3.8.3 案件の配布規則

ノードに送付された案件をトレーに入れることを配布といいます。ここでは,Workflowの案件の配布規則について説明します。

<この項の構成>
(1) 案件の配布先の指定とノードの属性
(2) 配布先の決定方法
(3) 上長への自動配布
(4) エラートレーへの配布
(5) 差し戻し・引き戻し時の配布先の決定方法

(1) 案件の配布先の指定とノードの属性

案件の配布先は,ビジネスプロセス定義上でノードの属性として指定します。案件の配布に関するノードの属性を表3-4に示します。

表3-4 ノードの属性

ウィンドウのタブ名称属性指定値
基本属性作業者「ロール」又は「ワークフローユーザを対象」
ロールの種類※1※5「業務」,「組織」,「階層化」のどれか,及びそのロール名
作業権限の設定※2※5「する」又は「しない」
(「する」の場合は,さらに,「作業権限の選択」を選択する)
配布方法自動配布の設定※3※4「する(ユーザトレーに配布)」又は
「しない(ロールトレーに配布)」
(「する」の場合は,ユーザへの配布方法として「ロール内ユーザにランダム配布」又は「条件に従ってユーザに配布」を設定する。「条件に従ってユーザに配布」では配布条件を指定できる。また,どちらの配布方法でも「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」が指定できる。)
作業者指定時のノードスキップ指定の許可※7「作業者指定時,ノードスキップ指定を許す」
(選択すると,案件を処理する場合の作業者指定時に,このノードをスキップする指定を許可する。)
再配布対象ノード一覧※1※4再配布の対象とするノードを選択
詳細属性代行の許可※5「する」又は「しない」
注※1
作業者の値が「ロール」の場合だけ指定できます。
注※2
作業者の値が「ロール」で,ロールの種類が「業務ロール」の場合は指定できません。
注※3
作業者の値が「ロール」で,ロールの種類が「業務ロール」の場合だけ指定できます。
注※4
自動配布に「する」を指定し,再配布対象ノードになっている場合は,再配布オプションの指定が優先されます。
注※5
02-10より前のバージョンのGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義の場合は,この属性は該当しません。
注※6
作業者が「ロール」でロールの種別が業務ロールの場合,又は作業者が「ワークフローユーザを対象」の場合に指定できます。
注※7
このノードに対して,別の作業者ノード上のユーザ処理リストで「作業者の指定」が定義されている必要があります。

次に,各属性の指定について説明します。

(a) 作業者の指定

ビジネスプロセス定義では,ノードにそのノードで処理する作業者を指定します。作業者には,ロール又はユーザを指定できます。作業者としてユーザを指定した場合,どのユーザに案件を配布するかは,ワーク実行時に作業者決定ノードで指定します。

ただし,バージョン02-10より前のGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義では,ビジネスプロセス定義上で配布先となるユーザを指定するため,ユーザの削除や変更があったときに,ビジネスプロセス定義の変更が必要となります。作業者としてロールを指定した場合,ロール内のユーザを変更するだけでビジネスプロセス定義の変更は必要ありません。旧バージョンのビジネスプロセス定義では,作業者にロールを指定することをお勧めします。

(b) 代行者と代行配布ユーザ

ビジネスプロセス定義では,作業者の他に,代行者及び代行配布ユーザを設定することができます。

代行者とは,正規の作業者が不在のときに,不在者のトレーから他の作業者(代わりに処理ができる権限を持つ人)のトレーに案件を振り替えることができるユーザです。代行者は,作業者の案件を振り替えることはできますが,作業者に代わって案件を処理することはできません。

代行配布ユーザとは,正規の作業者が不在のときに,案件が自動的に送付されるユーザです。作業者に代わって案件を処理できます。代行配布ユーザは,ビジネスプロセスごとに設定できます。

代行者に設定したユーザが,作業者に代わって案件を処理できるようにするには,あらかじめそのビジネスプロセスの代行配布ユーザとしても設定しておく必要があります。

(c) 自動配布

作業者にロールを指定した場合,そのノードに案件が送付されたときに,ロールトレーに配布するか,ロール内のユーザに自動的に配布するかを選択できます。ロール内のユーザに自動的に配布することを自動配布といいます。

次に,自動配布の指定方法と注意事項について説明します。

(d) ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定

自動配布の配布条件を指定しても,その条件に一致するユーザがいない場合があります。このような場合の案件の配布先を,「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」として,次の三つから選択して指定できます。

ロール内ユーザにランダム配布
配布条件の指定がなかったものとみなしてランダムに配布します。
(詳細については,表3-6を参照のこと)。
ロールトレーに配布
ロールトレーに配布します。
ノードスキップ
該当するノードをスキップして次のノードに送付します。
(e) 作業者指定時のノードスキップ指定

作業者指定時にノードスキップを指示すると,該当するノードをスキップできます。この機能は「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」でのノードスキップ機能と異なり,意図的にノードをスキップさせる場合に使用します。

(f) 案件の再配布

同じワークで,同一のロールに案件が2度以上配布されるビジネスプロセス定義では,そのロールで以前に処理したユーザに自動的に案件を配布できます。これを再配布といい,再配布されるユーザ(その案件を以前に処理したユーザ)を再配布ユーザといいます。ただし,以前に処理したユーザがそのロールに含まれない場合(代行配布ユーザが処理した場合など)は,そのユーザは再配布ユーザにはなりません。階層化ロールでは,配布先に指定されたロールと同じロールを対象に,再配布されます。

案件の再配布の概要を図3-4に示します。

図3-4 案件の再配布の概要

[図データ]

(2) 配布先の決定方法

案件の配布先は,ノードの属性とユーザの案件受付状態によって決まります。

(a) 作業者にユーザを指定したときの配布規則

作業者にユーザを指定したときの配布規則を表3-5に示します。

表3-5 作業者にユーザを指定したときの配布規則

作業者に指定したユーザのトレーの状態「代行の許可」の指定配布先
受付許可作業者に指定したユーザ
代行者配布「しない」作業者に指定したユーザ
代行者配布「する」
  1. 作業者に指定したユーザの代行配布ユーザ
  2. 1.の代行配布ユーザの指定がない場合,又は代行配布ユーザのトレーの状態が「受付許可」でない場合は,作業者に指定したユーザ
受付禁止作業者に指定したユーザ
(b) 作業者にロールを指定したときの配布規則

作業者にロールを指定したときの配布規則を示します。

(3) 上長への自動配布

Workflowでは,案件のケース属性の自動設定で上長IDを設定しておくと,上長に自動的に案件を配布できます。

上長IDとは,Groupmax Address Serverでの上長定義,又はActive Directoryのユーザのプロパティの「Hitachi Workflowユーザ」タブの[上長]グループボックスでの指定からユニークに決定されるユーザのユーザIDです。上長IDを指定したとき,Groupmax Address Server又はActive Directoryのユーザ情報に従って,次の値がケース属性に自動設定されます。

上長に案件を自動的に配布するには,作業机ノードの配布条件式に,そのケース属性,及びユーザIDが一致するユーザを選択する配布条件を設定します。

案件の上長への自動配布の概要を図3-5に示します。

図3-5 案件の上長への自動配布の概要

[図データ]

Groupmax Address Serverでの上長定義については,マニュアル「Groupmax Address/Mail Version 6 システム管理者ガイド 基本操作編」(Windows用)又は,マニュアル「Groupmax Address/Mail Version 7 システム管理者ガイド 基本操作編」(Windows用)を参照してください。

Active Directoryでの上長定義については,「2.4.6(7) ユーザの登録」を参照してください。

(4) エラートレーへの配布

Workflowでは,何かの原因でユーザトレー又はロールトレーに案件を配布できないとき,あらかじめ指定されたエラートレーに案件を配布します。エラートレーの所有者は,Groupmax Workflow Monitorを使用してエラーとなった原因を調査し,復帰可能な案件はビジネスプロセスに復帰させます。なお,エラートレーに配布された案件は,Groupmax Integrated DesktopのINBOXやGroupmax Formの案件一覧で表示し,案件を開いて内容を確認することはできますが,案件を復帰させたり遷移させたりすることはできません。エラートレーの所有者は,ビジネスプロセス定義をワークフローデータベースへ登録するときに指定します。

(5) 差し戻し・引き戻し時の配布先の決定方法

差し戻し及び引き戻し時の案件の配布先は,ノードの属性及び,ユーザの案件受付状態によって決まります。

(a) 差し戻し時の配布規則

差し戻し時の配布規則を表3-9に示します。

表3-9 差し戻し時の配布規則

差し戻し先ユーザのトレーの状態「代行の許可」の指定配布先
受付許可差し戻し先のユーザ
代行者配布「しない」差し戻し先のユーザ
代行者配布「する」
  1. 差し戻し先のユーザの代行配布ユーザ
  2. 1.の代行配布ユーザの指定がない場合,又は代行配布ユーザのトレーの状態が「受付許可」でない場合は,差し戻し先のユーザ
受付禁止差し戻し先のユーザ
注※
02-10より前のバージョンのGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義を使用している場合は,差し戻し先ユーザが,作業者に指定したロールに含まれている必要があります。作業者に指定したロールに含まれていない場合は,そのロールに配布されます。
(b) 引き戻し時の配布規則

引き戻したユーザのトレーの状態に関わりなく,そのユーザに配布されます。

02-10より前のバージョンのGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義を使用している場合は,引き戻したユーザが,作業者に指定したロールに含まれている必要があります。作業者に指定したロールに含まれていない場合は,そのロールに配布されます。