Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


7.5.10 ShadowImageを使用する場合に副ボリュームを待機系に引き継ぐ

共有ディスクに日立ディスクアレイシステムを使用する場合,ShadowImageを使用してディスクの複製を実現できます。正ボリュームと副ボリュームの二つのディスクボリュームを用意し,ディスクを二重化します。正ボリュームの障害時には,副ボリュームに業務を引き継ぎます。

サーバにHiRDBを使用する場合は,日立ディスクアレイシステムのMRCF,またはShadowImageを使用して,DBの更新ができるオンライン再編成が実現できます。ここでは,ShadowImageの概要,HiRDBでのオンライン再編成,システム構成例,および運用手順例について説明します。

注意事項

ハイブリッドフェンシングを使用している場合,この運用はできません。

〈この項の構成〉

(1) ShadowImageの概要

通常ShadowImageは,正ボリュームおよび副ボリュームの二つのディスクボリュームを用い,正ボリュームのデータを副ボリュームにコピーし,二重化した状態を保ちます(ペア状態)。このとき,正ボリュームと副ボリュームの内容は完全に一致しています。ここで,正ボリュームで通常業務を実行し,副ボリュームでバックアップを取得するなど,別々の運用をするタイミングで二重化を解除します(ペア分割)。

このとき副ボリュームには,PVIDごと正ボリュームの内容がコピーされているため,副ボリュームに新規PVIDを割り当てた上で副ボリュームでの運用をします。副ボリュームでの運用が終了すると,正ボリュームおよび副ボリュームを再びペア状態に戻します。

ShadowImageの概要を,次の図に示します。

図7‒5 ShadowImageの概要

[図データ]

(2) HiRDBの更新ができるオンライン再編成

通常は正ボリュームで正規業務を実行していますが,DB再編成のタイミングで正規業務を副ボリュームに引き継ぎ,正ボリュームでDB再編成し,再編成終了後に,DB追い付き反映機能を用いて正規業務を正ボリュームに切り戻します。

HiRDBの更新ができるオンライン再編成の運用の流れを,次の図に示します。

図7‒6 HiRDBの更新ができるオンライン再編成の運用の流れ

[図データ]

(3) システム構成

この機能を使用するには,次に示す条件を満たしている必要があります。

(4) 副ボリューム運用時での,系切り替えのための運用

サーバがShadowImageを用い,副ボリュームで運用しているタイミングでサーバに系切り替えが発生した場合,副ボリュームの運用を待機系に引き継げません。これは,ペア分割の際に副ボリュームに割り当てられた新規PVIDを待機系が認識していないためです。

副ボリューム運用を待機系に引き継がせるためには,ペア分割のあと,待機系に副ボリュームの新規PVIDを反映し,現用系および待機系それぞれが副ボリュームを認識できるようにする操作が必要です。このあと,HAモニタの共有リソースとして,副ボリュームを追加する操作が必要となります。このあと,副ボリュームでの運用が終了したあとは,HAモニタの制御から副ボリュームを削除する必要があります。ShadowImageを用いた場合の運用手順の概要を次の図に示します。

図7‒7 ShadowImageを用いた場合の運用手順の概要

[図データ]

(5) 運用手順例

ShadowImageを用いたサーバの副ボリューム運用として,HiRDBの更新ができるオンライン再編成を例に挙げ,正常な副ボリューム運用中の系切り替えをするための手順例を示します。HA Boosterを用いる場合と用いない場合とで手順が若干異なります。

なお,HiRDBの更新ができるオンライン再編成ではHDLMの導入が前提となっているため,次の手順ではHDLMも導入している状態での運用手順例を示します。

(a) HA Boosterを用いない場合

HA Boosterを用いない場合の,構成例および運用手順例について説明します。

  • HA Boosterを用いない場合の構成例

    HA Boosterを用いない場合の構成例を次の図に示します。

    図7‒8 HA Boosterを用いない場合の構成例

    [図データ]

  • HA Boosterを用いない場合の運用手順例

    HA Boosterを用いない場合の運用手順例を次の図に示します。

    図7‒9 HA Boosterを用いない場合の運用手順例

    [図データ]

    (凡例) (% コマンド フォーマット):実行するコマンドを表します。

(b) HA Boosterを用いる場合

HA Boosterを用いる場合の構成例および運用手順例について説明します。

HA Boosterを用いる場合は,副ボリュームをHA Boosterの制御グループに追加する手順が必要です。

  • HA Boosterを用いる場合の構成例

    HA Boosterを用いる場合の構成例を次の図に示します。

    図7‒10 HA Boosterを用いる場合の構成例

    [図データ]

  • HA Boosterを用いる場合の運用手順例

    HA Boosterを用いる場合の運用手順例を次の図に示します。

    図7‒11 HA Boosterを用いる場合の運用手順例

    [図データ]

    (凡例) (% コマンド フォーマット):実行するコマンドを表します。

(c) 障害による系切り替え発生時の運用

待機系に副ボリュームの反映を実行中,障害による系切り替えが発生した場合は,次の運用をします。

  • 静止化を解除し正規業務を再開します。これは,HiRDBでは,正ボリュームを引き継いで待機系に切り替わりますが,正ボリュームが静止化状態であるためです。そのあと,障害系が復旧し,待機HiRDBを起動し,実行待機のペアが成立したあとに,更新ができるオンライン再編成の手順を再実行します。

  • 副ボリュームの削除から再作成までの間で障害が発生した場合は,HiRDBの静止化解除をする前に,それぞれの系で副ボリュームを再作成する必要があります。

  • 系切り替えが発生すると,切り替わった先でHiRDBのプロセスが副ボリュームをアクセスし続け,副ボリュームのOS操作ができなくなる場合があります。系切り替えが発生した場合は,系切り替え完了後にHiRDBのpdpfreshコマンドを実行してください。

(d) 注意事項

  • 副ボリューム運用時に,待機サーバが起動していない場合でも,待機系での操作は必要です。

  • 更新ができるオンライン再編成の実行中に,待機サーバを起動した場合は,正常に系切り替えされないおそれがあるため,更新ができるオンライン再編成は,待機サーバの起動前,または起動完了後に実施してください。

  • HA Boosterを用いない場合の運用手順例で,「(18)副ボリュームの所有者権限をHiRDB管理者に変更する」〜「(22)HAモニタの共有リソースから副ボリュームを削除」の間に,待機サーバを起動する場合は,待機サーバのサーバ対応の環境設定に副ボリュームの定義を追加してから起動してください。

  • 今まで述べた運用手順は,副ボリュームをHiRDBの更新ができるオンライン再編成実行時以外は使用しないこと,つまり,サーバ対応の環境設定のdiskオペランドに副ボリュームのボリュームグループが定義されていないことを前提としています。逆にHiRDBが副ボリュームを常に使用するような構成では,待機系で副ボリュームを削除したあとに系切り替えが発生しても,ない副ボリュームを待機系で引き継がないよう,HAモニタの制御から副ボリュームを削除する必要があります。また,更新できるオンライン再編成後に,副ボリュームをHAモニタの制御から削除しないようにしてください。具体的な運用としては,HA Boosterを用いない場合の運用手順例では,「(3)副ボリュームを削除」の前に「(22)HAモニタの共有リソースから副ボリュームを削除」を移動した運用とし,HA Boosterを用いる場合の運用手順例では,「(3)副ボリュームを削除」の前に「(23)HA Boosterの制御グループから副ボリュームを削除し,アクセス不可にする」〜「(24)HA Boosterの制御グループから副ボリュームを削除し,アクセス不可にする」を移動した運用を実施してください。