1.5 辞書に関係する作業の流れ

ここでは,SEWB+/REPOSITORYの環境に辞書を構築して,その辞書を管理・運用するまでの作業例を説明します。新システムの開発を例に,おおまかな作業の流れを図1-10に示します。

図1-10 新規システム開発での作業例

[図データ]

図で示した新システムの開発を例に,各作業の概要を説明します。

<この節の構成>
(1) 辞書に蓄積するデータの分析と設計
(2) 環境設定
(3) 辞書登録
(4) 辞書の管理・運用
(5) 次期開発への再利用,保守

(1) 辞書に蓄積するデータの分析と設計

システム分析段階で,辞書に蓄積するデータを分析し,情報をどのように辞書に蓄積するかを検討します。

辞書の設計の詳細については,「2. 辞書の設計」を参照してください。

辞書の構造と仕組みの理解

SEWB+/REPOSITORYでは,一般的なシステム開発を想定して,標準の辞書の枠組みを提供しています。この標準的な枠組みを基に,プロジェクトの開発体制や開発する業務システムに合わせて,COBOLやCなどのアプリケーション開発に使用するプログラミング言語,システムで使用する日本語や英語などの国語,命名ルール,検査項目などの辞書の構造をカスタマイズできます。

データ分析の結果を辞書にスムーズに引き継いで,辞書を有効に利用しながらデータ中心の開発を進めていくには,辞書の構造や仕組みを考慮したデータ分析が必要になります。このため,実際のデータ分析作業に入る前に,あらかじめ辞書の構造と仕組みについて理解しておくことをお勧めします。

データ分析と標準化,辞書の設計
リポジトリで辞書をどのように管理・運用するか検討

リポジトリで辞書をどのように管理・運用するか検討します。

(2) 環境設定

SEWB+/REPOSITORYをインストールし,サーバ及びクライアントで構成されるシステム開発環境を構築します。この作業は,システム開発環境全体を管理するシステム管理者が行います。

SEWB+/REPOSITORYの基本環境の設定

まず,次の基本環境を構築します。詳細な手順や設定内容については,マニュアル「SEWB+/REPOSITORY 運用ガイド」を参照してください。

辞書の準備

基本環境の設定を終えた後,環境構築ユティリティを使用してプロジェクトに合わせた辞書の環境を準備します。詳細については,「3.1 辞書の準備」を参照してください。

(3) 辞書登録

辞書の運用を始める前に,データ分析結果を辞書に登録します。リポジトリブラウザのデータ項目編集機能,業務ルール編集機能を使ってデータ項目,業務ルールを登録します。コマンドを使って一括登録することもできます。どちらの場合も,辞書情報が正しく定義されているか検査したり,継承や結合関係を定義したり,定義内容を変更したりなどの作業や,登録結果の確認には,リポジトリブラウザを使用します。

なお,結合項目とレコード定義(最上位結合項目)の登録を支援するツール「SEWB+/RECORD EDITOR」を使用すると,レコードレイアウト図でレコード全体の構造やタイプ,けた数などを確認しながら,効率良くレコード定義の作業ができます。

(4) 辞書の管理・運用

アプリケーション開発で辞書の利用が開始されてからの管理・運用作業について説明します。

辞書情報のメンテナンス
辞書情報のセキュリティ

辞書フォルダ,又はデータ項目,業務ルール単位にアクセス権を設定し,辞書情報を保全します。アクセス権の設定によって,辞書情報を作成・更新できるユーザ,辞書情報を参照してシステム開発に利用するユーザを分け,辞書の一貫性を守ります。

異なるサーバへの辞書の配布,複製

辞書を複数のサーバに分散して運用している場合,エクスポート・インポートユティリティを使用して,辞書情報のサーバ間の配布,複製をします。エクスポート・インポートは,対象の範囲を全体,又は増分情報のどちらかを選択できるため,効率良く作業できます。

定期的なバックアップ

辞書は,システム開発プロジェクト共通の重要な情報資源といえます。運用ルールを定めて,定期的に(例えば,業務終了後に毎日,又は一週間おきなどに)辞書情報を外部媒体に退避(バックアップ)することをお勧めします。予期しない障害が発生して辞書が破壊された場合でも,バックアップしておけば,その内容をリポジトリに回復(リストア)できます。バックアップ及びリストアは,Windows NT Server又はWindows 2000 Serverのファイルシステムに用意されている機能を使用します。環境構築ユティリティを使用すれば,バックアップのためのコマンドファイルを生成できます。詳細については,マニュアル「SEWB+/REPOSITORY 運用ガイド」を参照してください。

(5) 次期開発への再利用,保守

システム開発の終了後,そのシステムの開発に利用した辞書を保守します。また,次期システムの開発に,継続して辞書を利用していきます。なお,辞書情報の見直しが必要な場合は,次期システム開発を始める前に(新システムの開発時と同様に),辞書を整備しておくことをお勧めします。