ネットワークリソース情報ファイルは,ネットワーク上のファイルシステムにファイル実体を格納する場合に,格納先のベースパスをUNC形式で指定してアクセスするための情報を定義するファイルです。ベースパスをUNC形式で指定すると,それぞれのマシンでネットワークドライブを割り当てる必要がありません。
また,ネットワークリソース情報ファイルには,ファイル実体を格納しているマシンにログインするためのユーザIDとパスワードを指定します。このため,このファイルのセキュリティは確実に管理してください。
なお,ファイル実体の格納先をUNC形式で指定しない場合,このファイルを編集する必要はありません。ネットワークリソース情報ファイルが存在しない場合,またはネットワークリソース情報ファイルに[コンピュータ名]セクションが存在しない場合,File Sharingサーバは,UNC形式で指定されていないものとして動作します。
ネットワークリソース情報ファイルの格納ディレクトリとファイル名を次に示します。
{File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥etc¥netaccess.ini
- <この項の構成>
- (1) ネットワークリソース情報ファイルの記述形式
- (2) ネットワークリソース情報ファイルの詳細
ネットワークリソース情報ファイルは,次に示す2種類のセクションとセクションに指定するエントリによって構成されます。
- [Network]セクション
- [コンピュータ名]セクション
以降,ネットワークリソース情報ファイルを構成する各セクションとセクションごとに指定するエントリについて説明します。
(a) [Network]セクション
ネットワークリソース情報で共通の情報を指定します。1行2,047バイト以内で指定してください。
[Network]セクションを構成する各エントリは次のとおりです。
- ConnectionScopeエントリ
- ネットワークへの接続期間を指定します。Serviceを指定します。ネットワークリソース情報ファイルに記述されているデフォルトは「Service」です。
- Service
File Sharingサーバの起動時にネットワークリソースに接続します。接続は,File Sharingサーバの停止時に切断されます。
- BufferSizeエントリ
- File Sharingサーバのマシンとファイルシステムが存在するマシン間のファイル転送で使用するデータ転送サイズを指定します。指定できる値の範囲は,4,096~2,147,483,647バイトです。
- このエントリの記述を省略した場合は,ファイルを分割しないで転送します。
- このエントリは,ファイル操作の負荷が高くなったときに,ネットワーク接続による性能劣化をチューニングするために使用します。
(b) [コンピュータ名]セクション
セクション名には,ネットワークリソースとして使用する共有名に該当するコンピュータ名またはIPアドレスを指定します。255バイト以内で指定してください。
このセクションで指定した定義は,セクション名で示すコンピュータの共有名がベースパス情報として設定された場合に有効になります。
[コンピュータ名]セクションを構成する各エントリは次のとおりです。
- UserNameエントリ
- セクション名で指定したコンピュータの共有名に接続してファイルを操作するユーザのユーザ名を,「"」(引用符)で囲んで指定します。セクション名で記述したコンピュータにログインできるユーザ名,かつ使用する共有名にアクセスできるユーザ名を指定してください。
- [コンピュータ名]セクションを指定した場合,このエントリの指定は省略できません。省略すると,[Collaboration - File Sharing Server]サービスを起動するときに,ネットワークリソース情報ファイルの読み込みでエラーになります。
- 認証するドメイン名を指定する場合,ドメイン名とユーザ名の間を1バイトの「¥」で区切って,「ドメイン名¥ユーザ名」のように指定してください。なお,使用しているOSがWindows Server 2008 x86,Windows Server 2008 x64およびWindows Server 2008 R2以降の場合,ドメイン名またはコンピュータ名を必ず指定してください。
- Passwordエントリ
- UserNameエントリで指定したユーザ名でネットワークリソースに接続するためのパスワードを,「"」(引用符)で囲んで指定します。指定を省略した場合は,パスワード指定なしでネットワーク接続処理が実行されます。
(c) ネットワークリソース情報ファイルの記述例
ネットワークリソース情報ファイルの記述例を次に示します。この例の場合は,ネットワークリソースへの接続および接続の切断が,File Sharingサーバが起動または停止したときに実行されます。また,ファイルシステムとして「Server1」というコンピュータ名のマシンと「10.210.64.99」というIPアドレスを持つマシンに接続します。Server1にはユーザ名「domain¥user」,パスワード「password」でログインします。10.210.64.99には,ユーザ名「Guest」,パスワード指定なしでログインします。
[Network]
ConnectionScope = Service
BufferSize = 4096
[Server1]
UserName = "domain¥user"
Password = "password"
[10.210.64.99]
UserName = "Guest"
(d) ネットワークリソース情報ファイルの注意事項
ネットワークリソース情報ファイルを編集して,ネットワークリソースに接続する場合の注意事項を次に示します。
- ネットワークリソース情報ファイルは,ネットワークコンピュータにアクセスするための情報を格納するファイルです。該当するネットワークコンピュータへのユーザ名とパスワードを指定します。このため,システム管理者以外のユーザが参照,更新などの操作ができないように,ファイルに適切なアクセス権を設定して管理してください。
- [Network]セクションは,ファイル内の先頭のセクションとして記述してください。二つ目以降のセクションとして[Network]セクションを指定した場合,「Network」というコンピュータ名の[コンピュータ名]セクションとして扱われます。
- 複数の[コンピュータ名]セクションに同一コンピュータ名を指定した場合は,先に指定したセクションが有効になります。
- [コンピュータ名]セクションに指定するコンピュータ名の表記は,ベースパス情報として設定するUNC形式のコンピュータ名と一致させてください。File Sharingサーバでは,コンピュータ名とIPアドレスの変換,および指定の正当性のチェックはしません。例えば,コンピュータ名がServer2でIPアドレスが10.210.64.99のマシンに対して,ネットワークリソース情報ファイルの[コンピュータ名]セクションを[Server2]と指定して,ベースパス情報として「¥¥10.210.64.99¥data」と設定した場合,接続はできません。
- [コンピュータ名]セクションに指定するコンピュータ名には,File Sharingサーバから認識できるネットワーク構成のマシンのコンピュータ名を指定してください。
- File Sharingサーバを起動したあとでUserNameエントリのユーザ名を変更する場合は,ネットワークリソース情報ファイルのUserNameエントリを編集したあとで,File Sharingサーバを再起動してください。
- [コンピュータ名]セクションに指定したコンピュータ名に該当する共有名のディレクトリには,適切なアクセス権限の設定が必要です。詳細は,「3.10.2 ファイル実体の格納先のアクセス権限の設定」を参照してください。
- File Sharingサーバでは,[コンピュータ名]セクションに指定したネットワークリソースに対して,指定されたユーザで接続します。このとき,有効になる[コンピュータ名]セクションの指定ごとに,ライセンスユーザ数は1になります。接続先コンピュータのライセンスユーザ数に注意してください。
- File Sharingサーバのマシンと[コンピュータ名]セクションで指定したマシン間でネットワーク障害が発生した場合に原因を究明するために使用する障害情報として,File Sharingサーバマシンでネットワークモニタによってトレース情報を取得しておくことをお勧めします。
- File Sharingサーバマシンで使用しているWindowsのバージョンに対して,[コンピュータ名]セクションで指定するマシンのWindowsのバージョンは,同一バージョン以上になるようにしてください。例えば,File SharingサーバマシンでWindows Server 2008 R2を使用している場合は,[コンピュータ名]セクションで指定したマシンではWindows Server 2008 R2,Windows Server 2008 x64,Windows Server 2008 x86,Windows Server 2012またはWindows Server 2012 R2を使用している必要があります。
- File Sharingサーバサービスを停止時に,ネットワークリソース情報ファイルで定義したコンピュータに対するネットワークコネクションが切断されます。File Sharingサーバサービス停止後,Windowsシステム上,一定時間接続が保持されます。この接続が保持されている一定時間内に,File Sharingサーバサービスの起動・停止を繰り返すと,ネットワークリソース情報で定義したコンピュータに対する接続ユーザ数が上限に達します。上限に達するとファイル操作時にエラーとなり,詳細メッセージKMBR24009-Eが出力されます。この場合,ファイルの操作は一定時間後に実行してください。メッセージの詳細については,マニュアル「Collaboration - File Sharing メッセージ」を参照してください。時間については,Windowsのnetコマンドの説明を参照してください。