Collaborationでは,ポートレットおよびコマンドの操作履歴や,プログラムの動作履歴のうち,どのイベント(事象)を監査ログとして取得するかを監査ログプロパティファイルで設定できます。監査ログプロパティファイルでは,次の項目が設定できます。
これらの項目を設定することで,監査者が使用する特定の項目を出力したり,監査ログの出力量を抑えたりできます。
また,監査ログプロパティファイルでは,監査ログファイルの出力先や,切り替えのタイミングなども設定できます。監査ログプロパティファイルの詳細は,「7.3.1 監査ログプロパティファイルの設定方法」を参照してください。
重要度は,監査ログがエラーの発生を知らせるメッセージとして出力されたものであるか,単なる操作内容を通知するメッセージとして出力されたものであるかなど,監査ログの出力レベルを示します。
監査ログは,システム運用時に出力されるメッセージとは異なり,ポートレットやコマンドで操作した処理が成功した場合にも,Information(通知情報)の監査ログが出力されます。例えば,Information(通知情報)の監査ログを出力しない設定にした場合,監査ログの出力量は抑えられますが,すべての操作履歴が取得できなくなります。監査や評価の目的に応じて,重要度の設定を検討してください。
監査事象は,起動・停止,識別・認証,アクセス制御などの事象(イベント)ごとに分類されています。監査事象は,監査や評価の目的に応じて決定した監査項目ごとに,どの事象の監査ログを取得すればよいかを検討して設定できます。
Collaborationの監査ログに出力される監査事象を次の表に示します。
表7-2 Collaborationの監査ログに出力される監査事象
項番 | 監査事象の種別 | 説明 | Collaborationの操作 | |
---|---|---|---|---|
ポートレット※1 | コマンド※2 | |||
1 | StartStop | Collaborationのコマンドの開始と終了を示す事象 | × | ○ |
2 | Authentication | リソースの参照,サーバとのコネクション確立など,Collaborationからの接続で認証が成功または失敗したことを示す事象 | × | △※3 |
3 | AccessControl | アクセス制限されているリソースに対する操作で認証が成功または失敗したことを示す事象 | ○ | △※4 |
4 | ConfigurationAccess | Collaborationの設定情報(アクセス権や構成情報)に対する操作が成功または失敗したことを示す事象 | ○ | ○ |
5 | Failure | Collaborationのプロパティファイルの操作による異常,またはデータベースへのアクセスに対する異常を示す事象 | ○ | ○ |
6 | External Service | 外部サービス(メールサーバ)に対する通信が成功または失敗したことを示す事象 | × | △※5 |
7 | ContentAccess | Collaborationの機能が使用するデータに対する操作が成功または失敗したことを示す事象 | ○ | ○ |
8 | AnomalyEvent | 入力値チェックで異常が発生したことを示す事象 | △※6 | △※7 |
また,監査項目と設定する監査事象の関係を,Collaborationの操作(ポートレットまたはコマンド)ごとに分けて説明します。
ポートレットの操作に対する監査項目ごとに,取得する情報と設定する監査事象を次の表に示します。
表7-3 監査項目ごとに取得する情報と設定する監査事象(ポートレットの場合)
項番 | 監査項目 | 取得する情報 | 取得する目的 | 設定する監査事象の種別 |
---|---|---|---|---|
1 | アクセス制御 | リソースへの操作に対するアクセス権の監視結果 | アクセス失敗の情報から,不正なアクセスがないかを監査します。 | AccessControl |
2 | 構成定義 | アクセス権の設定情報に対する操作の監視結果 | アクセス権の設定情報に不正な変更がないか,または必要以上にアクセス権を与えていないかを監査します。 | ConfigurationAccess |
3 | 管理対象の構成情報(施設情報,予約ルール)に対する操作の監視結果 | 構成情報に不正な変更がないかを監査します。 | ||
4 | 障害 | ポートレットで使用するプロパティファイルに対する異常の監視結果,またはポートレットを使用したデータベースへのアクセスに対する異常の監視結果 | 障害発生時に不正な行為(データの盗難,削除など)がないかを監査します。 | Failure |
5 | 重要情報アクセス | Collaborationの機能が使用するデータに対する,ポートレットを利用した操作の監視結果 | 操作失敗の情報から,重要な情報への不正なアクセスがないかを監査します。 | ContentAccess |
6 | 異常事象 | ユーザの入力操作に対する入力値エラーの監視結果 | 不正な操作が実行されていないかを監査します。 | AnomalyEvent |
コマンドの操作に対する監査項目ごとに,取得する情報と設定する監査事象を次の表に示します。
表7-4 監査項目ごとに取得する情報と設定する監査事象(コマンドの場合)
項番 | 監査項目 | 取得する情報 | 取得する目的 | 設定する監査事象の種別 |
---|---|---|---|---|
1 | 起動・停止 | Collaborationのコマンドの開始と終了の監視結果 | コマンドの不正な開始,終了がないかを監査します。 | StartStop |
2 | 識別・認証 | リソースまたはサーバとの接続に対するユーザ認証の監査結果 | 認証失敗の情報から,不正な接続やアクセスがないかを監査します。 | Authentication |
3 | アクセス制御 | リソースへの操作に対するアクセス権の監視結果 | アクセス失敗の情報から,不正なアクセスがないかを監査します。 | AccessControl |
4 | 構成定義 | アクセス権の設定情報に対する操作の監視結果 | アクセス権の設定情報に不正な変更がないか,または必要以上にアクセス権を与えていないかを監査します。 | ConfigurationAccess |
5 | 操作対象の構成情報(テーブル)に対する操作の監視結果 | 構成情報に不正な変更がないかを監査します。 | ||
6 | 障害 | コマンドで使用するプロパティファイルに対する異常の監視結果,またはコマンドを使用したデータベースへのアクセスに対する異常の監視結果 | 障害発生時に不正な行為(データの盗難,削除など)がないかを監査します。 | Failure |
7 | 外部サービス | コマンドを使用した外部サービスに対する通信(メールの送受信など)の監視結果 | 外部サービスへの通信が正しく実施されているかを監査します。 | External Service |
8 | 重要情報アクセス | Collaborationの機能が使用するデータに対する,コマンドを利用した操作の監視結果 | 操作失敗の情報から,重要な情報への不正なアクセスがないかを監査します。 | ContentAccess |
9 | 異常事象 | コマンドの引数に対する入力値エラーの監視結果 | 不正なコマンドが実行されていないかを監査します。 | AnomalyEvent |