5.1 エクスポート・インポートの概要
システム開発資源を,複製して配布するときには,エクスポート・インポート機能を使用します。
- <この節の構成>
- (1) エクスポート・インポートとは
- (2) エクスポート・インポートの実行場所
- (3) エクスポート・インポートの対象
- (4) 必要な権限
- (5) 実行中の注意事項
- (6) 運用の設定
- (7) エクスポート・インポートの実行
- (8) 増分の管理
- (9) エクスポート・インポートの留意事項
- (10) 拡張子無しのドキュメント種別のインポート
(1) エクスポート・インポートとは
リポジトリからシステム開発情報を外部媒体に取り出すことをエクスポートといいます。エクスポート後に,追加又は更新された資源だけをエクスポートすることを増分エクスポートといいます。
エクスポートで取り出されたシステム開発情報を,リポジトリに取り込むことをインポートといいます。
エクスポート機能とインポート機能を使用して,システム開発情報をほかのサーバに複製します。
(2) エクスポート・インポートの実行場所
エクスポート・インポート機能はサーバで実行します。
(3) エクスポート・インポートの対象
エクスポート・インポートの対象を次に示します。
(a) リポジトリの環境情報
環境構築ユティリティで設定したリポジトリの環境情報を対象にできます。エクスポート・インポートできる環境構築ユティリティの設定項目を,表5-1に示します。
なお,複数のサーバでリポジトリを使用する環境では,リポジトリの運用環境を統一することが必要です。この場合は,環境構築ユティリティで環境を設定するサーバを決め,環境情報を管理してください。そのほかのサーバは,管理元のサーバから,エクスポート・インポート機能で配布された環境情報を利用して運用環境を構築します。環境情報を受け取るサーバでは,配布された運用環境の設定を,変更したり追加したりしないよう,留意してください。
表5-1 エクスポート・インポートできる環境情報
環境構築ユティリティの設定項目 | エクスポート ・インポート |
---|
システム管理者用のパスワード | × |
同時ログイン可能ユーザ数最大値の設定 | × |
辞書フォルダ | 〇※1 |
データ項目と業務ルールの環境設定 | 〇※2 |
辞書ユティリティタイプマッピングの設定 | 〇 |
ドキュメントの設定 | ドキュメント,フォルダ,システムバージョンの初期属性 | 〇 |
チェックアウト先コンピュータのIPアドレス | × |
ドキュメント種別の設定 | 〇 |
ルートドキュメントフォルダ | 〇※1 |
バックアップの設定 | × |
(凡例)〇:対象にできる ×:対象にできない
注※1 エクスポート運用でドキュメント又は辞書の資源をエクスポート対象に指定した場合に,ルートドキュメントフォルダ又は辞書フォルダの環境情報が対象となります。
注※2 命名ルール情報,及び検査項目情報は対象外となります。
(b) リポジトリの資源
- ドキュメント
ドキュメントは,ルートドキュメントフォルダ単位で対象を指定できます。ただし,ドキュメントの変更履歴情報は,エクスポート及びインポートができません。最新の情報又は指定したシステムバージョンの情報が,エクスポート及びインポートの対象になります。
- データ項目
データ項目は,辞書フォルダ単位で対象を指定できます。
- 業務ルール
業務ルールは,辞書フォルダ単位で対象を指定できます。
- 関連情報
エクスポート対象のドキュメントに関連がある場合は,次の関連情報が対象になります。
- エクスポート対象のドキュメント間の関連情報
この関連情報を,閉じた関連といいます。
- エクスポート対象のドキュメントと対象外のドキュメント間の関連情報
この関連情報を,開いた関連といいます。詳細については,「(c) 開いた関連を対象としたエクスポート・インポート」を参照してください。
- ドキュメントとデータ項目の間の関連情報
- ドキュメントと業務ルールの間の関連情報
また,エクスポート対象のデータ項目又は業務ルールに関連がある場合,次の関連情報が対象になります。
(c) 開いた関連を対象としたエクスポート・インポート
「開いた関連」とは,エクスポート対象としたルートドキュメントフォルダ下のドキュメントに付けられた関連のうち,対象外のルートドキュメントフォルダ下のドキュメントとの間に付けられた関連を指します。
- 開いた関連のエクスポート方法の選択
エクスポートでは,開いた関連に対して,次の3通りのエクスポート方法を選択できます。2.又は3.の方法では,開いた関連の方向を指定し,エクスポートする関連を限定できます。
- すべての開いた関連をエクスポートする
すべての開いた関連をエクスポートします。
- 関連先となる開いた関連のみエクスポートする
エクスポート対象のルートドキュメントフォルダ下のドキュメントが関連先となる開いた関連だけをエクスポートします。
- 関連元となる開いた関連のみエクスポートする
エクスポート対象のルートドキュメントフォルダ下のドキュメントが関連元となる開いた関連だけをエクスポートします。
- 開いた関連の関連方向を指定したエクスポート・インポート
ここでは,エクスポート方法に「関連先となる開いた関連のみエクスポートする」を選択した場合のエクスポート・インポートについて説明します。
この方法では,エクスポート対象としたルートドキュメントフォルダのドキュメントに付けられた開いた関連のうち,そのドキュメントが関連先となる関連だけをエクスポートできます。
- (例1)
- 資源の統合用のリポジトリと,プログラム開発用のリポジトリを分けている環境でのエクスポート・インポートを例に,説明します。
![[図データ]](figure/zu051100.gif)
- この例では,開発用リポジトリのルートドキュメントフォルダ「開発ドキュメント」下のドキュメント「プログラム定義A」と「プログラム定義B」が関連先となっている関連がエクスポートされます。「プログラム定義A」と「データ定義B」の間にユーザ関連が付けられていますが,「プログラム定義A」が関連元のため,エクスポート対象にはなりません。
- (例2)
- (例1)に示した作業の後,開発用リポジトリ内のルートドキュメントフォルダ「共有ドキュメント」と「開発ドキュメント」下のドキュメント間で関連が変更された場合について説明します。
![[図データ]](figure/zu051200.gif)
- この例では,開発用リポジトリのルートドキュメントフォルダ「開発ドキュメント」を「関連先となる開いた関連のみエクスポートする」を指定しエクスポートしています。これを,統合用リポジトリにインポートすることによって,次のように関連が反映されます。
- ・統合用リポジトリの「データ定義B」と「プログラム定義A」との関連
- が削除される。
- ・統合用リポジトリの「データ定義A」と「プログラム定義A」との間に
- 関連が付けられる。
(4) 必要な権限
エクスポート及びインポートを実行できるのは,システム管理者です。
(5) 実行中の注意事項
エクスポート・インポート機能では,実行中に排他制御を行っていません。このため,エクスポート・インポートの実行中に,ほかの処理を並行して実行できます。しかし,エクスポート・インポートの実行中に次に示すような処理を行う場合は注意してください。
- エクスポート・インポートの実行中に,対象となっている資源や関連情報を更新又は削除しないでください。不整合が検出され正常に終了しないことがあります。このような場合は,エクスポート・インポートを再実行しなければなりません。
- エクスポートの実行中に,エクスポート元でエクスポート対象となっている資源を更新しないでください。エクスポートが正常に終了した場合でも,その更新内容がエクスポートファイルに反映されないことがあります。この更新内容は,次にエクスポートを実行したときにエクスポートされます。
- インポートの実行中に,インポート先でインポート対象となっている資源を更新しないでください。インポートが正常に終了した場合でも,資源の内容は,更新内容にならないときがあります。
(6) 運用の設定
エクスポート・インポートを実行する前に,あらかじめエクスポート・インポートの運用を設定しておきます。
エクスポート・インポートの運用の主な設定内容は,次のとおりです。
(a) エクスポート運用の設定内容
- 運用名
- 環境情報をエクスポートするかどうか
- エクスポート対象とする資源
- エクスポート対象とするバージョン
- エクスポートファイルに関する情報
- ログの取得方法
(b) インポート運用の設定内容
- 運用名
- インポート対象とする環境情報
- インポート対象とする資源
- 資源のインポート方法(挿入又は上書き)
- 新規に追加する資源のアクセス権の設定方法
- ログの取得方法
(7) エクスポート・インポートの実行
エクスポート又はインポートを実行する場合は,エクスポート又はインポートの運用の設定で登録されている運用名を指定します。
(8) 増分の管理
増分エクスポートを行うと,前回エクスポートを実行した後に,追加又は更新された開発資源だけをエクスポートできます。どの資源が増分エクスポートの対象になるかは,エクスポート運用の設定で登録されているエクスポート運用ごとに管理されます。
(9) エクスポート・インポートの留意事項
インポートを実行すると,エクスポートされた資源がインポート先に新規に追加,又はエクスポートされている資源に対応するインポート先の資源が置換されます。しかし,インポートの実行でインポート先の資源が削除されることはありません。このため,次のような運用をお勧めします。
- インポート先に不要な資源がある場合,インポートを実行しても不要な資源は削除されません。インポート先に不要な資源がある状態でインポートを実行すると,インポートの実行後は不要な資源とインポートした資源が混在することになります。このような場合は,インポートを実行する前にインポート先の不要な資源を削除し,その後インポートを実行してください。
- エクスポート元のサーバの資源をエクスポート・インポート機能を使用して他のサーバに複製する運用を継続的に行っている場合,エクスポート・インポートを実行してもエクスポート元のサーバで削除された資源に対応するインポート先の資源は削除されません。このような場合は,エクスポート元で削除された資源に対応するインポート先の資源を削除してください。
(10) 拡張子無しのドキュメント種別のインポート
エクステンション(拡張子)を持たないドキュメント種別をエクスポートしたエクスポートファイルをインポートするときは,サーバのバージョンを02-02以降にしてください。