9.5.1 JP1/AJS2のバージョンアップ時に必要な作業

JP1/AJS2 06-71以前からJP1/AJS2 07-00以降にバージョンアップするときの大まかな作業の流れを次に示します。

図9-5 DNS環境でJP1/AJS2をバージョンアップするときの作業の流れ

[図データ]

注意事項
FQDN形式のホスト名による運用をする場合は,07-00以降のJP1/AJS2 - Managerが必要になります。
エージェントのバージョンは問いません。
ただし,異なるドメインに同一ホスト名が複数存在し,それらのホストをエージェントとして使用する場合は,エージェントのバージョンを07-00以降にする必要があります。

DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する場合に,マネージャーからエージェントに送るマネージャーホスト名を「ホスト名」から「FQDN形式のホスト名」にするための設定手順を次に示します。マネージャーホストとエージェントホストのそれぞれのホストで設定が必要です。

<この項の構成>
(1) マネージャーホストの場合の設定手順
(2) エージェントホストの場合の設定手順

(1) マネージャーホストの場合の設定手順

  1. 実行中のイベントジョブおよび起動条件を強制終了する。
  2. 次に示すサービスを停止する。
    • JP1/AJS2サービス
    UNIXの場合,次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。なお,/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stopについては,自動停止の設定がされているか事前に確認してください。

    # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
    # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status

  3. エディターで次に示す内容を記述した設定ファイルを作成する。

    [{JP1_DEFAULT | 論理ホスト名}¥JP1AOMMANAGER]
    "DNSEstablish"="Y|N"

    DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する場合は「Y」を,運用しない場合は「N」を指定します。デフォルトは「N」です。
    「Y」の部分を「N」に置き換えると,FQDN形式のホスト名で運用しません。この場合,エージェントへはFQDN形式のホスト名ではなく,ホスト名を送ります。
    設定ファイルのファイル名は任意です。
  4. ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。

    jbssetcnf 設定ファイル名

    jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  5. JP1/AJS2を再起動する。
    設定ファイルに記述した内容が反映されます。
  6. 手順1で強制終了したジョブを再度実行登録する。

(2) エージェントホストの場合の設定手順

  1. 設定するエージェントホストで実行されているジョブだけを強制終了する。
  2. 次に示すサービスを停止する。
    • JP1/AJS2サービス
    UNIXの場合,次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。なお,/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stopについては,自動停止の設定がされているか事前に確認してください。

    # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
    # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status

  3. jpoagoecコマンドを実行する。
    エージェントホストでは一度通信したマネージャー名を記憶しているため,jpoagoecコマンドをエージェントホストで実行して,「マネージャーホスト名(hostnameコマンドで出力されるホスト名)」を削除する必要があります。エージェントホストのサービスを起動する前にjpoagoecコマンドを実行しないと,一つのマネージャーホストに対して「ホスト名」と「FQDN形式のホスト名」の二つのマネージャーホスト名を記憶してしまいます。このような状態で,エージェントホストのサービスを起動してしまうと,起動時に実行するジョブは「ホスト名」と「FQDN形式のホスト名」で別々に登録され,その結果同じジョブが2度実行されることになります。
    二重に実行登録された場合,メール受信監視ジョブやメッセージキュー受信監視ジョブのように,受信した情報を削除するジョブでは,受信していない情報を削除するおそれがあります。また,DNSやhostsなどの設定で,マネージャーホスト名(hostnameコマンドで出力されるホスト名)のIPアドレスが解決できないようにした場合,エージェントホストの起動時に通信エラーが発生します。
    jpoagoecコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド jpoagoec」を参照してください。
  4. JP1/AJS2を再起動する。
  5. 手順1で強制終了したジョブを再度実行登録する。