付録H 用語解説
- APPGALLERY Enterprise
- 様々な部品(再利用性を高めるために機能単位に分割されたソフトウェア)を組み合わせてアプリケーションを開発する,アプリケーション開発環境です。画面上で部品を組み合わせていくビジュアルプログラミングを採用しています。特に,GUI(グラフィカル ユーザ インタフェース)を中心としたプログラムの作成に適しています。大規模なC/Sシステムの開発では,クライアント側のプログラムの開発に適しています。
- APPGALLERY Enterpriseでは,SEWB+/REPOSITORYと連携して,大規模システムのアプリケーション開発を支援する機能を備えています。
- CORBA (Common Object Request Broker Architecture)
- OMG(オブジェクト マネジメント グループ)が標準化を進めている,ネットワークに分散したオブジェクト間のメッセージング機構の規約です。ORB(オブジェクト リクエスト ブローカ。クライアントとサーバに分散されたアプリケーション間の通信を制御し,要求を伝える役割を持つ分散オブジェクト実行環境)の標準仕様がまとめられています。
- CSV形式ファイル
- CSV(Comma Separated Values)形式でデータが記述されたファイルのことです。CSV形式とは,表計算プログラムやリレーショナルデータベースでデータを扱えるテキストデータの形式をいいます。データの区切りをコンマ(,),レコードの区切りを改行で表します。レコードは可変長形式になります。辞書情報を一括して登録したり出力したりするには,CSV形式ファイルを使います。
- GUI属性
- GUI属性は,APPGALLERY Enterpriseを使ったアプリケーション開発で使用する部品(再利用性を高めるために機能単位に分割されたソフトウェア)のプロパティに関する設定です。APPGALLERY Enterpriseでリポジトリの資源を利用したアプリケーション開発をする場合に,GUI属性のマッピング情報とプロパティセットの設定情報が参照されます。
- IDL (Interface Definition Language)
- ORB(分散オブジェクト実行環境)を利用するC/Sシステムで,オブジェクト(個々のアプリケーションのこと)のインタフェースを定義する言語です。SEWB+では,CORBAのIDLをサポートしています。したがって,SEWB+/CS-DESIGN及びSEWB+/REPOSITORYを連携して作成したIDLは,CORBAをサポートしたORB(日立製品では,TPBrokerがあります)が提供するIDLコンパイラでコンパイルし,利用することができます。
- SEWB+/CONSTRUCTION
- C/Sシステムのアプリケーション開発を支援するツールです。特に,TPモニタやジョブ運用管理ツールなどを利用する大規模なC/Sシステム上で動作するサーバ側のプログラム及びバッチシステムの開発に適しています。テンプレート,データ定義,プログラム定義の機能を使い,C/Sシステムのサーバプログラムと,クライアントプログラムに必要なサーバプログラムとのリンクのインタフェースを効率良く作成できます。
- SEWB+/CS-DESIGN
- ORB(分散オブジェクト実行環境)を利用したC/Sシステムのアプリケーション(オブジェクト)の論理構成設計を支援するツールです。特に,3層-画面入出力などのユーザインタフェースを制御する「プレゼンテーション層」,中核的な業務処理を実行する「ファンクション層」,データベースの管理及びデータベースへのアクセスを実行する「データ層」-で構成されるC/Sシステムの設計に適しています。SEWB+/CS-DESIGNでは,C/Sシステムのアプリケーション分割や関連の定義を,論理設計図を描きながらビジュアルに設計できます。論理設計図には,各アプリケーションの外部インタフェースとして,アプリケーションの操作関数,属性や例外を定義できます。また,定義したインタフェースの情報からは,CORBAのIDLを生成できます。なお,インタフェース情報の定義では,SEWB+/REPOSITORYの辞書で一元管理されたデータ項目を利用するため,複数の開発者によるチーム開発にも適しています。
- SEWB+/EUR Professional Edition
- SEWB+/REPOSITORYと連携し,レポートの設計から印刷までを支援するツールです。SEWB+/EUR Professional Editionでは,ワープロを操作する感覚で,自由な形式のレポートを効率良く設計できます。設計時には,SEWB+/REPOSITORYの辞書のレコード定義(最上位結合項目)から,レポートの設計に必要なフィールド定義情報を自動的に生成して利用できます。また,設計したレポートの印刷にはプログラミングの必要がなく,レポート出力アプリケーションを容易に作成できます。
- SEWB+/RECORD EDITOR
- SEWB+/REPOSITORYと連携して,辞書の結合項目とレコード定義(最上位結合項目)の登録を支援するツールです。レコードレイアウト図でデータ項目の並び順やけた数などを確認しながらビジュアルにレコード構造を設計し,データ項目辞書に登録できます。
- SEWB+/REPORT MANAGER
- SEWB+で定義した情報の印刷を支援するツールです。SEWB+/CONSTRUCTIONと連携してプログラム処理概要図を,SEWB+/REPOSITORYと連携してインパクトレポートやデータ項目又は業務ルールの定義内容などを印刷できます。これらのドキュメントを定義内容の確認や,保守作業に役立てられます。
- SEWB+ツール
- PCを使った分散開発環境で,システム開発を支援するSEWB+シリーズのツールの総称です。
- アクセス権
- リポジトリに格納された辞書やドキュメントを,参照したり更新したりする権利のことです。所有者(辞書やドキュメントを作成するユーザ),グループ,及びすべてのユーザに対して,それぞれのアクセス権を設定できます。
- インポート
- エクスポートで取り出したシステム開発情報をリポジトリに取り込むことをいいます。各サーバに分散された資源を収集する場合などに利用します。
- エクスポート
- リポジトリのシステム開発情報を,ハードディスク上のファイル,フロッピーディスク,又はカートリッジ磁気テープなどの外部媒体に取り出すことをいいます。ルートドキュメントフォルダ単位,又は辞書フォルダ単位でエクスポートできます。各サーバへ資源を配布又は複製する場合に利用します。
- 関連
- データ項目とドキュメント,データ項目と業務ルールというように,資源間に付けられた依存関係をいいます。関連は,リポジトリブラウザを使用して任意に設定できる「ユーザ関連」と,SEWB+ツールによって自動的に設定される「関連」に大別されます。リポジトリブラウザの関連ブラウザ機能を使用すると,関連付けられた資源をブラウジングでき,変更波及の解析などに利用できます。
- キーワード
- 業務ルールに使用するデータ項目の仮の名称です。ルールスクリプトでは,データ項目の名称をキーワードで記述します。このキーワードは,SEWB+/CONSTRUCTIONでソースプログラム中にルールスクリプトが展開されたときに,データ項目の言語別の名前に置換されます。
- 業務ルール
- データ項目に着目して,データ項目特有の処理を部品化したものです。SEWB+/CONSTRUCTIONを使ったアプリケーション開発で共通に利用することを目的としています。業務ルールは必ずデータ項目と関連付けて登録し,業務ルール辞書で管理します。
- (データ項目と関連付けない特殊な業務ルールもあります。用語「同一項目用業務ルール」の説明を参照してください)
- 実際にソースプログラムに展開する処理の内容は,ルールスクリプトに記述します。業務ルールに適した処理としては,データ項目の値や形式の妥当性をチェックする処理,形式を変換する処理,編集処理,複数のデータ項目で成り立つ計算処理などが挙げられます。
- 業務ルール辞書
- アプリケーション開発で共有する業務ルールを格納する辞書です。
- グループ
- 複数のユーザ(SEWB+/REPOSITORYの利用者)をまとめる単位です。ユーザが所属するグループは,システム管理者によってグループ登録ファイルに登録されます。辞書及びオブジェクトに対するアクセス権は,グループ単位で設定することもできます。
- 継承
- データ項目間で共通の性質を持つデータ項目(上位データ項目)から,その定義情報を複数のデータ項目(下位データ項目)に引き継ぐことです。継承によって,データ項目を階層化できます。上位データ項目の定義情報を変更すれば,継承関係にある下位データ項目の定義情報も同時に変更されます。
- 結合項目
- 複数のデータ項目が連結して定義されるデータ項目です。COBOLの集団項目,C言語の構造体の考え方に相当します。リポジトリブラウザの結合項目ブラウザ機能を使用すると,データ項目を結合関係に基づいてブラウジングしたり編集したりできます。
- 構成項目
- 結合項目の構成要素となるデータ項目です。
- 辞書
- リポジトリで管理されるデータ項目辞書及び業務ルール辞書の総称です。一つのリポジトリ上に,管理内容や用途に応じて複数の辞書を作成できます。
- 辞書フォルダ
- リポジトリで辞書を管理する最上位の単位です。辞書フォルダは,データ項目辞書及び業務ルール辞書を管理します。
- システム管理者
- Windows NT又はWindows 2000のAdministrator権限を持ち,SEWB+/REPOSITORYを利用したシステム開発環境を管理する人です。ユーザ登録ファイルに,ユーザ名[system]で登録されているユーザを指します。
- データ項目
- ファイル設計,レコード設計,リレーショナルデータベース設計などのシステム設計,及びプログラム設計と作成で使用する情報の基本単位のことです。
- データ項目辞書
- プロジェクト間で共有するデータ項目を格納する辞書です。データ中心アプローチに基づいてデータ分析し,標準化したデータ項目を蓄積します。SEWB+ツールを使ったシステム開発で作成するドキュメント間で共通に利用することを目的とします。
- データ中心アプローチ
- データを企業全体における重要な財産であると考え,共有資源として扱うシステム開発の方法論です。企業情報システムの基盤整備のために必要な方法論といえます。データ中心アプローチを採用したシステム開発では,先にデータを共有資源として分析して標準化したあと,システムやプログラムを設計,開発します。
- データ定義
- SEWB+/CONSTRUCTIONで,アプリケーションで共通に使用されるファイルやデータベースを定義することです。データ項目辞書に登録されているレコード定義(最上位結合項目)を利用してレコードを定義します。
- 適用条件
- アプリケーションに業務ルールを適用する条件をいいます。適用条件は,業務ルールに使用するデータ項目ごとに指定します。一般に,業務ルールの処理の入力となるデータ項目には「入力」を,業務ルールの処理結果を出力するデータ項目には「出力」を指定します。どちらにも役割を限定しない場合や,役割を明確にしたくない場合には,指定しなくてもかまいません。
- SEWB+/CONSTRUCTIONのプログラム定義では,プログラムで使用するデータ項目を基にして,その処理に使用できる業務ルールの候補が表示されます。あらかじめ,SEWB+/CONSTRUCTIONのテンプレート上に抽出条件を指定しておくことで,表示される業務ルールの候補を絞り込めます。プログラマは,データ項目の役割に適合した業務ルールから,目的の業務ルールを容易に選択できます。
- テンプレート
- SEWB+/CONSTRUCTIONが提供する機能の一つです。テンプレートとは,ソースプログラムの生成時にアプリケーションの枠組みとなる処理構成を記述したものです。テンプレートは,テンプレート記述言語とアプリケーション開発に使用するプログラミング言語で記述します。
- 同一項目用業務ルール
- 同じデータ項目間の処理を記述するための業務ルールです。主に,転記処理の記述に使用します。この同一項目用業務ルールは,リポジトリ内のすべてのデータ項目に適用できます。同一項目用業務ルールでは,データ項目との関連は付けません。しかし,業務ルールを利用するSEWB+/CONSTRUCTIONからは,アプリケーションに使用するデータ項目と同一項目用業務ルールの間に関連が付けられているとみなされ,通常の業務ルールと同様に扱えます。同一項目用業務ルールの作成時には,この仮想的な関連を,リポジトリ内の結合項目を含めたすべてのデータ項目に対して付けるのか,又はリポジトリ内の結合項目ではないデータ項目(単項目)だけに付けるのかを選択できます。
- ドキュメント
- リポジトリで管理されるシステム分析・設計情報,及びプログラム開発情報を保管するファイルです。ドキュメントの例としては,SEWB+ツールで作成したシステム分析図やデータ定義情報,ソースプログラム,又はMicrosoft WordやMicrosoft Excelなどで作成した企画文書,設計文書類があります。
- ドメイン
- データ中心アプローチの用語で,共通の意味と属性を持つデータ要素の集合を指します。SEWB+/REPOSITORYの辞書の仕組みを効果的にシステム開発に利用するには,ドメインを分析することが重要な作業になります。業務に使用するデータ項目を調査し,その中から共通のデータの値域(タイプ,意味,けた数,構成や範囲など)を持つデータをグルーピングします。データ項目辞書には,この共通のデータの値域を定義したデータ項目を,継承関係の上位に位置付けます。
- プロパティ
- APPGALLERY Enterpriseでは,アプリケーション開発に使用する部品に設定された,動作や表示などに関する属性を指します。ボタンなどのGUI作成で使用する部品の色,フォントやサイズなどは,プロパティに値として設定されています。これをプロパティ値といいます。
- プロパティセット
- APPGALLERY EnterpriseでのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)作成のために,部品ごとに標準とする色やフォントなどの設定値をまとめたものです。プロパティセットをSEWB+/REPOSITORYで一元管理し,アプリケーションのGUI作成に利用すれば,GUIを効率良く作成でき,変更にも柔軟に対応できます。また,GUIの統一を図れます。
- アプリケーション開発を始める前に,SEWB+/REPOSITORYで,GUIを統一する対象(システム,業務,開発環境など)ごとに,プロパティセットを準備しておきます。プロパティセットは,環境構築ユティリティのGUI属性で設定します。APPGALLERY Enterpriseでのアプリケーション開発では,開発対象に応じたプロパティセットを選択します。GUI作成で部品を配置した時点で自動的に,プロパティ値が設定されます。
- APPGALLERY Enterpriseから部品パレットの部品情報をSEWB+/REPOSITORYに転送し,プロパティセットとして登録することもできます。標準提供されている部品のほかに市販ソフトウェアを利用した部品やユーザが独自に作成した部品についてもプロパティセットを準備できるため,更に,作成効率の向上とGUIの統一化を促進できます。
- マッピング情報
- APPGALLERY Enterpriseと連携し,辞書のデータ項目からGUIの部品が生成されるときに使用される情報です。マッピング情報には,データ項目の定義情報をどのように部品のプロパティ値に置き換えるかが設定されています。
- アプリケーション開発を始める前に,SEWB+/REPOSITORYで,マッピング情報を準備しておきます。マッピング情報は,環境構築ユティリティのGUI属性で設定します。ボタン部品とテキストボックス部品に対応するマッピング情報が標準に設定されています。必要に応じて,マッピング情報を編集したり,ほかの部品に関するマッピング情報を追加したりすることができます。
- 命名ルール
- データ項目の名称(データ項目名,標準名称,フリガナ及び言語別の名前)及び業務ルールの名称(業務ルール名,標準名称及びフリガナ)の規則をいいます。プロジェクトの名称基準を命名ルールに定義して,検査機能でチェックできます。
- ユーザ
- SEWB+/REPOSITORYを使い,リポジトリのシステム開発資源を操作できる人です。システム管理者によってユーザ登録ファイルに登録されます。それぞれのユーザは,固有に与えられたユーザIDとパスワードを持ちます。
- リポジトリ
- システム開発の各工程で発生する情報のデータベースです。このシステム開発資源(ドキュメントと辞書)と,その資源間の関連をサーバで統合管理します。リポジトリによって,PCクライアントで動作するSEWB+ツールやそのほかのアプリケーション間で,システム開発資源を共有したり連携したりできます。
- リポジトリブラウザ
- リポジトリのシステム開発資源を,クライアントでビジュアルに操作できる機能です。リポジトリに格納されたシステム開発資源がツリー形式で表示されます。リポジトリブラウザでは,リポジトリへ辞書やドキュメントを登録したり,目的の資源を検索したり,資源間の関連を手掛かりにブラウジングしたりできます。
- ルールスクリプト
- 業務ルールの処理を,プログラミング言語を使ってコーディングしたものです。この内容は,SEWB+/CONSTRUCTIONのプログラム生成でソースプログラムに展開されます。汎用的に使える業務ルールを作成するために,ルールスクリプトには独自の文法が用意されています。ソースプログラムへの展開位置を指定する@@section文や,データ項目の定義情報を取り出す@typeなどの予約キーワードが用意されています。
- レコード生成キーワード
- データ項目の定義情報を,どのようにソースコードとして生成するかを指定するものです。言語別のタイプごとに指定します。レコード生成キーワードの内容は,プログラミング言語で規定されたデータの定義と,データ項目の定義情報を置換するための可変記号で記述されます。辞書に定義したレコード構造はSEWB+/CONSTRUCTIONのデータ定義で参照され,さらに,プログラム生成又はレコード生成機能でレコード生成キーワードに従ってソースプログラム中に展開されます。
- レコード定義
- データ項目辞書に登録されたレコードの構造をいいます。最上位結合項目が定義された結合項目を指します。レコード定義は,SEWB+/RECORD DESIGNERを利用すれば,効率良く登録できます。レコード定義は,次のアプリケーション開発の場面で利用されます。
- SEWB+/CONSTRUCTIONでのデータ定義
- SEWB+/EUR Professional Editionでのレポート設計
- APPGALLERY EnterpriseでのOpenTP1クライアント アプリケーションの作成