16.1 クラスタシステムの概要

クラスタシステムとは,複数のサーバシステムを連携して一つのシステムとして運用するシステムで,障害が発生しても業務を継続できるようにすることを目的としています。業務を実行中のサーバで障害が発生すると,待機していた別のサーバが業務の処理を引き継ぎます。これによって,障害発生時の業務の中断を防ぎます。

クラスタシステムを構成するそれぞれのサーバシステムのうち,業務を実行中のシステムを実行系,実行系の障害時に業務を引き継げるよう待機しているシステムを待機系と呼びます。障害が発生したときに,業務を実行するサーバを実行「」から待機「系」に切り替えるため,クラスタシステムのことを「系切り替えシステム」とも呼びます。

JP1/AJS2では,システムに障害が発生した場合のほか,JP1/AJS2サービスプロセスに障害が発生した場合にもクラスタ運用できます。また,JP1/AJS2では,共有ディスクやIPアドレスの引き継ぎをすることによって,クラスタ運用できるようにしています。

ここでは,JP1/AJS2がサポートするクラスタシステムの前提条件,システム構成,クラスタ運用時の処理の流れ,フェールオーバーが発生したときの対処方法を説明します。なお,クラスタ運用する場合のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 9. クラスタシステム運用時のセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 18. クラスタシステム運用時のセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。

ユーザープログラムを使うジョブを定義している場合の補足事項
ユーザープログラムを使うジョブを定義している場合,例えば,データベース更新ジョブを再実行すると二重更新になったり,印刷ジョブを再実行すると同じものが2回印刷されたりします。実行ロギングを出力したり,複数回実行させたりしないように判定ジョブを定義するなどして,フェールオーバー時の運用に対応させておくことをお勧めします。
<この節の構成>
16.1.1 JP1/AJS2の前提条件とサポート範囲
16.1.2 JP1/AJS2がサポートするシステム構成