2.4.6 Groupmax Workflow Server for Active Directoryでの設定
(1) ディレクトリアクセスアカウントの定義
ワークフローディレクトリサービス及びユーザ定義コマンドがActive Directoryへアクセスできるようにするために,Active Directoryへアクセスする権限を持っているユーザのアカウント情報(ユーザプリンシパル名及びパスワード)をWorkflowサーバに定義する必要があります。ユーザプリンシパル名とは,ユーザプロパティのアカウントタブのユーザログオン名のことです。アカウント情報は,ディレクトリアクセスアカウント定義ユティリティ(WFdefacc)を実行して定義します。
ディレクトリアクセスアカウント定義ユティリティの詳細は,「4.2.25 ディレクトリアクセスアカウント定義ユティリティ」を参照してください。
ワークフローディレクトリサービス及びユーザ定義コマンドは,定義されたアカウント情報を起動時に読み込み,このユーザアカウントでActive Directoryにアクセスします。
(2) 対象ドメインの定義
Workflowサーバが処理対象とするActive Directoryのドメインを対象ドメイン定義ファイルに指定します。
対象ドメイン定義ファイルは,テキスト形式のファイルです。汎用テキストエディタを使って作成します。
Workflowサーバは,対象ドメイン定義ファイルで指定されたドメイン中の組織及びユーザの中で,Workflowの組織IDが指定された組織,及びWorkflowのユーザIDが指定されたユーザを対象に,ワークフローシステムのデータベース情報及びキャッシュ情報を生成します。
対象ドメイン定義の変更は,ワークフローシステムの運用やリソース(データベースエリアサイズやキャッシュサイズ)を十分考慮して実施してください。特に,対象ドメインを削除すると,そのドメイン中の該当する組織及びユーザが,ワークフローシステムのデータベース情報及びキャッシュ情報から削除されるので,注意してください。
(a) 対象ドメイン定義ファイルの格納場所
次のディレクトリに「ad_domain」という名称で格納します。
%WFdir%¥SVetc
「%WFdir%」はWorkflowインストールディレクトリを示します。
(b) 対象ドメイン定義ファイルの作成
1レコードごとに,次に示す形式で設定します。
ドメインの識別子
- 内容
- ドメインの識別子
- 対象とするドメインをLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)のネーミングルールに従った識別子(DN:Distinguished Name)で指定します。
- 例:対象ドメインとしてドメイン"example.co.jp"を指定する場合
- DC=example, DC=co, DC=jp
- ドメインの識別子には,対象ドメイン定義ファイルを作成するWorkflowサーバが属しているドメインツリー内のドメインを指定してください。
(c) レコード指定時の注意事項
- 一つのレコードは,改行を含めて1023バイト以下で指定します(1024バイト以降は無視されます)。
- 改行だけの行は無視されます。
- 1カラム目から指定します。前後の空白も識別子として扱われます。
- 指定できるドメインは最大10個です。
同じドメインの識別子を複数指定しても,それぞれ一つとして数えられます。
ドメインを11個以上指定した場合は,ディレクトリ情報のキャッシュ更新時にエラーとなります。
- 対象ドメイン定義ファイルがない場合,又はドメインを指定していない場合は,Workflowサーバが属しているドメインが仮定されます。
- 対象ドメイン定義ファイルがある場合,ディレクトリ情報のキャッシュを更新するには,グローバルカタログサーバが動作していることが前提となります。
このため,対象ドメインがWorkflowサーバに属しているドメインだけである場合は,対象ドメイン定義ファイルを作成しない方が,グローバルカタログサーバの動作を考慮しなくて済みます。
- 運用後にドメインの識別子を追加又は削除した場合は,次のどれかの方法で,ディレクトリ情報のキャッシュを更新する必要があります。
- スタートアップパラメタに「-r」を指定してワークフローディレクトリサービスを起動する方法
- ユーザ定義ユティリティ(WFregusr)を実行する方法
- キャッシュローディングユティリティ(WFcache)を実行する方法
(3) ディレクトリ情報のキャッシュの設定
Active Directoryに登録されたWorkflowのユーザ情報は,ワークフローディレクトリサービスによってキャッシュに読み込まれます。Workflowの各プログラムは,ワークフローディレクトリサービスを経由して,必要なユーザ情報を取得します。
(a) キャッシュパラメタファイルの作成
キャッシュパラメタファイルは,ディレクトリ情報のキャッシュを定義するファイルです。サンプルファイル(%WFdir%¥SVsample¥wfrsinfo)を必要に応じて%WFdir%¥SVetc¥wfrsinfoにコピーし,テキストエディタなどで編集すると,キャッシュパラメタファイルを作成できます。「%WFdir%」はWorkflowインストール先ディレクトリを示します。
キャッシュパラメタファイルの記述形式及び注意事項を次に示します。
行の先頭,末尾,及び区切り文字の「=」や「/」の前後に,空白,タブなどは使用できません。また,コメント行は指定できません。
[CACHE_COMP=キャッシュメモリサイズ]
- 内容
- CACHE_COMP=キャッシュメモリサイズ
- ユーザ情報を読み込むためのキャッシュメモリサイズを指定します。メガバイト単位で,1から32までの整数値が指定できます。デフォルトは5です。
- キャッシュメモリサイズの算出式を次に示します。
![[図データ]](figure/zu02018i.gif)
![[図データ]](figure/zu02019i.gif)
- ユーザ数には,ワークフローディレクトリサービスを起動してから停止するまでの間に追加されるユーザ数を含めてください。
(b) キャッシュに関する注意事項
キャッシュの不足によって,対象ドメインのすべてのWorkflow対象ユーザ情報が読み込めないときは,ワークフローディレクトリサービスはエラーとなり起動されないか,又はキャッシュローディング処理を中止します。その場合,所要サイズを示すメッセージが出力されます。CACHE_COMPのキャッシュメモリサイズを所要サイズ以上に設定し直して,ワークフローディレクトリサービスのスタートアップパラメタに「-r」を指定して再起動してください。
(4) スキーマの拡張
Workflowの運用時に必要となるユーザや役職などの情報は,Active Directory標準の情報ではないため,Active Directoryのスキーマを拡張してこれらの情報を定義する必要があります。
スキーマの拡張は,次の手順で実行します。
- スキーマ拡張機能をActive Directoryのスキーママスタドメインコントローラ上にインストールする
Active DirectoryのスキーママスタドメインコントローラとWorkflowサーバが同じ場合は,Workflowサーバをインストールすれば一緒にインストールされます。
- Active Directory Schema Adminsグループ及び実行マシンのAdministratorsグループに属するメンバがスキーマ拡張ユティリティ(WFadschema)を実行する
スキーマ拡張ユティリティの詳細は,「4.2.23 Active Directoryスキーマ拡張ユティリティ」を参照してください。
スキーマ拡張ユティリティを実行すると,次の属性が追加されます。
OUオブジェクト:組織ID,組織略称
ユーザオブジェクト:ユーザID,役職,所属サーバ名,上長ユーザID,上長役職
役職定義スキーマ
(5) 役職の登録
Workflow独自の役職情報をActive Directoryに登録します。Workflowの役職を登録しておくと,ユーザの属性を定義するときに,ユーザのプロパティダイアログボックスの役職コンボボックスから,登録した役職を選択できるようになります。また,ビジネスプロセス定義の作業机の作業権限の設定で,役職を指定できるようになります。
役職は,役職登録ユティリティ(WFposition)を実行して,Active Directoryに登録します。
役職登録ユティリティの詳細は,「4.2.24 役職登録ユティリティ」を参照してください。
役職の登録後,ユーザのプロパティダイアログボックスに役職名を表示できるようになります。また,ワークフローディレクトリサービスの起動,WFcacheコマンドの実行,又はWFregusrの実行によって,ディレクトリ情報のキャッシュを更新した後,ビジネスプロセス定義の作業机の作業権限の設定で役職名を表示できるようになります。
- 複数ドメイン構成時の役職定義
- 複数ドメインで構成される場合,役職定義は次のようになります。
- 役職定義は,同一役職一覧の場合でも,各ドメインで登録してください。
- コンボボックスに表示されるのは,自ドメインの役職一覧です。
- Workflowでは,対象ドメインを複数指定した場合は,対象ドメイン定義の先頭に指定したドメインの役職定義を採用します。
(6) 組織の登録
Workflowで使用する組織を登録します。組織が階層構造を持つ場合と持たない場合とで登録方法が異なります。
(a) 階層構造を持つ場合
Workflowで使用する組織について,Workflow用の組織ID及び組織略称を登録します。ダイアログボックスで登録する方法とバッチ登録する方法があります。それぞれについて説明します。
- ダイアログボックスで登録する方法
- Windows 2000管理ツールの「Active Directoryユーザーとコンピュータ」のダイアログボックスの「Hitachi Workflow組織」タブで,組織ID及び組織略称を設定します。
「Hitachi Workflow組織」タブを次に示します。
![[図データ]](figure/zu02050s.gif)
- [組織ID]テキストボックス(必須)
Workflow用の組織IDを設定します。8バイト以内の半角英数字で,同じWorkflowサーバが対象とするドメイン内でユニークな値を設定してください。この値がユニークでない場合,ワークフローディレクトリサービス起動時,WFcacheコマンド又はWFregusrコマンド実行時にエラーが発生します。この場合,エラーメッセージに従って,値がユニークになるように変更してください。
- [組織略称]テキストボックス(必須)
Workflow用の組織略称を設定します。32バイト以内の文字列で,Workflowサーバが対象とするドメイン内でユニークな値を設定してください。
- [OK]ボタン
必須項目が設定されているかがチェックされ,エラーがない場合は,データをActive Directoryに保存してダイアログボックスを閉じます。エラーがある場合は,エラー情報ダイアログボックスを表示します。
- [キャンセル]ボタン
テキストボックスのデータをActive Directoryに保存しないでダイアログボックスを閉じます。
- [適用]ボタン
必須項目が設定されているかがチェックされ,エラーがない場合は,データをActive Directoryに保存します。エラーがある場合は,エラー情報ダイアログボックスを表示します。
[OK]ボタン又は[適用]ボタンをクリックすると,必須項目が設定されているかどうかがチェックされます。組織ID及び組織略称がユニークな値であるかどうかをチェックするには,Active Directoryツール(LDIFDE)を使用します。
新しく組織IDを設定する場合は,その上位のオブジェクトが,ドメインのトップであるか又は組織IDが指定された組織である必要があります。また,既存の組織IDを未設定の状態に変更した場合は,その組織下の組織ID階層は無効となり,その組織下のユーザはデフォルト組織に移動されます。
- バッチ登録する方法
- Active Directoryの組織を定義する際に,Workflow用の組織ID及び組織略称をバッチ登録用の定義ファイルに定義します。組織ID及び組織略称は,サーバが対象とするドメイン内でユニークな値にします。定義後,Active Directoryのバッチ登録ユティリティでActive Directoryデータベースに登録します。
- なお,組織ID及び組織略称がユニークな値であるかどうかをチェックするには,Active Directoryツール(LDIFDE)を使用します。
- Workflow用の組織ID及び組織略称の属性名を次に示します。詳細は,「付録I スキーマの属性」を参照してください。
- 組織ID :hitachiWFOUID
- 組織略称:hitachiWFAbbrOUName
(b) 階層構造を持たない場合
階層構造を持たない場合は,デフォルト組織の下に,すべてのワークフローユーザを所属させます。
デフォルト組織の組織IDは「_DefOrg」で,組織名と組織略称は,環境設定ユティリティの次のパラメタで設定します。
- 環境設定パラメタ名:「デフォルトの組織名」
- Workflowの組織に所属していないワークフローユーザ,又はUsersコンテナの下のユーザを所属させる組織名を指定します。
(c) 組織IDに関する注意事項
組織の登録時に指定する組織ID(8バイト)は,対象ドメインの範囲でユニークでなければなりません。IDが重複している場合は,ディレクトリサービスが起動されないか,又はディレクトリサービスのキャッシュが再ローディングされません。この場合,警告メッセージ(KDWD0127-W)が出力されるとともに,ログファイルが出力されます(%WFdir%¥WFspool¥WFunique.log)。メッセージを参照し,対処してください。
(d) 組織の移動に関する注意事項
Windows 2000管理ツールの[Active Directoryユーザーとコンピュータ]のダイアログボックスの[操作]-[移動]コマンドを使用して,組織IDを指定しているOU(組織単位)を移動する場合は,次の点に注意してください。
- 移動先がOUであり,かつ,そのOUに組織IDを指定していない場合は,移動したOU,及びOU下のOUは,Workflow組織でなくなります。また,これらOU下のユーザIDを指定しているユーザは,Workflowではデフォルト組織に属するユーザとなります。移動する前に,移動先のOUに組織IDの指定があるかどうかを確認してください。
- 移動先が別ドメインで,かつ,そのドメインがWorkflowの対象ドメインでない場合,そのOU,及びそのOU配下のOUとユーザはWorkflowから削除されます。
(7) ユーザの登録
Workflowで使用するユーザについて,Workflow用のユーザIDや所属サーバ名などを登録します。ダイアログボックスで登録する方法とバッチ登録する方法があります。また,Active Directoryにユーザを登録した後,ワークフローデータベースにユーザを登録します。それぞれについて説明します。
(a) ダイアログボックスで登録する方法
Windows 2000管理ツールの「Active Directoryユーザーとコンピュータ」のダイアログボックスの「Hitachi Workflowユーザ」タブで,ユーザ情報を設定します。
「Hitachi Workflowユーザ」タブを次に示します。
![[図データ]](figure/zu02060s.gif)
- [ユーザID]テキストボックス(必須)
Workflow用のユーザIDを設定します。8バイト以内の半角英数字で,同じWorkflowサーバが対象とするドメイン内でユニークな値を設定してください。この値がユニークでない場合,ワークフローディレクトリサービス起動時,WFcacheコマンド又はWFregusrコマンド実行時にエラーが発生します。この場合,エラーメッセージに従って,値がユニークになるように変更してください。
- [役職]コンボボックス
ユーザの役職を設定します。役職登録ユティリティで設定した役職が,コンボボックスに表示されます。コンボボックスから役職を一つ選択してください。
- [所属サーバ名]テキストボックス(必須)
ユーザが所属するHitachi Workflowのサーバ名(ドメイン名)を設定します。半角英数字及び半角記号(「.」(ピリオド),「-」(ハイフン),「+」(プラス))で,255バイト以内で設定してください。
- [上長]グループボックス
ユーザの上長の情報を設定します。
- [上長ユーザID]テキストボックス
上長のHitachi WorkflowユーザIDを設定します。8バイト以内の半角英数字で設定してください。上長ユーザIDと上長役職の両方を指定した場合は,上長ユーザIDが有効となります。
- [上長役職]コンボボックス
上長の役職を設定します。役職登録ユティリティで設定した役職が,コンボボックスに表示されます。コンボボックスから役職を一つ選択してください。上長ユーザIDと上長役職の両方を指定した場合は,上長ユーザIDが有効となります。
- [OK]ボタン
必須項目が設定されているかがチェックされ,エラーがない場合は,データをActive Directoryに保存してダイアログボックスを閉じます。エラーがある場合は,エラー情報ダイアログボックスを表示します。
- [キャンセル]ボタン
テキストボックスのデータをActive Directoryに保存しないでダイアログボックスを閉じます。
- [適用]ボタン
必須項目が設定されているかがチェックされ,エラーがない場合は,データをActive Directoryに保存します。エラーがある場合は,エラー情報ダイアログボックスを表示します。
[OK]ボタン又は[適用]ボタンをクリックすると,必須項目が設定されているかどうかがチェックされます。ユーザIDがユニークな値であるかどうかをチェックするには,Windows 2000 ServerのLDIFDEツールでActive Directoryに登録されているユーザIDを抽出した後,例えば表計算ソフトを使用して重複をチェックします。
(b) バッチ登録する方法
Active Directoryのユーザを定義する際に,Workflow用のユーザID,所属サーバ名,役職,上長ユーザID及び上長役職をバッチ登録用の定義ファイルに定義します。定義後,Active Directoryのバッチ登録ユティリティでActive Directoryデータベースに登録します。
なお,ユーザIDがユニークな値であるかどうかをチェックするには,Active Directoryツール(LDIFDE)を使用します。
Workflow用のユーザID,所属サーバ名,役職,上長ユーザID及び上長役職の属性名を次に示します。詳細は,「付録I スキーマの属性」を参照してください。
ユーザID :hitachiWFUserID
所属サーバ名 :hitachiWFServerNameList
役職 :hitachiWFPositionName
上長ユーザID:hitachiWFSuperiorUserID
上長役職 :hitachiWFSuperiorPositionName
(c) ワークフローデータベースへの登録
Active Directoryにユーザを登録した後,ワークフローデータベースにユーザトレーを作成します。ユーザトレーの作成方法には次の三つがあります。
- スタートアップパラメタに「-r」を指定してワークフローディレクトリサービスを起動する方法
- ユーザ定義ユティリティ(WFregusr)を実行する方法
- キャッシュローディングユティリティ(WFcache)を実行する方法
それぞれの方法について説明します。なお,対象ドメイン定義ファイルを定義している場合は,グローバルカタログサーバ及び指定しているドメインのドメインコントローラが稼働していなければなりません。
- スタートアップパラメタに「-r」を指定してワークフローディレクトリサービスを起動する方法
- スタートアップパラメタに「-r」を指定してワークフローディレクトリサービスを起動すると,Active Directoryに登録されたユーザ情報を基に,ディレクトリ情報のキャッシュが生成されます。キャッシュの生成が正常に実行されると,キャッシュの情報を基にワークフローデータベースにユーザトレーが作成されます。
- ユーザ定義ユティリティ(WFregusr)を実行する方法
- ユーザ定義ユティリティは,ワークフローディレクトリサービスを起動してから実行します。ユーザ定義ユティリティを実行すると,ワークフローディレクトリサービスに対してキャッシュの更新が要求されます。ワークフローディレクトリサービスはキャッシュの更新要求を受け付け,Active Directoryに登録されたユーザ情報を基にキャッシュの情報を更新します。ユーザ定義ユティリティはキャッシュの更新が正常に終了すると,キャッシュの情報を基にワークフローデータベースにユーザトレーを作成又は更新します。
- ユーザ定義ユティリティの詳細は,「4.2.10 ユーザ定義ユティリティ」を参照してください。
- キャッシュローディングユティリティ(WFcache)を実行する方法
- キャッシュローディングユティリティは,ワークフローディレクトリサービスを起動してから実行します。キャッシュローディングユティリティを実行すると,ワークフローディレクトリサービスに対してキャッシュの更新が要求され,終了します。ワークフローディレクトリサービスはキャッシュの更新要求を受け付け,Active Directoryに登録されたユーザ情報を基にキャッシュの情報を更新します。ワークフローディレクトリサービスはキャッシュの更新が正常に終了すると,キャッシュの情報を基にワークフローデータベースにユーザトレーを作成又は更新します。
- キャッシュローディングユティリティの詳細は,「4.2.16 キャッシュローディングユティリティ」を参照してください。
(d) ドメイン管理者の設定
ドメイン管理者を登録するには,ユーザ定義更新ユティリティ(WFdefusr)を実行します。したがって,systemユーザはActive Directoryには登録しないでください。
ユーザ定義更新ユティリティの詳細は,「4.2.11 ユーザ定義更新ユティリティ」を参照してください。
(e) ワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者の設定
Active Directoryに登録したユーザから,ワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者として設定するユーザを選択し,Groupmax Workflow Definerで設定します。ワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者は,ドメイン管理者が設定します。
ワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者には,組織ごとに,ユーザ情報の更新権限を与えます。ユーザ情報の更新権限をワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者に与えることで,ドメイン管理者の負担を軽減できます。
また,ワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者にユーザ情報の更新権限を与えないことで,すべてのユーザ情報をドメイン管理者が集中的に管理することもできます。
ユーザを設定する場合は,Workflow管理サーバ及び設定するユーザのホームサーバを起動しておいてください。
なお,Groupmax Workflow Definerの代わりに,ユーザ定義更新ユティリティを使ってワークフロー運用管理者及びビジネスプロセス管理者を設定できます。ユーザ定義更新ユティリティの詳細は,「4.2.11 ユーザ定義更新ユティリティ」を参照してください。
(f) ユーザ属性の設定
Active Directoryに登録したユーザの属性を,Groupmax Workflow Definerで設定します。
なお,(d),(e)及び(f)の設定をサーバで一括して実行できます。サーバで一括して実行するには,Groupmax Workflow Definerの代わりに,各Workflowサーバ上でユーザ定義更新ユティリティを実行してください。ユーザ定義更新ユティリティの詳細は,「4.2.11 ユーザ定義更新ユティリティ」を参照してください。
(g) リアルタイムの更新
Active Directoryのユーザ情報の変更を定期的にワークフローデータベースに反映させるには,WindowsシステムのScheduleサービス(ATコマンド)又はJP1/Automatic Job Schedulerを使って,ユーザ登録ユティリティ(WFregusr)を定期的に実行させてください。ただし,どちらの方法でも,ワークフローディレクトリサービスを起動しておく必要があります。また,対象ドメイン定義ファイルを定義している場合は,グローバルカタログサーバ及び指定しているドメインのドメインコントローラが稼働していなければなりません。
(h) Active Directoryへユーザを登録する場合の注意事項
- 一度ワークフローデータベースに登録したユーザIDは,Active Directoryで変更しないでください。変更する場合は,次の手順で削除及び追加してください。
- Active DirectoryでユーザID及び他の必須項目を削除する。
- ワークフローデータベースに登録する。
- Active Directoryで変更後のユーザIDを設定する。
- 再度ワークフローデータベースに登録する。
上記以外の方法で変更した場合,そのユーザはWorkflowに接続できなくなります。この場合,上記の手順に従って登録し直してください。
- Active Directoryで所属サーバ名を変更してWorkflowサーバに登録すると,旧所属サーバのユーザは削除されます。
- ユーザの登録時に指定するユーザID(8バイト)は,対象ドメインの範囲でユニークでなければなりません。また,ユーザプリンシパル名(ユーザプロパティのアカウントタブのユーザログオン名)も必ず設定してください。ユーザIDやユーザプリンシパル名が重複している場合,ディレクトリサービスが起動されない,又はディレクトリサービスのキャッシュが再ローディングされません。この場合,警告メッセージ(KDWD0127-W)が出力されるとともに,ログファイルが出力されます(%WFdir%¥WFspool¥WFunique.log)。メッセージを参照し,対処してください。キャッシュローディングの処理がエラーとなった場合は,ユーザ登録されません。
- ユーザID,所属サーバ名及びユーザプリンシパル名が正常に設定されていないユーザは,ワークフローデータベースに登録されません。また,ワークフローデータベースに登録した後,これらのデータのどれかを削除した場合は,ワークフローデータベースに登録するときに,そのユーザはワークフローデータベースから削除されます。
(i) [Active Directoryユーザーとコンピュータ]ダイアログボックスの操作に関する注意事項
Windows 2000管理ツールの[Active Directoryユーザーとコンピュータ]のダイアログボックスでの操作に関する注意事項を次に示します。
- [操作]-[検索]コマンドで表示されるダイアログボックスの「詳細」タブ[フィールド]にはWorkflow用の属性は表示されません。したがって,Workflow用の属性で検索することはできません。
- [操作]-[検索]コマンドで検索した結果一覧のOU又はユーザを選択してプロパティを表示した場合は,「Hitachi Workflow組織」及び「Hitachi Workflowユーザ」タブは表示されません。
- [操作]-[移動]コマンドで,組織IDを指定しているOUを移動する場合は,次の点に注意してください。
- 移動先がOUであり,かつ,そのOUに組織IDを指定していない場合は,移動したOU及びOU下のOUは,Workflow組織でなくなります。また,これらOU下のユーザIDを指定しているユーザは,Workflowではデフォルト組織に属するユーザとなります。移動する前に移動先のOUに組織IDの指定があるかどうかを確認してください。
- 移動先が別ドメインで,かつ,そのドメインがWorkflowの対象ドメインでない場合,そのOU及びそのOU配下のOUとユーザはWorkflowから削除されます。
- [操作]-[移動]コマンドで,ユーザIDを指定しているユーザを移動する場合は,次の点に注意してください。
- 移動先がOUであり,かつ,そのOUに組織IDを指定していない場合は,そのユーザはWorkflowではデフォルト組織に属することになります。したがって,移動する前に,移動先のOUに組織IDの指定があるかどうかを確認してください。
- 移動先が別ドメインで,かつ,そのドメインがWorkflowの対象ドメインでない場合,そのユーザはWorkflowから削除されます。
- [表示]-[列の選択]に,Workflow用の属性は表示されません。
- [表示]-[フィルタオプション]コマンドの[カスタマイズ]ボタンで表示されるダイアログボックスの「カスタムの検索条件」タブの[フィールド]には,Workflow用の属性は表示されません。
(8) 環境設定の削除
Active Directoryに設定したWorkflowの環境設定の内容を削除する手順は,次のようになります。
- 属性値の削除
OU及びユーザのWorkflow属性値の設定を削除します。
- 役職定義の削除
役職登録ユティリティを使って,役職の定義を各ドメインで削除します。
- スキーマ定義の削除
Workflowを使用するドメインが一つもない場合は,スキーマ拡張ユティリティを使って,拡張したスキーマを削除(無効化)します。