File Sharingサーバに接続するFile Sharingクライアントが異なるマシン上に存在する場合,File SharingサーバとFile Sharingクライアントの間のファイル転送には,ファイル転送機能を使用する必要があります。例えば,ユーザが[ファイル共有]ポートレットからファイルを操作すると,File Sharingクライアントは,File Sharingサーバが管理しているファイルシステムに格納されているファイル実体の取得や登録を行います。このとき,File SharingクライアントとFile Sharingサーバの間でファイル転送が発生します。
ファイル転送機能は,File Sharingクライアントで開始したファイル転送サービスが提供しています。ファイル転送サービスを使用するには,File SharingクライアントとFile Sharingサーバの両方で環境設定が必要です。
ファイル転送サービスには,次の二つの開始モードがあります。
File Sharingクライアントがファイル転送サービスを使用する前に,ファイル転送サービスをコマンドによって明示的に開始するモードです。
静的モードでファイル転送サービスを開始する方法には,スタートアップの種類の設定によって,「手動」または「自動」の二つの方法があります。静的モードのファイル転送サービスを「手動」または「自動」で開始する方法については,「7.3.1 ファイル転送サービスの開始方法」を参照してください。
File Sharingクライアントで最初にファイル転送サービスを使用する時点で,ファイル転送サービスが自動的に開始されるモードです。
このモードでは,J2EEサーバの起動後,初めてファイル転送サービスが利用されるときにファイル転送プロセスが起動されます。その後,J2EEサーバを停止するまでプロセスは起動されています。そのため,J2EEサーバの起動後の最初のファイル転送サービス利用時は,File Sharingクライアントの処理時間が多く掛かります。
ファイル転送サービスのプロセス構成を次の表に示します。なお,「(静的モードの場合)」とあるプロセスは,開始モードが静的モードの場合だけ使用するプロセスです。
表4-2 ファイル転送サービスのプロセス構成
プロセス名 | 機能概要 | |
---|---|---|
ファイル転送サービス開始 | FtpSvStart.exe | ファイル転送サービスを開始します(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービス監視 | FtpSvMng.exe | ファイル転送サービスを監視します(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービス | FtpSv.exe | ファイル転送サービスを提供します。 |
ファイル転送サービス停止 | FtpSvStop.exe | ファイル転送サービスを停止します(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービス開始制御 | FtpSvSvc.exe | ファイル転送サービスを開始および停止します(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービスを,静的モードで開始するプロセスです。
このプロセスは,静的モードのファイル転送サービス開始コマンド(FtpSvStart)を実行したときに生成され,ファイル転送サービス開始制御プロセスを起動します。
静的モードで開始されたファイル転送サービスプロセスを管理するプロセスです。
静的モードのファイル転送サービス開始コマンド(FtpSvStart)で指定した数のファイル転送サービスプロセスを起動します。そのあと,ファイル転送サービスプロセスの動作状況を監視して,ファイル転送サービスプロセスが終了した場合は再起動します。さらに,ファイル転送サービスを使用するFile Sharingクライアントに対して,最適なファイル転送サービスプロセスを割り当てます。
このプロセスは,ファイル転送サービス開始制御プロセスによって生成されます。ファイル転送サービス開始制御プロセスからの終了要求メッセージを受信すると,ファイル転送サービスプロセスに終了要求メッセージを通知し,ファイル転送サービスプロセスの終了を確認すると停止します。
ファイル転送サービスを提供するプロセスです。
このプロセスは,同時に複数実行できます。
静的モードで開始されたファイル転送サービスを停止するプロセスです。
このプロセスは,静的モードのファイル転送サービス停止コマンド(FtpSvStop)を実行したときに生成され,ファイル転送サービス開始制御プロセスに対して終了要求メッセージを送信します。ファイル転送サービス監視プロセスからの終了完了メッセージの応答を確認すると終了します。
ファイル転送サービスの開始モードが静的モードの場合に,ファイル転送サービスを開始および停止するプロセスです。このプロセスは,コントロールパネルの[管理ツール]-[サービス]の[サービス]ダイアログで,サービス[Collaboration - File Sharing FTP Service]を開始することによって生成され,ファイル転送サービス監視プロセスに対して起動要求をします。また,サービス[Collaboration - File Sharing FTP Service]を停止することによって終了し,終了時に,ファイル転送サービス監視プロセスに対して終了要求をします。
静的モードと動的モードの違いを次の表に示します。
表4-3 静的モードと動的モードの違い
項目 | 静的モード | 動的モード |
---|---|---|
開始方法および停止方法 | 手動または自動で,ファイル転送サービスを開始および停止します。 | J2EEサーバの起動後,初めてファイル転送サービスが利用されるときに自動的に開始され,J2EEサーバの停止時にファイル転送サービスが自動的に停止されます。 |
ファイル転送サービスプロセス割り当て単位 | 文書空間への接続単位 | File Sharingクライアントのプロセス単位 |
File Sharingサーバが管理しているファイルシステムにアクセスするときのアクセス権 | ファイル転送サービス開始実行ユーザのアクセス権 | File Sharingクライアントのプロセス実行ユーザのアクセス権 |
File Sharingサーバから転送されるファイル実体の所有者 | ファイル転送サービス開始実行ユーザ | File Sharingクライアントのプロセス実行ユーザ |