データ分析で求められたデータの構造は,複数のデータ項目同士を結合関係で結び付けて,データ項目辞書に登録します。結合とは,複数のデータ項目を順序付けて連結することです。この結合の仕組みを利用すれば,COBOL言語での集団項目と基本項目の関係,C言語での構造体とそれを構成する変数の関係,又はアプリケーションに使用するレコードとレコードを構成するデータ項目の関係といったデータの構造を,データ項目辞書に登録できます。
ここでは,データ項目を設計,及び登録するための前提知識として,結合の考え方を解説します。
(1) 結合項目と構成項目
データ項目同士の関係を結合の関係でとらえる場合,複数のデータ項目をまとめるデータ項目を,結合項目といいます。結合項目は,COBOL言語での集団項目,C言語での構造体に相当します。また,結合項目の構成要素となるデータ項目を,構成項目といいます。例えば,データ項目「年月日」を複数のデータ項目「年」「月」「日」で構成する場合,「年月日」が結合項目,「年」「月」「日」が構成項目となります。
結合関係を定義するには,まず,基本的な要素となるデータ項目(構成項目)を設計及び登録します。結合項目を登録するには,既に登録されているデータ項目を順番に組み合わせて結合項目の構成を定義します。このようにして,データ項目同士に結合関係を定義したとき,データ項目の間には,関連種別「結合」の関連が自動的に付けられます。
結合関係は階層化できます。結合項目の構成の例を図2-7に示します。
図2-7 結合項目の構成の例
この例では,「商品発注レコード」を最上位結合項目として定義しています。最上位結合項目とは,アプリケーションで使用するレコード構造が定義された結合項目を意味します。レコード構造の定義は,データ項目の設計及び登録を終えた後,データ項目辞書に登録します。詳細については,「2.5 レコード構造の設計」を参照してください。
(2) 結合項目の定義項目
結合項目は,一つのデータ項目として扱えますが,定義できる項目が限られます。結合項目の定義項目を,表2-16に示します。
表2-16 結合項目の定義項目
定義項目 | 定義区分 | ||
---|---|---|---|
名称 | データ項目名※1 | 〇 | |
標準名称 | △ | ||
フリガナ | △ | ||
属性 | 分類※2 | ― | |
けた数 | ― | ||
小数部けた数 | ― | ||
反復回数 | △ | ||
付加情報 | フィールド1~20 | △ | |
コメント | △ | ||
言語別 | 名前 | △ | |
詳細情報 | タイプ | ― | |
タイプ(フリー定義) | ― | ||
タイプ修飾情報 | △※3 | ||
取りうる値 | ― | ||
初期値 | ― | ||
言語別フィールド | △ |
(凡例)〇:必ず定義しなければならない定義項目
△:定義を省略できる定義項目
―:定義できない項目
注※1 データ項目名(結合項目の名称)は必ず定義しなければなりません。
注※2 「結合データ」が自動的に定義されます。
注※3 言語区分「IDL(CORBA)」のシーケンスだけ定義できます。
(3) 結合関係の継承
結合項目を,継承関係の上位のデータ項目として位置付けて,結合関係を継承できます。結合項目を継承するデータ項目は,その親となる結合項目と同じ構造(構成項目の並びや数が同じ)の結合項目になります。親となる結合項目の構成項目が継承関係の下位のデータ項目を持つ場合には,同じ位置の構成項目を,その下位のデータ項目の中から選択できます。この例を図2-8に示します。例えば,「受注年月日」の年を定義するための構成項目を,「年」「営業年」又は「受注年」から選択できます。
図2-8 結合関係の継承の例