JP1/AJS2のバックアップを実施する場合,バックアップの対象となるのはJP1/AJS2の動作に必要な設定情報です。設定情報が記述されたファイルや,JP1/AJS2のコマンドを使用して設定情報を出力した結果などをバックアップしておきます。
リカバリー時は,システムの破壊状況に応じて,バックアップしておいた情報をシステムに反映します。バックアップする情報は,JP1/AJS2の動作に必要な設定情報だけのため,設定情報をリカバリーしたあと,再度ジョブネットの実行登録などを行う必要があります。なお,ジョブネットの登録予定情報をエクスポート・インポートする機能を使用して,ジョブネットの実行登録状態をバックアップ・リカバリーすることもできます。詳細については,「8.5.9 登録予定情報をバックアップ・リカバリーする」を参照してください。
システム全体をバックアップ・リカバリーする場合,JP1/AJS2以外のデータやアプリケーションとの整合性を考慮する必要があります。例えば,JP1/AJS2自体はバックアップしたある特定の時点の状態に戻すことができたとしても,JP1/AJS2から実行したユーザージョブの状態など,すべてを整合性のある状態にしなければ何らかの問題が発生することが考えられます。この例のようにシステム全体のバックアップ・リカバリーをする場合は,どの状態(どの時刻)に戻すのか,整合性に問題はないか,を考慮する必要があります。しかし,JP1/AJS2のようにさまざまなプログラムと連携する製品では,全体の整合性を確保することは大変に困難です。仮に整合性を取るとすれば,実行するユーザージョブにさまざまな制約条件を課すことになり,JP1/AJS2の本来の機能である「通常のプログラムをジョブネットに柔軟に取り込んで運用管理する」ことができなくなります。このような背景から,JP1/AJS2のバックアップ・リカバリーは,設定情報だけを対象にすることをお勧めしています。
設定情報だけを対象としたバックアップとリカバリーの具体的な方法については,「11. バックアップとリカバリー」を参照してください。
なお,システムのフルバックアップを実施する場合は,JP1/AJS2を停止させた状態でバックアップを取得してください。また,システムのフルバックアップからリカバリーを実施する場合は,ジョブネット,ジョブの登録・実行情報を初期化する必要があるため,JP1/AJS2をコールドスタートで起動してください。