5.8 サーバ環境の移行の例
(1) サーバ環境の移行の概要
使用しているハードウェアの入れ替えや構成変更を行う場合には,移行対象サーバのデータを一括登録ユティリティのgmaxexpコマンドやSAVE_MBコマンドを使用して保存し,新しい環境に回復してください。
(2) サーバ環境の移行の注意点
この方法では,gmaxsetコマンドやgmaxgsetコマンドで登録できる情報と,LOAD_MBコマンドやadpdasetコマンドで回復できるデータだけが移行できます。その他の情報を移行することはできません。一括登録ユティリティでは設定できない掲示板,掲示板記事,およびサーバの設定などは移行できません。移行できない項目については,「3.2.6 gmaxsetコマンドによる移動処理の注意点」,「3.2.8 一括登録ユティリティで実行できる機能」,および「10.2.1 グループ・掲示板メンバ一括登録ユティリティで実行できる機能」を参照してください。ユーザ任意情報については,「15. ユーザ任意情報の概要」を参照してください。掲示板,掲示板記事,およびサーバの設定については,マニュアル「Groupmax Address/Mail Version 7 システム管理者ガイド 基本操作編」(Windows用)を参照してください。
さらに次の点に注意する必要があります。
- 移行前後のAddress Server,およびMail Serverのバージョン・リビジョンは同じにしてください。バージョン・リビジョンが違う場合,保存したデータを回復できない可能性があります。
- 移行前後のGroupmaxサーバのホームサーバ名とMTA名の設定は同じにしてください。設定を変更した場合,ユーザ登録ファイルの該当項目を修正する必要があります。
- 掲示板を再登録して,掲示板アクセス権を移行前の状態に戻す場合,掲示板IDは移行前と同じにしてください。掲示板IDを変更した場合,グループ定義ファイルの該当項目を修正する必要があります。
- 掲示板と掲示板記事は移行できません。掲示板の記事はクリアされます。このため,SAVE_MBコマンドを実行する場合に,掲示板未既読情報を保存することはできません。SAVE_MBコマンドで-iオプション,又は-jオプションは指定しないでください。
- ユーザID,組織ID,および共用メールボックスIDを変更すると,SAVE_MBコマンドで保存したメールボックスなどの情報を回復することができません。
- マルチサーバ構成で移行対象サーバがマスタ管理サーバの場合は,全サーバを再構築する必要があります。次の順番で作業してください。
- 全アドレスサーバでサーバ削除を行います。
サーバ削除を行う前に,メールボックスの保存が必要です
- マスタ管理サーバを移行します。
- 全アドレスサーバでサーバ追加を実行して,元の状態に戻します。
サーバ追加後に,メールボックスの回復が必要です。
- 後述するサーバ移行手順に記載しております「ユーザ管理権限※」の設定は,Groupmax Address - Assistや16ビットクライアントを使用していない場合は,設定する必要はありません。
(3) サーバ環境の移行の手順
一括登録ユティリティのコマンドと注意点をサーバ構成別に示します。この例ではデータ退避先をc:¥temp,ホームサーバ名をhostnameと設定しています。これらの値は実行する環境に応じて変更してください。また,実行内容については,「5.7 サーバ構成の変更の例 」も参照してください。
(a) シングルサーバ構成の場合
- 移行前サーバでgmaxexpコマンドを実行して登録情報保存用データを出力します。
例)gmaxexp -s A -a c c:¥temp¥c_data.csv
gmaxexp -s M -a gu c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxexp -s M -a -y u c:¥temp¥u6_data.csv
- 移行前サーバでgmaxgexpコマンドを実行してグループ・掲示板メンバ保存用データを出力します。
例)gmaxgexp -s U tb c:¥temp¥group.csv
- 移行前サーバでSAVE_MBコマンドを実行して移行対象サーバに所属する全メールボックスを保存します。掲示板の記事の未既読情報を保存することはできません。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
SAVE_MB -v -m -w -b -d -r -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp
- 移行前サーバでadpdaexpコマンドを実行して,ユーザ任意情報を保存します。
例)adpdaexp -f c:¥temp¥gu_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥gu_pda
adpdaexp -f c:¥temp¥u6_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥u6_pda
- 移行前サーバでユーザ任意情報の見出しを表示してc:¥temp¥pda_def.csvファイルにcsv形式で記録します。
例)adpdhead -l -e adpdhead.log
実行結果の画面表示をc:¥temp¥pda_def.csvファイルにcsv形式で記録します。
- 一括登録ユティリティでは設定できない情報を,運転席などで表示して記録します。
- サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報,システムオプション,役職定義など)
- 掲示板情報
- 移行対象ユーザに運転席から設定した権利組織設定
- ユーザ管理権限(adlsumngコマンドでも確認することができます)
- 保存したc:¥temp以下のすべてのデータを,移行後サーバのc:¥tempにコピーします。また,gmpublicinfoファイルやgmaxmdef.csvファイルなどの設定ファイルも移行後サーバにコピーします。
- 移行後サーバでプログラムのインストールとセットアップを行い,次の項目を移行前サーバと同じ状態に回復して,一括登録ユティリティを実行できるようにします。
- サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報,システムオプション,役職定義など)
- 掲示板情報
- 登録情報保存用データから最上位組織情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥c_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥c_data.csv
- 登録情報保存用データから組織情報,およびユーザ情報を回復します。
まずc:¥temp¥gu_data.csvファイルのレコードの順番が適切か,組織,ユーザの位置関係と上長ユーザID,統括組織,および共用メールボックスなどの依存関係に問題がないか見直します。問題がなければgmaxchkコマンドとgmaxsetコマンドを実行して登録情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥gu_data.csv
- 登録情報保存用データから兼任ユーザ情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥u6_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥u6_data.csv
- 掲示板が再登録されている事を確認した後,マスタ管理サーバでグループ・掲示板メンバ保存用データからグループ・掲示板メンバ情報を回復します。
例)gmaxgchk -v c:¥temp¥group.csv
gmaxgset -v c:¥temp¥group.csv
- 移行後サーバでLOAD_MBコマンドを実行してメールボックスを回復します。
例)nxsrepstat
LOAD_MB -v -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp¥hostname
- 一括登録ユティリティでは設定できない項目を運転席から回復します。
- 移行対象ユーザに運転席から設定した権利組織設定,ユーザ管理権限※
- 移行後サーバでadpdheadコマンドを実行して,ユーザ任意情報の見出しを定義します。
例)adpdhead -f c:¥temp¥pda_def.csv -e adpdhead.log
- 移行後サーバでadpdasetコマンドを実行して,ユーザ任意情報を回復します。
例)adpdaset -f c:¥temp¥gu_pda -e adpdaset.log
adpdaset -f c:¥temp¥u6_pda -e adpdaset.log
(b) マルチサーバ構成でアドレスサーバを移行する場合
- マスタ管理サーバでgmaxexpコマンドを実行して登録情報保存用データを出力します。
例)gmaxexp -s M -a gu c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxexp -s M -a -y u c:¥temp¥u6_data.csv
gmaxexp -s D -a gu c:¥temp¥del_data.csv
- 出力した登録情報保存用データから移行しない情報をすべて削除します。
出力したファイルから移行しない組織,ユーザ,および兼任ユーザに関するレコードをすべて削除します。ホームサーバをキーにしてソートしたり,grepコマンドを実行すると移行しないデータを簡単に削除できます。
- マスタ管理サーバでgmaxgexpコマンドを実行して,グループ・掲示板メンバ保存用データを出力します。
例)gmaxgexp -s U tb c:¥temp¥group.csv
- 作成したc:¥temp¥gu_data.csvファイルの内容をチェックして,移行前サーバに転送します。このファイルはSAVE_MBコマンドを実行するときに使用します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
c:¥temp¥gu_data.csvファイルを移行前サーバに転送
- 移行前サーバでSAVE_MBコマンドを実行して,移行対象サーバに所属する全メールボックスを保存します。掲示板の記事の未既読を保存することはできません。
例)SAVE_MB -v -m -w -b -d -r -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp
- マスタ管理サーバでadpdaexpコマンドを実行して,ユーザ任意情報を保存します。
例)adpdaexp -f c:¥temp¥gu_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥gu_pda
adpdaexp -f c:¥temp¥u6_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥u6_pda
- 一括登録ユティリティでは設定できない情報を運転席などから記録します。
- サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報など)
- 掲示板情報(移行するサーバに掲示板を設定している場合)
- 移行対象ユーザに運転席から設定した権利組織設定
- ユーザ管理権限(adlsumngコマンドでも確認することができます)
- 移行前サーバのサーバ削除を実行します。
- 運転席から移行するサーバに設定している全マスタ掲示板とレプリカ掲示板の削除
- サーバの削除
例)gmaxchk -v c:¥temp¥del_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥del_data.csv
- 移行前サーバで保存したc:¥temp以下のデータを,すべて移行後サーバのc:¥tempにコピーします。また,gmpublicinfoファイルやgmaxmdef.csvファイルなどの設定ファイルも移行後サーバにコピーします。
- 移行後サーバでプログラムのインストールとセットアップ,およびサーバ追加を行い,次の項目を移行前サーバの状態に回復して,一括登録ユティリティを実行できるように設定します。
- サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報など)
- 掲示板情報(移行するサーバに掲示板を設定している場合)
- マスタ管理サーバで登録情報保存用データから組織,ユーザ情報を回復します。
まずc:¥temp¥gu_data.csvファイルのレコードの順番が適切かを確認します。次に組織,ユーザの位置関係と上長ユーザID,統括組織,および共用メールボックスなどの依存関係に問題がないか見直します。問題がなければ,gmaxchkコマンドとgmaxsetコマンドを実行して登録情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥gu_data.csv
- マスタ管理サーバで登録情報保存用データから兼任ユーザ情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥u6_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥u6_data.csv
- 掲示板データが再登録されている事を確認して,マスタ管理サーバでグループ・掲示板メンバ保存用データからグループ・掲示板メンバ情報を回復します。
例)gmaxgchk -v c:¥temp¥group.csv
gmaxgset -v c:¥temp¥group.csv
- 移行後サーバでLOAD_MBコマンドを実行して,メールボックスを回復します。
例)nxsrepstat
LOAD_MB -v -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp¥hostname
- 一括登録ユティリティでは設定できない項目を運転席から回復します。
- 移行対象ユーザに運転席から設定した権利組織設定,ユーザ管理権限※
- マスタ管理サーバでadpdasetコマンドを実行して,ユーザ任意情報を回復します。
例)adpdaset -f c:¥temp¥gu_pda -e adpdaset.log
adpdaset -f c:¥temp¥u6_pda -e adpdaset.log
- マスタ管理サーバで,移行後サーバにadpdheadコマンドを実行して,ユーザ任意情報を配信します。
例)adpdhead -d hostname -e adpdhead.log
- 掲示板の整合性確保を行います。
(c) マルチサーバ構成でマスタ管理サーバを移行する場合
- マスタ管理サーバでgmaxexpコマンドを実行して,登録情報保存用データを出力します。
例)gmaxexp -s A -a c c:¥temp¥c_data.csv
gmaxexp -s M -a gu c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxexp -s M -a -y u c:¥temp¥u6_data.csv
gmaxexp -s D -a gu c:¥temp¥del_data.csv
- マスタ管理サーバでgmaxgexpコマンドを実行して,グループ・掲示板メンバ保存用データを出力します。
例)gmaxgexp -s U tb c:¥temp¥group.csv
- 作成したc:¥temp¥gu_data.csvファイルの内容をチェックして,全サーバに転送します。このファイルはSAVE_MBコマンドを実行するときに使用します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
c:¥temp¥gu_data.csvファイルを全サーバに転送
- 全サーバでSAVE_MBコマンドを実行して,すべてのメールボックスを保存します。掲示板の記事の未既読情報を保存することはできません。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
SAVE_MB -v -m -w -b -d -r -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp
- マスタ管理サーバでadpdaexpコマンドを実行して,ユーザ任意情報を保存します。
例)adpdaexp -f c:¥temp¥gu_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥gu_pda
adpdaexp -f c:¥temp¥u6_data.csv -e adpdaexp.log -p A c:¥temp¥u6_pda
- マスタ管理サーバでユーザ任意情報の見出しを表示して,c:¥temp¥pda_def.csvファイルにcsv形式で記録します。
例)adpdhead -l -e adpdhead.log
実行結果の画面表示を,c:¥temp¥pda_def.csvファイルにcsv形式で記録します。
- 一括登録ユティリティでは設定できない情報を,運転席などで表示して記録します。
- 全サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報,システムオプション,役職定義など)
- 全掲示板情報
- 全ユーザに運転席から設定した権利組織設定
- ユーザ管理権限(adlsumngコマンドでも確認することができます)
- ユーザ削除を実行します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥del_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥del_data.csv
- 全アドレスサーバのサーバ削除を実行します。
- 運転席から全サーバに設定しているマスタ掲示板とレプリカ掲示板の削除
- サーバの削除
- 移行前サーバで保存したc:¥temp以下のデータをすべて移行後サーバのc:¥tempにコピーします。また,gmpublicinfoファイルやgmaxmdef.csvファイルなどの設定ファイルも移行後サーバにコピーします。
- 移行後サーバでプログラムのインストールとセットアップ,およびサーバ追加を行った後,全サーバで次の項目を移行前の状態に回復して,一括登録ユティリティを実行できるように設定します。
- 全サーバの設定内容(サイト情報,MTA情報,システムオプション,役職定義など)
- 全掲示板情報
- マスタ管理サーバで登録情報保存用データから最上位組織情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥c_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥c_data.csv
- マスタ管理サーバで登録情報保存用データから組織,ユーザ情報を回復します。
まずc:¥temp¥gu_data.csvファイルのレコードの順番が適切か確認します。
次に組織,ユーザの位置関係と上長ユーザID,統括組織,および共用メールボックスなどの依存関係に問題がないか見直します。問題がなければ,gmaxchk,gmaxsetコマンドを実行して登録情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥gu_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥gu_data.csv
- マスタ管理サーバで,登録情報保存用データから兼任ユーザ情報を回復します。
例)gmaxchk -v c:¥temp¥u6_data.csv
gmaxset -v m c:¥temp¥u6_data.csv
- 掲示板データが再登録されているのを確認した後,マスタ管理サーバでグループ・掲示板メンバ保存用データからグループ・掲示板メンバ情報を回復します。
例)gmaxgchk -v c:¥temp¥group.csv
gmaxgset -v c:¥temp¥group.csv
- 全サーバでLOAD_MBコマンドを実行して,メールボックスを回復します。
例)nxsrepstat
LOAD_MB -v -a c:¥temp¥gu_data.csv c:¥temp¥hostname
- 一括登録ユティリティでは設定できない項目を,運転席から回復します。
- 全ユーザに運転席から設定した権利組織設定,ユーザ管理権限※
- マスタ管理サーバでadpdheadコマンドを実行して,ユーザ任意情報の見出しを定義します。
例)adpdhead -f c:¥temp¥pda_def.csv -e adpdhead.log
- マスタ管理サーバでadpdasetコマンドを実行して,ユーザ任意情報を回復します。
例)adpdaset -f c:¥temp¥gu_pda -e adpdaset.log
adpdaset -f c:¥temp¥u6_pda -e adpdaset.log
- マスタ管理サーバで,全サーバにadpdheadコマンドを実行して,ユーザ任意情報を配信します。
例)adpdhead -d hostname -e adpdhead.log