付録E 文書空間の文字コード種別をShift-JISからUTF-8に変更する手順

[ファイル共有]ポートレットで日本語および英語だけを使用する運用の場合に,運用の途中で日本語および英語以外の言語も使用する運用に変更したいときは,文書空間の文字コード種別をShift-JISからUTF-8に変更します。ここでは,文書空間の文字コード種別をShift-JISからUTF-8に変更するための手順について説明します。なお,この手順では,データベースのデータをアンロードするため,アンロードデータファイル用のディスク容量を準備しておく必要があります。

次の手順で実行します。

  1. データベースのバックアップを取得します。データベースサーバで実行します。
  2. データベースサーバ(HiRDB)のシステム共通定義を設定します。データベースサーバで実行します。
  3. ベースパス情報のパスを確認します。File Sharingクライアントで実行します。
  4. 必要に応じて,ベースパス情報のパスを変更します。
  5. File Sharingサーバを構築したときにシステム導入支援機能を使用したかどうかを確認します。
  6. 表データをアンロードします。データベースサーバで実行します。
  7. データベースの文字コード種別をUTF-8に変更します。データベースサーバで実行します。
  8. データベースを再初期化します。データベースサーバで実行します。
  9. データベースサーバでの環境設定をします。
  10. File Sharingサーバで,データベースサーバを使用するための設定をします。
  11. 文書空間を構築します。File Sharingサーバで実行します。
  12. アンロードデータファイルの文字コードを変換します。File Sharingクライアントで実行します。
  13. 表データをリロードします。データベースサーバで実行します。

以降,各手順の詳細について説明します。

<この節の構成>
(1) データベースのバックアップの取得
(2) データベースサーバ(HiRDB)のシステム共通定義の設定
(3) ベースパス情報のパスの確認
(4) ベースパス情報のパスの変更
(5) システム導入支援機能を使用したかどうかの確認
(6) 表データのアンロード
(7) データベースの文字コード種別の変更
(8) データベースの再初期化
(9) データベースサーバでの環境設定
(10) データベースサーバを使用するための設定
(11) 文書空間の構築
(12) アンロードデータファイルの文字コードの変換
(13) 表データのリロード

(1) データベースのバックアップの取得

データベースサーバで,データベースのバックアップを取得します。データベースのバックアップの取得方法については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」を参照してください。

(2) データベースサーバ(HiRDB)のシステム共通定義の設定

HiRDBのシステム共通定義のpd_indexlock_modeオペランドに,インデクスキー値無排他を指定しているか(「NONE」を指定しているか,またはオペランドの指定を省略しているか)を確認します。インデクスキー値無排他を指定していない場合は,インデクスキー値無排他を指定してください。

システム共通定義を変更する方法については,マニュアル「HiRDB システム定義」を参照してください。

(3) ベースパス情報のパスの確認

ベースパス情報のパスが,印刷可能なASCIIコードで構成されているかどうかを確認します。

(a) ベースパス情報を取得する

File Sharingクライアントで,問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)を実行して,すべてのベースパス情報のプロパティを取得します。問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)の詳細については,「8.6 オブジェクト操作ツールのコマンドの詳細」の「dbrexquery(問い合わせの実行)」を参照してください。

コマンドの実行例を次に示します。

実行例
この例では,入力ファイルに問い合わせファイル(eql_1.txt)を指定し,出力ファイルに検索結果ファイル(search_1.txt)を指定して,ベースパス情報のプロパティを取得しています。

dbrexquery eql_1.txt > search_1.txt

問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)で,引数に指定する内容を次に示します。

(b) パスを構成する文字を確認する

検索結果ファイル(search_1.txt)に出力されたベースパス情報のパスが,次に示す印刷可能なASCIIコードだけで構成されているかどうかを確認します。

表E-2 ベースパス情報のパスで使用できる印刷可能なASCIIコード

種別文字
記号半角スペース,!,",#,$,%,&,',(,),*,+,,,-,.,/,:,;,<,=,>,?,@,[,¥,\(半角のバックスラッシュ),],^,_,`,{,|,},~
数字0~9
英字A~Z,a~z

ベースパス情報のパスが表E-2に示す文字だけで構成されている場合は,ベースパス情報のパスを変更する必要はありません。「(6) 表データのアンロード」以降の手順へ進んでください。

ベースパス情報のパスに,表E-2に示す文字以外の文字が含まれている場合は,手順「(4) ベースパス情報のパスの変更」を実行して,ベースパス情報のパスが印刷可能なASCIIコードだけで構成されるように,パスを変更します。

(4) ベースパス情報のパスの変更

ベースパス情報のパスを変更するには,変更後のパス名を決定したあと,実際に次に示す項目を変更します。

これらの変更が終わったら,再度「(3) ベースパス情報のパスの確認」の手順を実行して,ベースパス情報のパスが印刷可能なASCIIコードで構成されていることを確認してください。

(a) 変更後のパス名を決定する

表E-2に示す文字以外の文字が含まれているパスを,表E-2に示す印刷可能なASCIIコードだけになるように,パス名を決定してください。

例えば,ベースパス情報のパスが「D:¥個人」の場合は,「個人」の部分を変更する必要があります。変更後のパス名「D:¥PERSONAL_FILE」のように,決定してください。

(b) ファイル実体の格納先のディレクトリ名を変更する

変更後のパス名が決定したら,ファイルサーバ上のファイル実体の格納先であるフォルダのフォルダ名を,決定したフォルダ名に変更します。エクスプローラやコマンドプロンプトを使用して実行してください。

(c) ベースパス情報のパスを変更する

File Sharingクライアントで,プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)を実行して,ベースパス情報のパスを変更します。プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)の詳細については,「8.6 オブジェクト操作ツールのコマンドの詳細」の「dbrsetprop(プロパティの設定)」を参照してください。

コマンドの実行例を次に示します。

実行例
この例では,OIIDが「dma:///07a17522-…0001D1」のベースパス情報のパスに対して,プロパティ情報ファイル(prop_1.txt)で指定したパスを設定します。

dbrsetprop dma:///07a17522-…0001D1 prop_1.txt

プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)で,引数に指定する内容を次に示します。

ベースパス情報のパスを変更したあと,各ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。変更するベースパス情報のフォルダ種別に応じて,次に示す個所を参照してください。

(d) 個人ルートフォルダに設定されているベースパスを変更する

File Sharingクライアントで,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。

まず,問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)を実行して,ベースパスを変更する個人情報のOIIDを取得します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例
この例では,入力ファイルに問い合わせファイル(eql_personal.txt)を指定し,出力ファイルに実行結果ファイル(oiid_personal.txt)を指定しています。

dbrexquery eql_personal.txt > oiid_personal.txt

問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)で,引数に指定する内容を次に示します。

次に,プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)を実行して,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例

dbrsetprop oiid_personal.txt prop_personal.txt

プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)で,引数に指定する内容を次に示します。

(e) ワークプレースルートフォルダに設定されているベースパスを変更する

File Sharingクライアントで,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。

まず,問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)を実行して,ベースパスを変更するコミュニティ情報のOIIDを取得します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例
この例では,入力ファイルに問い合わせファイル(eql_community.txt)を指定し,出力ファイルに実行結果ファイル(oiid_community.txt)を指定しています。

dbrexquery eql_community.txt > oiid_community.txt

問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)で,引数に指定する内容を次に示します。

次に,プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)を実行して,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例

dbrsetprop oiid_community.txt prop_community.txt

プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)で,引数に指定する内容を次に示します。

(f) グループルートフォルダに設定されているベースパスを変更する

File Sharingクライアントで,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。

まず,問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)を実行して,ベースパスを変更するグループ情報のOIIDを取得します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例
この例では,入力ファイルに問い合わせファイル(eql_group.txt)を指定し,出力ファイルに実行結果ファイル(oiid_group.txt)を指定しています。

dbrexquery eql_group.txt > oiid_group.txt

問い合わせの実行コマンド(dbrexquery)で,引数に指定する内容を次に示します。

次に,プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)を実行して,ルートフォルダに設定されているベースパスを変更します。コマンドの実行例を次に示します。

実行例

dbrsetprop oiid_group.txt prop_group.txt

プロパティの設定コマンド(dbrsetprop)で,引数に指定する内容を次に示します。

(5) システム導入支援機能を使用したかどうかの確認

File Sharingサーバを構築したときに,システム導入支援機能を使用したかどうかを確認します。データベースに表EDMSMETAdocinfoが存在するかどうかを確認することで,システム導入支援機能を使用したかどうかがわかります。

表EDMSMETAdocinfoが存在する場合
システム導入支援機能を使用して構築しています。
表EDMSMETAdocinfoが存在しない場合
システム導入支援機能を使用しないで構築しています。

システム導入支援機能を使用したかどうかの情報は,次の個所で使用します。

(6) 表データのアンロード

データベースサーバで,データベース再編成ユティリティ(pdrorg)を実行して,表データをアンロードします。

(a) アンロードデータファイル用のディスク容量の見積もり

表データをアンロードするために,アンロードデータファイルに必要なディスク容量を見積もります。見積もり方法の詳細については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

なお,見積もりでは,次の情報を基にしてください。File Sharingサーバを構築するときにシステム導入支援機能を使用しているかどうかによって,基にする情報が異なります。

システム導入支援機能を使用して構築している場合
2.4.2(2)(b) 見積もり情報定義ファイルの編集」で編集した見積もり情報定義ファイルを基に見積もってください。
システム導入支援機能を使用しないで構築している場合
表D-2 ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量」を基に見積もってください。

見積もった分のディスク容量を準備しておいてください。

(b) 表データをアンロードする前の準備

表データをアンロードする前に,次のことを実施しておいてください。

(c) 表データをアンロードする

データベースサーバで,データベース再編成ユティリティ(pdrorg)を実行して,表データをアンロードします。データをアンロードする表を次に示します。

  1. cfsClass_AssignableDrive
  2. cfsClass_Community
  3. cfsClass_File_CH
  4. cfsClass_File_DV
  5. cfsClass_Folder
  6. cfsClass_Group
  7. cfsClass_Personal
  8. cfsClass_Quota
  9. dmaClass_DCRelationship
  10. dmaClass_VerDescription
  11. dmaClass_VersionSeries
  12. edmClass_ACL
  13. edmClass_BindRelationship
  14. edmClass_ContentReference
  15. edmClass_OIID
  16. edmClass_PublicACL

データベース再編成ユティリティ(pdrorg)の実行例を次に示します。

実行例
この例では,制御文ファイル「C:¥work¥file¥pdrorg1.txt」を指定し,表"cfsClass_AssignableDrive"のデータがアンロードされます。

pdrorg -k unld -t ¥"cfsClass_AssignableDrive¥" -W dat -n 16 C:¥work¥file¥pdrorg1.txt

データベース再編成ユティリティ(pdrorg)で,次に示すオプションは必ず指定してください。

データベース再編成ユティリティ(pdrorg)のそのほかのオプションの指定については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(d) RDエリアの閉塞を解除する

表データのアンロードが終わったら,RDエリアの閉塞解除コマンド(pdrels)を実行して,RDエリアの閉塞を解除します。コマンドの-rオプションには,閉塞を解除するRDエリア名を指定してください。RDエリアの閉塞解除コマンド(pdrels)の実行例を次に示します。

実行例
この例では,RDエリア「CFS_METATBL」,「CFS_METAIDX」,「CFS_SYSTBL」,「CFS_SYSIDX」,「CFS_USRTBL」,「CFS_USRIDX」,「CFS_DOC01」および「CFS_SGML01」の閉塞が解除されます。

pdrels -r CFS_METATBL,CFS_METAIDX,CFS_SYSTBL,CFS_SYSIDX,CFS_USRTBL,CFS_USRIDX,CFS_DOC01,CFS_SGML01

RDエリアの閉塞解除コマンド(pdrels)の詳細については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(7) データベースの文字コード種別の変更

データベースサーバで,HiRDBの動作環境の設定コマンド(pdntenv)を実行して,データベースの文字コード種別をUTF-8に変更します。なお,HiRDBの動作環境の設定コマンド(pdntenv)を実行する前に,HiRDBおよびHiRDBのサービスを停止しておいてください。

HiRDBの動作環境の設定コマンド(pdntenv)で,オプションには-c utf-8を指定してください。HiRDBの動作環境の設定コマンド(pdntenv)の実行例を次に示します。

実行例

pdntenv -c utf-8

HiRDBの動作環境の設定コマンド(pdntenv)の詳細については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(8) データベースの再初期化

データベースサーバで,HiRDBの開始コマンド(pdstart)を実行して,再度データベースを初期設定します。なお,HiRDBの開始コマンド(pdstart)を実行する前に,HiRDBのサービスを開始しておいてください。

HiRDBの開始コマンド(pdstart)で,オプションには-iを指定してください。HiRDBの開始コマンド(pdstart)の実行例を次に示します。

実行例

pdstart -i

HiRDBの開始コマンド(pdstart)の詳細については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(9) データベースサーバでの環境設定

データベースサーバで,環境設定をします。データベースサーバでの環境設定については,「3.7 データベースサーバでの環境設定」を参照してください。

(10) データベースサーバを使用するための設定

File Sharingサーバで,データベースサーバを使用するための設定をします。データベースサーバを使用するための設定については,「3.8 データベースサーバを使用するための設定」を参照してください。

(11) 文書空間の構築

File Sharingサーバで,文書空間を構築します。文書空間の構築方法については,「3.9 文書空間の構築」を参照してください。

(12) アンロードデータファイルの文字コードの変換

File Sharingクライアントで,文字コードセットの変換コマンド(cfschgcode)を実行して,アンロードデータファイルの文字コードをUTF-8に変換します。

文字コードセットの変換コマンド(cfschgcode)の実行例を次に示します。

実行例
この例では,入力ファイルに指定したアンロードデータファイル「C:¥work¥file¥unfile1」の文字コードがUTF-8に変換され,文字コード変換後のファイル「C:¥work¥encoded_file¥unfile1」が出力されます。

cfschgcode -c utf-8 -i C:¥work¥file¥unfile1 -o C:¥work¥encoded_file¥unfile1

文字コードセットの変換コマンド(cfschgcode)の詳細については,「8.8 File Sharingクライアント運用コマンドの詳細」の「cfschgcode(ファイルの文字コードセットの変換)」を参照してください。

(13) 表データのリロード

データベースサーバで,データベース作成ユティリティ(pdload)を実行して,表データをリロードします。

(a) 表データをリロードする前の準備
(b) 表データをリロードする

データベースサーバで,データベース作成ユティリティ(pdload)を実行して,表データをリロードします。

データベース作成ユティリティ(pdload)の実行例を次に示します。

実行例
この例では,制御文ファイル「C:¥work¥file¥pdload1.txt」を指定し,表"cfsClass_AssignableDrive"のデータをリロードしています。

pdload -d -c C:¥work¥column_inf1.txt -i c -l n -n 16 -z -o ¥"cfsClass_AssignableDrive¥" C:¥work¥file¥pdload1.txt

データベース作成ユティリティ(pdload)で,次に示すオプションは必ず指定してください。

データベース作成ユティリティ(pdload)のそのほかのオプションの指定については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(c) RDエリアの閉塞を解除する

表データのリロードが終わったら,RDエリアの閉塞解除コマンド(pdrels)を実行して,RDエリアの閉塞を解除します。コマンドの-rオプションには,閉塞を解除するRDエリア名を指定してください。

RDエリアの閉塞解除コマンド(pdrels)の詳細については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

(d) 列構成情報ファイル

表ごとに列構成情報ファイルに記述する内容を次に示します。