発生した障害の切り分けや,原因究明のためにトレースファイルが出力されます。
File Sharingで出力されるトレースファイルには,出力先や出力内容の設定方法によって,次の表に示す種類があります。
表9-1 File Sharingで出力されるトレースファイル
該当する機能 | 出力先および出力内容の設定方法 | |
---|---|---|
File Sharingサーバ | 環境変数で設定します。 | |
File Sharingサーバ | 組織情報取得ライブラリ | ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)で設定します。 |
File Sharingクライアント | ポートレット機能(File Sharingサーバへのアクセス処理)およびFile Sharingクライアント運用コマンド | File Sharingクライアントの「動作環境定義ファイル」で設定します。 |
ポートレット機能(uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理) | uCosminexus Portal Frameworkで設定します。 | |
ポートレット機能以外 | 環境変数で設定します。 |
File Sharingサーバのトレースファイルについて説明します。
File Sharingサーバのトレースファイルは,環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」に指定したディレクトリに出力されます。デフォルトの出力先ディレクトリを次に示します。
{File Sharingサーバのインストールディレクトリ}¥Server¥spool¥server
File Sharingサーバのトレースファイルの出力ファイル名は,環境変数で指定できません。「EDMRasTrace0x"PID"_"NO".log」のファイル名で出力されます。なお,「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。
File Sharingサーバのトレースファイルの出力方法および出力内容については,次に示す環境変数で設定します。
表9-2 トレースレベルと出力情報
トレースレベル | 出力情報 |
---|---|
-1※ |
|
0 |
|
10(デフォルト) |
|
組織情報取得ライブラリのトレースファイルについて説明します。組織情報取得ライブラリのトレースファイルについては,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)で設定します。
組織情報取得ライブラリのトレースファイルの出力先およびファイル名は,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの[DIRECTORY]セクションを構成するTraceFileNameエントリに指定します。エントリの指定方法については,「5.2.5 ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)」を参照してください。
組織情報取得ライブラリを取得する場合の制御情報は,ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの[DIRECTORY]セクションを構成する次のエントリの指定方法に依存します。
トレースファイルの管理方法に従って,最適な設定をしてください。各エントリの指定方法については,「5.2.5 ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイル(cfsauth.ini)」を参照してください。
組織情報取得ライブラリのトレースファイルの出力情報について説明します。なお,トレースファイルの出力形式については,マニュアル「Collaboration 導入ガイド」を参照してください。
トレースファイルに,結果コード,詳細コード1および詳細コード2が次の形式で出力されます。
rc = xxx,dc1 = yyy,dc2 = zzz
トレースファイル中の「message-id」に”Error”と出力された行から,結果コード,詳細コード1および詳細コード2を取得してください。
トレースファイルの出力情報と,要因別の対策を次の表に示します。
表9-3 組織情報取得ライブラリのトレースファイルの要因別の対策一覧
結果コード | 詳細コード | 要因 | 対策 |
---|---|---|---|
0x0 | 0x1 | 次の要因が考えられます。
| ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルの設定で,次に示す内容が現在のディレクトリサーバ上のデータと一致していることを確認してください。
|
0x1以外 | 正常終了です。 | - | |
0x1 | 0x0 | 正常終了です。 | - |
0x4 | 0x0 | ディレクトリサーバ検索に使用できるコネクションハンドルが,コネクションプールに存在しません。 | ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルのコネクション数を見直してください。 |
0x6 | 0x1以外 | 内部の不正を検知しました。 | エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。 |
0x7 | 0x0 | メモリの確保に失敗しました。 | メモリの容量が十分かどうか確認してください。不足している場合は,メモリを増設してください。 |
0x8 | 0x0 | ディレクトリサーバ接続の初期化に失敗しました。 | ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルで,次の設定を見直してください。
|
0x9 | 0x0 | 次の要因が考えられます。
| ディレクトリサーバ上のデータについて,次に示す内容を確認してください。
|
0xa | ディレクトリサーバリターンコード | ディレクトリサーバ操作時に,エラーが発生しました。
| ディレクトリサーバの環境を見直して,再度実行してください。 それでも同様のエラーが発生する場合は,エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。 |
0xb | トレースAPIの種別番号 | 詳細コード2の要因で,詳細コード1のAPIがエラーを返しました。 | ユーザ認証ライブラリ環境定義ファイルで,次の設定を見直してください。
|
0x2, 0x3, 0x5, 0xc | 任意 | 内部の不正を検知しました。 | エラー発生時のトレースファイルを取得して,システム管理者に連絡してください。 |
(凡例) -:該当しません。
File Sharingクライアントのポートレット機能およびFile Sharingクライアント運用コマンドのうち,File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルについては,動作環境定義ファイルで設定します。
File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルの出力先は,動作環境定義ファイルで設定できます。設定方法については,「5.3.4 動作環境定義ファイル(conf.properties)」を参照してください。デフォルトの出力先ディレクトリを次に示します。
{File Sharingクライアントのインストールディレクトリ}¥Client¥log
File Sharingサーバへのアクセス処理のトレースファイルの出力ファイル名は,「DBJComTrace0xPID_NO.log」です。「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。
次の内容が出力されます。
File Sharingクライアントのポートレット機能のうち,uCosminexus Portal Frameworkと連携する処理のトレースファイルについては,uCosminexus Portal Frameworkで設定します。uCosminexus Portal Frameworkでのログ出力の詳細は,マニュアル「uCosminexus Portal Framework システム管理者ガイド」を参照してください。
File Sharingクライアントのポートレット機能およびFile Sharingクライアント運用コマンド以外のトレースファイルについて説明します。
File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイルの出力先は,環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」に必ず指定してください。なお,指定されなかった場合は,次に示す優先順位で決まります。
トレースファイルの出力ファイル名は,環境変数に指定できません。「EDMRasTraceCL0x"PID"_"NO".log」のファイル名で出力されます。なお,「PID」はプロセス識別子で,「NO」はファイル通番です。
File Sharingクライアントのポートレット機能以外のトレースファイルの出力方法および出力内容は,File Sharingサーバと同様の環境変数で設定します。
なお,環境変数「_HIEDMS_TRACE_KEEP_DAYS(トレースファイルの保存日数)」は,File Sharingサーバだけに有効です。ただし,File SharingサーバとFile Sharingクライアントを同一のマシンで運用する場合で,File SharingクライアントとFile Sharingサーバのトレースファイルの出力先が同一のときは,File Sharingクライアントのトレースファイルも,環境変数「_HIEDMS_TRACE_KEEP_DAYS」の指定内容に従って削除されます。
設定する環境変数の詳細は,「9.1.3(1) File Sharingサーバのトレースファイル」の「(c) 出力方法および出力内容」を参照してください。