4.4.1 スケジューラーログファイルのサイズを見積もる

スケジューラーログファイルのサイズの見積もりについて説明します。スケジューラーログには,ジョブネットやジョブの実行ログや操作ログが出力され,主に業務の実行状況を監視するために使用します。スケジューラーログファイルが必要とするサイズは,次に示す項目によって大きく異なります。

そのため,必要に応じて,スケジューラーログファイルの適切なサイズを見積もり,デフォルトのディスク占有量を変更してください。スケジューラーログファイルのデフォルトのディスク占有量と最大ディスク占有量については,「17.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

スケジューラーログファイルの見積もりの流れを,次の図に示します。

図4-1 スケジューラーログファイルの見積もりの流れ

[図データ]

<この項の構成>
(1) スケジューラーログファイルの見積もり式
(2) スケジューラーログファイルの見積もりの例
(3) スケジューラーログファイルのサイズの拡張方法

(1) スケジューラーログファイルの見積もり式

スケジューラーログファイルのサイズを見積もるのに必要な式の数は,環境設定パラメーターの設定値によって異なります。次に示す表の条件に従って必要な式を選択してください。

表4-10 スケジューラーログファイルのサイズの見積もり式

スケジューラーサービスの
構成定義での設定値
見積もり式(サイズ:キロバイト)
環境設定パラメーターのAJSLOGにallを指定している場合A =
(80 * (スケジューラーサービス開始の回数
+ スケジューラーサービス終了の回数)
スケジューラーサービス数) / 1,024
環境設定パラメーターのNETLOGにnone以外を指定している場合B =
{ (90 + ジョブネット名称の最大長)
* (1日に実行するジョブネットの開始回数
+ 1日に実行するジョブネットの終了回数
+ 起動条件の監視開始回数
+ 起動条件の監視終了回数
+ 保留設定をするジョブネット数
+ 開始および終了遅延監視を設定するジョブネット数)
スケジューラーサービス数}
/ 1,024
環境設定パラメーターのJOBLOGにnone以外を指定している場合C =
{ (120 + ジョブ名称の最大長 +
ジョブ実行先ホスト名の最大長)
* (1日に実行するルートジョブネット下のジョブ開始回数
+ 1日に実行するルートジョブネット下のジョブ終了回数
+ 保留設定をするジョブ数)
スケジューラーサービス数 }
/ 1,024
環境設定パラメーターのOPELOGおよびREFLOGにnone以外を指定している場合D =
{ (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長
+ 論理ホスト名の最大長
+ ユニットを操作するコマンドで,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの最大長)
* (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計
+ ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計)
スケジューラーサービス数 }
/ 1,024
環境設定パラメーターのINFOLOGにnone以外を指定している場合E =
{ (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長
+ 論理ホスト名の最大長
+ コマンドに指定するオプションの最大長)
* (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計
+ ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計
* 2)
スケジューラーサービス数 }
/ 1,024

上記の表の見積もり式に従って値を算出したら,算出した値を合計します。

また,必要に応じて保存したい日数を掛けます。なお,設定する場合は,算出された値より,少し大きめの値を設定してください。

(2) スケジューラーログファイルの見積もりの例

5日分のスケジューラーログを一つのファイルに保存する場合の見積もり例を示します。

表4-11 スケジューラーログファイルの見積もりの例

条件見積もり式の例
AJSLOGの設定値
all
スケジューラーサービス開始回数
1回
スケジューラーサービス終了回数
1回
スケジューラーサービス数
1
A(キロバイト)=
(80*(1 + 1)*1) / 1,024 = 約0.16
NETLOGの設定値
all
ジョブネット名称の最大長
40バイト
1日に実行するジョブネットの開始回数
1,000回
1日に実行するジョブネットの終了回数
1,000回
保留設定をするジョブネット数
10個
開始および終了遅延監視を設定するジョブネット数
20個
スケジューラーサービス数
1
B(キロバイト)=
{ (90 + 40)*((1,000 + 1,000) + 10 + 20)* 1} / 1,024 = 約258
JOBLOGの設定値
all
ジョブ名称の最大長
50バイト
ジョブ実行先ホスト名の最大長
10バイト
1日に実行するルートジョブネット下のジョブ開始回数
3,000回
1日に実行するルートジョブネット下のジョブ終了回数
3,000回
保留設定をするジョブ数
30個
スケジューラーサービス数
1
C(キロバイト)=
{ (120 + 50 + 10)*((3,000 + 3,000)+30)*1} / 1,024 = 約1,060
OPELOGまたはREFLOGの設定値
all
コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長
10バイト
論理ホスト名の長さ
11バイト
ユニットを操作するコマンド(ajschangeやajsplanなど)で,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの最大長
150バイト
ユニットを操作しないコマンドで,ログに出力されるように指定したコマンドの実行回数の合計
200回
ユニットを操作するコマンドで,ログに出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計
50個
スケジューラーサービス数
1
D(キロバイト)=
{ (100 + 10 + 11 + 150)*(200 + 50)*1} / 1,024 = 約67
INFOLOGの設定値
all
コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長
10バイト
論理ホスト名の長さ
11バイト
ユニットを操作するコマンド(ajschangeやajsplanなど)で,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの最大長
150バイト
ユニットを操作しないコマンドで,ログに出力されるように指定したコマンドの実行回数の合計
200回
ユニットを操作するコマンドで,ログに出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計
50個
スケジューラーサービス数
1
E(キロバイト)=
{ (100 + 10 + 11 + 150)*(200 + 50*2)*1} / 1,024= 約80
1日分のスケジューラーログファイル容量(単位:キロバイト)=
A + B + C + D + E= 約1,465キロバイト
5日分のスケジューラーログファイル容量のサイズ(単位:キロバイト)=
1,465*5日 = 約7,325キロバイト

(3) スケジューラーログファイルのサイズの拡張方法

(1) スケジューラーログファイルの見積もり式」で算出した値を設定する方法を次に示します。

Windowsの場合
[マネージャー環境設定]ダイアログボックスの[スケジューラーログの設定]タブの[スケジューラーログファイルのサイズ]に設定します。
設定方法の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 4.1.4 スケジューラーログを定義する」を参照してください。
UNIXの場合
スケジューラーサービス環境設定ファイル(Schedule.conf)の定義キー[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AJSMANAGER]の下にあるLOGSIZEに値を設定してから,jbssetcnfコマンドで設定を反映してください。
設定方法の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.1 スケジューラーサービス環境の設定」を参照してください。

環境設定パラメーターの推奨値と,設定が有効になる時期については,「5.3.1 スケジューラーサービスに関する環境設定について検討する」を参照してください。