2.3.1 ジャーナル機能の適用について

Groupmaxには,障害発生時にすべての情報が失われるのを防ぐため,High-end Object Serverのジャーナル機能を中心としたデータの回復手段があります。

<この項の構成>
(1) ジャーナル運用の適用及びそのためのシステム形態
(2) ジャーナル機能適用の前提及び情報回復の概要

(1) ジャーナル運用の適用及びそのためのシステム形態

Groupmaxの各サーバプログラムは,処理対象の情報に応じて,DBと通常ファイルを組み合わせた機能になっています。データの回復は,High-end Object Serverのジャーナル機能を中心として,各種ログ情報と組み合わせることで実現されます。機能ごとに情報に特性があるので,回復されるのはGroupmaxの全情報ではなく,情報の一部です。したがって,ジャーナル運用で情報が回復できる範囲は,サーバによって異なります。

なお,ジャーナル機能は,ディスク障害が発生した場合,予備ファイルや副(B系)ファイルを使用して業務をできる限り継続させます。そのため,ジャーナル機能で使用するジャーナルファイル及びステータスファイルを,複数のディスクボリュームに分散して配置する必要があります。この分散配置によってディスクの利用率を分散化できます。また,ディスク利用率が原因となって発生する,ディスクI/O時間増大による応答性能の劣化の防止にも効果的です。

Groupmaxでは,データベース,各サーバアプリケーション用情報,ジャーナル及びステータスファイルを別ディスクに分散させることをお勧めします。ディスクボリュームでのデータの配置例を,図2-10に示します。

図2-10 ディスクボリュームでのデータの配置例

[図データ]

なお,High-end Object Serverでは,ステータスファイルを正/副ファイル(A系/B系ファイル)の2系列で一つのステータスファイルとして定義します。これによって,ステータスファイルは,High-end Object Serverによるソフトウェアでの二重化が行われます。ただし, 高性能なI/Oが要求されるジャーナルファイルは,ステータスファイルと異なり,High-end Object Serverによるソフトウェアでの二重化が行われません。

ジャーナルファイルの耐障害性をより向上させる必要のあるサーバでは,ジャーナルファイルにミラーディスクを適用することを検討してください。High-end Object Serverは,ジャーナルファイルの出力障害については,予備のジャーナルファイルに出力して,業務を継続します。しかし,High-end Object Serverを再開始したとき,及び各サーバプログラムのトランザクション処理においてトランザクションのロールバックが必要となったときには,データベースの回復が必要になる場合があります。その場合,回復データを格納しているジャーナルファイルの入力障害が発生すると,データベースを回復できません。また,ジャーナルデータの保存のためにジャーナルアンロードをしたときに,ジャーナルファイルの入力障害が発生すると,ジャーナルを保存できません。これらの障害に対する耐障害性のために,ジャーナルファイルにミラーディスクを適用する検討は大切です。

(2) ジャーナル機能適用の前提及び情報回復の概要

ジャーナル運用を行う場合,運用中のデータを回復できるようにするため,DBの実データ(以降「データベース」と呼びます)とジャーナル及びステータスファイルは別ボリュームに確保する環境が必要となります。次に,各サーバプログラムでこの機能を適用する場合の前提,及び情報回復の概要を説明します。

(a) High-end Object Server

High-end Object Serverでは,ジャーナルファイル及び正,副(A系,B系)で構成されるステータスファイルを,それぞれ複数確保できます。それらのどれかが障害になっても,情報を回復又は業務を継続できるように,ファイル及び系統をできるだけ別ボリュームに分散させて配置する必要があります。

(b) Address Server

Address Serverでは,回復対象のサーバがマスタ管理サーバかアドレスサーバかによって回復の方法が異なります。

(c) Mail Server

Mail Serverでは,扱うデータがメール情報,掲示板の階層情報,又は掲示板の記事情報によって回復対象及び方法が異なります。

(d) Document Manager

High-end Object Serverのジャーナル機能によって,文書の情報を回復できます。ただし,Document Managerの文書実体ファイルは,情報回復の対象外です。

文書実体ファイルは,Document Managerの文書配布機能を使用して,ほかのDocument Managerに配布しておくことで,情報の回復に役立てることができます。なお,配布の間隔を短くすると,障害時の回復範囲を絞り込むことができます。

(e) Workflow Server

処理を実施中の案件について,ジャーナル機能を使用して情報を回復できます。ただし,案件の添付ファイルは回復の対象外です。また,サーバに登録したビジネスプロセス定義ファイルとアプリケーションファイルも回復の対象外です。

ジャーナル機能に対応したサーバプログラムと,ジャーナルによる情報回復に関係の深い情報を,表2-3に示します。

表2-3 データ領域とサーバプログラムの関係

データ領域の種類サーバプログラム
Address ServerMail ServerDocument ManagerWorkflowシングルWorkflowマルチ
High-end Object Serverデータ
マスタ管理サーバ用ジャーナル(マスタ管理サーバだけに存在)   
Address/Mailジャーナル(マスタ管理サーバだけに存在)   
Mail Serverメール・記事情報   
Mail Server記事参照履歴    
Document Manager文書実体    
Workflow案件の添付ファイル