Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


6.5.2 HAモニタの接続構成設定ファイルの作成

HAモニタは系に一つ存在し,系間で連絡を取ります。システム構築時には,HAモニタの接続構成を,定義ファイルに定義する必要があります。この定義ファイルをHAモニタの接続構成設定ファイルと呼びます。

HAモニタの接続構成設定ファイルは,HAモニタの起動時に参照され,HAモニタの接続構成設定ファイルの内容に基づいて,HAモニタ同士が接続されます。また,HAモニタの起動時,および定義チェックコマンド(moncheckコマンド)実行時に,HAモニタの接続構成設定ファイルの内容がチェックされます。

〈この項の構成〉

(1) HAモニタの接続構成設定ファイルの作成方法

HAモニタの接続構成設定ファイルを作成するには,自動作成する方法と,手動作成する方法があります。通常は,自動作成することをお勧めします。ただし,次のどちらかの場合は,手動作成してください。

ここでは,HAモニタの接続構成設定ファイルを手動作成する方法についてだけ説明します。自動作成の場合,システムの構築が完了して動作確認をするときに同時にHAモニタの接続構成設定ファイルを作成できるため,ここでは説明しません。HAモニタの接続構成設定ファイルを自動作成する方法については,「(3) HAモニタの停止確認および接続構成設定ファイルの確認(自動作成の場合)」を参照してください。

(2) 手動作成する方法

HAモニタの接続構成設定ファイルは,HAモニタの環境設定用ディレクトリの下にconnectionというファイル名で作成します。connectionファイルを一つの系で作成し,他系に複写する方法をお勧めします。

HAモニタの接続構成設定ファイルで設定する各パラメタの記述形式を,次に示します。

0ホスト名1LAN△1IPアドレス1pair;↓
(凡例)

0:0個以上の空白またはタブを示します。

1:1個以上の空白またはタブを示します。

↓:改行コードを示します。

行の最後には,";"を記述してください。1行で系一つ分の設定項目を記述できます。系が四つある場合には,4行記述する必要があります。

なお,"#"を記述すると,"#"から改行コードまでがコメント行になります。

重要
  • pairを指定している接続構成設定ファイルの内容に誤りがあると,系間の接続構成を認識できなくなるため,正しく系切り替えができなくなります。

  • pairを指定している接続構成設定ファイルを使用すると,サーバ同士のペア関係を変えられなくなるため,サーバを別の系に移動できません。サーバを別の系に移動する場合は,接続構成設定ファイルを作成し直し,HAモニタを再起動してください。

接続構成設定ファイルで設定する各項目について,次に示します。

# HAモニタ接続構成の設定
ホスト名 LAN IPアドレス [pair];
         :
ホスト名

自系を含めた,系切り替え構成内のすべての系のホスト名を指定します。ホスト名の指定順序は任意です。ホスト名は,HAモニタの環境設定のnameオペランドで指定したホスト名を指定してください(/etc/hostsファイルに指定したホスト名ではありません)。

LAN IPアドレス

"LAN"のあとに,監視パスに使用しているTCP/IP LANのIPアドレスを指定します。複線化している監視パスすべてのLANのIPアドレスを指定してください。

また,pairを指定する場合は,実際に監視に使用しているすべての監視パスを指定してください。

pair

pairを指定すると次のように動作します。

  • pairを指定した系とだけ接続し,系切り替え構成となる。

  • 実行サーバの起動時,pairを指定した系の状態を確認できない場合は,実行サーバ起動待ちの状態にし,複数の系で実行サーバが起動することを防止する。

次のような運用の場合,現用系と予備系の両方で実行サーバが起動するおそれがあるため,pairを指定してください。

  • 予備系に計画切り替えしている状態で,現用系でHAモニタを再起動する。監視パスが接続する前,または監視パス障害で接続できないときに,実行サーバを起動する。

    例えば,OSやHAモニタの起動時にサーバを自動起動する場合が該当します。

なお,pairを指定した系が未稼働の場合も,実行サーバ起動待ちの状態になります。実行サーバの起動を続行させるには,pairを指定した系が未起動,または実行サーバが存在しないことを確認したあとでmonactコマンドを実行してください。

pairを指定する場合は,系切り替え構成内の自系を含めたすべての系の,すべての監視パスを対象としてください。また,pairの指定は自動では作成されないため,手動で作成する必要があります。

pairを指定すると,指定した系間でだけ監視パスのヘルスチェックやHAモニタのコマンドを実行します。そのため,pairを指定しない場合と比較して,ヘルスチェックやHAモニタのコマンドの実行に掛かる時間が短縮されます。 pairを指定した系間だけで実行されるHAモニタのコマンドを,次に示します。

  • サーバ・系の状態表示コマンド(monshowコマンド)

  • SP状態表示コマンド(monspコマンド)

  • 監視パス状態表示コマンド(monpathコマンド)

  • HAモニタ間の手動接続コマンド(monlinkコマンド)

(3) 作成例

HAモニタの接続構成設定ファイルの作成例を次に示します。

(a) すべての系が互いに監視し合う場合

すべての系が互いに監視し合う場合の,HAモニタの接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。

図6‒11 すべての系が互いに監視し合う場合のHAモニタの接続構成設定ファイルの作成例

[図データ]

(b) 監視し合わない系がある場合

監視パスに監視し合わない系がある場合の,HAモニタの接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。この例では,監視し合う系にpairを指定しています。

図6‒12 監視し合わない系がある場合のHAモニタの接続構成設定ファイルの作成例

[図データ]

監視し合う系にpairを指定しているため,pairを指定しない場合と比較して,ヘルスチェックやコマンドの実行に掛かる時間が短縮されます。

監視し合わないのは,系1・系3間です。