付録D.1 ユーザ用RDエリアの容量の見積もり

システム導入支援機能を使用しない場合のユーザ用RDエリアの容量の見積もりについて説明します。

<この項の構成>
(1) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量
(2) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法
(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり例

(1) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量

ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための目安として,File Sharingの表ごとに,各レコードのデータサイズ,および各表に格納するレコード数の見積もり方法を説明した一覧を示します。この一覧を参照して,どのようにRDエリアの容量を見積もるかについては,「(2) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法」で説明します。

ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量を次の表に示します。

表D-2 ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量

表名列数データサイズ(バイト)レコード数または見積もり方法
cfsClass_AssignableDrive202,582+lベースパス情報の総数
cfsClass_Community192,322+lコミュニティ総数
cfsClass_File_CH374,299+l×4+oファイル総数
cfsClass_File_DV333,604+l×4ファイル総数
cfsClass_Folder363,995+l×4+oフォルダ総数
cfsClass_Group182,066+lグループルートフォルダの総数
cfsClass_Parameter131,548パラメタ定義数
cfsClass_Personal182,066+l個人フォルダを利用するユーザの総数
cfsClass_Quota141,546+l
最大許容サイズを設定する場合:
最大許容サイズ情報の総数
最大許容サイズを設定しない場合:
0
dmaClass_DCRelationship4172フォルダ総数+ファイル総数-(個人ルートフォルダの総数+コミュニティルートフォルダの総数+グループルートフォルダの総数)
dmaClass_VerDescription6180ファイル総数
dmaClass_VersionSeries11656ファイル総数
edmClass_ACL684+263×(m+n)
上限値:33,748
下限値:84
ほかのユーザに参照権を設定する個人フォルダのファイル数+コミュニティルートフォルダの総数×2+グループルートフォルダの総数
edmClass_BindRelationship268個人ルートフォルダの総数×2+個人フォルダで管理するフォルダの総数×2+個人フォルダで管理するファイルの総数×4+コミュニティフォルダで管理するフォルダの総数+コミュニティフォルダで管理するファイルの総数×2+グループルートフォルダの総数×2+グループフォルダで管理するフォルダの総数×2+グループフォルダで管理するファイルの総数×4
edmClass_ContentReference81,112ファイル総数
edmClass_OIID320実行環境の数
edmClass_PublicACL14344+780+263×(m+n)+l
上限値:35,824
下限値:2,148
個人ルートフォルダの総数+個人フォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数+コミュニティルートフォルダの総数+グループルートフォルダの総数×3+グループフォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数
EDMS_META_dmaclass55271,800
EDMS_META_dmaprop55273,200
EDMS_META_dmaproto5527500
EDMS_META_dsclass55271,566
EDMS_META_dsprop55271,500
EDMS_META_dsqop55271,500
EDMS_META_edmclass55271,517
EDMS_META_edmnmclass5527108
EDMS_META_edmnmprop5527235
EDMS_META_edmprop55273,505
EDMS_META_edmqop5527600
EDMS_META_edms5527969
EDMS_META_edmsys5527100
EDMS_META_edmsysclass5527400
EDMS_META_edmsysprop5527200
EDMS_META_ssysobj552750
EDMS_METAINI31582,431
EDMS_METAMETA3331
EDMSMETAREGENVID6558実行環境の数
(凡例)
l:
  • 文書空間の文字コード種別がUTF-8の場合は1,024です。
  • 文書空間の文字コード種別がShift-JISの場合は512です。
m:
上限値は64です。
  • 個人フォルダの場合は,参照権を設定するユーザ数の平均です。
  • コミュニティフォルダの場合は,更新権または作成/削除権を設定する役割数の全体の平均です。
  • グループフォルダの場合は,参照権,作成権,更新権または削除権を設定する組織数とユーザ数の平均です。
n:
上限値は64です。
  • 個人フォルダの場合は1です。
  • コミュニティフォルダの場合は,アクセス権変更権を設定する役割数の全体の平均です。
  • グループフォルダの場合は,アクセス権変更権を設定する組織数とユーザ数の平均と,グループフォルダの運用者数の平均の和です。
o:
  • 文書空間の文字コード種別がUTF-8の場合は10,304です。
  • 文書空間の文字コード種別がShift-JISの場合は5,152です。

(2) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法

ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための方法について説明します。ここで算出した値を基にして,実際に使用するディスク占有量を算出してください。ディスク占有量の算出方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

ユーザ用RDエリアの容量を見積もるためには,あらかじめFile Sharingの運用方法について検討しておく必要があります。

次のことを検討してください。

これらの検討結果と「(1) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量」の表D-2の内容を参考にして,値を算出してください。

(a) 各表に格納するレコードの総数

表D-2のデータサイズおよびレコード数の見積もり方法を参考にして,File Sharingが管理するフォルダとファイルの数などから,各表に格納するレコードの総数を算出してください。

(b) 各表に定義する列の総数

表D-2に示す列数をそのまま使用して算出してください。

(c) 各列のデータサイズ

表D-2に示すデータサイズをそのまま使用して算出してください。

(d) インデクス

オブジェクトのプロパティに定義されるインデクスの算出については,データベース定義文出力コマンド(EDMCrtSql)によって出力されるデータベース定義文を参考にしてください。

なお,表D-2に示すEDMS_META_で始まる名称の表には,次に示す複数列インデクスが一つ定義されます。

表D-2に示すEDMSMETAREGENVIDの表には,次に示す単一列インデクスが一つ定義されます。

これを考慮してインデクスを算出してください。

(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり例

ここでは,ユーザ用RDエリア容量の見積もり例について説明します。

見積もり例では,次の値を前提とします。なお,この例は,最大許容サイズを設定する場合の例です。

表D-3 ユーザ用RDエリアの容量の見積もりの前提

項目前提とする値
文書空間の文字コード種別UTF-8
ファイルの総数192,200
フォルダの総数38,440
個人ルートフォルダの総数(ユーザ総数)1,000
個人フォルダで管理するファイルの総数100,000
個人フォルダで管理するフォルダの総数13,400
個人フォルダで管理するほかのユーザに参照権を設定するファイルの総数500
個人フォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数1,000
コミュニティルートフォルダの総数(コミュニティ総数)200
コミュニティフォルダで管理するファイルの総数46,100
コミュニティフォルダで管理するフォルダの総数12,600
グループルートフォルダの総数40
グループフォルダで管理するファイルの総数46,100
グループフォルダで管理するフォルダの総数12,440
グループフォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数240
ベースパス情報の設定数3
最大許容サイズ情報の設定数(最大許容サイズを設定する運用の場合)3
パラメタ管理数1

なお,ユーザ用RDエリアは,ユーザ表用RDエリアとユーザインデクス用RDエリアから構成されます。ここでは,ユーザ表用RDエリアに格納する,クラスに対応する表とFile Sharingのメタ情報に対応する表の容量を算出します。それぞれの表のインデクスの容量については,算出した表の容量を基に,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照して算出してください。

(a) クラスに対応する表の容量の算出

クラスに対応する表の容量は,File Sharingで管理・共有するファイル数や使用するフォルダ数などによって決まります。また,アクセス権の設定方法によって,必要な容量は異なります。

クラスに対応する表には,次の情報を格納します。

次に,それぞれの情報を格納するために必要な容量を,前提とする値に従って算出していきます。

ファイルの属性情報を格納するために必要な容量の算出
ファイルの総数(192,200個)を基に,ファイルの属性情報を格納するための表に必要な容量を算出します。ファイルの属性情報は,次の表に格納されます。
  • cfsClass_File_CH
  • cfsClass_File_DV
  • dmaClass_VerDescription
  • dmaClass_VersionSeries
  • edmClass_ContentReference
算出例を次の表に示します。

表D-4 ファイルの属性情報を格納するために必要な容量の算出例

表名見積もり方法見積もり式容量(バイト)
cfsClass_File_CHデータサイズ×総ファイル数18,699バイト×192,2003,593,947,800
cfsClass_File_DV7,700バイト×192,2001,479,940,000
dmaClass_VerDescription180バイト×192,20034,596,000
dmaClass_VersionSeries656バイト×192,200126,083,200
edmClass_ContentReference1,112バイト×192,200213,726,400
合計は,5,448,293,400バイト(約5,196MB)になります。これが,ファイルの属性情報を格納するために必要な容量です。
フォルダの属性情報,およびフォルダとファイルまたはフォルダを関連づける情報を格納するために必要な容量の算出
フォルダの総数(38,440個)を基に,フォルダの属性情報を格納するための表に必要な容量を算出します。フォルダの属性情報は,表cfsClass_Folderに格納されます。
また,フォルダには,そのフォルダで管理するファイルまたはフォルダとの関連づけについての情報を格納するための容量が必要です。関連づけについての情報は,表dmaClass_DCRelationshipに格納されます。この情報は,関連づけの対象になるファイルまたはフォルダの数だけ必要です。このため,ファイルとフォルダの総数から,ルートフォルダである個人ルートフォルダ数,コミュニティルートフォルダ数,およびグループルートフォルダ数を引いた数だけ必要です。
算出例を次の表に示します。

表D-5 フォルダの属性情報,およびフォルダとファイルまたはフォルダを関連づける情報を格納するために必要な容量の算出例

表名見積もり方法見積もり式容量(バイト)
cfsClass_Folderデータサイズ×フォルダの総数18,395バイト×38,440707,103,800
dmaClass_DCRelationshipデータサイズ×(フォルダの総数+ファイル総数-(個人ルートフォルダの総数+コミュニティルートフォルダの総数+グループルートフォルダの総数))172バイト×(38,440+192,200-(1,000+200+40))39,456,800
合計は,746,560,600バイト(約712MB)になります。これが,フォルダの属性情報,およびフォルダとファイルまたはフォルダを関連づける情報を格納するために必要な容量です。
コミュニティ情報,個人情報,およびグループ情報を格納するために必要な容量の算出
  • コミュニティ総数(200個)を基に,コミュニティ情報を格納するための表に必要な容量を算出します。コミュニティ情報は,表cfsClass_Communityに格納されます。
  • 個人フォルダを利用するユーザの総数(1,000人)を基に,個人情報を格納するための各表に必要な容量を算出します。個人情報は,表cfsClass_Personalに格納されます。
  • グループルートフォルダの総数(40個)を基に,グループ情報を格納するための表に必要な容量を算出します。グループ情報は,表cfsClass_Groupに格納されます。

算出例を次の表に示します。

表D-6 コミュニティ情報,個人情報,およびグループ情報を格納するために必要な容量の算出例

表名見積もり方法見積もり式容量(バイト)
cfsClass_Communityデータサイズ×コミュニティ総数3,346バイト×200669,200
cfsClass_Personalデータサイズ×ユーザ総数3,090バイト×1,0003,090,000
cfsClass_Groupデータサイズ×グループフォルダの総数3,090バイト×40123,600

合計は,3,882,800バイト(約3.7MB)になります。これが,コミュニティ情報,個人情報,およびグループ情報を格納するために必要な容量です。

アクセス制御情報を格納するために必要な容量の算出
File Sharingでは,ファイルまたはフォルダに対するアクセス権を次の単位で設定できます。
  • 個人フォルダ単位
  • コミュニティルートフォルダおよびワークプレースルートフォルダ単位
  • グループフォルダ単位
これらのアクセス制御情報は,表edmClass_ACL,表edmClass_PublicACLおよび表edmClass_BindRelationshipを基に作成した表に格納されます。
これらの表の容量を算出するためには,まず算出式のmとnの値を決めます。mとnは,個人フォルダ,コミュニティフォルダ,およびグループフォルダで分けて考える必要があります。
個人フォルダ
mは参照権を設定するユーザ数です。ここでは,16とします。nは1(固定)です。
これによって,個人フォルダのアクセス制御情報を格納する表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+1)=4,555バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+1)+1,024=6,619バイトになります。
コミュニティフォルダ
mは更新権または作成/削除権を設定する役割数の全体の平均になります。ここでは,16とします。nは,アクセス権変更権を設定する役割数の全体の平均になります。ここでは,2とします。
これによって,コミュニティフォルダのアクセス制御情報を格納する表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+2)=4,818バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+2)+1,024=6,882バイトになります。
グループフォルダ
mは参照権,作成権,更新権または削除権を設定する組織またはユーザ数の平均になります。ここでは,16とします。nは,アクセス権変更権を設定する組織数とユーザ数の平均と,グループフォルダの運用者数の平均の和になります。ここでは,5とします。
これによって,グループフォルダのアクセス制御情報を格納する表edmClass_ACLのデータサイズは,84+263×(16+5)=5,607バイトになります。表edmClass_PublicACLのデータサイズは,344+780+263×(16+5)+1,024=7,671バイトになります。
算出例を次の表に示します。

表D-7 アクセス制御情報を格納するために必要な容量の算出例

表名フォルダの
種類
見積もり方法見積もり式容量(バイト)
edmClass_ACL個人フォルダデータサイズ×個人フォルダで管理するほかのユーザに参照権を設定するファイル数4,555バイト×5002,277,500
コミュニティフォルダデータサイズ×コミュニティルートフォルダの総数4,818バイト×200963,600
グループフォルダデータサイズ×グループルートフォルダの総数5,607バイト×40224,280
edmClass_PublicACL個人フォルダデータサイズ×(個人ルートフォルダの総数+個人フォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数)6,619バイト×(1,000+1,000)13,238,000
コミュニティフォルダデータサイズ×コミュニティルートフォルダの総数6,882バイト×2001,376,400
グループフォルダデータサイズ×(グループルートフォルダの総数×3+グループフォルダで管理する親フォルダのアクセス権を引き継がないフォルダの総数)7,671バイト×(40×3+240)2,761,560
edmClass_BindRelationshipデータサイズ×(個人ルートフォルダの総数×2+個人フォルダで管理するフォルダの総数×2+個人フォルダで管理するファイルの総数×4+コミュニティフォルダで管理するフォルダの総数+コミュニティフォルダで管理するファイルの総数×2+グループルートフォルダの総数×2+グループフォルダで管理するフォルダの総数×2+グループフォルダで管理するファイルの総数×4)68バイト×(1,000×2+13,400×2+100,000×4+12,600+46,100×2+40×2+12,440×2+46,100×4)50,521,280
(凡例)-:区別はありません。
合計は,71,362,620バイト(約68MB)になります。これが,アクセス制御情報を格納するために必要な容量です。
ベースパス情報を格納するために必要な容量の算出
ベースパス情報の設定数(3個)を基に,ベースパス情報を格納するための表に必要な容量を算出します。ベースパス情報は,表cfsClass_AssignableDriveに格納されます。
算出例を次の表に示します。

表D-8 ベースパス情報を格納するために必要な容量の算出例

表名見積もり方法見積もり式容量(バイト)
cfsClass_AssignableDriveデータサイズ×ベースパス情報の設定数3,606バイト×310,818
最大許容サイズ情報を格納するために必要な容量の算出例(最大許容サイズを設定する運用の場合)
最大許容サイズ情報の設定数(3個)を基に,最大許容サイズ情報を格納するための表に必要な容量を算出します。最大許容サイズ情報は,表cfsClass_Quotaに格納されます。
算出例を次の表に示します。

表D-9 最大許容サイズ情報を格納するために必要な容量の算出例

表名見積もり方法見積もり式容量(バイト)
cfsClass_Quotaデータサイズ×最大許容サイズ情報の設定数2,570バイト×37,710
パラメタ情報を格納するために必要な容量の算出
パラメタ情報を格納するための表に必要な容量を算出します。パラメタ情報は,表cfsClass_Parameterに格納されます。
表cfsClass_Parameterに必要な容量は1,548バイト固定です。
そのほかに必要な容量の算出
実行環境の情報を格納するための表に必要な容量を算出します。実行環境の情報は,表edmClass_OIIDに格納されます。
算出方法は,「データサイズ×実行環境の数」です。ここでは,実行環境が一つの場合を想定します。20バイト×1=20バイトが,そのほかに必要な容量になります。

情報ごとに算出した値を合計すると,クラスに対応する表の容量が算出できます。ここでは,6,270,119,516バイトとなり,約5,980MBの容量が必要なことがわかります。

(b) File Sharingのメタ情報に対応する表の容量の算出

File Sharingのメタ情報に対応する表の容量は,表D-2に示した表のうち,「EDMS_META_」で始まる表,および表EDMSMETAREGENVIDのデータサイズとレコード数から算出します。

File Sharingで利用する「EDMS_META_」で始まる表に必要な容量は,固定です。表D-2の表ごとに,データサイズにレコード数を掛けたものの総容量を算出します。これに,「558バイト(表EDMSMETAREGENVIDのデータサイズ)×実行環境数」を加えると,メタ情報に対応する表の容量を算出できます。ここでは,実行環境を1として,558バイトを加えます。

メタ情報に対応する表の総容量は,9,738,939バイトになり,約9.2MBになります。