5.3.2 ファイル転送サービス環境定義ファイル(ftpsv.ini)
File Sharingサーバに接続するFile Sharingクライアントが異なるマシン上に存在する場合,File SharingサーバとFile Sharingクライアントの間のファイル転送には,ファイル転送機能を使用する必要があります。
ファイル転送サービス環境定義ファイルは,同時に割り当て可能なFile Sharingクライアントの数の最大値など,ファイル転送機能を使用するために必要な環境を定義するファイルです。
ファイル転送サービス環境定義ファイルの格納ディレクトリとファイル名を次に示します。
{File Sharingクライアントのインストールディレクトリ}¥Client¥etc¥ftpsv.ini
- <この項の構成>
- (1) ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述形式
- (2) ファイル転送サービス環境定義ファイルの詳細
- (3) ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述例
(1) ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述形式
[セクション名]
エントリ名 = 値
- セクション名は,[ ](角括弧)で囲んで指定します。一つのセクションは,セクション名を指定してから,次のセクション名を指定するまで,またはファイルの終端までの範囲です。
- 同一名のセクションを複数指定した場合,最初に指定したセクションが有効になります。
- 指定できないセクションを指定した場合,その指定は無視されます。
- エントリは,「エントリ名 = 値」の形式で指定します。
- 各セクション内で同一名のエントリを複数指定した場合,最初に指定したエントリが有効になります。
- 各エントリの値として指定できるのは,1,023バイトまでです。
(2) ファイル転送サービス環境定義ファイルの詳細
ファイル転送サービス環境定義ファイルは,次に示す二つのセクションと各セクションに指定するエントリによって構成されます。
- [FtpService]セクション
- [FtpProcessXXXX]セクション
以降,ファイル転送サービス環境定義ファイルを構成する各セクションとセクションごとに指定するエントリについて説明します。
(a) [FtpService]セクション
- FtpSessionMaxエントリ
- File Sharingサーバに同時に接続できる最大数を,1~1,024の値で指定してください。静的モードの場合は,ファイル転送サービス起動コマンドで起動したすべてのファイル転送サービスプロセスで,同時に接続できる最大数を指定してください。動的モードの場合は,一つのファイル転送サービスプロセスで同時に接続できる最大数を指定してください。
- このエントリを省略した場合,またはエントリに不正な値を指定した場合は,64が仮定されます。
- FtpVBPropertyエントリ
- ファイル転送サービス監視プロセスのVisiBrokerプロパティを指定します。指定を省略した場合,「-Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.manager.type=Socket -Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.dispatcher.threadMax=64」が仮定されます。VisiBrokerプロパティ以外の値を指定した場合,ファイル転送サービス監視プロセスの起動に失敗します。指定できるVisiBrokerプロパティについては,マニュアル「Borland(R) Enterprise Server VisiBroker(R) プログラマーズリファレンス」を参照してください。
- FtpProcessVBPropertyエントリ
- すべてのファイル転送サービスプロセスに共通するVisiBrokerプロパティを指定します。指定を省略した場合,「-Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.manager.type=Socket -Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.dispatcher.threadMax=64」が仮定されます。VisiBrokerプロパティ以外の値を指定した場合,ファイル転送サービスプロセスの起動に失敗します。指定できるVisiBrokerプロパティについては,マニュアル「Borland(R) Enterprise Server VisiBroker(R) プログラマーズリファレンス」を参照してください。
(b) [FtpProcessXXXX]セクション
XXXXは,0001~0020を示します。[FtpProcessXXXX]セクションでは,静的モードで開始される各ファイル転送サービスプロセスに固有の動作を定義します。
ファイル転送サービス開始コマンド(FtpSvStart)の-nオプションに指定した数までのセクションが有効になります。ファイル転送サービスプロセスごとに動作を定義することで,ポート番号を指定してファイル転送サービスプロセスを複数起動できます。例えば,ファイル転送サービス開始コマンドの-nオプションに2を指定した場合,[FtpProcess0001]セクションおよび[FtpProcess0002]セクションの定義内容が有効になります。
[FtpProcessXXXX]セクションでは,次のエントリを指定できます。
- VBPropertyエントリ
- 各ファイル転送サービスプロセスに固有のVisiBrokerプロパティを指定します。指定を省略した場合に仮定される値はありません。VisiBrokerプロパティ以外の値を指定した場合,ファイル転送サービスプロセスの起動に失敗します。
- [FtpService]セクションのFtpProcessVBPropertyエントリの値と,このエントリの値を連結した値が,VisiBrokerプロパティになります。指定できるVisiBrokerプロパティについては,マニュアル「Borland(R) Enterprise Server VisiBroker(R) プログラマーズリファレンス」を参照してください。
(3) ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述例
ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述例を示します。
ファイル転送サービス開始コマンドの-nオプションに2を指定し,個々のファイル転送サービスプロセスにPOAが使用するポート番号を定義する場合の,ファイル転送サービス環境定義ファイルの記述例を次に示します。
[FtpProcess0001]
VBProperty = -Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.port=14005
[FtpProcess0002]
VBProperty = -Dvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.port=14006