8.5.1 起動条件を設定したジョブネットを運用する
ここでは,起動条件を設定したジョブネットの運用に関するFAQを記載します。
- <この項の構成>
- (1) 起動条件監視中のジョブネットの停止について
- (2) 起動条件が複数回成立するジョブネットの運用について
(1) 起動条件監視中のジョブネットの停止について
起動条件監視中のジョブネットを強制終了し,ジョブネットの実行登録を解除する手順について説明します。
手順の概要は次のとおりです。
- 起動条件が「監視中」の世代を強制終了して,起動条件の監視を打ち切る。
- 「実行中」か,または「起動条件待ち」の世代を強制終了する。
- ジョブネットの実行登録を解除する。
ここでは,上記の手順について,コマンドを使う場合と,JP1/AJS2 - Viewを使う場合とに分けて説明します。
(a) コマンドを使う場合
コマンドを使って,起動条件監視中のジョブネットを強制終了し,ジョブネットの実行登録を解除する手順を次に示します。
- 「ajskill 操作対象ジョブネット名」コマンドを実行する。
「監視中」の世代が自動判定され,強制終了されます。世代の状態は「監視中」から「監視打ち切り終了」に変わります。
同時に,「起動条件待ち」の世代(起動条件が成立していないか,または部分成立している世代)が消滅します。
- 「実行中」か,または「起動条件待ち」の世代が残っている場合は,手順1を繰り返す。
「実行中」の世代が自動判定され,強制終了されます。世代の状態は「実行中」から「強制終了」に変わります。同時に,次の「起動条件待ち」の世代が「実行中」になります。
- 「実行中」のすべての世代が「強制終了」に変わるまで,手順1を繰り返す。
- 「ajsleave 操作対象ジョブネット名」コマンドを実行する。
ジョブネットの実行登録が解除されます。
- 補足事項
- 手順2で,「実行中」か,または「起動条件待ち」の世代が残っているかどうかを確認する場合,ajsshowコマンドを使うと便利です。ajsshowコマンドは次の形式で実行してください。
ajsshow -g a -f "%C %#" 操作対象ジョブネット名
- -gオプションには,引数として,「操作対象ジョブネット名」に指定したジョブネットの全世代の実行結果情報を出力する「a」を指定します。
- -fオプションには,フォーマット識別子として,ジョブネットの状態を出力する「%C」と,ジョブネットの実行IDを出力する「%#」を指定します。
- ajsshowコマンドの詳細は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド ajsshow」を参照してください。
(b) JP1/AJS2 - Viewを使う場合
JP1/AJS2 - Viewを使って,起動条件監視中のジョブネットを強制終了し,ジョブネットの実行登録を解除する手順を次に示します。
- JP1/AJS2 - Viewの[デイリースケジュール]ウィンドウ,または[マンスリースケジュール]ウィンドウを表示する。
- 実行結果リストに表示されている「監視中」の世代を選択し,[操作]-[強制終了]を選択する。
「監視中」の世代が強制終了され,世代の状態は「監視中」から「監視打ち切り終了」に変わります。
同時に,「起動条件待ち」の世代(起動条件が成立していないか,または部分成立している世代)が消滅します。
- 「実行中」か,または「起動条件待ち」の世代が残っている場合は,実行結果リストに表示されている「実行中」の世代を選択し,[操作]-[強制終了]を選択する。
「実行中」の世代が強制終了され,世代の状態は「実行中」から「強制終了」に変わります。同時に,次の「起動条件待ち」の世代が「実行中」になります。
- 「実行中」のすべての世代が「強制終了」に変わるまで,手順3を繰り返す。
- [JP1/AJS2 - View]ウィンドウのリストエリアに表示されている,実行登録を解除したいジョブネットを選択し,[操作]-[登録解除]を選択する。
ジョブネットの実行登録が解除されます。
(2) 起動条件が複数回成立するジョブネットの運用について
起動条件の有効範囲内に起動条件が複数回成立するジョブネットでは,繰り越し未実行となって実行されないジョブネットが発生する場合があります。この現象は,次の条件が重なった場合に発生します。
- 多重起動に「不可能」を設定した起動条件付きジョブネットを実行登録している。
- 起動条件成立によって実行中の世代があるときに再び起動条件が成立し,実行を開始しようとした起動条件待ち世代が,実行中の世代の終了を待っている。
- ルートジョブネットに設定された「打ち切り時間」を過ぎている。
上記の三つの条件が重なった場合,メッセージKAVS0277-Iが出力され,実行中の世代の終了を待っていた世代は繰り越し未実行となり,実行されません。
この現象を回避するために,次に示す方法のどれかで設定してください。
- ジョブネットを多重起動できるようにする。
GUIで設定する場合は,JP1/AJS2 - Viewの[詳細定義-[ジョブネット]]ダイアログボックスの[定義]タブで,[多重起動]に[可能]を指定します。
コマンドで設定する場合は,ユニット定義ファイルのジョブネット定義情報のmpパラメーターに「y」を指定します。
- ジョブネットの打ち切り時間を無制限にする。
GUIで設定する場合は,JP1/AJS2 - Viewの[詳細定義-[ジョブネット]]ダイアログボックスの[定義]タブで,[打ち切り時間]に[無制限]を指定します。
コマンドで設定する場合は,ユニット定義ファイルのジョブネット定義情報のcdパラメーターに「un」を指定します。
- 環境設定パラメーターCONDEXECDEFERを設定する。
環境設定パラメーターCONDEXECDEFERに「no」を設定します。
「no」を指定した場合,繰り越し未実行になる条件を満たしても繰り越し未実行にしないで,実行中の世代の終了を待ち続けます。
パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.1.2 スケジューラーサービス環境設定ファイルの環境設定パラメーター一覧」を参照してください。