2.7.1 定義内容を検査する

<この項の構成>
(1) 検査の仕組み
(2) 目的のデータ項目または業務ルールを指定して検査する
(3) 検査結果を確認し,定義内容を修正する

(1) 検査の仕組み

リポジトリブラウザでは,データ項目や業務ルールの定義内容について,プロジェクトの基準やプログラミング言語の文法などに従って適切に定義されているかどうかを検査できます。

検査では,辞書の環境設定内容(環境構築ユティリティで設定した,検査に適用する検査項目,命名ルール,分類とタイプの対応など)および言語の文法を基にして,データ項目または業務ルール別に定義内容の妥当性が診断されます。検査の仕組みを次の図に示します。

図2-15 検査の仕組み

[図データ]

(a) 適用する検査項目とは

データ項目または業務ルールの検査内容別に,検査項目が用意されています。リポジトリブラウザでの検査に適用する検査項目を,あらかじめサーバの環境構築ユティリティを使って設定しておきます。また,ユーザが作成した検査DLLを登録して,独自の検査項目を追加することもできます。

プロジェクト内で定める辞書情報の基準に沿うよう,検査項目を設定してください。検査項目の詳細は,「3.1.1 環境を設定する」を参照してください。

データ項目の検査には,次の検査項目が用意されています。
データ項目名の一意性チェック
名称と命名ルールのマッチングチェック
けた数とタイプの整合性チェック
タイプの組み合わせチェック
初期値の記述チェック
編集文字列の記述チェック
構成項目の名前の重複チェック
業務ルールの検査項目には,次の検査項目が用意されています。
業務ルール名の一意性チェック
名称と命名ルールのマッチングチェック
ルールスクリプトのキーワード使用チェック

このうち,「データ項目名の一意性チェック」および「業務ルール名の一意性チェック」は,リポジトリブラウザでデータ項目または業務ルールを作成した時と,データ項目名または業務ルール名を変更した時に自動的に検査が実行されます。SEWB+/REPOSITORYでは,データ項目名および業務ルール名を,リポジトリ内で一意に定義しなければならないという制限はありません。したがって,同じ辞書フォルダや別の辞書フォルダに同一のデータ項目名または業務ルール名を定義することもできます(例えば,ドメインとなるデータ項目「年月日」を複数の辞書フォルダに登録した場合)。この検査項目でチェックされたデータ項目名または業務ルール名に対しては,プロジェクト独自の名称基準を確認した上で,必要に応じて別の名称を付けてください。

その他の検査項目は,リポジトリブラウザのメニューの[検査]または[一括検査]を使用して検査します。

(b) 命名ルールとは

データ項目および業務ルールの名称の規則を命名ルールといいます。命名ルールは,データ項目および業務ルールの名称の標準化を図ることを目的としています。検査のために,プロジェクトの名称基準を,あらかじめ環境構築ユティリティを使って設定しておきます。命名ルールの条件の値は,辞書フォルダ単位で定義項目別に定義できます。

(c) 検査状態とは

個々のデータ項目および業務ルールには,それぞれ「検査状態」が設定されています。ここには,そのデータ項目または業務ルールがすでに検査されているかどうか,また,検査の結果,エラーがあったのかどうかを知るための情報が設定されます。これを「状態値」と呼びます。状態値の種類と意味は次のとおりです。

検査をすると,状態値には「エラーあり」または「エラーなし」のどちらかが設定されます。また,データ項目の定義内容を変更したり,継承関係にある上位データ項目の定義内容が変更されたりすると,状態値は「未検査」に戻ります。

(2) 目的のデータ項目または業務ルールを指定して検査する

すでにリポジトリに格納されている辞書情報が検査の対象になります。目的に応じて,特定のデータ項目や業務ルールだけを指定して検査したり,辞書フォルダを指定してデータ項目と業務ルールを一括して検査したりできます。

ここでは,リポジトリブラウザから検査する方法について説明します。この方法のほかに,関連ブラウザウィンドウまたは検索ウィンドウの検索結果一覧から,データ項目や業務ルールを指定して検査することもできます。

特定のデータ項目や業務ルールだけを検査する

リポジトリブラウザウィンドウのツリービューまたはリストビューで,データ項目もしくは業務ルールを選択します。次に,[リポジトリ]-[検査]を選ぶと,検査のオプションを指定するダイアログが表示されます。ここで,検査対象とするデータ項目の検査状態を指定し[OK]ボタンをクリックすると検査が実行されます。

継承関係の下位データ項目も含めて検査する

リポジトリブラウザウィンドウのツリービューまたはリストビューで,データ項目を選択します。次に,[リポジトリ]-[一括検査]を選ぶと,検査のオプションを指定するダイアログが表示されます。ここで,検査対象とするデータ項目の検査状態を指定し[OK]ボタンをクリックすると検査が実行されます。選択したデータ項目と,継承関係の下位データ項目が検査されます。

辞書フォルダ内のすべてのデータ項目と業務ルールを検査する

リポジトリブラウザウィンドウのツリービューまたはリストビューで,辞書フォルダを一つ選択します。次に,[リポジトリ]-[一括検査]を選ぶと,検査のオプションを指定するダイアログが表示されます。ここで,検査対象とするデータ項目の検査状態を指定し[OK]ボタンをクリックすると検査が実行されます。

(3) 検査結果を確認し,定義内容を修正する

定義内容にエラーがあった場合は,その内容が検査結果ダイアログに一覧表示されます。検査結果を確認して,必要に応じて修正を加えてください。この検査結果の一覧から,エラーのあったデータ項目または業務ルールを選ぶと,編集のためのダイアログを開くこともできます。