2.2.1 ドメインの分析とは

ドメインの分析とは,業務で使用するデータから,共通の値域と制約条件を抽出し,標準化することです。

<この項の構成>
(1) 値域,制約条件とは
(2) ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する

(1) 値域制約条件とは

ドメインを理解するために,まず値域と制約条件について解説します。

(2) ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する

ドメインを分析し,その値域と制約条件を整理する手順を次に説明します。

  1. ドメインを抽出する
    ドメインを抽出するには,まず,業務に使用するデータを調査し,その中から共通の値域を持つデータをグルーピングします。値域が共通なデータは,その制約条件も共通であると考えられます。それぞれのグループに対して,共通の制約条件を洗い出します。このようにして,データ共通の値域と制約条件をまとめ,整理したものがドメインとなります。
  2. 必要に応じて,ドメインを階層化する
    ドメインによってグルーピングされたデータのなかで,さらに共通の値域や制約条件を抽出できれば,ドメインを階層化し,下位ドメインとして整理しておきます。
  3. ドメインに名称を付ける
    それぞれのドメインには,業務の中で一意に識別できるよう,ユニークな名称を付けます。このドメインの名称は,データ項目の名称に反映します。詳細は「2.3 名称の標準化」を参照してください。

ドメインの抽出例を次に示します。

ドメイン名称定義データの例
コード企業の主要な管理対象を識別するための文字列(値)で,必ず個々の値が示す対象が決められるデータ顧客コード
製品コード
銀行コード
番号企業の主要な管理対象を識別するための文字列(値)で,時々刻々と発生する出来事(取り引き)などを識別するデータ社員番号
受注番号
区分ある特定の条件を満たすかどうかを示すデータ引当区分
割引区分
年月日ある特定時点の年,月,日を表すデータ営業年月日
発注年月日
登録年月日
金額円やドルなどの通貨を表すデータ売り上げ金額
割引金額

このようにして整理したドメインと,その値域,制約条件を基に,辞書のデータ項目と業務ルールを設計します。