JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド

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1.4 設計のポイント

<この節の構成>
(1) JP1/AJS2を運用する上で見積もりや設定が必要なケース
(2) JP1/AJS2の運用に影響を与えるおそれのある操作一覧

(1) JP1/AJS2を運用する上で見積もりや設定が必要なケース

JP1/AJS2を運用する上で見積もりや設定が必要なケースとそのポイントについて説明します。

表1-3 JP1/AJS2を運用する上で見積もりや設定が必要なケース

項目 ポイント 対処 詳細
ジョブ 一日の総ジョブ量 処理できるかどうかを見積もる必要があります。
上限の目安は日に10,000件までです。
よく見積もられたシステムでも日に50,000〜100,000件程度が限度です。
処理件数を減らしてください。1日に10,000件以下を推奨します。なお,運用時,ジョブの実行がエラーとなってリカバリーを行うことを考慮し,余裕を持った値にしてください。 4.1.1 ジョブのスループット
ピーク時の1時間当たりのジョブ量 ピーク時に処理できるかどうかを見積もります。5,000件が限度です。 処理件数を減らしてください。1時間当たり500〜1,000件以下を推奨します。なお,運用時,ジョブの実行がエラーとなってリカバリーを行うことを考慮し,余裕を持った値にしてください。 4.1.1 ジョブのスループット
ジョブ情報削除基準時刻(オフピークの時間帯) オフピークの時間帯にジョブ情報削除基準時刻を決定します。 標準設定は0:00です。ジョブの実行件数が少ない時刻を設定します。なお,「ジョブ情報の保存日数」に0日を設定した場合,ジョブの実行完了10分後にジョブ情報が削除されるため,ジョブ情報削除基準時刻にジョブ実行性能が低下することを防げます。 5.3.2 ジョブ実行環境に関する環境設定について検討する
8.1.7 ジョブ情報削除処理の注意事項
標準出力ファイル・標準エラー出力ファイル・転送ファイルの有無 CPU負荷・メモリー使用量・ジョブの実行性能に関わります。 標準出力ファイル・標準エラー出力ファイル・転送ファイルを小さくするようにしてください。 8.1.10 標準出力ファイル・標準エラー出力ファイルの注意事項
標準出力ファイル,標準エラー出力ファイルのジョブごとの追加書き 追加書きを行うと日々の運用でサイズが大きくなるため,ファイルの転送時にCPU負荷などが発生します。 追加書きを行う場合には定期的にファイルをクリアするなどの運用を推奨します。 8.1.10 標準出力ファイル・標準エラー出力ファイルの注意事項
キュー内のジョブ数の見積もり キューにキューイング可能なジョブ量は,ピーク時のジョブ量に合わせて見積もってください。 ピーク時のジョブ量に見合う,「キュー内のジョブ数の最大値」をジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)に設定してください。または,jpqquealtコマンドで設定してください。なお,キュー内のジョブ量を大きくしても,初期使用量は増加しません。 8.1.14 一部のジョブの処理でシステム全体に影響を及ぼさないための運用方法
ジョブ実行多重度 Windowsの場合,長時間掛かるジョブが多数流れる場合に注意してください。 Windowsでデスクトップヒープ領域が不足するおそれがあるためジョブの実行多重度は大きくは増加できません。ジョブの実行時間が長くてジョブ実行多重度の上限に達している場合にはジョブ実行先ホストを分けるなどの対処が必要です。 8.1.19 ジョブ実行多重度に関する注意事項
5.2.3 JP1/AJS2のサービスの設定を変更する必要がある場合(Windows限定)
ジョブネット ジョブネットの実行登録数 4,000〜5,000個程度の登録を目安としてください。 4,000〜5,000個を超える場合には,ジョブネットを分割してスケジューラーサービスを多重起動してください。 5.3.6 スケジューラーサービスの多重起動について検討する
ジョブネットの定義量 ジョブネット数の削減 配下にあるユニットの数が少ないジョブネットが多数ある場合は,できるだけ一つのジョブネットにまとめるようにしてください。 8.1.4 ジョブネットの実行登録数に関する注意事項
ジョブグループの階層化 一つのジョブグループの下にあるジョブネット数は,500個以下を目安にしてください。
ジョブネットの階層化 ルートジョブネットの下に2〜3階層を設けてください。
ジョブネットの構成に関する考慮 一つのジョブネットの中に定義するネストジョブネットおよびジョブの数は,最大で50〜100程度にしてください。
保存世代数の考慮 保存世代数を超えた世代は,ジョブネットの実行時に削除され,ジョブネットの起動性能に影響があります。 保存世代を超え,世代が削除された場合を考慮して,ジョブネットの登録数を減らしてください。 8.1.3 保存世代数と性能との関係
DBのサイズ,レスポンス,リソースに影響があります。特に起動条件の世代の保存数はn世代*n日となるため注意が必要です。 保存世代数は運用に問題がないかぎり,少なくしてください。特に,起動条件の保存世代数は少なくすることを推奨します。
ジョブネット・ジョブの操作 連続操作 スケジューラーサービスへの負荷が高い操作を連続的に行うと,負荷がさらに高くなり,運用に影響を与えるおそれがあります。 ジョブネット・ジョブの実行に関する操作は連続して操作しないで,2〜3秒の間隔を空けて実行してください。また,同時に操作を実行するとISAMファイルへのアクセス競合が発生するため,4〜5多重以上は実行しないでください。 1.4(2) JP1/AJS2の運用に影響を与えるおそれのある操作一覧
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 コマンドリファレンス コマンド使用時の注意事項
配下のユニット数 配下のユニット数に比例して処理対象となる情報数が多くなり,運用に影響を与えるおそれがあります。 配下のユニット数が500個を超える場合は,業務量が少ない時間帯に実行してください。また,同時に操作を実行するとISAMファイルへのアクセス競合が発生するため,4〜5多重以上は実行しないでください。
総称名指定 総称名指定や-Rオプションの指定でコマンドを実行すると,処理対象となる情報数が多くなることで運用に影響を与えるおそれがあります。 総称名指定や-Rオプションを指定する場合,-E,-L,-Tなどのオプションを併用し,操作対象のユニットの絞り込みを行ってください。また,同時に操作を実行するとISAMファイルへのアクセス競合が発生するため,4〜5多重以上は実行しないでください。
保存世代数 世代数の多いジョブネットの操作を行うと,処理対象となる情報数が多くなることで運用に影響を与えるおそれがあります。 世代数の多いジョブネットの操作は,業務量が少ない時間帯に実行してください。また,オプションの指定によって,操作の対象となる期間や世代の絞り込みを行ってください。登録解除では,「ajsleave -B YYYYMMDDNNN」指定で1世代ずつ実行結果を削除できます。
起動条件 起動条件の使用有無 トランザクション処理的に使用されるため,ジョブの実行量に大きく影響します。 イベントの発生量・ピーク時のトラフィックを正確に見積もってください。 4.1.4 起動条件の処理性能
起動条件の打ち切り時間 打ち切り時間を無制限としないで2運用日にわたって運用した場合,起動条件付きジョブネットが打ち切られたり,繰り越し未実行になって実行されなかったりすることがあります。 常時監視したい場合には,ジョブネットの打ち切り時間を無制限にしてください。 マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 解説 3.5.3 起動条件の有効範囲
起動条件の繰越未実行 多重起動を「不可能」と設定した起動条件付きジョブネットを実行登録している場合,ジョブネットが「繰越未実行」になることがあります。 最終更新時にデータを更新したファイルとは別のファイルを作成し,そのファイルを更新するなどの運用をしてください。 8.3.2 ファイル監視ジョブの注意事項
イベントジョブ JP1イベント受信監視ジョブの監視タイミング JP1イベント受信監視ジョブが監視状態になっていないとJP1イベントは受信できません。 JP1イベントでジョブネット間の連携を行う場合には,JP1イベントを送信する一定時間前に,JP1イベント受信監視ジョブを実行登録してください。 8.3.1 JP1イベント受信監視ジョブの注意事項
ファイル監視の監視数 CPU性能,ファイル監視の検知までのレスポンスに大きく影響します。 4.1.5 ファイル監視ジョブ使用時に設定する監視間隔」に記載されている算出式を基にファイルの監視間隔を求め,監視間隔の延長で対応してください。 4.1.5 ファイル監視ジョブ使用時に設定する監視間隔
ファイル監視ジョブの監視数 CPU負荷・ファイル監視の検知までのレスポンスに大きく影響します。 ファイルの監視間隔の延長で対応してください。
ファイル監視ジョブの監視対象ファイル数
ファイル監視ジョブ監視対象ファイルの更新タイミング ファイルをオープン・クローズしながらデータ追加する更新については対応していません。 最終更新時にデータを更新したファイルとは別のファイルを作成し,そのファイルを更新するなどの運用をしてください。 8.3.2 ファイル監視ジョブの注意事項
データベース 再編成までの期間 ジョブ実行性能・ジョブネットの操作レスポンスが低下します。 次に示すファイルが20メガバイトを超えないように監視してください。
  • スケジューラーデータベースのAJSSTAT.K01(ISAMを使用している場合)
  • ジョブ実行環境データベースのJPQJOBINFO.K02
7. メンテナンスの検討
8.1.1 JP1/AJS2運用上の注意事項について
15.14.3 ISAMデータベースを再編成する
15.14.4 組み込みDBデータベースを再編成する
再編成に必要なディスク空き容量の見積もり メンテナンスモードおよび自動再編成スクリプト(ajsautocondおよびjpqautocond)で再編成を行う場合に必要なディスク空き容量を見積もります。 作業ディレクトリがあるディスクにISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルの2倍程度,データベースディレクトリがあるディスクにISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルと同程度の空き容量が必要です。 15.14.3 ISAMデータベースを再編成する
無効領域の再利用の使用有無 再編成までの期間の見積もりに影響します。 JP1/AJS2 06-71以前からJP1/AJS2 07-00以降にバージョンアップする場合は,ジョブ実行制御の「可変長テーブルレコードサイズ切り上げオプション」を指定してください。 9.2.1 ISAMキー再利用の設定
自動再編成機能の設定有無 デフォルトでは自動再編成を行っていません。定期的にデータベースのメンテナンスを行っている場合には問題ありません。 ISAMファイル自動再編成機能の設定を行ってください。 15.14.3 ISAMデータベースを再編成する
ジョブ情報の保存日数 ジョブ実行環境データベースのサイズに影響します。 保存日数を小さくすることを推奨します。0にすると削除時間の影響を受けないでジョブ実行の定時性が上がります。また,Queueデータベースの再編成に掛かる時間も短縮されます。ただし,ジョブの実行時間帯に,並行してジョブ情報削除処理が実行されるため,ジョブ実行性能は下がります。
なお,この設定を小さくしても,JP1/AJS2 - Viewで表示できるジョブの実行結果には影響しません。
8.1.1 JP1/AJS2運用上の注意事項について
JP1/AJS2 - View 自動更新 デフォルトでは表示内容の自動更新が設定されています。自動更新されるたびにマネージャー上でDBアクセスが発生します。 [JP1/AJS2 - View]ウィンドウと[デイリースケジュール]ウィンドウが300秒,[ジョブネットモニタ]ウィンドウが30秒です。性能を要求されるシステムでは,更新間隔に大きな値を設定するか,または自動更新をしないように設定してください。 5.5.3 ウィンドウ表示の設定について検討する
[マンスリースケジュール]ウィンドウ/[デイリースケジュール]ウィンドウ [マンスリースケジュール]ウィンドウ/[デイリースケジュール]ウィンドウは,監視対象のジョブネット数や,スケジュール数によって,転送するデータ量や表示する項目数が増大します。 あらかじめ性能見積もりをしておく必要があります。 4.2.1 ネットワーク上を流れるデータ量を見積もる
接続台数 64台以上のJP1/AJS2 - Viewを接続すると,JP1/AJS2 - Manager,およびネットワークに対する負荷が大きくなります。 更新間隔に大きな値を設定するか,または自動更新をしないように設定してください。 付録D 制限値一覧

(2) JP1/AJS2の運用に影響を与えるおそれのある操作一覧

表1-3の「ジョブネット・ジョブの操作」について,JP1/AJS2の運用に影響を与えるおそれのある操作の一覧を次に示します。

表1-4 JP1/AJS2の運用に影響を与えるおそれのある操作一覧

操作 操作種別
コマンド JP1/AJS2 - View 連続操作 配下のユニット数 総称名指定 保存世代数
ajsbackup 退避
ajscalendar カレンダー
ajschange エディター
ajschgjob エディター
ajschgnet エディター
ajschgstat 状態変更
ajscopy コピー
ajsdefine 新規作成
ajsdelete 削除
ajsentry 実行登録
ajsexport パッケージ
ajsimport パッケージ
ajsintrpt 中断
ajskill 強制終了
ajsleave 登録解除
ajsname (該当操作なし)
ajsplan 計画一時変更
ajsprint (該当操作なし)
ajsrerun 再実行
ajsrestore 回復
ajsschedule 実行登録(確定)
ajsshow デイリースケジュール・マンスリースケジュール
jpqjobshow (該当操作なし)
jpqendjobshow (該当操作なし)
jpqjobsub (該当操作なし)
jpqjobdel (該当操作なし)
jpqjobget (該当操作なし)

(凡例)
○:JP1/AJS2の運用に影響をおよぼすおそれがある操作。
−:該当しない。

注※ スケジュールを変更する場合です。

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