8.3.1 JP1イベント受信監視ジョブの注意事項

JP1イベント受信監視ジョブの注意事項(使用する前に知っておいた方がよいこと)について説明します。

JP1イベントはJP1/Baseで管理されるイベントで,JP1シリーズプログラムで発生した事象を契機として発行されます。JP1イベントは,エラー,警告,通知などの重大度やメッセージなどの情報を持っているので,重大度ごとに異なる後続ジョブを実行したり,特定のメッセージを受け取ったときだけ後続ジョブを実行したりできます。JP1イベント中のメッセージや詳細情報の一部分を正規表現で切り出して,後続ジョブに引き継ぐこともできます。

JP1イベント受信監視ジョブを使った例を次に示します。

注意事項
JP1イベント受信監視ジョブで監視できるJP1イベントは,JP1イベント受信監視ジョブが実行状態になったあとに発生したJP1イベントが対象です。そのため,次のタイミングで発生したJP1イベントは,JP1/AJS2では検知されません。
  • JP1/AJS2が停止中に発行されたJP1イベント
  • JP1/AJS2が起動したあとにイベントジョブが実行状態になる間に発生したJP1イベント
JP1イベント受信監視ジョブで監視する対象となるJP1イベントは,JP1/AJS2のイベントジョブが監視状態になるまで発行されないJP1イベントを監視対象にしてください。
JP1イベント受信監視ジョブが検知できないタイミングを図に示します。

図8-3 JP1イベント受信監視ジョブが検知できないタイミング

[図データ]

JP1イベント受信監視ジョブのオプションおよびJP1イベント受信監視ジョブ定義時の注意事項を次に説明します。

<この項の構成>
(1) JP1イベント受信監視ジョブのオプション
(2) JP1イベント受信監視ジョブ定義時の注意事項

(1) JP1イベント受信監視ジョブのオプション

JP1イベント受信監視ジョブのオプションには,次のオプションを設定できます。

JP1イベント受信監視ジョブが実行された直後(JP1イベントの監視を開始する前)に発生したJP1イベントを受信監視の対象とするかどうかをオプションで指定します。このオプションを「JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプション」と呼びます。

このオプションは,イベントIDを指定し,かつJP1イベントの監視を開始した時刻を基準に何分前まで検索するかを指定した場合に有効になります。指定できる値は1~720(単位:分)の間です。なお,このオプションを指定した場合に基準となる時刻は,JP1イベント受信監視ジョブが実行されるホストで設定されている時刻です。

このオプションを指定しない場合は,通常のJP1イベント受信監視だけになり,JP1イベントの監視を開始した時刻以前のイベントは検索しません。

注意事項
  • 「JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプション」を指定する際に指定したイベントの検索範囲(JP1イベントの監視を開始した時刻を基準に何分前まで検索するか)が大きくなればなるほど,JP1イベント受信監視実行前のイベント検索に掛かる時間が長くなります。また,イベントの検索対象範囲内に存在するJP1イベントの件数が多ければ多いほど,JP1イベント受信監視実行前のイベント検索に掛かる時間が長くなります。イベントの検索範囲は必要最小限の短い時間となるようにしてください。長くても10分程度とすることをお勧めします。
  • 実行前のイベント検索機能を使用したJP1イベント受信監視ジョブでは,検索対象となるおそれのあるイベントが大量にある場合,起動条件回数指定の有無などの実行回数の制限にかかわらず,CPU使用率が高くなり,ほかのジョブの実行が遅れることがあります。
    そこで,実行前のイベント検索機能では,数件程度の特定のイベントを条件としたい場合に使用してください。イベントの成立が大量に発生したり,継続的に発生したりするようなイベントを条件としたい場合には,実行前のイベント検索機能を使用しないようにしてください。検索対象となるおそれのあるイベントが大量にある場合は,JP1イベント受信監視ジョブの条件を細かく設定し,実行前のイベント検索で対象となるおそれのあるイベントを絞り込んだり,実行前のイベント検索の検索範囲を短くしたりしてください。
  • 「JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプション」は起動条件ジョブの中での使用を推奨します。起動条件ではないイベントジョブでも使用することは可能ですが,イベントジョブで「実行前のイベント検索」を指定する場合には,同じイベントを何度も受信監視の条件としてしまう場合があります。イベントジョブとしてJP1イベント受信監視ジョブを使用する場合には,その使用方法に注意が必要です。
    同一のJP1イベントを受信監視の条件にしてしまう例を次に示します。
(例)
ジョブネット「recv」に,イベントジョブとして次の条件でJP1イベント受信監視ジョブが登録されているとします。
  • 起動条件:
    ジョブネット「recv」は,実行間隔制御ジョブによって9:00と9:10に起動するように設定
  • JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプションの指定:
    「30」(単位:分)を指定
  • イベントID:
    「111」を指定
  • JP1イベント(イベントID:111)の発行状況:
    8:20と8:50

 動作
  1. ジョブネット「recv」が,実行間隔制御ジョブによって9:00に起動する。
  2. JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプションで指定した条件に従って8:30の以降のJP1イベントを検索します。
  3. ジョブネット「recv」が,実行間隔制御ジョブによって9:10に起動する。
  4. JP1イベント受信監視実行前のイベント検索オプションで指定した条件に従って8:40の以降のJP1イベントを検索します。
 結果
このとき,8:30以降と8:40以降に検索条件を満たすJP1イベントはともに8:50の1回であったとすると,9:00に実行されたJP1イベント受信監視ジョブも9:10に実行されたJP1イベント受信監視ジョブも,両方とも同じ8:50のJP1イベントを検知し,受信監視の条件としてしまいます。

図8-4 同一のJP1イベントを受信監視の条件にしてしまう例

[図データ]

(2) JP1イベント受信監視ジョブ定義時の注意事項

JP1イベント受信監視ジョブを定義するときの注意事項を次に示します。