2.4.3 ユーザ用RDエリアの容量の見積もり例

ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もる例について説明します。

見積もり例では,文書空間の文字コード種別がUTF-8の場合の見積もり情報定義ファイルのデフォルト値および文書空間情報ファイルのデフォルト値を前提としています。各ファイルのデフォルト値については,「5.2.13(1) 見積もり情報定義ファイルの想定値」および「5.2.14(1) 文書空間情報ファイルの想定値」を参照してください。

見積もりの前提とする値を見積もり情報定義ファイルおよび文書空間情報ファイルに指定して,文書空間の定義コマンド(EDMCDefDocSpace)を実行します。文書空間の定義コマンド(EDMCDefDocSpace)の実行で出力された見積もり基礎情報ファイルから,ユーザ用RDエリアに必要な容量を求めます。

なお,ユーザ用RDエリアは,ユーザ表用RDエリアとユーザインデクス用RDエリアから構成されます。ここでは,ユーザ表用RDエリアに格納する,クラスに対応する表とFile Sharingのメタ情報に対応する表の容量を算出します。それぞれの表のインデクスの容量については,見積もり基礎情報ファイルに出力された内容を基に,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照して算出してください。

<この項の構成>
(1) クラスに対応する表の容量の算出
(2) File Sharingのメタ情報に対応する表の容量の算出

(1) クラスに対応する表の容量の算出

クラスに対応する表の容量は,「dmaClass」または「edmClass」で始まる表の容量と「cfsClass」で始まる表の容量の和で求められます。

ここで示す見積もり例では,「dmaClass」または「edmClass」で始まる表の容量が463,541,608バイト,「cfsClass」で始まる表の容量が3,287,195,648バイトとなり,クラスに対応する表としては3,750,737,256バイト(約3,577MB)の容量が必要なことがわかります。

(a) 「dmaClass」または「edmClass」で始まる表の容量

「dmaClass」または「edmClass」で始まる表の容量は,見積もり情報定義ファイルで,Kindエントリが「SystemTable」の行の値から求めます。また,Record Lengthエントリにデータサイズが,Record Countエントリにレコード数が出力されます。表ごとの容量として,データサイズとレコード数の積を算出します。

算出例を次の表に示します。

表2-8 KindエントリのSystemTableに出力された結果と算出例

表名
(Table Nameエントリの値)
データサイズ
(Record Lengthエントリの値(バイト))
レコード数
(Record Countエントリの値)
容量
(データサイズ×レコード数(バイト))
edmClass_OIID※120120
dmaClass_ConfigHistory93000
dmaClass_VerDescription180192,20034,596,000
dmaClass_Rendition38000
dmaClass_ContentReference59600
dmaClass_ContentTransfer60500
dmaClass_Container87800
dmaClass_DCRelationship172229,40039,456,800
dmaClass_RCRelationship17200
edmClass_IndPersistence77400
edmClass_ContainerVersion88200
edmClass_VTCRelationship2800※20
edmClass_SgmlComponentInfo1,30800
edmClass_VTContainer87800
edmClass_Relationship17600
edmClass_VTRelationship49600
edmClass_ContentReference1,112192,200213,726,400
edmClass_ACL※3見積もりに使用しません。見積もりに使用しません。見積もり式から算出します。
edmClass_PublicACL※3見積もりに使用しません。見積もりに使用しません。見積もり式から算出します。
edmClass_BindRelationship68424,08628,837,848
dmaClass_DocVersion1,27500
edmClass_VTDocVersion1,27500
edmClass_CompoDocVersion1,27500
edmClass_VTCompoDocVersion1,27500
dmaClass_VersionSeries656192,200126,083,200
edmClass_ConceptSgmlDoc64100
注※1
実行環境の情報を格納するための表に必要な容量を算出します。算出方法は,「データサイズ×実行環境の数」です。ここでは,実行環境が一つの場合を想定します。20バイト×1=20バイトが必要な容量になります。
注※2
表edmClass_VTCRelationshipは,Record Countエントリに出力された値に関係なく,0として計算してください。
注※3
表edmClass_ACLおよび表edmClass_PublicACLについては,レコード数を「2.4.2(3)(a) 各表に格納するレコードの総数」に示した見積もり式から,またデータサイズを「2.4.2(3)(c) 各列のデータサイズ」に示した見積もり式から計算して,容量を算出してください。
表edmClass_ACLおよび表edmClass_PublicACLの算出例
表edmClass_ACLおよび表edmClass_PublicACLのデータサイズは個人フォルダ単位,コミュニティフォルダ単位およびグループフォルダ単位で算出します。「2.4.2(3)(c) 各列のデータサイズ」で示した式を基にしたフォルダの種別ごとの算出例を次に示します。
  • 個人フォルダの場合
    mは参照権を設定するユーザ数です。ここでは,16とします。nは1(固定)です。
    これによって,個人フォルダのアクセス制御情報を格納する表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+1)=4,555バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+1)+1,024=6,619バイトになります。
  • コミュニティフォルダ
    mは更新権または作成/削除権を設定する役割数の全体の平均です。ここでは,16とします。nは,アクセス権変更権を設定する役割数の全体の平均になります。ここでは,2とします。
    これによって,コミュニティフォルダのアクセス制御情報を格納する表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+2)=4,818バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+2)+1,024=6,882バイトになります。
  • グループフォルダ
    mは参照権,作成権,更新権または削除権を設定する組織数およびユーザ数の平均です。ここでは,16とします。nは,アクセス権変更権を設定する組織数とユーザ数の平均と,グループフォルダの運用者数の平均の和になります。ここでは,5とします。
    これによって,グループフォルダの表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+5)=5,607バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+5)+1,024=7,671バイトになります。
また,表edmClass_ACLおよび表edmClass_PublicACLの容量を算出するために必要な見積もり値と,この例で使用する値を次に示します。
  • 個人フォルダで管理するほかのユーザに参照権を設定するファイルの総数:500
  • コミュニティルートフォルダの総数:200
  • グループルートフォルダの総数:40
  • 個人ルートフォルダの総数:1,000
  • 個人フォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数:1,000
  • グループフォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数:240
フォルダごとに算出したデータサイズと見積もり値を基に,容量を算出します。表edmClass_ACLおよび表edmClass_PublicACLの容量の算出例を次の表に示します。

表2-9 表edmClass_ACLの容量の算出例

フォルダの種類見積もり方法見積もり式容量(バイト)
個人フォルダデータサイズ×個人フォルダで管理するほかのユーザに参照権を設定するファイルの総数4,555×5002,277,500
コミュニティフォルダデータサイズ×コミュニティルートフォルダの総数4,818×200963,600
グループフォルダデータサイズ×グループルートフォルダの総数5,607×40224,280
合計は,3,465,380バイトになります。
  • ごみ箱を使う場合
    pはごみ箱の利用率(%)です。ここでは,0.1とします。
    これによって,グループフォルダの表edmClass_ACLのデータサイズは,347×0.1=35バイト増加になります。
    ごみ箱を使う場合,合計は,3,465,415バイトになります。

    表2-10 表edmClass_PublicACLの容量

    フォルダの種類見積もり方法見積もり式容量(バイト)
    個人フォルダデータサイズ×(個人ルートフォルダの総数+個人フォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数)6,619×(1,000+1,000)13,238,000
    コミュニティフォルダデータサイズ×コミュニティルートフォルダの総数6,882×2001,376,400
    グループフォルダデータサイズ×(グループルートフォルダの総数×3+グループフォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数)7,671×(40×3+240)2,761,560
合計は,17,375,960バイトになります。

「dmaClass」または「edmClass」で始まる表の容量の合計は,463,541,608バイト(約442MB)になります。これが「dmaClass」または「edmClass」で始まる表に必要な容量です。

(b) 「cfsClass」で始まる表の容量

「cfsClass」で始まる表の容量は,見積もり式から求めたデータサイズと,見積もり情報定義ファイルのレコード数から求めます。表ごとにデータサイズとレコード数の積から容量を求め,各表の容量を合計することで,「cfsClass」で始まる表の容量を求められます。

データサイズの見積もり式については,「2.4.2(3)(c) 各列のデータサイズ」を参照してください。

レコード数は,見積もり情報定義ファイルのKindエントリが「UserTable」の行の,Record Countエントリに出力された値を使用します。

算出例を次の表に示します。

表2-11 KindエントリのUserTableに出力された結果と算出例

表名
(Table Nameエントリの値)
データサイズレコード数(Record Countエントリの値)容量
(データサイズ×レコード数(バイト))
見積もり式値(バイト)
cfsClass_Folder3,995+1,024×4+10,30418,39538,440707,103,800
cfsClass_File_CH4,299+1,024×4+10,30418,699192,2003,593,947,800
cfsClass_File_DV3,604+1,024×47,700192,2001,479,940,000
cfsClass_Personal2,066+1,0243,0901,0003,090,000
cfsClass_Community2,322+1,0243,346200669,200
cfsClass_Group2,066+1,0243,09040123,600
cfsClass_Quota1,546+1,0242,57037,710
cfsClass_AssignableDrive2,582+1,0243,606310,818
cfsClass_Parameter1,5481,54811,548

合計は,5,784,894,476バイト(約5,517MB)になります。これが「cfsClass」で始まる表に必要な容量です。

(2) File Sharingのメタ情報に対応する表の容量の算出

File Sharingのメタ情報に対応する表の容量は,見積もり情報定義ファイルで,Kindエントリが「MetaTable」の行の値から求めます。Record Lengthエントリにデータサイズが,Record Countエントリにレコード数が出力されます。表ごとの容量として,データサイズとレコード数の積を算出します。

算出例を次の表に示します。

表2-12 KindエントリのMetaTableに出力された結果と算出例

表名
(Table Nameエントリの値)
データサイズ
(Record Lengthエントリの値(バイト))
レコード数
(Record Countエントリの値)
容量
(データサイズ×レコード数(バイト))
EDMS_METAINI1582,436384,888
EDMS_META_edms527971511,717
EDMS_META_edmsys52710052,700
EDMS_META_ssysobj5275026,350
EDMS_META_edmnmclass52710856,916
EDMS_META_edmnmprop527236124,372
EDMS_META_dsclass5271,566825,282
EDMS_META_dmaclass5271,800948,600
EDMS_META_edmclass5271,519800,513
EDMS_META_dsqop5271,500790,500
EDMS_META_edmqop527600316,200
EDMS_META_edmsysclass527400210,800
EDMS_META_dsprop5271,500790,500
EDMS_META_dmaprop5273,2001,686,400
EDMS_META_edmprop5273,5481,869,796
EDMS_META_dmaproto527500263,500
EDMS_META_edmsysprop527200105,400
EDMS_METAMETA33133
EDMSMETAdocinfo260215,460
EDMSMETAclassdef2601,180306,800
EDMSMETAREGENVID558見積もりに使用しません。見積もり式から算出します。
注※
実行環境の情報を格納するためのメタ情報に対応する表に必要な容量を算出します。算出方法は,「データサイズ×実行環境の数」です。ここでは,実行環境が一つの場合を想定します。558バイト×1=558バイトが必要な容量になります。

メタ情報に対応する表の総容量は,10,077,285バイトになり,約9.6MBになります。