3.4.4 複数LANの構成例と通信設定

複数のLANに接続されたホストでクラスタ運用しない場合,送受信の両方の通信方式にANYバインド方式が使用できるため,複数のLANに接続されたホストには,06-51以前のJP1/Base,およびJP1/AJS2を使用することができます。

クラスタ運用する場合,複数のLANに接続されたホストには,06-71以降のJP1/Base,およびJP1/AJS2を使用する必要があります。さらに,通信方式の受信にはIPバインド方式を,送信にはANYバインド方式を設定し,jp1hostsを利用して論理ホスト名に複数のIPアドレスを対応づける必要があります。

また,複数のLANに接続されたホストに向かって接続するホストでは,接続先ホストのホスト名をIPアドレスに変換しておく必要があります。例えば,図3-26のような構成の場合,ホストLANB_CからホストLANA_BのIPアドレスを取得しようとした場合,LANB_BというIPアドレスが取得されるようにしておく必要があります。

共通のhostsファイルを配布したり,DNSを利用したりしているなどの場合で,ホストLANB_CからホストLANA_BのIPアドレスを取得しようとしても,LANB_BのIPアドレスが取得できない環境では,ホストLANB_Cに06-71以降のJP1/Base,およびJP1/AJS2を使用してください。さらに,jp1hostsを利用して,ホストLANA_BにLANB_BのIPアドレスを対応づけてください。

図3-26 複数LANに接続されたマシンに向かって接続する場合のシステム構成例

[図データ]

次に,複数のLANに接続した環境(ネットワークを分離した環境)で,クラスタ運用しない場合とクラスタ運用する場合の接続例と通信設定について説明します。

<この項の構成>
(1) クラスタ運用しない場合の接続例と通信設定
(2) クラスタ運用する場合の接続例と通信設定

(1) クラスタ運用しない場合の接続例と通信設定

複数のLANに接続した環境(ネットワークを分離した環境)で,クラスタ運用しない場合の接続例と通信設定について説明します。JP1/AJS2 - Manager,JP1/AJS2 - Agent,およびJP1/AJS2 - Viewのそれぞれが,複数のLANに接続されている場合に分けて説明します。

補足事項
JP1/AJS2 Console機能を使用する場合も,同様のネットワーク構成をサポートします。この場合,JP1/AJS2 - ViewをJP1/AJS2 Console Viewに,JP1/AJS2 - ManagerをJP1/AJS2 Console Managerに,JP1/AJS2 - AgentをJP1/AJS2 Console Agentに置き換えて解釈してください。

(a) クラスタ運用しないでJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合

JP1/AJS2 - Managerが複数のLANに接続されている場合,LAN上にあるJP1/AJS2 - Agent,JP1/AJS2 - View,またはJP1/AJS2 - Managerと接続してJP1/AJS2を運用できます。

●JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続しLAN上のJP1/AJS2 - Agentと連携する場合

JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Agentと連携する場合,LAN上のJP1/AJS2 - Agentでジョブが実行できます。JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Agentでジョブを実行する場合の接続例を次の図に示します。

図3-27 JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Agentとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されています。それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Agentがインストールされています。

このシステム構成では,ホストhostXをマネージャーホストとして,管理LANにあるエージェントホストhost10,および業務LANにあるエージェントホストhostA,hostBに対して,ジョブが実行できます。

各ホストでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用していない場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhostXには,ホストhost10,hostA,およびhostBのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

●JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続しLAN上のJP1/AJS2 - Viewと連携する場合

JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Viewと連携する場合,LAN上のJP1/AJS2 - Viewからジョブネットやジョブを操作することができます。JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Viewからジョブネットやジョブを操作する場合の接続例を次の図に示します。

図3-28 JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Viewとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されています。それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Viewがインストールされています。

このシステム構成では,ホストhostXのマネージャーホストに対し,管理LANにあるホストhost10,および業務LANにあるホストhostA,hostBのJP1/AJS2 - Viewから,ジョブネット,またはジョブを操作することができます。

ホストhostXでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用していない場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhost10,hostA,hostBは,ホストhostXのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

注意事項
JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXの受信をIPバインド方式にした場合は,ホストhostXのホスト名に対して,管理LAN側のIPアドレスと,業務LAN側のIPアドレスの両方を,jp1hostsに設定する必要があります。

●JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続しLAN上のJP1/AJS2 - Managerと連携する場合

JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Managerと連携する場合,LAN上のJP1/AJS2 - Managerでリモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりできます。

JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Managerでリモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりする場合の接続例を次の図に示します。

図3-29 JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Managerとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されています。それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Managerがインストールされています。

このシステム構成では,ホストhostXのマネージャーホストから,管理LANにあるマネージャーホストhost10,および業務LANにあるマネージャーホストhostA,hostBに接続して,リモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりできます。

ホストhost10,hostA,hostBでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用していない場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhostXには,ホストhost10,hostA,およびhostBのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

(b) クラスタ運用しないでJP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続してジョブを実行する場合

JP1/AJS2 - Agentが複数のLANに接続されている場合,LAN上のJP1/AJS2 - Managerからジョブを実行できます。

JP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Managerからジョブを実行する場合の接続例を次の図に示します。

図3-30 JP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Managerとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - AgentがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されています。それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Managerがインストールされています。

このシステム構成では,ホストhostXをエージェントホストとして,管理LANにあるマネージャーホストhost10,および業務LANにあるマネージャーホストhostA,hostBから,ジョブを実行できます。

各ホストでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用していない場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhostXには,ホストhost10,hostA,およびhostBのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

(c) クラスタ運用しないでJP1/AJS2 - Viewを複数のLANに接続してジョブネットおよびジョブを操作する場合

JP1/AJS2 - Viewが複数のLANに接続されている場合,LAN上のJP1/AJS2 - Managerからジョブネットおよびジョブを操作することができます。

JP1/AJS2 - Viewを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Managerからジョブネットおよびジョブを操作する場合の運用例を次の図に示します。

図3-31 JP1/AJS2 - Viewを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Managerとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ViewがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されています。それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Managerがインストールされています。

このシステム構成では,ホストhostXのJP1/AJS2 - Viewから,管理LANにあるマネージャーホストhost10,および業務LANにあるマネージャーホストhostA,hostBに接続して,ジョブネット,またはジョブを操作することができます。

ホストhost10,hostA,hostBでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用していない場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhostXは,ホストhost10,hostA,hostBのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

(2) クラスタ運用する場合の接続例と通信設定

複数のLANに接続した環境(ネットワークを分離した環境)で,クラスタ運用する場合の接続例と通信設定について説明します。JP1/AJS2 - Manager,およびJP1/AJS2 - Agentのそれぞれが,複数のLANに接続されている場合に分けて説明します。

補足事項
JP1/AJS2 Console機能を使用する場合も,同様のネットワーク構成をサポートします。この場合,JP1/AJS2 - ViewをJP1/AJS2 Console Viewに,JP1/AJS2 - ManagerをJP1/AJS2 Console Managerに,JP1/AJS2 - AgentをJP1/AJS2 Console Agentに置き換えて解釈してください。
なお,JP1/AJS2 Console ViewからJP1/AJS2 Console Managerへの接続,JP1/AJS2 Console ManagerからJP1/AJS2 Console Agentへの接続の際には,それぞれ接続先ホストの受信側のバインド方式の設定によって次のように動作します。
受信をIPバインド方式にしたホストがある場合
物理ホスト,論理ホストにかかわらず,接続時に指定したIPアドレスと一致したホストに接続します。
物理ホストの受信をANYバインド方式にしている場合
論理ホストすべてに対してIPアドレスで解決できないかぎり,物理ホストに接続します。

(a) クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合

クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Managerを複数のLANと接続する場合,LAN上にあるJP1/AJS2 - Manager,JP1/AJS2 - Agent,またはJP1/AJS2 - Viewと接続して,JP1/AJS2を運用できます。

●クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続しLAN上のJP1/AJS2 - Agentと連携する場合

クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Agentと連携する場合,物理ホストおよび論理ホストのどちらのホストからでもLAN上のJP1/AJS2 - Agentでジョブが実行できます。クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Agentでジョブを実行する場合の接続例を次の図に示します。

図3-32 クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Agentとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されていて,クラスタ運用されています。また,それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Agentがインストールされていて,物理ホストhostX,論理ホストhostLのどちらのホストからもエージェントホストとして定義されています。

このシステム構成では,物理ホストhostX,または論理ホストhostLをマネージャーホストとして,管理LANにあるエージェントホストhost10,および業務LANにあるエージェントホストhostA,hostBに対して,ジョブが実行できます。

各ホストでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用する場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

●クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続しLAN上のJP1/AJS2 - Viewと連携する場合

クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Viewと連携する場合,LAN上のJP1/AJS2 - Viewから,物理ホストおよび論理ホストのどちらのホストに対してでも,ジョブネットやジョブを操作することができます。クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Viewからジョブネットやジョブを操作する場合の接続例を次の図に示します。

図3-33 クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Viewとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されていて,クラスタ運用されています。また,それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Viewがインストールされています。

このシステム構成では,物理ホストhostX,および論理ホストhostLのマネージャーホストに対して,管理LANにあるホストhost10,および業務LANにあるホストhostA,hostBから,ジョブネット,またはジョブを操作することができます。

ホストhostXの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用する場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhost10,hostA,hostBは,ホストhostXまたはhostLのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

注意事項
JP1/AJS2 - Managerのサービスが起動されていなくても,JP1/AJS2 - ViewとJP1/AJS2 - Managerを接続することができます。そのため,サービスの起動有無にかかわらず(例えば,物理のサービスを使用しない運用でも),ホストhostXの設定情報に従って,次のルールで接続します。
受信をIPバインド方式にしたホストがある場合
物理ホスト,論理ホストにかかわらず,JP1/AJS2 - ViewからログインしたときのIPアドレスと一致したホストに接続します。
物理ホストの受信をANYバインド方式にしている場合
論理ホストすべてに対してIPアドレスで解決できないかぎり,物理ホストに接続します。

●クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続してLAN上のJP1/AJS2 - Managerと連携する場合

JP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Managerと連携する場合,LAN上のJP1/AJS2 - Managerから物理ホスト,または論理ホストに対して,リモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりできます。

クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Managerでリモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりする場合の接続例を次の図に示します。

図3-34 クラスタ運用でJP1/AJS2 - Managerを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Managerとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - ManagerがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されていて,クラスタ運用されています。また,それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Managerがインストールされています。

このシステム構成では,物理ホストhostX,または論理ホストhostLのマネージャーホストに対して,管理LANにあるマネージャーホストhost10,および業務LANにあるhostA,hostBから,リモートジョブネットを実行したり,スケジューラーコマンドをリモート実行したりできます。

ホストhostXでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用する場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。

なお,ホストhost10,hostA,hostBは,ホストhostXまたはhostLのホスト名が解決できるOSの環境が必要です。

注意事項
リモートジョブネットの実行,およびスケジューラーコマンドのリモート実行時のJP1/AJS2 - Manager同士の接続は,JP1/AJS2 - Viewからの接続ルールと同じです。

(b) クラスタ運用でJP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続してジョブを実行する場合

クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続して,LAN上のJP1/AJS2 - Managerと連携する場合,JP1/AJS2 - Managerから,物理ホストおよび論理ホストのどちらのホストに対してもジョブが実行できます。クラスタ運用で,JP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続して,JP1/AJS2 - Managerからジョブを実行する場合の接続例を次の図に示します。

図3-35 クラスタ運用でJP1/AJS2 - Agentを複数のLANに接続する場合の例(JP1/AJS2 - Managerとの接続)

[図データ]

JP1/AJS2 - AgentがインストールされているホストhostXが,複数のLANに接続されていて,クラスタ運用されています。また,それぞれのLANには,JP1/AJS2 - Managerがインストールされていて,物理ホストhostX,論理ホストhostLのどちらのホストに対しても,エージェントホストとして定義しています。

このシステム構成では,物理ホストhostX,または論理ホストhostLをエージェントホストとして,管理LANにあるマネージャーホストhost10,および業務LANにあるマネージャーホストhostA,hostBから,ジョブが実行できます。

各ホストでの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のクラスタ運用する場合の通信設定例に記載されている設定を実施してください。