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高信頼化システム監視機能 HAモニタ AIX(R)編


2.4.4 LANの引き継ぎ

HAモニタは,エイリアスIPアドレスを引き継ぎます。

エイリアスIPアドレスとは,あるインタフェースに,すでにあるIPアドレスとは別に付けたIPアドレスのことです。エイリアスIPアドレスを使用すると,一つのインタフェースに複数のIPアドレスを設定できます。HAモニタは,系切り替え時にこのエイリアスIPアドレスを実行系から待機系に引き継ぐことでLANを切り替えます。

ステーショナリIPアドレスとエイリアスIPアドレス

各系には,LANインタフェースごとにそれぞれ固有のIPアドレスをあらかじめ設定する必要があります。このIPアドレスをステーショナリIPアドレスといいます。ステーショナリIPアドレスは系切り替えによって他系に移動しません。そのため,IPアドレスを引き継がないサーバ,系切り替えをしないプログラムの通信,および監視パスにステーショナリIPアドレスを使用します。

ステーショナリIPアドレスとは別に,一つまたは複数のIPアドレスをサーバに割り当てます。このIPアドレスをエイリアスIPアドレスといいます。HAモニタではエイリアスIPアドレスを引き継ぐため,IPアドレスを引き継ぐサーバや系切り替えをするプログラムの通信にエイリアスIPアドレスを使用します。エイリアスIPアドレスを使用することによって,系切り替えが発生してもクライアントからは同一のIPアドレスで通信できます。ただし,TCPベースのアプリケーションの場合にはコネクションが一度切断されるため,再接続などのリカバリー処理は必要になります。

エイリアスIPアドレスは,ステーショナリIPアドレスがすでに設定されているインタフェースにだけ登録できます。

エイリアスIPアドレスの引き継ぎ

サーバに割り当てたエイリアスIPアドレスは,実行サーバの起動時にLANインタフェースに追加され,実行サーバの停止時にLANインタフェースから削除されます。系切り替え時は,実行系でエイリアスIPアドレスを削除し,待機系でエイリアスIPアドレスを追加することで,エイリアスIPアドレスを引き継ぎます。

HAモニタでは,MACアドレスは引き継ぎませんが,エイリアスIPアドレスを引き継ぐときに,ARPリクエストがブロードキャストされ,IPアドレスとMACアドレスの新しいマッピングが通知されます。

エイリアスIPアドレスの引き継ぎ例を,次の図に示します。

図2‒21 エイリアスIPアドレスの引き継ぎ例

[図データ]

この例では,LANアダプタ(en1)に割り当てたIPアドレス(a.b.c.dおよびe.f.g.h)はステーショナリIPアドレスです。サーバに割り当てたIPアドレス(s.t.u.vおよびw.x.y.z)はエイリアスIPアドレスです。系1から系2に系切り替えがされた場合,エイリアスIPアドレスも系2に引き継がれます。