辞書に登録するデータ項目の名称は,「実体名+属性名+ドメイン名」の形式で構成することをお勧めします。これは,「ある対象を,ある特性に限定して,ある範囲(単位)で」表現した名称です。このため,対象となるデータ本来の姿を表す名称を付けられます。この名称基準は,意味や内容が分かりやすいだけでなく,データ項目を辞書に登録した後,名称でソートしたり,絞り込んだりしやすいという特長があります。さらに,データ項目そのものの内容に着目しているため,システムや業務の変更の影響を受けにくい名称になります。
次に,データ項目の名称を構成する「実体名」「属性名」及び「ドメイン名」の意味を説明します。
業務及びシステムで管理する,人,物,場所,又は概念が実体です。この実体に名称を付けたものが,実体名となります。実体は,データ項目を抽出した後,データモデリング(データの正規化)の過程で求められます。実体は,エンティティに相当します。
実体の特性(特徴や性質)を表すものです。この属性に名称を付けたものが,属性名となります。属性によって,実体の表す意味を限定できます。一つの実体に対し,複数の属性を持てます。属性も実体と同様に,データモデリング(データの正規化)の過程で求められます。
ドメインとは,共通の意味と属性をもつデータ項目の集合のことです。辞書を設計するために,このドメインの分析が重要な作業であることは「2.2 ドメインの分析」で見てきました。データ項目が属すドメインの名称を,データ項目の末尾に付けます。データ項目に共通の値域や,制約条件がまとめられたドメインの名称を反映することによって,データ項目の内容を適切に判断できるようになります。