7.5.9 HAモニタの強制varyon機能を使用して強制的にオンライン化する
LVMを使用して共有ディスクをミラーリングする場合,HAモニタの強制varyon機能を使用すると,サーバ起動時または系切り替え時に,ボリュームグループを強制的にオンライン化できます。ここでは,HAモニタの強制varyon機能を使用する場合の,障害発生時の対処方法について説明します。強制varyon機能の詳細については,「3.5.7 LVMミラーリングを使用した場合の共有ディスクの制御」を参照してください。
(1) チェックオプションを使用する場合の対処
チェックオプションを使用する場合,HAモニタは,データ破壊のおそれがないことをチェックしたあとで強制的なオンライン化を実行します。したがって,ユーザは強制的なオンライン化の実行タイミングを考慮する必要はありません。通常のディスク障害と同じように対処してください。
ただし,次の場合はHAモニタの強制varyon機能が実行されません。通常のディスク障害への対処に加えて,手動でvaryonvg -fコマンドを実行後,サーバを再起動する必要があります。
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待機系のI/Oパスだけに障害が発生した場合
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共有ディスク上の管理情報が更新される前にサーバが起動した場合
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共有ディスク上の管理情報が更新される前に系切り替えをした場合
ユーザが手動で強制的なオンライン化を実行する必要がある場合の詳細については,「(a) チェックオプションを使用する場合」を参照してください。
(2) チェックオプションを使用しない場合の対処
チェックオプションを使用しない場合,サーバ起動時や系切り替え時に強制的なオンライン化をするかどうかを,ユーザが判断する必要があります。HAモニタの強制varyon機能は,あらかじめ指定するのではなく,必要なときだけ有効にするなど,有効・無効を状況に応じて設定してください。この機能を有効にするには,次の手順に従ってください。
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障害が発生した個所を特定する。
ディスク障害が発生したら,まず,ディスク自体の障害なのか,または,アダプタなどの障害でディスクへのアクセスができない状態なのかを判断する必要があります。
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障害ディスクの切り離しをする。
ディスクへのアクセスができない状態である場合,系切り替え後に,データが古いおそれがある障害ディスクへのアクセスを避けるため,障害ディスクの電源OFFなどによって,物理的にシステムから切り離しをしてください。
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HAモニタの強制varyon機能を有効にする。
HAモニタおよびサーバの状態によって,どちらかの運用を実施してください。
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サーバが稼働中の場合
サーバの共有リソース動的変更コマンド(mondeviceコマンド)を実行して,vg_forced_varyonをuseに変更します。
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サーバが未稼働の場合
サーバ対応の環境設定のvg_forced_varyonオペランドにuseを指定します。
これ以降,ボリュームグループは強制的にオンライン化が実行されるため,サーバの起動または系切り替えをしても共有ディスクへのアクセスができます。
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障害ディスクを復旧する。
ディスク障害を回復させたら物理的にシステムに接続し直します。
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HAモニタの強制varyon機能を無効にする。
HAモニタおよびサーバの状態によって,どちらかの運用を実施してください。
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サーバが稼働中の場合
サーバの共有リソース動的変更コマンド(mondeviceコマンド)を実行して,vg_forced_varyonをnouseに変更します。
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サーバが未稼働の場合
サーバ対応の環境設定のvg_forced_varyonオペランドにnouseを指定します。
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ミラーの回復作業をする。
実施方法については,OSのマニュアルで確認してください。