7.4.1 データベースのバックアップとリストア

File Sharingで使用する表のバックアップおよびリストアは,データベースシステムの機能を利用して実施します。なお,使用できるデータベースシステムはHiRDBのため,データのバックアップとリストアはHiRDBの機能を利用してください。HiRDBでのバックアップの取得方法とリストア方法の詳細については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」を参照してください。

データベースのバックアップおよびリストアは,必ずFile Sharingサーバが管理しているファイルシステムのバックアップおよびリストアと同期して実施する必要があります。ファイルシステムのバックアップおよびリストアについては,「7.5.4 ファイルシステムのバックアップとリストア」を参照してください。

また,ハードウェア障害の発生に備えて,File Sharingがインストールされているシステムのレジストリ情報などの環境情報のバックアップも取得するようにしてください。

<この項の構成>
(1) データベースのバックアップとリストアについて
(2) データベースのバックアップとリストアの方法
(3) データベースのバックアップの取得
(4) データベースのリストアの方法

(1) データベースのバックアップとリストアについて

File Sharingサーバは,データベース上のレコードを組み合わせることで,File Sharingクライアントで扱う論理的なオブジェクトや,オブジェクト間の関連を実現しています。したがって,障害時の回復には,これらの関連の整合性を保持するようにバックアップおよびリストアを行う必要があります。

(2) データベースのバックアップとリストアの方法

File Sharingサーバでは,オブジェクト間の関連を,文書空間単位に管理しています。また,文書空間はデータベースのスキーマに対応しており,文書空間単位で運用できます。

File Sharingサーバでは,File Sharingクライアントで扱うデータをデータベース上に格納しています。格納しているデータの障害回復には,データベースの機能を利用してください。オブジェクト間の関連の整合性を保持したバックアップとリストアの方法としては,文書空間単位でバックアップとリストアを行う方法とRDエリア単位のバックアップとリストアを行う方法があります。次に,これらの方法を説明します。

(a) 文書空間単位のバックアップとリストア

文書空間単位でのバックアップの取得の概念を次の図に示します。

図7-1 文書空間単位でのバックアップの取得

[図データ]

文書空間(スキーマ)に属する全データのバックアップを,同期を取って取得します。障害が発生した場合は,全データをバックアップしたデータを基にリストアします。ただし,同期を取って全データのバックアップを取得する運用では,文書空間に属するデータ量が多い場合,バックアップおよびリストアに要する時間の増大や,障害回復までに,停止する業務範囲が大きいなどの問題が発生します。

この運用の場合,更新ログの取得方法として次に示す方法のどちらかを選択してください。

(b) RDエリア単位のバックアップと最新同期点までのリストア

RDエリア単位でのバックアップの取得の概念図を次の図に示します。

図7-2 RDエリア単位でのバックアップ取得

[図データ]

文書空間を構成する個々のRDエリアまたはディスクのパーティション単位にバックアップします。障害が発生した場合は,バックアップしたデータを基に,障害の発生したRDエリアのデータをリストアします。このとき,ほかのRDエリアのデータとの関連の整合性を保証するため,データベースの更新ログから最新の同期点までリストアします。このため,更新ログの取得方法は,ロールバックおよびロールフォワードに必要なログを取得する設定にしてください。

この方式では,バックアップしたときにRDエリア相互の同期を取る必要がないため,対象データが多い場合にも,日々のバックアップ対象を全体の一部ずつとするなど,柔軟なバックアップの運用ができます。

(3) データベースのバックアップの取得

データベースシステムの機能を利用して,同期を取って,File Sharingが使用している表一式のバックアップを取得してください。バックアップ対象になる表やエリアなどの情報は,データベースの初期設定で使用したデータベース定義文を基に事前に用意してください。

データベースのバックアップおよびリストアは,必ずFile Sharingサーバの停止中に実施してください。また,ハードウェア障害の発生に備えて,File Sharingサーバがインストールされているシステムのレジストリ情報などの環境情報のバックアップも取得するようにしてください。

(4) データベースのリストアの方法

取得したバックアップのリストアは,データベースシステムの機能を利用して実行してください。リストアを実行する前には,必ずFile Sharingサーバを停止させてください。