Groupmax Form Version 6 概説
Groupmax Formを使った「売上管理業務」の作成例を示します。業務の作成手順や,画面・帳票の形式及び処理定義の作成方法の概要などを説明します。
- <この節の構成>
- (1) 業務の内容と業務作成の流れ
- (2) 伝票発行業務の作成
- (3) データベース更新業務の作成
- (4) 書式印刷業務の作成
- (5) 手順業務の作成
- (6) メニューウィンドウの作成
(1) 業務の内容と業務作成の流れ
業務の内容
「売上管理業務」では,「売上伝票」画面でデータを入力して,「売上マスタ」データベースを更新します。更新したデータベースの内容を,「売上帳票」として印刷します。
「売上管理業務」の内容を,図3-10に示します。
図3-10 「売上管理業務」の内容
業務作成の流れ
画面でデータを入力する処理は,伝票発行業務として作成します。データベースを更新する処理は,データベース更新業務として作成します。また,帳票を印刷する処理は,書式印刷業務として作成します。これらの業務を一つにまとめるために手順業務を作成して,メニューウィンドウに登録します。
「売上管理業務」作成の流れを,図3-11に示します。
図3-11 「売上管理業務」作成の流れ
「売上管理業務」では,データベースに格納された顧客や商品の情報を参照します。また,売上情報をデータベースに格納します。
「売上管理業務」で使うデータベースを,図3-12に示します。
図3-12 「売上管理業務」で使うデータベース
(2) 伝票発行業務の作成
伝票発行画面「売上伝票」でデータを入力するために,画面の形式及び処理定義を作成します。
「売上伝票」の形式を,図3-13に示します。
図3-13 「売上伝票」の形式
「売上伝票」では,データを簡単に入力するために,「顧客マスタ」データベースや「商品マスタ」データベースを参照します。また,商品の売上金額や合計金額を,自動的に計算します。
(a) 項目の種別
伝票発行画面を構成する主な項目は,見出し項目,明細項目,及び総括項目です。見出し項目は,顧客コードなど画面全体に関係するデータを表示する項目です。明細項目は,商品コードや売上金額などのデータを繰り返し表示する項目です。また,総括項目は,売上金額などの明細データの合計を表示する項目です。
「売上伝票」の各項目の種別を,次に示します。
- 顧客コード,顧客名
顧客のデータは,伝票ごとに一つしかないので,見出し項目として作成します。
- コード,区分,商品名,単価,数量,金額
商品のデータは,必要に応じて繰り返し入力するので,明細項目として作成します。
- 合計
明細項目である金額の合計を表示するので,総括項目として作成します。
(b) 処理の内容
「売上伝票」の各項目の使い方,及び定義する処理の内容を,次に示します。
- 顧客コード,顧客名
- 使い方
顧客コードを入力すると,自動的に顧客名が表示されます。
- 処理(「顧客コード」の項目処理)
入力された顧客コードに基づいて,「顧客マスタ」データベースを検索します。該当するレコードの顧客名を読み込みます。
- コード,区分,商品名,単価
- 使い方
ダイアログボックスに表示された商品データの一覧から,入力したいデータを選択します。
- 処理(「コード」の項目処理)
「コード」にカーソルが移動したときに,「商品マスタ」データベースのレコードをダイアログボックスに一覧表示します。データが選択されたら,コード・区分・商品名・単価を,それぞれの項目に読み込みます。
- 数量,金額,合計
- 使い方
数量を入力すると,金額が計算されて表示されます。また,金額の合計が計算されて,表示されます。
- 処理(「数量」の項目処理)
数量が入力されたとき,単価×数量を計算して,項目「金額」に代入します。
- 処理(「合計」の項目処理)
金額の合計を計算して,代入します。
- 終了ボタン(伝票発行画面のツールバーに標準で表示されます)
- 使い方
データ入力が終わったら,終了ボタンを押して,データベースを更新します。
- 処理(後処理)
更新するデータベースを指定して,データベース更新業務を呼び出します。
(3) データベース更新業務の作成
「売上伝票」で入力したデータに基づいて,「売上マスタ」データベースを更新するために,処理定義を作成します。
(a) 処理の内容
この業務では,伝票のデータと顧客コード・商品コードが一致するレコードを,「売上マスタ」データベースから検索します。該当するレコードの数量・金額に,伝票で入力した数量・金額を加算します。
データベース更新業務で定義する処理の内容を,図3-14に示します。
図3-14 データベース更新業務で定義する処理の内容
データベース更新業務の入力元・出力先データベースは,業務を実行するときに指定します。ここでは,伝票発行業務の処理コマンドで呼び出して実行するので,処理コマンドのパラメタで指定します。
(4) 書式印刷業務の作成
「売上マスタ」データベースの内容を「売上帳票」として印刷するために,帳票の形式及び処理定義を作成します。
「売上帳票」の形式を,図3-15に示します。
図3-15 「売上帳票」の形式
「売上帳票」に印刷する顧客名や商品名は,「売上マスタ」データベースにはありません。このため,「顧客マスタ」データベースや「商品マスタ」データベースを参照します。商品の数量や売上金額は,「売上マスタ」データベースのデータをそのまま印刷します。
また,商品区分の変わり目で金額の小計を,顧客コードの変わり目で金額の合計を,それぞれ印刷します。さらに,すべてのレコードを印刷した後で,金額の総計を印刷します。
(a) 項目の種別
帳票は,見出し部,明細部,及び総括部で構成されます。データを印刷する項目(処理項目)は,そのデータの内容に応じて,それぞれの部に作成します。
見出し部は,顧客名などの見出し情報を印刷する部です。明細部は,商品名や売上金額などのデータを繰り返し印刷する部です。また,総括部は,帳票の最後に,明細データの累計などを印刷する部です。
見出し部や総括部には,特定の条件が成立したときだけ印刷する条件印刷領域を作成できます。また,明細部には,明細ごとの小計を印刷する小計領域を作成できます。
「売上帳票」の各項目の種別を,次に示します。
- 顧客名
顧客名は,帳票1枚につき先頭に1回印刷するので,見出し部の処理項目として作成します。
- 商品名,数量,金額
商品のデータは,必要に応じて繰り返し印刷するので,明細部の処理項目(明細項目)として作成します。
- 小計,合計
明細項目(商品データ)の特定の範囲ごとに印刷するので,小計領域の処理項目として作成します。
- 総計
特定の条件(レコードの終了)が成立したときに印刷するので,条件印刷領域の処理項目として作成します。
(b) 処理の内容
「売上帳票」の各項目の印刷内容,及び定義する処理の内容を,次に示します。
- 顧客名
- 印刷内容
顧客名を印刷します。
- 処理
「売上マスタ」データベースの顧客コードに基づいて,「顧客マスタ」データベースを検索します。該当するレコードの顧客名を読み込みます。
- 商品名
- 印刷内容
商品名を印刷します。
- 処理
「売上マスタ」データベースの商品コードに基づいて,「商品マスタ」データベースを検索します。該当するレコードの商品名を読み込みます。
- 数量,金額
- 印刷内容
数量・金額を印刷します。
- 処理
「売上マスタ」データベースの数量・金額を,それぞれの項目に読み込みます。このように,印刷対象のデータベースのデータを,同じ名前の項目にそのまま印刷する場合は,定義を省略できます。
- 小計
- 印刷内容
商品区分の変わり目で,金額の小計を印刷します。
- 処理
金額の合計を計算して,代入します。また,印刷条件として,商品区分の変わり目に印刷すること(ブレーク条件)を指定します。
- 合計
- 印刷内容
顧客コードの変わり目で,金額の合計を印刷します。
- 処理
金額の合計を計算して,代入します。また,印刷条件として,顧客コードの変わり目に印刷すること(ブレーク条件)を指定します。
- 総計
- 印刷内容
帳票の最後に,すべての金額の合計を印刷します。
- 処理
金額の合計を計算して,代入します。また,印刷条件として,データベースのすべてのレコードを処理し終わったときに印刷することを指定します。
書式印刷業務でどのデータベースを印刷するかは,業務を実行するときに指定します。ここでは,手順業務の処理コマンドで呼び出して実行するので,処理コマンドのパラメタで指定します。
(5) 手順業務の作成
伝票発行業務・データベース更新業務・書式印刷業務をまとめて実行するために,処理定義を作成します。
(a) 処理の内容
この業務では,作成した伝票発行業務及び書式印刷業務を,呼び出して実行します。それぞれの業務は,処理コマンドで呼び出します。書式印刷業務を呼び出すときは,印刷対象のデータベースを,処理コマンドのパラメタで指定します。
手順業務で定義する処理の内容を,図3-16に示します。
図3-16 手順業務で定義する処理の内容
(6) メニューウィンドウの作成
手順業務を簡単に実行できるように,メニューウィンドウ「業務メニュー」を作成して,手順業務を登録します。
「業務メニュー」の形式を,図3-17に示します。
図3-17 「業務メニュー」の形式
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