3.3.1 ユーザの登録とワークフローの定義

3.2.2で設計したワークフローを,Groupmax Workflowを使って定義します。また,そのワークフローを使用するユーザ及びロールも定義します。

ユーザ及びロールの登録とワークフローの定義の順序を,図3-3に示します。

図3-3 ユーザ及びロールの登録とワークフローの定義の順序

[図データ]

ユーザ,ロール及びワークフローの定義には,Groupmax Workflow Definerを使用します。

なお,ユーザはGroupmax Workflow Definerで定義する前に,Groupmax Addressへの登録とGroupmax Workflow Serverでの設定が必要です。操作については,UNIXサーバをご使用の場合はマニュアル「Groupmax Workflow Version 6 システム管理者ガイド」を,Windowsサーバをご使用の場合はマニュアル「Groupmax Workflow Version 6 システム管理者ガイド」(Windows用)を参照してください。

また,これらの情報をGroupmax Workflow Definerで定義する前に,前提プログラム及びGroupmax Workflow Serverでの環境設定が必要です。

<この項の構成>
(1) ユーザの定義
(2) ロールの定義
(3) ワークフローの定義
(4) 配布の定義

(1) ユーザの定義

ワークフローに携わるユーザを定義します。ユーザは,利用権限の違いによって,次の4通りに分けられます。

(a) 一般ユーザ

業務の担当者に相当します。一般ユーザは,次の操作ができます。

(b) ビジネスプロセス管理者

業務を管理する管理者に相当します。ビジネスプロセス管理者は,次の操作ができます。

(c) ワークフロー運用管理者

業務の運用管理者に相当します。ビジネスプロセス管理者の業務に加えて次の操作ができます。

(d) ドメイン管理者

ドメイン管理者は,ドメイン内のGroupmax Workflowのすべての業務を管理する権限を持ちます。Groupmax Workflowのシステム導入後は,最初にドメイン管理者を決めます。ドメイン管理者は,ワークフロー運用管理者の業務に加えて次の操作ができます。

以上のような利用権限の相違を考慮して,ユーザを定義します。ユーザの定義には,ワークフローユーザ定義([図データ])を使用します。

(2) ロールの定義

ロールは,同じ仕事及び役割をもつユーザの集まりです。ロール定義とは,この仕事又は役割に,だれを割り当てるのかを登録するものです。

なお,ロールに登録するユーザは,あらかじめユーザ定義で登録しておく必要があります。

作成したロール定義は,Workflow管理サーバに登録した後,各Workflowサーバに配布されます。

ロールの定義には,ワークフローロール定義([図データ])を使用します。

(3) ワークフローの定義

次に,回覧経路であるビジネスプロセスを描画し,サーバに登録します。

ワークフローの定義には,ワークフロー定義([図データ])を使用します。

(a) ビジネスプロセスを定義する
  1. ビジネスプロセスの描画
    3.2.2で作成したフロー図を,Groupmax Workflow上に描画します。描画は,描画ツールからアイコンをウィンドウ上に貼り付け,アロー(→)で結びます。
    描画ツールとアイコンの貼り付けの例を,図3-4に示します。

    図3-4 描画ツールとアイコンの貼り付けの例

    [図データ]

  2. ノードの属性の定義
    描画したフロー図のすべてのノードに,属性を設定します。属性とは,そのノードで処理される内容や,回覧する文書の種類などを指します。
    完成したビジネスプロセス定義の例を,図3-5に示します。

    図3-5 ビジネスプロセス定義の完成例

    [図データ]

以下,図3-5のビジネスプロセスを例にして,定義する内容を説明します。

  1. ソースノードでの属性の定義
    ソースノード([図データ])では,主にノード名,作業者名,ケース名,ケースの属性などを定義します。
    ノード名
    ノード名は,作業の内容などを定義します。図3-5中の1のソースノードでは「発注書」と定義しています。
    作業者名
    ノードの作業者を指定します。作業者には,ロール又はユーザを選択できます。図3-5中の1のソースノードではロール「資材」と定義しています。
    ケース名
    回覧する文書を入れるためのケースの名前を定義します。図3-5中の1のソースノードでは「発注書」と定義しています。
    ケースの属性
    ケースには,ユーザが処理した結果を格納するための属性を設定します。図3-5の例では,一つのケースに対して次の二つの処理があります。
    ・発注書を確認した結果,見積書の要否を判断する処理
    ・予算を確認した結果,発注可否を判断する処理
    これらの処理結果を書き込むための欄を,属性名として設定すると考えてください。したがって,ここではケースに次の属性名を設定します。
    〈属性名〉
    書類確認結果(見積書の「要」又は「不要」を書き込む欄の設定)
    予算確認結果(発注の「可」又は「不可」を書き込む欄の設定)
  2. 作業机ノードでの属性の定義
    作業机ノード([図データ])の属性には,「だれが」「どのような処理をするか」を定義します。
    作業机ノードには,主にノード名,作業者,ユーザ処理リストなどの属性を定義します。
    ノード名
    作業する処理の名前を定義します。図3-5中の2の作業机ノードでは「書類確認」と定義しています。
    作業者
    ノードの作業者を指定します。作業者にはロール又はユーザを選択できます。図3-5中の2の作業机ノードではロール「資材受付」と定義しています。
    ユーザ処理リスト
    作業机ノードで,ユーザがどのような処理をするかを定義します。ユーザ処理リストは,処理した結果をどのように業務プログラムのGUIで選択するのかを定義します。
    例えば,図3-5中の2の作業机ノードでの作業「書類確認」は,見積書が必要かどうかを判断する作業です。このノードでの作業者が見積書が必要と判断したときは,GUI上で「見積要」を選択するようにします。同様に,見積書は不要と判断したときは,「見積不要」を選択するように定義します。
    さらに,ユーザ処理リストに「AP起動」を指定すると,作業机ノードからアプリケーションプログラムを起動できます。これによって,Groupmax Integrated Desktopの機能と,Groupmax Form,Notes又はユーザ作成の業務プログラムなどを連携できます。
  3. 分岐ノードでの属性の定義
    分岐ノード([図データ])は,前の処理ノードでの処理の結果によって,文書を「だれに送るか」をGroupmax Workflowが決定するためのノードです。
    したがって,分岐ノードでは,分岐する条件を設定します。図3-5中の3の分岐ノードでは,分岐の条件を「要」又は「不要」として,それぞれの条件を定義します。
    分岐の条件「要」は,前のノードで「見積要」と判断されていれば,文書を「見積書待合」に送付するように設定します。同様に,分岐の条件「不要」は,「見積不要」と判断されていれば「予算確認」に送付するように設定します。
    分岐条件「要」での定義は,次のようになります。
    • 「発注書」の
    • 属性名「書類確認結果」が
    • 属性値「見積要」と
    • 「等しい」ならば
    図3-5中の2の作業机ノードの作業者が「見積要」と指定すると,「発注書」の属性名「書類確認結果」に属性値「見積要」がセットされて分岐ノードに配布されます。Groupmax Workflowはこの「見積要」という属性値を確認して,「発注書」を次の処理先である「見積書待合」のノードに配布します。
    同様に「不要」のラベルの分岐条件も定義します。
  4. シンクノードでの属性の定義
    シンクノード([図データ])は,ビジネスプロセスの出口を示します。シンクノードでは,ノード名を設定します。

このように,フロー図のすべてのノードに属性を設定します。フロー図が完成したら,ビジネスプロセスとして属性を定義します。ここでは,サーバに登録するビジネスプロセス名やこのビジネスプロセス定義を管理するユーザを指定します。

(b) 定義内容をチェックする

これまで作成したビジネスプロセス定義に誤りがないかをGroupmax Workflowが確認します。ここではアイコン[図データ]を選択します。チェックツールは,各ノードごとの情報の過不足や,ノード間の接続の整合性を検証します。

(c) 実行形式ファイルを生成する

チェック完了後,ビジネスプロセス定義を実行形式ファイルに変換します。ここではアイコン[図データ]を選択します。このとき,ビジネスプロセス定義を保存するドライブやディレクトリ及びファイル名を指定します。

(d) サーバへ登録する

生成した実行形式ファイルや,ビジネスプロセスで使用するユーザプログラムは,Workflow管理サーバに登録します。サーバへの登録には,アイコン[図データ]を使用します。

(4) 配布の定義

Workflow管理サーバに登録したビジネスプロセス定義やユーザプログラムは,各Workflowサーバに配布して使用します。配布の指示には,配布管理([図データ])を使用します。また,配布した後は配布管理で配布状況を確認します。