6.2.1 ベースパス情報の検討

ベースパス情報を検討するために,ベースパス情報とは何か,ベースパス情報を設定する利点,およびベースパス情報を構成する項目について説明します。

<この項の構成>
(1) ベースパス情報とは
(2) ベースパス情報を設定する利点
(3) ベースパス情報を構成する項目

(1) ベースパス情報とは

個人フォルダ,コミュニティフォルダ,またはグループフォルダに格納するファイルのファイル実体を,ファイルシステムのどのディレクトリに割り当てて格納するかを検討して,ベースパス情報として設定します。

システムを動作させるために必ず設定するベースパス情報は,次の3種類です。

これらのベースパス情報は,個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,またはグループルートフォルダを作成するときの,デフォルトの作成先として使用されます。

このほか,ベースパス情報は,個人ルートフォルダおよびワークプレースルートフォルダの場合,Collaboration - Directory Accessから取得できる所属組織単位または役職単位で設定することもできます。例えば,「営業部のユーザの個人ルートフォルダで管理するファイル実体は¥¥DATA¥FILE1に,それ以外のユーザの個人ルートフォルダで管理するファイル実体は¥¥DATA¥FILE2に格納する」という運用をしたり,「課長の個人ルートフォルダで管理するファイル実体はH:¥に,主任の個人ルートフォルダで管理するファイル実体はI:¥AREA1に,それ以外の個人ルートフォルダで管理するファイル実体はI:¥AREA2に格納する」という運用をしたりできます。ただし,一つフォルダの種別に対して,所属組織単位または役職単位のどちらかのベースパス情報しか設定できません。例えば,営業部や設計部などの所属組織に対してベースパス情報を設定したシステムでは,部長や課長などの役職に対してのベースパス情報は設定できません。

また,グループルートフォルダの場合は,Collaboration - Directory Accessで設定する,組織IDを表すディレクトリサーバの属性の値で設定することもできます。例えば,「A事業所のグループルートフォルダで管理するファイル実体はH:¥DATA1に,B事業所のグループルートフォルダで管理するファイル実体はI:¥DATA1に格納する」という運用ができます。

(2) ベースパス情報を設定する利点

ベースパス情報の割り当て条件や複数のベースパス情報を設定する利点を次に示します。

ベースパスは,次のタイミングで設定されます。

ベースパス情報が複数登録されている場合は,ベースパスは次のように設定されます。

最大許容サイズを設定しない運用の場合
  • 割り当て条件に該当する情報が設定されている場合は,割り当て条件が設定されているベースパス情報を使用しているユーザ数,コミュニティ数,またはグループルートフォルダ数が最も少ないベースパス情報のパスが,個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,またはグループルートフォルダのベースパスに設定されます。
  • 割り当て条件に該当する情報が設定されていない場合は,デフォルトのベースパス情報を使用しているユーザ数,コミュニティ数,またはグループルートフォルダ数が最も少ないベースパス情報のパスが,個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,またはグループルートフォルダのベースパスに設定されます。
最大許容サイズを設定した運用の場合
  • 割り当て条件に該当する情報が設定されている場合は,割り当て条件が設定されているベースパス情報のうち,空き容量が最も多いベースパス情報のパスが,個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,またはグループルートフォルダのベースパスに設定されます。
  • 割り当て条件に該当する情報が設定されていない場合は,デフォルトのベースパス情報のうち,空き容量が最も多いベースパス情報のパスが,個人ルートフォルダ,ワークプレースルートフォルダ,またはグループルートフォルダのベースパスに設定されます。

なお,ベースパス情報のパスとして設定したファイル実体を格納するファイルシステムがいっぱいになってしまった場合は,新たにデフォルトのベースパス情報を追加してください。

また,ベースパス情報を使用している個人ルートフォルダ数,ワークプレースルートフォルダ数,およびグループルートフォルダ数は,使用数として管理されます。使用数は,0~2,147,483,647の範囲で管理します。なお,ベースパス情報の使用数が,上限の2,147,483,647に達した場合は,新たにベースパス情報を追加する必要があります。

デフォルト以外のベースパス情報を設定するルートフォルダを作成しようとした場合に,ベースパス情報の最大予約可能容量に対する空き容量がないとき,およびベースパスの使用数が上限に達したときの動作を指定できます。指定できる動作および動作指定方法については,「5.3.5 環境設定用プロパティファイル(hptl_clb_cfs.properties)」を参照してください。

ベースパス情報の設定方法については,「6.4 デフォルトのベースパス情報の登録」および「6.6 運用開始前のベースパス情報の設定」を参照してください。

(3) ベースパス情報を構成する項目

ベースパス情報は,次の表に示す項目から構成されます。

表6-1 ベースパス情報を構成する項目

項番項目説明
1種別ベースパス情報を設定するルートフォルダの種別のことです。種別には,個人フォルダ,コミュニティフォルダ,またはグループフォルダがあります。
2名前ベースパス情報を識別するための名前です。
3条件種別ベースパス情報を設定するための条件のことです。
種別が個人フォルダおよびコミュニティフォルダの場合は,条件種別には役職単位または所属組織単位があります。
種別がグループフォルダの場合は,組織ID単位があります。
4条件値ベースパス情報の条件種別に対する条件値のことです。
種別が個人フォルダおよびコミュニティフォルダの場合は,Collaboration - Directory Accessから取得できる役職名または所属組織名を指定します。
種別がグループフォルダの場合は,Collaboration - Directory Accessで,組織IDを表すディレクトリサーバの設定値として指定したディレクトリサーバの属性の値を指定します。
5パス個人ルートフォルダ,グループルートフォルダまたはワークプレースルートフォルダの,ファイル実体の格納先とするパスです。
6最大予約可能容量条件種別と条件値に該当するルートフォルダの最大許容サイズの和の上限値のことです。
7予約量条件種別と条件値に該当するルートフォルダの最大許容サイズの和です。
8最大予約可能容量に対する空き容量最大予約可能容量から予約量を引いた容量のことです。
9最大使用可能容量パスを設定するボリュームのうちの使用できる容量の上限値のことです。
10使用量条件種別と条件値に該当するルートフォルダが使用している容量の和です。
11最大使用可能容量に対する空き容量最大使用可能容量から使用量を引いた容量のことです。
12使用数ベースパス情報を使用しているルートフォルダ数です。
13状態ベースパス情報の状態です。「ファイルのすべての操作を許可」または「ファイルの参照のみ許可」のどちらかを設定できます。