1.1.1 SEWB+の特長

<この項の構成>
(1) 高品質・高生産性を実現する-辞書・テンプレート
(2) 大規模開発に対応する-リポジトリ

(1) 高品質・高生産性を実現する-辞書・テンプレート

業務APの特性として「扱うデータの種類,及び量が膨大である」「プログラムの中には構造が似ているものが多い」ということが挙げられます。これらは業務APの特性であると同時に,作成するAPの品質を一律に高いレベルに保ったり,レベルを保ったまま生産性を上げたりすることの妨げでもありました。この問題に対処するため,SEWB+では辞書,テンプレート,部品などを用意しています。

(a) 辞書機能でDOA(データ中心アプローチ)手法に基づくデータの管理・運用を実現

SEWB+では「扱うデータの種類,及び量が膨大である」という問題に対処するために,辞書機能を利用します。辞書には,システム開発で扱うデータ項目を登録するデータ項目辞書と,データ項目に着目して,データ項目特有の処理を部品として登録する業務ルール辞書があります。SEWB+では,これらのデータ項目や業務ルールをDOA手法に従って定義・管理し,運用するので,データ同士の整合性が保証されます。

また,SEWB+の辞書機能は,ERwin/ERX,SILVERRUN,Data-INTIMATEなどのデータ分析ツールやDB設計ツールが生成したデータを取り込めます。

なお,辞書機能はシステム開発の資源を統合的に管理するリポジトリの一部です。

(b) テンプレート・部品で高品質維持と高生産を実現

SEWB+では「プログラムの中には構造が似ているものが多い」というむだを解消するために,テンプレート・部品を利用します。業務APで頻出するプログラム構造は定型・抽象化してテンプレートとして整理します。入出力など頻出する処理は部品として整理します。これらを業務ルールと組み合わせることで,高品質で保守性の高いAPを,効率良く作成できます。

(2) 大規模開発に対応する-リポジトリ

開発規模が大きくなると,開発途中の仕様変更の変更波及を解析したり,必要なドキュメントを作成したりするだけでもかなりの工数が掛かります。また,グループ作業をするため,開発資源のバージョン管理やアクセス権の問題が生じます。

(a) 仕様変更などへの柔軟な対応を実現

SEWB+では「仕様変更や環境変化への柔軟な対応」を実現させて「大規模開発」に対応できるよう,リポジトリ機能を利用します。リポジトリはシステムを開発するすべての資源を集中管理します。また,資源間の関連情報も管理しているので,開発途中での仕様変更や保守局面での変更波及の解析に有効です。

(b) 分散開発作業を支援

SEWB+のリポジトリ機能では,チェックイン・チェックアウト機能や,アクセス権の設定機能を利用して,複数のグループでの共同作業を支援します。また,エクスポート・インポート機能によって,他のリポジトリに資源を配布することもできます。

(c) ドキュメント作成支援

保守・納入ドキュメントを作成する工数を削減するため,SEWB+では,定義内容からのドキュメント印刷機能をサポートしています。