Groupmax Agent Version 5 システム管理者ガイド

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7.2.7 メールリカバリ送信機能

Agent - Mail Serverがメールの自動転送や自動返信などのアクションを実行中に異常終了した場合,異常終了したアクションおよび実行待ちのアクションは実行されません。メールリカバリ送信機能は,Agent - Mail Serverのアクション処理時の異常終了などに伴い,まだ実行されないアクション(未実行アクション)を実行します。また,「活動(作業中)」のまま実行しないエージェント(異常終了アクション)の回復も行います。

<この項の構成>
(1) 本機能を利用するための設定
(2) Agent - Mail Server異常終了発生時の本機能実行準備
(3) 本機能の利用
(4) メッセージ,現象からの要因・対処
(5) 実行例

(1) 本機能を利用するための設定

本機能を利用するためには,次の設定をしておく必要があります。

システム環境変数の設定
次のシステム環境変数をAgent - Mail Serverのサービス(サービス名: MailAgent)を起動するマシンに設定しておく必要があります。
環境変数名
MA_AGENT_RECOVERY ON
設定がない,または値が“ON”以外の場合は,異常終了時に回復するための情報が出力されないため,本機能を利用できません。システム環境変数の設定を有効にするためには,マシンの再起動が必要です。

servicesファイルの設定
<Windowsのシステムフォルダ>\system32\drivers\etc下にあるservicesファイルに以下を追加します。
 
gmaxmarcvy    20084/tcp
 

例外リストの登録(Windowsファイアウォールを利用している場合)
Windowsファイアウォールを利用している場合は,例外リスト登録を行う必要があります。例外リストの登録は,Administrator権限を持つユーザでコマンドプロンプトを起動し,以下のnetshコマンドにより行います。
(netshコマンド)
[図データ]
Windows 2008またはWindows 2012をご使用の場合には「4.5.1 (2) ファイアウォールの設定についての制限事項」を参照してください。

(2) Agent - Mail Server異常終了発生時の本機能実行準備

(a) MAaction.queおよびMAcuract.datファイルのバックアップ

Agent - Mail Serverの実行中に異常終了が発生したとき,次のファイルを任意のフォルダにバックアップします。

ファイルのバックアップをする前にAgent - Mail Serverのサービスを起動しないでください。起動した場合,本機能によるリカバリーが行えなくなります。

(b) 前提サービスの異常状態の回復

本機能を利用する前に前提となる次のサービスが起動されていることを確認します。

なお,Agent - Mail Serverが起動していないことも確認します。特に,サーバ機の異常等で異常終了の状態となった場合には,上記の前提サービスが正常に起動されてから,本機能をお使いください。サービスが起動されていない場合には正しく実行されません。

(3) 本機能の利用

本機能は,メールリカバリ送信コマンドmarecvryにより実行できます。コマンドは,次のフォルダにインストールされます。

 
<Agent - Mail Serverインストールフォルダ>\MailAgent\Svbin

marecvryコマンドには,次の三つの機能があります

以下に,本コマンドの形式を示します。

形式
Marecvry  [/d  <フォルダ名>]  [/l]  [/e  [/t  {AR  |  AF  |  UP}]  [/r]

オプション
/d <フォルダ名>
バックアップしたMAaction.queおよびMAcuract.datのあるフォルダを指定します。240バイト以下で,ドライブ名からのフルパスで指定します。
本オプションを省略した場合は,コマンドを実行したフォルダを仮定します。
本オプションでは<Agent - Mail Serverインストールフォルダ>\MailAgent\SVqueを指定しないでください。marecvryコマンドは,実行時にMAaction.queおよびMAcuract.datの更新を行います。指定した場合,MailAgentサービスの動作は保証できません。
/l
アクション一覧の状態を表示します。なお,/l,/e,/rを指定しない場合は,/lを仮定します。
表示例を次に示します。
(状態の表示例)
[図データ]
それぞれの表示項目を次に示します。
# 説明
(1) アクションの状態を表す文字列
ERR-NOREC:異常終了したアクションの回復未実行,または回復失敗※1。エージェントの状態は活動(作業中)。
ERR-RECOV:異常終了したアクションの回復成功。エージェントの状態は活動(待機中)。
ACT-NOEXE:未実行アクションを実行していない,または実行失敗※2
ACT-EXEC:未実行アクションの実行が正常終了した。
ACT-ERROR:未実行アクションの実行が異常終了した。

※1
回復失敗とは回復を行おうとしたが,回復を実行する前の処理で異常となった場合,この状態となります。この場合,異常となった原因を回復したあとに,再度コマンドを実行することにより回復できます。

※2
未実行のアクションを実行しようとしたが,アクションを実行する前の処理で失敗した場合,この状態となります。この場合,異常となった原因を回復したあとに,再度コマンドを実行することにより実行できます。
(2) エージェントが登録されているAgentServerのホスト名
(3) エージェントキー
(4) エージェント種別
メールの自動転送:AF
メールの自動返信:AR
ユーザプログラムの自動起動:UP
(5) エージェント生成者のユーザID
(6) OR名ID
(7) メールID
(8) アクション実行のきっかけとなったメールの主題
/e
未実行のアクションをすべて実行します。種別の指定(/t)がある場合,対象とする種別のアクションだけ実行します。種別の指定は1個だけ指定できます。メールの自動転送の場合は「AF」,メールの自動返信の場合は「AR」,ユーザプログラムの自動起動の場合は「UP」を指定します。
実行結果は,実行したアクションごとに,実行前のアクションの状態,アクション実行時の活動ログ,および終了メッセージがコンソールに表示されます。ただし,エラーの詳細情報は,イベントログに表示します。なお,ここで出力される活動ログはAgent Serverの活動ログには出力されません。
(実行時の表示例)
[図データ]
/r
異常終了により「活動(作業中)」の状態になっているエージェントを「活動(待機中)」に変更します。実行結果は,アクション一覧の形式でコンソールに表示します。
(回復エージェントの表示例)
[図データ]
なお,アクション一覧の表示(/l)にてERR-NOREC(またはERR-RECOV)が表示されないまま「活動(作業中)」となっているエージェントは回復されません。

(4) メッセージ,現象からの要因・対処

項番 内容
1

現象
MAcuract.datがSVqueの下に作成されていない。

要因
環境変数MA_AGENT_RECOVERYにONが設定された状態でAgent - Mail Serverのサービスが起動されていません。

対処
システム環境変数MA_AGENT_RECOVERYにONが正しく設定されているかを確認してください。「(1) 本機能を利用するための設定」を参照してください。また,正常に設定されていることを確認するために,Agent - Mail Serverのサービス起動後に<Agent - Mail Serverインストールフォルダ>\MailAgent\SVque\MAcuract.datが作成されているか確認することを推奨します。
2

現象
コンソールにSyntax:marecvry [/l] [/e [/t {AR|AF|UP}] ] [/r] [/d <directory name>]が表示される。

要因
コマンドの引数を正しくありません。

対処
コマンドを正しく指定してください。
3

現象
コマンドを実行するとコンソールにAgent Server Error. error code = 77826 detail=AG_initがコンソールに出力されてコマンドが終了する。

要因
servicesファイルにgmaxmarcvyのエントリーがないか,正しく記述されていません。

対処
servicesにgmaxmarcvyのエントリーが正しく記述されているか確認してください。詳細は,「(1) 本機能を利用するための設定」を参照してください。
4

現象
一覧を表示,未実行アクションの実行や異常終了アクションの回復を実行したとき,状態の一覧表示のエージェント種別,およびエージェント生成者のユーザIDが?????の表示となる。

要因
このエラーが発生するのは,次の場合が考えられます。
  • Agent Serverのサービスが起動されていない。
  • Agent ServerとAgent - Mail Serverとの間で通信できない状態となっている。
  • エージェントが削除されている。

対処
Agent Serverのサービスが起動されていない場合は起動してください。また,pingコマンドなどでネットワーク通信が正常に行われているか,該当するエージェントが存在するかご確認ください。
5

現象
コマンドを実行すると「Service of Agent - Mail Server is active」が表示される。

要因
Agent - Mail Serverのサービスが起動された状態となっています。

対処
コマンド実行前にAgent - Mail Serverのサービスが終了していることを確認してください。
6

現象
未実行アクション実行時,File(xxxx\\MAcuract.dat)not found.がコンソールに出力される。

要因
MAcuract.datが /dで指定されたフォルダまたは,カレントフォルダにありません。

対処
MAcuract.datを /dで指定したフォルダにコピーしてください。
7

現象
異常終了アクション回復時,File(xxxx\\MAaction.que)not found.がコンソールに出力される。

要因
MAaction.que が /dで指定されたフォルダまたは,カレントフォルダにありません。

対処
MAaction.que を /dで指定したフォルダにコピーしてください。
8

現象
未実行アクションの実行時,活動ログの内容に,「エージェント定義データの取得に失敗しました。メールの転送/返信/ユーザプログラム起動処理を中断します。」が出力される。

要因
Agent Serverのサービスが起動されていません。

対処
Agent Serverのサービスの起動を確認後,再度,未実行アクションの実行を行ってください。
9

現象
異常終了アクションの回復時,コンソールに「Agent Server error. error code = 15 detail = AG_actlogwrite」が表示され処理が終了する。

要因
Agent Serverのサービスが起動されていません。

対処
Agent Serverのサービスの起動を確認後,再度,異常終了アクションの回復を行ってください。
10

現象
アクション一覧の表示,または異常終了アクションの回復時,コンソールに「Mail Server error. error code = xx detail = Mail not found」が表示される。

要因
対象となったメールまたはユーザがすでにMail Serverから削除されています。

対処
該当のユーザ/メールがMail Serverに存在しているかを確認してください。該当のユーザ/メールがMail Serverに存在していない場合,メールの主題は表示されません。また,異常終了アクションの回復には影響しません。
11

現象
未実行アクションの実行時,コンソールに「Mail Server error. error code = xx detail = Mail not found」が表示されていた。

要因
対象となったメールまたはユーザがすでにMail Serverから削除されています。

対処
該当のユーザ/メールがMail Serverに存在しているかを確認してください。該当のユーザ/メールがMail Serverに存在していない場合,未実行アクションの実行はできません。なお,ユーザが存在しないために本エラーが出力された場合に,コンソールに表示される活動ログに「エージェントを作成したユーザまたはメールアドレスの情報が見つかりません。エージェントを停止します」と表示されますが該当のエージェントは停止しません。その場合には該当のエージェントを削除することを推奨します。

注意事項
  • このコマンドを実行できるのは,Administrator権限を持つユーザだけです。
  • このコマンドは,Agent Server,Agent - Mail Function,およびMail Serverのサービスが起動している場合に実行できます。
  • このコマンドは,Agent - Mail Serverのサービスが停止している場合に実行できます。
  • Agent - Mail Serverの異常終了発生後,このコマンドを実行する前にAgent - Mail Serverのサービスを起動した場合には,異常終了したアクションおよび実行待ちのアクションは実行されません。このコマンドでバックアップしたファイルを指定することにより実行待ちアクションを実行できます。
  • /l(アクション一覧の表示),/e(未実行アクションの実行),/r(異常終了アクションの回復)は,同時に指定できます。同時に指定した場合は,オプションの指定順序に関係なく/l(アクション一覧の表示),/e(未実行アクションの実行),/r(異常終了アクションの回復)の順に処理します。
  • 異常終了したエージェントの生成者に新着メールがあると,/r(異常終了アクションの回復)を実行後に「PPサーバ未起動」のエラーになることがあります。
  • システム環境変数の設定を有効にするためには,マシンの再起動が必要です。
  • /lにてERR-NOREC(またはERR-RECOV)が表示されないまま「活動(作業中)」となっているエージェントは,異常終了アクションの回復では回復できません。そのような場合には,該当のエージェントを一度停止状態にし,再度,活動状態にしてください。
  • marecvryコマンドは実行時にMAaction.queおよびMAcuract.datファイルの更新を行います。つきましては,marecvryコマンドで使用するMAaction.queおよびMAcuract.datファイルに,<Agent - Mail Serverインストールフォルダ>\MailAgent\SVqueのファイルを指定しないでください。また,カレントフォルダを<Agent - Mail Serverインストールフォルダ>\MailAgent\SVqueにしてmarecvryコマンドの実行を行わないでください。指定して実行した場合,MailAgentサービスの動作は保証しません。

(5) 実行例

marecvryコマンドの実行例を以下に示します。

(a)〜(d):格納先(/d)の指定を省略(バックアップしたファイルのあるフォルダで実行)

(e)〜(g):格納先(/d)を指定した実行例

(a) アクション一覧表示

[図データ]

(b) 未実行アクションの実行(メールの自動返信だけ)

[図データ]

(c) アクション一覧表示(メールの自動返信実行後)

[図データ]

(d) 異常終了アクションの回復

[図データ]

(e) アクション一覧表示(バックアップがD:\MailAgent_Backup\1219にある場合)

[図データ]

(f) 未実行アクションの実行(バックアップがD:\MailAgent_Backup\1219にある場合)

[図データ]

(g) アクション一覧表示(バックアップがD:\MailAgent_Backup\1219にある場合)

[図データ]