1.3 JP1/AJS2でやりたいことと使用する機能

JP1/AJS2の設計および運用を効率良く実施するには,JP1/AJS2が提供する機能を理解しておく必要があります。それぞれの機能の概要については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 解説 1. 概要」を参照してください。

ここでは,JP1/AJS2を使用したシステムを運用するには,JP1/AJS2が提供する機能の中で,どのような機能を使用すればよいかについて紹介します。また,一つの機能だけでなく,複数の機能を使用して実現できることも紹介します。

業務の設計前にやりたいことを実現する機能を知っておくと,業務の設計段階(自動化する処理の検討段階)で,どのような処理形態や順番などにすればよいのかのヒントになり,効率良く業務の設計ができます。また,運用中にどのような機能を用いて操作すればよいかのヒントにもなり,運用中の作業を効率良く実施できます。

JP1/AJS2でやりたいことと使用する機能の対応を,次の表に示します。

表1-2 JP1/AJS2でやりたいことと使用する機能の対応表

JP1/AJS2でやりたいことやりたいことを実現するJP1/AJS2の機能
ジョブネット,ネストジョブネット,またはジョブが実行開始した時刻から何分経過しても実行が終了しないという遅延を検知したい。
  • ジョブネット実行所要時間による終了遅延監視機能
  • ジョブ実行所要時間による終了遅延監視機能
週の初めにジョブネットを実行したい。開始日を,曜日指定の第1月曜日とします。
処理サイクルは1週ごとに実行するにします。
休業日の場合の振替方法を,次の運用日に振り替えます。
  • ジョブスケジューラー機能
  • 処理サイクル
  • 休業日の振替
週の第2運用日にジョブネットを実行したい。開始日を,曜日指定の第1月曜日とします。
処理サイクルは1週ごとに実行するにします。
休業日の場合の振替方法は,次の運用日に振り替えます。
起算スケジュールで起点日の1日後にします。
  • ジョブスケジューラー機能
  • 起算スケジュール
休日の前日にジョブネットを実行したい。休業日の場合の振替方法を,前の運用日に振り替えます。
  • ジョブスケジューラー機能
  • 休業日
  • 休業日の振替
一定時間ごとにジョブネットを実行したい。起動条件を設定して実行間隔ジョブを定義します。
  • 起動条件
  • 実行間隔制御ジョブ
一定時間ごとにジョブネットを実行したい。このとき,前回分がまだ実行中の場合は,新たなジョブネットを起動しないようにしたい。スケジュールを間隔ごとに複数設定します(例えば,1時間ごと,8時,9時,10時…)。
スケジューリング方式をスケジュールスキップにします。
  • ジョブスケジューラー機能
  • スケジュールルール
  • スケジュールスキップ
運用中にジョブネットの定義内容を変更したい。ジョブネットをサスペンドして定義編集します。
  • サスペンド
JP1イベントの内容を後続のジョブに引き継がせたい。JP1イベント受信監視ジョブにマクロ変数を設定します。
後続ジョブのパラメーターなどの定義にマクロ変数を指定します。
  • イベントジョブ
  • マクロ変数
スケジュールの異なる複数のルートジョブネットをグループとしてまとめて一つのジョブネットのようにして業務を実行したい。プランニンググループ
任意のホストからのJP1イベントを受信したい。JP1イベント受信監視ジョブ
ファイルの作成,削除,および更新を検知したい。ファイル監視ジョブ
ジョブネットの実行時,任意のファイルが存在したら,ジョブネットを実行させるようにしたい。
  • ファイル監視ジョブ
  • 判定ジョブ
先行するイベントジョブの情報を使用して,後続の処理(ジョブ,ジョブネット)を実行したい。イベントジョブの受信情報の引き継ぎ
特定のフォルダに転送されてくる,ファイル名が不特定なファイルを使用して処理(ジョブ,ジョブネット)を実行したい。
  • 起動条件
  • ファイル監視ジョブ
  • イベントジョブの受信情報の引き継ぎ
特定の差出人からのメールや,特定の件名のメールを契機として処理(ジョブ,ジョブネット)を実行したい。
  • メールシステム連携
  • メール受信監視ジョブ
メッセージキューシステム(TP1/Message Queue,MQSeries,およびMSMQ)からのメッセージを受信したい。
  • メッセージキューシステム連携
  • メッセージキュー受信監視ジョブ
  • MSMQ受信監視ジョブ
ユーザーのログファイルやsyslogに出力される特定のデータを監視したい。ログファイル監視ジョブ,またはJP1/Baseのログファイルトラップ機能とJP1イベント受信監視ジョブの組み合わせ
Windowsイベントログに出力されるメッセージを監視したい。Windowsイベントログ監視ジョブ,またはJP1/Baseのイベントログトラップ機能とJP1イベント受信監視ジョブの組み合わせ
ジョブとジョブの間隔を一定時間空けて実行したい。または,一定間隔でジョブネットを実行したい。実行間隔制御ジョブ
任意のホストにJP1イベントを送信したい。JP1イベント送信ジョブ
ジョブやジョブネットが終了した場合,またはシステムに異常が発生したときに,メールで通知して欲しい。
  • メールシステム連携
  • メール送信ジョブ
ジョブやジョブネットが終了した場合,またはシステムに異常が発生したときに,メッセージキューシステム(TP1/Message Queue,MQSeries,およびMSMQ)にメッセージを送信して欲しい。
  • メッセージキューシステム連携
  • メッセージキュー送信ジョブ
  • MSMQ送信ジョブ
先行のジョブやジョブネットが終了したら,自動的に電源をオフにしたい。
  • JP1/Power Monitor連携
  • ローカル電源制御ジョブ
エージェントホストでジョブやジョブネットを実行する前に,そのエージェントホストの電源を自動的にオンにしたい。
  • JP1/Power Monitor連携
  • リモート電源制御ジョブ
JP1/Cm2やhp OpenViewを使用して,JP1/AJS2の運用状態やジョブの実行状態を監視したい。
  • JP1/Cm2またはhp OpenView連携
  • JP1/Cm2状態通知ジョブ
イベントジョブ監視時,一定時間以内にイベントが発生しなかったら監視を打ち切って後続の処理(ジョブ,ジョブネット)を実行したい。打ち切り時間指定
一定時間の範囲内に発生した事象(イベント)だけを検知して,同じ処理(ジョブ,ジョブネット)を複数回実行したい。
  • 起動条件
  • 起動条件の有効範囲
ルートジョブネットの実行順序を制御したい。
  • ジョブネットコネクタ