10.1 流量シミュレーション機能の概要

流量シミュレーション機能は,投入するケースの量に応じたビジネスプロセスの状況をシミュレーションする機能です。ケースを投入したときのユーザの稼動状況や,ケースの処理状況などを把握できます。流量シミュレーションを実行することによって,定義したビジネスプロセスが実際に運用できるかどうかを検証できます。

シミュレータは,ビジュアル定義(Workflow Definer)のワークフロー定義で定義したビジネスプロセス,及びユーザが設定するパラメタを基に流量シミュレーションを実行します。シミュレーションの実行後,ケースの滞留件数や処理件数などのシミュレーション結果を出力します。この流量シミュレーションの流れを図 10-1に示します。

図10-1 流量シミュレーションの流れ

[図データ]

図 10-1について説明します。

  1. シミュレーション情報ファイルの作成
    シミュレーション情報ファイルとは,流量シミュレーションに必要な情報を格納するファイルのことです。シミュレーションを実行するには,まずシミュレーション情報ファイルを作成します。
  2. ビジネスプロセス定義の流量シミュレーションへの読み込み
    流量シミュレーションを実行したいビジネスプロセスを読み込みます。
    ビジネスプロセスは,ワークフロー定義の定義チェック,及びシミュレータの経路解析を済ませておきます。
  3. 流量シミュレーションのパラメタの設定
    シミュレーションの実行に必要なパラメタを設定します。パラメタは,ファイルに保存し,再利用できます。パラメタには次のものがあります。
    • 組織パラメタ
    組織に対して設定するパラメタです。シミュレーションに使うユーザが属する組織の構造を設定します。
    • 役職パラメタ
    組織の中の役職のパラメタです。例えば部長,課長などを設定します。
    • ユーザパラメタ
    ユーザに対して設定するパラメタです。ユーザの稼動パターンやケースの取り出し方などを設定します。
    • ロールパラメタ
    ロールに対して設定するパラメタです。各ロールにロール種別,ロールに割り振られたユーザなどを設定します。
    • ソースノードパラメタ
    ソースノードに対して設定するパラメタです。ケースの作成に掛かる時間やケースの生成パターンを設定します。
    • 作業机ノードパラメタ
    作業机ノードに対して設定するパラメタです。ケースの処理に掛かる時間を設定します。
    • 分岐ノードパラメタ
    分岐ノードに対して設定するパラメタです。各分岐先にケースをどのくらいの割合で送付するのかを設定します。
  4. シミュレーション条件の設定
    シミュレーションの開始時刻や終了条件など,シミュレーションの実行に必要な条件を設定します。
  5. シミュレーションの実行
    ビジネスプロセス定義及びパラメタの情報を基にシミュレーションを実行します。シミュレーションの実行中,実行状況をグラフで見ることができます。
  6. シミュレーション結果の出力
    シミュレーション結果を基に,ケースの滞留件数や処理件数などを次の項目ごとに見ることができます。
    • ビジネスプロセス別
    • ノード別
    • ロール別
    • ユーザ別
    これらによって,例えば,「どのユーザにどのくらいの負荷が掛かっているのか」や「各ノードでは,どのくらい処理が進んでいるのか」といったことが分かります。
    シミュレーション結果の出力例を図 10-2に示します。

    図10-2 シミュレーション結果の出力例

    [図データ]

02-31より前のシミュレータで出力したロール情報ファイル(拡張子 *.FRI)も,02-31以降のシミュレータで読み込んで利用できます。

ただし,一度読み込んだロール情報はロール情報ファイル(*.FRI)には保存できません。02-31以降のロール情報ファイル(*.CSV)に保存してください。

ロール情報ファイル(*.FRI)の読み込み方法を次に示します。

操作
  1. [ファイル]-[ロール情報の読み込み]-[シミュレータ形式]を選択します。
  2. [ロール情報の読み込み]ダイアログボックスが表示されるので,ファイル名で「すべて」を,また,読み込みオプションで「02-31より前の形式」を選択し,読み込みたいファイルを指定します。