9.2.3 経路解析の実行
図 9-4に示した流れに沿って,経路解析を実行していきます。
- <この項の構成>
- (1) 経路解析機能の起動
- (2) ビジネスプロセス定義の経路解析への読み込み
- (3) 経路解析のパラメタの設定
- (4) 経路解析の実行
- (5) 解析結果の分析
- (6) ビジネスプロセスの修正
- (7) 経路解析の再実行
- (8) 経路解析機能の終了
(1) 経路解析機能の起動
- 操 作
- 経路解析機能を起動します。
経路解析機能が起動し,メインウィンドウが開きます。
起動する方法は,「7.1 シミュレータの起動」を参照してください。
(2) ビジネスプロセス定義の経路解析への読み込み
例題「発注1」のビジネスプロセスを読み込みます。
- 操 作
- [ファイル]-[ビジネスプロセス読み込み]を選択します。
[ビジネスプロセス読み込み]ダイアログが開きます。
- [ビジネスプロセス読み込み]ダイアログで,ファイル名「発注1.bpd」を選択し,[開く]をクリックします。
例題「発注1」のビジネスプロセスが読み込まれ,メインウィンドウに戻ります。
これで,例題「発注1」のビジネスプロセスが読み込まれました。
(3) 経路解析のパラメタの設定
ビジネスプロセスが読み込まれた後,経路解析に必要な次のパラメタを設定します。
(a) ケース属性パラメタの設定
経路解析に使用するケース属性の候補値をノードごとに設定します。
- 操 作
- [パラメタ]-[候補値定義]を選択します。
[候補値定義]ダイアログが開きます。
- [候補値定義]ダイアログで,ノード名から「発注書類作成」を選択します。
ケース属性に「発注書類作成」で定義できるケース属性の一覧が表示されます。
- ケース属性の一覧から「発注金額欄」を選択します。
「発注金額欄」の属性候補に「150000」,「200000」,「300000」をテストデータとして設定します。例題「発注1」では,発注金額が200,000円以上の場合は,経理部長の承認が必要になることから,「発注金額欄」の属性候補値として200,000円前後の数値を設定します。
なお,ケース属性に属性候補が定義されていれば,属性候補に定義済みのデータが表示されます。
- [候補値定義]ダイアログで[OK]をクリックします。
ケース属性パラメタが設定され,[候補値定義]ダイアログが閉じます。
- 〈発展〉
- 属性候補の候補値
- 「ケース属性」に属性候補が定義されていれば,属性候補に定義済みのデータが表示されます。属性候補には,ケース属性名の型によって,次に示す候補値があり,それぞれ決められたフォーマットで定義します。
- 文字列候補値
- 1行に1候補値ずつ定義します。
- 整数候補値
- 1行に1候補値ずつ定義します。整数は符号+数値(10桁)で指定します。
- 日付候補値
- 1行に1候補値ずつ定義します。日付は「年」,「月」,「日」,「時」,「分」,「秒」を数値以外の文字で区切って指定します。ただし,ダイアログを閉じるか又はリストを選択し直すと,半角の「/」で区切って表示します。「時」,「分」,「秒」は,省略できます。省略した場合は,0が設定されます。定義できる範囲を,表 9-3に示します。
表9-3 日付候補値の定義範囲
日付 | 年 | 月 | 日 | 時 | 分 | 秒 |
---|
定義範囲 | 1970~2038 | 1~12 | 1~31 | 0~23 | 0~59 | 0~59 |
(b) 解析条件パラメタの設定
ケース又はケース属性の候補値を解析処理の対象にするかどうかを設定します。
- 操 作
- [パラメタ]-[候補値絞り込み]を選択します。
[候補値絞り込み]ダイアログが開きます。
- ノード名から「発注書類作成」を,ケース属性から「発注金額欄」を選択します。
絞り込みたいケース属性値が属性候補に表示されます。
- 属性候補から,「属性候補」を選択します。
経路解析時に使用する属性候補を設定します。
非選択状態の属性候補をダブルクリックするか,又は属性候補を選択して[選択]をクリックすると選択状態になります。選択状態の属性候補をダブルクリックするか,又は属性候補を選択して[非選択]をクリックすると非選択状態になります。属性候補が選択状態のとき選択欄にチェックマーク「〇」を表示します。なお,属性候補は一つ以上選択しなければなりません。
例題「発注1」では,「150000」,「200000」,「300000」の選択欄にチェックマーク「〇」が表示されているかどうかを確認してください。
- [候補値絞り込み]ダイアログの[OK]をクリックします。
解析条件パラメタが設定され,[候補値絞り込み]ダイアログが閉じます。
- 〈発展〉
- パラメタファイルへの保存
- 設定したパラメタは,パラメタファイルに保存できます。また,以前に保存したパラメタを使用したいときは,パラメタファイルを読み込んでください。詳細は,「9.3.2 解析パラメタの保存と再利用」を参照してください。
以上で経路解析に必要なすべてのパラメタを設定できました。次は,経路解析を実行します。
(4) 経路解析の実行
例題「発注1」の経路解析を実行します。
- 操 作
- [経路解析]-[解析]を選択します。
[解析]ダイアログが開きます。
- 解析ケースで「発注依頼書」を選択します。
経路解析するケースを設定します。
非選択状態のケース名をダブルクリックするか,ケース名を選択し[選択]をクリックすると選択状態になります。選択状態のケース名をダブルクリックするか,ケース名を選択し[非選択]をクリックすると非選択状態になります。ケースが選択状態のとき選択欄にチェックマーク「〇」を表示します。なお,ケースを一つ以上選択しなければ,解析は実行できません。
例題「発注1」では,チェックマーク「〇」が表示されているかどうかを確認してください。
- [解析機能]の待ち合い不正,及び可到達性を選択します。
待ち合い不正を選択すると,ケースが待合できない待合ノードを検出します。
可到達性を選択すると,ループ経路や分岐不正を検出します。
デフォルトは両方の機能を実行します。
なお,可到達性だけを選択して解析を実行することはできません。
- [出力メッセージ]の分岐不可を選択します。
[解析結果]ウィンドウに出力するエラーメッセージを絞り込む場合に指定します。デフォルトはすべてのエラーメッセージを出力します。
- [解析]ダイアログの[OK]をクリックします。
経路解析が実行されます。実行が終了すると,経路解析の実行結果を示す[解析結果]ウィンドウが開きます。
経路解析が終了したら,次は解析結果を分析します。
- 〈発展〉
- ここでは,例題で使用しなかった[解析]ダイアログのボタンを説明します。
- ループ上限
- ループ判定処理(ループ経路の正常・異常を判定する処理)を適用するループの回数を指定できます。指定できる範囲は0~99で,デフォルトは0です。
(5) 解析結果の分析
例題「発注1」の解析結果を分析し,運用する上でビジネスプロセスに問題がないかを検証します。
まず,ビジネスプロセス全体を見渡し,問題点があるかどうかをチェックしてみましょう。
経路解析機能では,処理中に発生した事象やエラーなどのメッセージを[検索結果]ウィンドウに表示しています。問題点を検証するときは,まず[検索結果]ウィンドウの内容を確認してみてください。
志村さんは,[検索結果]ウィンドウに「パス[3]:エラー [発注金額]:分岐先を決定できませんでした」というエラーメッセージを発見しました。そして,分岐条件の部分がおかしいと考え,再現表示を試みました。
解析結果の分析の手順を次に示します。
- 操 作
- [検索結果]ウィンドウのエラーメッセージ「パス[3]:エラー [発注金額]:分岐先を決定できませんでした」をダブルクリックします。
再現表示状態になります。再現表示状態のウィンドウを,図 9-5に示します。
図9-5 再現表示状態のウィンドウ
![[図データ]](figure/zu090005.gif)
アローが[発注金額]ノードの手前まで青で塗られました。
例題「発注1」では,ケースが通過した経路のアローの色が「青」になるように設定されています。したがって,ケースが通過したのは,[発注金額ノード]の手前までだということが分かります。ここで,実際に再現してケースの属性値の内容を確認してみましょう。
- [経路解析]-[再現]を選択します。
ケースがウィンドウ上を流れて,[発注金額]ノードまで移動して止まりま
す。
- [ウィンドウ]-[ケース属性値]を選択します。
[ケース属性値]ウィンドウが開きます。
例題「発注1」では,流れるケースとしてケース名「発注依頼書」があるので,[ケース属性値]ウィンドウには,「+発注依頼書」と表示されます。ケース名に+が付いているのはその下に情報があることを示しています。
- [ケース属性値]ウィンドウのケース名「発注依頼書」をダブルクリックします。
図 9-6に示すような[ケース属性値]ウィンドウが開きます。
図9-6 「発注依頼書」ダブルクリック後の[ケース属性値]ウィンドウ
![[図データ]](figure/zu090006.gif)
ここで,発注金額の分岐ノードにケースが到着したときのケース属性値は依頼金額が200,000円,提案元審査で承認,経理部長の承認はまだ受けていないという状態であることが分かります。このことから,発注金額が200,000円のとき不正分岐が発生することが判明しました。
そこで,志村さんはビジュアル定義(Workflow Definer)のワークフロー定義を起動して,定義内容を修正することにしました。
- [ファイル]-[終了]を選択します。
「パラメタは更新されています。保存しますか?」というメッセージが表示されます。
- [はい]をクリックします。
[パラメタ保存]ダイアログが開きます。
- [パラメタ保存]ダイアログのファイル名に「発注1.pap」と入力して,[保存]をクリックします。
更新されたパラメタを保存して,シミュレータを閉じます。
それでは,ワークフロー定義を使ってビジネスプロセスの修正をしましょう。
(6) ビジネスプロセスの修正
ワークフロー定義で「発注金額」の分岐条件を修正します。
- 操 作
- タスクバーの[スタート]をクリックして[プログラム]-[Groupmax Clients]をポイントし,[ワークフロー定義]を選択します。又は,[Groupmax Clients]グループウィンドウの[ワークフロー定義]のアイコンをダブルクリックします。
ワークフロー定義が起動されます。
- [ファイル]-[開く]を選択して,修正するビジネスプロセス(発注1.bpd)をクリックします。
例題「発注1.bpd」が表示されます。
ここで,経路解析でエラーを見付けたノードを探します。
- 分岐ノード「発注金額」をダブルクリックします。
[分岐]ダイアログが開きます。
- 分岐ラベル「20万以上」をクリックして,[編集]を選択します。
[分岐条件の編集]ダイアログが開きます。
ここで,分岐条件を「20万円以上」に設定するためには,分岐条件の条件式が「発注依頼書.@依頼金額欄>=200000」になっていなければなりません。しかし,実際は「発注依頼書.@依頼金額欄>200000」と設定されていました。つまり,=(イコール)が抜けていたのです。
- 分岐条件の条件式「発注依頼書.@依頼金額欄>200000」の「>」を「>=」に変更します。
これで,分岐条件の「20万円以上」は,正しく設定されました。
- [ビジネスプロセス]-[チェック]-[全てのノードを対象とする]を選択します。
チェックを実行すると,[アウトプット]ウィンドウが開きます。間違いがないかどうか確認してください。
[アウトプット]ウィンドウにエラーメッセージは出力されませんでした。これで,正しいビジネスプロセスに変更されたはずです。それでは,ワークフロー定義を終了して,もう一度シミュレータの経路解析機能を使ってみましょう。
(7) 経路解析の再実行
修正したビジネスプロセスを用いて,経路解析をもう一度実行します。
- 操 作
- [ファイル]-[ビジネスプロセス読み込み]を選択します。
[ビジネスプロセス読み込み]ダイアログが開きます。
- [ビジネスプロセス読み込み]ダイアログで,ファイル名「発注1.bpd」を選択し,[開く]をクリックします。
(6)で修正したビジネスプロセスを読み込みます。
- [ファイル]-[パラメタ読み込み]を選択します。
[パラメタ読み込み]ダイアログが開きます。
- [パラメタ読み込み]ダイアログで,ファイル名「発注1.pap」を選択し,[開く]をクリックします。
(5)で保存したパラメタファイルを読み込みます。
- (4)の手順で経路解析を再度実行します。
[検索結果]ウィンドウを確認してください。
[検索結果]ウィンドウにエラーメッセージは出力されませんでした。これで,経路の妥当性は検証できました。
(8) 経路解析機能の終了
例題「発注1」の経路解析は一通り終了したので,経路解析機能を終了します。ここでは,(5)で更新したパラメタを「発注1.pap」に上書き保存してください。
- [ファイル]-[終了]を選択します。
「パラメタは更新されています。保存しますか?」というメッセージが表示されます。
- メッセージダイアログの[はい]をクリックします。
[パラメタ保存]ダイアログが開きます。
- ファイル名一覧から「発注1.pap」を選択して,[保存]をクリックします。
ウィンドウが閉じます。これで,経路解析機能が終了します。
なお,経路解析が終了した段階の例題「発注1」は,10章で使用している例題「発注2」と同じ内容になっています。