SEWB+ クライアントサーバシステム開発ガイド
SEWB+の導入検討から,実際にSEWB+を利用してのシステム開発までに行う作業について説明します。次に作業フローを示します。
この作業フローでは,製品の機能理解から評価・改善,開発要員の教育まで,SEWB+の導入検討からシステム開発までに行う作業の流れを示します。なお,フロー中の番号は以降の説明と対応しています。
- <この項の構成>
- (1) SEWB+の機能と開発手順の理解
- (2) 前提稼働環境の確認
- (3) 上流から下流までの開発の流れの検討
- (4) 試行環境の整備
- (5) 標準化の実施
- (6) 基本処理形態の検討
- (7) プロトタイプの開発
- (8) 評価・改善
- (9) 開発要員の教育
- (10) その他
(1) SEWB+の機能と開発手順の理解
最初に,SEWB+全体の機能を把握してください。システムを開発する上で,SEWB+がサポートしている作業とそのための機能を理解するには,このマニュアルを一読されることをお勧めします。
(2) 前提稼働環境の確認
SEWB+の開発対象APを次に示します。詳細については「1.2 対象システム」を参照してください。
- TPモニタ利用又はCORBA利用を前提としたC/SシステムのサーバAP
- サーバ上で動作するバッチ処理AP
(3) 上流から下流までの開発の流れの検討
(a) ツールの検討
SEWB+は,システム開発の下流工程に当たるプログラム設計から作成までを支援するコンポーネント型CASEツールです。システムを構築する場合は,下流工程に加え,分析などの上流工程からテストまでを総合的に支援するツール群を整備する必要があります。開発するプロジェクトの特性に応じて,SEWB+が支援していない部分に対し,必要な支援ツールを検討してください。必要であれば,補完ツールの開発も検討してください。なお,ツールの検討の際には,「1.3 開発の流れ」「2. システムの設計」及び「3. DB設計・データ項目の取り込み」を参照してください。
(b) 辞書の検討
SEWB+を利用する場合,辞書利用がポイントになります。辞書にはシステムで使用するデータ項目と,データ項目特有の処理を部品化した業務ルールを登録できます。このため,辞書利用によってデータ同士の整合性や,生産性及び保守性を向上できます。ただし,システムに必要なデータ項目や業務ルールを抽出するには,ある程度の準備期間が必要です。辞書の詳細については「2. システムの設計」及び「4. 辞書の作成」を参照してください。
(4) 試行環境の整備
プロトタイプを稼働させたり,標準化をしたりするための試行環境を整備します。なお,開発環境と実行環境は異なる場合があります。試行環境整備の担当には,双方の環境を知っている人を割り当ててください。
(5) 標準化の実施
システム開発に係る標準化をしてください。主な標準化事項を次に示します。
- 開発手順書の作成
- SEWB+を利用したシステム開発の全体の流れと,各工程で必要な作業項目,利用するツール,及び作成するワークシートなどを決定します。開発人員が多い場合は,手順書を作成して徹底させてください。
- 各種基準書の作成
- 代表的な基準を次に示します。
- ネーミングルール(命名ルール)
- 辞書作成・辞書の運用ルール
- 画面・帳票設計基準
- 入出力設計基準
- 仕様変更管理基準
- 開発環境運用基準
- テンプレートのカスタマイズ
- プロトタイプ開発時に,SEWB+が提供しているテンプレートにカスタマイズが必要な場合,機能要件に合わせてカスタマイズします。
- データ項目辞書の整備
- プロトタイプで使用するデータ項目を,データ項目辞書へ登録します。
- 部品の整備
- SEWB+が提供している部品(DBアクセス用やファイルアクセス用)以外の部品が必要な場合は,部品を開発します。
(6) 基本処理形態の検討
基本的な処理方式を検討してください。処理方式を基に,SEWB+が提供しているテンプレートをカスタマイズしたり部品化を検討したりします。主な検討事項を次に示します。
- C/Sシステムでの,サーバ側のファンクション層とデータ層の切り分け
- 同期制御の方式
- セキュリティの認証方式
- 業務共通処理の抽出
(7) プロトタイプの開発
代表的な業務を抽出して,プロトタイプを開発し,次の評価をしてください。
- 実現性:実際に動くかどうかを確認する
- 性能:性能を見積もる際の基準値の根拠にする
- 生産性
- 開発手順・運用手順の妥当性
- 更に機械化して改善できる作業はないか検討する
(8) 評価・改善
開発手順,標準化の内容及びSEWB+が提供しているテンプレートや部品を総合的に評価して,不具合や更に効率化をする事項があれば,その手段を決めます。
(9) 開発要員の教育
開発担当者向けの教育を実施します。この教育では,一般的なツールの機能説明ではなく,プロジェクト基準や手順を中心にします。プロトタイプ評価で開発したプロトタイプシステムなど,実際のプログラムを利用して,ツールを使いながら教育します。
(10) その他
各作業と平行して,プロジェクトの体制を決めます。大規模なシステム開発の場合,標準化やプロジェクト管理体制を強化することが重要です。次に体制例を示します。
All Rights Reserved, Copyright (C) 1999, 2001, Hitachi, Ltd.