7.1.2 監査ログの取得対象の検討

Collaborationでは,ポートレットおよびコマンドの操作履歴や,プログラムの動作履歴のうち,どのイベント(事象)を監査ログとして取得するかを監査ログプロパティファイルで設定できます。監査ログプロパティファイルでは,次の項目が設定できます。

これらの項目を設定することで,監査者が使用する特定の項目を出力したり,監査ログの出力量を抑えたりできます。

また,監査ログプロパティファイルでは,監査ログファイルの出力先や,切り替えのタイミングなども設定できます。監査ログプロパティファイルの詳細は,「7.3.1 監査ログプロパティファイルの設定方法」を参照してください。

注意
インストール時の監査ログプロパティファイルでは,監査ログの出力有無(hptl_clb_audit_logIsEnableプロパティ)に「Off」が設定されています。監査ログを出力する場合には,このプロパティ項目に「On」を設定してください。
<この項の構成>
(1) 重要度による取得対象の検討
(2) 監査事象の種別による取得対象の検討

(1) 重要度による取得対象の検討

重要度は,監査ログがエラーの発生を知らせるメッセージとして出力されたものであるか,単なる操作内容を通知するメッセージとして出力されたものであるかなど,監査ログの出力レベルを示します。

監査ログは,システム運用時に出力されるメッセージとは異なり,ポートレットやコマンドで操作した処理が成功した場合にも,Information(通知情報)の監査ログが出力されます。例えば,Information(通知情報)の監査ログを出力しない設定にした場合,監査ログの出力量は抑えられますが,すべての操作履歴が取得できなくなります。監査や評価の目的に応じて,重要度の設定を検討してください。

(2) 監査事象の種別による取得対象の検討

監査事象は,起動・停止,識別・認証,アクセス制御などの事象(イベント)ごとに分類されています。監査事象は,監査や評価の目的に応じて決定した監査項目ごとに,どの事象の監査ログを取得すればよいかを検討して設定できます。

Collaborationの監査ログに出力される監査事象を次の表に示します。

表7-2 Collaboration監査ログに出力される監査事象

項番監査事象の種別説明Collaborationの操作
ポートレット※1コマンド※2
1StartStopCollaborationのコマンドの開始と終了を示す事象×
2Authenticationリソースの参照,サーバとのコネクション確立など,Collaborationからの接続で認証が成功または失敗したことを示す事象×※3
3AccessControlアクセス制限されているリソースに対する操作で認証が成功または失敗したことを示す事象※4
4ConfigurationAccessCollaborationの設定情報(アクセス権や構成情報)に対する操作が成功または失敗したことを示す事象
5FailureCollaborationのプロパティファイルの操作による異常,またはデータベースへのアクセスに対する異常を示す事象
6External Service外部サービス(メールサーバ)に対する通信が成功または失敗したことを示す事象×※5
7ContentAccessCollaborationの機能が使用するデータに対する操作が成功または失敗したことを示す事象
8AnomalyEvent入力値チェックで異常が発生したことを示す事象※6※7
(凡例)
○:監査事象に対する監査ログが出力されます。
△:Collaborationの一部の操作で監査事象に対する監査ログが出力されます。
×:監査事象に対する監査ログは出力されません。
Collaborationの操作ごとに出力される監査事象については,「7.1.3 Collaborationに対する主な操作と出力される監査事象」を参照してください。
注※1
ポートレットについては,マニュアル「Collaboration ユーザーズガイド」を参照してください。
ただし,[ユーザ検索]ポートレットを操作しても,監査ログは出力されません。
また,次に示すポートレットの場合,コンポーネントから監査ログは出力されませんが,これらのポートレットをほかのコンポーネントから利用した場合に,利用したコンポーネントから監査ログが出力されます。詳細は,「7.1.3 Collaborationに対する主な操作と出力される監査事象」の表7-5,および各コンポーネントのマニュアルを参照してください。
・[新着情報]ポートレット
・[リンク集]ポートレット
注※2
次に示す機能のコマンドを操作した場合に,監査ログが出力されます。そのほかの機能のコマンドでは,監査ログは出力されません。
・電子会議室機能
・ファイル共有機能
・コミュニティ管理機能
・電子掲示板機能
注※3
次に示す機能のコマンドを操作した場合に,監査ログが出力されます。
・電子会議室機能
・コミュニティ管理機能
・電子掲示板機能
注※4
次に示す機能のコマンドを操作した場合に,監査ログが出力されます。
・ファイル共有機能
注※5
次に示す機能のコマンドを操作した場合に,監査ログが出力されます。
・電子会議室機能
注※6
次に示す機能のポートレットを操作した場合に,監査ログが出力されます。
・メール機能
・電子会議室機能
・ファイル共有機能
・スケジュール機能
・ToDo機能
・電子掲示板機能
注※7
次に示す機能のコマンドを操作した場合に,監査ログが出力されます。
・電子会議室機能
・ファイル共有機能
・電子掲示板機能

また,監査項目と設定する監査事象の関係を,Collaborationの操作(ポートレットまたはコマンド)ごとに分けて説明します。

●ポートレットの操作に対する監査項目と設定する監査事象

ポートレットの操作に対する監査項目ごとに,取得する情報と設定する監査事象を次の表に示します。

表7-3 監査項目ごとに取得する情報と設定する監査事象(ポートレットの場合)

項番監査項目取得する情報取得する目的設定する監査事象の種別
1アクセス制御リソースへの操作に対するアクセス権の監視結果アクセス失敗の情報から,不正なアクセスがないかを監査します。AccessControl
2構成定義アクセス権の設定情報に対する操作の監視結果アクセス権の設定情報に不正な変更がないか,または必要以上にアクセス権を与えていないかを監査します。ConfigurationAccess
3管理対象の構成情報(施設情報,予約ルール)に対する操作の監視結果構成情報に不正な変更がないかを監査します。
4障害ポートレットで使用するプロパティファイルに対する異常の監視結果,またはポートレットを使用したデータベースへのアクセスに対する異常の監視結果障害発生時に不正な行為(データの盗難,削除など)がないかを監査します。Failure
5重要情報アクセスCollaborationの機能が使用するデータに対する,ポートレットを利用した操作の監視結果操作失敗の情報から,重要な情報への不正なアクセスがないかを監査します。ContentAccess
6異常事象ユーザの入力操作に対する入力値エラーの監視結果不正な操作が実行されていないかを監査します。AnomalyEvent
●コマンドの操作に対する監査項目と設定する監査事象

コマンドの操作に対する監査項目ごとに,取得する情報と設定する監査事象を次の表に示します。

表7-4 監査項目ごとに取得する情報と設定する監査事象(コマンドの場合)

項番監査項目取得する情報取得する目的設定する監査事象の種別
1起動・停止Collaborationのコマンドの開始と終了の監視結果コマンドの不正な開始,終了がないかを監査します。StartStop
2識別・認証リソースまたはサーバとの接続に対するユーザ認証の監査結果認証失敗の情報から,不正な接続やアクセスがないかを監査します。Authentication
3アクセス制御リソースへの操作に対するアクセス権の監視結果アクセス失敗の情報から,不正なアクセスがないかを監査します。AccessControl
4構成定義アクセス権の設定情報に対する操作の監視結果アクセス権の設定情報に不正な変更がないか,または必要以上にアクセス権を与えていないかを監査します。ConfigurationAccess
5操作対象の構成情報(テーブル)に対する操作の監視結果構成情報に不正な変更がないかを監査します。
6障害コマンドで使用するプロパティファイルに対する異常の監視結果,またはコマンドを使用したデータベースへのアクセスに対する異常の監視結果障害発生時に不正な行為(データの盗難,削除など)がないかを監査します。Failure
7外部サービスコマンドを使用した外部サービスに対する通信(メールの送受信など)の監視結果外部サービスへの通信が正しく実施されているかを監査します。External Service
8重要情報アクセスCollaborationの機能が使用するデータに対する,コマンドを利用した操作の監視結果操作失敗の情報から,重要な情報への不正なアクセスがないかを監査します。ContentAccess
9異常事象コマンドの引数に対する入力値エラーの監視結果不正なコマンドが実行されていないかを監査します。AnomalyEvent