4.4.4 イベントジョブが出力するログのサイズを見積もる

イベントジョブを使用する場合,イベントジョブの実行数や監視条件の成立数などの運用形態によって,出力されるログのサイズが異なります。そのため,最低でも24時間分のログが保持できることを目安とし,1~3日分のログを保持できるように,イベントジョブの実行数などから,出力されるログのサイズ(概算値)を,あらかじめ見積もっておく必要があります。

イベントジョブのログのサイズは,ログファイルの面数とあわせて決定します。見積もった値は,構成定義ファイルを使用して定義します。イベントジョブのログ設定構成定義ファイルとして,次の書式に従ったテキストファイルを作成します。

[定義キー]
"定義パラメーター"=定義内容
"定義パラメーター"=定義内容
   :

ここでは,はじめに,イベントジョブのログ設定構成定義ファイルの定義パラメーターについて説明します。その後,プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)を求める算出式について説明します。

デフォルトのディスク容量と最大ディスク占有量については,「17.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

なお,イベントジョブのログサイズ設定の変更手順については,次の記述個所を参照してください。

Windowsの場合
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.8 イベントジョブのログサイズの設定の変更」
UNIXの場合
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.6 イベントジョブのログサイズの設定の変更」
<この項の構成>
(1) イベントジョブのログ設定構成定義パラメーター一覧
(2) プロセスごとのログのサイズを算出する
(3) イベント・アクション共通ログのサイズ変更

(1) イベントジョブのログ設定構成定義パラメーター一覧

定義パラメーターの一覧を次の表に示します。

表4-14 イベントジョブのログ設定構成定義パラメーター一覧

キー定義パラメーター定義内容
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMMANAGER¥LOG]"LogSize"=ログサイズ
(イベントジョブマネージャー共通)
"LogNumFiles"=ログの面数
(イベントジョブマネージャー共通)
"LogSize_jpomanager"=ログサイズ
(イベントジョブ各マネージャープロセス単位)
"LogSize_jpomgrsub"=
"LogNumFiles_jpomanager"=ログの面数
(イベントジョブ各マネージャープロセス単位)
"LogNumFiles_jpomgrsub"=
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT¥LOG]"LogSize"=ログサイズ
(イベントジョブエージェント共通)
"LogNumFiles"=ログの面数
(イベントジョブエージェント共通)
"LogSize_jpoagent"=ログサイズ
(イベントジョブ各エージェントプロセス単位)
"LogSize_jpoagtsub"=
"LogSize_jpocwtflMain"=
"LogSize_jpoeventwatch"=
"LogSize_jpoevsearch"=
"LogSize_jpocwttmMain"=
"LogSize_jpocwtmlmain"=
"LogSize_jpocwtmqmain"=
"LogSize_jpocwtmsmain"=
"LogSize_jpomldsk"=
"LogSize_jpomlsrv"=
"LogSize_jpomlapisend"=
"LogSize_jpomlapisend2"=
"LogSize_jpomlapirec"=
"LogSize_jpomlapirec2"=
"LogSize_jpomailrecv"=
"LogSize_jposupwth"=
"LogSize_jpomqsup"=
"LogSize_jpomqsgacs"=
"LogSize_jp1mqsup"=
"LogSize_jpocwtmqmaii"=
"LogSize_jpomsgacs"=
"LogNumFiles_jpoagent"=ログの面数
(イベントジョブ各エージェントプロセス単位)
"LogNumFiles_jpoagtsub"=
"LogNumFiles_jpocwtflMain"=
"LogNumFiles_jpoeventwatch"=
"LogNumFiles_jpoevsearch"=
"LogNumFiles_jpocwttmMain"=
"LogNumFiles_jpocwtmlmain"=
"LogNumFiles_jpocwtmqmain"=
"LogNumFiles_jpocwtmsmain"=
"LogNumFiles_jpomldsk"=
"LogNumFiles_jpomlsrv"=
"LogNumFiles_jpomlapisend"=
"LogNumFiles_jpomlapisend2"=
"LogNumFiles_jpomlapirec"=
"LogNumFiles_jpomlapirec2"=
"LogNumFiles_jpomailrecv"=
"LogNumFiles_jposupwth"=
"LogNumFiles_jpomqsup"=
"LogNumFiles_jpomqsgacs"=
"LogNumFiles_jp1mqsup"=
"LogNumFiles_jpocwtmqmaii"=
"LogNumFiles_jpomsgacs"=

それぞれの項目の詳細な定義内容を次に示します。

"LogSize"=dword:ログのサイズ
ログファイル一つのサイズをバイト単位の16進数で指定します。20000(128キロバイト)~40000000(1ギガバイト)の間で指定します。
ここで指定した値は,イベントジョブのマネージャープロセスまたはエージェントプロセスのすべてに影響します。
"LogNumFiles"=dword:ログの面数
幾つのファイルによってログをラップさせるのか(ログの面数)を16進数で指定します。2~10(10進数で2~16)の間で指定します。
ここで指定した値は,イベントジョブのマネージャープロセスまたはエージェントプロセスのすべてに影響します。
"LogSize_プロセス名"=dword:ログのサイズ
イベントジョブのマネージャーまたはエージェントの各プロセス単位にログのサイズを変更したい場合に,ログファイル一つのサイズをバイト単位の16進数で指定します。20000(128キロバイト)~40000000(1ギガバイト)の間で指定します。
プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)については,「(2) プロセスごとのログのサイズを算出する」を参照してください。
"LogNumFiles_プロセス名"=dword:ログの面数
イベントジョブのマネージャーまたはエージェントの各プロセス単位にログの面数を変更したい場合に,ログの面数を16進数で指定します。2~10(10進数で2~16)の間で指定します。

イベントジョブの各プロセスが起動するときに,ログのサイズおよび面数を次に示す優先順位に従って決定します。

  1. 各プロセス単位の指定
    「LogSize_プロセス名」,または「LogNumFiles_プロセス名」に指定されている値
  2. イベントジョブ共通の指定
    LogSize,またはLogNumFilesに指定されている値
  3. 各プロセスが持つデフォルト値
    次の表に示すような各プロセスが固有に持っているデフォルト値

表4-15 イベントジョブの各プロセスとログのデフォルト値

種別プロセス名プラットフォームログのデフォルト値
(括弧内はJP1/AJS2のインストール,セットアップ時に設定する値)
WindowsUNIXログサイズログの面数
マネージャーjpomanager640キロバイト
(2,048キロバイト)
8面
(6面)
jpomgrsub640キロバイト(1,024キロバイト)6面
(8面)
エージェントjpoagent384キロバイト
(1,024キロバイト)
8面
(8面)
jpoagtsub
jpocwtflMain1,280キロバイト
(2,048キロバイト)
6面
(6面)
jpoeventwatch640キロバイト
(1,024キロバイト)
4面
(8面)
jpocwttmMain128キロバイト
(256キロバイト)
2面
(6面)
jpocwtmlmain128キロバイト
(128キロバイト)
2面
(2面)
jpoevsearch
jpocwtmqmain
jpocwtmsmain
jpomldsk
jpomlsrv
jpomlapisend
jpomlapisend2
jpomlapirec
jpomlapirec2
jpomailrecv
jposupwth
jpomqsup
jpomqsgacs
jp1mqsup
jpocwtmqmaii
jpomsgacs
(凡例)
○:プロセスがある。
-:プロセスがない。

イベントジョブのログのファイル名は,次のように決定されます。

  プロセス名[1|2|3|...].log

(例)プロセス「jpoagent」のログファイル名

 jpoagent1.log
 jpoagent2.log
  :
 jpoagent8.log

イベントジョブのログの出力先は,Windowsの場合は「JP1/AJS2のインストール先フォルダ¥log」,UNIXの場合は「/var/opt/jp1ajs2/log」です。ログの種類の詳細については,「17.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

(2) プロセスごとのログのサイズを算出する

プロセスごとに設定するログのサイズ(概算値)を求める算出式を次の表に示します。なお,これらの算出式で求めた値は目安です。運用環境などによって変わるおそれもあります。

表4-16 イベントジョブの各プロセスのログサイズ(概算値)

プロセス名算出式(単位:バイト)
jpomanager表4-17を参照してください。
jpomgrsub表4-17を参照してください。
jpoagent表4-18を参照してください。
jpoagtsub表4-18を参照してください。
jpocwtflMain表4-19を参照してください。
jpoeventwatch
  • JP1イベント受信監視ジョブの実行数*4,000
  • JP1/AJS2を起動した論理ホスト上で発生するJP1イベント数*1,200
  • JP1イベント受信監視ジョブの監視条件成立数*3,800
  • JP1イベント受信監視ジョブの監視条件成立数*(マクロ変数数*(マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)))
jpoevsearch実行前のイベント検索機能を使用しているJP1イベント受信監視ジョブの実行数 * 700
jpocwttmMain表4-20を参照してください。
jpocwtmlmain
(Windowsの場合)
Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール受信監視ジョブの監視条件成立数*2,800
jpocwtmlmain
(UNIXの場合)
UNIX版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール受信監視ジョブの監視条件成立数*7,400
jpocwtmqmain
(Windowsの場合)
Windows版メッセージキュー連携使用時にだけ作成されます。
メッセージキュー受信監視ジョブの監視条件成立数*2,800
jpocwtmqmain
(UNIXの場合)
UNIX版メッセージキュー連携使用時にだけ作成されます。
(メッセージキュー監視間隔ごと*400) + (受信監視ジョブの監視条件成立数*2,900)
jpocwtmsmainMSMQ連携使用時にだけ作成されます。
MSMQ受信監視ジョブの監視条件成立数*2,800
jpomldskWindows版メールシステム連携(デスクトップ上)使用時にだけ作成されます。
(メール送信ジョブの実行数*200) + (メール監視間隔ごと*400)
jpomlsrvWindows版メールシステム連携(サービス上)使用時にだけ作成されます。
(メール受信監視ジョブの監視条件成立数*400) + (メール送信ジョブの実行数*200)
jpomlapisend※1Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール送信ジョブの実行数*2,800
jpomlapisend2※2Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メール送信ジョブの実行数*2,800
jpomlapirec※1Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
2,800(メール受信監視ジョブを実行している場合,1回の監視間隔ごと)
jpomlapirec2※2Windows版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
2,800(メール受信監視ジョブを実行している場合,1回の監視間隔ごと)
jpomailrecvUNIX版メールシステム連携使用時にだけ作成されます。
メールサーバへのメール到着数*1,200
jposupwthWindows版TP1/Message Queue連携使用時にだけ作成されます。
SUP開始時:1,200 + SUP停止時:200
jpomqsupWindows版TP1/Message Queue連携使用時にだけ作成されます。
(メッセージ送信ジョブの実行数*1,600) + (受信監視ジョブの監視条件成立数*800) + (メッセージキュー起動条件成立数*1,200)
jpomqsgacsWindows版MQSeries連携使用時にだけ作成されます。
メッセージキュー受信監視ジョブの監視条件成立数*1,200
jp1mqsupUNIX版MQSeries連携使用時にだけ作成されます。
(メッセージキュー監視間隔ごと*(監視するメッセージキュー数*200 + 400)) + (メッセージキュー受信監視ジョブの監視条件成立数*2,000)
jpocwtmqmaiiUNIX版TP1/Message Queue連携使用時にだけ作成されます。
算出式はjp1mqsupと同じです。
jpomsgacsMSMQ連携使用時にだけ作成されます。
(メッセージキュー監視間隔ごと*(監視するメッセージキュー数*400 + 800)) + (メッセージキュー受信監視ジョブの監視条件成立数*400)
注※1
メールシステム連携の設定の[メール連携機能]で[サービス上で使用する]を指定した場合,または[メール連携機能]で[デスクトップ上で使用する]を指定,かつ[メールクライアントソフト]で「Outlook2000以前」を指定した場合。
注※2
メールシステム連携の設定の[メール連携機能]で[デスクトップ上で使用する]を指定,かつ[メールクライアントソフト]で[Outlook2002以降]を指定した場合。

表4-17 マネージャーログ出力サイズ

事象算出式(単位:バイト)
jpomanagerjpomgrsub
イベントジョブ登録3,3502,300
発生1,9001,550
起動条件登録1,150 + (2,600*起動条件内イベント数)750 + (750*起動条件内イベント数)
発生起動条件未成立3,4002,250
起動条件成立3,8502,250
注※
「起動条件内イベント数」は,起動条件内に定義されたイベントジョブの数です。最大で32個です。

表4-18 エージェントログ出力サイズ(1ジョブ当たり)

事象算出式(単位:バイト)
jpoagentjpoagtsub
イベントジョブ登録2,1041,285
発生7351,356
起動条件登録2,1041,285
起動条件成立7351,356

表4-19 ファイル監視ログ出力サイズ(1ジョブ当たり)

事象算出式(単位:バイト)
監視対象ファイル名を
完全名指定
監視対象ファイル名を
ワイルドカード(*)指定
イベントジョブ登録3,3005,000
イベント発生4,500 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024))4,500 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024))
起動条件登録3,3005,000
イベント発生2,800 + (マクロ変数サイズ+マクロ変数データサイズ(上限は,1,024))(2,800 + (マクロ変数サイズ + マクロ変数データサイズ(上限は,1,024)))*イベント発生数
終了1,0001,000

表4-20 実行間隔制御ログ出力サイズ(1ジョブ当たり)

事象算出式(単位:バイト)
イベントジョブ登録2,600
イベント発生2,300
起動条件登録2,600
イベント発生2,300*イベント発生数
終了1,000
イベントジョブに打ち切り時間が指定された場合登録1,200
イベント発生2,300
注※
実行間隔制御ジョブを含む各イベントジョブに打ち切り時間が指定された場合,実行間隔制御ログに上記の値のログが出力されます。

(3) イベント・アクション共通ログのサイズ変更

イベント・アクション共通ログのサイズを変更する手順を次に示します。

  1. イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)を作成する。
    保存場所を次に示します。
    Windowsの場合
    JP1/Baseのインストール先フォルダ¥log¥jpocommonerr.dat
    UNIXの場合
    /var/opt/jp1base/log/jpocommonerr.dat
  2. イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)にログサイズを定義する。
    イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)に,次に示す書式に従ってログサイズを指定します。指定したログサイズは即時に反映されます。
    LogSize:ログサイズ
    ログサイズはバイト単位の10進数で指定します。指定できる値は,1,048,576~1,073,741,824(1ギガバイト)です。誤った値を指定した場合は,デフォルト値(1,048,576バイト)が仮定されます。
    イベント・アクション共通ログファイルの作成例を次に示します。ログサイズを2,048キロバイトにするときの指定例です。
     
    LogSize:2097152

なお,クラスタ構成の場合にも,イベント・アクション共通ログは物理ホスト上のログファイルに出力されるため,両方の物理ホスト上でサイズを設定してください。また,サイズ設定をデフォルト(1,024キロバイト)に戻す場合は,イベント・アクション共通ログサイズ指定ファイル(jpocommonerr.dat)を削除してください。変更は即時に反映されます。

イベント・アクション共通ログ出力サイズ(概算値)を求める算出式を,次の表に示します。

表4-21 イベント・アクション共通ログ出力サイズ(1処理当たり)

事象算出式(単位:バイト)
イベントジョブ登録1,024
発生512
強制終了1,024
起動条件登録( 3 + 起動条件内に定義しているイベントジョブ数 * 2) * 512
起動条件成立時
ANDの場合
( 4 + 起動条件内に定義しているイベントジョブ数 * 2) * 512
ORの場合
4,096
強制終了2,048
JP1/AJS2の起動停止マネージャーホスト再起動( スケジューラーサービス数 + 登録中の全起動条件付きジョブネット数 * 6 + 登録中の全イベントジョブ数 * 2) * 512
アクションジョブ登録1,024
クラスタ運用時にもデフォルトのフォルダに出力されます。そのため,イベント・アクション共通ログ出力サイズは,上記の値を論理ホストと物理ホストそれぞれで計算し,結果を合計してください。