7.5.2 ベースパス情報の使用量の監視

ベースパス情報で,最大使用可能容量よりも大きな値を最大予約可能容量に設定している場合,予約量が最大使用可能容量を超えることがあります。このようなときは,ベースパス情報の使用量の確認コマンド(cfschkusdspc)を定期的に実行して,使用量が最大使用可能容量を超えていないかを確認する必要があります。

ベースパス情報の使用量の確認コマンド(cfschkusdspc)を定期的に実行するために,実行回数を見積もります。実行回数の見積もり方法には,次の二つがあります。それぞれの見積もり方法のメリットおよびデメリットから,コマンドの実行回数を見積もる方法を選択してください。

表7-1 ベースパス情報の使用量の確認コマンド(cfschkusdspc)の実行回数の見積もり方法

項番見積もり方法見積もり時期見積もり回数メリット/デメリット
1最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に見積もる1日当たりの使用量の平均を確認した時点。1回
  • 1回見積もったあと,コマンドの実行回数の見直しが不要。
  • ボリュームの容量と最大使用可能容量の差が小さい場合は,最大使用可能容量に対する空き容量が多いときも,1日当たりのコマンドの実行回数が多くなる。
2最大使用可能容量に対する空き容量を基に見積もる最大使用可能容量の空き容量の変化に応じて見積もる。定期的に見積もる
  • ベースパス情報の使用状況に合った最適な実行回数を見積もれる。
  • 空き容量の変化に応じて,実行回数を見積もり直す必要がある。

それぞれの見積もり方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に見積もる方法
(2) 最大使用可能容量に対する空き容量を基に見積もる方法

(1) 最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に見積もる方法

最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に,1日当たり何回コマンドを実行する必要があるかを見積もります。1日当たりの使用量の平均を確認した時点で,見積もってください。見積もり式を次に示します。

見積もり式

1日当たりの実行回数(単位:回)=↑Σ1AvUS÷(VS-Σ2MUS)↑

変数および記号の意味は次のとおりです。

変数および記号意味
Σ1変数AvUSの値を集計することを意味しています。
AvUS1日当たりの使用量の平均です。
1日に1回ずつcfslstadコマンドを実行して1日の使用量を求め,その値を平均することで,1日当たりの使用量の平均を求められます。
VSベースパス情報のパスに設定するボリュームの容量です。
Σ2変数MUSの値を集計することを意味しています。
MUSベースパス情報の最大使用可能容量です。
↑ ↑小数点以下の値を切り上げることを意味しています。
見積もり例
最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に1日当たりのコマンドの実行回数を見積もる例を説明します。
この例での前提を次に示します。
  • 使用しているボリュームの容量は66GBとします。
  • 次の表に示すベースパス情報が設定されているとします。
    項番種別名前条件種別条件値パス最大予約可能容量最大予約可能容量最大使用可能容量に対する空き容量
    1個人1課所属組織1GE:¥FILE1¥1G30GB15GB7GB
    2個人2課所属組織2GE:¥FILE1¥2G40GB20GB8GB
    3個人3課所属組織3GE:¥FILE1¥3G60GB30GB7GB
  • それぞれのベースパス情報の1日当たりの使用量の平均を次のとおりとします。
    項番ベースパス情報の名前1日当たりの使用量の平均
    11課0.3GB
    22課0.5GB
    33課0.6GB
このとき,コマンドの実行回数は次のように算出できます。
算出式

コマンドの実行回数=↑(0.3+0.5+0.6)÷(66-(15+20+30))↑
         =2回

したがって,1日当たり2回コマンドを実行する必要があることがわかります。

(2) 最大使用可能容量に対する空き容量を基に見積もる方法

最大使用可能容量に対する空き容量と,1日当たりの使用量の平均を基に,空き容量が0になるまでの日数を算出します。算出した日数から,コマンドの実行回数の推奨値に当てはめて,コマンドの実行回数を見積もります。なお,空き容量が0になるまでの日数は,最大使用可能容量の空き容量の変化に応じて,見積もり直す必要があります。見積もり式を次に示します。

見積もり式

空き容量が0になるまでの日数(単位:日)=↑FS÷AvUS↑

変数の意味は次のとおりです。

変数および記号説明
FSベースパス情報の最大使用可能容量に対する空き容量です。
AvUS1日当たりの使用量の平均です。
1日に1回ずつcfslstadコマンドを実行して1日の使用量を求め,その値を平均することで,1日当たりの使用量の平均を求められます。
↑ ↑小数点以下の値を切り上げることを意味しています。

ベースパス情報ごとに,見積もり式から算出した日数の中でいちばん少ない日数を基に,次の表に示す推奨するコマンドの実行回数を参照してください。

表7-2 ベースパス情報の使用量の確認コマンド(cfschkusdspc)の推奨する実行回数

空き容量が0になるまでの日数推奨する実行回数
7日以上1日当たり1回
2~6日1日当たり24回(1時間に1回)
1日以下1日当たり48回(30分に1回)
見積もり例
最大使用可能容量に対する空き容量と,1日当たりの使用量の平均を基に,1日当たりのコマンドの実行回数を見積もる例を説明します。
この例の前提とするベースパス情報の設定および1日当たりの使用量は,「(1) 最大使用可能容量とボリュームの容量の差を基に見積もる方法」の見積もり例と同じとします。
まず,それぞれのベースパス情報で,最大使用可能容量に対する空き容量が0になるまでの日数を算出します。
1課のベースパス情報の場合の算出式

空き容量が0になるまでの日数=↑7÷0.3↑
              =24日

2課のベースパス情報の場合の算出式

空き容量が0になるまでの日数=↑8÷0.5↑
              =16日

3課のベースパス情報の場合の算出式

空き容量が0になるまでの日数=↑7÷0.6↑
              =12日

算出した結果でいちばん日数が少ないのは3課の12日です。したがって,表7-2を参照すると,1日1回コマンドを実行する必要があることがわかります。