4.1.5 ファイル監視ジョブ使用時に設定する監視間隔
ファイル監視ジョブを使用するときに設定する,監視間隔時間の見積もりについて説明します。JP1/AJS2で,同時に多数のファイル監視ジョブを同じ監視間隔値で実行すると,設定した監視間隔の時間内にすべてのジョブに対する処理が終了しない,という状態が発生します。このような状態で運用を続けていると,ファイルの更新が設定した間隔時間ごとに正しく監視されていないため,監視対象ファイルの更新からイベントの発生までに監視間隔値以上の時間が掛かるなどの現象が発生します。そのため,次に示す見積もり式を利用して,多数のファイル監視ジョブを実行する場合に設定する監視間隔時間を算出してください。
- <この項の構成>
- (1) 監視間隔時間の見積もり式
- (2) ファイル監視ジョブに設定する監視間隔時間の見積もり例
(1) 監視間隔時間の見積もり式
次の見積もり式で値の大きい方を監視間隔の値として設定してください。
- 見積もり式1 = (A*実行ジョブ数) + (Bの合計値)
- 見積もり式2 = (C*実行ジョブ数) + (Dの合計値) + (E*ピーク時の発生イベント数※) + ((F/ピーク時の発生イベント数)の合計値)
- 注※
- ピーク時の発生イベント数とは,1分当たりに成立するイベント数で最大のものを指します。
表4-2 ファイル監視ジョブ1個当たりの処理時間
| 監視対象ファイル名を完全名で指定している場合 | 監視対象ファイル名を 「*(ワイルドカード)」で指定している場合 |
---|
(登録時) | A 約0.1秒 | B 0.1秒 + 監視ファイルが10ファイル増えるごとに0.2秒加算する。 |
(監視中) | C 約0.02秒 | D 0.02秒 + ワイルドカードに該当するファイル数が10ファイル増えるごとに0.2秒加算する。※ |
(イベント発生時) | E 約0.9秒 | F 0.9秒 + 監視間隔以内に条件が成立する監視ファイルが一つ増えるごとに0.2秒加算する。 |
- 注※
- ワイルドカードに該当するファイル数は,監視中で最大となるファイル数で見積もってください。
- 注
- 使用しているハードウェアによって値が異なる場合があります。
(2) ファイル監視ジョブに設定する監視間隔時間の見積もり例
次に示す前提条件の場合の見積もり例を次に示します。
- 監視対象ファイル名を完全名で指定したファイル監視ジョブが97個ある。
- 監視対象ファイル名を「*(ワイルドカード)」で指定したファイル監視ジョブが3個ある(X,Y,Zとする)。
- 監視対象ファイル名を完全名で指定しているファイル監視ジョブのピーク時のイベント数を50件とする。
- ジョブXの監視対象のディレクトリに該当するファイルが最大35個存在し,監視間隔以内に20個のイベントが成立する。
- ジョブYの監視対象のディレクトリに該当するファイルが最大5個存在し,監視間隔以内に2個のイベントが成立する。
- ジョブZの監視対象のディレクトリに該当するファイルが最大9個存在し,監視間隔以内に9個のイベントが成立する。
- 見積もり式1の場合
- (0.1*97) +
- (0.1 + 0.2*(35/10)) + (0.1 + 0.2*(5/10)) + (0.1 + 0.2*(9/10))=9.7 + 0.8 + 0.2 + 0.28=10.98(秒)
- となり,小数点以下を切り上げて11秒とします。
- 見積もり式2の場合
- (0.02*97) + (0.02 + 0.2*(35/10)) + (0.02 + 0.2*(5/10)) + (0.02 + 0.2*(9/10)) + (0.9*50) + (0.9 + (0.2*20)) + (0.9 + (0.2*2)) + (0.9 + (0.2*9))=1.94 + 0.72 + 0.12 + 0.2 + 45 + 4.9 + 1.3 + 2.7=56.88(秒)
- となり,小数点以下を切り上げて57秒とします。
上記の見積もり式の例では,見積もり式2の値の方が大きいので,57秒以上の値を監視間隔時間として設定してください。