9.1.3 トレースファイル

発生した障害の切り分けや,原因究明のためにトレースファイルが出力されます。

File Sharingで出力されるトレースファイルには,出力先や出力内容の設定方法によって,次の表に示す種類があります。

表9-1 File Sharingで出力されるトレースファイル

該当する機能出力先および出力内容の設定方法
File Sharingサーバ環境変数で設定します。
File Sharingサーバ組織情報取得ライブラリユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)で設定します。
File Sharingクライアントポートレット機能(File Sharingサーバへのアクセス処理)およびFile Sharingクライアント運用コマンドFile Sharingクライアントの「動作環境定義ファイル」で設定します。
ポートレット機能(uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理)uCosminexus Portal Frameworkで設定します。
ポートレット機能以外環境変数で設定します。
<この項の構成>
(1) File Sharingサーバのトレースファイル
(2) 組織情報取得ライブラリのトレースファイル
(3) File Sharingクライアントのポートレット機能(File Sharingサーバへのアクセス処理)およびFile Sharingクライアント運用コマンドのトレースファイル
(4) File Sharingクライアントのポートレット機能(uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理)のトレースファイル
(5) File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイル

(1) File Sharingサーバのトレースファイル

File Sharingサーバのトレースファイルについて説明します。

(a) 出力先ディレクトリ

File Sharingサーバのトレースファイルは,環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」に指定したディレクトリに出力されます。デフォルトの出力先ディレクトリを次に示します。

{File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥spool¥server

(b) 出力ファイル名

File Sharingサーバのトレースファイルの出力ファイル名は,環境変数で指定できません。「EDMRasTrace0x"PID"_"NO".log」のファイル名で出力されます。なお,「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。

(c) 出力方法および出力内容

File Sharingサーバのトレースファイルの出力方法および出力内容については,次に示す環境変数で設定します。

(2) 組織情報取得ライブラリのトレースファイル

組織情報取得ライブラリのトレースファイルについて説明します。組織情報取得ライブラリのトレースファイルについては,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)で設定します。

(a) 出力ディレクトリとファイル名

組織情報取得ライブラリのトレースファイルの出力先およびファイル名は,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの[DIRECTORY]セクションを構成するTraceFileNameエントリに指定します。エントリの指定方法については,「5.2.5 ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)」を参照してください。

(b) 出力方法

組織情報取得ライブラリを取得する場合の制御情報は,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの[DIRECTORY]セクションを構成する次のエントリの指定方法に依存します。

トレースファイルの管理方法に従って,最適な設定をしてください。各エントリの指定方法については,「5.2.5 ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)」を参照してください。

(c) 出力情報

組織情報取得ライブラリのトレースファイルの出力情報について説明します。なお,トレースファイルの出力形式については,マニュアル「Collaboration 導入ガイド」を参照してください。

トレースファイルに,結果コード,詳細コード1および詳細コード2が次の形式で出力されます。

rc = xxx,dc1 = yyy,dc2 = zzz

(凡例)
rc:結果コードです。
dc1:詳細コード1です。
dc2:詳細コード2です。

トレースファイル中の「message-id」に”Error”と出力された行から,結果コード,詳細コード1および詳細コード2を取得してください。

トレースファイルの出力情報と,要因別の対策を次の表に示します。

表9-3 組織情報取得ライブラリのトレースファイルの要因別の対策一覧

結果コード詳細コード要因対策
0x00x1次の要因が考えられます。
  • 存在しない組織情報を検知しました。
  • 組織情報の検索の途中で,異常を検知しました。
ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの設定で,次に示す内容が現在のディレクトリサーバ上のデータと一致していることを確認してください。
  • ユーザの所属組織を表す属性名
  • ユーザの所属組織の格納方法
  • 組織検索時に使用するベースDN
  • 組織検索時に使用するスコープ
  • 組織を示すディレクトリサーバ上のオブジェクトクラス
  • 組織のオブジェクトクラスでキーとなる属性名
  • 上位組織を表す属性名
  • 上位組織の格納方法
ディレクトリサーバ上の組織情報について,次の内容を確認してください。
  • ユーザの「所属組織」に設定されている組織が,ディレクトリサーバ上で矛盾していないか。
  • 組織情報の「上位組織」に設定されている情報が,ディレクトリサーバ上で矛盾していないか。
組織情報が格納されているディレクトリサーバの状態について,次の内容を確認してください。
  • ディレクトリサーバに接続するクライアント数が上限値に達していないか。
  • ディレクトリサーバがビジー状態になっていないか。
  • ディレクトリサーバが起動し,正しく動作しているか。
  • ディレクトリサーバでメモリ不足が発生していないか。
0x1以外正常終了です。
0x10x0正常終了です。
0x40x0ディレクトリサーバ検索に使用できるコネクションハンドルが,コネクションプールに存在しません。ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルのコネクション数を見直してください。
0x60x1以外内部の不正を検知しました。エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。
0x70x0メモリの確保に失敗しました。メモリの容量が十分かどうか確認してください。不足している場合は,メモリを増設してください。
0x80x0ディレクトリサーバ接続の初期化に失敗しました。ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルで,次の設定を見直してください。
  • Serverエントリに指定した接続先ディレクトリサーバ
  • Portエントリに指定した接続先ポート番号
0x90x0次の要因が考えられます。
  • ディレクトリサーバ検索時に不正なデータを検知しました。
  • 検索の途中で,異常を検知しました。
ディレクトリサーバ上のデータについて,次に示す内容を確認してください。
  • ログインユーザのユーザIDが存在しているか。
  • ログインユーザのユーザIDが複数存在していないか。
  • 同一組織が複数存在していないか。
また,ユーザ情報が格納されているディレクトリサーバの状態について,次に示す内容を確認してください。
  • ディレクトリサーバに接続するクライアント数が上限値に達していないか。
  • ディレクトリサーバが検知状態になっていないか。
  • ディレクトリサーバが起動し,正しく動作しているか。
  • ディレクトリサーバでメモリ不足が発生していないか。
0xaディレクトリサーバリターンコードディレクトリサーバ操作時に,エラーが発生しました。
ユーザ情報および組織情報の取得先であるディレクトリサーバの設定が原因の場合
・ディレクトリサーバまたはポート番号の設定が誤っています。
・バインドDNまたはバインドパスワードの設定が誤っています。
・オブジェクトクラスの設定が誤っています。
・エントリを特定する属性名,ユーザID属性名,所属組織属性名,または組織単位属性名の設定が誤っています。
ディレクトリサーバまたはネットワークが原因の場合
・ディレクトリサーバが停止しています。
・ディレクトリサーバのIPアドレスが取得できません。
・ディレクトリサーバと通信できません。
・ディレクトリサーバの負荷が高い状態です。
・ディレクトリサーバのメモリが不足しています。
・組織情報取得ライブラリがサポートしないディレクトリサーバを利用しています。
・ディレクトリサーバの検索時間タイムアウトが発生しました。
ディレクトリサーバ上のデータが原因の場合
・設定された条件では,データに対するアクセス権がありません。
・ユーザまたは組織が重複しているために,ユーザまたは組織を検索したときに,複数のデータが検索されました。
ディレクトリサーバの環境を見直して,再度実行してください。
それでも同様のエラーが発生する場合は,エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。
0xbトレースAPIの種別番号詳細コード2の要因で,詳細コード1のAPIがエラーを返しました。ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルで,次の設定を見直してください。
  • TraceFileSizeエントリに指定したトレースファイルのサイズ
  • TraceNumFilesエントリに指定したトレースファイルの面数
  • TraceLevelエントリに指定したトレースファイルのレベル
  • TraceFileNameエントリに指定したトレースファイル名
0x2,
0x3,
0x5,
0xc
任意内部の不正を検知しました。エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。

(凡例) -:該当しません。


(3) File Sharingクライアントのポートレット機能(File Sharingサーバへのアクセス処理)およびFile Sharingクライアント運用コマンドのトレースファイル

File Sharingクライアントのポートレット機能およびFile Sharingクライアント運用コマンドのうち,File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルについては,動作環境定義ファイルで設定します。

(a) 出力先ディレクトリ

File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルの出力先は,動作環境定義ファイルで設定できます。設定方法については,「5.3.4 動作環境定義ファイル(conf.properties)」を参照してください。デフォルトの出力先ディレクトリを次に示します。

{File Sharingクライアントのインストールディレクトリ}¥Client¥log

(b) 出力ファイル名

File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルの出力ファイル名は,「DBJComTrace0xPID_NO.log」です。「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。

(c) 出力内容

次の内容が出力されます。

(4) File Sharingクライアントのポートレット機能(uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理)のトレースファイル

File Sharingクライアントのポートレット機能のうち,uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理のトレースファイルについては,uCosminexus Portal Frameworkで設定します。uCosminexus Portal Frameworkでのログ出力の詳細は,マニュアル「uCosminexus Portal Framework システム管理者ガイド」を参照してください。

(5) File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイル

File Sharingクライアントのポートレット機能およびFile Sharingクライアント運用コマンド以外のトレースファイルについて説明します。

(a) 出力先ディレクトリ

File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイルの出力先は,環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」に必ず指定してください。なお,指定されなかった場合は,次に示す優先順位で決まります。

  1. {File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥spool¥client
  2. {File Sharingクライアントのインストールディレクトリ}¥Client¥spool¥client
  3. File Sharingクライアントが提供する機能の実行環境ディレクトリ,またはFile Sharingクライアントが提供するライブラリを呼び出すプログラムの実行時ディレクトリ
(b) 出力ファイル名

トレースファイルの出力ファイル名は,環境変数に指定できません。「EDMRasTraceCL0x"PID"_"NO".log」のファイル名で出力されます。なお,「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。

(c) 出力方法および出力内容

File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイルの出力方法および出力内容は,File Sharingサーバと同様の環境変数で設定します。

なお,環境変数「_HIEDMS_TRACE_KEEP_DAYS(トレースファイルの保存日数)」は,File Sharingサーバだけに有効です。ただし,File SharingサーバとFile Sharingクライアントを同一のマシンで運用する場合で,File SharingクライアントとFile Sharingサーバのトレースファイルの出力先が同一のときは,File Sharingクライアントのトレースファイルも,環境変数「_HIEDMS_TRACE_KEEP_DAYS」の指定内容に従って削除されます。

設定する環境変数の詳細は,「9.1.3(1) File Sharingサーバのトレースファイル」の「(c) 出力方法および出力内容」を参照してください。