付録F.1 バックアップ
(1) バックアップ取得の注意事項
- 稼働中バックアップでは,Address ServerおよびMail Serverのデータの一部だけがバックアップされます。稼働中バックアップで取得されるデータを次に示します。
分類 | 取得されるデータ |
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個人 | 送受信メール,メール未既読情報,掲示板記事の未既読情報,代行受信者指定 |
組織 | 送受信メール,保留メール,メール未既読情報,掲示板記事の未既読情報,代行受信者指定 |
掲示板 | 掲示板の記事(バックアップデータの格納先が前回の稼働中バックアップの格納先と同じ場合は,変更があった記事だけ) |
稼働中バックアップでは,次のデータは取得されません。
分類 | 取得されないデータ |
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掲示板 | マスタ掲示板からレプリカ掲示板に転送中の記事 |
回覧 | 個人および組織の回覧メール,サーバ間の転送中の回覧メール |
- ハードディスクからハードディスクへのバックアップだけできます。したがって,バックアップしたいデータとほぼ同容量の空きディスク容量が必要です。バックアップデータを二次媒体に保存するには,データを二次媒体にコピーできるツールを使用してください。
- バックアップ取得コマンド(メール)によるバックアップ先は,次に示すそれぞれのディレクトリ以下に,独自のディレクトリおよびファイルとして展開されます。
- <MLgetBKコマンドで指定したディレクトリ>¥nxudir¥nxuuser
- <MLgetBKコマンドで指定したディレクトリ>¥nxudir¥nxubbs
- <MLgetBKコマンドで指定したディレクトリ>¥nxudir¥nxuorg
- <MLgetBKコマンドで指定したディレクトリ>¥mlbkupmb¥サーバドメイン名
- 稼働中バックアップ作業中は,システム管理者によるサーバ上または運転席上での全操作が実行できません(ただし,ログ情報の出力などプログラムが自動的に実行する機能は動作します)。実行するとエラーになります。
- 自動削除デーモンは停止します。稼働中バックアップ作業中は,自動削除機能は開始しません。稼働中バックアップ作業前に開始した自動削除機能は中断し,稼働中バックアップ作業後に再開します。
- 掲示板デーモンは停止します。稼働中バックアップ作業中は掲示板に登録した記事および削除した記事が反映されません。
- ユーザが電子アドレス帳の自分の電話番号等を変更する場合,サーバの種類と状態によって,次のような結果になります。
サーバの状態とユーザの行為 | 結果 |
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マスタ管理サーバの稼働中バックアップ作業中に,マスタ管理サーバをホームサーバとするユーザが電話番号を変更しようとしました。 | 変更できません。 |
マスタ管理サーバの稼働中バックアップ作業中に,アドレスサーバをホームサーバとするユーザが電話番号を変更しようとしました。 | 変更できません。 |
アドレスサーバの稼働中バックアップ作業中に,アドレスサーバをホームサーバとするユーザが電話番号を変更しようとしました。 | 変更できますが,マスタ管理サーバからアドレスサーバへのレプリケーションができないため反映されません。レプリケーションをするためには,稼働中バックアップ終了後に,登録情報の整合性の確保が必要です。 |
- バックアップ取得コマンド起動中は,次のような現象が発生します。
現象 | 理由 |
---|
ユーザがクライアントの操作をしたときに,バックアップ取得コマンドがそのユーザの情報を取得していると,情報の取得が完了するかまたはタイムアウトになるまで,ユーザの操作は終了しません。 | バックアップ用閉塞が掛かっているためです。 |
バックアップ取得コマンドがユーザのメール情報を取得しているときに,そのユーザあてのメールが到着すると,メールはメールボックスに格納されないで,エラーとして送信者に報告される場合があります。 | バックアップ用閉塞が掛かっていることが原因で,メールがメールボックスに格納されることができないで,タイムアウトが発生したためです。 |
(2) バックアップのタイミング
Mail Serverの情報は,次に示すタイミングの状態でバックアップされ,リストア時にそのまま復元されます。
- マスタ掲示板およびレプリカ掲示板の記事は,稼働中バックアップで取得した状態(バックアップ準備コマンド実行開始時点までは保証します)
- メールは,稼働中バックアップで取得した状態(ユーザごとで取得のタイミングが異なりますが,バックアップ準備コマンド実行開始時点までは保証します。これは,リストア時にバックアップ準備コマンド実行開始時点に戻るという意味ではありません。バックアップ準備コマンド実行開始時点からユーザのデータがバックアップされるまでに,ユーザが実行した操作は有効になります。例えば,次に示すように,ユーザのメールデータは,それぞれのユーザのメールデータのバックアップが終了した時点まで有効です。)
![[図データ]](figure/hf010010.gif)
(3) 稼働中バックアップの手順
稼働中バックアップの作業手順を次に示します。
ADpreBK,ADstrBK,MLgetBKおよびADstpBKの各コマンドについては,「付録F.6 コマンドリファレンス」を参照してください。
- バックアップするサーバ上で,バックアップ準備コマンド(ADpreBK)を実行します。
- バックアップするサーバ上で,バックアップ開始コマンド(ADstrBK)を実行します。
- バックアップするサーバ上で,バックアップ取得コマンド(メール用)(MLgetBK)を実行します。
稼働中バックアップが実行されます。
- バックアップするサーバ上で,バックアップ終了コマンド(ADstpBK)を実行します。
- 稼働中バックアップ作業中(手順1~4の間)にユーザ情報が変更されている可能性がありますので,運転席の名前データベースウィンドウで「整合性の確保」を実行するか,またはnxsrrxコマンドを-rオプションを付けて実行します。
- 必要であれば,バックアップデータを二次媒体にコピーします。
(4) バックアップ中にエラーが発生したときの対処
稼働中バックアップ作業時にエラーが発生した場合の作業手順を次に示します。
(a) バックアップ準備コマンドでエラーが発生した場合
- バックアップ終了コマンドを実行します。
- ログの内容を解析し,障害を取り除きます。
- 稼働中バックアップ作業を最初からやり直します。
(b) バックアップ開始コマンドでエラーが発生した場合
- バックアップ終了コマンドを実行します。
- ログの内容を解析し,障害を取り除きます。
- 稼働中バックアップ作業を最初からやり直します。
(c) バックアップ取得コマンド(メール)でエラーが発生した場合
- ログの内容を解析し,障害を取り除きます。
- バックアップ取得コマンド(メール)を再実行します。
- バックアップ終了コマンドを実行します。
(d) バックアップ終了コマンドでエラーが発生した場合
- ログの内容を解析し,障害を取り除きます。
- バックアップ終了コマンドを実行します。
(e) バックアップ準備コマンド開始時点からバックアップ終了コマンド完了時点までにマシンダウンなどで中断された場合
- バックアップ終了コマンドを実行します。
- 稼働中バックアップ作業を最初からやり直します。
- 注意
- ここで示すのは,稼働中バックアップの状態を戻す方法です。システムダウンによるそのほかの障害は,別に取り除いてください。
(5) ワーク領域の見積もり
ADpreBKコマンドの-tオプションで指定するディレクトリの容量を見積もる計算式を次に示します。
ワーク領域容量=α×β×1[キロバイト]
α:実行サーバにあるメールボックスの数
β:アドレスドメインにある掲示板(下位掲示板も含む)の数
(6) バックアップ先ディレクトリの見積もり
MLgetBKコマンドの-dオプションで指定するディレクトリの容量を見積もる計算式を次に示します。
- メール
必要ディレクトリ容量=S×M×α
S:1メール当たりの平均サイズ
M:1メールボックス当たりの平均送受信メール数
α:実行サーバにあるメールボックスの数
- 掲示板
必要ディレクトリ容量=B×Z+α×β×1[キロバイト]
B:該当するサーバにある掲示板の全記事数
Z:記事一つ当たりの平均サイズ
α:実行サーバにあるメールボックスの数
β:アドレスドメインにある掲示板(下位掲示板も含む)の数
(7) ログファイル出力先ディレクトリの見積もり
次に示す各コマンドの-mオプションで出力されるログサイズの見積もりを示します。
- ADpreBKコマンド
-mオプションで指定したファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で最大100[バイト]増加します。
- ADstrBKコマンド
-mオプションで指定したファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で最大100[バイト]増加します。
- MLgetBKコマンド
- メール
mlbkupmb.logファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で最大250[バイト]増加します。
メール用のログの必要容量を次に示します。
必要容量=α×5[キロバイト]+mlbkupmb.logファイルのサイズ
α:実行サーバにあるメールボックスの数
α×5[キロバイト]:mlbkupmb.logファイル以外のログの必要サイズ
- 掲示板
-mオプションで指定したファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で最大300[バイト]増加します。
- ADstpBKコマンド
-mオプションで指定したファイルは自然増加ファイルです。1回の実行に最大300[バイト]増加します。
- MLputBKコマンド
- メール
mlresmb.log,mlclrmb.logおよびmlclrmb.lstの各ファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で,3ファイル合計して最大α×400[バイト]増加します(αは実行サーバにあるメールボックスの数です)。
メール用のログの必要容量を次に示します。
必要容量=α×2[キロバイト]+三つの増加ファイル合計サイズ
α:実行サーバにあるメールボックスの数
α×2[キロバイト]:三つの増加ファイル以外のログの必要サイズ
- 掲示板
-mオプションで指定したファイルは自然増加ファイルです。1回の実行で最大300[バイト]増加します。
(8) 稼働中バックアップ作業時間の見積もり
稼働中バックアップを実行する場合の作業時間の見積もりを次に示します。
なお,ここに示す見積もり値はおおよその目安ですので,ユーザの運用によっては値が変わることがあります。
作業名 | 見積もり説明 |
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バックアップ準備コマンド(ADpreBK)の実行 | 5分以内です。 |
バックアップ開始コマンド(ADstrBK)の実行 | 1分以内です。 |
バックアップ取得コマンド(MLgetBK)の実行 | 実行時間=B×0.3[秒]+α×β×0.1[秒]+α×M×K (ただし,記事,メールの平均サイズは1キロバイト未満とします) α:実行サーバにあるメールボックスの数 β:アドレスドメインにある掲示板(下位掲示板も含む)の数 M:1メールボックス当たりの平均送受信メール数 B:該当するサーバにある掲示板の全記事数 K:gmpublicinfoファイルでMLGETBK_SAVE_OPTION=Nを設定しない場合は0.4[秒],設定した場合は0.5[秒] |
バックアップ終了コマンド(ADstpBK)の実行 | 実行時間=P×1[秒] P:稼働中バックアップ作業中の利用ユーザ数 |
「付録F.4 コマンド実行時間の見積もり」も参照してください。