5.7 サーバ構成の変更の例
ここでは応用例として,A株式会社で本社サーバの登録ユーザ数が増加したため,サーバを増設し,一部のユーザを増設サーバに移動する例を説明します。また,この例では,一括登録ユティリティを使用したユーザ移動に伴う関連の設定についても総合的に説明します。なお,この例にはサンプルファイルはありません。
- <この節の構成>
- (1) サーバ構成の変更の概要
- (2) サーバ構成の変更手順
(1) サーバ構成の変更の概要
この例では,図5-2のように本社サーバの登録ユーザ数が800人と多くなったため,本社サブサーバを追加して,400人を本社サブサーバに移動することで負荷分散を図ります。なお,一括登録ユティリティを実行する前にサーバ追加作業やそれに伴う環境設定などは完了しているものとします。
図5-2 サーバ構成の変更
![[図データ]](figure/h0506010.gif)
この構成変更では,本社サーバから登録済みのユーザ情報を出力して,それを基にサブサーバに移動するユーザのユーザ登録ファイルを作成します。作成したファイルを使ってユーザ移動を行います。
また,ユーザ移動前に,兼任ユーザの情報やグループ・掲示板のメンバ情報を出力しておくことで,ユーザ移動によって削除される兼任ユーザやグループ・掲示板メンバ設定を回復します。グループ・掲示板のメンバ情報の出力については,「11.1 登録済みグループ・掲示板メンバ情報の出力 gmaxgexpコマンド」を参照してください。
(2) サーバ構成の変更手順
移動のスケジュール,およびその実行手順を次のように計画しました。
ユーザ登録ファイルの作成とチェックを金曜日までに完了させ,利用頻度が少ない土曜日に実際のユーザ移動を行い,日曜日を予備日としました。作業では手順15と16のように,一括登録ユティリティと一括登録ユティリティ以外のデータ転送などは並行して行うことができます。
この例ではデータ退避先をc:¥temp,本社サブサーバのホームサーバ名をws255と設定しています。
- 注意
- 作業時間は目安ですので,サーバ性能やメールの使用状況などによっては大幅に異なる場合があります。この例では,移動するユーザの送受信メールは50通前後,サーバ性能やネットワーク状態も良好であると仮定しています。また,実行するコマンドも使用環境によって例と異なる場合があります。
- 一括登録ユティリティ実行前の準備をします。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ)および本社サブサーバ,実行日時:金曜日午前中
一括登録ユティリティを実行する前に必要なサーバの追加や追加に伴う設定などを行います。次の作業を行います。
- サーバ追加
- サーバのメール設定
- 掲示板レプリカ情報の設定
- 掲示板記事の整合性確保
- gmaxexpコマンドで,処理区分にMを設定して全登録ユーザを出力します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日13:00~13:20
カレントディレクトリを<インストール先ディレクトリ>¥binにした後で,次のように実行してください。
gmaxexp -s M -a u c:¥temp¥idou.csv
出力したファイルから移動ユーザのユーザ登録ファイルを作成します。
- gmaxexpコマンドで,処理区分にMを設定して全兼任ユーザを出力します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日13:20~13:30
次のように実行してください。
gmaxexp -s M -a -y u c:¥temp¥kennin.csv
出力したファイルから兼任ユーザ再登録用のユーザ登録ファイルを作成します。
- gmaxgexpコマンドで,処理区分にUを設定してグループ・掲示板のメンバ情報をすべて出力します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日13:30~13:40
次のように実行してください。
gmaxgexp -s U tb c:¥temp¥group.csv
- 移動するユーザの権利組織の設定などを記録します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日13:40~15:00
ユーザの移動で,設定値が初期化される項目の値を記録しておきます。移動後,記録した値で再登録します。
- 移動ユーザのユーザ登録ファイルを作成します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日15:00~16:30
手順2で出力したidou.csvファイルから移動しないユーザのデータをすべて削除します。また,移動ユーザのホームサーバなどを,本社サーバから本社サブサーバに修正します。
- 兼任ユーザのユーザ登録ファイルを作成します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日16:30~17:30
手順3で出力したkennin.csvファイルから移動しないユーザの兼任ユーザデータをすべて削除します。kennin.csvファイルには,移動するユーザの兼任ユーザデータだけが残ります。
- adpdaexpコマンドで,兼任ユーザのユーザ任意情報を保存します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日17:30~17:40
手順7で作成した兼任ユーザのユーザ登録ファイルを使用して,兼任ユーザのユーザ任意情報を保存します。このファイルはユーザ任意情報の回復(手順18)で使用します。ユーザ任意情報を使用していない場合は,このコマンドを実行する必要はありません。
次のように実行してください。
adpdaexp -f kennin.csv -e adpdaexp.log -p A pdadata
- gmaxchkコマンドでidou.csvファイルをチェックします。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日17:40~18:30
手順6で作成した移動ユーザのユーザ登録ファイルをチェックします。次のように実行してください。このファイルは移動ユーザの登録(手順16)で使用します。
gmaxchk -v c:¥temp¥idou.csv
- gmaxchkコマンドでkennin.csvファイルをチェックします。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日18:30~19:00
手順7で作成した兼任ユーザのユーザ登録ファイル(kennin.csv)に誤りがないかチェックします。このファイルは兼任ユーザの再登録(手順17)で使用します。次のように実行してください。
gmaxchk -v c:¥temp¥kennin.csv
- gmaxgchkコマンドでgroup.csvファイルをチェックします。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日19:00~19:20
手順4で出力したグループ定義ファイル(group.csv)をチェックします。このファイルは,グループ・掲示板のメンバの再登録(手順19)で使用します。次のように実行してください。
gmaxgchk -v c:¥temp¥group.csv
- idou.csvファイルを本社サブサーバに転送します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日19:20~19:30
チェックが完了したユーザ登録ファイル(idou.csv)を本社サーバから本社サブサーバへ転送します。
- ユーザの移動準備をします。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:金曜日21:00~
自動削除デーモンを起動するなどして,移動するユーザのメールを削除したり,環境をバックアップしたりしてください。※
- SAVE_MBコマンドで移動するユーザのメールボックスなどの情報を保存します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日7:30~11:00
手順8のユーザ登録ファイルを基に保存します。保存した情報は,LOAD_MBコマンドで回復します。次のように実行してください。
SAVE_MB -i -v c:¥temp¥idou.csv c:¥temp
- 退避データを本社サブサーバに転送します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日11:00~12:30
SAVE_MBコマンドで保存した退避データを,本社サーバから本社サブサーバへ転送します。
- gmaxsetコマンドを実行して,ユーザを移動します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日11:00~13:00
手順8のユーザ登録ファイル(idou.csv)を基に,ユーザ移動処理を行います。次のように実行してください。
gmaxset -v m c:¥temp¥idou.csv
- gmaxsetコマンドを実行して,移動したユーザの兼任ユーザを再登録します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日13:00~14:00
手順10のユーザ登録ファイル(kennin.csv)を基に,移動したユーザの兼任ユーザを再登録します。兼任ユーザを設定していない場合は,このコマンドを実行する必要はありません。次のように実行してください。
gmaxset -v m c:¥temp¥kennin.csv
- 兼任ユーザのユーザ任意情報を回復します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日14:00~14:20
手順8で保存したデータ(pdadata)を基に,兼任ユーザのユーザ任意情報を回復します。ユーザ任意情報を使用していない場合は,このコマンドを実行する必要はありません。次のように実行してください。
adpdaset -f pdadata -e adpdaset.log
- gmaxgsetコマンドを実行して,移動したユーザのグループ・掲示板のメンバ情報を再登録します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日14:20~14:50
手順11のグループ定義ファイル(group.csv)を基に,移動したユーザのグループ・掲示板のメンバ情報を再登録します。次のように実行してください。
gmaxgset -v c:¥temp¥group.csv
- 移動したユーザの権利組織などを再登録します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日14:50~16:20
一括登録ユティリティで設定できない情報のうち,ユーザ移動で設定値が初期化される手順5で記録した値を運転席から再登録します。
- nxsrepstatコマンドでユーザの移動などが本社サブサーバに反映されているかを確認します。
実行サーバ:本社サーバ(マスタ管理サーバ),実行日時:土曜日16:20~17:00
移動したユーザの登録,兼任ユーザの再登録,グループ情報,権利組織情報などが本社サブサーバに反映されているか,レプリケーション状態を確認します。次のように実行してください。
nxsrepstat -h ws255
すべての項目が反映されれば次の項目に進みます。
- ユーザの移動先でLOAD_MBコマンドを実行して,メールボックスの情報などを回復します。
実行サーバ:本社サブサーバ,実行日時:土曜日17:00~20:50
カレントディレクトリを<インストール先ディレクトリ>¥binにした後で,次のように実行してください。
LOAD_MB -v c:¥temp¥idou.csv c:¥temp¥ws255
本社サブサーバで,手順14で保存したメールボックスなどの情報を回復します。
- ユーザ移動が完了したかを確認します。
実行サーバ:クライアント,実行日時:土曜日20:50~21:50
移動したユーザのIDでクライアントからログインして,送受信メールの状態やメールの送受信ができるかを確認します。
- 注※
- 移動するユーザのメールを削除しないとSAVE_MB/LOAD_MBコマンドでメールボックスを保存・回復する時間が多くかかります。移動するユーザ数,又はメールボックス容量が多い場合,メールの削除を行ってください。
- また,この例のように一括登録ユティリティで多数の移動・変更処理を行う場合,必ずGroupmax環境のバックアップを取得してください。移動・変更処理が少ない場合でも可能な限りバックアップは取得するようにしてください。