7.3.1 処理の種類
伝票発行業務では,伝票の起動・終了などの伝票単位の操作に応じた処理や,データの入力などの項目単位の操作に応じた処理を定義できます。
- <この項の構成>
- (1) 処理の種類と実行の流れ
- (2) 項目のイベント処理
(1) 処理の種類と実行の流れ
伝票発行業務では,業務を開始する,データを入力する,業務を終了するなどの実行のタイミング(イベント)に応じて,処理を定義できます。
定義できる処理を,次に示します。
- 開始処理
伝票発行業務を開始したときに1度だけ実行されます。
- 再開始処理
次に示す方法で作成したメール形式ファイルを,起動したときに実行されます。
- @メール又は@メール送信を実行して,伝票をメール送信する
- @メールを実行して伝票を保存する
- 伝票のフォーマットだけを保存したメール形式ファイルを実行して,ファイルを更新する
- @文書登録を実行して伝票を文書として登録する
これらの方法で作成したメール形式ファイルを実行して更新した場合も,次に起動すると,再開始処理が実行されます。グループ伝票の場合,メイン伝票がメール形式ファイルであれば,メイン伝票からメンバ伝票を呼び出したとき,メンバ伝票でも再開始処理が実行されます。伝票のメール送信及びメール形式ファイルの作成については「第3編 7.8 メールの利用」を,伝票の登録については「第3編 7.10(3) 伝票の登録,実行」を,それぞれ参照してください。
- 前処理
一つの伝票発行業務内で,伝票を起動するたびに,最初に実行されます。前処理では,変数の初期値の設定などの処理を定義します。
- 項目処理
項目に対して,あらかじめ定義した操作をしたときに実行されます。
- 共通処理
項目処理から呼び出したときに実行されます。共通処理では,複数の項目処理に共通する処理を定義します。個々の項目処理から,共通処理を呼び出して実行します。
- キー入力処理
あらかじめ指定したキーを押したときに実行されます。次に示すキーを指定できます。
[F1]~[F12],[PageUp],[PageDown],[Home],[End],[Esc],[Tab],[Shift]+[Tab]
- タイマ処理
設定した時間が経過するごとに実行されます。タイマ処理を実行するときは,@タイマ登録でタイマを設定します。設定したタイマは,@タイマ削除で解除します。
- 印刷前処理
伝票を印刷したとき(処理コマンドで印刷した場合を除く),印刷処理の前に実行されます。
- 後処理
一つの伝票発行業務内で,伝票を終了するたびに実行されます。伝票を起動した後,一つもデータを入力していない場合は,実行されません。
- 最終処理
伝票発行業務を終了するときに1度だけ実行されます。伝票の最後に後処理を定義してある場合,後処理の後に実行されます。
- 強制終了処理
伝票を強制終了したときに実行されます。
処理実行の流れを,図7-15に示します。
図7-15 処理実行の流れ
![[図データ]](figure/zu070301.gif)
(2) 項目のイベント処理
項目処理では,項目に対する操作(イベント)に応じて処理を定義できます。これを,項目のイベント処理といいます。
項目のイベント処理を,次に示します。
- クリック処理
項目をクリックしたときに実行されます。ボタン項目・捺印項目で,同じ項目に,クリック処理の他に項目処理が定義してある場合は,クリック処理を実行します。また,項目をダブルクリックしたときに,ダブルクリック処理がない場合は,クリック処理が定義されていればこれを実行します。なお,見出し・明細の入力フィールドにクリック処理・ダブルクリック処理のどちらも定義されているときにダブルクリックした場合は,クリック処理のみを実行します。
- ダブルクリック処理
項目をダブルクリックしたときに実行されます。
同じ項目に,ダブルクリック処理の他にクリック処理が定義してある場合は,ダブルクリックしてもクリック処理が実行されます。ただし,見出し・明細の入力フィールド以外では,クリック処理とダブルクリック処理のどちらも実行されます。同じ項目に,ダブルクリック処理の他に項目処理が定義してある場合は,ダブルクリック処理が実行されます。ただし,ボタン項目の場合は,項目処理も同時に実行します。同じ項目に,ダブルクリック処理の他にクリック処理・項目処理どちらも定義してある場合は,ダブルクリック処理の他にクリック処理が定義してある場合と同じです。
- データ入力前処理
項目にフォーカスが設定されたときに実行されます。
- データ入力後処理
項目のデータを確定したとき,項目処理(データ確定後処理)の前に実行されます。
- 項目処理(データ確定後処理)
見出し項目及び明細項目の場合,項目のデータを確定したとき,データ入力後処理の後に実行されます。
総括項目の場合,次に示すそれぞれのときに実行されます。
- 確認項目以外の見出し項目及び明細項目の処理を実行したとき
- 入力項目の処理を実行したとき
- ボタン項目の処理を実行したとき
- 明細行を編集したとき
- 伝票を終了したとき
- グループ伝票を呼び出したとき
ボタン項目の場合,ボタンをクリックまたはダブルクリックしたときに実行されます。
ただし,ボタン項目にクリック処理が定義されている場合は,項目処理は実行されません。
捺印項目の場合,項目をダブルクリックしたときに実行されます。ただし,捺印項目にダブルクリック処理がある場合は項目処理は実行されません。
- キー入力処理
あらかじめ指定したキーを押したときに実行されます。次に示すキーを指定できます。
[F1]~[F12],[PageUp],[PageDown],[Home],[End],[Esc],[Tab],[Shift]+[Tab]
- ドロップダウン処理
コンボボックスを表示したときに実行されます。
- 選択変更処理
コンボボックス内の候補を選択したときに実行されます。
項目のイベント処理の実行の流れを,図7-16に示します。
図7-16 項目のイベント処理の実行の流れ
![[図データ]](figure/zu070302.gif)
イベント処理を定義できる項目を,表7-1に示します。
表7-1 イベント処理を定義できる項目
イベント処理 | 定義できる項目 |
---|
クリック処理 | 見出し項目,明細項目,ボタン項目,捺印項目 |
ダブルクリック処理 | 見出し項目,明細項目,ボタン項目,捺印項目 |
データ入力前処理 | 見出し項目,明細項目 |
データ入力後処理 | 見出し項目,明細項目 |
項目処理 (データ確定後処理) | 見出し項目,明細項目,総括項目,ボタン項目,捺印項目,メモ項目,リッチテキスト項目 |
キー入力処理 | 見出し項目,明細項目,ボタン項目 |
ドロップダウン処理 | 見出し項目,明細項目 |
選択変更処理 | 見出し項目,明細項目 |
なお,キー操作に対する処理の優先順位は,次のとおりです。
- 項目に定義したキー入力処理
- 伝票に定義したキー入力処理
- システムで決められた処理
これらの処理が複数定義されていた場合は,優先順位が最も高い処理だけが実行されます。
また,捺印項目にダブルクリック処理を定義しなかった場合,ダブルクリックすると,捺印又は捺印の取り消しが実行されます。