7.2.2 サーバAP作成の流れ

CORBAを使用したC/SシステムのサーバAPを作成する場合,システム化機能の詳細設計をします。システム化機能詳細設計では,処理フロー設計,内部インタフェース設計及びシステム化処理内容設計が必要です。ただし,これらを設計する場合,業務機能設計で業務処理概要図が作成されていること,及びユーザインタフェース基本設計で画面遷移図が作成されていることを確認し,作成されていない場合は,該当する工程に戻って作成してください。次にCORBAを使用したC/SシステムのサーバAP作成の流れを示します。

図7-6  CORBAを使用したサーバAP作成の作業の流れ

[図データ]

<この項の構成>
(1) 処理フロー設計
(2) 内部インタフェース設計
(3) システム化処理内容設計

(1) 処理フロー設計

処理フロー設計では,ユーザインタフェース基本設計で作成した画面遷移図やシステム処理方式設計で検討した結果から,業務フロー図を作成します。業務フロー図では,システムに要求されている入出力情報と,入出力情報を必要とするイベントを明確にします。また,処理フロー設計では論理設計図を作成したり,どのテンプレートを適用するかを検討したりします。

(a) 業務フロー図

業務フロー図では業務をモデル化して,システムに要求されている機能と,その機能で利用する画面や帳票などの入出力情報,及びそれらを使用する業務イベントを抽出します。業務フロー図を作成するときは,次の点を考慮してください。

次に業務フロー図を示します。なお,業務フロー図で抽出した情報は,業務イベントや実体ごとに更に詳しく定義します。

図7-7  業務フロー図

[図データ]

(b) 論理設計図の作成

業務フロー図で明確にしたシステム化したい業務と入出力情報を,オブジェクトとイベントによって表現します。サーバAPをオブジェクトで実装するには,オブジェクトのオペレーション(振る舞い)を定義して,インタフェースを設計する必要があります。SEWB+/CS-DESIGNでは,論理設計図を作成することでオブジェクト間の関連,役割,状態及びオブジェクトの振る舞いを定義できます。論理設計図を次に示します。

図7-8  論理設計図

[図データ]

(c) IDLの生成

SEWB+/CS-DESIGNで設計した論理設計図のオブジェクト定義から,CORBAのIDLを生成します。IDLは,クライアントが呼び出すオブジェクトのインタフェース(属性,型及びオペレーション)を定義する言語です。

[図データ]

(d) テンプレート適用の検討

新規のプログラムを作成する場合は,SEWB+で提供されているテンプレートや共通部品設計で作成したプロジェクト用のテンプレートを適用した方が,品質及び保守性に優れたプログラムを作成できます。

テンプレートを適用すると,プログラムの本数は増えますが,1プログラムの規模は小さくなります。なお,論理設計図上のオブジェクトに適応するテンプレートがない場合は,必要に応じてオブジェクトを分割するか,共通部品設計に戻ってテンプレートをカスタマイズするかを検討してください。なお,SEWB+/CONSTRUCTIONでは,CORBA用のテンプレートファイルのサンプルを提供しています。

(2) 内部インタフェース設計

プログラム中で利用する内部テーブルなどの各仕様を作成します。SEWB+/CONSTRUCTIONを利用して仕様書を作成する場合,既にリポジトリに登録されているドキュメントをチェックアウトして,設定します。

ファイルを新規作成する場合,必ずリポジトリから新規作成して作業します。このようにすると,後工程でプログラム定義から参照するファイル定義ドキュメントに対し,ツールが関連を自動的に設定します。作業環境に新規に作成したドキュメントをプログラム定義と一緒にリポジトリに登録しても,関連は自動的には設定されません。

(a) 最上位結合項目の確認

設定するレコード形式は,既に最上位結合項目としてデータ項目辞書に登録されていなければなりません。必要な最上位結合項目がない場合は,データ項目管理者やシステム設計者に依頼して作成してください。なお,最上位結合項目の構成は,SEWB+/RECORD EDITORを使用しても編集できます。

(b) ファイル仕様の作成

ファイルのレコード形式を設定します。なお,ファイルはER図のエンティティと対応します。そのため,ファイルに設定するレコード定義(最上位結合項目)は,ER図のエンティティを取り込んで作成された結合項目から選ばれます。

(c) テーブル仕様の作成

主記憶上の内部テーブルについて,仕様書を作成します。テーブル仕様には具体的な構成情報を含む結合項目を設定します。結合項目は,データ項目辞書から選ばれます。

ファイル仕様からのレコード記述項原文の生成
コンパイル時にソースプログラム中のレコード記述項をCOPY文で取り込む場合は,SEWB+/CONSTRUCTIONのデータ定義機能でレコードソース(レコード記述項原文)を生成しておきます。なお,テンプレート中に「@@expand文」を記述すると,展開時,レコード情報を自動的に取り込んでレコードソースを生成します。そのため,データ定義機能でレコードソースを生成しておく必要はありません。

(d) ファイル仕様からのレコードソースの生成

コンパイル時にレコードソースをCOPY文で取り込む場合は,SEWB+/CONSTRUCTIONのデータ定義機能でレコードソースを生成しておきます。なお,テンプレート中に「@@expand文」を記述すると,展開時,レコード情報を自動的に取り込んでレコードソースを生成します。そのため,データ定義機能でレコードソースを生成しておく必要はありません。

(3) システム化処理内容設計

業務フロー図に記述した,業務イベントなどについて,入出力と処理の概要をまとめ,プログラム処理概要図を作成します。システム化処理内容設計書は,プログラム仕様設計で使用されます。

図7-9  プログラム処理概要図

[図データ]