3.12 複数の実行環境を構築する場合の設定

ここでは,複数の実行環境を構築する方法について説明します。File Sharingでは,使用ユーザ数や単位時間当たりのトランザクション数の増加などによるシステム負荷を軽減するために,一つのデータベースに複数のFile Sharingサーバの実行環境を配置したシステム構成を構築できます。これによって,システム全体の負荷分散が実現できます。

また,ここでは,ファイル実体の格納先についての留意点も説明します。

<この節の構成>
(1) 新規に実行環境を構築する場合の手順
(2) 実行環境を変更する場合の手順
(3) 実行環境を削除する場合の手順
(4) ファイル実体の格納先についての留意点

(1) 新規に実行環境を構築する場合の手順

複数の実行環境から同一文書空間にアクセスするために,新規に実行環境を構築する手順を次に示します。なお,次の手順では,接続する文書空間にアクセスする実行環境が構築されていることが前提です。

  1. File Sharingサーバをインストールして,新規にFile Sharingサーバの実行環境を作成します。
    File Sharingサーバのインストール方法については,「2.6.1 File Sharingサーバのインストール」を参照してください。
  2. System Object INIファイルおよびDocumentSpace構成定義ファイルを設定します。
    このとき,同一文書空間として使用したい実行環境のDocumentSpace構成定義ファイルのSerialIdエントリと同じ値を,次のエントリに指定します。
    • ServiceObjectIDエントリ(System Object INIファイル)
    • SerialIdエントリ(DocumentSpace構成定義ファイルの[Entry0001]セクション)
    System Object INIファイルについては「5.2.1 System Object INIファイル(slocalreg.ini)」を,DocumentSpace構成定義ファイルについては「5.2.3 DocumentSpace構成定義ファイル(docspace.ini)」を参照してください。
  3. メタ情報ファイルの出力コマンド(EDMPrintMeta -F)を実行します。
    メタ情報ファイルの出力コマンドについては,「8.2 File Sharingサーバのコマンドの詳細」の「EDMPrintMeta(メタ情報ファイルの出力)」を参照してください。
  4. File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -r)を実行します。
    File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンドについては,「8.2 File Sharingサーバのコマンドの詳細」の「EDMRegEnvId(File Sharingサーバ実行環境の情報の登録)」を参照してください。

これによって,新規に構築した実行環境から同一文書空間にアクセスできるようになります。

(2) 実行環境を変更する場合の手順

別マシンへの実行環境の移動や,実行環境ディレクトリのパスの変更によって実行環境を変更する場合の手順を次に示します。

変更する実行環境の実行環境識別子の値によって,手順が一部異なります。実行環境識別子は,File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -l)で確認してください。

また,別マシンに実行環境を移動する場合と,同一マシンの実行環境を変更する場合とで,変更前のFile Sharingサーバのアンインストールを実施する順序が異なります。別マシンの場合は以降説明する手順の最後(手順4.のあと)に,同一マシンの場合は手順の最初(手順1.の前)にアンインストールを実施してください。アンインストールの方法については,「2.6.3 File Sharingサーバのアンインストール」を参照してください。

  1. 変更後のFile Sharingサーバの実行環境を作成します。
  2. 変更前の「{File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥etc」に格納されているファイルを,変更後の「{File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥etc」に移動します。
  3. 変更後の実行環境で,メタ情報ファイルの出力コマンド(EDMPrintMeta -F)を実行します。
    メタ情報ファイルの出力コマンドについては,「8.2 File Sharingサーバのコマンドの詳細」の「EDMPrintMeta(メタ情報ファイルの出力)」を参照してください。
  4. 実行環境識別子が1~254の場合,File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -u)を実行します。
    File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンドについては,「8.2 File Sharingサーバのコマンドの詳細」の「EDMRegEnvId(File Sharingサーバ実行環境の情報の登録)」を参照してください。
    実行環境識別子が「0」の場合,この作業は必要ありません。

(3) 実行環境を削除する場合の手順

実行環境を削除する手順を次に示します。

  1. File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -d)を実行します。
    File Sharingサーバ実行環境の情報の登録コマンドについては,「8.2 File Sharingサーバのコマンドの詳細」の「EDMRegEnvId(File Sharingサーバ実行環境の情報の登録)」を参照してください。

ただし,削除しようとする実行環境で,すでにOIID(プロパティとして付けられている識別子)が割り当てられているオブジェクトが作成されていた場合,実行環境は削除できません。

(4) ファイル実体の格納先についての留意点

複数のFile Sharingサーバで構成する複数実行環境を運用する場合,すべてのFile Sharingサーバの実行環境からファイル実体の格納先ディレクトリにアクセスできるように設定してください。このとき,ファイル実体の格納先には,File Sharingサーバを運用するマシンの共有ディスクを使用することをお勧めします。File Sharingサーバの各マシンのローカルディスクをファイル実体の格納先とする場合,ファイルやフォルダの登録時のFile Sharingサーバと,参照・更新時のFile Sharingサーバが異なると,参照・更新の操作がエラーとなるためです。

なお,複数の文書空間で同一のファイルシステムを格納先とする場合,ファイル実体の格納先パスは各文書空間で重複しないようにしてください。同一の格納先を複数の文書空間で使用した場合,ファイル破壊の原因となります。