JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド
バックアップしたJP1/AJS2 - Managerの設定情報をリカバリーする場合に,必要な作業を次の表に示します。
表11-15 JP1/AJS2 - Managerの設定情報のリカバリーで必要な作業
作業 Windows UNIX 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー ○ ○ 定義ファイルのリカバリー ○ ○ 共有メモリーの情報の消去 − ○ スケジューラーサービス用データベースの作成 ○ ○ ジョブ実行環境の作成 ○ ○ ユニット定義のリカバリー ○ ○ JP1/AJS2の起動(コールドスタート) ○ ○ JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ
(JP1/AJS2 Console機能を使用する場合だけ)○ ○
- (凡例)
- ○:必須
- −:対象外
次に,バックアップしたJP1/AJS2 - Managerの設定情報をリカバリーするときに必要な作業について説明します。
- <この項の構成>
- (1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
- (2) 定義ファイルのリカバリー
- (3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)
- (4) スケジューラーサービス用データベースの作成
- (5) ジョブ実行環境の作成
- (6) ユニット定義のリカバリー
- (7) JP1/AJS2の起動
- (8) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ
(1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
JP1/AJS2 - Managerのセットアップ後に,物理ホスト環境および論理ホスト環境をリカバリーします。リカバリーする場合に必要な設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 3.1.2 JP1/AJS2 - Managerのセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 13.1.2 JP1/AJS2 - Managerのセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
(2) 定義ファイルのリカバリー
バックアップしたファイルを,元の位置にリカバリーしてください。
- 注意事項
- リカバリーするには,次の条件を満たしていることを確認してください。
- JP1/Baseがインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること。
- JP1/AJS2がインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること。
- 論理ホスト環境をリカバリーする場合は,論理ホスト環境のJP1がセットアップ済みであること。
- JP1/BaseとJP1/AJS2が停止していること。
- 論理ホストの設定ファイルをリカバリーする場合は,共有ディスクがマウントされていること。
(3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)
JP1/AJS2が動作したときに共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去してください。共有メモリーに情報が残っていると,リカバリーで回復するスケジューラーサービスに影響を与える場合があります。共有メモリーの情報を消去する手順を次に示します。
- 次のコマンドを実行し,すべてのJP1/AJS2が停止していることを確認する。
- 物理ホストを確認する場合
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- 論理ホストを確認する場合
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status -h 論理ホスト名
- JP1/AJS2のモニター機能を確認する場合
# ps -ef | grep ajsinetd
- 注意事項
- すべてのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止してください。
- なお,JP1/AJS2 Monitorサービスを停止させる場合は,次の形式でコマンドを実行してください。
- # /etc/opt/jp1ajs2/ajsinetd_startstop stop
- 次のコマンドを実行して,共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去する。
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel
(4) スケジューラーサービス用データベースの作成
スケジューラーサービス用データベースの作成について,データベースにISAMを使用する場合と組み込みDBを使用する場合に分けて説明します。
なお,スケジューラーサービス用データベースの作成時には,すべてのJP1/AJS2サービスおよびJP1/AJS2 Monitorサービスを停止しておいてください。また,UNIXの場合は,「(3) 共有メモリーの情報の消去(UNIXの場合だけ)」を行ってください。
(a) スケジューラーサービスのデータベースにISAMを使用している場合
スケジューラーサービスのデータベースをajssetupコマンドで作成します。
UNIXの場合,jp1ajs2_setupコマンド実行時に「AJSROOT1」,jp1ajs2_setup_clusterコマンド実行時に「AJSROOTn」(nは-nオプションで指定した数値)のスケジューラーサービス用データベースが作成されます。すでにこれらのコマンドを実行済みの場合は,ajssetupコマンドでのデータベースの作成は不要です。ただし,スケジューラーサービスが複数ある場合は自動作成されないため,ajssetupコマンドでデータベースを作成する必要があります。
スケジューラーデータベースにISAMを使用している場合のスケジューラーサービス用データベースの作成手順を次に示します。
- 次のコマンドを実行して,該当のスケジューラーサービスのデータベースディレクトリにあるISAMファイルを削除する。
- Windowsの場合
del 該当のスケジューラーサービスのデータベースフォルダ\*
- UNIXの場合
rm 該当のスケジューラーサービスのデータベースディレクトリ/*
- ajssetupコマンドを実行して,スケジューラーサービス用のデータベースを作成する。
ajssetup -F スケジューラーサービス名 -mh 論理ホスト名※
- 注※
- 物理ホストの場合は,「-mh 論理ホスト名」は指定しません。
- サスペンド機能を有効にしている場合は,さらに次のコマンドを実行する。
ajssetup -F スケジューラーサービス名 -m -mh 論理ホスト名※
- 注※
- 物理ホストの場合は,「-mh 論理ホスト名」は指定しません。
(b) スケジューラーサービスのデータベースに組み込みDBを使用している場合
スケジューラーサービスのデータベースが壊れている場合などは,データベースを再作成する必要があります。ここでは,データベースを再作成する手順について説明します。
- ajsembdbunsetコマンドを使用して,組み込みDB環境を消去する。
ajsembdbunset -e -id 組み込みDBセットアップ識別子- ajsembdbbuildスクリプトで,組み込みDBサーバを構築する。
ajsembdbbuildスクリプトでの組み込みDBサーバの構築については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 15. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
- ISAMで環境を構築する。
次の手順で,スケジューラーサービスのデータベースをISAMで作成します。
- (1) 該当のスケジューラーサービスの環境設定パラメーターをISAMにする。
(2) ISAMデータベースを作成する。
- Windowsの場合
マネージャー環境設定で,データベース種別を「ISAM」にする。
- UNIXの場合
(i) jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
(ii) 退避ファイル内の該当スケジューラーサービスの環境設定パラメーターAJSDBTYPEをISAMに変更する。
(iii) jbssetcnf 退避ファイル名
「(a) スケジューラーサービスのデータベースにISAMを使用している場合」を参照し,ISAMデータベースを作成してください。
- ajsembdbsetupスクリプトで,組み込みDBサーバ上にJP1/AJS2の環境をセットアップする。
ajsembdbsetupスクリプトでのJP1/AJS2の環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 5. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 15. スケジューラーデータベースに組み込みDBを使用する場合のセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
(5) ジョブ実行環境の作成
リカバリーしたジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使って,ジョブ実行環境を作成します。
なお,ジョブ実行環境の作成時には,対象となる論理ホストのJP1/AJS2サービスを停止しておいてください。
リカバリーの手順を次に示します。
- キュー情報データベース格納フォルダのファイルを削除する。
- (a) 物理ホストの場合
- Windowsの場合
del JP1/AJS2 - Managerのインストール先フォルダ\jp1ajs2\database\queue\*
- UNIXの場合
rm /var/opt/jp1ajs2/database/queue/*
- (b) 論理ホストの場合
- Windowsの場合
del 共有フォルダ\jp1ajs2\database\queue\*
- UNIXの場合
rm 共有ディレクトリ/jp1ajs2/database/queue/*
- 次のコマンドを実行して,ジョブ実行環境を作成する。
jpqimport -dt isam -ci jpqsetup.conf [-mh 論理ホスト名]
- 注意事項
- ジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)には,リカバリーしたファイルを使用します。
- 論理ホストの定義をリカバリーする場合は,-mhオプションで論理ホスト名を指定します。
ジョブネットやカレンダーの設定情報のリカバリーに必要な作業について説明します。スケジューラーサービス単位でリカバリーしてください。
- 注意事項
- このリカバリー手順だけ論理ホスト単位ではなく,スケジューラーサービス単位です。スケジューラーサービスごとにリカバリーしてください。
- また,このリカバリー手順だけJP1/AJS2 Monitorサービスを起動した状態でリカバリーする必要があります。UNIXでJP1/AJS2 Monitorサービスを起動する場合は,次のコマンドを実行してください。
# /etc/opt/jp1ajs2/ajsinetd_startstop start(a) ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,スケジューラーサービスにあるユニットの定義情報をリカバリーします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ただし,ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は次に示す(b),(c)の手順でリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 unitbackup.txtなお,ジョブグループやジョブネット単位に分割してバックアップした場合は,バックアップした単位ごとに,次のコマンドを実行してリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 -d 定義先ユニット名 ユニット名_backup.txt(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする
記録しておいたルートジョブグループの次の情報を設定してください。
- コメント
- 所有者
- JP1資源グループ
- 基準時刻
- 基準日
- 月区分
(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,バックアップしたルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をリカバリーします。
ajscalendar -F スケジューラーサービス名 -df rootcal.txt /
- 注意事項
- このコマンドは,スケジューラーサービス自身のカレンダーをリカバリーします。
- rootcal.txtにカレンダー情報が出力されていなければ,リカバリーは不要です。詳しくは,バックアップの手順を参照してください。
(7) JP1/AJS2の起動
リカバリー後は,コールドスタートでJP1/AJS2サービスを起動してください。
(8) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ
JP1/AJS2 Console機能を使用している場合は,次の作業を実施してください。
- 注意事項
- リカバリーおよびセットアップをするには,次の条件を満たしていることを確認してください。
- JP1/AJS2 Console Manager,JP1/AJS2 Console Agentを含むJP1/Baseを前提製品とするJP1シリーズのプログラムが停止していること。
- 論理ホストの設定情報をリカバリーする場合は,共有ディスクがマウントされていること。
(a) JP1/AJS2 Consoleの設定情報のリカバリー
JP1/AJS2 Console用にバックアップしたファイルを元の位置にリカバリーしてください。
(b) JP1/AJS2 Consoleのセットアップ
JP1/AJS2 Console ManagerおよびJP1/AJS2 Console Agentのセットアップをしてください。
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