ここでは,環境設定で設定する項目について説明します。実際の設定手順については,「10.4.3 セットアップ」で説明します。
(1) 共有ディスク上への共有ファイルの作成
実行系・待機系の切り替え時に情報を共有するために,次の表に示すディレクトリ,およびファイルを共有ディスク上に作成します。
共有ファイルの種別 | 共有ファイルの格納先ディレクトリ |
---|---|
定義ファイル | 共有ディレクトリ/jp1base/conf/ |
ログファイル | 共有ディレクトリ/jp1base/log/ |
イベントサーバ設定ファイル | 共有ディレクトリ/event/ |
ディレクトリは,論理ホストごとに割り当ててください。論理ホストが異なる場合は,必ず別のディレクトリを割り当ててください。論理ホストごとに割り当てたディレクトリの下位に,共有するディレクトリ,ファイルを作成します。
共有ディスクのディレクトリ構成例を次に示します。
/shdsk/node0/jp1base/conf/
/shdsk/node0/jp1base/log/
なお,イベントサービスは,独自にクラスタ運用の環境を設定できますが,「10.4.3 セットアップ」の手順どおりに環境設定をすれば,イベントサーバインデックスファイルに自動的に論理ホスト名と共有ディレクトリ下のイベントサーバ設定ファイルを作成します。
(2) 通信方式の設定
JP1/Baseでクラスタシステム用の設定をすると,TCP/IP通信で使うソケットのバインド方法を,自動的にIPアドレス指定方式に変更します。変更の対象は,作成する論理ホストおよび物理ホストの設定です。JP1/Baseの通信方式については,「1.10 JP1/Baseの通信方式」を参照してください。
(3) 共通定義情報の設定
JP1/BaseおよびJP1/Baseを前提とする製品(JP1/IM,JP1/AJS2,およびJP1/Power Monitor)では,論理ホストごとの情報を共通定義情報としてローカルディスク上に持っており,論理ホストごとにその情報を同じ内容にする必要があります。
共通定義情報は,次に示す操作をしたときに更新されます。
共通定義情報を変更した場合は,「10.4.5 共通定義情報変更時の作業」を参照して,共通定義情報を各サーバ上で一致させる作業を行ってください。
(4) クラスタソフトへの登録
論理ホストを起動,停止する場合,クラスタソフトは,サービス・共有ディスク・論理IPアドレスの起動や停止,割り当てや解放などを制御します。共有ディスクや論理IPアドレスの制御はクラスタソフトがあらかじめ機能として持っていますが,サービスを制御する機能は持っていないため,サービスを制御するための機能をクラスタソフトに登録する必要があります。
クラスタソフトに登録する機能と,各機能で使用するコマンドを次の表に示します。
登録する機能 | 説明 | 使用するコマンド |
---|---|---|
起動 | JP1/Baseを起動します。 | jbs_start.cluster 論理ホスト名 |
停止 | JP1/Baseを停止します。 | jbs_stop.cluster 論理ホスト名 |
動作監視 | JP1/Baseが正常に動作していることを監視します。または,その時点で正常に動作しているかどうかを確認します。なお,この機能を提供していないクラスタソフトもあります。JP1/Baseの障害時にフェールオーバーする必要がない場合,この機能は登録しません。 | jbs_spmd_status -h 論理ホスト名 |
強制停止 | JP1/Baseを強制的に停止し,使用中のリソースを解放します。 | jbs_killall.cluster 論理ホスト名 |
なお,jbs_start.clusterコマンドおよびjbs_stop.clusterコマンド内では,次に示すコマンドが実行されます。