4.1.4 起動条件の処理性能
JP1/AJS2で,起動条件付きジョブネットを起動すると,エージェントホストで,監視プロセスがイベント監視に入ります。起動条件によるイベント監視では,監視期間内に発生したイベントをすべて検知します。
ここでは,起動条件付きジョブネットの,イベント監視の処理性能の見積もりと,見積もりに基づいた起動条件の設定について説明します。
起動条件付きジョブネットの,イベント監視の処理性能は,一つのイベント監視ジョブが,1件のイベント発生から次のイベントを処理できるようになるまでの時間で見積もれます。見積もり時間よりも短い時間内にイベントが発生するような場合,起動条件がボトルネックとなり,ジョブネットの処理時間の低下を引き起こすおそれがあります。イベント発生頻度が事前に予測できる場合,予測した時間よりも短い時間内にイベントが発生しないような監視条件を設定することを推奨します。
また,複数のイベント監視に対して,ほぼ同時に複数のイベントが発生する場合にも,同じようにボトルネックとなるおそれがあります。同時に発生するおそれのあるイベントを,起動条件で監視することは避けてください。
なお,起動条件のイベント1件当たりの処理時間は約0.6秒ですが,使用しているハードウェアなどによって異なります。
また,マネージャーホストでの単位時間当たりのイベント発生数で,マネージャーホストの起動条件についての処理能力を見積もれます。マネージャーホストに通知されるイベントの発生数が,次に示す式で算出される値を十分に下回るような運用を推奨します。起動条件の処理性能を見積もるときの計算式を次に示します。
- ジョブネット登録時
- イベントジョブが実行可能となる時間 = 起動条件中のイベントジョブ数※*0.8(単位:秒)
- 注※
- 同時に実行登録される起動条件付きジョブネット中のイベントジョブの総数です。
- イベント発生時
- 処理可能な起動条件付きジョブネット中のイベントジョブの件数(単位:数) = 単位時間 / 0.6(単位:秒)
- (例:60秒間で処理できる起動条件付きジョブネット中のイベントジョブの件数を算出する場合)
- 60 / 0.6 = 100
- 60秒間に処理できる起動条件付きジョブネット中のイベントジョブの数は,100です。上記の式で算出した値(「処理可能な起動条件付きジョブネット中のイベントジョブの件数」)が,ピーク時の性能(イベントジョブだけを実行させる場合に処理できる数)です。
- なお,イベントの発生量は,ピーク時も含めて1マネージャーホスト当たり1時間で1,000件以内の発生量になるようにしてください。
- イベント順序保証オプションを使用した場合の性能
- イベント順序保証オプションを使用した場合,エージェントはマネージャーにイベントを通知すると,マネージャーからの返信があるまで次のイベントを通知しません。マネージャーからの返信の有無を確認する処理は,一定時間(10秒)ごとに行い,次のイベントを通知するのは,マネージャーからの返信の確認後になります。そのため,1時間当たりのイベント処理の最大件数は360件となります。
- イベント順序保証オプションを使用した実際の運用では,運用しているシステムでのイベントの発生状況にもよりますが,1時間当たりのイベント処理件数を180件として見積もることをお勧めします。
- 注意事項
- 上記の計算式は,JP1/AJS2 - Managerのバージョンが07-00以降であれば,エージェントのバージョンに関係なく使用できます。また,エージェントのバージョンが06-71以前と07-00以降で混在している場合も,同様に計算式を使用できます。