JP1/AJS2が用意するメンテナンスモードは次の2種類です。
次に,それぞれの縮退モードについて説明します
(1) マネージャー機能縮退モード
ジョブ実行が常時行われ,業務を完全停止するのが難しい場合は,「マネージャー機能縮退モード」を使用します。この機能は,JP1/AJS2 - Managerのマネージャー機能だけを順次停止してメンテナンスを実施できます。このモードでは,ほかのホストからのジョブ実行要求やjpqjobsubコマンドからの要求など,ジョブ実行制御のマネージャーに対する要求を拒否します。ただし,ジョブ実行制御エージェントで変化する状態を保持することには対応できるため,起動済みジョブの情報を消失することはありません。ただし,エージェントとマネージャー間で未通知のジョブ状態情報を蓄積するため,メモリーをジョブ数に比例して消費しますので,ジョブ実行が少ない時間帯に使用してください。
このモードでは,まずスケジューラーデータベースを順次停止し,次にジョブ実行制御のマネージャー機能を閉塞させます。再編成に必要なメンテナンス時間は ((スケジューラーサービス数 * 4)+ 5)分程度です。ただし,スケジューラーサービスが多数存在する場合は,再編成の並列実行機能を使用すると総所要時間を短縮できます。並列実行機能とは,ISAMのスケジューラーデータベースを,複数個同時に再編成する機能です。同時に再編成するスケジューラーデータベースの数は,ajsautocondスクリプトのパラメーターとして,多重度(1~20)を指定します。指定方法については,「5.3.9(1) ISAMファイルの自動再編成を並列に実行させる」を参照してください。
メンテナンス中は,すべてのデータベースアクセスプロセスの機能を停止しますが,ジョブ実行制御およびスケジューラーサービスは再編成が終わり次第,順次起動します。
マネージャー機能縮退モードでメンテナンスする場合のメンテナンス範囲を次の図に示します。
図7-1 マネージャー機能縮退モードでメンテナンスする場合のメンテナンス範囲
(2) スケジューラー縮退モード
スケジューラーデータベースとしてISAMを使用している場合で,日々の運用の中でジョブネットの定義を定型業務などから頻繁に更新する場合は,可変長テーブル中のフラグメンテーションが発生しやすくなります。JP1/AJS2 - Viewからの接続やジョブネットワーク要素を操作するコマンドのレスポンスが悪化してきた場合,補助的に「スケジューラーサービスのメンテナンス機能」を使用して,メンテナンスしてください。一つのスケジューラーサービス当たりの再編成に必要なメンテナンス所要時間は3~4分程度です。
スケジューラー縮退モードでメンテナンスする場合のメンテナンス範囲を次の図に示します。なお,この図では一つのスケジューラーサービスに絞ってメンテナンスをする例を示します。
図7-2 スケジューラー縮退モードでメンテナンスする場合のメンテナンス範囲