1.2.2 マルチサーバ構成
マルチサーバ構成の場合,複数のウイルスチェックサーバに「通常サーバ(通常のウイルスチェック処理で使用されるサーバ)」と「待機サーバ(障害が発生した場合にのみ使用されるサーバ)」の2種類の種別を与えることができます。ユーザは自システムの環境に応じてサーバ種別を選択しシステムを構築することができます。
- <この項の構成>
- (1) マルチサーバ構成の目的
- (2) 待機サーバの目的
(1) マルチサーバ構成の目的
マルチサーバ構成を組む目的は次の2点です。
- (a)負荷分散:複数のウイルスチェックサーバで並行して処理することにより,トータルスループットを向上させることができます。
- (b)高信頼性化:複数台のウイルスチェックサーバを設置することにより,1台のサーバで障害が発生した場合でも,ウイルスチェック処理(=Groupmaxアプリケーションの運用)を続行できます。
(2) 待機サーバの目的
次のような場合に,待機サーバを設定する構成を組んでください。
- 正常時には他の業務にサーバ資源(CPU,メモリなど)を使いたいが,通常サーバの異常時にはウイルスチェックの処理をさせ,Groupmaxアプリケーション(Mail Serverなど)の運用を停めないようにしたい。
以下にマルチサーバの構成例を示します。
- マルチサーバ構成1(待機サーバ無し)
図1-4 マルチサーバ構成1(待機サーバ無し)
![[図データ]](figure/zu010400.gif)
- 通常は,複数のウイルスチェックサーバ(Windows NT Serverシステム)に負荷を分散してウイルスチェックの処理を行ないます。
- ウイルスチェックサーバのいずれかで障害が発生しても,正常な残りのウイルスチェックサーバで,ウイルスチェックの処理を続行できます。
- 正常な残りのウイルスチェックサーバで運用している間に,障害が発生したサーバの回復処置を行ない再接続することにより,障害発生前の正常なシステム構成に回復することができます。
なお,Windows NT ServerシステムをMicrosoft Cluster Serverを使用したクラスタ構成にして高信頼性システムを構築することもできます。Windows NT Serverシステムのクラスタ構成については「5. Server - Scanのクラスタ環境での設定と運用」を参照願います。
- マルチサーバ構成2(待機サーバ有り)
図1-5 マルチサーバ構成2(待機サーバ有り)
![[図データ]](figure/zu010500.gif)
- 通常状態(正常運用時)では,待機サーバは使用されません。ウイルスチェック以外の業務にシステムを使用できます。但し,Scan - Connectorサービスは開始しておく必要があります。
- Server - Scanが,通常サーバでウイルスチェック処理を続行できないような障害が発生したことを検出した場合でも,正常な通常サーバが1台以上残っている場合は,「待機サーバ無しのマルチサーバ構成」の場合と同じように,残っている正常な通常サーバだけでウイルスチェック処理を続行します。
- すべての通常サーバで障害が発生した場合に,初めて待機サーバが使用されます。
Mail Serverがマルチサーバ構成になっている場合,HI-UX/WE2版Server - Scanも複数台必要になります。この時,Windows NT版Scan - Connectorを複数台用意した場合,n対mのシステム構成を組むこともできます。この構成の場合,シングルサーバ構成をn組構築するより,マルチサーバ構成の利点である信頼性に優れています。なお,1台のScan - Connectorは最大4台のHI-UX/WE2版Server - Scanと接続することができます。
図1-6 2対2のマルチサーバ構成
![[図データ]](figure/zu010600.gif)
- 通常状態(正常運用時)では,待機サーバは使用されません。このため,ウイルスチェックサーバは他サーバからの影響を受けずシングルサーバ構成と同様な状態でウイルスチェックの処理を行います。
- 1台のウイルスチェックサーバで障害が発生した場合,シングルサーバ構成の時,メールサーバの運用が停止されてしまいます。しかし,この構成では,待機サーバを使用してウイルスチェックサーバの処理を続行できます。
- 正常な残りのウイルスチェックサーバで運用している間に,障害が発生したサーバの回復処置を行ない再接続することにより,障害発生前の正常なシステム構成に回復することができます。