ここでは,Mail - SMTPのバージョンアップの注意事項について説明します。
- バージョンアップを実施する前に,必ずSendmailプロセスを停止してください。
- Mail - SMTP Version 7でサポートされた下記の機能について説明します。
(a)コメントマッピング機能:E-mailを受信した時にFrom,Sender,To,Cc,Reply-Toにコメントが付いている場合にコメントをマッピングします。受信時は自動的にマッピングします。送信時は,From,Sender,To,Cc,Reply-To に該当する要素にコメントがある場合に,マッピングをするかどうかを制御することができます。デフォルトの動作はマッピングします。なお,コメントを生成する時にはSEND_CODEの設定に従ってmime形式,jis,sjis,eucで生成されます。SEND_CODE=mime以外ではコメントが文字化けする,または,同報者アドレスが欠落するといった現象が発生する場合があります。SEND_CDOE=mime以外で運用されている場合にはコメントを生成しないようにしてください。コメントを生成しないようにする手順については,「6.5.22 E-mailアドレスにコメントをつけないようにしたい」を参照してください。
- 注意
- Mail - SMTP Version 7のデフォルトの設定により自動的にコメント受信し,返信時にコメントを引継ぎますが,Server - Scanを導入されている場合には,Server - ScanがVersion 7以降でないとコメントは引継がれません。Server - Scanを導入されている場合はServer - ScanをVersion 7にバージョンアップする必要があります。
(b) Reply-Toをマッピングする機能:E-mailを受信した時にReply-Toがある場合にマッピングします。送受信供に自動的にマッピングします。
(c) 返信履歴を引継ぐ機能:E-mailを受信した時にReferencesやIn-Reply-Toに指定されている返信履歴をマッピングします。送受信供に自動的にマッピングします。
- 注意
- Mail - SMTP Version 7より自動的に返信履歴を引継ぎますが,Mail ServerおよびGroupmax MailクライアントがVersion 7以降でないと返信履歴は引継がれません。POP3/IMAP4クライアントをご使用になる場合もMail ServerをVersion 7にバージョンアップする必要があります。
- 注意
- 返信履歴の引継ぎ機能をご使用になる場合,MSGID_MODEをrfc1327形式で運用されることを推奨します。rfc822のまま運用される場合,他社メーラで正しくスレッド表示されない場合があります。
なお,他社メーラでスレッド表示されない場合の要因については「6.4.27 Groupmax Mailを経由した場合に,他社メーラでメールがスレッド表示されない」を参照してください。
(d) 送信者の取得順を変更する機能:E-mail受信時にSenderとFromがある場合,Senderを送信者としてマッピングします(デフォルト)。Fromを送信者としてマッピングしたい場合には,RECV_ORIGINATORの設定を変更してください。設定方法については,「6.5.23 E-mailの送信者の取得先を変更したい」を参照してください。
(e) Senderの生成制御機能:E-mail送信時,Senderに対応する要素がある場合必ずSenderを生成しています(デフォルト)。SenderとFromが同じ場合に,Senderを生成しないようにすることができます。設定方法については,「6.5.21 メール送信する際に,Fromと同じSenderを生成しないようにしたい」を参照してください。
- MSGID_MODE=rfc1327を設定している場合,生成されるMessage-IDのフォーマットが変更されます。従来は,ユーザIDやO/R名がMessage-IDとしてマッピングされていましたが,Mail - SMTP Version 7よりO/R名が見えないようエンコードした形式に変更しています。なお,フォーマット変更によるメールの送受信には問題ありません。
従来の形式:
<"MNXA123456ABCDEFGH U*/C=JP/ADMD=admd/PRMD=prmd/O=org/OU=org1/S=SURNAME/G=GIVENNAME/"@MHS>
Version 7の形式:
XNMA$G$B$C$$F$D$E$A$H123456U@MHS
または
XNMA$G$B$C$$F$D$E$A$H123456UDATE@domain-part
- 注意
- domain-partは,メール送信者のE-mailアドレスのドメインパートを使用するため,メール送信するGroupmaxユーザについてE-mailアドレスを登録する運用を推奨いたします。
- Mail - SMTP Version 6以降よりS/MIME対応機能の使用を前提として動作いたします。この場合,Content-Type: がmultipart/signedのメールを受信した際に,S/MIMEに対応していないIntegrated Desktopクライアントとの互換性の為にS/MIME用の添付ファイル(SIGNEDXX.txt)と,従来の添付ファイルの二つを作成して,Mail Serverに転送します。このメールの容量は約2倍になる為,メールボックスの容量を圧迫する可能性があります。また,このメールを処理する場合,データ量の増加から受信性能が約1/2倍になります。バージョンアップ時に,S/MIME機能を使用しない場合,S/MIMEメールの受信方法の設定(secure_mime)に,no_supportを指定してください。secure_mimeの設定方法については,「2.3 smtpmngのサブコマンド」を参照してください。
- アドレスマッピングルール(mapping_mode)を次のように設定してください。
S/MIME機能を使用しない場合,現在設定されているマッピング方法で運用することができます。
S/MIME機能を使用する場合,mapping_modeは,pop_all,all,dbのいずれかを選択してください。かつ,S/MIME機能を使用するGroupmaxユーザについてDBマッピングできるようにAddress ServerにE-mailアドレスを登録してください。
pop_allを選択する場合,Address ServerのPOP3/IMAP4の最優先アドレスマッピングとして「ユーザ属性のE-mailアドレスマッピング」を指定してください。
これは,S/MIME機能を使用する場合,Address Serverに登録されているE-mailアドレスで検定が行われる為,アドレスマッピングするE-mailアドレスとAddress Serverに登録されているE-mailアドレスが一致していないと「なりすまし」となる為です。
- Mail - SMTP Version 6よりリッチテキスト本文のドメイン間連携機能をサポートしましたが,本機能を使用した場合にGroupmaxユーザ以外にもリッチテキスト本文が添付ファイルとして送信されることから,デフォルトの動作としては連携しない設定になっています。本機能をご使用になる場合には,リッチテキスト送信制御の設定(send_rtf_body)にrtf_allow,およびリッチテキスト本文連携情報の送信制御(send_rtf_body_flag)にsend_inlineを設定してください。これらの設定方法につきましては「2.3 smtpmngのサブコマンド」を参照してください。
- 注意
- なお,multipart/signed形式のメールについては必ずリッチテキスト本文が添付されます。これは,Mail - SMTPで署名済みのメールからリッチテキストを削除すると改竄となってしまう為,リッチテキスト送信制御の設定(send_rtf_body)にrtf_denyが設定されている場合でも,リッチテキストが添付されるようになっています。
- バージョンアップする際に,Mail - SMTP環境の削除をしてから新規インストールを行う手順で行った場合,次の設定内容についてデフォルトの動作が変更される場合があります。バージョンアップ後に設定内容を確認してご使用ください。
(a)リッチテキスト送信制御の設定(send_rtf_body)が,rtf_denyに設定されます。
(b)BCC受信者の設定(bcc_recipients)が,ONに設定されます。
(c)DBマッピング時の大文字・小文字の扱いの設定(filter_address)が,allに設定されます。
(d)ログファイルのサイズが約50Mバイト程度に拡張されます。
設定値の詳細につきましては「2.3 smtpmngのサブコマンド」を参照してください。
- エラーメールの返信先としてエンベロープ送信者を選択することができます。この機能を使用する場合には,以下の設定を行ってください。
(a)mhs_mailerのメーラ起動フラグを変更して,エンベロープ送信者データが取得できるように変更します。設定方法については,「3.3.2 Sendmailの定義例(3)」を参照してください。
(b)エラーメールの返信先として,エンベロープ送信者を使用するよう「エラーメール返信先アドレスの優先順位(error_mail_to)」に,Envelope_Fromを設定してください。設定方法については,「2.3.6.edit_option(3)」を参照してください。
- MODIFYING_DBFILEにautoを指定している場合,以下の手順でユーザ情報の取込み定義ファイルの更新を行ってください。なお,Version 6 06-50以降にリビジョンアップした際に,下記手順で定義ファイルを更新済である場合は,本手順は実施する必要はありません。
1.smtpmngコマンドを起動します。
2.運用管理サブコマンド一覧から「edit_mapping(em) : アドレスマッピングルールの設定変更」を選択します。
3.表示されたメニューから「ユーザ情報の更新ルール(modifying_dbfile)」を選択します。
4.設定値として「auto」と入力します。この時,リターンキーだけで既存の値を設定すると,値が変更されたと見なされません。必ず,「auto」と入力して,以下のメッセージが表示されることを確認してください。以下のメッセージには「y」を選択します。
設定しますか?(Yes/No)
5.設定値を保存してsmtpmngコマンドを終了します。この時,以下のメッセージが表示されますので「y」を選択します。
現在の設定値でコンフィグレーションファイルを生成しますか?(Yes/No)
6.続いて以下のメッセージが出力されます。この時,以下のメッセージが表示されますので「y」を選択します。
ユーザ情報の取込み定義ファイルを更新しますか?(Yes/No)
7.Address Serverを再起動します。
- Version 3以前からMail - SMTPをご使用になっている場合,送信するメールの添付ファイル名が文字化けする可能性があります。以下の内容を確認してください。
テキストエディタ等を使用して,smtpdir下のsmtpgw.cfgを参照してください。以下の設定パラメタがある場合,添付ファイル名は設定値に従って文字コード変換されますが,mimeエンコードされません。
SEND_FNAME = jis
または
SEND_FNAME = sjis
または
SEND_FNAME = euc
添付ファイル名をmime形式で作成する場合には,本設定パラメタの行を削除してください。
- 07-20より他社メーラとの接続性を考慮して主題/添付ファイル名のエンコード方法を変更しています。従来は,英数字などエンコードを必要としない文字コードについて可読性を優先してエンコードしていましたが,07-20より2バイトコードがある場合については文字列全体をエンコードするようにしています。本機能についてはSEND_BASE64_ENCODEの設定値により従来のエンコード方法(part)も選択可能としていますが,allを推奨いたします。設定につきましてはsmtpmngコマンドでサポートしておりますので「2.3.4(3) edit_sendformatで設定する値」を参照してください。
- 07-30より本文および主題を無変換で添付ファイル化する機能をサポートしています。デフォルトの動作ではこの機能は有効になっていませんので,使用する場合には「2.3.4(4) edit_recvformatで設定する値」を参照してください。
- 注意
- 本機能を使用する場合には,全てのMail Serverを07-30以降にバージョンアップしておく必要があります。
- Mail - SMTPをバージョンアップした場合には,必ずdbmapコマンドを起動してください。dbmapコマンドの使用方法については,「2.4.2 dbmapの仕様(1)起動方法」を参照してください。