3.2.6 gmaxsetコマンドによる移動処理の注意点

gmaxsetコマンドの移動処理では,移動するユーザ,組織を一度削除した後,移動後のデータでユーザ,組織を再登録します。このため,削除の時点でユーザ,組織に設定されていた兼任ユーザ,グループや掲示板のメンバ,および権利組織の設定が失われてしまいます。これらの設定が失われることを防ぐ方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 兼任ユーザが削除される
(2) グループや掲示板のメンバから削除される
(3) 権利組織の設定が初期化される
(4) 代行受信者の設定が無効になる

(1) 兼任ユーザが削除される

兼任ユーザが存在するユーザ(主体ユーザ)を移動した場合,兼任ユーザの設定は削除されます。これを防ぐためには,主体ユーザの移動前にgmaxexpコマンドで兼任ユーザ情報を出力して,移動後にそのデータを基に兼任ユーザを再登録してください。兼任ユーザにユーザ任意情報を設定している場合,主体ユーザの移動前にadpdaexpコマンドで兼任ユーザのユーザ任意情報を保存して,移動後にそのデータを基に再登録してください。ユーザ任意情報やユーザ任意情報のコマンドの詳細については「15. ユーザ任意情報の概要」を参照してください。

再登録の手順の例を次に示します。「5.7 サーバ構成の変更の例」も参照してください。

  1. 出力する兼任ユーザIDを定義したファイルを作成します。
    1行に一つの兼任ユーザIDを定義したファイル(フィルタファイル)を作成して,名前をつけて保存します。フィルタファイルには次の形式で兼任ユーザIDを定義してください。

    u,兼任ユーザID

  2. gmaxexpコマンドで兼任ユーザの情報を出力します。
    gmaxexpコマンドのオプション-fに手順1で作成したフィルタファイルを指定して実行します。

    gmaxexp -f フィルタファイル -s M u 出力ファイル

    オプション-sで,出力ファイルの処理区分には移動(M)が設定されます。
  3. adpdaexpコマンドでユーザ任意情報を保存します。
    ユーザ任意情報を設定している場合,adpdaexpコマンドのオプション-fに手順2で出力した出力ファイルを指定して実行します。ユーザ任意情報を使用していない場合は,このコマンドを実行する必要はありません。

    adpdaexp  -f 出力ファイル  -e adpdaexp.log  -p A  保存ファイル

  4. 一括登録ユティリティで主体ユーザの移動を実行します。
  5. 手順2の出力ファイルを基に,兼任ユーザを再登録します。
    出力ファイルをユーザ登録ファイルとして使用します。gmaxchkコマンドを実行してチェックします。

    gmaxchk  出力ファイル

    チェックに問題がなければ,gmaxsetコマンドで兼任ユーザを再登録します。

    gmaxset  m  出力ファイル

  6. 手順3の保存ファイルを基に,兼任ユーザのユーザ任意情報を回復します。
    adpdasetコマンドでユーザ任意情報の回復を実行します。ユーザ任意情報を使用していない場合は,このコマンドを実行する必要はありません。

    adpdaset  -f 保存ファイル  -e adpdaset.log

gmaxexpコマンド,gmaxchkコマンド,およびgmaxsetコマンドの詳細は,「4. 一括登録ユティリティのコマンド」を参照してください。

(2) グループや掲示板のメンバから削除される

グループや掲示板のメンバに直接登録されていたユーザ,組織を移動した場合,ユーザ,組織はグループや掲示板のメンバから削除されます。これを防ぐためには,移動前にグループや掲示板のメンバ情報を出力して,移動後に出力したメンバ情報を基に再登録してください。

再登録の手順の例を次に示します。「5.7 サーバ構成の変更の例」も参照してください。

  1. gmaxgexpコマンドでグループや掲示板のメンバの情報をすべて出力します。
    gmaxgexpコマンドを次のようにして実行してください。

    gmaxgexp  -s U  tb  出力ファイル

    -sオプションで,出力ファイルの処理区分には更新(U)が設定されます。
  2. 一括登録ユティリティでユーザ,組織の移動を実行します。
  3. 手順1の出力ファイルを基に,グループや掲示板のメンバ情報を再登録します。
    出力ファイルをグループ定義ファイルとして使用します。gmaxgchkコマンドで出力ファイルをチェックします。

    gmaxgchk  出力ファイル

    チェックに問題がなければ,gmaxgsetコマンドで再登録します。

    gmaxgset  出力ファイル

gmaxgexpコマンド,gmaxgchkコマンド,およびgmaxgsetコマンドの詳細は,「11. グループ・掲示板メンバ一括登録ユティリティのコマンド」を参照してください。

(3) 権利組織の設定が初期化される

権利組織を追加していたユーザを移動した場合,権利組織の設定は削除されます。ユーザの移動が完了した後で,運転席から権利組織を追加してください。

運転席の操作方法については,マニュアル「Groupmax Address/Mail Version 7 システム管理者ガイド 基本操作編」(Windows用)を参照してください。

(4) 代行受信者の設定が無効になる

ユーザ,組織が代行受信者を設定していた場合,代行受信者(自分の代わりにメールを受信するユーザ,組織)が移動すると代行受信の設定が無効になります。このため,ユーザ,組織の移動が完了した時点で,クライアントから代行受信者を再設定してください。代行受信者の再設定を回避するには,すべてのメールサーバのgmpublicinfoファイルにSUBSTITUTE=SUCCEEDを設定してから代行受信者を指定してください。この場合,代行受信の設定は無効になりません。詳細はマニュアル「Groupmax Address/Mail Version 7 システム管理者ガイド 基本操作編」(Windows用)を参照してください。

逆に,代行受信者を設定したユーザ,組織が移動する(代行受信者は移動しない)場合,SAVE_MBコマンドにオプション-iを指定して実行すると,メールボックスと一緒に代行受信者の設定も保存できます。保存した代行受信者の設定は,LOAD_MBコマンドで回復できます。

SAVE_MBコマンドの詳細は,「4.3 メールボックスの保存 SAVE_MBコマンド」を参照してください。