15.13.1 JP1/AJS2が動作しているホスト名称を変更する
JP1/AJS2が動作しているホストの名称を変更する手順を,JP1/AJS2 - Managerの場合と,JP1/AJS2 - Agentの場合とに分けて説明します。
- <この項の構成>
- (1) ホスト名変更に関する注意事項
- (2) JP1/AJS2 - Managerのホスト名を変更する
- (3) JP1/AJS2 - Agentのホスト名を変更する
- (4) JP1/AJS2の運用を停止しないでエージェントホスト名を変更する
(1) ホスト名変更に関する注意事項
- ホスト名変更前に,メッセージなどで変更前のホスト名が使用されていても,JP1/AJS2の動作には影響ありません。ただし,ユーザープログラムでログファイルなどを参照している場合は,注意してください。
- ホスト名変更後に,ホスト名変更前に実行されたジョブの詳細結果を表示した場合,実行先ホスト名に変更前のホスト名が表示されますが,JP1/AJS2の動作には影響ありません。
- JP1/AJS2内で,FQDN形式でホスト名を定義せずに,ネットワーク環境のドメイン名だけを変更した場合には,この項で説明している操作(ホスト名変更手順)の必要はありません。ただし,JP1/Baseの認証サーバ名をFQDN形式で指定している場合には,「(2) JP1/AJS2 - Managerのホスト名を変更する」の手順7に従ってユーザーマッピングの設定を変更する必要があります。
(2) JP1/AJS2 - Managerのホスト名を変更する
JP1/AJS2 - Managerのホスト名を変更する手順は次のとおりです。
- 事前準備
- リモートジョブネットを使用している場合は,ホスト名変更前に,リモートジョブネットの実行登録を解除しておく。
- イベントジョブを実行している場合は,イベントジョブを実行しているエージェントホストのJP1/AJS2をすべて停止しておく。
- JP1/AJS2 - Viewをログアウトする。
ホスト名を変更するマネージャーホストと同一のホストでJP1/AJS2 - Viewを起動している場合は,JP1/AJS2 - Viewからログアウトしてください。
- スケジューラーデータベースを組み込みDBに移行している場合は,ajsprintコマンドを実行して,ジョブネットの定義をバックアップする。
ここで取得したバックアップは,手順11で使用します。
バックアップの方法については,「11.2.2(3) ユニット定義のバックアップ」を参照してください。
- マネージャーホストのJP1/AJS2サービス,およびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止する。
- jpqexportコマンドを実行して,ジョブ実行環境の定義をバックアップする。
ここで取得したバックアップは,手順6で使用します。
バックアップの方法については,「11.2.2(2) ジョブ実行環境定義のバックアップ」を参照してください。
- マネージャーホストの物理ホストのホスト名,または論理ホスト名を変更する。
マネージャーホストのホスト名を変更してください。物理ホストのホスト名を変更する場合には,ホスト名を変更してください。
また,クラスタシステムを運用している場合で,かつ論理ホスト名を変更したときは,変更前の論理ホスト名を削除し,変更後の論理ホスト名に対して,クラスタ運用ができるように再セットアップしてください。
- Windowsの場合
- 論理ホスト名の削除方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 9.4.6 論理ホストの削除」を参照してください。
- クラスタシステムのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 9. クラスタシステム運用時のセットアップ」を参照してください。
- UNIXの場合
- 論理ホスト名の削除方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 18.4.6 論理ホストの削除」を参照してください。
- クラスタシステムのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 18. クラスタシステム運用時のセットアップ」を参照してください。
- マネージャーホストでjpqimportコマンドを実行して,削除したジョブ実行環境の構成定義を再作成する。
ジョブ実行環境を再作成する方法については,「11.3.3(5) ジョブ実行環境の作成」を参照してください。なお,論理ホストの場合,手順5で再作成しているためこの手順は不要です。
- スケジューラーデータベースを組み込みDBに移行している場合は,組み込みDB環境を再セットアップする。
再セットアップの手順を次に示します。
- Windowsの場合
- マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 5.2.5 組み込みDBの再セットアップ」の手順3から手順7までを実施してください。
- UNIXの場合
- マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 15.2.5 組み込みDBの再セットアップ」に示した手順3から手順6までを実施してください。
- 名称を変更しようとしているホストを認証サーバ(JP1/Baseの機能)としても使用している場合は,ユーザーマッピングの設定を変更する。
- Windowsの場合
- [JP1/Base環境設定]ダイアログボックスの[ユーザーマッピング]タブで[JP1ユーザー]の[サーバホスト名]に定義しているホスト名を,変更後の名称に変更します。
- UNIXの場合
- ユーザーマッピング定義ファイル(jp1BsUmap.conf)に定義しているホスト名を,変更後の名称に変更します。そのあと,jbsmkumapコマンドを実行します。
ユーザーマッピングの詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
イベントジョブを使用している場合は,手順9に進んでください。使用していない場合は,手順10に進んでください。
- イベントジョブを使用している場合は,イベントジョブを実行しているエージェントホストおよびマネージャーホスト(自ホストを含む)上で,jpoagoecコマンドを実行し,エージェントホストをコールドスタートする。
名称を変更しようとしているマネージャーホストから依頼を受けてイベントジョブを実行しているすべてのホストで,jpoagoecコマンドを実行してください。コマンド実行手順は次のとおりです(手順は,ManagerHostBをManagerHostCに変更する場合を例に説明します)。
- 「jpoagoec -p」コマンドを実行し,現在,イベント・アクションエージェント機能が記憶しているマネージャーホスト名を確認します。
(表示例)
ManagerHostA
ManagerHostB
- 「jpoagoec -d ManagerHostB」コマンドを実行し,ホスト名変更前のマネージャーホスト名を削除します。
- 「jpoagoec -a ManagerHostC」コマンドを実行し,ホスト名変更後のマネージャーホスト名を追加します。
- 「jpoagoec -p」コマンドを実行し,マネージャーホスト名が追加されたことを確認します。
(表示例)
ManagerHostA
ManagerHostC
- エージェントホストをコールドスタートします。
Windowsの場合
コントロールパネルの[管理ツール]をダブルクリックします。
表示される[管理ツール]ダイアログボックスで,[サービス]をダブルクリックします。
起動させたいJP1/AJS2のサービス名を選択したあと,[操作]-[プロパティ]を選択します。
表示される[サービス名のプロパティ]ダイアログボックスの[全般]タブで,[開始パラメータ]にスタートモードとして「-cold」を指定します。
そのあと,[開始]ボタンをクリックします。
UNIXの場合
「jajs_spmd -cold [-h 論理ホスト名]」コマンドを実行します。
- マネージャーホストをコールドスタートする。
ホスト名を変更した物理ホストまたは論理ホストをコールドスタートしてください。
コールドスタートの手順については,「15.4.1 JP1/AJS2起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
- スケジューラーデータベースを組み込みDBに移行している場合は,手順2でバックアップしたジョブネット定義をajsdefineコマンドなどで回復する。
リカバリーの方法については,「11.3.3(6) ユニット定義のリカバリー」を参照してください。
- マネージャーホスト上で運用に必要なジョブネットを再実行登録する。
手順10でマネージャーホストをコールドスタートしているため,ジョブネットの実行登録がすべて解除されています。運用に必要なジョブネットを再実行登録してください。
- マネージャーホスト上でJP1/AJS2 Consoleを使用している場合は,次のサービスを再起動する。
- JP1/AJS2 Console Managerサービス
- JP1/AJS2 Console Agentサービス
- JP1/Cm2またはhp OpenView連携時に,NNMの監視ホストとして使用しているホストの名称を変更する場合は,監視されるJP1/AJS2がインストールされているWindowsのホストでSNMPトラップの送信先を変更する。
SNMPトラップの送信先を設定する手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 連携ガイド 14.2.3 SNMPトラップの送信先を設定する」を参照してください。
なお,JP1/AJS2がインストールされているホストがUNIXの場合,SNMPトラップの送信先の設定は不要です。
(3) JP1/AJS2 - Agentのホスト名を変更する
JP1/AJS2 - Agentのホスト名を変更する手順を次に示します。
- 名称を変更しようとしているエージェントホスト上で起動条件付きジョブネット,またはイベントジョブを含むジョブネットを実行している場合,次の操作を行って配下のジョブを終了状態にする。
- 起動条件付きジョブネットの場合
- ジョブネットを強制終了してください。
- イベントジョブを含むジョブネットの場合
- ジョブネットを強制終了するか,またはイベントジョブをジョブ状態変更で終了状態に変更してください。
- 名称を変更しようとしているエージェントホストのJP1/AJS2サービスを停止する。
- 名称を変更しようとしているエージェントホストに対して,ジョブ実行を依頼するマネージャーホストのJP1/AJS2を停止する。
マネージャーホストのJP1/AJS2を停止して,エージェントホストの名称変更時の,マネージャーホストからのジョブ実行依頼を抑止しておきます。
- (手順3でJP1/AJS2を停止した)マネージャーホスト上でjpqexportコマンドを実行し,ジョブ実行環境の定義情報をバックアップする。
ここで取得したバックアップは,手順7で使用します。
バックアップの方法については,「11.2.2(2) ジョブ実行環境定義のバックアップ」を参照してください。
- (手順3でJP1/AJS2を停止した)マネージャーホストのキュー情報データベース格納ディレクトリ下のファイルをすべて削除する。
キュー情報データベース格納ディレクトリは次のとおりです。
- Windowsの場合
- 物理ホストの場合のデフォルト:
- JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ¥database¥queue
- 論理ホストの場合のデフォルト:
- 共有フォルダ名¥jp1ajs2¥database¥queue
- UNIXの場合
- 物理ホストの場合のデフォルト:
- /var/opt/jp1ajs2/database/queue
- 論理ホストの場合のデフォルト:
- 共有ディレクトリ名/jp1ajs2/database/queue
- 手順4でバックアップしたジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)のエージェントホスト名の定義を変更する。
- (手順3でJP1/AJS2を停止した)マネージャーホスト上でjpqimportコマンドを実行し,ジョブ実行環境の定義情報を再作成する。
手順4でバックアップしたジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使用して,ジョブ実行環境データベースを再作成します。ジョブ実行環境を再作成する方法については,「11.3.3(5) ジョブ実行環境の作成」を参照してください。エージェントホスト名が変更され,ジョブ実行環境の構成定義が再設定されます。
- ジョブに定義した実行エージェントホスト名を変更する。または,ジョブネットに定義した実行エージェントホスト名を変更する。
- エージェントホストのホスト名を変更する。
エージェントホスト名を変更してください。
また,クラスタシステムを運用している場合で,かつ論理ホスト名を変更したときは,変更前の論理ホスト名を削除し,変更後の論理ホスト名に対して,クラスタ運用ができるように再セットアップしてください。
- Windowsの場合
- 論理ホスト名の削除方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 9.4.6 論理ホストの削除」を参照してください。
- クラスタシステムのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 9. クラスタシステム運用時のセットアップ」を参照してください。
- UNIXの場合
- 論理ホスト名の削除方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 18.4.6 論理ホストの削除」を参照してください。
- クラスタシステムのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 18. クラスタシステム運用時のセットアップ」を参照してください。
- エージェントホストのJP1/AJS2をコールドスタートする。
コールドスタートの手順については,「15.4.1 JP1/AJS2起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
- (手順3でJP1/AJS2を停止した)マネージャーホストのJP1/AJS2をコールドスタートする。
コールドスタートの手順については,「15.4.1 JP1/AJS2起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
- 運用に必要なジョブネットを再実行登録する。
手順11でマネージャーホストをコールドスタートしているため,ジョブネットの実行登録がすべて解除されています。運用に必要なジョブネットを再実行登録してください。
(4) JP1/AJS2の運用を停止しないでエージェントホスト名を変更する
JP1/AJS2 - Managerの運用を停止することなく,エージェントホスト名を変更したい場合は,ジョブ実行制御のコマンドを使用して動的構成定義変更を行います。
動的構成定義変更の手順を次に示します。
- 名称を変更しようとしているエージェントホストに対して実行登録しているジョブネットを終了し,登録解除する。
- 名称を変更しようとしているエージェントホストのJP1/AJS2サービスを停止する。
- マネージャーホストでjpqagtdelコマンドを実行して,変更前のエージェントホストを削除する。
jpqagtdelコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス jpqagtdel」を参照してください。
- エージェントホストの名称を変更し,エージェントホストのJP1/AJS2サービスをコールドスタートする。
- コールドスタートの手順については,「15.4.1 JP1/AJS2起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
- 注意事項
- 変更後のエージェントホストとマネージャーホストの間で通信ができることを確認してください。
- マネージャーホストでjpqagtaddコマンドを実行して,変更後のエージェントホストを追加する。
エージェントホストを追加した直後は,同時に作成されたデフォルトキューでジョブの受付口が閉じています。必要に応じてデフォルトキューの属性を変更してください。
jpqagtaddコマンド,およびデフォルトキューの属性の変更方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス jpqagtadd」を参照してください。
- マネージャーホスト上で,ジョブネットまたはジョブに定義した実行ホストを変更後のエージェントホスト名に変更する。
- イベントジョブを使用している場合,変更前後のエージェントホスト名で同一のアドレスが求まるようマネージャーホスト上でエイリアスのホスト名を設定する。
設定方法の詳細については,「3.2.2(6) イベントジョブ使用時に同一マシンを複数の実行ホストとして使用する方法」を参照してください。
- ジョブネットを再度実行登録して運用を再開する。