4.3 OCXインタフェースの使用例

OCXインタフェースの使用例について説明します。

<この節の構成>
(1) 案件の投入処理
(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理
(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理
(4) 案件の回覧処理(発行するメソッドを少なくする方法)
(5) 案件の回覧処理 (必要な情報だけを取得する方法)
(6) 案件の相談処理
(7) 案件の引き戻し処理
(8) 案件の差し戻し処理

(1) 案件の投入処理

案件をビジネスプロセス定義に投入するときのOCXメソッドの発行手順を図4-1に示します。

図4-1 案件の投入処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. ビジネスプロセス定義情報の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザは,案件をどのビジネスプロセス定義に投入するかを選択する必要があります。投入できるビジネスプロセス定義情報を取得するには,WFocGetBusinessProcessを発行します。取得したビジネスプロセス定義情報の中から対象とするビジネスプロセス定義を選択します。選択したビジネスプロセス定義情報は,投入できる案件情報の取得処理の中で必要となります。このため,業務アプリケーションはこの情報を保持する必要があります。ただし,ユーザがビジネスプロセス定義を意識しないで投入処理をする場合,このメソッドを発行する必要はありません。
  3. 投入できる案件情報の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザは,どの案件を投入するかを選択する必要があります。投入できる案件情報を取得するには,ビジネスプロセス定義情報を基にWFocGetCaseFormSelectExを発行します。取得した案件情報の中から対象となる案件を選択します。この案件情報を基に案件の投入,及び文書の追加ができます。
  4. 案件の投入
    ビジネスプロセス定義に案件を投入するには,WFocPutCaseを発行します。
  5. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理

ビジュアル定義(Groupmax Workflow Definer)で定義した各ノードの案件配布を自動にした場合の案件情報を取得できます。

案件の自動配布時に案件情報を取得するときのメソッド発行手順を図4-2に示します。

図4-2 案件の自動配布時の案件情報取得処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 特定のビジネスプロセス定義の案件の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザが属する特定のビジネスプロセス定義を指定して案件情報を取得するには,WFocGetBusinessProcessを発行します。
    ただし,案件情報の取得にビジネスプロセス定義を意識しない場合は,このメソッドを発行する必要はありません。
  3. 特定のロールの案件の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザが属する特定のロールを指定して案件情報を取得するには,WFocGetRoleAndを発行します。
    ただし,案件情報の取得にロールを意識しない場合は,このメソッドを発行する必要はありません。
  4. 案件情報の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザが処理できるユーザトレー内の案件を取得するには,WFocGetCaseSelectDataを発行します。これによって,ビジネスプロセス定義情報とロール情報を基に選択条件に合うユーザトレー内の案件情報を取得できます。
    また,ビジネスプロセス定義情報,及びロール情報以外に,案件情報に対して選択条件を指定できます。
  5. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理

ビジュアル定義(Groupmax Workflow Definer)で定義した各ノードの案件配布を手動にした場合の案件情報を取得できます。

案件の手動配布時に案件情報を取得するときのメソッド発行手順を図4-3に示します。

図4-3 案件の手動配布時の案件情報取得処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 特定のビジネスプロセス定義の案件の取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザが属する特定のビジネスプロセス定義を指定して案件情報を取得するには,WFocGetBusinessProcessを発行します。
    ただし,案件情報の取得にビジネスプロセス定義を意識しない場合は,このメソッドを発行する必要はありません。
  3. 特定のロールの案件を取得
    ワークフローシステムの利用を開始したユーザが属する特定のロールを指定して案件情報を取得するには,WFocGetRoleAndを発行します。
    ただし,案件情報の取得にロールを意識しない場合は,このメソッドを発行する必要はありません。
  4. ロールトレー内案件情報の取得
    手動配布された案件は,ロールトレー内に配布されるのでロールトレー内の案件情報を取得する必要があります。ロールトレー内に配布された案件情報を取得するには,WFocGetCaseSelectDataを発行します。取得した案件情報の中から対象とする案件を選択します。
  5. ロールトレーからユーザトレーへの案件取り出し
    ロールトレー内の案件に対して処理をする場合,ユーザトレーに取り出す必要があります。ロールトレーからユーザトレーに案件を取り出すには,WFocGetCaseFromRoleExを発行します。
  6. ユーザトレーからロールトレーへの案件返却
    ユーザトレー内の案件に対して案件を元のロールトレーに返却するには,WFocPutCaseFromUserを発行します。ただし,案件を処理するノードが自動配布の場合には,案件をロールトレーに返却できません。
    また,取り出した案件を次ノードへ回覧する場合は,ロールトレーへ案件を返却する必要はありません。
  7. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(4) 案件の回覧処理(発行するメソッドを少なくする方法)

メソッドの発行回数を抑えた案件の回覧処理の例を図4-4に示します。

図4-4 案件の回覧処理(メソッドの発行回数を少なくする場合)

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 案件情報の取得
    案件情報の取得は,「4.3(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理」,及び「4.3(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理」を参照してください。
  3. 案件の処理開始指示
    案件に対して処理を開始するには,WFocPrefixCaseを発行します。また,WFocPrefixCaseは,次に示す情報も同時に取得できます。
    • ユーザ処理リスト
    • 文書・メモファイルの一覧や実体
  4. 作業用ファイルの取得
    ユーザ処理リストに「AP起動」がある場合,関連するファイルを取得するには,WFocDownLoadFileExを発行します。
  5. ユーザ属性の取得
    案件に対するユーザ処理が完了した後,ユーザ属性を取得したい場合は,WFocGetAttrValueByUserDefNameを発行します。
  6. 案件の回覧処理
    案件を次のノードに回覧するには,WFocSuffixCaseを発行します。WFocSuffixCaseは次に示す処理も同時にできます。
    • ユーザ属性の設定
    • 添付文書,及びメモの更新
  7. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(5) 案件の回覧処理 (必要な情報だけを取得する方法)

必要な情報だけを取得して案件を回覧する例を図4-5に示します。なお,必要な情報だけを取得すると,不要な情報の取得にかかる時間を削減できます。

図4-5 案件の回覧処理(必要な情報だけを取得する場合)

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 案件情報の取得
    案件情報の取得は,「4.3(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理」,及び「4.3(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理」を参照してください。
  3. 案件の処理開始指示
    案件に対して処理を開始するには,WFocPrefixCaseを発行します。
  4. ユーザ処理リストの取得
    案件のユーザ処理リストをWFocPrefixCaseで取得しなかった場合,WFocGetOperationを発行します。
    WFocPrefixCaseでユーザ処理リストを取得している場合は,WFocGetOperationを発行する必要はありません。
  5. 案件処理用ファイルの取得
    案件処理用ファイルを取得するには,WFocDownLoadFileExを発行します。
  6. 文書・メモファイルの一覧やファイルの取得
    案件の文書・メモファイルの一覧やファイルを取得するには,WFocGetCaseDocumentList,及びWFocGetCaseDocumentを発行します。
    WFocPrefixCaseで文書・メモファイルの一覧やファイルを取得している場合は,WFocGetCaseDocumentList,及びWFocGetCaseDocumentを発行する必要はありません。
  7. ユーザ属性の取得
    案件に対するユーザ処理が完了した後,ユーザ属性を取得したい場合は,WFocGetAttrValueByUserDefNameを発行します。
    なお,WFocGetAttrValueByUserDefNameはGroupmax Workflow Definerで定義したユーザ定義名称でユーザ属性値を取得できます。
  8. ユーザ属性の設定
    分岐ノードでの分岐条件を設定するには,案件にユーザ属性を設定する必要があります。案件にユーザ属性を設定するには,WFocSetCaseByUserDefNameを発行します。
    なお,WFocSetCaseByUserDefNameは,Groupmax Workflow Definerで定義したユーザ定義名称でユーザ属性を設定できます。
    WFocSuffixCaseでユーザ属性を設定する場合は,WFocSetCaseByUserDefNameを発行する必要はありません。
  9. 案件の添付文書・メモの更新
    案件に添付されている文書やメモを更新するには,WFocUpdateCaseDocumentを発行します。
    WFocSuffixCaseで文書やメモを更新する場合は,WFocUpdateCaseDocumentを発行する必要はありません。
  10. 案件の回覧処理
    案件を次のノードに回覧するには,WFocSuffixCaseを発行します。
  11. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(6) 案件の相談処理

案件を処理する上で他ユーザに対して相談が必要な場合は,案件の相談処理ができます。他ユーザへの相談内容は,案件にメモとして添付します。

案件の相談処理の例を図4-6に示します。

図4-6 案件の相談処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 案件情報の取得
    案件情報の取得は,「4.3(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理」,及び「4.3(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理」を参照してください。
  3. 案件へのメモ添付処理
    案件を他ユーザに相談する場合,相談者が相談内容を把握するためにメモを添付します。メモを添付するには,WFocPrefixCaseを発行します。
    メモを添付しない場合は,WFocPrefixCaseを発行する必要はありません。
  4. 相談者の取得
    案件の相談者を選択するには,WFocGetConsultantListを発行します。
    なお,相談者のニックネームが分かっている場合は,この関数を発行する必要はありません。
  5. 案件の相談処理
    相談者に対して案件を相談するには,WFocRoundCaseExを発行します。
  6. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(7) 案件の引き戻し処理

案件を次ノードに回覧した後に再度案件に対して処理が必要となった場合,回覧した案件を引き戻せます。回覧した案件がほかのユーザによって処理中の場合は,引き戻せません。また,待合,分割,同報,回収,複写,及び統合ノードにわたる処理ノード間では引き戻せません。

案件の引き戻し処理を図4-7に示します。

図4-7 案件の引き戻し処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 処理済み案件情報の取得
    処理した案件情報をユーザヒストリ情報から選択するには,WFocGetUserHistoryExを発行します。取得したヒストリ情報の"案件の投入",及び"案件の遷移要求"の中から引き戻したいヒストリ情報を選択します。
    WFocTakeBackCaseDirectで案件の引き戻しを行う場合は,WFocGetUserHistoryExを発行する必要はありません。
  3. 案件の引き戻し処理
    処理した案件のヒストリ情報を基に案件を引き戻すには,WFocTakeBackCaseExを発行します。処理した案件の情報をユーザが独自のデータベース等を利用して保持しておき,その情報を基に案件を引き戻す場合は,WFocTakeBackCaseDirectを発行します。複数の案件を引き戻す場合,メソッドを繰り返し発行します。
  4. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。

(8) 案件の差し戻し処理

回覧された案件に対して再度処理が必要な場合,その案件を差し戻すことができます。案件を差し戻すとき,ビジネスプロセスの定義で案件の状態が変更(待合,及び分割)されたものについては,差し戻せません。また,待合,分割,同報,回収,複写,及び統合ノードにわたる処理ノード間では差し戻せません。

案件の差し戻し処理を図4-8に示します。

図4-8 案件の差し戻し処理

[図データ]

  1. ワークフローシステムの利用開始
    ワークフローシステムの利用を開始するには,WFocStartUpを発行します。
  2. 案件情報の取得
    案件情報の取得は,「4.3(2) 案件の自動配布時の案件情報取得処理」,及び「4.3(3) 案件の手動配布時の案件情報取得処理」を参照してください。
  3. 差し戻し候補者の選択
    案件を差し戻すとき,以前に処理した差し戻し対象ユーザ情報を取得するためにWFocGetBackUserListExを発行します。差し戻し先ユーザ一覧から差し戻しユーザを選択します。
  4. 案件の差し戻し要求処理
    案件の差し戻し処理をするためにWFocSendBackCaseExを発行します。差し戻した案件は,以前処理したユーザトレーに配布されます。
  5. ワークフローシステムの利用終了
    ワークフローシステムの利用を終了するには,WFocCleanUpを発行します。