17.4.2 UNIXの場合

<この項の構成>
(1) 資料採取ツールを実行する
(2) coreファイルを採取する
(3) プロセスの状態を確認する
(4) オペレーション内容を確認する
(5) 採取資料一覧

(1) 資料採取ツールを実行する

資料採取ツールを実行します。資料採取ツールのセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 17. ログ情報の採取」を参照してください。

資料採取ツールの実行例を次に示します。

# /home/jp1ajs2/trouble.sh

資料採取ツールの実行結果は,デフォルトでは「/tmp/jp1ajs2/trouble/」の配下に次のファイルが出力されます。これらのファイルをバックアップしてください。

物理ホストの場合
  1. JP1_DEFAULT_1st.tar.z
    第一報用資料が出力されます。
  2. JP1_DEFAULT_2nd.tar.z
    その他の資料が出力されます。
論理ホストの場合
  1. 論理ホスト名_1st.tar.z
    第一報用資料が出力されます。
  2. 論理ホスト名_2nd.tar.z
    その他の資料が出力されます。

資料採取ツールは,クラスタシステム運用時,論理ホスト名を指定して資料を採取できます。また,採取する資料を限定するオプションも提供しています。次に資料採取ツールの文法について説明します。

形式

_04
    [-h 論理ホスト名]
    [-f 格納ディレクトリ]
    [-s]
    [-t]
    [-u]
    [追加ファイル]

機能
JP1/AJS2の各種定義情報,動作情報,OS情報などの保守情報を採取します。
実行権限
スーパーユーザー権限
引数
-h 論理ホスト名
処理対象とする,論理ホスト名を指定します。
指定した論理ホストのほかに物理ホストの資料も採取します。
省略した場合,物理ホストのログを採取します。
-f 格納ディレクトリ
採取した情報の格納ディレクトリを,空白文字を含まない絶対パスで指定します。指定したディレクトリに空白文字が含まれる場合,空白文字の直前までの文字列が格納ディレクトリ名とされ,空白文字以降の文字列は別の引数とみなされます。
格納ディレクトリを相対パスで指定した場合,ルートディレクトリ配下に指定したパスのディレクトリが作成され,資料が採取されます。
省略した場合,「/tmp/jp1ajs2/trouble/」直下に出力されます。
-s
JP1/AJS2で使用しているデータベースの情報を採取しないときに指定します。
省略した場合,データベースの情報を採取します。
-t
hosts,services,passwordファイルを採取しないときに指定します。
-u
コアを取得しないときに指定します。
このオプションを指定しても,バックトレース情報は採取します。
追加ファイル
JP1/AJS2コマンドのコアファイルなど採取されないファイルを,空白文字を含まない絶対パスで指定します。指定したファイル名に空白文字が含まれる場合,空白文字の直前までの文字列が追加ファイル名とされ,空白文字以降の文字列は別の引数とみなされます。
これによって,資料採取ツールで自動採取しない情報も採取できます。
追加ファイルにコアファイルがある場合,-uオプションを指定してもコアファイルを採取します。
追加ファイルにはディレクトリ名を指定することもできます。ディレクトリを指定した場合は,指定したディレクトリ配下のすべての資料を採取します。
注意事項
  1. クラスタ構成の論理ホストの資料を採取する場合,論理ホストの共有ディスクを必ずマウントしてください。
  2. 採取した資料は,資料採取ツールで圧縮します。OSごとの圧縮方法を次に示します。
    Linuxの場合
    gzipコマンドを使用して圧縮します。資料採取ツールを実行する環境にgzipコマンドがインストールされていなかった場合,tarコマンドで資料をまとめ出力します。compressコマンドは使用しません。tarコマンドがインストールされていない場合,資料採取ツールは異常終了し,処理を終了します。
    Linux以外のUNIXの場合
    compressコマンドを使用して圧縮します。資料採取ツールを実行する環境にcompressコマンドがインストールされていなかった場合,gzipコマンドを使用して採取した資料を圧縮します。compressコマンドおよびgzipコマンドがない場合,tarコマンドで採取した資料をまとめて出力します。tarコマンドがインストールされていない場合,資料採取ツールは異常終了し,処理を終了します。
  3. スクリプトを実行するユーザーが参照権限を持たないファイルが含まれている場合を考慮し,スーパーユーザーでスクリプトを実行してください。
  4. スクリプトの実行結果を出力したファイルが作成済みの場合,情報の上書きを確認するメッセージが出力されるので,上書きする場合は「y」で,中止する場合は「n」で応答してください。
  5. コアダンプファイルの出力がない場合は,メッセージ(「tar: core? の状態がわかりません。ダンプされません。」)が出力されますが,問題はありません。
  6. 対象製品がインストールされていない場合や,他プロセスで使用中またはファイル属性によってアクセスできないファイルを検出した場合は,資料採取中にディレクトリやファイルがない,またはファイルにアクセスできない旨のメッセージが出力されることがありますが,問題はありません。
  7. 資料採取ツールの実行中,ajs2collectcoreコマンドを内部的に実行するため,使用しているOSによって採取できる資料に制限があります。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド ajs2collectcore(UNIX限定)」を参照してください。
戻り値
0正常終了。
0以外の値異常終了。
メッセージ
メッセージ動作意味/オペレーターの取る処置
Directory ディレクトリ名 is created処理を継続します。ディレクトリを作成しました。
Overwrite file (ファイル名) ok?ユーザーの応答を待ちます。ファイル名)を上書きしてよろしいですか?
処理を継続する場合は「y」を,中止する場合は「n」を押してください。
[CAUTION]
When a target program is not installed, or when file access fails because some other process is using the file or because a necessary file-access permission is lacking, a message might be output that states that file access failed or a directory or file does not exist. Such a message does not indicate a problem.
処理を継続します。資料採取中に使用中またはファイルがない場合にこのメッセージが出力されますが,問題ありません。
Output file name :(ファイル名)処理を終了します。ファイル名)を作成しました。
Write permission error (ディレクトリ名)処理を終了します。書き込み権限がありません。次の要因が考えられます。
  • ディレクトリを作成する権限がない
  • 他プロセスによって,使用中
要因を排除したあと,再度実行してください。
Make directory (ディレクトリ名) is unsuccessful処理を終了します。ディレクトリが作成できませんでした。次の要因が考えられます。
  • ディレクトリを作成する権限がない
  • 他プロセスによって,使用中
要因を排除したあと,再度実行してください。
Read permission error(ファイル名)処理を終了します。読み込み権限がありません。次の要因が考えられます。
  • ディレクトリを作成する権限がない
要因を排除したあと,再度実行してください。
File ファイル名 is not found処理を終了します。追加ファイルに指定したディレクトリ,またはファイルがありません。
正しいパスを設定し,再度実行してください。
[ -s ] [ -f output-file ] [ -h Logical-Host-Name ] [ -t ] [ -u ] [ add-in-file ... ]処理を終了します。オプションの設定が誤っています。
正しく設定し,再度実行してください。
使用例1
物理ホストの資料を採取します。

_04

使用例2
論理ホスト(cluster)の資料を採取します。

_04 -h cluster

使用例3
コアファイル(/tmp/core)を含めた情報を,ファイル(/tmp/trouble)に出力します。

_04 -f /tmp/trouble /tmp/core

(2) coreファイルを採取する

coreファイルが出力されている場合は,coreファイルを採取してください。

coreファイルは,次のディレクトリのうちのどれかに出力されます。

  1. /opt/jp1ajs2/bin ※1
  2. /var/opt/jp1ajs2/database ※1
  3. /var/opt/jp1ajs2cm/database ※1
  4. ユーザーのホームディレクトリ※2
  5. コマンドなどを実行したカレントディレクトリ
注※1
資料採取ツールで採取できます。
注※2
JP1/AJS2 - Viewからの接続でcoreファイルが出力された場合は,マッピングされているOSユーザーのホームディレクトリになります。

また,core解析に必要な情報だけを採取したい場合はajs2collectcoreコマンドを使用します。ajs2collectcoreコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス 1. コマンド ajs2collectcore(UNIX限定)」を参照してください。

(3) プロセスの状態を確認する

psコマンドを使ってプロセスの動作状態を確認してください。

JP1/AJS2のプロセスの情報については,「付録B.3 プロセス一覧(UNIXの場合)」を参照してください。

(4) オペレーション内容を確認する

トラブル発生時のオペレーション内容を確認し,記録しておいてください。確認が必要な情報を次に示します。

  1. オペレーション内容の詳細
  2. トラブル発生時刻
  3. マシン構成(各OSのバージョン,ホスト名,JP1/AJS2 - ManagerとJP1/AJS2 - Agentの構成,JP1/AJS2 Console ManagerとJP1/AJS2 Console Agentの構成など)
    マシン構成については,コマンドを実行して調査できます。OS別のコマンドの一覧を次の表に示します。

    表17-16 UNIXのマシン構成の調査に使用するコマンドの一覧

    OSOSのバージョンを
    調査するコマンド
    ホストに搭載されている
    物理メモリー量を
    調査するコマンド
    プロセス情報および
    メモリー所要量を
    調査するコマンド
    HP-UX/usr/bin/uname -a/usr/sbin/dmesg/usr/bin/ps -elf
    Solaris/usr/bin/uname -a/usr/sbin/prtconf/usr/bin/ps -elf
    AIX/usr/bin/uname -a/usr/sbin/bootinfo -r/usr/bin/ps -elf
    Linux/bin/uname -a/usr/bin/free
    (または,
    /bin/cat/proc/meminfo)
    /bin/ps -elf
    コマンドのオプションは,各OSで標準的なオプションです。使用している環境によって仕様が異なる場合もあります。詳細については,使用しているOSのドキュメントを参照してください。
  4. 再現性の有無
  5. JP1/AJS2 - ViewまたはJP1/AJS2 Console Viewからログインしている場合は,ログインユーザー名

(5) 採取資料一覧

資料採取ツール(_04)では次の資料が採取できます。

物理ホストの場合
  • 第一報用資料(/tmp/jp1ajs2/trouble/JP1_DEFAULT_1st.tar.Z※1
    採取された資料のディレクトリ名・ファイル名内容
    /etc/hostshostsファイル
    /etc/passwdpasswdファイル
    /etc/servicesservicesファイル
    /etc/.hitachi/pplistd/pplistdインストール済みの日立製品情報
    1. /etc/opt/jp1ajs2/conf
    2. /etc/opt/jp1ajs2cm/conf
    3. /etc/opt/jp1base/conf
    環境設定ファイル格納ディレクトリ
    /opt/HIRDB_J/spool/pdlckinf組み込みDBのデッドロックタイムアウト情報ファイル
    /opt/jp1/hcclibcnf/regdir共通定義情報
    1. /opt/jp1ajs2/PatchHistory
    2. /opt/jp1ajs2/PatchLog
    3. /opt/jp1ajs2v/PatchHistory
    4. /opt/jp1ajs2v/PatchLog
    パッチ情報
    1. /var/adm/messages(Solarisの場合)
    2. /var/adm/syslog(AIXの場合)
    3. /var/adm/messages*(Linuxの場合)
    4. /var/adm/syslog/syslog.log(HP-UXの場合)
    syslogファイルおよびsyslogファイル格納ディレクトリ
    1. /opt/hitachi/HNTRLib/spool
    2. /var/opt/hitachi/HNTRLib2/spool
    統合トレースログ
    /var/opt/jp1ajs2/jobinfジョブ情報格納ディレクトリ
    /var/opt/jp1ajs2/logログファイル格納ディレクトリ
    /var/opt/jp1ajs2/log/_04.filelistファイルリスト
    /var/opt/jp1ajs2/log/_04.osinfoOS関連情報
    /var/opt/jp1ajs2/log/_04.processlistプロセスリスト
    /var/opt/jp1ajs2/log/ajsqlstatus.txtajsqlstatusコマンドの実行結果
    /var/opt/jp1ajs2/log/_04.backtraceバックトレース情報
    /var/opt/jp1ajs2/log/jpomanevshow.txtjpomanevshowコマンドの実行結果
    /var/opt/jp1ajs2/sysシステムファイル格納ディレクトリ
    /var/opt/jp1ajs2/tmp/schedule/pd*.trc組み込みDBトレース情報
    1. /var/opt/jp1ajs2cm/log
    2. /var/opt/jp1ajs2v/log
    3. /var/opt/jp1base/log
    ログファイル格納ディレクトリ
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JA*※2/conf組み込みDB定義ファイル
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JA*※2/spool組み込みDB障害調査ファイル
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JA*※2/etcその他,調査に必要な組み込みDB情報
注※1
-fオプションを省略した場合の出力先です。
注※2
"_JA*"は組み込みDBの識別子(_JA0, _JA1, _JA2 ・・・)です。識別子ごとのディレクトリが作成されます。
  • 第二報用資料(/tmp/jp1ajs2/trouble/JP1_DEFAULT_2nd.tar.Z※1
    採取された資料のディレクトリ名・ファイル名内容
    1. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CAERDIR/coreinfo-ISAM.shmdump.tar.Z※2
    2. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CARDIR/coreinfo-Scheduler.shmdump.tar.Z※2
    3. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CARDIR/../../core.Z※2
    4. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CARDIR/../../coreinfo-analyze.tar.Z※2
    5. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CARDIR/ProgMon.shmdump
    ISAMおよびスケジューラーが使用する共有メモリー情報,コアダンプファイル,共有ライブラリー情報
    1. /var/opt/jp1ajs2/database
    2. /var/opt/jp1ajs2cm/database
    3. /tmp/jp1ajs2/trouble※1¥embdatabase/_JA*※3
    データベース格納ディレクトリ
    /var/opt/jp1ajs2rp/sysシステムファイル格納ディレクトリ
    /追加採取資料※4追加採取資料
注※1
-fオプションを省略した場合の出力先です。
注※2
採取されたコアダンプファイルがあるディレクトリと同じパスに出力されます。
注※3
"_JA*"は組み込みDBの識別子(_JA0, _JA1, _JA2 ・・・)です。識別子ごとのディレクトリが作成されます。
注※4
追加採取する資料を引数で指定した場合に採取します。
論理ホストの場合
  • 第一報用資料(/tmp/jp1ajs2/trouble/論理ホスト名_1st.tar.Z※1
    採取された資料のディレクトリ名・ファイル名内容
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/backupバックアップファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/conf構成定義ファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/jobinfジョブ情報ファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/logログファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/sysシステムファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/tmp作業ファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1base/conf構成定義ファイル格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1base/logログファイル格納ディレクトリ
    1. /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/
    2. jpomanevshow.txt
    jpomanevshowコマンドの実行結果
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JA*※2/conf組み込みDB定義ファイル
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JA*※2/spool組み込みDB障害調査ファイル
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JA*※2/etcその他,調査に必要な組み込みDB情報
注※1
-fオプションを省略した場合の出力先です。
注※2
"_JA*"は組み込みDBの識別子(_JA0, _JA1, _JA2 ・・・)です。識別子ごとのディレクトリが作成されます。
  • 第二報用資料(/tmp/jp1ajs2/trouble/論理ホスト名_2nd.tar.Z※1
    採取された資料のディレクトリ名・ファイル名内容
    /tmp/jp1ajs2/trouble※1/CARDIR_論理ホスト名/ProgMon.shmdump共有メモリーダンプ
    1. /共有ディレクトリ名/jp1ajs2/database
    2. /共有ディレクトリ名/jp1ajs2cm/database
    3. /tmp/jp1ajs2/trouble※1/embdatabase_論理ホスト名/_JA*※2
    データベース格納ディレクトリ
    /共有ディレクトリ名/jp1ajs2rp/sysシステムファイル格納ディレクトリ
注※1
-fオプションを省略した場合の出力先です。
注※2
"_JA*"は組み込みDBの識別子(_JA0, _JA1, _JA2 ・・・)です。識別子ごとのディレクトリが作成されます。