5.6.1 アプリケーション情報の設定
(1) X.400の設定
X.400のデーモンを管理するかどうかを設定します。メールを使用(メールサーバに)する場合は,必ず設定してください。MTAが設定されていない場合は,この設定を完了することで自動的にMTAを設定します。
メール情報設定ダイアログボックスの「X400」を選択すると,X400運転管理サービス設定ダイアログボックスが表示されます。ダイアログボックスには,「X400運転管理サービスを設定します。」というメッセージが表示されます。
[了解]ボタンを選択すると,X400運転管理サービスを設定して,ダイアログボックスを閉じます。[取消]ボタンを選択すると,設定しないでダイアログボックスを閉じます。
(2) UAの設定
UAは,PCなどのクライアントからの要求を受けて,サーバ上でメールや回覧などを処理します。メールを使用(メールサーバに)する場合は必ず設定してください。なお,設定するメールサーバのサーバが停止した(アドレスサービスは起動している)状態でないとできません。
メール情報設定ダイアログボックスの「UA」を選択する,またはメールサーバの設定ダイアログボックスで[UA]ボタンを選択すると,UA詳細情報設定ダイアログボックスが表示されます。ここで[了解]ボタンを選択すると,UAを設定してダイアログボックスを閉じます。[取消]ボタンを選択すると,UAを設定しないでダイアログボックスを閉じます。
![[図データ]](figure/h4060040.gif)
このダイアログボックスでは,UAの設定と同時に自動削除デーモン動作タイミングの設定もできます。これは,メールボックスに蓄積されたメールを削除する機能を持つ,自動削除デーモンの動作する日時です。
- 注意
- メールデータによってファイルシステムが満杯にならないように,定期的に自動削除デーモンを動作させる運用をお勧めします。
自動削除の対象となるメールは,受信メールの場合,既読で日付の古いメールです。送信メールの場合,メールボックスの容量がいっぱいになると日付の古いものから削除されます。ただし,回覧メールと掲示板記事は自動削除の対象となりません。自動削除デーモンは,削除後容量と削除後蓄積数の両条件を満たすまでメールを削除します。
- 注意
- この機能でのメール1通当たりのサイズは,受信メール一覧に表示されるものとは違います。これは,1通当たり+5キロバイト程度の誤差が生じるからです。したがって,受信メール一覧でメールの合計サイズが,削除が開始される値に満たない場合でも削除されることがあります。なお,受信メール一覧にメールのサイズが表示されるのは,32ビットクライアントの03-10以降です。
- [追加]ボタン
- 自動削除デーモン動作タイミングを追加します。自動削除デーモン動作タイミングダイアログボックスが開きます。
- [修正]ボタン
- 登録されている自動削除デーモン動作タイミングを変更します。自動削除デーモン動作タイミングダイアログボックスが開きます。タイミングが変更される前に,「項番(××)の自動削除デーモン動作タイミングを更新してよろしいですか?」というメッセージが表示されます。
- [削除]ボタン
- 指定した自動削除デーモン動作タイミングを削除します。削除する前に,「項番(××)の自動削除デーモン動作タイミングを削除してよろしいですか?」というメッセージが表示されます。
- [了解]ボタン
- 自動削除デーモン動作タイミングに対する追加・修正・削除を登録して,ダイアログボックスを閉じます。
- [取消]ボタン
- 自動削除デーモン動作タイミングに対する追加・修正・削除を登録しないで,ダイアログボックスを閉じます。
UA詳細情報設定ダイアログボックスで[追加]ボタンまたは[修正]ボタンを選択すると,自動削除デーモン動作タイミングダイアログボックスが開きます。
![[図データ]](figure/h4060050.gif)
年,月,日,曜日,時,分,時間を指定します。指定するときは,次の点に注意してください。
- 年は4けたの西暦で入力します。
- 曜日は,次のように,英小文字で,曜日の先頭3文字を指定します。
月曜日 → mon,火曜日 → tue,水曜日 → wed,木曜日 → thu,金曜日 → fri,土曜日 → sat,日曜日 → sun
- 時は,24時間制(0~23)で指定します。
- 何年何月何日何時何分まで指定してある場合,その時刻にメールサーバが停止していると次のサーバ起動時に動作します。
- 時間は,指定した時刻からどれだけの時間デーモンを動作させるかを0~99の範囲で指定します。0を指定したときは,指定した時刻になっても自動削除デーモンは動作しません。削除処理が次の開始時刻まで進んだとき次の処理は動きません。
- 注意
- 02-10以前のバージョンで,時間を指定しない運用を実施していた場合,このバージョンに更新インストールすると,時間に0が指定されるため自動削除デーモンが動作しなくなります。自動削除デーモンを起動させる場合には,時間を設定してください。
- 削除するメールが多い場合,指定した時間内にすべての対象メールを削除できないことがあります。
年,月,日,曜日,時,分は,それぞれ組み合わせて指定できます。自動削除の組み合わせを表5-3に示します。
表5-3 自動削除の組み合わせ
年 | 月 | 日 | 曜日 | 時 | 分 | 時間 | 意味 |
---|
〇 | 〇 | 〇 | | 〇 | 〇 | 〇 | 指定された年月日の時刻に動作します。 |
| 〇 | 〇 | | 〇 | 〇 | 〇 | 指定された月日の時刻に動作します。 |
| | 〇 | | 〇 | 〇 | 〇 | 指定された日の時刻に動作します。 |
| | | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 指定された曜日の時刻に動作します。 |
| | | | 〇 | 〇 | 〇 | 毎日,指定された時刻に動作します。 |
(凡例)〇は指定する項目を示す。
運転席での自動削除デーモンタイミングの設定に対して,コマンドを使用してマスタ管理サーバおよび各メールサーバの保存期間を超えたメールを削除することができます。なお,保存期間を過ぎたメールに関しては,オプションの指定で既読メールだけでなく,未読メールも削除できます。削除対象となるのは送信メールと受信メールです。回覧メールと保留メールは対象になりません。
コマンドには,マスタ管理サーバ用とメールサーバ用の二つがあります。なお,各コマンドの詳細は「16.コマンドリファレンス」を参照してください。
- マスタ管理サーバ用
- マスタ管理サーバ用コマンドは,該当サーバ(省略時,全サーバ)の指定された保存期間を超えた送信メールおよび受信メールを削除します。
- 構文
- nxudmailM 保存期間 [-hホスト名] [-o[n]] {[-uユーザID ユーザID ...] | [-fファイル名]}
- メールサーバ用
- メールサーバ用コマンドは,メールサーバの指定された保存期間を超えた送信メールおよび受信メールを削除します。
- 構文
- nxudmail 保存期間 [-o[n]] {[-uユーザID ユーザID ...] | [-fファイル名]}
- 注意事項
- コマンドを実行するメールサーバは必ず起動されている必要があります。マスタ管理サーバからメールサーバのドメイン名またはホスト名を指定する場合も,該当するドメイン名またはホスト名のメールサーバが起動されている必要があります。
- コマンドを連続して実行する場合は,「メール削除が終了しました」というメッセージが表示されたことを確認した後で,コマンドを実行してください。ただし,Windows NT版ではサービスの「スタートアップ」で「デスクトップとの対話をサービスに許可」をチェックしないと,メッセージは表示されません。
- 自動削除デーモン処理実行中にコマンドを実行する場合,自動削除デーモン実行処理が優先され,コマンドは自動削除デーモン実行処理が完了するまで実行されません。そのため,コマンドの処理終了が遅くなります。自動削除デーモン処理とコマンドは併用して使用しないことをお勧めします。
- 自動削除デーモン動作タイミングを初めて設定して,その設定が年月日指定のとき,指定した日が現在の日より前の場合は,設定直後のサーバ起動時だけ自動削除デーモンが動作します。これは,指定したときは将来の日でも,時間が経過してから設定直後のメールサーバの起動をしたため,起動時刻が指定した日より新しくなってしまった場合も同様です。
- コマンドが終了しても,保存期間処理は完了していません。
- マスタ管理サーバコマンド(nxudmailM)は,マスタ管理サーバでだけ実行できます。
- 自動削除デーモン動作タイミングの設定が年月日指定のとき,指定した日が現在の日より前の場合は,設定直後のサーバ起動時に自動削除デーモンが動作します。
また曜日指定のときも,指定した曜日がサーバ起動曜日と同一曜日で,かつ時・分の指定値が現在の時刻より前のときは,サーバ起動時に自動削除デーモンが動作します。
- 時分指定以外ときは,時・分の指定値が現在の時刻より前のとき設定時間から現在の時間に自動削除デーモンが動作した実績はないときは,サーバ起動時に自動削除デーモンが動作します。
(3) リモートPCの登録
リモートPCとは,LANを介さないで,公衆回線でメールサーバと接続されるPCのことです。リモートPC接続によって,ネットワークに属していないPCから,電話回線などを通してMail Serverの機能を利用できます。
リモートPCでMail Serverを利用するための操作やリモートPC側での設定の詳細は,「付録C リモート機能の利用」を参照してください。
リモートPCの接続構成を図5-1に示します。
図5-1 リモートPCの接続構成
![[図データ]](figure/h4060060.gif)
リモートPC接続を利用するには,次の条件が前提となります。
- リモートPC
- RS232Cインタフェースを持つPC
- RS232Cストレートケーブル
- モデム
- 一般的なパソコン通信用のもので問題ありません。ATコマンドを認識できるものを使用してください。できれば,9,600bps以上で,MNP/V.42bisプロトコル対応のものを使用してください。
- 通信ソフト
- 一般的なパソコン通信用のもので問題ありません。XMODEMでのファイル送信機能,Xon/Xoffによるフロー制御機能を持つものを使用してください。Windowsターミナルも使用できます。
- メールサーバ
- RS232Cストレートケーブル
- モデム
- 一般的なパソコン通信用のもので問題ありません。ATコマンドを認識でき,自動着信機能,設定の不揮発メモリへの記憶機能があるものを使用してください。できれば,9,600bps以上で,MNP/V.42bisプロトコル対応のものを使用してください。
(a) リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスの説明
リモートPCを登録するには,リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスを使用します。このダイアログボックスは,メール情報設定ダイアログボックスのアプリケーション情報で「リモートPC」を選択すると表示されます。
![[図データ]](figure/h4060070.gif)
新しくリモートPCを登録する場合,リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスで[追加]ボタンを選択します。次のリモートPC詳細情報追加ダイアログボックスが表示されます。[取消]ボタンを選択すると,メール情報設定ダイアログボックスに戻ります。
![[図データ]](figure/h4060080.gif)
ダイアログボックス内の設定項目を表5-4に示します。
表5-4 リモートPC詳細情報の設定項目
設定項目 | 指定する値 |
---|
回線ID | 回線IDを指定します。 |
デバイス名 | RS232Cポートのデバイス名(COM2など)を指定します。 |
回線速度 | 回線速度を指定します。 |
漢字コード | 漢字コードを指定します。 |
キャラクタ長 | キャラクタ長をビット数で指定します。 |
パリティ | パリティの有無を指定します。 |
ストップビット | ストップビット長を選択します。 |
Xフロー制御 | Xフロー制御の有無を指定します。 |
エコーバック | エコーバックの有無を指定します。 |
改行コード(入力) | 入力時の改行コードを指定します。(PC → メールサーバ) |
改行コード(出力) | 出力時の改行コードを指定します。(メールサーバ → PC) |
タイムアウト | 回線のタイムアウト値を指定します。 |
回線IDは,回線を識別するためのIDで,回線状態を確認する場合に使用します。任意の名称を指定してください。その他の項目は,使用するモデムなどのデバイスの仕様に合わせて指定してください(リモートPC接続のための標準的な設定値については,「(b) リモートPCの設定」を参照してください)。
[了解]ボタンを選択すると,設定した情報を登録してダイアログボックスを閉じます。[取消]ボタンを選択すると,設定した情報を登録しないでダイアログボックスを閉じます。
すでに登録されているリモートPCの情報を修正する場合は,リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスで,設定を変更するリモートPCを指定して,[修正]ボタンを選択してください。指定したリモートPCの,リモートPC詳細情報追加ダイアログボックスが表示されます。
リモートPCを削除する場合は,リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスで削除するリモートPCを指定して,[削除]ボタンを選択します。
(b) リモートPCの設定
次に,メールサーバでリモートPCを動作させるための設定方法について説明します。なお,ここでは,メールサーバ側,リモートPC側ともに9,600bps MNP/V.42bis対応モデムを使用し,転送速度を9,600bpsに設定する場合について説明します。順番に次の作業をしてください。
- メールサーバのRS232Cの設定
- 運転席での設定
- メールサーバ側のモデムの設定
- PCの通信ソフトの設定
- PC側のモデムの設定
各作業について説明します。
- メールサーバのRS232Cの設定
コントロールパネルの「シリアルポートの設定」で,次のように設定します。
- 転送速度 - 9,600bps
- データ長 - 8ビット
- パリティビット - なし
- ストップビット - 1ビット
- 運転席での設定
リモートPC詳細情報追加ダイアログボックスで,リモートPCの設定をします。ダイアログボックスの操作については,「(a) リモートPC詳細情報設定ダイアログボックスの説明」を参照してください。各項目を次のように設定します。
- 回線ID - 001
- デバイス名 - COM1※
- 回線速度 - 9,600bps
- 漢字コード - SJIS
- キャラクタ長 - 8
- パリティ - 無し
- ストップビット - 1
- Xフロー制御 - 有り
- エコーバック - 有り
- 改行コード(入力) - CR
- 改行コード(出力) - CR
- タイムアウト - 300
注※ デバイス名は,使用するマシンおよびRS232Cによって多少異なります。
- メールサーバ側のモデムの設定
まず,メールサーバに接続するモデムを設定します。必ず次の三つの項目を設定してください。
- リザルトコード - 無し
- 自動応答 - 有り
- ダイアルトーン検出 - 無し
(内線の場合)
次に,ATコマンドを入力します。ATコマンドは,使用するモデムによって多少異なります。入力するATコマンドの例とその意味を次に示します。
AT&F
ATE0Q1X1&M5¥J0¥Q0%C1S0=1
AT&W
&F - 設定を初期状態に戻す
E0 - コマンドエコーなし
Q1 - リザルトコード表示なし
X1 - ダイアルトーン,ビジートーン検出なし
&M5 - V.42通信モード
¥J0 - スピードアジャストなし
¥Q0 - フロー制御なし
%C1 - エラーを訂正しデータを圧縮する
S0=1 - 1回の呼び出しで自動応答
&W - 設定を不揮発性メモリに書き込む
- PCの通信ソフトの設定
PCで使用する通信ソフトを次のように設定します。
- 転送速度 - 9,600bps
- データ長 - 8
- パリティビット - 無し
- ストップビット - 1ビット
- フロー制御 - Xon/Xoff
- シリアルポート - COM2(モデムを接続するポートによって異なる)
- ローカルエコー - 無し
- 改行コード(入力) - CR → CR(無変換)
- 改行コード(出力) - CR → CR(無変換)
- アップロード方式 - Xmodem/SUM,Xmodem/CRC
- ダウンロード方式 - Xmodem/SUM,Xmodem/CRC
- PC側のモデムの設定
通信ソフトからATコマンドを入力して,PCに接続するモデムの設定をします。ATコマンドは,使用するモデムによって多少異なります。
入力するコマンドの例とその意味を次に示します。
AT&F
ATE1V1Q0X1&M5¥J0¥Q0
AT&W
&F - 設定を初期状態に戻す
E1 - コマンドエコーあり
V1 - リザルトコードを英単語で表示
Q0 - リザルトコード表示あり
X1 - ダイアルトーン,ビジートーン検出なし
&M5 - V.42通信モード
¥J0 - スピードアジャストなし
¥Q0 - フロー制御なし
&W - 設定を不揮発性メモリに書き込む
- 注意
- PC側で文字化けなどが発生する場合は,モデム-モデム間の通信速度と,端末-モデム間の通信速度を一致させてください。
(4) リモートPC/TCPの登録
メール情報設定ダイアログボックスの「リモートPC/TCP」を選択すると,リモートPC/TCP詳細情報設定ダイアログボックスが表示されます。ダイアログボックスには,「リモートPC/TCPを設定します」というメッセージが表示されます。
[了解]ボタンを選択すると,メールサーバの設定ダイアログボックスで指定したサーバに「リモートPC/TCP」が設定されます。
ただし,Windows NT版のメールサーバには,「リモートPC/TCP」を設定できません。Windows NTサーバを指定していると,「TCP管理情報は設定できません」というメッセージが表示されます。メッセージを確認した後に設定を中止してください。UNIX版のメールサーバを指定していると,「リモートPC/TCP」を設定してダイアログボックスを閉じます。
[取消]ボタンを選択すると,設定しないでダイアログボックスを閉じます。