6.3.3 ファイルシステムの見積もり例

ベースパス情報に設定する最大予約可能容量,最大使用可能容量およびファイルシステムのディスク容量の見積もり例を次に示します。

<この項の構成>
(1) 見積もり例の前提
(2) 最大予約可能容量の見積もり例
(3) ファイルシステムに必要なディスク容量の見積もり例

(1) 見積もり例の前提

見積もり例の前提として,事業所ごとの役職別ユーザ数,設定されているベースパス情報および最大許容サイズ情報が,次のような場合を考えます。

表6-12 見積もり例の前提とする事業所ごとの役職別ユーザ数

項番事業所役職ユーザ数
1A事業所課長10
2主任10
3担当50
4B事業所課長20
5主任20
6担当40
7C事業所課長10
8主任10
9担当10

表6-13 見積もり例の前提とするベースパス情報

項番種別条件種別条件値パス最大予約可能容量最大使用可能容量
1個人フォルダ所属組織A事業所E:¥FILE1最大予約可能容量A最大使用可能容量A'
2個人フォルダ所属組織B事業所F:¥FILE1最大予約可能容量B最大使用可能容量B'
3個人フォルダデフォルトG:¥FILE1最大予約可能容量C最大使用可能容量C'
4コミュニティフォルダデフォルトG:¥FILE2最大予約可能容量W最大使用可能容量W'
5グループフォルダ組織IDA事業所の組織IDH:¥FILE1最大予約可能容量Ga最大使用可能容量Ga'
6グループフォルダ組織IDB事業所の組織IDI:¥FILE1最大予約可能容量Gb最大使用可能容量Gb'
7グループフォルダデフォルトJ:¥FILE1最大予約可能容量Gz最大使用可能容量Gz'

表6-14 見積もり例の前提とする最大許容サイズ情報

項番種別条件種別条件値最大許容サイズ
1個人フォルダ役職課長60MB
2個人フォルダ役職主任40MB
3個人フォルダデフォルト20MB
4コミュニティフォルダデフォルト50MB
5グループフォルダ組織IDA事業所の組織ID1,600MB
6グループフォルダ組織IDB事業所の組織ID800MB
7グループフォルダデフォルト200MB

(2) 最大予約可能容量の見積もり例

個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,およびグループルートフォルダのベースパス情報に設定する最大予約可能容量の見積もり例について説明します。

使用する見積もり式の詳細については,「6.3.1 最大予約可能容量の見積もり」を参照してください。

(a) 個人ルートフォルダに必要な最大予約可能容量の見積もり

表6-12表6-13および表6-14を参考に,A事業所,B事業所,C事業所のユーザが使用する個人ルートフォルダに割り当てるベースパス情報に必要な最大予約可能容量を算出します。ここでは,表6-13の最大予約可能容量A,最大予約可能容量B,および最大予約可能容量Cを算出します。

見積もり式を次に示します。

最大予約可能容量Aの見積もり式

最大予約可能容量A>=(60MB×10人)+(40MB×10人)+(20MB×50人)
        >=2,000MB

最大予約可能容量Bの見積もり式

最大予約可能容量B>=(60MB×20人)+(40MB×20人)+(20MB×40人)
        >=2,800MB

最大予約可能容量Cの見積もり式

最大予約可能容量C>=(60MB×10人)+(40MB×10人)+(20MB×10人)
        >=1,200MB

したがって,A事業所,B事業所,そのほかの事業所のユーザが使用する個人ルートフォルダのベースパス情報に設定する最大予約可能容量には,次の容量が必要になります。

(b) ワークプレースルートフォルダに必要な最大予約可能容量の見積もり

表6-12表6-13および表6-14を参考に,ワークプレースルートフォルダに割り当てるデフォルトのベースパス情報に必要な最大予約可能容量を算出します。ここでは,表6-13の最大予約可能容量Wを算出します。

種別がコミュニティフォルダのベースパス情報は,デフォルトだけが登録されているので,すべてのワークプレースルートフォルダがデフォルトのベースパスに格納されます。また,最大許容サイズ情報も,デフォルトだけが登録されているので,作成されるワークプレースルートフォルダには,デフォルトの最大許容サイズが割り当てられます。

見積もり式を次に示します。なお,ここでは前提条件として,想定コミュニティ数を400とします。

最大予約可能容量Wの見積もり式

最大予約可能容量W>=50MB×400個
        >=20,000MB

したがって,ワークプレースルートフォルダに割り当てるデフォルトのベースパス情報に設定する最大予約可能容量として,最大予約可能容量Wには,20,000MB以上が必要となります。

(c) グループルートフォルダに必要な最大予約可能容量の見積もり

表6-12表6-13および表6-14を参考に,A事業所,B事業所,そのほかの事業所のグループルートフォルダに割り当てるデフォルトのベースパス情報に必要な最大予約可能容量を算出します。ここでは,表6-13の最大予約可能容量Ga,最大予約可能容量Gb,および最大予約可能容量Gzを算出します。

見積もり式を次に示します。なお,ここでは前提条件として,事業所ごとに,グループルートフォルダを一つずつ作成するとします。

最大予約可能容量Gaの見積もり式

最大予約可能容量Ga>=1,600MB×1個
         >=1,600MB

最大予約可能容量Gbの見積もり式

最大予約可能容量Gb>=800MB×1個
         >=800MB

最大予約可能容量Gzの見積もり式

最大予約可能容量Gz>=200MB×1個
         >=200MB

したがって,A事業所,B事業所,そのほかの事業所のグループルートフォルダのベースパス情報に設定する最大予約可能容量には,次の容量が必要となります。

(3) ファイルシステムに必要なディスク容量の見積もり例

ディスクの容量の見積もり例について説明します。

ここでは,ファイルシステムとして使用するディスクの容量が決まっていないとして,表6-13のディスクGの容量を見積もります。ディスクGには,ベースパスとしてG:¥FILE1およびG:¥FILE2が設定されています。なお,ここでは前提条件としてディスクGの利用率を90%に設定することにします。

(2) 最大予約可能容量の見積もり例」で算出した最大予約可能容量Cと同じ値を最大使用可能容量C'に,最大予約可能容量Wと同じ値を最大使用可能容量W'に設定します。最大使用可能容量C'および最大使用可能容量W'は,次の値となります。

見積もり式は次のようになります。

ディスクGの容量の見積もり式

90%=(1,200MB+20,000MB)÷VS×100
  =21,200MB÷VS×100
VS=約23,556MB

したがって,ディスクGには,23,556MB以上の容量が必要となります。

なお,ディスク容量に空きがなくなった場合は,別のディスクを割り当てる必要があります。別のディスクを割り当てるには,新しくベースパス情報を追加します。ベースパス情報の追加が必要になった場合の詳細については,「6.2.4(1) 最大許容サイズを設定した運用例」を参照してください。