3.6.1 NFSの制御機能
ここでは,NFSの制御機能について説明します。
HAモニタで,NFSサーバをクラスタ構成として簡単に構築できるようにします。HAモニタでは,NFSサービスが管理するファイルシステムを切り替え対象にできます。
NFSの制御機能での処理の流れについては,「4.3.6 NFSの制御機能での処理の流れ」を参照してください。NFSの制御機能を使用するための設定方法については,「6.14 NFSの制御機能を使用するための設定」を参照してください。NFSの制御機能を使用する場合の環境設定例については,「8.5.1 1:1系切り替え構成時の環境設定例」の「(5) NFSの制御機能を使用する場合の環境設定例」を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) サポートする系切り替え構成
NFSの制御機能では,次の系切り替え構成をサポートします。
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1:1系切り替え構成
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相互系切り替え構成
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2:1系切り替え構成
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複数スタンバイ構成
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クラスタ型系切り替え構成
(2) NFSの制御機能の概要
NFSの制御機能を使用する場合の構成例を次の図に示します。
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共有ディスク上のFS1とFS2は,NFSサービスで公開するファイルシステムです。
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現用系と予備系のそれぞれでNFSサービスが起動しています。
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現用系は,ファイルシステム(FS1,FS2)をマウントして,そのマウントポイントのディレクトリを公開ディレクトリとしてエクスポートします。
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クライアントは,エイリアスIPを使用してエクスポートされたマウントポイントのディレクトリをNFSマウントし,NFSサービスを経由してファイルシステム(FS1,FS2)にアクセスします。
NFSの制御機能では,モニタモードのサーバを使用します。クライアントがNFSマウントするファイルシステム,およびクライアントがNFSマウントするときに使用するエイリアスIPアドレスを,モニタモードのサーバのリソースとします。
また,エクスポートなどの制御をするための,モニタモードのサーバの起動コマンド,停止コマンドおよび監視コマンドのサンプルを提供しています。
- 注意事項
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上記の図では,マウントポイントを1つだけ記載しています。ファイルシステムが複数ある場合は,各ファイルシステムにマウントポイントがあり,公開ディレクトリとしてエクスポートされます。
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(3) 現用系での動作
現用系での動作について説明します。
- モニタモードのサーバを実行サーバとして起動するとき
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HAモニタは次の動作を実施します。
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ファイルシステムのマウント
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エイリアスIPアドレスの付与
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マウントポイントを公開ディレクトリとしてエクスポート
マウントポイントを公開ディレクトリとしてエクスポートするには,モニタモードのサーバの起動コマンドで実施します。
これによって,エイリアスIPアドレスを使用して,クライアントからファイルシステムにNFSマウントできるようになります。
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- モニタモードのサーバが実行サーバとして稼働しているとき
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監視コマンドで次を監視します。
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NFSサービスの常駐プロセスがあるかどうか
nfsd,rpc.mountd,rpc.lockdおよびrpc.statdがあるかどうかを監視します。
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設定された公開ディレクトリがエクスポートされているかどうか
監視コマンドで異常を検知した場合は,servexec_retryオペランドの指定値に従ってサーバの再起動または系切り替えを実施します。
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- 実行サーバを停止するとき
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HAモニタは次の動作を実施します。
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公開ディレクトリのアンエクスポート
公開ディレクトリのアンエクスポートは,停止コマンドで実施します。
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エイリアスIPアドレスの削除
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ファイルシステムのアンマウント
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(4) 予備系での動作
予備系でモニタモードのサーバを待機サーバとして起動すると,系切り替えができる状態になります。待機サーバとして起動するときは,NFSサーバに固有の動作はありません。
(5) クライアントからの操作についての注意事項
HAモニタは,クライアントからのNFSマウントやアンマウントなどの,クライアント側の操作を実施しません。なお,系切り替えをしてもNFSアクセスは継続して実施できるため,系切り替えをしたあとに再びNFSマウントを実施する必要はありません。
(6) 複数のモニタモードのサーバにリソースを分ける構成
複数のファイルシステムを複数のモニタモードのサーバのリソースに分ける構成について,次の図に示します。なお,それぞれのモニタモードのサーバの動作は,モニタモードのサーバが1つの場合と同じです。
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