Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ パブリッククラウド編


5.13.5 【Azure】LANの状態設定ファイルの設定

HAモニタでは,LANはサーバ単位に接続,切り離しをします。そのため,LANの状態設定ファイルを作成して設定する必要があります。

LANの状態設定ファイルの種類を,次に示します。

サーバ識別名.upファイル

LANを接続する場合に使用します。業務通信の切り替えに関する情報を設定します。

サーバ識別名.downファイル

LANの切り離しをする場合に使用します。業務通信の切り替えに関する情報を設定します。

これらのファイルは,サーバごとにHAモニタの環境設定用ディレクトリの下に作成します。ファイル名のサーバ識別名の部分は,サーバ対応の環境設定のaliasオペランドで指定した値にしてください。

LANの状態設定ファイルには,OSのipコマンドの引数として,LANアダプタに追加・削除するエイリアスIPアドレスを指定します。OSのコマンドについては,OSのマニュアルを参照してください。

Azure用シェルスクリプト群を展開すると,Azure用のLANの状態設定ファイルのサンプルファイルが,/opt/hitachi/HAmon/lib配下に配置されます。Azure用シェルスクリプト群の展開については,「5.8 【Azure】Azure用のシェルスクリプト群の展開」を参照してください。サンプルファイルの名称は,server_azure.upおよびserver_azure.downです。

server_azure.upおよびserver_azure.downのファイル内容を次に示します。

#!/bin/bash
set -x

###############################################################################
# LB_IPADDR[0]=aa.aa.aa.aa
# LB_PORT[0]=bbbb

# LB_IPADDR[1]=cc.cc.cc.cc
# LB_PORT[1]=dddd

# DNS_PUBLICZONE[0]=eeee.com
# DNS_PRIVATEZONE[0]=ffff.com
# DNS_RECORDSET[0]=gggg
# DNS_RESOURCEGROUP[0]=hhhh
# DNS_TYPE[0]=A
# DNS_VALUE[0]=ii.ii.ii.ii
# DNS_TTL[0]=jj

# DNS_PUBLICZONE[1]=kkkk.com
# DNS_PRIVATEZONE[1]=llll.com
# DNS_RECORDSET[1]=mmmm
# DNS_RESOURCEGROUP[1]=nnnn
# DNS_TYPE[1]=CNAME
# DNS_VALUE[1]=oooo.com.
# DNS_TTL[1]=pp

###############################################################################
function main() {
:

サーバごとに,サンプルファイルを/opt/hitachi/HAmon/etc配下にコピーして,server_azure.upサーバ識別名.upに,server_azure.downサーバ識別名.downにリネームしてください。

サーバ識別名.up/downで設定が必要なシェル変数について説明します。

メモ

ここで説明する[n]は配列の添え字です。業務通信に使用する仮想マシンのエイリアスIPアドレス,または業務通信に使用するDNS名が1つの場合,[n]は0です。複数ある場合,1つ目の[n]は0,2つ目の[n]は1,のように,添え字が0から順に1ずつ増加するように設定してください。

サンプルファイルからコピーした状態では,シェル変数部分はコメント行となっています。コメント行を表す先頭の"#"を削除してから,設定してください。例えば,業務通信に使用する仮想マシンのエイリアスIPアドレスが1つの場合は,次のシェル変数について,コメント"#"を削除し,シェル変数を設定します。

  • LB_IPADDR[0]

  • LB_PORT[0]

2つの場合は,次のシェル変数について,コメント"#"を削除し,シェル変数を設定します。

  • LB_IPADDR[0]

  • LB_PORT[0]

  • LB_IPADDR[1]

  • LB_PORT[1]

3つ目以降については,シェル変数をコピーするなどの方法で,設定してください。

Azure ロードバランサー制御によって業務通信を切り替える場合

"LB_"から始まるシェル変数を次のとおりに設定してください。

  • LB_IPADDR[n]

    仮想マシンに付与または削除するエイリアスIPアドレスを設定してください。エイリアスIPアドレスは,業務通信に使用するIPアドレスで,Azure ロードバランサーのフロントエンドに設定したIPアドレスと同じアドレスを指定します。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

  • LB_PORT[n]

    Azure ロードバランサーからの正常性確認を待ち受けるポート番号を設定してください。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

LB_IPADDRおよびLB_PORTの値は,異なる添え字間で重複しないように設定してください。

LB_IPADDRおよびLB_PORTの値は,異なるサーバ間(異なるサーバ識別名.up間および異なるサーバ識別名.down間)で重複しないように設定してください。

DNS名制御によって業務通信を切り替える場合

レコードの変更方法によって,LANの状態設定ファイルのシェル変数の設定方法が異なります。シェル変数の設定要否を次の表に示します。

表5‒6 LANの状態設定ファイルのシェル変数の設定要否

レコードの変更方法

シェル変数の設定要否

サーバ識別名.upファイル

サーバ識別名.downファイル

レコードを更新する方法

必要

不要

レコードを削除したあとレコードを追加する方法

必要

必要

注※

シェル変数の設定は不要ですが,サーバ識別名.downファイルは/opt/hitachi/HAmon/etc配下に作成する必要があります。

"DNS_"から始まるシェル変数のコメントアウトを外し,次のとおりに設定してください。

  • DNS_PUBLICZONE[n]

    DNSゾーンがパブリックゾーンの場合に,業務通信に使用するDNS名を管理対象に含む,DNSゾーン名を設定してください。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

  • DNS_PRIVATEZONE[n]

    DNSゾーンがプライベートゾーンの場合に,業務通信に使用するDNS名を管理対象に含む,DNSゾーン名を設定してください。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

  • DNS_RECORDSET[n]

    レコードのレコードセット名を設定してください。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

    メモ

    DNSゾーン名とレコードセット名によって,業務通信に使用するDNS名が決定します。例えば,DNS_PUBLICZONE[0]=hitachi.com,DNS_RECORDSET[0]=sampleの場合,業務通信に使用するDNS名はsample.hitachi.comとなります。

  • DNS_RESOURCEGROUP[n]

    DNSゾーンを含むリソースグループ名を設定してください。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

  • DNS_TYPE[n]

    DNSレコードタイプ(AレコードタイプまたはCNAMEレコードタイプ)を設定してください。Aレコードタイプは,名前解決の結果であるIPv4アドレスを記録します。CNAMEレコードタイプは,名前解決を実行する別のDNS名を記録します。すべての系切り替え構成内で同じ設定にしてください。

  • DNS_VALUE[n]

    DNSレコードタイプがAレコードタイプの場合はIPv4アドレス,CNAMEレコードタイプの場合はDNS名を設定してください。設定する値は系ごとに異なります。

  • DNS_TTL[n]

    レコードがクライアントによってキャッシュされる時間(秒)を設定してください。

    DNS_TTLで設定された時間内は,キャッシュ内の値を使用して業務通信します。

    DNS_TTLの値が大きすぎると,HAモニタが実行サーバを系切り替えしても,切り替え元の系で業務通信するおそれがあります。そのため,次の手順でDNS_TTLを決めてください。

    1. DNS名制御を使用した計画系切り替えを実施し,系切り替え時間を計測する。

    2. 計測した系切り替え時間より小さい値をDNS_TTLに設定する。

    注※ 系切り替え元でメッセージKAMN290-Iを出力してから,系切り替え先でメッセージKAMN311-Iを出力するまでの時間を計測します。