9.2.1 例題「発注1」の内容

**会社の情報システム部に勤務している志村さんは,社内で積極的に導入を進めているワークフローを用いて,業務の電子化を図ろうと考えています。そこで,作業量が多い発注業務をワークフロー化することにしました。

ビジュアル定義(Workflow Definer)のワークフロー定義を用いて,発注書類の作成から発注までの作業をビジネスプロセスとして定義しました。そして,志村さんは,ワークフロー定義のチェック機能を用いて,出来上がったビジネスプロセスにエラーのないことを確認しました。

この発注業務のビジネスプロセスは,例題「発注1」として,ファイル「発注1.bpd」に保存されています。

志村さんが次の作業に入る前に,例題「発注1」はどのようなビジネスプロセスなのか見てみましょう。

例題「発注1」は,資材へ発注を依頼するビジネスプロセスです。ある部署で仕事に使用する材料が必要になったとき,担当者が発注依頼書を作成します。この発注依頼書は,審査・承認を受けて資材部に送られ,そこで材料が発注されます。この例題「発注1」のビジネスプロセスを図 9-3に示します。

図9-3 例題「発注1」のビジネスプロセス

[図データ]

例題「発注1」のビジネスプロセスについて説明します。

  1. 提案元担当者が発注依頼書を作成し,提案元課長及び提案元部長の審査・承認を受けます。材料の発注金額によって処理ルートが異なるため,「発注書類作成」ノードのユーザ処理リストで作業の種類として「属性値の直接入力」を選択しました。
  2. 発注の提案が却下された場合は,提案中止となります。発注の提案が承認された場合は,経理課長の審査を受けます。
  3. 発注金額が20万円以上の場合は,経理部長の承認を受けます。発注金額が20万円未満の場合は,そのまま資材に発注できるので,「経理課長審査」ノードの後ろに分岐ノードを設けました。
  4. 発注の提案が却下された場合は,発注中止となります。発注の提案が承認された場合は,資材発注係の確認を受けます。
  5. 資材発注係は発注依頼書を確認し,発注します。

志村さんはビジュアル定義のチェックが終了した例題「発注1」の経路解析を実行し,ワークフローが正常に運用されるかどうかをチェックします。「9.2.2 経路解析の流れ」では,この例題「発注1」の経路解析の流れを示します。「9.2.3 経路解析の実行」では,志村さんが経路解析を実行します。読者の皆さんも一緒に例題「発注1」の経路解析を実行してみましょう。