,UTF-8環境のエージェントで実行するジョブの各項目に日本語を含める場合には,日本語1文字当たり4バイトで見積もり,各項目の制限値以内になるように定義してください。
マネージャーがシフトJISまたはEUC環境,エージェントがUTF-8環境のシステム構成で,UNIXジョブ・アクションジョブ・イベントジョブを実行する場合,ジョブに定義した情報サイズは,ジョブを実行時にエージェントの文字コードに変換したあとのバイト数でチェックします。その結果,JP1/AJS2 - Viewやコマンドでジョブの各項目に入力できるバイト数以内の定義をした場合でも,ジョブ実行時にエラーが発生する場合があります。
- イベントジョブ
イベントジョブの引き継ぎ情報は,エージェント側で,マクロ変数名と引き継ぎ情報のサイズの合計が4,096バイトを超えた部分の情報を切り捨てます。
UTF-8環境で日本語を含む情報を引き継ぐ場合は,日本語1文字当たり4バイトで見積もってください。
また,UTF-8ロケール環境から発行されたJP1イベントをUTF-8未対応のJP1/AJS2で受信する場合は,JP1/Baseを文字コード互換モードで動作するように設定してください。文字コード互換モードを使用しない場合,JP1イベントを正しく検知できないなどの問題が発生するおそれがあります。
文字コード互換モードについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- ジョブの実行に使用するコマンド
シフトJISまたはEUC環境のホストからUTF-8環境のマネージャーに対してコマンドを実行した場合,コマンド実行ホスト上ではオプション指定値が制限バイト数を超えていなくても,マネージャーでエラーが発生することがあります。これは,コマンド実行ホストからマネージャーへデータ転送する際の文字コード変換で,日本語を含むオプション指定値のバイト数が大きくなるためです。
そのため,UTF-8環境のマネージャーに対してコマンドを実行する際にオプション指定値に日本語を含める場合は,日本語1文字を4バイトに換算して見積もり,各オプション指定値の制限バイト数以内になるように指定してください。
- 該当コマンド:
- jpqjobsub,jpqjobcan,jpqjobalt,jpqjobmove,jpqjobget,jpqjobshow,jpqendjobshow,jpqjobdel,jpqqueopen,jpqqueclose,jpqqueshow,jpqqueadd,jpqquedel,jpqquealt,jpqagtlink,jpqagtunlink,jpqagtshow,jpqagtadd,jpqagtdel,jpqagtalt,jpqresshow,jpqresadd,jpqresdel
(5) UTF-8コード使用時の注意事項
- UTF-8コードを使用しているホストからコマンドをリモート実行する際,実行先ホストの文字コード種別(AJSCHARCODE)もUTF-8コードである場合は,環境変数AJSCONVERTUTF8に「no」を指定する必要があります。環境変数AJSCONVERTUTF8を指定しない,または「yes」でコマンドをリモート実行した場合,表示結果に文字化けが発生したり,ユニットに対する処理が正しく行われなかったりします。
環境変数AJSCONVERTUTF8については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド 環境変数一覧」を参照してください。
- UTF-8環境で使用できる文字は,「(2) 使用できる文字の範囲」を参照してください。
- UTF-8コードを使用しているマネージャーホストから,UTF-8コードに対応していないエージェントホストにキューレスジョブを実行する場合は,マネージャーホストで環境設定パラメーターQLMANCHARCODEの設定が必要です。QLMANCHARCODEの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.4.2 キューレスジョブ実行環境設定ファイルの環境設定パラメーター一覧」を参照してください。