10.7　埋め込みSQL文の解析方法

COBOLソースファイルに埋め込みSQL文がある場合に，COBOLソース解析のSQL表の解析方法について説明します。

解析対象のSQL文

解析できるのは，ODBC標準のSQL構文だけです。OracleまたはHiRDBにアクセスするSQL文がCOBOLソースファイルに含まれている場合は，コンパイルエラーになります。

COBOLソース解析では，抽出キーから表名やカーソル名の情報を取得してSQL文を解析します。エラー処理はありません。また，解析結果の妥当性や，予約語であるかどうかはチェックしません。

COBOLソース解析で解析対象になる埋め込みSQL文は，次に示す形式です。

　EXEC SQL
　　SQL文
　END-EXEC

COBOLソース解析で解析対象になる埋め込みSQL文の形式を次の表に示します。

表10‒7　COBOLソース解析で解析対象になる埋め込みSQL文の形式
種類	分類	SQL文	説明	COBOLソース解析の対象	抽出情報（抽出キー）	CRUD
宣言系	埋め込みSQL宣言節	BEGIN DECLARE SECTION	埋め込みSQL開始宣言	×	−	−
	埋め込みSQL宣言節	END DECLARE SECTION	埋め込みSQL終了宣言	×	−	−
	埋め込み例外宣言	WHENEVER	埋め込み例外宣言	×	−	−
	カーソル	DECLARE CURSOR	カーソル宣言	○	カーソル名(DECLARE), 表名(SELECT)	R
制御系	コネクション	CONNECT	コネクションの確立	×	−	−
		DISCONNECT	コネクションの解除	×	−	−
		SET CONNECTION	コネクションの変更	×	−	−
	トランザクション	COMMIT	コミットでのトランザクションの終了	×	−	−
	トランザクション	ROLLBACK	ロールバックでのトランザクションの終了	×	−	−
操作系	静的	SELECT	表から指定した行の値の取り出し	○	表名(SELECT)	R
		INSERT	表に新しい行を挿入	○	表名(INSERT [,SELECT])	C[+R]
		DELETE	表の行の削除	○	表名(DELETE [,SELECT])	[R+]D
		UPDATE	表の行の更新	○	表名(UPDATE [,SELECT])	[R+]U
	カーソル	OPEN	カーソルのオープン	×	−	−
		FETCH	カーソルを表の次の行に位置づけ，その行の取り出し	○	カーソル名, 表名(FETCH)	R
		CLOSE	カーソルのクローズ	×	−	−
	ストアドプロシージャ	CALL	ストアドプロシージャの呼び出し	×	−	−
	動的	EXECUTE IMMEDIATE	動的SQLを準備し実行	×	−	−
		PREPARE	動的SQLの準備	×	−	−
		DEALLOCATE PREPARE	準備した動的SQLの解放	×	−	−
		EXECUTE	動的SQLの実行	×	−	−

（凡例）

○：COBOLソース解析の解析対象です。

×：COBOLソース解析の解析対象外です。

−：該当しません。

表名を抽出する対象になるSQL文

COBOLソース解析では，埋め込みSQL文（EXEC SQLからEND-EXECまでのSQL文）について，次のSQL文に指定された表名を抽出します。

SQL文に関連するソース解析情報

SQL文に関連するソース解析情報を次の表に示します。

注※

表名を呼び出すときのモードです。次に示す4モードの組み合わせです。

C：INSERT

R：SELECT またはFETCH

U：UPDATE

D：DELETE

表の使用モードはC，R，U，Dの順序で出力します。

例えば，UPDATE文とSELECT文が定義されている場合，「RU」と出力します。

表名を呼び出すときのモードのパターン

表名を呼び出すときのモードのCRUDパターンを次の表に示します。

表10‒9　表名を呼び出すときのモードのCRUDパターン
項番	CRUDパターン	COBOLソースファイル内のSQL文の発行例
1	C	INSERT INTO T1(C1,C2) VALUES(1,2) DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT C1,C2 FROM T1
2	R	SELECT * FROM T1 SELECT COUNT(*) FROM (SELECT C1 FROM T1 UNION SELECT C1 FROM T2)
3	U	UPDATE T1 SET C1 = 100 WHERE C2 = '3'
4	D	DELETE FROM T1 WHERE C1 = '3'
5	CR	追加の副問合せ指定例 INSERT INTO T1(C1,C2) VALUES((SELECT MIN(C1) FROM T1),NULL) 別表からの追加例 INSERT INTO T1 SELECT * FROM T2
6	RU	更新の副問合せ指定例 UPDATE T1 SET C1=NULL WHERE C1=(SELECT MIN(C1) FROM T2)
7	RD	削除の副問合せ指定例 DELETE FROM T1 WHERE C1=(SELECT MIN(C1) FROM T2)