2.3.2 クラスタシステムの適用について

クラスタシステムは,Groupmaxのサーバプログラムが稼働するサーバマシンがハード障害などの理由でダウンした場合,サーバを切り替えてGroupmaxの業務を継続をします。次に,クラスタシステムへの対応の概要と注意事項について説明します。

<この項の構成>
(1) クラスタシステム対応の概要
(2) クラスタシステム適用時の注意事項

(1) クラスタシステム対応の概要

Groupmaxのクラスタシステムは,常時動作させておくサーバと,障害発生時に処理を引き継ぐサーバの役割を,完全に固定する方式だけに対応しています。切り替えが発生した場合,クライアントを操作するユーザでは,サーバへの再接続が必要になりますが,接続先サーバを意識する必要はありません。フェールオーバの概要を,図2-11に示します。

図2-11 フェールオーバの概要

[図データ]

フェールオーバの対象であるGroupmaxのサーバで使用する情報は,共有ディスクに格納します。また,クラスタシステムは,両ノード共通に仮想的なアドレスとして外部からアクセスを受けます。ノードAでGroupmaxサーバのサービスに障害が発生すると(図2-11の1),クラスタシステムはそれを検知しノードBに伝えます(図2-11の2)。ノードBのクラスタシステムは,対象のGroupmaxの稼働環境をノードBにフェールオーバし(図2-11の3),ノードBでGroupmaxサーバのサービスを起動します(図2-11の4)。また,フェールオーバの際,仮想アドレスもノードBに引き継がれます(図2-11の5)。したがって,クライアントからは,Groupmaxサーバが動作するノードの障害を認識しないで,単にサーバ環境が再起動したように見えます。

Groupmaxの各サーバセットに含まれるGroupmaxのサーバプログラムのうち,クラスタシステムに対応するプログラムの一覧を表2-4に示します。

表2-4 各セット商品に含まれるサーバのクラスタ対応状況

サーバ備考
Object Server各セットで提供
Address Server
Mail Server
Document Manager
Workflow Server
Scheduler Server
Facilities Manager
Groupmax WWW
Groupmax WWW for Scheduler
High-end Object Server「エンタープライズワークフローサーバセット」に同梱。他のセット適用時は,オプションとして提供。
High-end Workflow Server
Workflow Multi-Server

(2) クラスタシステム適用時の注意事項

クラスタ環境での注意事項の中で,主な項目について説明します。このほかの注意事項については,適用するサーバのマニュアルを参照してください。

(a) マシン時刻

運用系,及び待機系のマシン時刻が同じになるようにセットする必要があります。

(b) 利用環境

ユーザのログインが完了した状態でフェールオーバが発生すると,サーバとの接続が切れるため,イベント通知方式でのMailの着信通知が報告されなくなります。Integrated DesktopやGroupmax WWWからログインしている場合,再ログインしてください。なお,フェールオーバ中はサーバに接続できません。エラーになった場合,しばらく時間を置いてから再操作してください。

(c) 処理性能

クラスタ環境でのGroupmaxサーバは,ディスクへの書き込みで,同期書き込みを設定する必要があります。このため,同等の仕様のハードウェアを適用した通常環境と比較すると,クラスタ環境での運用ではパフォーマンスが低くなります。

(d) ユーザ登録

Address Serverでのユーザ登録で,コマンドによる一括登録の実行中にクラスタ切り替えが発生した場合,ユーザ登録ファイルの途中のレコードまで登録が完了していても,処理結果が設定されません。登録状況を確認し,未登録の部分だけを再実行してください。これは,グループの登録についても同様です。