1.2.4 業務ルールとは

業務ルールとは,データ項目に着目して,データ項目特有の処理を部品化したものです。SEWB+/CONSTRUCTIONを使ったアプリケーション開発で共通に利用することを目的としています。業務ルールは必ずデータ項目と関連付けて登録し,業務ルール辞書で管理します。データ項目に関連する業務ルールの例を,図1-5に示します。

図1-5 データ項目に関連する業務ルールの例

[図データ]

なお,データ項目間の転記処理のような同じデータ項目を使った処理を記述するための特殊な業務ルールがあります。これを「同一項目用業務ルール」といいます。同一項目用業務ルールは,データ項目と関連を付けずに,リポジトリ内のデータ項目で共用できます。

データ項目特有の処理を業務ルールとして登録しておけば,そのデータ項目を使用する様々なアプリケーションで再利用でき,処理を標準化できます。アプリケーションを作成するときには,あらかじめ用意された業務ルールから目的に合った業務ルールを選択するだけでよいので,効率良く作業できます。

データ項目特有の処理とは

次に,データ項目特有の処理(つまり,業務ルールに適した処理)とは,どのような処理なのかについて解説します。業務ルールに適した処理としては,「データ項目の値の妥当性をチェックする処理」,及び「データ項目から別のデータ項目の値を導き出す処理」が挙げられます。

データ項目の値の妥当性をチェックする処理
クライアント画面やファイルなどから入力された値が,正しいかどうかを判定する処理です。例えば,次に示したような処理を業務ルールにできます。
  • データ項目に入力された値の形式(英字,数字,漢字など)を判定する
  • データ項目に入力された値の範囲(0以上100以下など)を判定する
  • 年月日のデータ項目の値が,実在する日付かどうかを判定する
  • 出荷年月日は受注年月日よりも後かどうか判定する   など
データ項目から別のデータ項目の値を導き出す処理
データベースやファイル,クライアント画面や帳票データなど,これらの間でデータをやり取り(入力又は出力)する場合に必要な処理です。例えば,次に示したような,形式を変換する処理,編集処理,複数のデータ項目で成り立つ計算処理などを業務ルールにできます。
  • 西暦年を和暦年に変換する
  • 時刻をhh:mm:ssの形式に編集する
  • 電話番号の市外局番,市内局番,加入者番号をハイフンで編集する
  • 商品単価と売り上げ数量を基に,売り上げ金額を計算する
  • 売り上げ金額と消費税率を基に,消費税(外税)を計算する
  • 作業開始年月日と作業終了年月日から,実作業日数を求める
  • 商品コードから商品名を取得する
  • 所属事業所,入社年,従業員氏名から,氏名NOを割り当てる   など
例に挙げたように,業務ルールには,データ項目の形式や範囲を判定するといった汎用性の高いチェック処理だけでなく,編集処理や計算処理など,業務の規則や制度などに密接な処理を蓄積して,アプリケーション開発に利用できます。業務の見直しや制度の変更に伴ってデータ項目に関する処理を変更しなければならない場合でも,業務ルールを使用していれば,変更波及のある開発資源を容易に調査でき,作業量も軽減できます。