4.1.2 アドレスマッピングルールの適用例

次に各アドレスマッピングルールを適用する例を示します。

なお,それぞれのルールは,O/R名をE-mailアドレスにマッピングする場合(X.400 → SMTP)と,E-mailアドレスをO/R名にマッピングする場合(SMTP → X.400)に分けられます。

<この項の構成>
(1) DDAマッピングルール
(2) DBマッピングルール
(3) ニックネームマッピングルール
(4) テーブルマッピングルール
(5) ユーザIDマッピングルール
(6) LHSマッピングルール

(1) DDAマッピングルール

メールのE-mailアドレスをマッピング対象にする方法です。実際には,E-mailアドレスがそのまま正規のアドレスとして識別されます。E-mailアドレスを直接指定する場合に適用されます。

X.400 → SMTP
例えば,X.400側(Groupmaxユーザ)で次のようなアドレスを設定した場合に,DDAマッピングによってE-mailアドレスとして指定された宛先にメールが送信されます。

形式1 TARO.HITACHI@soft.hitachi.co.jp

形式2 /D=TARO.HITACHI@soft.hitachi.co.jp

形式3 /C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw/OU1=smtpgw/D=RFC-822;
    TARO.HITACHI@soft.hitachi.co.jp

SMTP → X.400
E-mailアドレスが指定され,他のマッピングルールが適用できない場合には,そのまま正規のアドレスとして識別されてGroupmaxユーザに通知されます。

(2) DBマッピングルール

Address Serverのユーザ情報として登録されたE-mailアドレスを利用してアドレスをマッピングする方法です。

テーブルマッピングとDBマッピングの違いは,テーブルマッピングがアドレスの構成要素単位にマッピングをするのに対して,DBマッピングはE-mailアドレス全体をユーザ単位にマッピングします。このため,DBマッピングを利用するにはGroupmaxユーザごとに一意なE-mailアドレスを設定してDBマッピングファイルに登録しておく必要があります。

例えば,Groupmaxユーザの宛先が「T.HITACHI」およびE-mailアドレス(SMTPのアドレス)が「t_hitachi@soft.hitachi.co.jp」のようにDBマッピングファイルに登録されていたとします。その場合は次のようになります。

X.400 → SMTP

T.HITACHI

上のアドレスが指定されたメールをMail - SMTPがインターネット側へ送信する場合は,DBマッピングファイルの登録に従ってアドレスをマッピングして「t_hitachi@soft.hitachi.co.jp」あてにメールを送ります。
SMTP → X.400

t_hitachi@soft.hitachi.co.jp

上のアドレスが指定されたメールをMail - SMTPがインターネット側から受信する場合は,DBマッピングファイルの登録に従ってアドレスをマッピングして「T.HITACHI」あてにメールを送ります。
注意
Address ServerにE-mailアドレスが設定されていないGroupmaxユーザがいる場合には,Mail ServerはE-mailアドレスが登録されていない宛先や同報者のアドレスについてニックネームマッピングでアドレスマッピングする場合があります。これらのGroupmaxユーザに対してPOP3/IMAP4クライアントを使用してメールを返信しても,Mail - SMTPでは受信できません。

(3) ニックネームマッピングルール

Groupmaxユーザのニックネームを使ってアドレスをマッピングする方法です。

ニックネームにE-mailアドレスとして不適切な文字コード(2バイトコードなど)が含まれていた場合,そのアドレスに対してはこのマッピングルールは適用されません。

また,POP3/IMAP4連携機能を使用しMail - SMTPでニックネームマッピングを使用する場合には,必ずニックネームマッピングルール(mapping_mode=pop_all)を選択してください。

ニックネーム@ドメインパート

ドメインパートに設定するアドレスは,以下のAddress Serverの環境設定で設定したニックネームマッピングで利用するドメインパートで指定されたドメイン名を使用します。メールアーカイブ運用を行う場合には,メールアーカイブ用のメールで実施するアドレスマッピングでニックネームマッピングが使用される時のドメイン名は,INTERNETDOMAINが使用されます。なお,受信時はニックネームマッピングで利用するドメインパートについては大文字/小文字を区別しないでアドレスマッピングを行います。

Windows版の場合
Address_Mail Serverセットアップ画面で設定
HP-UX版,AIX版の場合
GM_SETUPコマンドで設定
注意
ニックネームに以下の文字が使用されているGroupmaxユーザについては,ニックネームマッピングは適用されません。
全角文字,半角片仮名,半角スペース,@,<,>,(,),,(コンマ),[,],;,¥,!

(4) テーブルマッピングルール

テーブルマッピングファイルに定義されたルールに従ってアドレスをマッピングする方法です。

テーブルマッピングファイルは,各MTAのO/R名単位に,E-mailアドレスのドメイン名の対応付けを定義したファイルです。メールに指定されているアドレスのO/R名構成要素とテーブルマッピングファイルに定義されているO/R名構成要素が一致した場合に,一致した構成要素に指定されているドメイン名をマッピングします。ただし,このルールではE-mailアドレスのドメインと,MTAのO/R名間のマッピングしか実行されません。E-mailアドレスのローカルパートとGroupmaxユーザの個人名間のマッピングについては以下に示すルールに従ってアドレスマッピングが実行されます。

E-mailアドレスのローカルパートとGroupmaxユーザの個人名のマッピングルール
X.400 → SMTP
この場合のアドレスマッピングには,rfc1327-mapping1が使用されます。
例えば,このファイルに次のアドレスマッピングテーブルが定義されているとします。

C$JP.ADMD$smtpgw.PRMD$smtpgw#co.jp#

これは,X.400のアドレス中に「/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw」という構成要素があった場合に,ドメイン部分を「co.jp」にマッピングするという定義です。ローカルパート部分はAddress Serverに登録されている「英語名」と「英語姓」が「英語名.英語姓」にマッピングされます。このとき,Groupmax Mailクライアントから次の(O/R名)のGroupmaxユーザがインターネットにメールを送信したとします。

/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw/OU1=hitachi/OU2=soft/S=HITACHI/G=TARO

このアドレスは,上記のアドレスマッピングテーブルに従って「/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw」の部分が「co.jp」にマッピングされます。また,S(英語姓)とG(英語名)の部分が「TARO.HITACHI」にマッピングされます。これ以外の部分は,インターネットアドレスのRFC形式に従って,所定構成要素にそれぞれ割り当てられ最終的に次のようにマッピングされます。

TARO.HITACHI@soft.hitachi.co.jp

SMTP → X.400
この場合のアドレスマッピングには,rfc1327-mapping2が使用されます。変換方法は,X.400 → SMTPの場合と逆です。例えば,このファイル内に次のアドレスマッピングテーブルが定義されているとします。

co.jp#C$JP.ADMD$smtpgw.PRMD$smtpgw#

これは,E-mailアドレス中に「co.jp」という構成要素があった場合に「/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw」にマッピングするという定義です。テーブルマッピングが適用される場合にはE-mailアドレス中のローカルパート部分をS(英語姓)とG(英語名)にマッピングします。例えばローカルパートが「TARO.HITACHI」のときは,「/S=HITACHI/G=TARO」にマッピングされます。このとき,Sendmailから次の宛先にメールを送信したとします。

TARO.HITACHI@soft.hitachi.co.jp

このアドレスは,上記のアドレスマッピングテーブルに従って「co.jp」の部分が「/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw」にマッピングされます。ほかの部分は,O/R名の構成要素にそれぞれ割り当てられ最終的に次のようにマッピングされます。

/C=JP/A=smtpgw/P=smtpgw/OU1=hitachi/OU2=soft/S=HITACHI/G=TARO

なお,このマッピングルールはメールの送信者と受信者の両方のアドレスマッピングに適用されます。マッピングされた各アドレスでGroupmaxユーザに通知されるのは,送信者アドレスの場合が個人情報(SとG),受信者アドレスの場合が受信者のニックネームです。

(5) ユーザIDマッピングルール

GroupmaxユーザのユーザIDを使ってアドレスをマッピングする方法です。この方法が適用されるのは,外部システムからGroupmaxユーザあてにメールを送信した場合(SMTP → X.400)に,ユーザIDが指定されたときだけです。この場合にマッピング対象になるのは次の形式のアドレスです。

ユーザID@ドメインパート

(6) LHSマッピングルール

GroupmaxユーザのO/R名を使ってアドレスをマッピングする方法です。このアドレスマッピングは,メールアーカイブ用のメールでE-mailアドレスが登録されていないGroupmaxユーザや組織メールのアドレスに対して適用されます。アドレスマッピング後のE-mailアドレスは以下のようになります。

O/R名@INTERNETDOMAINで設定されたドメイン名