付録C.2 HP-UX(MC/ServiceGuard)での環境設定
(1) クラスタ環境で使用するための条件
- 両方のノード(マシン)にクラスタリング機能が使用できる環境が構築されている。
- Address Serverがクラスタ環境で正常に動作する環境が構築されている。
(2) 前提環境の作成
Address - Assist Serviceの環境設定を行う前に,MC/ServiceGuardが正常に動作する環境を作成する必要があります。
(a) 物理ボリューム,論理ボリューム,及びボリュームグループの設定
Address - Assist Serviceを格納するディスク環境を,最初に作成する必要があります。ディスク環境の作成方法についてはHP-UXのマニュアル等を参照してください。環境を作成した結果の例を表D-1及び図D-1に示します。
表C-1 ディスク構成
No. | 作成項目 | 値 |
---|
1 | ノード1から見たデータ用の共有ディスクの物理ボリューム | /dev/dsk/c3t0d0 |
2 | ノード2から見たデータ用の共有ディスクの物理ボリューム | /dev/dsk/c3t0d0 |
3 | Groupmaxパッケージ※のデータ用のボリューム・グループ | /dev/vg03 |
4 | Groupmaxパッケージ※のデータ用の論理ボリューム | /dev/vg03/lvol1 |
5 | Groupmaxパッケージ※のデータ用のマウントディレクトリ | /gmaxpkgd |
6 | Address-Assist Serviceデータファイル用シンボリックリンク先ディレクトリ | /gmaxpkgd/GAAssist |
※ Groupmaxパッケージとは,Groupmax製品群をMC/ServiceGuardのパッケージとした定義したもの。
シンボリックリンク作業を以下に示します。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用の論理ボリューム(/dev/vg03/lvol1)をマウントします。
mount /dev/vg03/lvol1 /gmaxpkgd
- ノード1でAddress - Assist Serviceデータファイル用シンボリックリンク先ディレクトリを作成します。
mkdir /gmaxpkgd/GAAssist
- ノード1でAddress-Assist Serviceデータファイル用リンクファイルを作成します。
ln -s /gmaxpkgd/GAAssist /var/opt/GAAssist
- ノード1でGroupmaxパッケージ用の論理ボリューム(/dev/vg03/lvol1)をアンマウントします。
cd /
umount /gmaxpkgd
- ノード2でGroupmaxパッケージ用の論理ボリューム(/dev/vg03/lvol1)をマウントします。
mount /dev/vg03/lvol1 /gmaxpkgd
- ノード2でAddress-Assist Serviceデータファイル用リンクファイルを作成します。
ln -s /gmaxpkgd/GAAssist /var/opt/GAAssist
- ノード2でGroupmaxパッケージ用の論理ボリューム(/dev/vg03/lvol1)をアンマウントします。
cd /
umount /gmaxpkgd
図C-1 ディスク構成例
![[図データ]](figure/zu0d0100.gif)
(b) パッケージIPアドレスの設定
各ノードのローカルIPアドレスとは別にGroupmaxパッケージ用のパッケージIPアドレスを設定する必要があります。すべてのノードがパッケージIPアドレスを解決できるように,DNS定義ファイル又はhostsファイルに設定してください。設定内容の例を表D-2に示します。
表C-2 ネットワーク構成
No. | 作成項目 | 値 |
---|
1 | ノード1のローカルIPアドレス | 172.1.1.1 |
2 | ノード1のドメイン名又はホスト名 | node1 |
3 | ノード2のローカルIPアドレス | 172.1.1.2 |
4 | ノード2のドメイン名又はホスト名 | node2 |
5 | Groupmaxパッケージ用のパッケージIPアドレス | 172.1.1.3 |
6 | Groupmaxパッケージ用のパッケージドメイン名又はホスト名 | gmaxhost |
(c) システム管理者の限定
MC/ServiceGuard連携を行う場合はシステム管理者をrootユーザにしてください。また,ノード1とノード2のrootユーザは,同じユーザIDでかつ同じグループIDを持つグループに所属させてください。
(3) クラスタ環境を新規に設定する
Address - Assist Serviceのインストールとセットアップの手順を次に示します。作業はrootユーザで行ってください。なお,説明は2ノード構成でノード1をプライマリノード(運用サーバ),ノード2をスタンバイノード(待機サーバ)と想定して記述しています。なお,Groupmax Address Serverはクラスタ環境に登録済みになっていることを前提としています。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを活性化します。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをマウントします。
- ノード2でAddress - Assist Serviceをインストールします。
- ノード2で/var/opt/GAAssistディレクトリの下にある全ディレクトリ及び全ファイルが共有ディスク上に存在するか確認してください。共有ディスク以外の所に存在した場合は,Address - Assist Service をアンインストールしてから,もう一度正しく行ってください。
- ノード2で/etc/servicesファイルにAddress - Assist Serviceが使用するポート番号を設定してください。
ノード2でASSIST_SETUPを実行してください。
ノード2で/var/opt/GAAssistディレクトリの下にある全ディレクトリ及び全ファイルを削除してください。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをアンマウントします。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを非活性化します。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを活性化します。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをマウントします。
- ノード1でAddress - Assist Serviceをインストールします。
ノード1で/var/opt/GAAssistディレクトリの下にある全ディレクトリ及び全ファイルが共有ディスク上に存在するか確認してください。共有ディスク以外の所に存在した場合は, Address - Assist Serviceをアンインストールしてから,もう一度正しく行ってください。
- ノード1で/etc/servicesファイルにAddress - Assist Serviceが使用するポート番号を設定してください。
- ノード1でASSIST_SETUPを実行してください。ノード2と同じ値を設定してください。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをアンマウントします。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを非活性化します。
- クラスタ定義ファイル,パッケージ定義ファイル,及びパッケージ制御スクリプトを作成します。この部分はマニュアル「HP-UX Groupmax Address Server Version 6 MC/ServiceGuard連携機能 4章」を参照願います。
- パッケージ制御スクリプトを,すべてのノードにコピーしたことを確認します。
- ノード1でクラスタを起動してください(cmrunclコマンドの実行)。
- ノード1でクラスタを停止してください(cmhaltclコマンドの実行)。
- パッケージ制御スクリプトを,すべてのノードにコピーしたことを確認します。
- ノード1でクラスタを起動してください(cmrunclコマンドの実行)。
(4) 既存の環境をクラスタ環境に設定する
既存の環境をクラスタ環境にする場合の手順を説明します。
システム管理者がrootユーザである既存の環境だけ設定することができます。システム管理者がrootユーザでない既存の環境は,新規でクラスタ環境を作成してから既存の環境のデータを移行してください。
(a) 環境構成
変更前と変更後の環境構成例を図D-2及び図D-3に示します。なお,網掛けはデータが実際にあるディレクトリで,網掛けでないものはリンクファイル又はマウントディレクトリです。
図C-2 変更前の環境構成
![[図データ]](figure/zu0d0200.gif)
図C-3 変更前の環境構成
![[図データ]](figure/zu0d0300.gif)
(b) 作業手順
/var/opt/GAAssistディレクトリ以下を共有ディスク上に移行することが主な作業です。作業はrootユーザで行ってください。Groupmax Address Severは既にクラスタ環境に設定されている物とします。なお,説明は2ノード構成を想定し,既存のマシンをノード1と設定して記述しています。
- ノード1で/var/opt/GAAssistディレクトリを/var/opt/GAAssist_tmpに変更してください。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを活性化します。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをマウントします。
- ノード2でAddress - Assist Serviceをインストールします。
- ノード2で/var/opt/GAAssistディレクトリの下にある全ディレクトリ及び全ファイルが共有ディスク上に存在するか確認してください。共有ディスク以外の所に存在した場合は,Address - Assist Serviceをアンインストールしてから,もう一度正しく行ってください。
- ノード2で/var/opt/GAAssistディレクトリの下にある全ディレクトリ及び全ファイルを削除してください。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをアンマウントします。
- ノード2でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを非活性化します。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループを活性化します。
- ノード1でGroupmaxパッケージ用のボリューム・グループをマウントします。
- ノード1で/var/opt/GAAssist_tmpディレクトリの内容を,共有ディスクの/var/opt/GAAssistディレクトリにコピーします。
- ノード1で/var/opt/GAAssist_tmpディレクトリを削除します。
(5) クラスタ環境をアンインストールする
Address - Assist Serviceのアンインストールの手順を次に示します。
- ノード1でAddress - Assist Serviceをアンインストールします。
- ノード2でAddress - Assist Serviceをインストールします。
- ノード2でAddress - Assist Serviceをアンインストールします。
- Address - Assist Serviceデータファイル用シンボリンク先ディレクトリを削除します。
(6) 環境設定時の注意事項
- 運用サーバにインストールするAddress - Assist Serviceと待機サーバにインストールするAddress - Assist Serviceは,必ずバージョン/レビジョンを同じにしてください。
- アドレスサーバの登録のサーバ一覧ダイアログボックスで指定したネットワーク名は,Address - Assist Viewerが組み込まれているサーバ及びすべてのAddress ServerでDNSの設定又はhostsファイルに定義して,アドレスサーバに登録したネットワーク名のIPアドレス解決ができる状態にしておいてください。
- クラスタ環境のドメイン名又はホスト名には,パッケージIPアドレスに対応したパッケージドメイン名又はホスト名を設定してください。
(7) 運用時の注意事項
- 登録情報の追加や変更中に,フェールオーバが発生すると,登録情報の登録,変更等に失敗する場合があります。Address Serverの運転席より整合性確保を行い,再度登録情報の追加や変更を行ってください。