付録B.3 属性レポートの連携

ここでは,ERwin/ERX(バージョン2.6以前)で作成した属性レポートの辞書登録について説明します。

<この項の構成>
(1) ERwin/ERXでの属性レポートの出力設定
(2) 属性レポートからデータ項目辞書への変換規則
(3) 属性レポートからデータ項目辞書への変換規則(同一カラム名をマージする場合)
(4) データ項目辞書と属性レポート形式の対応
(5) 属性レポート形式フォーマット

(1) ERwin/ERXでの属性レポートの出力設定

ERwin/ERXで次に示す設定をして,CSV形式ファイルを出力してください。

(2) 属性レポートからデータ項目辞書への変換規則

依存関係のある属性レポートを単独で辞書登録する場合の変換規則について説明します。エンティティレポートと同時に入力する場合については,「付録B.2(2) エンティティレポートからデータ項目辞書への変換規則」を参照してください。

属性レポート形式の辞書登録の例を次の図に示します。

図B-4 属性レポート形式の辞書登録の例

[図データ]

属性レポート形式のCSV形式ファイルを辞書に登録するとき,物理名の異なる外部キーの識別を指定するかどうかによって,登録されるデータ項目が異なります。図B-4は,物理名の異なる外部キーを識別する指定をした場合の登録例です。

物理名の異なる外部キーを識別して登録するには, CSV形式ファイル入力コマンドで引数「/Z 物理名の異なる外部キーを識別する」を省略するか,[CSV入力オプション]ダイアログの「物理名の異なる外部キーを識別する」のチェックをオンにします。

この指定をしない場合には,図B-4の「2'」と「4'」のデータ項目は登録されません。

(3) 属性レポートからデータ項目辞書への変換規則(同一カラム名をマージする場合)

属性レポート中に,同一のカラム名が定義された属性情報が複数ある場合,その情報をマージしてデータ項目辞書に登録できます。エンティティレポートと同時に入力する場合については,「付録B.2(3) エンティティレポートからデータ項目辞書への変換規則(同一カラム名をマージする場合)」を参照してください。

同一カラム名の属性をマージする場合の属性レポートの変換規則を次の図に示します。

図B-5 属性レポート形式の辞書登録の例(同一カラム名をマージする場合)

[図データ]

属性レポート形式のCSV形式ファイルを辞書に登録するとき,物理名の異なる外部キーの識別を指定するかどうかによって,登録されるデータ項目が異なります。図B-5は,物理名の異なる外部キーを識別する指定をした場合の登録例です。

(a) 同一カラム名をマージして登録する

同一カラム名をマージして辞書に登録するには,CSV形式ファイル入力コマンドで引数「/R 同一カラム名のマージ有無」に「use」を指定するか,または[CSV入力オプション]ダイアログの「同一カラム名の属性をマージする」のチェックをオンにします。

なお,FK属性のカラム名と,その移行先のPK属性のカラム名が同じ場合は,この指定に関係なく,必ずマージされて登録されます。詳細は,「付録B.3(2) 属性レポートからデータ項目辞書への変換規則」を参照してください。

(b) マージされる属性の条件

同一カラム名の属性のマージでは,マージされる属性間で,属性の値が一致している必要があります。マージされる属性間の条件を次の表に示します。

表B-12 マージされる属性間の条件

属性情報マージする属性間の条件
カラム名
属性名
カラムデータタイプ(精度,スケールを含む)
デフォルト値
移行先を示す情報ベース名×
PK指定×
FK指定×
属性コメントまたは定義×
(凡例)
○:一致しなければならない
×:一致しなくてもよい
注※
コメントまたは定義の情報が,マージ対象の複数の項目に設定されている場合は,その中で最も長い情報が,データ項目のコメントに設定されます。

(4) データ項目辞書と属性レポート形式の対応

データ項目辞書の定義項目と属性レポート形式の対応を次の表に示します。

表B-13 データ項目辞書と属性レポート形式の対応

データ項目辞書の定義項目属性レポート形式
構成項目
単項目結合項目とその構成項目
結:結合項目
構:構成項目
名称データ項目名カラム名結:カラム名
構:カラム名+サフィックス※1
標準名称属性名結:属性名
構:属性名+サフィックス※1
フリガナ×結:×
構:×
属性分類カラムデータタイプから分類へ変換※1結:結合データ
構:カラムデータタイプから分類へ変換※1
けた数カラムデータタイプから抽出※1結:-
構:カラムデータタイプから抽出※1
小数部けた数カラムデータタイプから抽出※1結:-
構:カラムデータタイプから抽出※1
反復回数×結:-
構:×
付加情報フィールド1~n×結:×
構:×
コメント属性コメント/定義結:属性コメント/定義
構:×
言語別詳細情報名前カラム名結:カラム名
構:カラム名+サフィックス※1
タイプカラムデータタイプから分類へ変換※1結:-
構:カラムデータタイプから分類へ変換※1
タイプ修飾情報※3×結:-
構:×
取りうる値×結:-
構:×
初期値デフォルト値結:-
構:※2
言語別フィールド×結:×
構:×
(凡例)
×:データ項目辞書に対応するERwin/ERX側の情報がない項目
-:データ項目辞書に値がない項目
注※1
変換される分類とタイプの変換規則は,エンティティレポート形式と同じです。「付録B.2(5) ERwin/ERX タイプマッピングの規則」を参照してください。
注※2
サフィックス「-char」の構成項目にはデフォルト値を,サフィックス「-length」の構成項目にはデフォルト値の文字列長を初期値として設定します。
注※3
「COBOL又はOOCOBOL」で定義する編集文字列を指します。

(5) 属性レポート形式フォーマット

ERwin/ERXの属性レポートに対応するCSV形式ファイルフォーマットについて説明します。

(a) ファイル内部の構成

属性レポート形式のファイル内部の構成を次に示します。

[図データ]

1行目にはヘッダを,2行目からは個々のデータ項目の定義情報を記述します。

(b) ヘッダ

ヘッダはERwin/ERXでレポートを出力した場合に付加されます。ヘッダの内容は任意ですが,ヘッダ行のカンマで区切られた列数は,定義情報と同じである必要があります。

(c) 定義情報

定義情報のフォーマットと属性レポートで定義する必要のある値と省略できる値を次の表に示します。属性レポート形式では,文字列の値はすべてクォーテーション(「"」または「'」)で囲まないで記述します。

表B-14 データ項目の定義情報の記述内容(属性レポート形式)

記述順記述する定義情報構成項目
1カラム名
2属性名
3FK指定
4カラムデータタイプ
5デフォルト値
61属性コメント
61属性定義
72PK指定
82ベース名
(凡例)
○:必要な値
△:省略できる値
注※1
どちらか一方を記述します。
注※2
物理名の異なる外部キーを識別する場合は,必ず記述します。